説明

冷却装置

【課題】気化熱等、体積膨張を利用して冷却を行う場合、冷却動作において、単純なエネルギ供給のみが行われる。冷却作業は、熱を奪う作業である。したがって、エネルギの回収作業で熱を奪うことができれば、奪ったエネルギを再利用することにより、冷却作業の効率化が可能である。したがって、エネルギを回収する作業そのもので、冷却することを課題とする。
【解決手段】真空中に噴射した物質の熱運動の向きをノズルによって整え、方向の整った単純な運動エネルギとし、そのエネルギを他のエネルギに変換、回収する。これによりエネルギ回収作業そのもので熱を奪うことが可能となる。このとき変換したエネルギを再利用する。これによりエネルギ効率を上げることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
これまでの、冷却装置では、気化熱等、体積膨張を利用して冷却を行うのが一般的であった。この冷却作業は、一方的なエネルギ供給によって行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この、冷却作業において、熱効率を上げるために、廃熱を利用して、エネルギを回収することが考えられる。
熱からエネルギを回収する方法として、タービンに蒸気などの気体を吹きつける方法などが多く行われており、以下の参考文献のほかにも多く実施されている。
【特許文献1】特許公開2007−46526、
【特許文献2】特許公開2006−226225、
【特許文献3】特許公開2004−339965、
【特許文献4】特許公開2007−23976、
【特許文献5】特許公開平11−210493、
【特許文献6】特許公開平11−108484 しかし、これらの方法は、温度差を利用してエネルギの回収を行うことを目的としており、原子や分子の熱運動から直接エネルギを回収することを想定していない。 原子や分子の熱運動から、直接エネルギを回収することができれば、エネルギ回収作業そのものが、冷却作業となるので、冷却におけるエネルギ効率を容易に引き上げることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
先ず、物質の熱運動のエネルギを、運動方向を整え単純な運動エネルギとして取り出す理屈について、説明をする。
通常、物質の熱運動は、その運動方向を特定することはできない。
しかし、ここで次のようにすると運動方向を整えることが可能である。
1つの物質を、放物線の焦点に置く。すると、その熱運動の運動方向を放物線の開口部方向に整えることが可能である。
複数の物質を、放物線の焦点に置いた場合でも同様である。
この現象を工学的に実現するためには、真空中に対して、ノズルから物質を噴射すればよい。
このノズルの形状は、放物線形状が好ましいが、運動方向をある程度整えることができるのであれば、他の形状でもよい。
これにより、物質の熱運動のエネルギは、単純な運動エネルギに変換される。
噴射後は、必要であるならばその運動方向を変えてもよい。また、ノズルと真空領域との境は、明確にする必要はない。
熱運動の向きを整え、エネルギを取り出せるのであれば、真空度の高い低いは問わない。
【0005】
本発明は、物質の熱運動による運動エネルギを直接他のエネルギに変換することにより、冷却を行う。
変換方法は、真空ポンプで、特定領域に真空状態を作る。そこに、ノズルから冷却対象物質を噴射。この際、ノズルにより運動方向を整える。そして、運動方向の整った噴射物質の運動エネルギを奪うことにより冷却を行う。
冷却された物質は、真空ポンプにより排出される。
【0006】
運動エネルギを別のエネルギに変換する方法として、ノズルにより運動方向を整えられた噴射物質でタービンを回し、タービンの運動エネルギとして取り出す方法が考えられる。
【0007】
また、噴射物質を帯電させ、帯電した状態で噴射することにより電流を発生させてもよい。
また、帯電させた物質を噴射することにより発生した磁場を利用して、誘導電流を発生させてもよい。帯電した物質の電荷は、運動エネルギを奪った後、帯電させる電極と電位差のある電極に物質を接触させることにより、取り除くとよい。
【0008】
物質を帯電させる時の構造は、次のようなものも考えられる。先ず、帯電させる電極と電位差のある、絶縁体で囲まれた電極を用意する。なお、その電極は、電荷を奪う電極とは別である。そして、
絶縁体で囲まれた電極が、帯電させる電極の近くにある構造。この構造で、帯電させた電極と、電荷を奪う電極との間に流れる電流の一部または、全部を真空ポンプで利用してもよい。
【0009】
タービンを回したり、帯電した物質を噴射することにより得た、エネルギの一部、または、全てを真空ポンプの動作に利用することにより、より少ないエネルギで、真空ポンプを動作させることが可能となる。
これにより冷却の際の効率を上げることが可能となる。もちろん、回収したエネルギは、真空ポンプには利用せず別のことに利用してもよい。
また、真空ポンプから排気された物質や、冷却された冷却装置の構造物と外気の温度差を利用することにより、エネルギの回収を行ってもよい。
また、真空ポンプの出口とノズルの入り口をつなげて閉じた系にしてもよい。
当然、真空ポンプは見方を変えれば圧縮機となる。
【発明の効果】
【0010】
冷却作業において、熱を奪う作業そのものでエネルギの回収が行えるため、温度差を利用してエネルギ回収するための機器がなくとも、高効率な冷却が可能となる。もちろん温度差を利用したエネルギ回収用の機器を取り付ければ、より多くのエネルギを回収可能である。
【実施例1】
【0011】
図1の冷却装置では、ノズル(1)から噴射された物質がタービン(2)にあたり、真空ポンプ(4)により排出される。真空ポンプ(4)やノズル(1)は二つあるが、1つにまとめてもよい。
物質の冷却は、ノズル(1)により、熱運動の運動方向を整えた後、物質をタービン(4)に当て、運動エネルギを奪うことにより行われる。タービン(4)で取り出したエネルギは、電機エネルギに変えてもよいし、シャフトなどを通じて、そのまま他に運動エネルギとして利用してもよい。
なお、タービン(2)のある場所は、真空領域(3)となっている。

