説明

冷却装置及び画像形成装置

【課題】トナーが熱定着された記録媒体を効率的に冷却する冷却装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーが定着された記録媒体Pの主面に接触して該記録媒体Pを冷却する冷却ローラ1と、冷却ローラ1との間で記録媒体Pを挟んで支持する搬送ローラ3と、冷却ローラ1を、通過する記録媒体Pの厚み方向に振動させる加振機構部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成工程において、熱定着装置により転写紙上のトナー画像が定着された転写紙を冷却するために用いられる冷却装置(冷却構造)と、該冷却装置を備える複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザープリンター等の画像形成装置は、電子写真方式により静電潜像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を転写紙(記録媒体、用紙ともいう)に転写して画像形成を行うものである。この画像形成装置としては、コピーの高速化が年々進められており、1分間に50枚以上の高速複写を行うものがあるが、このような高速複写機では、短時間に次々にコピーが繰り返された場合や、両面コピー時など、出力された転写紙が重なったり、再度裏面にコピーが繰り返されたりする場合などには、転写紙上のトナーが十分に冷却されていないため、トナーの粘性によって転写紙同士が相互に貼り付いてしまう現象(ブロッキング)が生じ問題となる。
【0003】
これは、トナーを熱で溶融し、転写紙に融着させる定着後に転写紙の温度が下がらないことによる。すなわち、このような状態で、次々にコピーが繰り返されると、転写紙が重なった際に、互いに貼り付いたりする不具合となる。また、両面コピーモードでは、さらにもう一回その転写紙が搬送されるため、機内では熱による温度上昇が問題となったり、熱によって転写紙がカールして、ジャム等が発生する問題となったりしていた。
【0004】
そこで、定着後にこの転写紙を冷却する手段を設け急激に温度を下げるための方策が講じられている。
例えば、特許文献1では、熱伝導性に優れたヒートパイプを利用して転写紙を冷却する方法が開示されている。この方法においては、転写紙の熱をヒートパイプで輸送してヒートパイプ端部に設けた放熱用のフィンをファンで空冷する技術である。この例では、放熱用のフィンを効率よく冷却することが重要であり、そのためファンで強制空冷させている。また、特許文献2では、ヒートパイプ放熱部を構成している中空材料の肉厚をその部分だけ薄くすることによって放熱効率を高める工夫がなされ、また冷却ファンの空気取り入れと排出に工夫を施している。然しながら、これらの技術では本発明の前提とする画像形成装置の転写紙冷却用途において十分な性能を得ることができなかった。
【0005】
また、特許文献3では、液冷方式と称して、ローラ内に液体を循環させて冷却させる液冷ローラが開示されているが、液冷ローラに一回だけ転写紙を通過させるだけでは転写紙の温度を充分に低下させることができなかった。
また、特許文献4では、液冷ローラやヒートパイプを上下に配置し、その間に転写紙を通過させて冷却する技術が開示されているものの、接触面積が少ない結果、十分な冷却効果が得られない場合があり、更に高効率のものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、トナーが熱定着された転写紙(記録媒体)を効率的に冷却する冷却装置及び該冷却装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、前記問題の原因について調査したところ、加熱された記録媒体は冷却部材と接触して熱伝導により冷却されるが、この際に記録媒体と冷却部材との間には大きな接触熱抵抗があるため、記録媒体の熱が効率良く冷却部材に伝熱せず記録媒体の温度が低下しないことを把握した。そして、その知見を基に、この問題解決のために鋭意検討を行い、記録媒体と冷却部材の接触時に該冷却部材に振動を付与すると良好な熱伝導を得ることができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 熱定着装置(熱定着部103)によりトナーが定着された記録媒体(記録媒体P)を冷却する冷却装置であって、前記記録媒体の主面に接触して該記録媒体を冷却する冷却部材(冷却ローラ1、ヒートパイプローラ1A、液冷ローラ1B)と、前記冷却部材との間で前記記録媒体を直接または間接的に挟んで支持する対向部材(搬送ローラ3)と、前記冷却部材または対向部材を、通過する前記記録媒体の厚み方向に振動させる加振機構部(加振機構部5)と、を備えることを特徴とする冷却装置(冷却装置10、図2〜図5)。
