説明

冷媒流路切換装置

【課題】複数の冷媒配管アセンブリが配設されたケーシング内全体に、空洞を形成することなく発泡材を充填させることができる冷媒流路切換装置を提供する。
【解決手段】熱源側熱交換器12と複数の利用側熱交換器21とを有する冷媒回路Rに設けられる冷媒流路切換装置30。ケーシング31と、このケーシング31内に配設されており、それぞれが冷媒配管及び冷媒流れを制御する制御弁を備えた複数の冷媒配管アセンブリ30a〜30dとからなっている。ケーシング31内には発泡材が充填されている。また、ケーシング31内の空間を冷媒配管アセンブリ毎に区画して各冷媒配管アセンブリを収容する空間に対し独立して発泡材を充填するための仕切壁34a〜34dがケーシング31内に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷媒流路切換装置に関する。さらに詳しくは、冷房と暖房を同時に運転することができる空気調和装置において運転モードに応じて冷媒の流れを切り替えるのに用いられる冷媒流路切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル用の空気調和装置として、1台の室外機に対して複数の室内機を備えたマルチ式空気調和装置が知られているが、近年、居室の多様な空調条件や熱負荷の変動に柔軟に対応するとともに、省エネを図るために、一部の室内機は冷房運転を行いつつ残りの室内機は暖房運転を行うことができる、冷暖フリー型のマルチ式空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
このような冷暖フリー型のマルチ式空気調和装置では、運転モードに応じて室内機への冷媒の流れを切り替えるために、室外機と室内機の間の冷媒回路に冷媒流路切換装置が配設されている。
【0004】
この冷媒流路切換装置は、冷媒配管と、この冷媒配管上に設けられた複数の電磁弁などの制御弁とを備えており、これらが箱状のケーシング内に配設されている。そして、制御弁の制御(切換)によって、室内機で蒸発した冷媒が流入して室外機の圧縮機へ向かって流出する状態(冷房状態)と、室外機の圧縮機から吐出された冷媒が流入して室内機へ向かって流出する状態(暖房状態)とが切り換わるように構成されている。
【0005】
前記冷媒流路切換装置は、天井裏などのスペースに配設されることが多いが、冷媒配管などの表面に結露が生じて水滴がケーシングから落下するのを防止するとともに冷媒の脈動などによる冷媒配管の振動を抑制するために、前記冷媒配管や制御弁などの周囲を発泡ウレタンなどの断熱材で覆っている(例えば、特許文献3参照)。この断熱材は、ケーシングの壁面に予め形成された注入口から液状の発泡材を当該ケーシング内に供給し、外部からヒータなどで加熱して当該発泡材を発泡・固化させることで形成している。
【0006】
ところで、従来の冷暖フリー型のマルチ式空気調和装置では、通常、1台の室内機に対して1台の冷媒流路切換装置が配設されており、この冷媒流路切換装置は対応する室内機の近傍に配設されている。すなわち、従来の冷暖フリー型のマルチ式空気調和装置では、複数台の冷媒流路切換装置が分散して配置されている。
【0007】
これに対し、メンテナンスのし易さなどから、複数台の冷媒流路切換装置を1又は2以上のグループに分け、各グループを構成する冷媒流路切換装置を1箇所にまとめて配置することが考えられる。この場合に、省スペース化、省力化及び省コスト化の観点より、複数台の冷媒流路切換装置を単に近接させて配置するのではなく、共通のケーシング内に、冷媒配管と制御弁とからなる冷媒アセンブリを複数配設するのが好ましい。すなわち、共通のケーシングに複数の冷媒アセンブリを配設すると、隣接する冷媒アセンブリ間の断熱材を共有することができるため、その分、共通ケーシングのサイズを個別ケーシングのサイズの総和よりも小さくすることができる。また、冷媒流路切換装置は室外機側に3種類の配管(低圧ガス配管、高圧ガス配管及び液配管)が接続され、室内機側に2種類の配管(ガス配管及び液配管)が接続されるが、前記室外機側の3種類の配管については、共通ケーシング内で各冷媒アセンブリに分岐させることができるので、共通ケーシングへの接続は3箇所だけでよく現場での配管接続作業を大幅に減らすことができる。さらに、冷媒流路切換装置では、制御弁の作動音などを低減させるためにケーシングの内壁に防音シートが貼付されることがあるが、共通ケーシングを用いることで当該防音シートの使用量を減らすことができる(省コスト化)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−1862号公報
【特許文献2】特開2005−337659号公報
