説明

冷却塔、冷却塔における循環水の冷却方法および冷却塔における循環水冷却用散布水の冷却方法

【課題】 冷却塔においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制する。
【解決手段】 冷却塔110において、本体140の貯留部143から供給経路149を通じて供給される循環水は、軟水であり、冷却負荷装置130を冷却後、回収経路151のノズル152から貯留部143へ向けて散水される。散水された循環水は、ファン144の回転によりルーバ142から開口部141へ通過する外気に触れて冷却され、供給経路149を通じて冷却負荷装置130へ供給される。この際、インバータ146によりモータ145を変速し、ファン144の回転速度を調整すると、循環水は、飛散が抑制されてMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率が高まり、pHが9以上に維持される。また、貯留部143の循環水は、注入器160から塩素剤が注入される。これらの結果、冷却塔110において、スライムの発生が抑制され、また、レジオネラ属菌の繁殖が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却塔および冷却塔における冷却方法、特に、冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するための冷却塔および当該冷却塔における循環水の冷却方法、並びに、冷却負荷装置を冷却する循環水を散布水により冷却するための冷却塔および当該冷却塔における散布水の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業ビルや工業プラントなどにおいて熱交換器等の冷却負荷装置を冷却するための冷却水は、節水を図る観点から、冷却塔で冷却しながら循環して用いられている。冷却塔は、一般に、開放式冷却塔と密閉式冷却塔との二種類に分類することができる。
【0003】
開放式冷却塔は、上部に開口部を有しかつ底部に冷却負荷装置を冷却するための循環水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、貯留部から冷却負荷装置へ循環水を供給するための供給経路と、冷却負荷装置へ供給された循環水を本体へ回収するための回収経路とを備えている。回収経路の末端部は、本体内においてファンの下方に配置されており、貯留部へ向けて循環水を散水するための散水口を有している。
【0004】
このような開放式冷却塔においては、本体の貯留部から供給経路を通じて冷却負荷装置へ循環水が供給され、この循環水は冷却負荷装置を冷却する。冷却負荷装置を冷却した循環水は、回収経路を流れ、本体内において、散水口から貯留部へ向けて散水される。この際、散水された循環水は、モータによるファンの回転駆動により発生する気流、すなわち、本体の通気孔から開口部へ通過する外気に触れて冷却される。冷却された循環水は、貯留部に貯留され、供給経路を通じて冷却負荷装置へ供給される。したがって、この冷却塔において、貯留部に貯留された循環水は、供給経路および回収経路を通じて本体と冷却負荷装置との間を循環することになる。
【0005】
一方、密閉式冷却塔は、上部に開口部を有しかつ底部に散布水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、本体内と冷却負荷装置との間で冷却負荷装置を冷却するための循環水を循環させるための循環経路と、貯留部から延びかつ末端部が本体内においてファンの下方に配置された、散布水の移動経路とを備えている。移動経路の末端部は、貯留部へ向けて散布水を散水するための散水口を有している、
【0006】
このような密閉式冷却塔においては、循環経路を循環する循環水により冷却負荷装置が冷却される。一方、本体の貯留部に貯留された散布水は、移動経路を流れ、本体内において散水口から貯留部へ向けて散水される。この際、散水された散布水は、モータによるファンの回転駆動により発生する気流、すなわち、本体の通気孔から開口部へ通過する外気に触れて冷却される。冷却された散布水は、循環経路に接触し、循環経路を冷却する。これにより、循環経路を循環する循環水が冷却される。循環経路を冷却した散布水は、貯留部に貯留され、移動経路を通じて散水口から連続的に散水される。したがって、散布水は、移動経路を通じて循環することになる。
【0007】
上述のように、開放式冷却塔における循環水および密閉式冷却塔における散布水は、節水を図る観点から循環して用いられるため、配管等に付着した藻類の代謝産物等を栄養源とし、また、アメーバ等の原生動物に寄生して、レジオネラ属菌が繁殖する。循環水および散布水中で繁殖したレジオネラ属菌は、冷却塔において循環水および散布水の一部が気流と共に大気中に飛散するため、結果的にこれらの循環水および散布水と共に大気中に飛散し、呼吸を通じて人に感染するおそれがある。
【0008】
このため、非特許文献1は、開放式冷却塔における上述の循環水および密閉式冷却塔における上述の散布水において、レジオネラ属菌が10CFU/100ミリリットル以上検出された場合、その循環系の清掃、消毒を推奨し、また、清掃、消毒等の対策実施後において、循環水および散布水におけるレジオネラ属菌の検出数が10CFU/100ミリリットル未満に維持されるよう推奨している。
【0009】
ところで、冷却塔の循環水および散布水においてレジオネラ属菌が繁殖するのを抑制するための方法として、一般に、これらの水に対して次亜塩素酸等の塩素剤を添加する方法が知られている(非特許文献1)。この方法は、大腸菌群等の細菌類に対しては顕著な殺菌効果を発揮するが、レジオネラ属菌に対しては効果が小さい。これは、塩素剤の浸透しにくいスライムやアメーバ中にレジオネラ属菌が存在し、レジオネラ属菌が塩素剤の影響を受けにくいためと理解されている。特に、シスト化状態のアメーバ中に存在するレジオネラ属菌は、塩素濃度が50mg/リットルの環境においても耐性を示し、容易に死滅しないと言われている。
【0010】
【非特許文献1】厚生省生活衛生局企画課監修;財団法人ビル管理教育センター発行「新版 レジオネラ症防止指針(平成15年5月 5刷発行)」
【0011】
本発明の目的は、冷却塔においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制することにある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の観点に係る冷却塔は、冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するためのものであり、循環水を供給するための循環水供給装置と、上部に開口部を有しかつ底部に循環水供給装置から供給される循環水を貯留するための貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、モータの回転速度を変速するためのインバータと、貯留部から冷却負荷装置へ循環水を供給するための供給経路と、冷却負荷装置へ供給された循環水を本体へ回収するための回収経路と、循環水に対して塩素剤を注入するための注入器とを備えている。ここで、回収経路の末端部は、本体内においてファンの下方に配置されており、かつ、貯留部へ向けて循環水を散水するための散水口を有している。また、循環水供給装置は、貯留部に対して循環水として利用する軟水を供給する。
【0013】
本発明に係る、冷却塔における循環水の冷却方法は、上部に開口部を有しかつ底部に冷却負荷装置を冷却する循環水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、モータの回転速度を変速するためのインバータと、貯留部から冷却負荷装置へ循環水を供給するための供給経路と、冷却負荷装置へ供給された循環水を本体へ回収するための回収経路とを備え、回収経路の末端部が、本体内においてファンの下方に配置されており、かつ、貯留部へ向けて循環水を散水するための散水口を有している冷却塔において、循環水を冷却するための方法である。この冷却方法は、循環水として軟水を用い、かつ、インバータによりモータの回転速度を変速してファンの回転速度を調整することにより、通気孔から開口部へ通過する外気の通過量を調整しながら循環水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高めて循環水のpHを9以上に維持する工程と、循環水に対して塩素剤を注入する工程とを含んでいる。