〔2〕 前記加振機構部は、共鳴体(ホーン5b)を介して前記冷却部材または対向部材、若しくは前記冷却部材または対向部材の支持部材(支持部材1s)に振動伝達可能に接する超音波発振器(超音波発振器5a)を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の冷却装置。
〔3〕 前記冷却部材は、ヒートパイプローラ(ヒートパイプローラ1A)であることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の冷却装置(図3,図5)。
〔4〕 前記冷却部材は、液体冷却ローラ(液冷ローラ1B)であることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の冷却装置(図4)。
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の冷却装置(冷却装置10)を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置100、図1)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冷却装置によれば、加振機構部が冷却部材または対向部材を振動させることにより、冷却部材と記録媒体の主面との接触状態が改善され、冷却部材が記録媒体の熱をより奪うようになるので記録媒体を効率的に冷却することができる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の冷却装置を備え、熱定着後の記録媒体を効率よく冷却するので、排紙側における記録媒体のトナーブロッキングの防止と画像形成部での感光体の温度上昇の防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面概略図である。
【図2】本発明に係る冷却装置の構成を示す断面概略図である。
【図3】本発明に係る冷却装置の構成例(1)を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る冷却装置の構成例(2)を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る冷却装置の構成例(3)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る冷却装置及び画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の冷却装置を備えた画像形成装置の概要構成を示す断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙部101と、画像形成部102と、熱定着部(熱定着装置)103と、両面部104と、冷却装置10と、を備えている。なお、画像形成装置の種類によっては両面部を有しないものもあり、本発明の冷却装置を適用する画像形成装置は図1に示す構成に限定されない。
【0012】
ここで、画像形成部102は、光書込み部(不図示)、感光体102a、感光体102aの周辺に配置される所定部材(帯電部、現像部、クリーニング部、除電部)、転写機構部を有しており、画像データに基づき感光体102a上で作像が行われ、給紙部101から搬送されてくる記録媒体に対してトナー像を転写させる。
【0013】
熱定着部103は、画像形成部102の記録媒体搬送方向下流側に配置され、ハロゲンヒーター等の加熱源を内蔵した回転自在な加熱ローラ103aと、図示しない付勢手段によって加熱ローラ103aに圧接された加圧ローラ103bと、を有している。この熱定着部103では、加熱ローラ103aと加圧ローラ103bが圧接した定着ニップ部に、画像形成部102から搬送されてくるトナー像が転写された記録媒体を通過させて、熱と圧力を付与して該記録媒体にトナー像を定着させる。
【0014】
冷却装置10は、熱定着部103よりも記録媒体搬送方向下流側に設置されており、熱定着部103を通過した記録媒体を冷却するものである。詳細構成は後述する。これにより熱定着部103の下流の排紙部や両面スタック部142でのトナーブロッキングの防止と画像形成部102での感光体102aの温度上昇の防止を図ることができる。
【0015】
両面部104は、画像形成装置100が両面画像形成モードに設定された場合に、片面に画像形成済みの記録媒体を給紙コロ141の時計回り方向への回転によって反転させ、スタック部142にスタックし、記録シートを設定部数だけスタックした後に、給紙コロ141を反時計回り方向に回転させて画像形成部102に再給紙を行なう。なお、画像形成装置の種類によっては両面部を有しないもの(すなわち、両面画像形成モードを有しないもの)もある。
【0016】
以上の構成により、まず画像形成部102において感光体102a上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体102a上にトナー像が形成され、給紙部101から送られてくる記録媒体に該トナー像が転写される。