【特許文献3】特開2008−39276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ケーシングを共通化すると内部空間が大きくなるので、個別ケーシングの場合と同様に液状の発泡材をケーシング内部に注入して断熱材を形成しようとしても、発泡材がケーシング内全体に行き渡る前に固まってしまい、ケーシング内に空洞ができる惧れがある。ケーシング内に空洞ができると、その部分の配管表面で結露が生じて当該ケーシングから水滴が落下することも考えられる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の冷媒配管アセンブリが配設されたケーシング内全体に、空洞を形成することなく発泡材を充填させることができる冷媒流路切換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷媒流路切換装置は、熱源側熱交換器と複数の利用側熱交換器とを有する冷媒回路に設けられる冷媒流路切換装置であって、
ケーシングと、このケーシング内に配設されており、それぞれが冷媒配管及び冷媒流れを制御する制御弁を備えた複数の冷媒配管アセンブリとからなり、
前記ケーシング内には発泡材が充填されており、且つ、
前記ケーシング内の空間を冷媒配管アセンブリ毎に区画して各冷媒配管アセンブリを収容する空間に対し独立して発泡材を充填するための仕切壁が前記ケーシング内に配設されていることを特徴としている。
【0012】
本発明の冷媒流路切換装置では、内部に複数の冷媒配管アセンブリが配設されるケーシング内の空間に仕切壁が配設されており、この仕切壁は、ケーシング内の空間を冷媒配管アセンブリ毎に区画している。これにより、ケーシング内に液状の発泡材を充填するに際し、各冷媒配管アセンブリを収容する空間に対し独立して発泡材を充填することができる。各冷媒配管アセンブリを収容する空間は、ケーシング内全体に比べ小さな空間であるので、その隅々まで発泡材を行き渡らせることができ、空洞が形成されることがない。このため、空洞に起因して冷媒配管の表面に結露が発生し、水滴がケーシング外に漏れるのを防止することができる。
【0013】
前記仕切壁は、互いに同一形状の複数の仕切壁ユニットを接続して形成されていてもよい。この場合、互いに同一形状の複数の仕切壁ユニットを接続することで仕切壁を形成することができるので、共通ケーシング内に配設される冷媒配管アセンブリの数の変更などに容易に対応することができる。また、仕切壁ユニットは、同一形状であるので量産性に優れ、コストダウンを図ることができるとともに、保管・輸送が容易である。
【0014】
前記仕切壁ユニットは、水平断面がコの字状の板材からなり、当該コの字状の板材の開口側が同一線上において同一方向を向くように複数の仕切壁ユニットが連接されていてもよい。この場合、コの字状の板材の開口側が同一線上において同一方向を向くように複数の仕切壁ユニットを連接することで、ケーシング内の空間を冷媒配管アセンブリ毎に区画する仕切壁を形成することができる。そして、各板材と、当該各板材の開口側に隣接する板材とによって、又は、端に位置する板材にあっては当該板材と、ケーシングの壁とによって、各冷媒配管アセンブリを収容する空間を画定することができる。
【0015】
前記仕切壁ユニットは、水平断面がL字状の板材からなり、当該L字状の板材の短辺部の接続により一面の壁が形成されるように複数の仕切壁ユニットが連接されていてもよい。この場合、L字状の板材の短辺部の接続により一面の壁が形成されるように複数の仕切壁ユニットを連接することで、ケーシング内の空間を冷媒配管アセンブリ毎に区画する仕切壁を形成することができる。そして、各板材と、ケーシングの壁とによって、各冷媒配管アセンブリを収容する空間を画定することができる。
【0016】
前記コの字状の板材は、中央の矩形状の中央板部と、この中央板部の対向する辺から同一方向に延設された一対の対向板部とからなり、各対向板部の辺であって前記中央板部側の辺と反対側の辺には、対向する対向板部に向かう方向に延びる屈曲部が形成されていてもよい。この場合、コの字状の板材における一対の対向板部の縁に屈曲部を形成することで、当該コの字状の板材により区画される空間内に注入された発泡材が、当該空間から外部に漏れるのを防ぐことができる。
【0017】
前記板材に補強用のリブが形成されていてもよい。仕切壁ユニットを構成する板材に補強用のリブを形成することで、当該仕切壁ユニットにより区画される空間に発泡材を充填する際に発泡圧によって板材が変形するのを抑制することができる。これにより、必要量の発泡材を充填したにもかかわらず、前記空間内に空洞が形成されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷媒流路切換装置によれば、複数の冷媒配管アセンブリが配設されたケーシング内全体に、空洞を形成することなく発泡材を充填させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る冷媒流路切換装置を含む空気調和装置の冷媒回路部を示す図である。