【0014】
この冷却方法においては、通常、循環水に対して塩素剤を間欠的に注入する。
【0015】
上述の第一の観点に係る冷却塔においては、循環水供給装置により、本体の貯留部に対して循環水が供給される。ここで供給される循環水は軟水である。貯留部に供給された循環水は、供給経路を通じて冷却負荷装置へ供給され、冷却負荷装置を冷却する。冷却負荷装置を冷却した循環水は、回収経路を流れ、本体内において、散水口から貯留部へ向けて散水される。この際、散水された循環水は、モータによるファンの回転駆動により発生する気流、すなわち、本体の通気孔から開口部へ通過する外気に触れて冷却される。冷却された循環水は、貯留部に貯留され、供給経路を通じて冷却負荷装置へ供給される。したがって、この冷却塔において、貯留部に貯留された循環水は、供給経路および回収経路を通じて本体と冷却負荷装置との間を循環することになる。
【0016】
ここで、ファンを回転駆動するモータの回転速度は、インバータにより変速することができる。このため、ファンの回転速度は、冷却塔の運転環境気温や冷却塔において循環する循環水の温度等の運転負荷状態に応じ、インバータにより最適に制御することができる。具体的には、この冷却塔において、循環水を強力に冷却する必要がある高負荷状態下(例えば、気温が高い場合や循環水温度が高温の場合)においては、インバータによりファンを高速運転することができ、また、循環水を余り冷却する必要がない低負荷状態下(例えば、気温が低い場合や循環水温度が低温の場合)においては、インバータによりファンを低速運転することができる。
【0017】
このため、この冷却塔は、運転負荷状態に応じて循環水を十分に冷却可能な範囲でインバータによりファンの回転速度を減速し、それにより本体の通気孔から開口部へ通過する外気量を調整すれば、従来の冷却塔に比べてファンの回転駆動に伴う循環水の飛散を抑制することができる。これにより、軟水である循環水は、Mアルカリ成分を基準とした濃縮倍率が高まりやすくなり、当該濃縮倍率が高まるに従ってMアルカリ成分濃度が上昇してアルカリ性を呈するようになる。この結果、循環水は、pHが9以上に維持され、レジオネラ属菌の繁殖が効果的に抑制される。
【0018】
また、この冷却塔においては、循環水が各種の微生物を含み、循環水にこの微生物が分泌する細胞外多糖類であるスライムが生成する可能性がある。スライムは、粘調物であり、本体内へ流入する外気に含まれる砂塵や埃と混ざり合って軟泥状物質を形成する。この軟泥状物質は、冷却塔の供給経路や回収経路等の配管内や冷却負荷装置内などに付着、堆積し、各部の寿命、冷却負荷装置の熱交換効率および循環水の流量などに悪影響を与える、いわゆるスライム障害を引き起こす可能性があり、また、レジオネラ属菌の巣窟にもなり得る。しかし、この冷却塔においては、循環水に対して注入器から塩素剤を注入することができるため、循環水において塩素剤の作用によりスライムが生成しにくくなり、スライム障害が発生しにくくなる。また、レジオネラ属菌の巣窟となるスライムが発生しにくくなる結果、循環水において、レジオネラ属菌の繁殖がより効果的に抑制され得る。
【0019】
因みに、塩素剤は、冷却塔の供給経路や回収経路等の配管および本体並びに冷却負荷装置などの腐蝕を促進する作用があるが、循環水に対して間欠的に注入すると、このような腐蝕を効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の第二の観点に係る冷却塔は、冷却負荷装置を冷却する循環水を散布水により冷却するための冷却塔であって、散布水を供給するための散布水供給装置と、上部に開口部を有しかつ底部に散布水供給装置から供給される散布水を貯留するための貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、モータの回転速度を変速するためのインバータと、本体内と冷却負荷装置との間で循環水を循環させるための循環経路と、貯留部から延びかつ末端部が本体内においてファンの下方に配置された、散布水の移動経路と、散布水に対して塩素剤を注入するための注入器とを備えている。ここで、移動経路の末端部は、貯留部へ向けて散布水を散水するための散水口を有している。また、散布水供給装置は、貯留部に対して散布水として利用する軟水を供給する。
【0021】
また、本発明に係る、冷却塔における循環水冷却用散布水の冷却方法は、上部に開口部を有しかつ底部に冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するための散布水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、本体内において通気孔から開口部へ外気が通過するよう、本体内において気流を発生させるためのファンと、ファンを回転駆動するためのモータと、モータの回転速度を変速するためのインバータと、本体内と冷却負荷装置との間で循環水を循環させるための循環経路と、貯留部から延びかつ末端部が本体内においてファンの下方に配置された、散布水の移動経路とを備え、移動経路の末端部が、貯留部へ向けて散布水を散水するための散水口を有している冷却塔において、散布水を冷却するための方法である。この冷却方法は、散布水として軟水を用い、かつ、インバータによりモータの回転速度を変速してファンの回転速度を調整することにより、通気孔から開口部へ通過する外気の通過量を調整しながら散布水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高めて散布水のpHを9以上に維持する工程と、循環水に対して塩素剤を注入する工程とを含んでいる。
【0022】
この循環水冷却用散布水の冷却方法では、通常、循環水に対して塩素剤を間欠的に注入する。
【0023】
上述の第二の観点に係る冷却塔においては、循環経路を循環する循環水により冷却負荷装置が冷却される。また、散布水供給装置により、本体の貯留部に対して散布水が供給される。ここで供給される散布水は軟水である。本体の貯留部に貯留された散布水は、移動経路を流れ、本体内において散水口から貯留部へ向けて散水される。この際、散水された散布水は、モータによるファンの回転駆動により発生する気流、すなわち、本体の通気孔から開口部へ通過する外気に触れて冷却される。冷却された散布水は、循環経路に接触し、循環経路を冷却する。これにより、循環経路を循環する循環水が冷却される。循環経路を冷却した散布水は、貯留部に貯留され、移動経路を通じて散水口から連続的に散水される。したがって、この冷却塔において、貯留部に貯留された散布水は、移動経路を通じて循環することになる。
【0024】
ここで、ファンを回転駆動するモータの回転速度は、インバータにより変速することができる。このため、ファンの回転速度は、冷却塔の運転環境気温や冷却塔において循環する散布水の温度等の運転負荷状態に応じ、インバータにより最適に制御することができる。具体的には、この冷却塔において、散布水を強力に冷却する必要がある高負荷状態下(例えば、気温が高い場合や散布水温度が高温の場合)においては、インバータによりファンを高速運転することができ、また、散布水を余り冷却する必要がない低負荷状態下(例えば、気温が低い場合や散布水温度が低温の場合)においては、インバータによりファンを低速運転することができる。
【0025】
このため、この冷却塔は、運転負荷状態に応じて散布水を十分に冷却可能な範囲でインバータによりファンの回転速度を減速し、それにより本体の通気孔から開口部へ通過する外気量を調整すれば、従来の冷却塔に比べてファンの回転駆動に伴う散布水の飛散を抑制することができる。これにより、軟水である散布水は、Mアルカリ成分を基準とした濃縮倍率が高まりやすくなり、当該濃縮倍率が高まるに従ってMアルカリ成分濃度が上昇してアルカリ性を呈するようになる。この結果、散布水は、pHが9以上に維持され、レジオネラ属菌の繁殖が効果的に抑制される。
【0026】
