説明

冷却二酸化炭素を用いた蚊取り装置

誘引物質である二酸化炭素を生成するための燃焼チャンバ16を用いた捕虫器を提供する。燃焼チャンバ16からの燃焼ガスは、トラップ入口12とつながっている導管14を通った空気によって冷却される。したがって、虫を捕虫器22に吸い込むのと、燃焼チャンバ16を冷却するのに、同一のファン24を使用できる。燃焼ガスを、トラップ入口12とつながっている導管14を通ってきた空気流によって冷却した後に、熱電素子のような冷却システム18によってさらに冷却することができる。このようにして、本発明の捕虫器は、周囲温度以下の二酸化炭素を燃焼により生成するために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫器に関し、特に、蚊や他の刺咬性の虫を誘引して捕える、あるいは殺す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蚊やハエなどの刺咬性の虫は、人間の生活域において煩わしく、深刻な問題を起こすこともある。そういった虫のせいで仕事が邪魔されたり、余暇の時間を台無しにされることもある。これらは家畜も襲い、家畜の体重減少や、牛乳の生産量減少を招くこともある。世界的に、蚊の媒体する病気は、他の単一の要因と比較すると、より多くの数の人間を死に至らしめている。蚊は、マラリア、黄熱病、デング熱などを媒体する。アメリカ合衆国では、西ナイルウイルスを含む数種の脳炎は、蚊によって蔓延する。フィラリアも、蚊によって犬猫に伝染する。
【0003】
特に温暖気候では、ヒトは、蚊など刺咬性の虫の主要な血液ホストではない。合衆国の南東部では、蚊などの害虫の多くは、ウサギなどの小型の草食哺乳類や鳥といったホストの匂いを好むようである。脳炎を媒体する蚊は、鳥の血液ホストを好むようである。これらの蚊は、機会があればヒトも刺すが、蚊の生息地に最も数多くいる動物の匂いを追跡するほうが得意である。
【0004】
人々は、蚊や他の刺咬性の虫を排除するための多くの様々な方法を試みてきた。なかでも良く利用される方法のひとつは、化学殺虫剤をスプレーあるいは塗布することである。化学薬品の多くは、蚊を殺したり追い払うのに有効であるが、益虫を殺すなど環境には有害である。加えて、化学殺虫剤が有効なのは限られた時間内だけなので、連続的にスプレーをしなくてはならない。また、多くの種類の蚊や刺咬性の虫は、数世代(蚊にとって、たった数ヶ月の場合もある)の間に化学薬品に対する耐性を発達させる能力があり、長い目で見ると、そのような適応反応によってますます強い種になってしまう。
【0005】
蚊を駆除するために利用される他の方法として、虫駆除装置がある。一般に、虫駆除装置は、電流の通った格子網に囲まれた蛍光光源を備えている。これらの装置の理論は、蚊は光におびき寄せられ、光に向かって飛び込むので格子網により感電死するというものである。しかし、実際には、虫駆除装置には、益虫を殺してしまう、蚊をおびき寄せるのに殺す数は多くないといった問題がある。
【0006】
シトロネラ入りろうそくや蚊取り線香が、蚊やその他の虫を追い払うために多く利用されている。しかし、研究によると、一般に、蚊から身を守るには、ひとりひとりがシトロネラの煙の中にいなければならないということがわかっている。これは、もちろん好ましい状態ではない。その上、シトロネラの煙の中にいたとしても、蚊に刺される確率は部分的にしか低くならない。裏庭に鳥やこうもりの巣を設置して自然界での虫の捕食を促すという試みもまた、その場の蚊の個体数を減らすという点で十分ではない。
【0007】
近年では、非常に多くの研究や労力を費やして、蚊を誘引して捕らえ、あるいは殺す装置の開発が行われている。一般的に、そういった装置では、蚊をおびき寄せるのに典型的な、例えば、ウサギや鳥などの血液ホストの特徴を再現しようとする試みが行われている。蚊は、匂い、視覚、熱によって血液ホストの位置を確認する。蚊は、30m(100ft)先からでも、刺激可能な血液ホストの匂い、特に血液ホストが発散する二酸化炭素(CO2)を嗅ぎ取ることができる。同様に、刺咬性のハエは獲物の100m(300ft)先から匂いを嗅ぎ取ることができる。CO2は大気中にも存在するので(植物はCO2を取り込んで酸素を吐き出す)、蚊は、通常よりも高い濃度のCO2、特にホストの匂いと混じったCO2に対し反応する。それらは、血液ホストの匂いに向かって行き、約10m(30ft)の距離で標的を目視することができる。したがって、蚊のホストをシミュレートする装置として、例えば、二酸化炭素の発生源や、オクテノール(哺乳類の血液ホストから放出されるアルコール)の発生源、および/または熱発生源などが挙げられる。
