説明

冷暖房システム

【課題】自然エネルギーを上手く活用すると共に、快適な空間を提供することが可能な冷暖房システムを得る。
【解決手段】室内14の温度が設定温度以上になると、ルーバー部材20の集光量を減少させ隣接するルーバー部材20間の隙間を利用し放熱効果によって室内14の温度を下げる。また、室内14の温度が設定温度未満になると、ルーバー部材20の集光量を増大させルーバー部材20による集熱効果によって室内14の温度を上昇させる。つまり、ルーバー部材20の閉状態では窓際の暖房効果が向上し、ルーバー部材20の開状態では室内14の熱の放出効果が向上する。このように、太陽光エネルギーを上手く活用し、ルーバー部材20の集光面20Aの角度を調整するだけで室内14の温度を調整することができ、従来よりも快適な空間を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の冷暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプ内に冷水又は温水を流して室内の冷暖房と行うという冷暖房システムがあった。しかし、冷水及び温水を組み合わせて制御を行う場合、室内の窓際ではない場所に冷暖房システムが設けられていると太陽光のような自然エネルギーを上手く活用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―170532号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、自然エネルギーを上手く活用すると共に、快適な空間を提供することが可能な冷暖房システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の冷暖房システムは、室内に設置されるルーバーを構成し、複数配置され回転可能に支持されて回転角度によって集光量が変わると共に、内部に流体が流動可能なパイプが設けられたルーバー部材と、前記パイプ内へ冷水又は温水を供給する供給手段と、室内の温度を検出する温度センサーと、前記温度センサー及び前記供給手段が接続され、前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記供給手段によって前記パイプ内へ冷水又は温水が供給されるように制御する制御手段と、を有する。
【0006】
請求項1に記載の冷暖房システムでは、室内に設置されるルーバーが複数のルーバー部材によって構成されている。このルーバー部材は回転可能に支持されており、回転角度によって集光量が変えられるようになっている。また、ルーバー部材の内部には、流体が流動可能なパイプが設けられており、供給手段によって当該パイプ内へは冷水又は温水が供給される。
【0007】
一方、室内の温度を検出する温度センサーが設けられている。この温度センサーには供給手段と共に制御手段が接続されており、温度センサによって検出された温度に基づいて、供給手段によってパイプ内へ冷水又は温水が供給されるように制御されている。
【0008】
ここで、ルーバーを窓際に設置することで、ルーバー部材の集光量が増加する閉状態では、窓際などいわゆるペリメータゾーンにおける暖房効果が向上し、ルーバー部材の集光量が減少する開状態では、室内の熱の放出効果が向上する。このため、太陽光エネルギーを上手く活用し、ルーバー部材の回転角度を調整するだけで、室内の温度調整が可能となる。そして、ペリメータゾーンとインテリアゾーンとの温度差を小さくすることで、ペリメータゾーンの空調負荷を軽減させることができる。
【0009】
また、温度センサーによって検出された温度に基づいて、制御手段によってルーバー部材のパイプ内へ冷水又は温水が供給されるように制御される。このため、例えば、夏期において、室内の温度が予め設定された温度以上になると、ルーバー部材のパイプ内へ冷水が流れ当該ルーバー部材を介して輻射熱による冷房がなされる。この状態で、ルーバー部材を開状態にして集光量を減少させることで、冷房負荷を軽減させることができる。
【0010】
また、冬期において、室内の温度が予め設定された温度未満になると、ルーバー部材のパイプ内へ温水が流れ当該ルーバー部材を介して輻射熱による暖房がなされる。この状態で、ルーバー部材を閉状態にして集光量を増加させることで、暖房負荷を軽減させることができる。
【0011】
請求項2に記載の冷暖房システムは、請求項1に記載の冷暖房システムにおいて、前記ルーバー部材を所定の角度に回転させる回転手段を備え、前記回転手段が前記制御手段と接続され、当該制御手段は前記ルーバー部材が所定の角度に回転するように制御する。
【0012】
請求項2に記載の冷暖房システムでは、ルーバー部材を所定の角度に回転させる回転手段を備えており、当該回転手段が制御手段と接続されている。そして、制御手段によってルーバー部材が所定の角度に回転するように制御されることで、ルーバー部材の集光面の角度を調整して室内の温度を調整することができる。つまり、ルーバー部材の閉状態では、室内の温度を上昇させ、ルーバー部材の開状態では、室内の温度を下げることができる。
