説明

冷却具

【課題】水に溶解する際の吸熱反応により冷却作用を果たす粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する水より前記冷却剤が吸熱反応を行う冷却具において、冷却時間が長く保てるようにする。
【解決手段】粒状冷却剤4を通水性の袋6内に収納する構成として、粒状冷却剤4が通水性の袋6内に侵入する水8に徐々に接触していくことで、その冷却作用時間が長く保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋形状の冷却具に関する。
【背景技術】
【0002】
硝酸アンモニウムよりなる粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、外装袋体が密封状態において水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する水に溶けて粒状冷却剤が吸熱反応を行い冷却作用が果たされる冷却具が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記冷却具は粒状冷却剤の吸熱反応により急激に氷点下付近にまで温度が下がるので即時に十分な冷感が得られる反面、その冷感が得られる時間が短いという問題があった。また、水収納袋体を外部から力を加えて破ることが難しいという問題もあった。
【0006】
この発明では、この種冷却具において冷却時間が長く保てるようにすることを目的とする。さらに、内部の水収納袋体が破りやすいようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明では、水に溶解する際の吸熱反応により冷却作用を果たす粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、前記外装袋体が密封状態において前記水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する前記水より前記冷却剤が吸熱反応を行う冷却具において、前記冷却作用する時間を長く保つための冷却作用維持手段を備えることを特徴とする冷却具を提供する。
【0008】
上記構成によれば、冷却作用維持手段により冷却作用が長く保たれ、冷却具が長時間有効に使用される。冷却作用維持手段が、冷却剤を通水性の袋内に収納する構成とされることで、粒状冷却剤が通水性の袋内に侵入する水に徐々に接触していくことで、その冷却作用時間が長く保たれる。冷却作用維持手段が冷却剤を水溶性袋体内に収納する構成とされることで、水が水溶性収納体を溶かし粒状冷却剤に接触することで冷却作用時間が長く保たれる。水溶性収納体としてはカプセル形態や袋形態のものが適宜使用される。冷却作用維持手段が冷却剤に吸水性材が混在されてなる構成とされることで、水は粒状冷却剤に接触するとともに吸水性材に吸い込まれ、吸水性材に吸い込まれた水がさらに粒状冷却剤に接触することで、冷却が即時に始まり、かつ、冷却作用時間が長く保たれる。さらに、冷却作用維持手段が、水が粘性を持つ構成とされることで、水が粒状冷却剤に混ざり込みにくく粒状冷却剤が溶けるのに長く時間を要することで、冷却作用時間が長く保たれる。
【0009】
また、この発明では、水に溶解する際の吸熱反応により冷却作用を果たす粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、前記外装袋体が密封状態において前記水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する前記水より前記冷却剤が吸熱反応を行う冷却具において、前記水収納袋体が前記外装袋体内の所定位置に位置決め配置され、かつ、前記外装袋体外面の前記配置位置に対応する部分に前記水収納袋体の破り案内表示がなされてなることを特徴とする冷却具を提供する。
【0010】
上記構成によれば、水収納袋体が位置決め配置されるとともにその破り案内表示が設けられていることで、その破り案内表示位置に力を加えることで容易に水収納袋体の破り操作が行える。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、冷却時間が長く有効に用いられる冷却具が得られる。また、内部の水収納袋体が破りやすく誰にでも容易に使用できる冷却具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の冷却具の実施形態の内部構成図
【図2】この発明の冷却具の実施形態の製造説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施形態]
図1は冷却具の内部構成図である。冷却具1は扁平で正面形状が方形の外装袋体2内に硝酸アンモニウムよりなる粒状冷却剤4が充填された布製袋体6と水8が密封充填された水収納袋体10とが密封状態に納められて構成されている。一点鎖線の外側位置がシール部分である。外装袋体2は4角部9のそれぞれがR形状とされて、人体を傷つけない構成とされている。
【0014】
図2はその製造工程を示し、下部と両側の三方縁が熱シールされて上方が開く外装袋体2内の片側に上部がシール縁12とされた水収納袋体10が差し入れられるとともにその残る空間に粒状冷却剤4が充填された布製袋体6が納められ、外装袋体2の開いた上縁14が水収納袋体10のシール縁12を挟む状態でシールされて冷却具1は完成される。上記のようにして水収納袋体10は外装袋体2内の片側位置に位置決め配置され、外装袋体2外面のその配置位置に対応する部分には水収納袋体10の破り案内表示16が設けられている。
【0015】