ついで、トナー像が転写された記録媒体は熱定着部103に搬送され、加熱ローラ103aと加圧ローラ103bとの間を通過する際にトナー像が熱定着される。
その後、記録媒体は、冷却装置10に搬送され、冷却された後に、排紙部に排出される。あるいは、冷却された記録媒体は、両面部104に送られ、反転された後に再度画像形成部102、熱定着部103を経由して裏面側にトナー像が定着され、ついで冷却装置10で冷却され排紙部に排出される。
【0017】
つぎに、本発明に係る冷却装置について説明する。
本発明に係る冷却装置は、熱定着装置(熱定着部103)によりトナーが定着された記録媒体を冷却する冷却装置であって、前記記録媒体の主面に接触して該記録媒体を冷却する冷却部材と、前記冷却部材との間で前記記録媒体を直接または間接的に挟んで支持する対向部材と、前記冷却部材または対向部材を、通過する前記記録媒体の厚み方向に振動させる加振機構部と、を備えることを特徴とするものである。以下、図面に基づいて本発明の冷却装置について説明する。
【0018】
図2は、本発明に係る冷却装置の概念構成を示す断面図である。
冷却装置10は、図2に示すように、記録媒体Pの主面に接触して該記録媒体Pを冷却する冷却部材である冷却ローラ1と、冷却ローラ1との間で記録媒体Pを搬送ベルト2を介して挟んで支持する対向部材である搬送ローラ3と、冷却ローラ1を、通過する記録媒体Pの厚み方向(図中上下方向)に振動させる加振機構部5と、を備える。
【0019】
また、冷却装置10は、テンションローラ4を含む複数のローラに掛けまわされた耐熱ゴムなどからなる弾性体の搬送ベルト2を有しており、前記複数のローラのいずれかのローラ駆動により搬送ベルト2が回動するようになっている。冷却ローラ1と搬送ローラ3は搬送ベルト2を挟んで配置されており、搬送ベルト2の回動に伴って回転するようになっている。
【0020】
記録媒体Pが熱定着部103から冷却装置10に搬送されてくると、記録媒体Pは搬送ベルト2上に載せられて搬送され、記録媒体Pのトナー像定着面が冷却ローラ1と接触するように冷却ローラ1と搬送ベルト2の間(冷却ニップ部)を通過する。なお、このとき搬送ベルト2の裏面側から搬送ローラ3が記録媒体Pを支持しており、冷却ローラ1と記録媒体Pとは所定の面圧で接触している。
【0021】
ここで、加振機構部5は、超音波発振器5aと、共鳴体であるホーン5bと、を有しており、超音波発振器5aはホーン5bを介して冷却ローラ1の回転軸(シャフト)に、超音波発振器5aが発生する振動を伝達可能に接している。なお、超音波発振器5aがホーン5bを介して、対向部材(搬送ローラ3)、若しくは冷却ローラ1または搬送ローラ3の支持部材に振動伝達可能に接するようにしてもよい。
【0022】
加振機構部5は、少なくとも記録媒体Pが冷却ニップ部を通過する間、超音波発振器5aを発振させて冷却ローラ1を通過する記録媒体Pの厚み方向(図中上下方向)に振動させる。このときの振動対象物(ここでは冷却ローラ1)の振動条件(振動周波数、振幅等)は、記録媒体Pの搬送速度、冷却ローラ1と記録媒体Pの接触状態等に基づいて適宜設定する。なお、冷却ローラ1の振幅は冷却ローラ1が記録媒体Pから離間しない程度の大きさである。
【0023】
これにより、冷却ローラ1を振動させずに記録媒体Pを冷却ローラ1と搬送ベルト2の間を通過させる場合よりも、冷却ローラ1のローラ面と記録媒体Pの主面との接触状態が改善され、冷却ローラ1が記録媒体Pの熱をより奪うようになることから記録媒体Pを効率的に冷却することが可能となる。
【0024】
また、冷却ローラ1は、ヒートパイプローラであることが好ましい。図3にその構成例を示す。
図3に示す冷却装置10は、ステンレスやAlなどの金属材料からなるヒートパイプ製の冷却ローラ本体(以下、ローラ本体)1aと、十数枚の円盤状の金属板がローラ本体1aの支軸の一方の端部に設けられてなり、ローラ本体1aの熱を放熱する放熱フィン1fと、からなるヒートパイプローラ1Aを有する。また、放熱フィン1fを空冷する冷却ファン(不図示)を備える。また、ローラ本体1aは、その両端にある支軸において支持部材1s,1sにより回転自在に支持されるとともに、通過する記録媒体Pの厚み方向(上下方向)にわずかに移動可能に支持されている。あるいは、ローラ本体1a及び支持部材1s,1sが通過する記録媒体Pの厚み方向(上下方向)にわずかに移動可能な構成としてもよい。なお、ローラ本体1aにおいて、搬送ベルト2の幅よりも軸方向外側の部分を支軸と称する。
【0025】
また、加振機構部5は、ローラ本体1aの搬送ベルト2とは反対側となる上部に配置されており、ローラ本体1aのローラ面と摺接するホーン5bを介してローラ本体1aに発振する振動を伝達可能に超音波発振器5aが設けられている。あるいは、支持部材1s,1sのいずれかの上部にホーン5bを介してローラ本体1aに発振する振動を伝達可能に超音波発振器5aを設けてもよい。