【図2】図1に示される冷媒流路切換装置における仕切壁の平面説明図である。
【図3】本発明における仕切壁の他の例の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の冷媒流路切換装置の実施の形態を詳細に説明する。
[空気調和装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る冷媒流路切換装置を含む空気調和装置ACの冷媒回路部を示す図である。この空気調和装置ACは、主に中規模ないし大規模ビルに配設され、ビル内の居室のニーズなどに応じて冷暖同時の個別空調を行うことができる冷暖フリー型のマルチ式空気調和装置である。空気調和装置ACは、1台の室外ユニット10と、4台の室内ユニット20a、20b、20c、20dと、1台の冷媒流路切換装置30とを備えている。これらの室外ユニット10、室内ユニット20a、20b、20c、20d及び冷媒流路切換装置30は、冷媒配管で接続されて冷媒回路Rを構成している。この冷媒回路Rでは、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0021】
室外ユニット10は、熱源側のユニットを構成しており、圧縮機11、熱源側熱交換器である室外熱交換器12、室外熱膨張弁13、及び2つの電磁弁14a、14bを備えている。また、室外ユニット10は、冷媒配管である、主管1a、第1分岐管1b、及び第2分岐管1cを有している。
【0022】
主管1aの一端は、室外ユニット10外に配設された液配管4に接続され、他端は、室外膨張弁13及び室外熱交換器12を介して前記第1分岐管1b及び第2分岐管1cの一端に接続されている。この第1分岐管1bの他端は、室外ユニット10外に配設された低圧ガス配管2に接続され、また、第2分岐管1cの他端は、室外ユニット10外に配設された高圧ガス配管3に接続されている。
【0023】
圧縮機11は、低圧のガス状冷媒を圧縮して高圧のガス状冷媒にするための流体機械であり、当該圧縮機11としては、例えば高圧ドーム型のスクロール式圧縮機を採用することができる。圧縮機11の吐出管1dは、第2分岐管1cの途中に接続され、吸入菅1eは、第1分岐管1bの途中に接続されている。また、吸入菅1eには、蒸発器としての熱交換器で蒸発しきれなかった冷媒液を分離するためのアキュムレータ15が配設されている。
【0024】
室外熱交換器12は、主管1aの途中に配設されており、当該室外熱交換器12としては、例えばクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用することができる。この室外熱交換器12の近傍にはモータ16により回転駆動される室外ファン17が配設されており、この室外ファン17により取り込まれる外気と室外熱交換器12のチューブ内を流れる冷媒とが熱交換するように構成されている。
【0025】
室外膨張弁13は、室外熱交換器12よりも液配管4側の主管1aに配設されており、当該室外膨張弁13としては、例えば電子膨張弁を採用することができる。
2つの電磁弁14a、14bのうち一方の電磁弁14aは、第1分岐管1bにおける吸入菅1eとの接続点よりも室外熱交換器12側に配設されている。また、他方の電磁弁14bは、第2分岐管1cにおける吐出管1dとの接続点よりも室外熱交換器12側に配設されている。これらの電磁弁14a、14bは、冷媒の流れを許容又は遮断する制御弁として機能する。
【0026】
各室内ユニット20a、20b、20c、20dは、利用側のユニットを構成しており、利用側熱交換器である室内熱交換器21及び室内膨張弁22を備えている。室内熱交換器21及び室内膨張弁22は冷媒配管により互いに接続されている。
【0027】
各室内ユニット20a、20b、20c、20dは、第1中間配管5及び第2中間配管6によって、後述する冷媒流路切換装置30内に配設された4つの冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dに接続されている。すなわち、室内ユニット20a及び冷媒配管アセンブリ30a、室内ユニット20b及び冷媒配管アセンブリ30b、室内ユニット20c及び冷媒配管アセンブリ30c、室内ユニット20d及び冷媒配管アセンブリ30dがそれぞれ対になるように接続されている。
【0028】
