説明

冷却シート

【課題】 簡単な構造により、誤って鼻や口を塞いでも呼吸が可能な冷却シートを提供する。
【解決手段】 不織布12の片面に粘着層14が設けられ、粘着層14に多数の透孔16が形成されている。または、粘着層14が凹凸状に形成されている。粘着層14は、ポリアクリル酸塩からなる含水ゲルや、水溶性高分子材料のゲルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発熱時や関節等の炎症時に適宜の部位に貼付したり、皮膚の保湿、リフレッシュ等に用いられ、医療補助具や薬剤等として用いられる冷却シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体に貼付する冷却シートとして、オレフィン系不織布に含水ゲルを展膏したものが汎用されている。このような冷却シートは、ポリアクリル酸塩などの粘着剤とグリセリンなどの賦形薬を20〜40%配合したものである。この含水ゲルは、ポリアクリル酸塩などの架橋反応により水分を保有しゲル化しているものであり、粘着性を有したものである。また、特許文献1に開示されているように、片面に合成ゴム系の粘着剤が塗布された不織布の繊維層中に、寒天やゼラチン等の水溶性高分子材料のゲルが含浸し安定に存在している冷却シートも提案されている。
【特許文献1】特開2002−248121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の冷却シートは、粘着性のあるゲルが粘着面に一面に塗工されており、例えば額に貼り付けたまま眠ってしまうと、眠っている間に冷却シートが何らかの理由で移動し、鼻や口を塞いでしまう恐れがあった。
【0004】
この発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で誤って鼻や口を塞いでも呼吸が可能な冷却シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、不織布等の支持体の片面に粘着層が設けられ、前記粘着層に多数の透孔が形成されている冷却シートである。または、不織布等の支持体の片面に粘着層が設けられ、前記粘着層は表面が多数の凹凸状に形成されている冷却シートである。
【0006】
前記粘着層は、ポリアクリル酸塩からなる含水ゲルや、水溶性高分子材料のゲル、またはSIS(スチレンイソスチレン高ポリマー)系粘着剤からなるオイルゲルである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の冷却性シートは、粘着層に多数の透孔が形成され、または粘着層が多数の凹凸状に形成されているので、誤って粘着層が鼻や口に覆い被さっても呼吸を妨げることがない。これにより窒息等の事故を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の冷却性シート10は、不織布12を支持体として備える。不織布12は、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン、コットン、またはこれらの混紡等で作られ、目付けは70〜150g/mの範囲が好ましい。
【0009】
不織布12には、不織布12の一側面に含水ゲルによる粘着層14が形成されている。不織布12の素材は、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の疎水性繊維、綿やレーヨン等の親水性繊維、吸水性合成高分子から成る吸水性繊維や、これらの積層材または混紡材等が使用される。吸水性樹脂繊維としては、例えば架橋アクリル酸塩系繊維、アクリル繊維を後加工によりその表面を加水分解させて得られた繊維、ポリエステル等の繊維にアクリル酸やメタクリル酸をグラフト重合した繊維等があげられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中では、特に、架橋アクリル酸塩系繊維が、非常に高吸水性であり好ましい。
【0010】
含水ゲルの粘着層14は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリアクリル酸ナトリウムから選ばれた1または複数の合成高分子を1〜20%、水分を50〜80%含むものである。さらに、EDTA、メタリン酸ナトリウム等の金属封鎖剤を添加することにより不織布12から剥がれにくくすることができる。
【0011】
その他、粘着層14の材料は、水溶性高分子材料のゲルである天然多糖類高分子ゲル、例えばマンナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、またはゼラチンから選ばれた1種または複数種の天然高分子を0.5〜10%、水分を80〜98%含むものでも良い。また、粘着層14としては、SIS(スチレンイソプレンスチレン高ポリマー)やその他の合成ゴム系粘着剤を、含水ゲル表面や水溶性高分子ゲルの表面に積層して用いることもできる。
【0012】
粘着層14には、さらに、清涼剤として天然メントール、合成メントール、ハッカ油、カミツレ等の植物成分やその他の精油成分を配合することにより、清涼感はさらに増強される。また、湿布剤として用いる場合は、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン等の消炎鎮痛剤を配合してもよい。
【0013】
粘着層14の外側面は、非透湿性の樹脂フィルム等の剥離シートで覆われ、水分等の蒸発を防止しいている。剥離シートは、シリコーンを塗工したポリエステルフィルムやポリプロピレンエンボスフィルムを用いる。また、使用時に含水させる場合は、製品の包装状態では乾燥しているので、剥離シートは、粘着剤側の面にパラフィンを塗布した紙でも良い。
【0014】
粘着層14には、例えば直径5mm程度の透孔16が、ほぼ全面に亘って多数形成され、透孔16に連通して、不織布12にも透孔18が多数形成されている。透孔16,18は、不織布12表面に粘着層14の形成後、打ち抜いて形成される。
【0015】
この実施形態の冷却シート10は、粘着層14に多数の透孔16が形成されているので、誤って冷却シート10が鼻や口に覆い被さっても呼吸を妨げることがなく、透孔16,18を介して呼吸することができる。
【0016】
次に、この発明の第二実施形態について図3、図4に基づいて説明する。なお、ここで上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の冷却シート20は、不織布22が設けられ、不織布22にはゲル体からなる粘着層24が設けられている。この粘着層24は、表面が波状に多数の凹凸26が形成されている。
【0017】
この実施形態の冷却シート20によれば、上記実施の形態と同様の作用があり、同様の効果を有するものである。
【0018】
なお、この発明の冷却シートは、上記各実施形態に限定されるものではなく、各部材の素材は適宜変更可能である。各不織布の目付けや素材は、用途や他の部材の成分の配合に合わせて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の第一実施形態の冷却性シートの平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】この発明の第二実施形態の冷却シートの平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 冷却シート
12 不織布
14 粘着層
16,18 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に粘着層が設けられ、前記粘着層に多数の透孔が形成されていることを特徴とする冷却シート。
【請求項2】
支持体の片面に粘着層が設けられ、前記粘着層は表面が多数の凹凸状に形成されていることを特徴とする冷却シート。
【請求項3】
前記粘着層は、ポリアクリル酸塩からなる含水ゲルであることを特徴とする請求項1または2記載の冷却性シート。
【請求項4】
前記粘着層は、水溶性高分子材料のゲルであることを特徴とする請求項1または2記載の冷却性シート。
【請求項5】
前記粘着層は、SIS系粘着剤からなるオイルゲルであることを特徴とする請求項1または2記載の冷却性シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87785(P2006−87785A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279275(P2004−279275)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(391044166)玉川衛材株式会社 (10)
【出願人】(397043190)ライフケア技研株式会社 (11)
【Fターム(参考)】