【0008】
そのような装置の一つとして、市販の「モスキートマグネット(MOSQUITO MAGNET)(登録商標)」があり、該装置は、Wigtonらによる米国特許第6,145,243号明細書に記載されている。この装置は、二酸化炭素(CO2)、熱、および水蒸気よりなる独自の虫誘引物質を、燃焼チャンバ内の炭化水素燃料の接触触媒を介して発生する捕虫装置である。この燃焼チャンバ内で発生された高温の虫誘引物質は、空気と混合することにより希釈され、周囲温度以上で46℃(115°F)以下までに冷却される。この混合物は、排気チューブを介して下方に排気される。外気の向流が、排気チューブの周囲に同心円状に配置された吸気チューブを介してトラップ(捕虫器)の中に吸い込まれる。刺咬性の虫は、吸気チューブの中に吸い込まれ、この吸気チューブの他端に連結された多孔性の使い捨てバッグ内に捕えられる。トラップをより効果的にするために、この装置とともに化学誘引物質を使用してもよい。
【0009】
この「モスキートマグネット(MOSQUITO MAGNET)(登録商標)」装置は、意図した目的に対しての効果はあるが、販売価格が高いので(型式により、$500〜$1300)、一般的な消費者の手には届きにくい。したがって、蚊を抑制する必要が差し迫っていても、「モスキートマグネット(MOSQUITO MAGNET)(登録商標)」を実際に購入する人はほとんどいない。
【0010】
蚊を捕えるため過去に使用されてきた他の装置として、米国疫病管理センター(Center for Disease Control、CDC)のライトトラップが挙げられる。このライトトラップは、誘引された虫を、トラップの下に支持された保持容器内に移すための、モータにより駆動される回転式のファンおよび光源を有する。
【0011】
さらに近年では、CDCライトトラップは、二酸化炭素、通常、ドライアイスの発生源と一緒に使用されている。ドライアイスは、周囲より低温の二酸化炭素を生じ、蚊や他の刺咬性の虫を誘引する効果が特に高い。しかし、ドライアイスを使用したCDCライトトラップは、意図した目的に対し効果があるが、ドライアイスの取り扱いおよび使用が難しく、費用も高い。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,145,243号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、誘引物質として二酸化炭素を生成するための燃焼チャンバを用いた捕虫器を提供する。燃焼チャンバからの燃焼ガスはトラップ入口とつながっている導管を通った空気によって冷却される。したがって、虫を捕虫器に吸い込むのと、燃焼チャンバを冷却するのに、同一のファンを使用できる。
【0014】
本発明の一つの態様によると、燃焼ガスを、トラップ入口とつながっている導管を通ってきた空気流によって冷却した後に、熱電素子のような冷却システムによってさらに冷却することができる。このようにして、本発明の捕虫器は、周囲温度以下の二酸化炭素を燃焼により生成するのに使用できる。
【0015】
本発明のその他の利点は、図面を参照しながら、下記の説明により詳述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の様々な態様を説明する。後述する具体的な構成や詳細は、本発明をより良く理解するためのものである。しかし、本発明は具体的な詳細を伴わなくても実施可能であることは同業者にとって明らかである。さらに、公知の特徴については、本発明を簡潔に説明するために、省略または簡略化する。加えて、本発明に記載されている方向、例えば「上」「下」「前」「後」などは、読み手が本発明を理解しやすくするためのものであって、本発明を限定することを意味しない。