【0026】
以上の構成により、熱定着部103から搬送されてきた記録媒体Pが搬送ベルト2上に載せられて冷却ニップ部に搬送されてくると、加振機構部5は、少なくとも記録媒体Pが冷却ニップ部を通過する間、超音波発振器5aを発振させることによりローラ本体1aを通過する記録媒体Pの厚み方向に振動させて、ローラ本体1aのローラ面と記録媒体Pの主面との接触状態を改善し、ローラ本体1aが記録媒体Pの熱をより奪うようにすることが可能である。なお、ローラ本体1aが記録媒体Pの熱を奪うとその熱が瞬間的にヒートパイプローラ1A内で一様となり、ついで冷却ファンからヒートパイプローラ1Aの放熱部に設けられた放熱フィン1fに冷却空気を供給することにより放熱フィン1fから記録媒体Pから奪った熱が空気中に放熱されるようになっている。
【0027】
また、冷却ローラ1は、液体冷却ローラであることが好ましい。図4にその構成例を示す。
図4に示す冷却装置10は、ステンレス製の中空管状のパイプであるローラ本体1bと、シール用のゴムリングを介してローラ本体1bを回転可能な状態として該ローラ本体1bと嵌合する非回転のパイプ部材であるロータリジョイント1cと、ロータリジョイント1cからローラ本体1bの内部に冷媒を導入し、循環させた後に排出する冷媒入口・出口1dと、からなる液冷ローラ1Bを有する。また、冷媒入口・出口1dと冷媒を循環可能に連結され、ファンを用いた空冷により冷媒の放冷を行うラジエータ(不図示)を有する。また、ローラ本体1bは、その両端にある支軸において支持部材1s,1sにより回転自在に支持されるとともに、通過する記録媒体Pの厚み方向(上下方向)にわずかに移動可能に支持されている。あるいは、ローラ本体1b及び支持部材1s,1sが通過する記録媒体Pの厚み方向(上下方向)にわずかに移動可能な構成としてもよい。なお、ローラ本体1bにおいて、搬送ベルト2の幅よりも軸方向外側の部分を支軸と称する。
【0028】
また、加振機構部5は、ローラ本体1bの搬送ベルト2とは反対側となる上部に配置されており、ローラ本体1bのローラ面と摺接するホーン5bを介してローラ本体1bに発振する振動を伝達可能に超音波発振器5aが設けられている。あるいは、支持部材1s,1sのいずれかの上部にホーン5bを介してローラ本体1bに発振する振動を伝達可能に超音波発振器5aを設けてもよい。
【0029】
以上の構成により、熱定着部103から搬送されてきた記録媒体Pが搬送ベルト2上に載せられて冷却ニップ部に搬送されてくると、加振機構部5は、少なくとも記録媒体Pが冷却ニップ部を通過する間、超音波発振器5aを発振させることによりローラ本体1bを通過する記録媒体Pの厚み方向に振動させて、ローラ本体1bのローラ面と記録媒体Pの主面との接触状態を改善し、ローラ本体1bが記録媒体Pの熱をより奪うようにすることが可能である。なお、ローラ本体1bが記録媒体Pの熱を奪うとその熱が瞬間的にローラ本体1b内で一様となり、ついでローラ本体1b内部の冷媒がその熱を奪ってローラ本体1bの外に排出され、その冷媒は外部のラジエータで熱交換により冷却され、再度ローラ本体1b内に送り込まれるようになっている。
【0030】
また、加振機構部5を搬送ローラ3側に設けてもよい。図5にその構成例を示す。
図5に示す冷却装置10は、図3に示す冷却装置10において加振機構部5の配置を変更したのみで、それ以外の構成は図3に示すものと同じである。
すなわち、加振機構部5は、超音波発振器5aと、共鳴体であるホーン5bと、を有しており、超音波発振器5aはホーン5bを介して搬送ローラ3の回転軸(シャフト)に、超音波発振器5aが発生する振動を伝達可能に接している。
【0031】
以上の構成により、熱定着部103から搬送されてきた記録媒体Pが搬送ベルト2上に載せられて冷却ニップ部に搬送されてくると、加振機構部5は、少なくとも記録媒体Pが冷却ニップ部を通過する間、超音波発振器5aを発振させることにより搬送ローラ3を冷却ニップ部を通過する記録媒体Pの厚み方向に振動させて、ヒートパイプローラ1Aのローラ本体1aのローラ面と記録媒体Pの主面との接触状態を改善し、ローラ本体1aが記録媒体Pの熱をより奪うようにすることが可能である。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
熱定着部103で加熱された状態の記録媒体Pを図3に示す冷却装置10を通過させて、通過前後(冷却前後)の記録媒体Pの温度を測定し、その冷却効果を確認した。
なお、そのときの試験条件は以下のとおりとした。
(冷却装置10)
・ヒートパイプローラ1A
・・ローラ本体1a;外径30mm、軸方向長さが320mmのものとした。
・加振機構部5
・・超音波発振器5aの発振条件;周波数19.5kHz、振幅50μm