また、この冷却塔においては、散布水が各種の微生物を含み、散布水にこの微生物が分泌する細胞外多糖類であるスライムが生成する可能性がある。スライムは、粘調物であり、本体内へ流入する外気に含まれる砂塵や埃と混ざり合って軟泥状物質を形成する。この軟泥状物質は、冷却塔の移動経路等の配管内などに付着、堆積し、各部の寿命や散布水の流量などに悪影響を与える、いわゆるスライム障害を引き起こす可能性があり、また、レジオネラ属菌の巣窟にもなり得る。しかし、この冷却塔においては、散布水に対して注入器から塩素剤を注入することができるため、散布水において塩素剤の作用によりスライムが生成しにくくなり、スライム障害が発生しにくくなる。また、レジオネラ属菌の巣窟となるスライムが発生しにくくなる結果、散布水において、レジオネラ属菌の繁殖がより効果的に抑制され得る。
【0027】
因みに、塩素剤は、冷却塔の移動経路等の配管や本体などの腐蝕を促進する作用があるが、散布水に対して間欠的に注入すると、このような腐蝕を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第一の観点に係る冷却塔は、ファンを回転駆動するためのモータの回転速度を変速するためのインバータを備えているため、軟水である循環水の飛散を抑制することができ、循環水のpHを9以上に維持することができる。また、この冷却塔は、循環水に対して注入器から塩素剤を注入することができるため、循環水は、塩素剤の作用により、レジオネラ属菌の巣窟となるスライムが発生しにくくなる。これらの結果、この冷却塔においては、循環水においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制することができる。
【0029】
本発明に係る、冷却塔における循環水の冷却方法は、インバータによるファンの回転速度の調整により冷却負荷装置を冷却するための循環水のpHを9以上に維持し、また、循環水に対して塩素剤を注入しているため、循環水においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制することができる。
【0030】
特に、この冷却方法において、循環水に対して塩素剤を間欠的に注入する場合は、レジオネラ属菌の繁殖を抑制しつつ、冷却塔の各部の腐蝕を併せて効果的に抑制することができる。
【0031】
本発明の第二の観点に係る冷却塔は、ファンを回転駆動するためのモータの回転速度を変速するためのインバータを備えているため、軟水である散布水の飛散を抑制することができ、散布水のpHを9以上に維持することができる。また、この冷却塔は、散布水に対して注入器から塩素剤を注入することができるため、散布水は、塩素剤の作用により、レジオネラ属菌の巣窟となるスライムが発生しにくくなる。これらの結果、この冷却塔においては、散布水においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制することができる。
【0032】
本発明に係る、冷却塔における循環水冷却用散布水の冷却方法は、インバータによるファンの回転速度の調整により、冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するための散布水のpHを9以上に維持し、また、散布水に対して塩素剤を注入しているため、散布水においてレジオネラ属菌が繁殖するのを効果的に抑制することができる。
【0033】
特に、この冷却方法において、散布水に対して塩素剤を間欠的に注入する場合は、レジオネラ属菌の繁殖を抑制しつつ、冷却塔の各部の腐蝕も併せて効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
第一の形態
図1を参照して、本発明に係る冷却塔の第一の形態を用いた冷却水循環システムを説明する。図1において、冷却水循環システム100は、給水装置120(循環水供給装置の一例)および注入器160を備えた冷却塔110並びに冷却負荷装置130を主に備えている。
【0035】
冷却塔110は、冷却負荷装置130に対してそれを冷却するための循環水を供給するための開放式冷却塔であり、上部に開口部141を有する円筒型の本体140を備えている。本体140は、外気を導入するためのルーバ142(通気孔の一例)が側面に設けられており、また、循環水を貯留するための貯留部143を底部に有している。本体140の開口部141には、ファン144が水平に配置されている。ファン144は、ルーバ142から本体140内へ外気が流入するよう回転可能なものであり、モータ145により回転駆動される。ファン144を回転駆動するモータ145は、インバータ146と接続されている。インバータ146は、モータ145へ供給する電源周波数を無段階に変えてモータ145の回転速度を変速し、ファン144の回転速度を調整するためのものである。また、インバータ146は、その動作等を制御するための制御装置147と接続されている。制御装置147は、温度センサ148を備えている。温度センサ148は、貯留部143内に配置されており、貯留部143に貯留された循環水の温度を計測するためのものである。
【0036】
本体140の貯留部143からは、冷却負荷装置130へ向けて冷却水の供給経路149が延びている。供給経路149は、送水ポンプ150を有している。送水ポンプ150は、冷却塔110の貯留部143に貯留された循環水を冷却負荷装置130へ連続的に送り出すためのものである。
【0037】
また、本体140内の上部であって、ファン144の下方には、冷却水の回収経路151が水平に配置されている。回収経路151の末端部は、本体140内において、本体140の底部へ向けて循環水を散水するための多数のノズル152(散水口の一例)を有している。また、回収経路151の他端は、冷却負荷装置130へ向けて延びている。
【0038】
給水装置120は、冷却塔110に対し、循環水を供給するためのものであり、原水供給路121、軟水器122、給水経路123を主に備えている。原水供給路121は、一端が水道水や工業用水等の原水の供給源(図示せず)と接続されており、軟水器122に対して原水を供給するためのものである。この原水供給路121は、軟水器122に対する原水の供給量を制御するためのバルブ124を有している。軟水器122は、原水供給路121からの原水を軟水化するためのものである。具体的には、原水供給路121からの原水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの硬度分を除去し、原水を軟水とするためのものである。給水経路123は、軟水器122からの軟水を冷却塔110の貯留部143へ供給するためのものである。
【0039】
注入器160は、貯留部143に貯留された循環水に対して塩素剤を注入するためのものであり、塩素剤を貯留するためのタンク161と、タンク161から延びる注入経路162とを備えている。タンク161に貯留される塩素剤は、循環水の残留塩素濃度を高めるためのものであり、例えば、塩素(Cl)、次亜塩素酸(HClO)および次亜塩素酸イオン(ClO)などのような循環水の遊離型有効塩素濃度を高めることができる次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムおよび塩素化イソシアヌル酸並びに循環水の結合型有効塩素濃度を高めることができるモノクロラミン(NHCl)、ジクロラミン(NHCl)およびトリクロラミン(NCl)などである。これらの塩素剤は、水溶液としてタンク161に貯留されていてもよい。注入経路162は、貯留部143と連絡しており、タンク161内の塩素剤を貯留部143内へ供給するための供給ポンプ163を有している。供給ポンプ163は、制御装置147と接続されており、貯留部143内の循環水に対する塩素剤の注入動作が制御される。
【0040】
冷却負荷装置130は、循環水による冷却が必要な熱交換器等の各種装置、例えば、各種の化学プラントのターボ冷凍機や吸収冷凍機、建築物の空調用冷却機、食品工場の冷水製造機や真空冷却機などであり、所要の冷却水流路(図示せず)を有している。この冷却水流路は、冷却水導入部131と冷却水排出部132とを有している。そして、冷却水導入部131には供給経路149の末端が接続されている。また、冷却水排出部131には、回収経路151の上記他端が接続されている。この結果、冷却水流路は、供給経路149および回収経路151と共に、冷却塔110の本体140と冷却負荷装置130との間で循環水を循環させるための循環経路を形成している。
【0041】
次に、上述の冷却塔110の動作を説明する。