【0013】
請求項3に記載の冷暖房システムは、請求項1又は2に記載の冷暖房システムにおいて、前記供給手段が集熱器及び電気温水器と接続され、前記パイプ内へ温水が供給されるときには、前記制御手段は前記集熱器が前記電気温水器に優先して使用されるように制御する。
【0014】
一般に、集熱器は天候によって左右され、曇りや雪、雨の日が続く場合には、連続して温水を供給することができない。このため、請求項3に記載の冷暖房システムでは、供給手段が集熱器及び電気温水器と接続されているため、曇りや雪、雨の日が続く場合には、電気温水器を利用することができ、天候に左右されず連続して温水を供給することができる。そして、制御手段によって集熱器が電気温水器に優先して使用されるように制御することで、集熱器及び電気温水器の運転を最適な状態で使用することができる。
【0015】
請求項4に記載の冷暖房システムは、請求項1〜3の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記ルーバー部材の集光量が増加する閉状態では、前記制御手段は前記パイプ内へ温水が供給されるように制御する。
【0016】
ルーバー部材の閉状態では集光量が増加する。このため、請求項4に記載の冷暖房システムでは、ルーバー部材の閉状態で当該ルーバー部材のパイプ内へ温水が供給されるため、室内の暖房効果を向上させることができ、暖房負荷を軽減させることができる。
【0017】
請求項5に記載の冷暖房システムは、請求項1〜4の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記ルーバー部材の集光量が一番小さくなった開状態では、前記制御手段は前記パイプ内へ冷水が供給されるように制御する。
【0018】
ルーバー部材の開状態では集光量が減少する。このため、請求項5に記載の冷暖房システムでは、ルーバー部材の開状態で当該ルーバー部材のパイプ内へ冷水が供給されるため、室内の冷房効果を向上させることができ、冷房負荷を軽減させることができる。
【0019】
請求項6に記載の冷暖房システムは、請求項1〜5の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記制御手段は前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記パイプ内へ供給する冷水又は温水の量を制御する。
【0020】
請求項6に記載の冷暖房システムでは、温度センサーによって検出された温度に基づいて、制御手段によってルーバー部材のパイプ内へ供給する冷水又は温水の量が制御される。これにより、目的の温度と現在の温度との温度差に応じて、冷水又は温水の量を変えることができる。
【0021】
請求項7に記載の冷暖房システムは、請求項1〜6の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記制御手段は前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記ルーバー部材の回転角度を変えるように制御する。
【0022】
請求項7に記載の冷暖房システムでは、温度センサーによって検出された温度に基づいて、制御手段によってルーバー部材の回転角度が変わるように制御される。これにより、ルーバー部材の集光量を増大させルーバー部材による集熱効果によって室内の温度を上昇させることができる。また、ルーバー部材の集光量を減少させ隣接するルーバー部材間の隙間を利用し放熱効果によって室内の温度を下げることができる。
【0023】
請求項8に記載の冷暖房システムは、請求項1〜7の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記ルーバー部材のパイプが、床暖房システムを構成する床下パイプと連通可能に接続されている。
【0024】
一般に、ペリメータゾーンでは室内内部のインテリアゾーンよりも放熱されやすい。このため、請求項8に記載の冷暖房システムでは、ルーバー部材のパイプが、床暖房システムを構成する床下パイプと連通可能に接続されている。これにより、例えば冬期において床下パイプに加えルーバー部材のパイプ内へ温水を流すようにして、ペリメータゾーンにおける放熱を防止することができる。
【0025】
請求項9に記載の冷暖房システムは、請求項1〜8の何れか一方に記載の冷暖房システムにおいて、前記制御手段がホーム・エネルギー・マネージメント・システム(HEMS)により制御されている。
【0026】
請求項9に記載の冷暖房システムでは、制御手段がHEMSにより制御されることで、集熱器及び電気温水器等の運転を最適な状態(例えば、深夜電力を利用した電気温水器の利用)にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように請求項1に記載の建物によれば、自然エネルギーを上手く活用すると共に、快適な空間を提供することが可能である、という優れた効果を有する。