(記録媒体P)
・A4サイズ普通紙(搬送方向A4タテ)
・冷却装置10への導入時の温度;120℃目標
・搬送速度;50cpm(毎分50枚のコピー処理速度)に対応する速度
【0033】
測定結果を表1に示す。なお、比較例1として、超音波発振器5aを発振させない状態で記録媒体Pを冷却装置10を通過させたときの記録媒体Pの温度測定結果を合わせて示している。
その結果、比較例1では記録媒体Pの温度が120℃から83℃まで冷却されているのに対し、実施例1では121℃から56℃まで冷却されており、著しく冷却効率が改善されていた。
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例2)
実施例1において、図4に示す冷却装置10に変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で試験を行った。なお、ヒートパイプローラ1Bにおけるローラ本体1bを外径30mm、軸方向長さが320mmのものとした。
【0036】
測定結果を表2に示す。なお、比較例2として、超音波発振器5aを発振させない状態で記録媒体Pを図4の冷却装置10を通過させたときの記録媒体Pの温度測定結果を合わせて示している。
その結果、比較例2では記録媒体Pの温度が119℃から63℃まで冷却されているのに対し、実施例2では120℃から45℃まで冷却されており、著しく冷却効率が改善されていた。
【0037】
【表2】

【0038】
(実施例3)
実施例1において、図5に示す冷却装置10に変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で試験を行った。
【0039】
測定結果を表3に示す。なお、比較例3として、超音波発振器5aを発振させない状態で記録媒体Pを図5の冷却装置10を通過させたときの記録媒体Pの温度測定結果を合わせて示している。
その結果、比較例3では記録媒体Pの温度が120℃から83℃まで冷却されているのに対し、実施例2では121℃から69℃まで冷却されており、冷却効率が改善されていた。
【0040】
【表3】

【0041】
(実施例4)
図1に示す画像形成装置100に、実施例1の冷却装置(図3に示す冷却装置)10を適用し、連続してコピー印刷を行った(コピー処理速度;50cpm)。その結果、排紙側で記録媒体P同士のくっつきはなく、記録媒体P表面の温度も低下し、冷却装置10による十分な冷却効果が得られた。
【0042】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 冷却ローラ
1A ヒートパイプローラ
1a ローラ本体
1f 放熱フィン
1s 支持部材
1B 液冷ローラ
1b ローラ本体
1c ロータリジョイント
1d 冷媒入口・出口
2 搬送ベルト
3 搬送ローラ
4 テンションローラ
5 加振機構部
5a 超音波発振器
5b ホーン
10 冷却装置
100 画像形成装置
101 給紙部
102 画像形成部
102a 感光体
103 熱定着部
103a 加熱ローラ
103b 加圧ローラ
104 両面部
141 給紙コロ
142 スタック部
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平10−207155号公報
【特許文献2】特開平11−007218号公報
【特許文献3】2006−3819公報
【特許文献4】2006−225115公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱定着装置によりトナーが定着された記録媒体を冷却する冷却装置であって、
前記記録媒体の主面に接触して該記録媒体を冷却する冷却部材と、
前記冷却部材との間で前記記録媒体を直接または間接的に挟んで支持する対向部材と、
前記冷却部材または対向部材を、通過する前記記録媒体の厚み方向に振動させる加振機構部と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記加振機構部は、共鳴体を介して前記冷却部材または対向部材、若しくは前記冷却部材または対向部材の支持部材に振動伝達可能に接する超音波発振器を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却部材は、ヒートパイプローラであることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部材は、液体冷却ローラであることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の冷却装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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