先ず、冷却塔110において、インバータ146によりモータ145を作動させ、ファン144を回転させる。この結果、図に矢印で示すようにルーバ142を通じて本体140内へ外気が流入する。この外気は、本体140内を通過し、開口部141から外部へ排出される。
【0042】
また、バルブ124を操作して原水供給路121から軟水器122へ原水を供給すると、当該原水は軟水器122において硬度分が除去されて軟水となる。この軟水は、軟水器122から給水経路123を通じて冷却塔110の貯留部143へ供給され、貯留される。
【0043】
貯留部143に貯留された軟水は、冷却負荷装置130を冷却するための循環水として冷却負荷装置130に対して供給される。ここでは、送水ポンプ150の動作により貯留部143の軟水(以下、「循環水」という)が供給経路149を通じて冷却負荷装置130の冷却水導入部131に対して連続的に供給される。冷却水導入部131に対して供給された循環水は、冷却負荷装置130の冷却水流路を通過して冷却負荷装置130を冷却し、冷却水排出部132から回収経路151へ排出される。
【0044】
回収経路151へ排出された循環水は、冷却塔110の本体140内においてノズル152から散水され、図に点線で示すように本体140内で落下して貯留部143へ戻る。この際、本体140内で落下する循環水は、ファン144の回転により本体140内へ流入する外気に触れて冷却される。このように冷却されて貯留部143へ戻った循環水は、再び供給経路149を通じて冷却負荷装置130へ供給され、回収経路151を通じて貯留部143へ戻る。したがって、貯留部143に貯留された循環水は、冷却塔110の作動中、供給経路149、冷却負荷装置130の冷却水流路および回収経路151を循環して冷却負荷装置130を冷却する冷却水として機能する。
【0045】
上述のような冷却塔110において、回収経路151から散水される循環水の冷却能力は、ファン144の回転速度により定まる。すなわち、ファン144を高速で回転させると、ルーバ142から本体140内へ流入する外気量が増加するため、冷却塔110において循環水の冷却能力は高まる。逆に、ファン144を低速で回転させると、ルーバ142から本体140内へ流入する外気量が減少するため、冷却塔110において循環水の冷却能力は弱まる。したがって、循環水をより強力に冷却する必要がある場合、例えば気温の高い夏季においては、ファン144を高速で回転するのが有利である。一方、循環水を強力に冷却する必要がない場合、例えば気温の低い冬季や夏季であっても夜間においては、省エネルギーの観点から、ファン144を低速で回転するのが有利である。
【0046】
また、冷却塔110において、回収経路151から散水される循環水の歩留まりも、ファン144の回転速度により定まる。すなわち、ファン144を高速で回転させると、ルーバ142から本体140内へ流入する外気量が増加するため、回収経路151から散水される循環水は外気と共に開口部141から本体140外へ飛散しやすくなり、循環水の歩留まりは低下する。逆に、ファン144を低速で回転させると、ルーバ142から本体140内へ流入する外気量が減少するため、回収経路151から散水される循環水は開口部141から本体140外へ飛散しにくくなり、循環水の歩留まりは高まる。
【0047】
そこで、制御装置147は、冷却塔110の運転負荷状態、具体的には温度センサ148により計測される循環水の温度に基づいてインバータ146を制御し、モータ145の回転速度を変速してファン144の回転速度を調整する。具体的には、温度センサ148により計測される循環水温度が高温の場合は、インバータ146によりモータ145を高速回転させ、ファン144の回転速度を速くする。また、温度センサ148により計測される循環水温度が低温の場合は、インバータ146によりモータ145を低速回転させ、ファン144の回転速度を遅くする。これにより、冷却塔110は、その運転負荷状態に応じて循環水を十分に冷却することができ、ファン144の回転駆動に要するエネルギーの省力化を図ることができる。また、冷却塔110をこのように運転すれば、ルーバ142から本体140内へ流入する外気量を冷却塔110の運転負荷状態に応じて制御することができるため、外気と共に本体140から循環水が過剰に飛散するのを抑制することができる。この結果、循環水の節約を図ることができ、給水装置120から本体140へ補給する軟水量の抑制を図ることができる。
【0048】
ところで、従来の開放式冷却塔において、循環水として軟水を用いる場合、この循環水は、上述のように冷却塔内へ流入する外気と共に一部が飛散するため、Mアルカリ成分濃度を基準とした場合に徐々に濃縮される。すなわち、循環水において、Mアルカリ成分濃度が上昇する。このため、循環水は、Mアルカリ成分濃度の上昇に伴ってアルカリ側へ移行し、pHが一定以上、例えば9以上に設定される筈である。
【0049】
ところが、従来の開放式冷却塔においては、冷却塔内へ流入する外気と共に飛散する循環水もMアルカリ成分を含むため、循環水の飛散量が多いと循環水におけるMアルカリ成分の絶対量が減少する。このため、循環水は、Mアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率が一定以上に高まらず、Mアルカリ成分濃度が一定以上に上昇しにくくなる。したがって、従来の開放式冷却塔において、循環水は、実質的に、中和性アミン系などの薬剤を添加しない限り、アルカリ性に、特にpHが9以上に設定されにくい。
【0050】
これに対し、この実施の形態の冷却塔110は、上述の通り、インバータ146によりファン144の回転速度を調整することができ、それにより本体140から外気と共に循環水が過剰に飛散するのを抑制することができるため、冷却塔110の運転負荷状態に応じて循環水を十分に冷却可能な範囲でファン144の回転速度を減速すれば、循環水におけるMアルカリ成分の喪失を抑制することができる。このため、冷却塔110における循環水は、貯留部143等からの自然蒸発分により、Mアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率が高まり、Mアルカリ成分濃度が上昇しやすくなる。
【0051】
そこで、冷却塔110の運転中においては、インバータ146によりモータ145の回転速度を変速してファン144の回転速度を調整し、これによりルーバ142から開口部141へ通過する外気の通過量を調整しながら循環水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高め、循環水のpHを9以上、好ましくは9.2以上に維持する。この結果、冷却塔110は、循環水におけるレジオネラ属菌の繁殖を効果的に抑制することができる。また、冷却塔110は、循環水のpHをこのように維持することにより、本体140、供給経路149および回収経路151等の配管などの腐食を併せて抑制することができる。
【0052】
また、この冷却塔110においては、注入器160により、貯留部143に貯留された循環水に対して塩素剤を注入する。ここでは、制御装置147により供給ポンプ163を作動させ、タンク161に貯留された塩素剤を供給経路162を通じて貯留部143内の循環水に対して注入する。これにより、循環水は、塩素剤の作用を受け、スライムの発生が抑制される。この結果、冷却塔110においては、スライム障害が効果的に抑制されると共に、レジオネラ属菌の巣窟を排除することができるため、レジオネラ属菌の繁殖をさらに効果的に抑制することができる。
【0053】
ここで、塩素剤は、供給ポンプ163を連続的に作動させ、循環水に対して微量ずつ連続的に注入してもよいが、供給ポンプ163を制御装置147により一定時間毎に作動させ、循環水に対して間欠的に注入するのが好ましい。塩素剤は、冷却塔110の各部、特に、鋼管部分の腐蝕を誘引する可能性があるが、循環水に対して間欠的に注入した場合は、そのような冷却塔110の各部の腐蝕を抑制しつつ、スライムの発生を効果的に抑制することができる。
【0054】
さらに、この冷却塔110においては、循環水が軟水であるため、スケールの生成を併せて効果的に抑制することができる。
【0055】