【0028】
請求項2に記載の建物によれば、ルーバー部材の回転角度(集光量)を変えるだけで室内の温度を調整することができる、という優れた効果を有する。
【0029】
請求項3に記載の建物によれば、天候に左右されず連続して温水を供給することができる、という優れた効果を有する。
【0030】
請求項4に記載の建物によれば、ルーバー部材の集光量と連動してルーバー部材のパイプ内へ温水を供給して暖房効果を向上させる、という優れた効果を有する。
【0031】
請求項5に記載の建物によれば、ルーバー部材の集光量と連動してルーバー部材のパイプ内へ冷水を供給して冷房効果を向上させる、という優れた効果を有する。
【0032】
請求項6に記載の建物によれば、目的の温度と現在の温度との温度差が大きい場合でも短時間で目的の温度に近づけることができる、という優れた効果を有する。
【0033】
請求項7に記載の建物によれば、ルーバー部材の回転角度を変えるだけで室内の温度を調整することができる、という優れた効果を有する。
【0034】
請求項8に記載の建物によれば、暖房効果を向上させることができると共に空調負荷を下げることができる、という優れた効果を有する。
【0035】
請求項9に記載の建物によれば、省エネを実現することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態に係る冷暖房システムの構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る冷暖房システムが適用されたルーバーを示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る冷暖房システムが適用されたルーバーを構成するルーバー部材の要部を拡大した斜視図である。
【図4】(A)はルーバー部材の開状態を示す水平断面図、(D)はルーバー部材の閉状態を示す水平断面図であり、(B)、(D)はルーバー部材が開状態から閉状態へ回転移動する途中の状態を示す水平断面図である。
【図5】本実施形態に係る冷暖房システムの構成を示すブロック図である
【図6】本実施形態に係る冷暖房システムの構成の変形例を示すブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施の形態に係る冷暖房システムについて説明する。
図1には、建物12の室内14に設けられ本実施の形態に係る冷暖房システム10の構成を示す模式図が示されており、図2には、当該冷暖房システム10が適用されたルーバー18の斜視図が示されている。
【0038】
(冷暖房システムの構成)
図1及び図2に示されるように、例えば冷暖房システム10にはサッシ16と対向して室内側に配置されたルーバー18が備わっており、当該ルーバー18を構成するルーバー部材20は鉛直方向に沿って立設され、所定のピッチで複数配列されている。また、ルーバー部材20は腰高の高さとなるように設定されており、サッシ16の上部側は開放され当該サッシ16を通じて室内から屋外への透視が可能とされている。
【0039】
ここで、ルーバー部材20は 図3に示されるように、水平断面形状が矩形状を成しており、長手方向の一方の面が集光面20Aとされている。ルーバー部材20の内部には中空部22が設けられており、中空部22の中央部には、冷水又は温水が流動可能なパイプ24が設けられている。パイプ24は、ルーバー18の長手方向の一端部から他端部に亘って互いに繋がっており、1本のパイプ24が隣接するルーバー部材20間でジグザグ状となるように配設されている。
【0040】
また、ルーバー部材20はパイプ24を中心に回転可能とされている(図4(A)〜(D)参照)。ルーバー部材20の回転手段27として、例えば、図4(A)に示されるように、リンク28、32が用いられている。ルーバー部材20の角部の1つには、連結ピン26が回転可能に連結されており、当該連結ピン26はルーバー部材20の配列方向に沿って延設されたリンク28に固定されている。このため、当該リンク28が延設方向に沿って直線移動すると、連結ピン26を介してパイプ24を中心にルーバー部材20が回転可能とされる。
【0041】
リンク28の長手方向の一端部には、連結ピン30が固定されており、当該連結ピン30にはリンク32の長手方向の一端部が回転可能に連結されている。また、リンク32の長手方向の他端部にはステッピングモータ34が連結されている。このステッピングモータ34は制御手段としての制御装置36と接続されており、当該制御装置36によって制御されている。
【0042】
また、ステッピングモータ34のステップ角度は、例えば、図4(A)〜(D)に示されるように、約30度に設定されており、ステッピングモータ34の回転によってリンク32がその長手方向の他端部を中心に揺動可能とされる。