各室内ユニット20a、20b、20c、20dの室内膨張弁22は、第2中間配管6及び後述する冷媒配管アセンブリの第2主管7dを介して液配管4に接続されており、当該室内膨張弁22としては、例えば電子膨張弁を採用することができる。室内熱交換器21としては、例えばクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用することができる。この室内熱交換器21の近傍にはモータにより回転駆動される室内ファン(図示せず)が配設されており、この室内ファンにより取り込まれる空気と室内熱交換器21のチューブ内を流れる冷媒とが熱交換するように構成されている。そして、この熱交換された空気によって、居室などが冷房又は暖房される。
【0029】
〔冷媒流路切換装置〕
冷媒流路切換装置30は、ケーシング31と、このケーシング31内に配設された複数の冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dとを備えている。
【0030】
ケーシング31は、ステンレス製の板材などで作製されており、略直方体の形状を呈している。図1では、このケーシング31を上方から見た図が模式的に示されており、当該ケーシング31の長手方向(図1において左右方向)に沿って4つの冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dが直線状に並んで配置されている。ケーシング31の一方の短側板31a(図1において左側の短側板)には、前述した低圧ガス配管2、高圧ガス配管3及び液配管4にロウ付けなどで接続される冷媒配管であって、前記ケーシング31から延設される冷媒配管を挿通させる孔(図示せず)が3つ形成されている。ケーシング31から延設される冷媒配管と、前述した低圧ガス配管2、高圧ガス配管3及び液配管4とは、当該ケーシング31外部においてロウ付けなどで互いに接続される。
また、ケーシング31の一方の長側板31b(図1において下側の長側板)には、前述した第1中間配管5及び第2中間配管6に、同じくロウ付けなどで接続される冷媒配管であって、前記ケーシング31から延設される冷媒配管を挿通させる孔(図示せず)が8つ形成されている。ケーシング31から延設される冷媒配管と、前述した第1中間配管5及び第2中間配管6とは、当該ケーシング31外部においてロウ付けなどで互いに接続される。
【0031】
ケーシング31の天板31cには、各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dに対応して、すなわち4つの冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dのそれぞれに対してウレタンなどの液状の発泡材をケーシング31内に注入するための注入口32が形成されている。この天板31cには、更に、前記低圧ガス配管2、高圧ガス配管3及び液配管4にそれぞれ接続されたケーシング内冷媒配管2a、3a、4aが配設されるスペースに対応して2つの注入口32が形成されている。これらの注入口32は、ケーシング31内に液状の発泡材を注入し、発泡・固化させて断熱材を形成した後にプラグやキャップなどで閉止される。なお、注入口32の数や位置は、本発明において特に限定されるものではなく、注入する発泡材の種類や量などに応じて適宜選定することができる。
【0032】
各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dは、冷媒配管である、第1分岐管7a、第2分岐管7b、第1主管7c及び第2主管7dを備えるとともに、2つの電磁弁33a、33bを備えている。
【0033】
第1主管7cの一端は前記第1中間配管5に接続され、他端は第1分岐管7a及び第2分岐管7bの一端にそれぞれ接続されている。第1分岐管7aの他端は高圧ガス配管3に接続され、第2分岐管7bの他端は低圧ガス配管2に接続されている。また、第2主管7dの一端は前記第2中間配管6に接続され、他端は液配管4に接続されている。
【0034】
電磁弁33aは第1分岐管7aに、電磁弁33bは第2分岐管7bにそれぞれ配設されている。これらの電磁弁33a、33bは、冷媒流路切換装置30の各冷媒配管アセンブリにおいて、冷媒の流れを許容又は遮断する制御弁として機能する。そして、これらの電磁弁33a、33bの開閉切換によって冷媒の流れを切り換えて、各室内ユニット20a、20b、20c、20dにおける冷暖房運転を個別に切り換えることができるように構成されている。
【0035】
〔仕切壁〕