【0017】
初めに、蚊などの飛行性の虫の特徴について留意することが重要である。一般的に、刺咬性の虫は、カイロモンの匂いに誘引される。カイロモンとは血液ホストより放出される化学物質であり、刺咬性の虫にとっての誘引物質である。カイロモンとしては、哺乳類および鳥類の血液ホストが吐き出す二酸化炭素や、哺乳類の血液ホストが放出するアルコールなどが挙げられる。刺咬性の虫は、血液ホストにより生成された匂いを追跡することによって、その位置を突きとめる。二酸化炭素とオクテノールの混合物は、虫にとって、哺乳類の血液ホストを捜しだすのに特に誘引性がある。本発明は、蚊取り器用の冷却された二酸化炭素、特に、周囲温度以下の二酸化炭素を供給するための比較的安価な方法を提供する。
【0018】
ここで、図面を参照するが、全図を通して同様の符号は同様の部分を示す。図1は、本発明を構成する捕虫器10の概略図である。この捕虫器10は、トラップ導管14の一端にトラップ入口12を備える。本発明の一実施形態によると、燃焼チャンバ16は、トラップ導管14内に装着され、このトラップ導管を通った空気流によって冷却される。
【0019】
簡単に説明すると、燃焼チャンバ16内で燃焼が起こり、燃焼過程から出た燃焼ガスが、トラップ導管14内を通る空気流によって冷却される。冷却された空気は、燃焼チャンバ16から冷却チャンバ18内へと流れ、排気口20から排出される。トラップ導管14を流れる空気によって燃焼チャンバ16が冷却されると、冷却チャンバ18によって冷却されることとあいまって、排気口20から排出されるガスが周囲温度以下になる。
【0020】
本発明は、蚊取り器に使用する冷却された二酸化炭素ガスを生成するために特に使用される。そのため、トラップ入口12は、排気口20から排出される排気煙に誘引された蚊や他の刺咬性の虫の吸い込み口として機能する。したがって、本発明の一つの態様によると、この排気口は、冷却した燃焼ガスをトラップ入口12付近へ送るような経路にあるのが好ましい。煙に誘引された蚊は、トラップ入口12に吸い込まれる。
【0021】
蚊や刺咬性の虫を捕獲するため、捕虫器10には、虫がトラップ導管14を通る際に捕らえられる検体袋22を、トラップ導管14の長さ方向に沿ったある位置に備えても良い。そのため、トラップ導管14には、ファン24、あるいは空気をトラップ導管14を通って吸い込むことができる同様の装置を、トラップ導管14内あるいはそれと連結して設けて、空気がトラップ導管14を通って吸い込まれるようにする。
【0022】
一実施形態において、ファン24はトラップ導管14を通った空気を、例えば毎分6.65m3(235ft3)で吸引できる。このように、空気をトラップ入口12内へ大量に吸引するので、蚊や他の刺咬性の虫がトラップ入口12に近づいたときにトラップ導管14内へと吸い込まれるのには十分である。
【0023】
本発明の一つの態様によると、燃焼チャンバ16が装着されているので、燃焼チャンバおよび燃焼チャンバ内で生じたガスは、トラップ導管14から流れ込んだ空気によって冷却される。図示した実施形態において、燃焼チャンバ16はトラップ導管14内に配置されるが、その代わりに、空気を例えば燃焼チャンバの側部に接触するか、あるいは燃焼チャンバの一部を通り抜けるような経路にしても良い。すなわち、トラップ導管14は、空気流が、燃焼チャンバを越える、通り抜ける、接する、あるいはその外周を流れるという経路をとるのであれば、いずれであっても良い。同様に、トラップ導管14は、単一の導管でなくとも、代わりに、少なくともある程度の空気をトラップ入口から流して燃焼チャンバと接触させるような構造であれば良い。
【0024】
図示した実施形態において、燃焼チャンバ16は、バーナーチューブ30を備える。バーナーチューブ30の詳細は、図4に良く示されている。このバーナーチュ−ブ30は、下端で直角に曲がり、第一ファン32および第二ファン34がその直角部の両端に付いている。このファン32、34は、いずれも空気をバーナーチューブ30へ吸引するように配置され、一実施形態においては、それぞれが毎分0.2〜0.28m3(7〜10ft3)の空気量を生成する。これら二つのファンの代わりに、空気をバーナーチューブ30内に吸引し通すための単一のファンを用いても良い。