なお、この実施の形態では、冷却塔110の運転負荷状態を検知するために、温度センサ148を貯留部143内に配置し、貯留部143内に貯留された循環水の温度を計測するようにしているが、温度センサ148を供給経路149内に配置して供給経路149内を流れる循環水の温度を計測し、その結果に基づいてインバータ146を制御するように変更することもできる。また、温度センサ148により冷却塔110の設置環境温度(気温)を計測し、その結果に基づいてインバータ146を制御するように設定した場合も本発明を同様に実施することができる。
【0056】
第二の形態
図2を参照して、本発明に係る冷却塔の第二の形態を用いた冷却水循環システムを説明する。図2において、冷却水循環システム200は、給水装置220(散布水供給装置の一例)および注入器270を備えた冷却塔210並びに冷却負荷装置230を主に備えている。
【0057】
冷却塔210は、冷却負荷装置230に対してそれを冷却するための循環水を供給する密閉式冷却塔であり、上部に開口部241を有する円筒型の本体240、循環水の循環経路250および循環水を冷却するための散布水の移動経路260を主に備えている。
【0058】
本体240は、外気を導入するためのルーバ242(通気孔の一例)が側面に設けられており、また、循環水を冷却する散布水を貯留するための貯留部243を底部に有している。本体240の開口部241には、ファン244が水平に配置されている。ファン244は、ルーバ242から本体240内へ外気が流入するよう回転可能なものであり、モータ245により回転駆動される。ファン244を回転駆動するモータ245は、インバータ246と接続されている。インバータ246は、モータ245へ供給する電源周波数を無段階に変えてモータ245の回転速度を変速し、ファン244の回転速度を調整するためのものである。また、インバータ246は、その動作を制御するための制御装置247と接続されている。制御装置247は、温度センサ248を備えている。温度センサ248は、貯留部243内に配置されており、貯留部243に貯留された散布水の温度を計測するためのものである。
【0059】
循環経路250は、本体240内と冷却負荷装置230との間において、冷却負荷装置230を冷却するための循環水を循環するためのものであり、内部に循環水が充填されている。また、循環経路250は、本体240内において散布水との接触面積を確保するために蛇行しており、両端部が冷却負荷装置230へ延びている。また、循環経路250は、冷却水を循環させるための第一ポンプ251を有している。
【0060】
移動経路260は、貯留部243から本体240外へ延びており、末端部が本体240内においてファン244の下方に水平に配置されている。また、移動経路260の末端部は、本体240の底部へ向けて散布水を散水するための多数のノズル261(散水口の一例)を有している。また、移動経路260は、貯留部243に貯留された散布水をノズル261へ供給するための第二ポンプ262を有している。
【0061】
給水装置220は、冷却塔210に対し、散布水を供給するためのものであり、原水供給路221、軟水器222、給水経路223を主に備えている。原水供給路221は、一端が水道水や工業用水等の原水の供給源(図示せず)と接続されており、軟水器222に対して原水を供給するためのものである。この原水供給路221は、軟水器222に対する原水の供給量を制御するためのバルブ224を有している。軟水器222は、原水供給路221からの原水を軟水化するためのものである。具体的には、原水供給路221からの原水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの硬度分を除去し、原水を軟水とするためのものである。給水経路223は、軟水器222からの軟水を冷却塔210の貯留部243へ供給するためのものである。
【0062】
注入器270は、貯留部243に貯留された散布水に対して塩素剤を注入するためのものであり、塩素剤を貯留するためのタンク271と、タンク271から延びる注入経路272とを備えている。タンク271に貯留される塩素剤は、循環水の残留塩素濃度を高めるためのものであり、上述の第一の形態において用いられるものと同様のものである。また、塩素剤は、水溶液としてタンク271に貯留されていてもよい。注入経路272は、貯留部243と連絡しており、タンク271内の塩素剤を貯留部243内へ供給するための供給ポンプ273を有している。供給ポンプ273は、制御装置247と接続されており、貯留部243内の循環水に対する塩素剤の注入動作が制御される。
【0063】
冷却負荷装置230は、循環水による冷却が必要な各種装置であって第一の形態における冷却負荷装置130と同様のものであり、所要の冷却水流路(図示せず)を有している。この冷却水流路は、冷却水導入部231と冷却水排出部232とを有している。そして、冷却水導入部231には循環経路250の一端が接続されている。また、冷却水排出部231には循環経路250の他端が接続されている。
【0064】
次に、上述の冷却塔210の動作を説明する。
先ず、冷却塔210において、インバータ246によりモータ245を作動させ、ファン244を回転させる。この結果、図に矢印で示すようにルーバ242を通じて本体240内へ外気が流入する。この外気は、本体240内を通過し、開口部241から外部へ排出される。
【0065】
また、循環経路250において第一ポンプ251を作動すると、循環経路250内において循環水が循環する。この循環水は、冷却負荷装置230の冷却水流路を流れ、冷却負荷装置230を冷却する。
【0066】
また、バルブ224を操作して原水供給路221から軟水器222へ原水を供給すると、当該原水は軟水器222において硬度分が除去されて軟水となる。この軟水は、軟水器222から給水経路223を通じて冷却塔210の貯留部243へ供給され、貯留される。
【0067】
貯留部243に貯留された軟水は、循環経路250を循環する循環水を冷却するための散布水として、第二ポンプ262の動作により移動経路260内へ連続的に供給される。そして、移動経路260内へ供給された散布水は、本体240内においてノズル261から散水され、図に点線で示すように本体240内で落下して貯留部243へ戻る。この際、本体240内で落下する散布水は、ファン244の回転により本体240内へ流入する外気に触れて冷却される。そして、冷却された散布水は、循環経路250と接触し、循環経路250および循環経路250内を循環する循環水を冷却する。貯留部243へ戻った散布水は、再び移動経路260を通じてノズル261から散水され、貯留部243へ戻る。したがって、貯留部143に貯留された散布水は、冷却塔210の作動中、移動経路260を循環することになる。
【0068】
上述のような冷却塔210において、散布水による循環水の冷却能力は、ファン244の回転速度により定まる。すなわち、ファン244を高速で回転させると、ルーバ242から本体240内へ流入する外気量が増加するため散布水が強力に冷却され、散布水による循環水の冷却能力は高まる。逆に、ファン244を低速で回転させると、ルーバ242から本体240内へ流入する外気量が減少するため、散布水は穏やかに冷却され、散布水による循環水の冷却能力は弱まる。したがって、循環水をより強力に冷却する必要がある場合(すなわち、散布水をより強力に冷却する必要がある場合)、例えば気温の高い夏季においては、ファン244を高速で回転するのが有利である。一方、循環水を強力に冷却する必要がない場合(すなわち、散布水を強力に冷却する必要がない場合)、例えば気温の低い冬季や夏季であっても夜間においては、省エネルギーの観点から、ファン244を低速で回転するのが有利である。
【0069】
また、冷却塔210において、移動経路260のノズル261から散水される散布水の歩留まりも、ファン244の回転速度により定まる。すなわち、ファン244を高速で回転させると、ルーバ242から本体240内へ流入する外気量が増加するため、ノズル261から散水される散布水は外気と共に開口部241から本体240外へ飛散しやすくなり、散布水の歩留まりは低下する。逆に、ファン244を低速で回転させると、ルーバ242から本体240内へ流入する外気量が減少するため、ノズル261から散水される散布水は開口部241から本体240外へ飛散しにくくなり、散布水の歩留まりは高まる。
【0070】