ケーシング31内には、当該ケーシング31内の空間を前記冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30d毎に区画する仕切壁34が配設されている。本実施の形態における仕切壁34は、水平断面がコの字状の板材からなる4つの仕切壁ユニット34a、34b、34c、34dを接続することで形成されている。より詳細には、コの字状の板材の開口側が同一線上において同一方向(図1〜2の例では右側)を向くように4つの仕切壁ユニット34a、34b、34c、34dが連接されている。図1においては、分かり易くするために、隣接する仕切壁ユニット間、及び仕切壁ユニットとケーシング31の内壁との間に隙間が形成されているが、実際は図2に示されるように、仕切壁ユニットは、隣接する仕切壁ユニット及びケーシング31の内壁と接触するように配設される。
【0036】
前記コの字状の板材は、中央の矩形状の中央板部35と、この中央板部35の対向する辺から同一方向に延設された一対の対向板部36a、36bとからなっている。各対向板部36a、36bの辺であって前記中央板部35側の辺と反対側の辺(図2において右側の辺)には、対向する対向板部36a、36bに向かう方向に延びる屈曲部37a、37bが形成されている。本実施の形態における屈曲部37a、37bは、対向板部36a、36bに対して直角方向に曲げられている。
【0037】
中央板部35には補強用にリブ38が形成されている。このリブ38は、プレス加工などにより当該中央板部35と一体の形成されている。なお、リブ38は一対の対向板部36a、36bに形成してもよいし、また、別体のリブを中央板部35及び/又は一対の対向板部36a、36bに固着してもよい。
【0038】
図3は仕切壁の他の例を示している。この仕切壁44は、水平断面がL字状の板材からなる4つの仕切壁ユニット44a、44b、44c、44dを接続することで形成されている。より詳細には、短辺部45と長辺部46とからなるL字状の板材の当該短辺部45を接続することで一面の壁Wが形成されるように4つの仕切壁ユニット44a、44b、44c、44dが連接されている。このL字状の板材からなる仕切壁ユニットにおいても、短辺部45の辺であって前記長辺部46側の辺と反対側の辺(図3において左側の辺)には、長辺部46と平行に延びる屈曲部45aが形成されている。また、長辺部46の辺であって前記短辺部45側の辺と反対側の辺(図3において下側の辺)には、短辺部45と平行に延びる屈曲部46aが形成されている。また、長辺部46には補強用のリブ47が形成されている。
【0039】
図1に示される冷媒流路切換装置30では、ケーシング31内の空間が仕切壁34によって冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30d毎に区画されているので、ケーシング31内に液状の発泡材を充填するに際し、各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dを収容する空間に対し独立して発泡材を充填することができる。各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dを収容する空間は、ケーシング31内全体に比べ小さな空間であるので、その隅々まで発泡材を行き渡らせることができる。したがって、発泡材の未充填による空洞が形成されることがない。このため、空洞に起因して冷媒配管の表面に結露が発生し、水滴がケーシング31外に漏れるのを防止することができる。
【0040】
なお、図1〜3に示される実施の形態では、ケーシング内冷媒配管2a、3a、4aが配設される横長のスペースには仕切壁が形成されていない。これは、分岐管や弁類が存在する冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dは構造が複雑な状態であり、仕切壁によりスペースを小さく区画しないと発泡材を隅々まで充填させるのが難しいが、前記ケーシング内冷媒配管2a、3a、4aが配設される横長のスペースは、それほど配管などが複雑な状態ではないため、仕切壁を設けなくても発泡材を隅々まで充填させることが可能であるからである。ただし、発泡材の充填性をより確実にするために、前記横長のスペースの大きさ(ケーシング内に配設する冷媒配管アセンブリの数が多くなれば、前記横長のスペースも大きくなる)や、使用する発泡材の種類や量などによっては、前記横長のスペースに仕切壁を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、仕切壁34、44は、同一形状の仕切壁ユニットを接続することで形成することができるので、ケーシング31内に配設される冷媒配管アセンブリの数の変更などに容易に対応することができる。また、仕切壁ユニットは、同一形状であるので量産性に優れ、コストダウンを図ることができるとともに、保管・輸送が容易である。
【0042】
また、図2〜3に示される仕切壁34、44では、当該仕切壁34、44を構成する板材の縁部に屈曲部37、45a、46aが形成されているので、仕切壁34、44により区画される冷媒配管アセンブリ毎の空間内に注入された発泡材が、当該空間から外部に漏れ、さらにケーシング31に形成された冷媒配管挿通用の孔の内縁と当該冷媒配管との隙間からケーシング31外に漏れるのを防ぐことができる。