【0025】
バーナー36をバーナーチューブ30の中心に取り付ける。このバーナーは、バーナーチューブ30の内側壁から空間を空けて設置することが好ましい。バーナー36は、例えば、キャンプストーブやキャンプランタンに使用されるようなバーナーアセンブリの一般的な構成要素につながっている燃料入口38を備える。このような構成要素は公知であるので、本発明を簡潔に説明するため、図示を省略する。しかし、一つの例として、この燃料入口38を、プロパンタンクや他のプロパン源からの圧力を下げるための図示しない調節装置につなげても良い。プロパンバーナーを参照して説明を行ったが、燃焼チャンバ16には、これらに限定されないが、灯油、ガソリン、他の液体、固体、気体の燃料を使用しても良い。
【0026】
電極48(図4)は、バーナー36内で点火するためのものであり、キャンプストーブの分野では公知の手段である。代わりに、バーナー36を手動点火としても良いが、この手段は、電極48のような自動スタータを備えたバーナーほど便利ではない。
【0027】
図示された実施形態において、ファン32、34は、空気をバーナーチューブ30の下部を通り、バーナー36の下部と接しバーナー36の外周に吸引することによって、バーナー36をバイパスするようにする。バーナー36に入る空気は燃焼過程に使用される。バーナー36の周囲を流れる空気は燃焼されない。本発明の一つの態様によると、バーナーチューブ30内またはバーナーチューブ30の近傍に、バーナー36からの燃焼ガスとバーナー36の周囲を流れる空気を混合するような構造を設けることが好ましい。図示された実施形態において、この混合作業は、バーナーチューブ30の頂部の上方に位置するファンブレード40(図4)の円形パターンによって行われる。しかし、必要に応じて、他の構造を使用しても良い。
【0028】
円筒形熱交換器50を、バーナーチューブ30の外側に取り付ける。好ましくは、この円筒形熱交換器50を熱伝導性の高い材料で形成する。図示した実施形態において、円筒形熱交換器50は、外側へ延出した外側フィン54を有する中央シリンダ52を備える。各内側フィン56は、互いに間隔を空けながら中央シリンダ52より内側へ延出して、中央に空間を形成する。この空間は、バーナーチューブ30が入るような大きさと配置になっている。好ましくは、バーナーチューブ30がこの空間内にぴったりと嵌めこまれ、バーナーチューブ30の頂部と円筒形熱交換器50の頂部との間に空間ができるようにする。あるいは、必要に応じて、バーナーチューブ30を熱交換器50と一体的に形成しても良い。
【0029】
図示された実施形態において、中央シリンダ52の上縁部周辺には一連のボス58を配置する。これらのボスは、上板60を取り付けるための留め具59を受け止めるためのものである。この頂板60は、中央シリンダ52の頂部を取り囲み、中央シリンダとともに熱交換器内の中央チャンバを形成する。この中央チャンバは他の手段で設けても良い。図中、シリンダーは頂部が平坦なものとして示したが、中央チャンバはどのような形状でもよく、複数片から形成されていても良い。バーナーチューブ30の頂部は、中央チャンバ内に位置している。頂板60は留め具59によって取り付けられるものとして図示したが、円筒形熱交換器50の一体としても良く、溶接など他の適宜の方法で取り付けても良い。
【0030】
一連のフランジ62が、円筒形熱交換器50の下部から外側に向かって延出している。図4に示すように、電極48が円筒形熱交換器50の側部から延出していても良い。
【0031】
図3および4に示すように、燃焼チャンバ16を組み立てるには、バーナーチューブ30を、円筒形熱交換器50の内側フランジ56間にある空間の中に、上向きに挿入する。その後、円筒形熱交換器50をトラップ導管14の中に挿入する。好ましくは、これら各部品を互いにしっかりと嵌めこんで、熱交換器50の外側フィン54の外縁部がトラップ導管14の内壁と嵌合し、バーナーチューブ30が各内側フィン56の内縁部と当接するようにする。図示した実施形態において、トラップ導管14を異なる二つの部品に分割し、ファン24をその部品の間に設置する。必要に応じて、このトラップ導管14を一体に、または複数の部品により形成しても良く、あるいはトラップ入口12と燃焼チャンバ16の間で流体が連通できるならどのような構成にしても良い。
