説明

冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具

【課題】冷蔵コンテナ内に収容した荷物を木枠を用いることなく水平方向に移動しないように固定する。
【解決手段】固定金具10は、コンテナの底面に設けられた支持レール20の水平部22の上面に載置されて荷物Gの一側に当接してこの荷物Gの水平方向の移動を規制するストッパ部材11と、ストッパ部材11の上面に頭部12aが係止されていてねじ部12bが互いに隣り合う水平部22、22間から互いに隣り合う垂直部21、21間に延びるねじ部材12と、ねじ部材12に螺合された係止板13とを備えている。固定金具10の係止板13は、ねじ部材12を回転させたときに切除されてない一対の対角部分が互いに隣り合う垂直部21、21に当たって回らないようになり、上方に移動して支持レール20の水平部22、22の下面に係止してストッパ部材11を支持レール20に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーファーコンテナ等の冷蔵コンテナ内に収容した荷物が水平方向に移動しないように固定する固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
常温の貨物を輸送するドライコンテナは底面に合板が敷き詰められており、コンテナの幅方向及び奥行き方向の長さと異なる荷物を収容したときには、荷物の移動を規制したい側の底面の合板に角材を釘等で打ち付けて荷物が移動しないようにしている。これに対し、リーファーコンテナ等の冷蔵コンテナは、その底面に奥行き方向に延びる金属製よりなるT字形の複数の支持レールがコンテナの幅方向に敷き詰められているので、コンテナの幅方向及び奥行き方向の長さが異なる荷物を収容したときには、荷物が移動しないように荷物の移動を規制したい側の底面に角材を釘等で打ち付けることができなかった。そこで、このような冷蔵コンテナCでは、コンテナの幅方向及び奥行き方向の長さと異なる荷物Gを収容したときには、図5に示すように、井桁状に組んだ木枠Fにより荷物Gが輸送中に動かないように固定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、冷蔵コンテナCにおいては、コンテナの幅方向及び奥行き方向の長さと異なる荷物を収容したときに、井桁状に組んだ木枠Fにより荷物の移動を規制している。しかし、井桁状の木枠Fは、多くの木材を使用しているのでコストが高くなる問題があった。また、井桁状の木枠Fは、他の荷物を輸送するときにその大きさが異なると再利用しにくくて破棄されることが多く、環境に与える負荷が大きいという問題があった。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、コンテナの底面に奥行き方向に延びる垂直部とこの垂直部の上端に設けられた水平部とからなるT字形をした複数の支持レールがコンテナの幅方向で互いに隣り合う水平部間に所定の間隔を設けて配置された冷蔵コンテナ内で支持レールの水平部上に載置して収容した荷物が水平方向に移動しないように固定する固定金具であって、水平部の上面に載置されて荷物の一側に当接してこの荷物の水平方向の移動を規制するストッパ部材と、ストッパ部材の上面に頭部が係止されていてねじ部が互いに隣り合う水平部間から互いに隣り合う垂直部間に延びるねじ部材と、ねじ部材のねじ部に螺合されて水平部の下面に係止してストッパ部材を支持レールに固定する係止板とを備え、係止板は互いに隣り合う水平部間を通過可能な大きさをして、何れか一つの差し渡し幅を互いに隣り合う垂直部間より長くしたことを特徴とする冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具を提供するものである。
【0005】
上記のように構成した冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具においては、係止板はコンテナの底面に配置された支持レールの垂直部間でねじ部材に螺合されていて、係止板はねじ部材を締め付けたときに差し渡し幅が支持レールの垂直部間より長い部分が垂直部に当たって回転しなくなって上方に移動するようになる。コンテナの底部の支持レールの水平部の上面に載置されて荷物の一側に当接させたストッパ部材は、ねじ部材を締め付けると上方に移動する係止板が支持レールの水平部の下面に係止することで支持レールに固定され、冷蔵コンテナ内に収容した荷物の水平方向の移動を規制することができる。これにより、固定金具は、冷蔵コンテナ内に収容した荷物を木枠等の多量の木材を用いることなく水平方向の移動を規制して固定することが可能となる。
【0006】
上記のように構成した冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具においては、その一実施形態として、係止板は長方形状の何れか一方の対角を結ぶ長さが互いに隣り合う垂直部間より長く、残る一方の対角を切除してこの対角を結ぶ長さを垂直部間より短くすれば、係止板の加工が簡単となる。
【0007】
上記のように構成した冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具においては、ストッパ部材にはねじ部材のねじ部が挿通される長い切り欠きまたは長孔を形成するのが好ましく、このようにすれば、ストッパ部材は長い切り欠きまたは長孔の範囲で位置調整をすることができ、荷物に確実に当接した状態で支持レールの水平部に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る固定金具により冷蔵コンテナ内に収容した荷物を固定した平面概略図である。
【図2】固定金具の斜視図である。