【0043】
仕切壁34、44により区画される冷媒配管アセンブリ毎の空間内に発泡材を充填するに際し、当該仕切壁34、44を構成する板材に発泡圧が作用するが、かかる板材に補強用のリブ38、47を形成することで、発泡圧によって板材が変形するのを抑制することができる。冷媒配管アセンブリ毎の空間内には、当該空間内を隅々まで充填するのに必要な量の発泡材が注入されるが、板材が変形すると、その分空間が広がるため発泡材の量が不足する惧れがある。しかしながら、補強用のリブ38、47により板材が変形するのを抑制することで、発泡材の未充填による空洞が形成されるのを防止することができる。
なお、過大な発泡圧による板材の変形を防止するために、当該板材に逃がし孔(図示せず)を形成してもよい。
【0044】
[空気調和装置の運転動作]
次に前述した空気調和装置ACの運転動作について、簡単に説明する。
〔冷房運転〕
まず、すべての室内ユニット20a、20b、20c、20dが冷房運転を行う場合について説明する。このような全冷房運転の場合、室外ユニット10では、電磁弁14aが閉状態に、電磁弁14bが開状態に、室外膨張弁13が全開状態にそれぞれ設定される。冷媒流路切換装置30の各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dでは、電磁弁33aが閉状態に、電磁弁33bが開状態にそれぞれ設定される。また、各室内ユニット20a、20b、20c、20dでは、室内膨張弁22が、居室などの設定温度に応じて適当な開度に設定される。
【0045】
この状態で圧縮機11を駆動させると、当該圧縮機11から吐出された高圧冷媒ガスは第2分岐管1cを通って室外熱交換器12へ流れる。冷媒は、この室外熱交換器12において、室外ファン17によって取り込まれた外気と熱交換して凝縮し、凝縮した冷媒は、主管1aを経由して液配管4へ流入する。液配管4を流れる冷媒は、ケーシング内冷媒配管(液配管)4a、各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dの第2主管7d及び第2中間配管6を通って、各室内ユニット20a、20b、20c、20dに流入する。
【0046】
各室内ユニット20a、20b、20c、20dに流入した冷媒は、室内膨張弁22により減圧された後、室内熱交換器21へ流れる。冷媒は、この室内熱交換器21において、図示しない室内ファンによって取り込まれた空気と熱交換して蒸発する。これにより、空気が冷却され、室内ユニットが配置された居室などの冷房が行われる。室内熱交換器21で蒸発したガス冷媒は、第1中間配管5を通って各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dへ流入する。
【0047】
冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dでは、ガス冷媒は、第1主管7c及び第2分岐管7bを通り、ケーシング内冷媒配管(低圧ガス配管)2aを経由して低圧ガス配管2へ流入する。低圧ガス配管2のガス冷媒は、室外ユニット10へ流入し、吸入菅1eを通って圧縮機11に戻り再び圧縮される。以上の動作が繰り返されることで、冷房運転が行われる。
【0048】
〔暖房運転〕
次に、すべての室内ユニット20a、20b、20c、20dが暖房運転を行う場合について説明する。このような全暖房運転の場合、室外ユニット10では、電磁弁14aが開状態に、電磁弁14bが閉状態に、室外膨張弁13が適切な開度にそれぞれ設定される。冷媒流路切換装置30の各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dでは、電磁弁33aが開状態に、電磁弁33bが閉状態にそれぞれ設定される。また、各室内ユニット20a、20b、20c、20dでは、室内膨張弁22が全開状態に設定される。
【0049】
この状態で圧縮機11を駆動させると、当該圧縮機11から吐出された高圧冷媒ガスは、高圧ガス配管3へ流入する。高圧ガス配管3を流れる冷媒は、ケーシング内冷媒配管(高圧ガス配管)3a、各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dの第1分岐管7a、第1主管7c及び第1中間配管5を通って、各室内ユニット20a、20b、20c、20dに流入する。
【0050】