【0032】
円筒形熱交換器50をトラップ導管14に挿入する際、トラップ導管14の底縁部はフランジ62で支持される。したがって、円筒形熱交換器50の底部は、トラップ導管14の底部より外側に延びている。
【0033】
図1に示すように、冷却チャンバ18は円筒形熱交換器50の底部と連結しており、円筒形熱交換器50の中央チャンバ間と流体を連通できる。したがって、冷却チャンバ18とバーナーチューブ30の内部との間で流体が連通できる。 冷却チャンバ18は、円筒形熱交換器50から排気口20へと延出しているマニホルド68を備える。
【0034】
冷却装置は、冷却チャンバ18内に位置する。図示された実施形態において、この冷却装置は熱電素子70である。しかし、この冷却装置の代わりとして、冷却チャンバ18から熱を奪うことができるスターリングクーラー、冷凍ユニットといった装置や、熱を奪うように設計されたその他の構造を用いても良い。
【0035】
熱電素子70として、一つあるいは複数の熱電冷却器72(図4参照、当業界において公知)を低温側シンク74と高温側シンク76の間に取り付ける。図3に示すように、低温側シンク74は冷却チャンバ18の内部に設置され、高温側シンク76は冷却チャンバ18の外側に延出する。図示しない電源を熱電冷却器72に取り付けるため複数のパワーポート78を、マニホルド68の側面に設ける。
【0036】
図示した実施形態について、6つの排気口20がマニホルド68の一端に備えられる。使用する排気口の数はいくつでも良く、好ましくは、排気口20からの排気をトラップ入口12の近くに排出するような経路にする。この経路は図示しないが、適当な導管によって設けることができる。冷却排気ガスをトラップ入口12の近くに排出するような経路にすることによって、蚊やその他の刺咬性の虫はこの排気におびき寄せられ、トラップ入口12の中に吸い込まれる。また、ドリップチューブ80をマニホルド68の下部に設け、排気からの凝縮液がマニホルド68からしたたり落ちるようにする。
【0037】
作動中に、ファン24、34、32をオンにして、ガスを燃料入口38経由でバーナー36に供給する。電極48を放電すると、バーナー36の炎が燃えるようになる。空気を給気口82経由でバーナーチューブ30の中に吸引する。あるいは空気を単にファン32、34から供給しても良い。加えて、必要に応じて、オクテノールや他の虫誘引物質をバーナーチューブ30内に導入し、燃焼ガスと混合しても良い。
【0038】
バーナー36による燃焼で二酸化炭素が生成され、この二酸化炭素はバーナーチューブ30を通り上方へ流れる。ファン32、34からの空気流は、バーナー36の周囲およびバーナーから出た燃焼ガスの周囲を流れる。この空気流は一定の圧力下にあり、また燃焼ガスは初期段階において高熱で上昇する傾向にあるので、バーナー周辺の空気流と燃焼ガスは、ファンブレード40に到着するまでほとんど混ざらない。このファンブレード40は気流をかき回し、燃焼ガスと、ファン32、34からの空気流とを混合する。その後、この気流は頂板60に届き、各内側フィン56の間隙へ下降しマニホルド68の中に吸い込まれる。
【0039】
トラップ導管14を通る空気流は、トラップ入口12から入り、検体袋22を通り抜けて、ファン24を通る。そこから、空気は外側フィン54を通り下方へ向かう一箇所に流れる。この空気の流れにより外側フィン54が冷却される。この冷却効果は、円筒形熱交換器50の残りの部分にも伝わる。前述したように、この円筒形熱交換器50は、熱伝導性の高い材料で形成されるからである。この空気による冷却効果は、内側フィン56を介してバーナーチューブ30に伝わる。必要に応じて、内側フィン56を、中央チャンバとバーナーチューブからなるべく多くの熱を奪うような形にしても良い(例えば、面取り形状とする)。
【0040】
このように、トラップ導管14を通る空気は、バーナーチューブ30から出てマニホルド68へ流れる燃焼ガスを冷却する。一実施形態において、この冷却効果により、燃焼ガスがファン32、34から流れる空気で希釈されて冷却されることとあいまって、マニホルド68に流入する空気は周囲より約11.1℃(20°F)高い温度となる。