そこで、制御装置247は、冷却塔210の運転負荷状態、具体的には温度センサ248により計測される散布水の温度に基づいてインバータ246を制御し、モータ245の回転速度を変速してファン244の回転速度を調整する。具体的には、温度センサ248により計測される散布水温度が高温の場合は、インバータ246によりモータ245を高速回転させ、ファン244の回転速度を速くする。また、温度センサ248により計測される散布水温度が低温の場合は、インバータ246によりモータ245を低速回転させ、ファン244の回転速度を遅くする。これにより、冷却塔210は、その運転負荷状態に応じて散布水を十分に冷却することができ、ファン244の回転駆動に要するエネルギーの省力化を図ることができる。また、冷却塔210をこのように運転すれば、ルーバ242から本体240内へ流入する外気量を冷却塔210の運転負荷状態に応じて制御することができるため、外気と共に本体240から散布水が過剰に飛散するのを抑制することができる。この結果、散布水の節約を図ることができ、給水装置220から本体240へ供給する軟水量の抑制を図ることができる。
【0071】
また、冷却塔210において、散布水は、上述のように冷却塔210内へ流入する外気と共に一部が飛散するため、Mアルカリ成分濃度を基準とした場合に徐々に濃縮される。すなわち、散布水において、Mアルカリ成分濃度が上昇する。しかも、冷却塔210においては、インバータ246によりファン244の回転速度を調整することができ、それにより本体240から外気と共に散布水が過剰に飛散するのを抑制することができるため、冷却塔210の運転負荷状態に応じて散布水を十分に冷却可能な範囲でファン244の回転速度を減速すれば、散布水におけるMアルカリ成分の喪失を抑制することができる。このため、冷却塔210において循環する散布水は、貯留部243等からの自然蒸発分により、Mアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率が高まる。すなわち、冷却塔210は、従来の密閉式冷却塔に比べて散布水の濃縮倍率を高めることができ、Mアルカリ成分濃度が上昇しやすくなる。
【0072】
そこで、冷却塔210の運転中においては、インバータ246によりモータ245の回転速度を変速してファン244の回転速度を調整し、これによりルーバ242から開口部241へ通過する外気の通過量を調整しながら散布水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高め、散布水のpHを9以上、好ましくは9.2以上に維持する。この結果、冷却塔210は、散布水におけるレジオネラ属菌の繁殖を効果的に抑制することができる。また、冷却塔210は、散布水のpHをこのように維持することにより、本体240および移動経路260等の配管などの腐食を併せて抑制することができる。
【0073】
また、この冷却塔210においては、注入器270により、貯留部243に貯留された散布水に対して塩素剤を注入する。ここでは、制御装置247により供給ポンプ273を作動させ、タンク271に貯留された塩素剤を供給経路272を通じて貯留部243内の散布水に対して注入する。これにより、散布水は、塩素剤の作用を受け、スライムの発生が抑制される。この結果、冷却塔210においては、スライム障害が効果的に抑制されると共に、レジオネラ属菌の巣窟を排除することができるため、レジオネラ属菌の繁殖をさらに効果的に抑制することができる。
【0074】
ここで、塩素剤は、供給ポンプ273を連続的に作動させ、散布水に対して微量ずつ連続的に注入してもよいが、供給ポンプ273を制御装置247により一定時間毎に作動させ、散布水に対して間欠的に注入するのが好ましい。散布水に対して塩素剤を間欠的に注入した場合は、第一の形態の場合と同様に、冷却塔210の各部の腐蝕を抑制しつつ、スライムの発生を効果的に抑制することができる。
【0075】
さらに、この冷却塔210においては、散布水が軟水であるため、スケールの生成を併せて効果的に抑制することができる。
【0076】
なお、この実施の形態では、冷却塔210の運転負荷状態を検知するために、温度センサ248を貯留部243内に配置し、貯留部243内に貯留された循環水の温度を計測するようにしているが、温度センサ248を移動経路260内に配置して移動経路260内を流れる散布水の温度を計測し、その結果に基づいてインバータ246を制御するように変更することもできる。また、温度センサ248により冷却塔210の設置環境温度(気温)を計測し、その結果に基づいてインバータ246を制御するように設定した場合も本発明を同様に実施することができる。
【0077】
他の実施の形態
(1)上述の第一の形態および第二の形態においては、それぞれ、注入器160、270のタンク161、271に予め調製された塩素剤を貯留し、この塩素剤を貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入しているが、注入器160、270は、塩素剤を製造しながら循環水若しくは散布水に対して当該塩素剤を注入可能なように構成されていてもよい。
【0078】
図3を参照して、塩素剤を製造可能な注入器の一例を説明する。図において、注入器300は、循環水若しくは散布水に対して塩素剤を連続的に注入するのに適したものであり、電解槽310と供給経路320とを主に備えている。電解槽310は、塩化ナトリウム水溶液を貯留し、これを電気分解して塩素剤を製造するためのものであり、塩化ナトリウム水溶液を補給するための補給経路330と、内部に配置された一対の陽極340および陰極350とを備えている。陽極340および陰極350は、電源装置360と接続されている。供給経路320は、電解槽310において製造された塩素剤を貯留部143、243へ供給するためのものであり、供給ポンプ370を備えている。
【0079】
この注入器300においては、補給経路330から電解槽310内へ塩化ナトリウム水溶液を連続的に補給し、電解槽310内に塩化ナトリウム水溶液を貯留する。そして、電源装置360により陽極340と陰極350との間に電圧を印加し、塩化ナトリウム水溶液を電気分解する。これにより、陽極340側で塩素が生成し、また、陰極350側で水酸化ナトリウムが生成する。そして、生成した塩素と水酸化ナトリウムとが反応し、電解槽310内において次亜塩素酸ナトリウム水溶液、すなわち塩素剤が生成する。このように生成した塩素剤は、供給ポンプ370の動作により、供給経路320を通じて貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入される。
【0080】
この注入器300は、補給経路330から電解槽310へ補給する塩化ナトリウム水溶液量と、供給経路320から貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入する次亜塩素酸ナトリウム水溶液量とを一致させると、電解槽310において次亜塩素酸ナトリウム水溶液を連続的に製造しながら、製造された次亜塩素酸ナトリウム水溶液を連続的に貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入することができる。
【0081】
図4を参照して、塩素剤を製造可能な注入器の他の例を説明する。図において、注入器400は、循環水若しくは散布水に対して塩素剤を間欠的に注入するのに適したものであり、電解槽410、制御装置420および供給経路430を主に備えている。電解槽410は、塩化ナトリウム水溶液を貯留し、これを電気分解して塩素剤を製造するためのものであり、塩化ナトリウム水溶液を補給するための補給経路440と、内部に配置された一対の陽極450および陰極460とを備えている。補給経路440は、塩化ナトリウム水溶液の供給量を制御するための制御弁441を有している。制御弁441は、制御装置420により動作が制御される。陽極450および陰極460は、電源装置470に接続されている。供給経路430は、電解槽410において製造された塩素剤を貯留部143、243へ供給するためのものであり、供給ポンプ480を備えている。供給ポンプ480は、制御装置420により動作が制御される。
【0082】
供給経路430は、切替弁433を有しており、切替弁433から分岐経路431が延びている。分岐経路431は、循環ポンプ432を有しており、また、末端が電解槽410に連絡している。切替弁433は、電解槽410において生成した後述する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留部143、243へ供給する状態(以下、「供給状態」という)と、分岐経路431へ供給する状態(以下、「循環状態」という)とのいずれかに切替えるためのものであり、制御装置420により動作が制御される。