上記冷却具1は破り案内表示16部分を強く押したり、叩いたり、また、両面から押圧することで内部の水収納袋体10が破れて水8が外装袋体2内に流れ出し、その水8は布製袋体6を通して粒状冷却剤4に接触し、これにより粒状冷却剤4の溶解による吸熱反応によって冷却具1の冷却作用が開始される。その際、粒状冷却剤4が布製袋体6内に侵入する水8に徐々に接触していくことで、その冷却作用時間が長く保たれる。なお、従来品に比して温度低下はそれ程急激ではないが、十分な冷却作用が発揮される。
【0016】
また、その使用に際し、水収納袋体10が位置決め配置されるとともにその破り案内表示16が設けられていることで、破り案内表示16部分に力を加えることで容易に水収納袋体10の破り操作が行える。従来品では水収納袋体10がどこにあるか解らず、かつ、移動するので力が加えにくく、非常に破りにくかった。
【0017】
[第2の実施形態]
冷却機能部を、内部に粒状冷却剤4を充填した水溶性のマイクロカプセルを多数個外装袋体2に納めて構成した。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば、水8がそれぞれのマイクロカプセルを溶かし粒状冷却剤4に接触することで冷却作用時間が長く保たれる。
【0018】
[変形形態]
冷却機能部を、そのままの粒状冷却剤4と粒状冷却剤4を充填した水溶性のマイクロカプセルとを混合したものを外装袋体2に納めて構成した。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば、水8は始めに粒状冷却剤4に接触し、さらに、マイクロカプセルを溶かしその内部の粒状冷却剤4に接触することで、冷却が即時に始まり、かつ、冷却作用時間が長く保たれる。
【0019】
[第3の実施形態]
冷却機能部を、内部に粒状冷却剤4を収納したオブラート等の水溶性の袋体を外装袋体2に納めて構成した。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば、水が袋体を溶かし粒状冷却剤4に接触することで冷却作用時間が長く保たれる。
【0020】
[変形形態]
冷却機能部を、そのままの粒状冷却剤4と内部に粒状冷却剤4を収納したオブラート等の水溶性の袋体とを外装袋体2に納めて構成した。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば、水8は始めに粒状冷却剤4に接触し、さらに、オブラート等の水溶性の袋体を溶かしその内部の粒状冷却剤4に接触することで、冷却が即時に始まり、かつ、冷却作用時間が長く保たれる。
【0021】
[第4の実施形態]
冷却機能部を、粒状冷却剤4に吸水性繊維が混在されたものを外装袋体2に納めて構成した。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば水8は粒状冷却剤4に接触するとともに吸水性繊維に吸い込まれ、吸水性繊維に吸い込まれた水8がさらに粒状冷却剤4に接触することで、冷却が即時に始まり、かつ、冷却作用時間が長く保たれる。
【0022】
[第5の実施形態]
水収納袋体10内に収納される水8をゲル化剤等を混入することで若干の粘性のあるものとした。この実施形態においては粒状冷却剤4は袋に入れられることなくそのまま状態において外装袋体2に納められる。その他構成については第1の実施形態のものと同様の構成であるのでその説明を省略する。この構成によれば、水8が若干の粘性を持つことで粒状冷却剤4に混ざり込みにくく粒状冷却剤4が溶けるのに長く時間を要することで、冷却作用時間が長く保たれる。
【符号の説明】
【0023】
1 冷却具
2 外装袋体
4 粒状冷却剤
6 布製袋体(通水性の袋)
8 水
10 水収納袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に溶解する際の吸熱反応により冷却作用を果たす粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、前記外装袋体が密封状態において前記水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する前記水より前記冷却剤が吸熱反応を行う冷却具において、前記冷却作用する時間を長く保つための冷却作用維持手段を備えることを特徴とする冷却具。
【請求項2】
前記冷却作用維持手段が、前記冷却剤を通水性の袋内に収納する構成である請求項1記載の冷却具。
【請求項3】
前記冷却作用維持手段が、前記冷却剤を水溶性収納体内に収納する構成である請求項1記載の冷却具。
【請求項4】
前記冷却作用維持手段が、前記冷却剤に吸水性材が混在されてなる構成である請求項1記載の冷却具。
【請求項5】
前記冷却作用維持手段が、前記水が粘性を持つ構成である請求項1記載の冷却具。
【請求項6】
水に溶解する際の吸熱反応により冷却作用を果たす粒状冷却剤と水が密封充填された水収納袋体とが外装袋体内に納められ、前記外装袋体が密封状態において前記水収納袋体が外部から加えられる力により破られることで流出する前記水より前記冷却剤が吸熱反応を行う冷却具において、前記水収納袋体が前記外装袋体内の所定位置に位置決め配置され、かつ、前記外装袋体外面の前記配置位置に対応する部分に前記水収納袋体の破り案内表示がなされてなることを特徴とする冷却具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−39154(P2013−39154A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176175(P2011−176175)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(505129965)ウエ・ルコ物流株式会社 (11)
【Fターム(参考)】