【0043】
なお、ここではリンク28、32を用い、ステッピングモータ34によってリンク32を介してリンク28を直線移動させるようにしたが、ルーバー部材20を回転させることができれば良いためこれに限るものではない。例えば、ソレノイド等を用いて直接リンク28を直線移動させるようにしても良い。さらに、手動によりルーバー部材20が回転可能となるようにしても良い。
【0044】
ところで、図5に示されるように、冷暖房システム10は、温水を供給するための温水器38と、冷水を供給するための給水器40と、冷水又は温水をパイプ24へ供給するための供給手段としての供給ポンプ44と、供給ポンプ44等を作動させる制御装置36と、を含んで構成されている。そして、制御装置36は住宅内のエネルギの管理や制御を行うHEMS(Home Energy Management System)により制御される。
【0045】
なお、温水器38として、集熱器48と電気温水器50とが併用され、集熱器48によって集熱された太陽熱は蓄熱槽42によって蓄熱されるようになっている。そして、この蓄熱された熱によって冷水又は温水が生成され、蓄熱槽42の内部に設けられた冷水タンク又は温水タンク45内に貯留される(図1参照)。ここで、例えば冷水タンクはいわゆる給水器40として用いられる。以下、給水器40を冷水タンク40という。
【0046】
集熱器48の場合、夜間では太陽熱を集熱することができず、また天候が悪い場合も太陽熱を集熱することはできない。しかし、電気温水器50の場合、電気によって冷水又は温水が生成されるため、天候や時間に左右されることはない。このため、集熱器48及び電気温水器50を併用することで、天候に左右されずに冷水又は温水を連続して生成することができる。そして、集熱器48又は電気温水器50によって生成された冷水又は温水は供給ポンプ44を介してパイプ24内へ供給されるが、冷水又は温水の量は制御装置36によって制御されるようになっている。
【0047】
電気温水器50としては、例えば自然冷媒ヒートポンプ式のものやヒーター式のものが使用される。蓄熱槽42はこの電気温水器50にも接続されており、電気温水器50を介して深夜電力によって生成された冷水又は温水が蓄熱槽42内に貯留される。これにより、冷水又は温水を生成するためのコストを低減させることができる。
【0048】
そして、制御装置36によって集熱器48が電気温水器50に優先して使用されるように制御されている。つまり、制御装置36がHEMSにより制御されることで、集熱器48及び電気温水器50の運転を最適な状態で使用することができる。
【0049】
一方、図1に示されるように、室内14の床部52にはいわゆる床暖房システム54が備わっている。この床暖房システム54では温水式床暖房が適用されており、床部52の内部には温水が流動可能な床下パイプ56が配設されている。なお、ここでは床暖房システムとして温水式床暖房が用いられているが、温水及び冷水式床暖房を用いても良い。
【0050】
一例として、床下パイプ56は、室内14の幅方向(サッシ16と直交する方向)に沿って、かつ室内14の長手方向の一端側から他端側へ向かってジグザグ状となるように配設されている。そして、床下パイプ56の一端部及び他端部は温水タンク45と接続され、床下パイプ56内へ供給(矢印A)された温水は温水タンク45へ戻る(矢印B)こととなる。つまり、床部52内を流れる温水は循環している。
【0051】
また、床下パイプ56における室内14のルーバー18側には、室内14の長手方向の一端側及び他端側にそれぞれ開閉バルブ58、60が設けられている。開閉バルブ58には連結パイプ25の一端部が接続されており、連結パイプ25の他端部はルーバー18に配設されたパイプ24と接続されている。また、開閉バルブ60にはルーバー18のパイプ24が接続されている。
【0052】
そして、これらの開閉バルブ58、60は制御装置36(図5参照)に接続されており、当該制御装置36による制御によって開閉バルブ58、60の開閉が制御されている。例えば、開閉バルブ58が開放されると、連結パイプ25を介して床部52の床下パイプ56とルーバー18のパイプ24とが連通し、床下パイプ56を流れる冷水又は温水(矢印C)はパイプ24内へ供給(矢印D)される。
【0053】
そして、開閉バルブ60が開放されると、ルーバー18のパイプ24と床部52の床下パイプ56とが連通し、パイプ24内を流れる冷水又は温水(矢印E)は床下パイプ56内を流れる冷水又は温水(矢印F)と合流して床下パイプ56内を流れる(矢印G)。
【0054】
また、パイプ24と冷水タンク40との間には、開閉バルブ62が設けられている、この開閉バルブ62は制御装置36(図5参照)と接続されており、当該制御装置36による制御によって開閉バルブ62の開閉が制御されている。そして、開閉バルブ58が開放された状態ではこの開閉バルブ62は閉止され、開閉バルブ62が開放された状態では開閉バルブ58は閉止される。