【0041】
冷却装置(例えば、熱電素子70)は、燃焼ガスを、排気口20にたどり着くまでの間にさらに冷却する。図示した実施形態において、燃焼ガスは周囲温度よりやや低い温度に冷却される。この程度の温度の二酸化炭素が、刺咬性の虫および蚊を誘引するために効果的であるということがわかっている。
【0042】
本発明の概念を図示したように利用しても良いが、冷却チャンバ18および円筒形熱交換器50は、それぞれ単独でも使用できる。
【0043】
例えば、バーナーチューブ30および円筒形熱交換器50を、冷却チャンバ18をつけずにトラップ導管14とともに使用して、冷却された二酸化炭素を蚊や刺咬性の虫のトラップに供給しても良い。加えて、燃焼ガスは、冷却チャンバ18のような冷却チャンバを通るような経路にしても良く、トラップ導管14を通ってきた空気流によってあらかじめ冷却せずに、冷却装置(例えば、熱電素子70)で冷却しても良い。しかし、説明したような各部の組み合わせが、特に、非常に安価な装置により冷却燃焼ガスを供給することに優れた効果を発揮する。
【0044】
本発明は、特に、燃焼過程を通じて二酸化炭素を生成し、この燃焼過程は比較的安価で、メインテナンスをほとんど必要としない二酸化炭素の生成手段であるため実用的である。加えて、本発明は、既存の空気である、トラップ導管14を通る空気流により二酸化炭素を冷却して、蚊や他の刺咬性の虫をおびき寄せるのに有用な温度にする。
【0045】
冷却装置(例えば、熱電素子70)は、燃焼ガスの排気温度を細かく設定できるという点で有用である。必要に応じて、冷却装置を温度センサと共に使用して、排気温度をより正確に調節できるようにしても良い。
【0046】
本発明の思想から逸脱することなく、他の変更も可能である。そのため、本発明は各種変更や構成の置換が可能であるので、その実施の形態の一つを先に図示し、詳述した。しかし、前述の特定の形態や形状は単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではない。逆に、本発明は添付の請求の範囲によってのみ限定されるため、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、各種変更、構成の置換が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による捕虫器の概略図である。
【図2】請求項1による捕虫器における燃焼ガス冷却部の側方斜視図である。
【図3】図2の燃焼ガス冷却部を示す分解側方斜視図である。
【図4】図2の燃焼ガス冷却部を示す分解側方斜視図であり、詳細を示すために一部を取り除いてさらに分解した状態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫用トラップと、
前記トラップに虫を誘引するための二酸化炭素を生成し、誘引物質の出口に対し流体連通している装置と、
前記二酸化炭素を生成する装置と前記誘引物質の出口との間にあり、周囲温度より温度の低い部分を少なくとも一つ含んでいる冷却装置とを備えている捕虫器。
【請求項2】
前記二酸化炭素を生成する装置は、燃焼チャンバを備えている請求項1に記載の捕虫器。
【請求項3】
前記冷却装置は、熱電素子を備えている請求項1に記載の捕虫器。
【請求項4】
前記熱電素子は高温シンクと低温シンクを備え、
前記低温シンクは、前記誘引物質の出口へ流れるガスと接するように配置されている請求項3に記載の捕虫器。
【請求項5】
前記冷却装置は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度以下に冷却するよう構成されている請求項1に記載の捕虫器。
【請求項6】
前記冷却装置は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度より低い温度に冷却するよう構成されている請求項1に記載の捕虫器。
【請求項7】
虫用のトラップと、
前記トラップに虫を誘引するための二酸化炭素を生成し、誘引物質の出口に対し流体連通している装置と、