【図3】固定金具により荷物を固定した断面図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】冷蔵コンテナ内に収容した荷物を井桁状の木枠により固定した平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る冷蔵コンテナC内に収容した荷物を固定する固定金具の一実施形態を図1〜図4を用いて説明する。本発明に係る固定金具10は、コンテナの底面に奥行き方向に延びる垂直部21とこの垂直部21の上端に設けられた水平部22とからなるT字形をした複数の支持レール20がコンテナの幅方向で互いに隣り合う水平部22、22間に所定の間隔を設けて配置された冷蔵コンテナC内で支持レール20の水平部22、22上に載置して収容した荷物Gが水平方向に移動しないように固定するものである。この固定金具10は、水平部22の上面に載置されて荷物Gの一側に当接してこの荷物Gの水平方向の移動を規制するストッパ部材11と、ストッパ部材11の上面に頭部12aが係止されていてねじ部12bが互いに隣り合う水平部22、22間から互いに隣り合う垂直部21、21間に延びるボルト(ねじ部材)12と、ボルト12のねじ部12bに螺合されて水平部22、22の下面に係止してストッパ部材11を支持レール20に固定する係止板13とを備え、係止板13は互いに隣り合う水平部22、22間を通過可能な大きさをして、何れか一つの差し渡し幅を互いに隣り合う垂直部21、21間より長くしたものである。以下に、本発明に係る固定金具10について詳述する。
【0010】
本発明に係る固定金具10が用いられるのは主として冷蔵コンテナCであり、この冷蔵コンテナCは、コンテナの底面に奥行き方向に延びる垂直部21とこの垂直部21の上端に設けられた水平部22とからなるT字形をした複数の金属製の支持レール20がコンテナの幅方向で互いに隣り合う水平部22、22を所定の間隔を設けて連続して配置されたものである。この冷蔵コンテナCでは、図示しない冷却装置から送られる冷気を互いに隣り合う垂直部21、21間に通過させるようにしてコンテナ内部を冷却している。この冷蔵コンテナCにおいて、支持レール20の互いに隣り合う水平部22、22間は26mmとなっており、支持レール20の互いに隣り合う垂直部21、21間は55mmとなっている。
【0011】
固定金具10は、ストッパ部材11と、ボルト12と、係止板13とを備えている。ストッパ部材11は、荷物Gの一側に当接させて荷物Gが水平方向に移動するのを規制するものである。図2及び図3に示すように、ストッパ部材11は、支持レール20の水平部22上に載置される水平板部11aと、この水平板部11aの一端から上方に折り曲げられて荷物Gの一側に当接する垂直板部11bとからなるL字形の板金部材である。ストッパ部材11の水平板部11aには、ボルト12のねじ部12bを挿通するための長い切り欠き11cが形成されている。ストッパ部材11は、垂直板部11bが荷物Gの一側に当接した状態で水平板部11aが水平部22上に載置されていて、水平板部11aの切り欠き11cの少なくとも一部は互いに隣り合う水平部22、22間の隙間の上側にある位置に配置される。ボルト12は、頭部12aがストッパ部材11の水平板部11aに係止され、ねじ部12bが切り欠き11bから互いに隣り合う水平部22、22間を通って互いに隣り合う垂直部21、21間に延びている。
【0012】
図2及び図3に示すように、係止板13は、ボルト12のねじ部12bに螺合した状態で支持レール20の水平部の下面に係止してストッパ部材11を支持レール20に固定するものである。係止板13は略長方形をした板金部材よりなり、一組の対角の一部がアールを形成するように切除されている。係止板13の中央部には、ボルト12のねじ部12bを挿通するための貫通孔13aが形成されており、係止板13の下面には、貫通孔13aと連通した状態でボルト12に螺合するナット14が溶接により固定されている。係止板13は、短辺が30mm、長辺が55mmとなっており、切除していない対角の長さが62.6mm、切除した対角の長さは54.5mmとなっている。
【0013】
以上のように構成した固定金具10を用いた冷蔵コンテナC内の荷物Gの固定について説明する。図1に示すように、冷蔵コンテナC内に荷物Gを搬入する。この実施形態で説明する荷物Gは、冷蔵コンテナCの横幅より短い長さのパレットに載せられている。荷物Gは、先ず冷蔵コンテナCの奥壁と一方の側壁に当接する位置に搬入され、冷蔵コンテナC内で奥行き方向に間隔を空けることなく一方の側壁または他方の側壁に当接するように左右交互に搬入される。各荷物Gは、冷蔵コンテナCの一方または他方の側壁に当接した状態で、他方側または一方側に移動しないように固定金具10により固定される。
【0014】
固定金具10により荷物Gを固定するときには、ボルト12の頭部12aをストッパ部材11の水平板部11aに係止させておき、ボルト12のねじ部12bの下端部に係止板13のナット14を螺合させておく。荷物Gの水平方向の移動を規制したい側の一側側で、ボルト12の頭部12aを持って係止板13を斜めにして支持レール20の水平部22、22間を通して垂直部21、21間に配置する。このとき、図4(a)に示すように、係止板13は、長辺が支持レール20の垂直部21が延びる方向となっている。次に、ストッパ部材11を垂直板部11bが荷物Gの一側に当接した状態で水平板部11aを支持レール20の水平部22上に載置する。
【0015】