各室内ユニット20a、20b、20c、20dに流入した冷媒は、室内熱交換器21へ流れる。冷媒は、この室内熱交換器21において、図示しない室内ファンによって取り込まれた空気と熱交換して凝縮する。これにより、空気が加熱され、室内ユニットが配置された居室などの暖房が行われる。室内熱交換器21で凝縮した冷媒は、第2中間配管6を通って各冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dへ流入する。
【0051】
冷媒配管アセンブリ30a、30b、30c、30dでは、冷媒は、第2主管7dを通ってケーシング内冷媒配管4aへ流入する。冷媒は、このケーシング内冷媒配管4aを経由して液配管4へ流入する。液配管4の冷媒は、室外ユニット10へ流入し、主管1aを流れる。この主管1aの冷媒は、室外膨張弁13で減圧された後、室外熱交換器12へ流入し、この室外熱交換器12で外気と熱交換して蒸発する。蒸発したガス冷媒は、第1分岐管14a及び吸入菅1eを通って圧縮機11に戻り再び圧縮される。以上の動作が繰り返されることで、暖房運転が行われる。
【0052】
〔冷暖房運転〕
次に、一部の室内ユニットで冷房を行い、残りの室内ユニットで暖房を行う場合について説明する。まず、前述した冷房運転時に室内ユニット20aだけ暖房運転に切り換える場合について説明する。なお、ここでは、前述した冷房運転と異なる点について説明する。
【0053】
冷房運転時に室内ユニット20aだけ暖房運転に切り換えて冷暖房運転を行う場合、当該室内ユニット20aに対応する冷媒配管アセンブリ30aの電磁弁33aが閉状態から開状態に、電磁弁33bが開状態から閉状態にそれぞれ切り換えられる。また、室内ユニット20aの室内膨張弁22が全開状態に設定される。そうすると、圧縮機11から吐出された高圧のガス冷媒は、一部が高圧ガス配管3へ流れ、残りが第2分岐管1へ流れる。高圧ガス配管3へ流れた高圧のガス冷媒は、ケーシング内冷媒配管3a、冷媒配管アセンブリ30aの第1分岐管7a、第1主管7c、及び第1中間配管5を通って、室内ユニット20aの室内熱交換器21へ流れる。
【0054】
冷媒は、この室内熱交換器21において、図示しない室内ファンによって取り込まれた空気と熱交換して凝縮する。これにより、空気が加熱され、室内ユニット20aが配置された居室などの暖房が行われる。室内熱交換器21で凝縮した冷媒は、第2中間配管6、及び冷媒配管アセンブリ30aの第2主管7d、ケーシング内冷媒配管4aを通って液配管4へ流入し、室外ユニット10からの冷媒と合流する。合流した冷媒は、他の室内ユニット20b、20c、20dの室内熱交換器21へ流れ、空気との熱交換により蒸発する。これにより、空気が冷却され、室内ユニットが配置された居室などの冷房が行われる。
【0055】
次に前述した暖房運転時に室内ユニット20aだけ冷房運転に切り換える場合について説明する。なお、ここでは、前述した暖房運転と異なる点について説明する。
暖房運転時に室内ユニット20aだけ冷房運転に切り換えて冷暖房運転を行う場合、当該室内ユニット20aに対応する冷媒配管アセンブリ30aの電磁弁33aが開状態から閉状態に、電磁弁33bが閉状態から開状態にそれぞれ切り換えられる。また、室内ユニット20aの室内膨張弁22は、居室などの設定温度に応じて適当な開度に設定される。そうすると、圧縮機11から吐出された高圧のガス冷媒は、他の冷媒配管アセンブリ30b、30c、30dへ流入し、さらに対応する室内ユニット20b、20c、20dの各室内熱交換器21へ流れて凝縮する。これにより、室内ユニット20b、20c、20dで暖房が行われる。
【0056】
室内ユニット20b、20c、20dの各室内熱交換器21で凝縮した冷媒は、第2中間配管6及び第2主管7、ケーシング内冷媒配管4aを通って液配管4へ流れる。液配管4を流れる冷媒は、一部が冷媒配管アセンブリ30a第2主管7を通って室内ユニット20aへ流入し、残りが室外ユニット10へ流入する。室内ユニット20aでは、冷媒が室内膨張弁22で減圧された後、室内熱交換器21で蒸発する。これにより、室内ユニット20aで冷房が行われる。室内ユニット20aの室内熱交換器21で蒸発したガス冷媒は、第1中間配管5を通って冷媒配管アセンブリ30aへ流入する。冷媒配管アセンブリ30aへ流入したガス冷媒は、第1主管7c及び第2分岐管7bを通り、ケーシング内冷媒配管2aを経由して低圧ガス配管2へ流入する。低圧ガス配管2の冷媒は、室外ユニット10の第1分岐管1bへ流入し、室外熱交換器12からの冷媒と合流する。合流後の冷媒は、吸入菅1eを通って再び圧縮機11へ戻る。
【0057】
本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。例えば、前述した実施の形態では、ケーシング内に4つの冷媒配管アセンブリが配設されているが、この冷媒配管アセンブリの配設数は、2〜3であってもよいし、また、5以上であってもよい。また、1つの冷媒配管アセンブリに対応して1つの室内ユニットを配設しているが、1つの冷媒配管アセンブリに2以上の室内ユニットを接続することもできる。