【0083】
制御装置420は、制御弁441、供給ポンプ480、切替弁433および循環ポンプ432の動作タイミングを制御するためのものである。
【0084】
この注入器400では、先ず、制御弁441を開放して補給経路440から電解槽410内へ塩化ナトリウム水溶液を補給し、電解槽410内に塩化ナトリウム水溶液を貯留する。そして、制御弁441を閉鎖して電解槽410への塩化ナトリウム水溶液の供給を停止し、また、切替弁433を循環状態に設定する。この状態で電源装置470により陽極450と陰極460との間に電圧を印加すると、塩化ナトリウム水溶液が電気分解され、陽極450側で塩素が生成し、また、陰極460側で水酸化ナトリウムが生成する。そして、生成した塩素と水酸化ナトリウムとが反応し、電解槽410内において次亜塩素酸ナトリウム水溶液が生成する。このように生成した次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、循環ポンプ432の動作により、供給経路430および分岐経路431を通じて電解槽410へ戻り、電解槽410において再度電気分解処理される。この結果、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、残留している塩化ナトリウム成分により、次亜塩素酸ナトリウム濃度が徐々に高まる。
【0085】
次に、制御装置420は、所定時間経過後、切替弁433を供給状態に設定し、また、供給ポンプ480を作動させる。これにより、電解槽410において生成した高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液、すなわち塩素剤は、供給経路430を通じて貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入される。
【0086】
循環水若しくは散布水に対する塩素剤の注入完了後、制御装置420は、切替弁433を循環状態に設定して供給ポンプ480を停止し、また、制御弁441を所定時間開放する。これにより、電解槽410には補給経路440から塩化ナトリウム水溶液が補給される。所定時間経過後、制御装置420は、制御弁441を閉鎖し、循環ポンプ432を作動させる。これにより、電解槽410において上述のように次亜塩素酸ナトリウム水溶液が生成し、この次亜塩素酸ナトリウム水溶液は分岐経路431を循環して濃度が高まる。そして、制御装置420は、所定時間経過時に上述の動作を繰り返し、電解槽410において生成した高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液、すなわち塩素剤を供給経路430を通じて貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入する。したがって、この注入器400では、塩素剤を製造しながら、この塩素剤を間欠的に貯留部143、243内の循環水若しくは散布水に対して注入することができる。
【0087】
(2)上述の各実施の形態においては、貯留部143内の循環水若しくは貯留部243内の散布水に対して供給ポンプを用いた注入器により塩素剤を注入しているが、供給ポンプに代えてエゼクタを用いることもできる。
【0088】
図5を参照して、第一の形態において用いられる、エゼクタを用いた注入器の一例を説明する。図において、注入器500は、塩素剤を貯留するためのタンク501と、タンク501から延びる注入経路502とを備えている。注入経路502は、エゼクタ503を有しており、貯留部143と連絡している。エゼクタ503には、給水経路123から分岐しかつポンプ504を有する送水経路505が連絡している。ポンプ504は、制御装置147と接続されており、動作が制御される。
【0089】
この注入器500では、制御装置147によりポンプ504を作動させると、軟水器122から給水経路123へ流れる軟水の一部が送水経路505を通じてエゼクタ503へ供給され、その水流がエゼクタ503を作動させる。これにより、タンク501内に貯留された塩素剤は、注入経路502内に吸引され、エゼクタ503へ供給された軟水と共に貯留部143内の循環水へ注入される。
【0090】
なお、この注入器500においては、ポンプ504の代わりに、制御装置147により開閉動作が制御される開閉弁が用いられてもよい。この場合、開閉弁が開くと、軟水器122から給水経路123へ流れる軟水の一部が送水経路505を通じてエゼクタ503へ供給され、エゼクタ503はその水圧により作動する。
【0091】
エゼクタを用いた上述のような注入器は、第二の形態および上述の他の実施の形態(1)においても同様に用いることができる。
【0092】
(3)上述の各実施の形態では、貯留部143、243に貯留された循環水若しくは散布水に対して塩素剤を注入したが、塩素剤は、供給経路149内の循環水若しくは移動経路260内の散布水に対して注入されてもよい。
【実施例】
【0093】
比較例1
pHを7に調整した軟水にレジオネラ属菌を3,200個接種し、36℃で3日間放置した。そして、接種時、2日経過時および3日経過時の各時点において、この軟水0.1ミリリットルをシステイン含有BCYEα寒天培地に塗布して36℃で7日間培養し、レジオネラ属菌数を調べた。レジオネラ属菌数は、培地に形成された集落数に基づいて調べた。結果を表1に示す。
【0094】
実験例1
軟水のpHを9に調整した点を除いて比較例1と同様に操作し、レジオネラ属菌数を調べた。結果を表1に示す。
【0095】
実験例2
軟水のpHを10に調整した点を除いて比較例1と同様に操作し、レジオネラ属菌数を調べた。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
表1によると、比較例1の場合はレジオネラ属菌数が接種時に比べて増加しているが、実験例1および実験例2の場合は接種時に比べてレジオネラ属菌数が減少していることがわかる。この結果より、軟水のpHを9.0以上に維持すれば、レジオネラ属菌の繁殖を効果的に抑制可能なことがわかる。
【0098】
比較例2
SCD培地を含む有機物汚水(pH約9、COD値50ppm)を容器に連続的に供給し、オーバーフローさせながら一定水量(330ミリリットル)を維持した。この際、容器内には、ガラス製の試験片を配置しておいた。35℃の環境下でこれを14日間継続して実施した後、容器内の試験片を取出して試験片に付着した付着物を剥ぎ取り、その乾燥重量を測定したところ、6.5mg/100cmであった。これより、試験片にスライム付着していることを確認した。
【0099】
実験例3
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6時間毎に間欠的に注入した点を除き、比較例2と同様の実験を実施した。ここで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、有効塩素が3.3mg(=10mg/リットル×0.33リットル)分になるよう注入した。実験終了後に試験片に付着した付着物の乾燥重量を測定したところ、定量下限値(1.3mg/100cm)以下であり、試験片にスライムが実質的に付着していないことを確認した。
【0100】
比較例3
有機物汚水(pH約9.5、COD値10ppm以下)を容器に連続的に供給し、オーバーフローさせながら一定水量(330ミリリットル)を維持した。35℃の環境下でこれを1ヶ月間継続して実施した後、容器内壁面に対してグラム染色試験を実施したところ、グラム染色が認められた。これより、容器内壁面にスライムが付着し、細菌が繁殖していることを確認した。
【0101】
実験例4
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を30時間毎に間欠的に注入した点を除き、比較例3と同様の実験を実施した。ここで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、有効塩素が3.3mg(=10mg/リットル×0.33リットル)分になるよう注入した。実験終了後に容器内壁面に対してグラム染色試験を実施したところ、グラム染色は認められなかった。これより、容器内壁面にはスライムが付着せず、細菌が繁殖していないことを確認した。