ストッパ部材11を荷物Gの一側に当接した状態にして、ボルト12を締め付けると、係止板13はボルト12とともに支持レール20の互いに隣り合う垂直部21、21間で回転する。係止板13の切除された一組の対角の長さは互いに隣り合う垂直部21、21間の長さより短いので、図4(b)に示すように、係止板13は切除された対角部分が垂直部21、21に係合することなく回転する。係止板13の切除されていない一組の対角の長さは互いに隣り合う垂直部21、21間の長さより長いので、図4(c)に示すように、係止板13は、長辺が支持レール20の垂直部21と直交する位置で短辺が垂直部21、21に当たって回転しなくなる。この状態でボルト12を締め付けると、係止板13は上方に移動して支持レール20の互いに隣り合う水平部22、22の下面に係止する。これにより、ストッパ部材11は支持レール20に堅固に固定され、固定金具10は荷物Gを水平方向に移動しないように固定できる。
【0016】
上記のように構成した固定金具10においては、係止板13は支持レール20の互いに隣り合う水平部22、22間を通過可能な大きさであり、係止板13は切除されていない一組の対角の長さが支持レール20の互いに隣り合う垂直部21、21間の長さより長くなっている。係止板13を支持レール20の互いに隣り合う水平部22、22間を通して互いに隣り合う垂直部21、21間に配置して、ボルト12を締め付けると、係止板13の切除していない一対の対角部分が垂直部21、21に当たって回転しなくなる。このような状態でボルト12をさらに締め付けると、係止板13は上方に移動して支持レール20の互いに隣り合う水平部22、22の下面に係止し、ストッパ部材11を支持レール20に固定することができる。これにより、本発明に係る固定金具10は、冷蔵コンテナC内に収容した荷物Gを木枠等の多量の木材を用いることなく水平方向の移動を規制して固定することが可能となる。また、本発明に係る固定金具10は、L字形の板金部材よりなるストッパ部材11と、ボルト12と、ナット14を溶接により固定した板金部材よりなる係止板13とからなるので、木枠等の木材を用いたときより製造コストを低く押さえることができる。また、本発明に係る固定金具10は、コンテナの底面に設けられた支持レール20に固定するものであるので、支持レール20が設けられていればコンテナの奥行き方向及び幅方向の所望の位置で荷物Gを移動しないように固定することができる。さらに、固定金具10は、冷蔵コンテナCにより荷物Gを輸送するたびにその大きさが異なっていても、コンテナ内の所望の位置で何度でも再利用が可能であるので、コストを低く抑えることができるとともに環境に与える負荷を小さくすることができる。
【0017】
また、固定金具10のストッパ部材11にはボルト12のねじ部12bが挿通される長い切り欠き11cが形成されているので、ストッパ部材11は支持レール20の水平部22上で長い切り欠き11cの範囲の位置調整をすることができ、荷物Gに確実に当接した状態で移動しないように固定することができる。
【0018】
上記の実施形態においては、係止板13の下面にナット14を溶接により固定しているが、本発明はこれに限られるものでなく、係止板13の中央部に形成した貫通孔13aに雌ねじを穿設するようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
また、上記の実施形態においては、ストッパ部材11には長い切り欠き11cを形成しているが、本発明はこれに限られるものでなく、ストッパ部材11に長孔を形成するようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
10…固定金具、11…ストッパ部材、11c…長い切り欠き、12…ねじ部材(ボルト)、12a…頭部、12b…ねじ部、13…係止板、20…支持レール、21…垂直部、22…水平部、C…冷蔵コンテナ、G…荷物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの底面に奥行き方向に延びる垂直部とこの垂直部の上端に設けられた水平部とからなるT字形をした複数の支持レールがコンテナの幅方向で互いに隣り合う前記水平部間に所定の間隔を設けて配置された冷蔵コンテナ内で前記支持レールの水平部上に載置して収容した荷物が水平方向に移動しないように固定する固定金具であって、
前記水平部の上面に載置されて前記荷物の一側に当接してこの荷物の水平方向の移動を規制するストッパ部材と、
前記ストッパ部材の上面に頭部が係止されていてねじ部が前記互いに隣り合う水平部間から互いに隣り合う前記垂直部間に延びるねじ部材と、
前記ねじ部材のねじ部に螺合されて前記水平部の下面に係止して前記ストッパ部材を前記支持レールに固定する係止板とを備え、
前記係止板は前記互いに隣り合う水平部間を通過可能な大きさをして、何れか一つの差し渡し幅を前記互いに隣り合う垂直部間より長くしたことを特徴とする冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具において、
前記係止板は長方形状の何れか一方の対角を結ぶ長さが前記互いに隣り合う垂直部間より長く、残る一方の対角を切除してこの対角を結ぶ長さを前記垂直部間より短くしたことを特徴とする冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具において、
前記ストッパ部材には前記ねじ部材のねじ部が挿通される長い切り欠きまたは長孔を形成したことを特徴とする冷蔵コンテナ内に収容した荷物の固定金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−184059(P2011−184059A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49607(P2010−49607)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(593078202)日本トランスシティ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】