【0058】
また、前述した実施の形態では、低圧ガス配管、高圧ガス配管及び液配管にそれぞれ接続されたケーシング内冷媒配管(ケーシング内低圧ガス配管、高圧ガス配管及び液配管)から、各冷媒配管アセンブリの冷媒配管を分岐させているが、ケーシング内に低圧ガスヘッダ、高圧ガスヘッダ及び液ヘッダを配設し、各ヘッダから冷媒配管アセンブリの冷媒配管を分岐させることもできる。この場合、ケーシング内の低圧ガスヘッダ、高圧ガスヘッダ及び液ヘッダから当該ケーシング外に延設した接続管に、低圧ガス配管、高圧ガス配管及び液配管がそれぞれ接続される。
また、所望により、冷媒配管アセンブリに、過冷却回路を構成する過冷却用熱交換器及び過冷却用配管などの機器や配管を設けることもできる。
【符号の説明】
【0059】
1a 主管
1b 第1分岐管
1c 第2分岐管
1d 吐出管
1e 吸入菅
2 低圧ガス配管
3 高圧ガス配管
4 液配管
5 第1中間配管
6 第2中間配管
10 室外ユニット
11 圧縮機
12 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
13 室外膨張弁
14a 電磁弁
14b 電磁弁
15 アキュムレータ
17 室外ファン
20 室内ユニット
21 室内熱交換器(利用側熱交換器)
22 室内膨張弁
30 冷媒流路切換装置
30a 冷媒配管アセンブリ
30b 冷媒配管アセンブリ
30c 冷媒配管アセンブリ
30d 冷媒配管アセンブリ
31 ケーシング
34 仕切壁
34a 仕切壁ユニット
34b 仕切壁ユニット
34c 仕切壁ユニット
34d 仕切壁ユニット
35 中央板部
36 対向板部
37 屈曲部
38 リブ
44 仕切壁
44a 仕切壁ユニット
44b 仕切壁ユニット
44c 仕切壁ユニット
44d 仕切壁ユニット
45 短辺部
46 長辺部
47 リブ
AC 空気調和装置
R 冷媒回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源側熱交換器(12)と複数の利用側熱交換器(21)とを有する冷媒回路(R)に設けられる冷媒流路切換装置(30)であって、
ケーシング(31)と、このケーシング(31)内に配設されており、それぞれが冷媒配管(7a、7b、7c、7d)及び冷媒流れを制御する制御弁(33a、33b)を備えた複数の冷媒配管アセンブリ(30a、30b、30c、30d)とからなり、
前記ケーシング(31)内には発泡材が充填されており、且つ、
前記ケーシング(31)内の空間を冷媒配管アセンブリ(30a、30b、30c、30d)毎に区画して各冷媒配管アセンブリ(30a、30b、30c、30d)を収容する空間に対し独立して発泡材を充填するための仕切壁(34、44)が前記ケーシング(31)内に配設されていることを特徴とする冷媒流路切換装置(30)。
【請求項2】
前記仕切壁(34、44)は、互いに同一形状の複数の仕切壁ユニット(34a、34b、34c、34d、44a、44b、44c、44d)を接続して形成されている請求項1に記載の冷媒流路切換装置(30)。
【請求項3】
前記仕切壁ユニット(34a、34b、34c、34d)は、水平断面がコの字状の板材からなり、当該コの字状の板材の開口側が同一線上において同一方向を向くように複数の仕切壁ユニット(34a、34b、34c、34d)が連接されている請求項2に記載の冷媒流路切換装置(30)。
【請求項4】
前記仕切壁ユニット(44a、44b、44c、44d)は、水平断面がL字状の板材からなり、当該L字状の板材の短辺部(45)の接続により一面の壁(W)が形成されるように複数の仕切壁ユニット(44a、44b、44c、44d)が連接されている請求項2に記載の冷媒流路切換装置(30)。
【請求項5】
前記コの字状の板材は、中央の矩形状の中央板部(35)と、この中央板部(35)の対向する辺から同一方向に延設された一対の対向板部(36)とからなり、各対向板部(36)の辺であって前記中央板部(35)側の辺と反対側の辺には、対向する対向板部(36)に向かう方向に延びる屈曲部(37)が形成されている請求項3に記載の冷媒流路切換装置(30)。
【請求項6】
前記板材に補強用のリブ(38、47)が形成されている請求項3〜5のいずれかに記載の冷媒流路切換装置(30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−286129(P2010−286129A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138123(P2009−138123)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)