【実施例2】
【0012】
図2の帯電機(6)で帯電させた後、弁(6)を開きコイル状に巻かれた真空領域(3)を通ることにより、磁場を発生させる。
この磁場によりコイル(8)で、磁場変化を起こし発電させ、運動エネルギから電気エネルギを取り出す。帯電した物質は、真空ポンプ(5)で、排出される。この排出の際に、物質の電荷は取り除かれる。
磁場は変化する必要がある。したがって、弁(6)は周期的な開閉をすることが望ましい。
【実施例3】
【0013】
帯電機の構造が図3のようになっている場合、帯電用の電極(9)と、電荷を奪う電極(12)との間に電位差が発生する。この電位差により流れる電流の一部、または全てを真空ポンプ(4)の動作に利用してもよい。
この電位差を発生させるエネルギ元は、物質の熱運動の運動エネルギである。本来、図3の絶縁体で囲まれた電極(11)に吸い寄せられた状態で、帯電した物質は動かないが、真空領域側に噴射されることによりそのエネルギを用いて電位差を生み出す。
また、図3では物質から電荷を奪う電極が、真空ポンプの前にあるが、真空ポンプの後ろでも、真空ポンプに組み込んでもよい。
なお、本実施例と、実施例2を組み合わせてもよい。また、図3では負に帯電させているが、逆に正に帯電させ電流の向きを逆にしてもよい。
また、ダイオードは、図3では電流の向きを分かり易くするために付けているが、必要がないならば、付けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】タービンを用いた冷却装置。(実施例1)
【図2】帯電させた物質をコイル状の真空領域に噴射する冷却装置。(実施例2)
【図3】電位差を利用した冷却装置。(実施例3)
【符号の説明】
【0015】
1 ノズル
2 タービン
3 真空領域
4 真空ポンプ
5 真空ポンプ及び電荷を奪う電極
6 帯電装置及び弁
7 鉄芯
8 コイル
9 帯電用電極
10 帯電用電源
11 絶縁体に囲まれた電極
12 電荷を奪う電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の項目の機能を有することを特徴とする冷却装置。
a, 真空ポンプにより特定領域を真空状態にする機能
b, aの真空領域に冷却対象となる物質をノズルから噴射する機能
c, ノズルにより物質の熱運動の運動方向を整える機能
d, cにより運動方向を整えた物質の運動エネルギを別のエネルギに変換する機能
e, dにより運動エネルギを奪われた物質をaの真空ポンプで排出する機能
【請求項2】
請求項1のdにおいてエネルギの変換を行う装置が、タービンに噴射物質をあて、タービンの運動エネルギに変換することを特徴とする冷却装置
【請求項3】
請求項1のdにおいてエネルギの変換を行う装置が、以下の項目の機能を有することを特徴とする冷却装置。
f, 帯電させた物質の噴射により電流を発生させ、電気エネルギに変換する機能
g, fにて帯電した物質の運動エネルギを奪った後、電荷を奪う機能
【請求項4】
請求項3のfの電流によって発生する磁場変化で、誘導電流を発生させることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項3において以下の項目の構造を有することを特徴とする冷却装置。
h, 帯電させる電極と電位差のある絶縁体で囲まれた電極が、ある構造
i, hの絶縁体で囲まれた電極が、電荷を奪う電極とは別である構造
j, hの絶縁体で囲まれた電極が、電荷を奪う電極より、帯電させる電極の近くにある構造
【請求項6】
請求項5において帯電させる電極と電荷を奪う電極との間で流れる電流を、真空ポンプの動作に利用することを特徴とする冷却装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−41906(P2009−41906A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−269967(P2008−269967)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(304057829)ROSONICS 有限会社 (8)
【Fターム(参考)】