【0055】
一方、図5に示されるように、制御装置36には、室内の温度を検出する温度センサー64が接続されている。このため、例えば、温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度以上になると、制御装置36による制御によって、冷水タンク40(図1参照)内の冷水が供給ポンプ44によってパイプ24内へ供給される。また、温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度未満になると、制御装置36による制御によって、温水タンク45(図1参照)内の温水が供給ポンプ44によってパイプ24(図1参照)へ供給される。
【0056】
なお、ここでは、供給ポンプ44を冷水タンク40用と温水タンク45用とで兼用しているが、冷水タンク40用と温水タンク45用とで専用の供給ポンプを設けても良い。また、温水が供給されるときの設定温度と冷水が供給されるときの設定温度は、同じであっても良いし異なっていても良い。
【0057】
(冷暖房システムの作用・効果)
次に、本実施の形態に係る冷暖房システムの作用・効果について説明する。
【0058】
図4(A)〜(D)に示されるように、ルーバー18を構成するルーバー部材20が回転可能に設けられており、ルーバー部材20の角部に連結された連結ピン26を介してルーバー部材20がリンク28に固定されている。そして、リンク28は連結ピン30を介してステッピングモータ34に接続されたリンク32と連結されている。
【0059】
ステッピングモータ34は制御装置36(図5参照)と接続されているため、制御装置36による制御によってステッピングモータ34が駆動すると、リンク32が他端部を中心に揺動し、これによりリンク32の一端部が連結ピン30を中心に回転すると共に、当該連結ピン30を介してリンク28との間の成す角度を変えながらリンク28をその延設方向に沿って直線移動させる。これにより、リンク28に固定された連結ピン26を中心にルーバー部材20がパイプ24を中心に回転することとなる。
【0060】
そして、ここでは、図4(A)に示されるように、ステッピングモータ34による回転角度が約0度の状態では、ルーバー部材20の集光面20Aがサッシ16(図1参照)と略直交して配置され、集光量は最小となり集熱効果は一番小さくなる。
【0061】
また、図4(D)に示されるように、ステッピングモータ34による回転角度が約90度の状態では、ルーバー部材20の集光面20Aがサッシ16(図1参照)と略平行して配置され、集光量は最大となり集熱効果は一番大きくなる。
【0062】
つまり、図4(A)で示すルーバー部材20の開状態から図4(D)で示すルーバー部材20の閉状態までルーバー部材20が回転する間に、ルーバー部材20の集光量は増加し、集熱効果は徐々に大きくなることとなる。
【0063】
一方、図5に示されるように、制御装置36には室内14(図1参照)の温度を検出する温度センサー64が接続されている。このため、温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度以上になると、制御装置36はステッピングモータ34を駆動させ、ルーバー部材20(図4(A)参照)を開方向へ回転させる。これにより、ルーバー部材20の集光量を減少させ隣接するルーバー部材20間の隙間を利用し放熱効果によって室内14の温度を下げることができる。
【0064】
また、温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度未満になると、制御装置36はステッピングモータ34を駆動させ、ルーバー部材20を閉方向へ回転させる。これにより、ルーバー部材20の集光量を増大させルーバー部材20による集熱効果によって室内14の温度を上昇させることができる。
【0065】
つまり、ルーバー部材20の開状態では、室内14の熱の放出効果が向上し、ルーバー部材20の閉状態では、窓際の暖房効果が向上する。このように、太陽光エネルギーを上手く活用し、ルーバー部材20の集光面20Aの角度を調整するだけで室内14の温度を調整することができ、これによって快適な空間を得ることができる。
【0066】
また、図3に示されるように、ルーバー部材20の内部にはパイプ24が設けられており、当該パイプ24内には冷水又は温水が流れるようになっている。そして、図5に示す温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度以上になると、制御装置36によって冷水タンク40(図1参照)内の冷水が供給ポンプ44を介してパイプ24内へ供給される。つまり、ルーバー部材20を介して輻射熱による冷房がなされる。
【0067】