【0102】
実験例5
上述の第一の形態に係る冷却水循環システム100において、冷却塔110の供給経路149内に表2に示す材質からなる試験片をそれぞれ配置した。そして、この状態で冷却水循環システム100を2ヶ月間稼動した。この間、循環水は、保有水量が26リットルであり、COD値が15〜20ppmであった。また、この実験例では、貯留部143内の循環水に対し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を15時間毎に間欠的に注入した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、有効塩素が260mg(=10mg/リットル×26リットル)分になるよう注入した。
【0103】
実験終了後、供給経路149から各試験片を取出し、その腐蝕度(mdd)を調べた。結果を表2に示す。
【0104】
比較例4
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の間欠注入をせずに、実験例5と同じ条件で冷却水循環システム100を2ヶ月間稼動した。実験終了後、供給経路149から各試験片を取出し、その腐蝕度(mdd)を調べた。結果を表2に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
表2によると、実験例5と比較例4とで各試験片の腐蝕度に明確な相違を見出すことはできなかった。これより、実験例5において、循環水に対して間欠的に注入される次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、供給経路149等の腐蝕を促進させにくいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る冷却塔を採用した冷却水循環システムの概略図。
【図2】本発明の第二の実施の形態に係る冷却塔を採用した冷却水循環システムの概略図。
【図3】前記各実施の形態において利用可能な他の注入器の概略図。
【図4】前記各実施の形態において利用可能なさらに他の注入器の概略図。
【図5】前記第一の実施の形態において利用可能なさらに他の注入器の概略図。
【符号の説明】
【0108】
110、210 冷却塔
120、220 給水装置
130、230 冷却負荷装置
140、240 本体
141、241 開口部
142、242 ルーバ
143、243 貯留部
144、244 ファン
145、245 モータ
146、246 インバータ
149 供給経路
151 回収経路
152、261 ノズル
160、270、300、400、500 注入器
250 循環経路
260 移動経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するための冷却塔であって、
前記循環水を供給するための循環水供給装置と、
上部に開口部を有しかつ底部に前記循環水供給装置から供給される前記循環水を貯留するための貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、
前記本体内において前記通気孔から前記開口部へ外気が通過するよう、前記本体内において気流を発生させるためのファンと、
前記ファンを回転駆動するためのモータと、
前記モータの回転速度を変速するためのインバータと、
前記貯留部から前記冷却負荷装置へ前記循環水を供給するための供給経路と、
前記冷却負荷装置へ供給された前記循環水を前記本体へ回収するための回収経路と、
前記循環水に対して塩素剤を注入するための注入器とを備え、
前記回収経路の末端部は、前記本体内において前記ファンの下方に配置されており、かつ、前記貯留部へ向けて前記循環水を散水するための散水口を有しており、
前記循環水供給装置は、前記貯留部に対して前記循環水として利用する軟水を供給する、
冷却塔。
【請求項2】
上部に開口部を有しかつ底部に冷却負荷装置を冷却する循環水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、前記本体内において前記通気孔から前記開口部へ外気が通過するよう、前記本体内において気流を発生させるためのファンと、前記ファンを回転駆動するためのモータと、前記モータの回転速度を変速するためのインバータと、前記貯留部から前記冷却負荷装置へ前記循環水を供給するための供給経路と、前記冷却負荷装置へ供給された前記循環水を前記本体へ回収するための回収経路とを備え、前記回収経路の末端部が、前記本体内において前記ファンの下方に配置されており、かつ、前記貯留部へ向けて前記循環水を散水するための散水口を有している冷却塔において、前記循環水を冷却するための方法であって、
前記循環水として軟水を用い、かつ、前記インバータにより前記モータの回転速度を変速して前記ファンの回転速度を調整することにより、前記通気孔から前記開口部へ通過する前記外気の通過量を調整しながら前記循環水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高めて前記循環水のpHを9以上に維持する工程と、
前記循環水に対して塩素剤を注入する工程と、
を含む冷却塔における循環水の冷却方法。
【請求項3】
前記循環水に対して前記塩素剤を間欠的に注入する、請求項2に記載の冷却塔における循環水の冷却方法。
【請求項4】
冷却負荷装置を冷却する循環水を散布水により冷却するための冷却塔であって、
前記散布水を供給するための散布水供給装置と、
上部に開口部を有しかつ底部に前記散布水供給装置から供給される前記散布水を貯留するための貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、
前記本体内において前記通気孔から前記開口部へ外気が通過するよう、前記本体内において気流を発生させるためのファンと、
前記ファンを回転駆動するためのモータと、
前記モータの回転速度を変速するためのインバータと、
前記本体内と前記冷却負荷装置との間で前記循環水を循環させるための循環経路と、
前記貯留部から延びかつ末端部が前記本体内において前記ファンの下方に配置された、前記散布水の移動経路と、
前記散布水に対して塩素剤を注入するための注入器とを備え、
前記移動経路の前記末端部は、前記貯留部へ向けて前記散布水を散水するための散水口を有しており、
前記散布水供給装置は、前記貯留部に対して前記散布水として利用する軟水を供給する、
冷却塔。
【請求項5】
上部に開口部を有しかつ底部に冷却負荷装置を冷却する循環水を冷却するための散布水の貯留部を有する、側面に通気孔を有する筒型の本体と、前記本体内において前記通気孔から前記開口部へ外気が通過するよう、前記本体内において気流を発生させるためのファンと、前記ファンを回転駆動するためのモータと、前記モータの回転速度を変速するためのインバータと、前記本体内と前記冷却負荷装置との間で前記循環水を循環させるための循環経路と、前記貯留部から延びかつ末端部が前記本体内において前記ファンの下方に配置された、前記散布水の移動経路とを備え、前記移動経路の前記末端部が、前記貯留部へ向けて前記散布水を散水するための散水口を有している冷却塔において、前記散布水を冷却するための方法であって、
前記散布水として軟水を用い、かつ、前記インバータにより前記モータの回転速度を変速して前記ファンの回転速度を調整することにより、前記通気孔から前記開口部へ通過する前記外気の通過量を調整しながら前記散布水のMアルカリ成分濃度を基準とした濃縮倍率を高めて前記散布水のpHを9以上に維持する工程と、
前記循環水に対して塩素剤を注入する工程と、
を含む冷却塔における循環水冷却用散布水の冷却方法。
【請求項6】
前記循環水に対して前記塩素剤を間欠的に注入する、請求項5に記載の冷却塔における循環水冷却用散布水の冷却方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−200855(P2006−200855A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15043(P2005−15043)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】