前記二酸化炭素を生成する装置の出口と前記誘引物質の出口との間にあり、前記誘引物質の出口へ流れるガスを冷却するよう構成された熱電素子とを備えている捕虫器。
【請求項8】
前記熱電素子は高温シンクと低温シンクを備え、
前記低温シンクは、前記ガスと接するように配置されている請求項7に記載の捕虫器。
【請求項9】
前記二酸化炭素を生成する装置は、燃焼チャンバを備えている請求項7に記載の捕虫器。
【請求項10】
前記熱電素子は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度以下に冷却するよう構成されている請求項7に記載の捕虫器。
【請求項11】
前記熱電素子は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度より低い温度に冷却するよう構成されている請求項10に記載の捕虫器。
【請求項12】
二酸化炭素を生成し、誘引物質の出口に対し流体連通している出口を有する装置と、
前記二酸化炭素を生成する装置の出口と前記誘引物質の出口との間にあり、前記二酸化炭素を生成する装置からのガスを周囲温度より低い温度に冷却するよう構成されている冷却装置とを備えている捕虫器。
【請求項13】
前記二酸化炭素を生成する装置は、燃焼チャンバを備えている請求項12に記載の捕虫器。
【請求項14】
二酸化炭素を生成し、誘引物質の出口に対し流体連通している出口を有する装置と、
前記二酸化炭素を生成する装置の出口と前記誘引物質の出口との間に装着され、前記誘引物質の出口へ流れるガスを冷却するよう構成された熱電素子とを備えている捕虫器。
【請求項15】
前記熱電素子は高温シンクと低温シンクを備え、
前記低温シンクは、前記ガスと接するように配置されている請求項14に記載の捕虫器。
【請求項16】
前記熱電素子は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度以下に冷却するよう構成されている請求項14に記載の捕虫器。
【請求項17】
前記冷却装置は、前記誘引物質の出口へ流れるガスを周囲温度より低い温度に冷却するよう構成されている請求項16に記載の捕虫器。
【請求項18】
トラップ入口を有し、虫を吸い込むための導管と、
前記導管を通り空気を吸引するためのファンと、
誘引物質の出口に対し流体連通している出口を有し、前記ファンにより導管を通って吸引された空気が燃焼チャンバを冷却するように配置、構成されている燃焼チャンバと、
前記燃焼チャンバに装着され、ファンにより吸引された空気と接するように配置されており、中央チャンバと、前記中央チャンバから外側に延出し、ファンを介してトラップ入口を通る空気流と接している外側フィンとを備えている熱交換器と、
前記熱交換器内および前記中央チャンバ内部に、少なくとも一部が装着されている燃焼チューブとを備えている捕虫器。
【請求項19】
前記熱交換器が、前記中央チャンバから内側に延出し、前記燃焼チューブと当接している内側フィンをさらに備えている請求項18に記載の捕虫器。
【請求項20】
前記中央チャンバの中に空気を流すための前記燃焼チューブ内に、ファンをさらに備えている請求項18に記載の捕虫器。
【請求項21】
前記ファンからの空気と、前記燃焼チューブ内で生じた燃焼ガスとを混合するための構造をさらに備えている請求項20に記載の捕虫器。
【請求項22】
前記冷却装置は、排気ガスを周囲温度以下に冷却するよう構成されている請求項18に記載の捕虫器。
【請求項23】
前記冷却装置は、排気ガスを周囲温度より低い温度に冷却するよう構成されている請求項22に記載の捕虫器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−517800(P2006−517800A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503336(P2006−503336)
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/003265
【国際公開番号】WO2004/071189
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】