また、温度センサー64により検出された温度が予め設定された設定温度未満になると、制御装置36によって、温水タンク45(図1参照)内の温水が供給ポンプ44を介してパイプ24内へ供給される。つまり、ルーバー部材20を介して輻射熱による暖房がなされる。
【0068】
このため、ルーバー部材20のパイプ24内に冷水が供給されるときは、ルーバー部材20を開状態にして集光量を減少させルーバー部材20による放熱効果を利用して室内14の温度を下げることができ、冷房負荷を軽減させることができる。また、ルーバー部材20のパイプ24内に温水が供給されるときは、ルーバー部材20を閉状態にして集光量を増大させルーバー部材20による集熱効果を利用して室内14の温度を上昇させることができ、暖房負荷を軽減させることができる。
【0069】
このように、ルーバー部材20の集光面の角度とルーバー部材20のパイプ24内へ冷水又は温水を供給することを連動して行うことによって、冷房又は暖房効果を向上させ、空調負荷を軽減させることができる。
【0070】
また、冷水又は温水の量は制御装置36によって制御されるようになっている。このため、温度センサー64によって検出された温度に基づき、目的の温度と現在の温度との温度差に応じて、冷水又は温水の量を変えることで、目的の温度と現在の温度との温度差が大きい場合でも短時間で目的の温度に近づけることができる。
【0071】
ここで、図1に示されるように、室内14の床部52にはいわゆる床暖房システム54が備わっており、床暖房システム54を構成する床下パイプ56がパイプ24と接続可能とされている。このため、例えば、夏期において、パイプ24内へ冷水を供給する場合、開閉バルブ62及び開閉バルブ60は開放され、開閉バルブ58は閉止される。
【0072】
そして、冷水タンク40から供給された冷水はパイプ24へ供給(矢印D)され、各ルーバー部材20内を通過(矢印E)し、開閉バルブ60を経て矢印Gに沿って床下パイプ56を通じて温水タンク45へ戻される(矢印B)。
【0073】
一方、冬期において、パイプ24内へ温水を供給する場合、開閉バルブ58及び開閉バルブ60は開放され、開閉バルブ62は閉止される。そして、温水タンク45から供給された温水は床下パイプ56へ供給(矢印A、矢印C)されると共に、開閉バルブ58から連結パイプ25を介してパイプ24へ供給(矢印D)され、各ルーバー部材20内を通過し、開閉バルブ60を経て床下パイプ56内の温水(矢印F)と合流して矢印Gに沿って床下パイプ56を通じて温水タンク45へ戻される(矢印B)。
【0074】
一般に、窓際のいわゆるペリメータゾーンでは室内内部のインテリアゾーンよりも放熱されやすい。このため、ペリメータゾーンに設けられたルーバー部材20のパイプ24が、床暖房システム54を構成する床下パイプ56と連通可能とし、冬期において、床下パイプ56に加えルーバー部材20のパイプ24内へ温水を流すようにすることで、暖房効果を向上させることができると共に空調負荷を下げることができ、省エネを実現させることができる。
【0075】
ところで、本実施形態では、温水器38として、図5に示されるように、集熱器48と電気温水器50とが併用されている。これにより、天候に左右されず連続して冷水又は温水を供給することができる。そして、制御装置36によって、集熱器48が優先して使用されるように制御されている。このように、太陽光エネルギーを有効活用することで省エネを実現することができる。また、電気温水器50のみを使用した場合と比較してランニングコストを下げることができる。
【0076】
そして、ここでは、HEMS(制御装置36)により冷暖房システム10を制御する方法として、集熱器48によって集熱された太陽熱を蓄熱槽42によって蓄熱されるようにし、また電気温水器50において深夜電力を利用する等して集熱器48及び電気温水器50の運転を最適な状態にするようにしたがこれ以外の方法であっても良い。
【0077】
例えば、蓄電機能を備えたHEMS(制御装置46)により冷暖房システム10を制御するようにしても良い。この場合、集熱器48に代えて太陽光によるエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電装置が用いられる。例えば、図6に示されるように、太陽光発電装置66は、パワーコントロールシステム(図示省略)を含んで構成されており、太陽光発電装置66によって発電された直流電力が、パワーコントロールシステムによって交流電力に変換されて分電盤70に供給され、建物12内に電力が供給される。
【0078】
また、太陽光発電装置66の発電電力を蓄電する蓄電池72を備え、制御装置46により分電盤70が制御される。この分電盤70には電力会社から供給される系統電力74、及び蓄電池72が接続されるようにする。これにより、太陽光発電装置66によって発電された電力の他に、系統電力74や蓄電池72に蓄電された電力を住宅に供給することが可能とされると共に、太陽光発電装置66や系統電力74によって蓄電池72を充電することが可能とされる。なお、蓄電池72は、リチウムイオン電池、鉛電池、ナトリウム電池等の各種蓄電池を適用することができる。
【0079】
また、ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載された車両用蓄電池76を充電するための充電スタンド78を備えることで、当該充電スタンド78と分電盤70とを接続させ、分電盤70から充電スタンド78に電力を供給して車両用蓄電池76を充電することが可能とされる。この場合、充電スタンド78は、非常時などの場合、車両用蓄電池76から交流に電力を変換して分電盤70に電力を供給可能とされる。
【0080】
また、分電盤70には、冷暖房システム10を含む住設機器や家電機器80等が接続される。すなわち、太陽光発電装置66による発電電力や、系統電力74、蓄電池72に蓄電された電力などの電力が分電盤70を介して家電機器80や冷暖房システム10等に供給されることとなる。
【0081】
つまり、このように、HEMS(制御装置46)は、分電盤70を制御することにより、太陽光発電装置66の発電電力、蓄電池72の電力、及び系統電力74の何れかを住宅へ供給するために電力の切換制御等を行う。例えば、昼間は太陽光発電装置66で得られた電力等を蓄電池72に蓄えると共に夜間は料金が安い深夜電力を蓄電池72に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池72で蓄電した電力を放電して利用するといった使い方ができる。つまり、時間帯に応じて電力を蓄電又は放電して互いに使い分けることができ、経済的である。
【0082】
なお、上記構成および制御は一例であり、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0083】
10 冷暖房システム
12 建物
18 ルーバー
20 ルーバー部材
24 パイプ
27 回転手段
36 制御装置(制御手段)
44 供給ポンプ(供給手段)
46 制御装置(制御手段)
48 集熱器
50 電気温水器
54 床暖房システム
56 床下パイプ
64 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置されるルーバーを構成し、複数配置され回転可能に支持されて回転角度によって集光量が変わると共に、内部に流体が流動可能なパイプが設けられたルーバー部材と、
前記パイプ内へ冷水又は温水を供給する供給手段と、
室内の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサー及び前記供給手段が接続され、前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記供給手段によって前記パイプ内へ冷水又は温水が供給されるように制御する制御手段と、
を有する冷暖房システム。
【請求項2】
前記ルーバー部材を所定の角度に回転させる回転手段を備え、
前記回転手段が前記制御手段と接続され、当該制御手段は前記ルーバー部材が所定の角度に回転するように制御する請求項1に記載の冷暖房システム。
【請求項3】
前記供給手段が集熱器及び電気温水器と接続され、前記パイプ内へ温水が供給されるときには、前記制御手段は前記集熱器が前記電気温水器に優先して使用されるように制御する請求項1又は2に記載の冷暖房システム。
【請求項4】
前記ルーバー部材の集光量が増加する閉状態では、前記制御手段は前記パイプ内へ温水が供給されるように制御する請求項1〜3の何れか一方に記載の冷暖房システム。
【請求項5】
前記ルーバー部材の集光量が減少する開状態では、前記制御手段は前記パイプ内へ冷水が供給されるように制御する請求項1〜4の何れか一方に記載の冷暖房システム。
【請求項6】
前記制御手段は前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記パイプ内へ供給する冷水又は温水の量を制御する請求項1〜5の何れか一方に記載の冷暖房システム。
【請求項7】
前記制御手段は前記温度センサーによって検出された温度に基づいて前記ルーバー部材の回転角度を変えるように制御する請求項1〜6の何れか一方に記載の冷暖房システム。
【請求項8】
前記ルーバー部材のパイプが、床暖房システムを構成する床下パイプと連通可能に接続された請求項1〜7の何れか一方に記載の冷暖房システム。
【請求項9】
前記制御手段がホーム・エネルギー・マネージメント・システムにより制御されている請求項1〜8の何れか1項に記載の冷暖房システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−241974(P2012−241974A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112162(P2011−112162)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】