説明

冷陰極管装置

【課題】 冷陰極管の取り付けや交換作業に伴う破損などを未然に防止すると共に、安全且つ簡便な取り付けや保守を実現し、さらには低温環境下でも十分な発光輝度が得られる冷陰極管装置の提供を目的とする。
【解決手段】 電圧を印加するための電極が両端部に形成された冷陰極管と、前記冷陰極管よりも径大とされ前記冷陰極管を内部に支持する透光性支持管と、前記透光性支持管の端部に設けられ前記冷陰極管の電極とそれぞれ接続される支持管電極部とにより、冷陰極管装置を構成する。透光性支持管の内部に冷陰極管を支持することで、細いガラス管などの比較的に破損し易い材料に直接力が加わることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光物質を封入した細いガラス管の両端の電極に高電圧を印加することで所要の可視光を発光させる冷陰極管(Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いた冷陰極管装置に関し、特に冷陰極管の強度や低温特性を向上させた冷陰極管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷陰極管は、光源を必要とする装置、例えば液晶表示装置のバックライトなどに用いられることが知られている。そのような液晶表示装置等に用いられる冷陰極管は、細長いガラス管の内壁に蛍光体を塗布されて、そのガラス管内には不活性ガス(Ar等)及び水銀が封入されている。そして、電源から外部リード線を介してガラス管両端の電極間に高電圧を印加されることにより放電が開始され、蒸気化された水銀が電子や封入ガスの原子との衝突により励起されて紫外線(主に波長253.7nm)を発生させる。この紫外線が、蛍光体を励起し、蛍光体の材料・組成による発光色(可視光域波長)に変換される。これにより冷陰極管が可視光を発光する。
【0003】
このような冷陰極管は、液晶テレビジョン受像機や、液晶ディスプレイ装置のバックライト光源として広く普及してきており、液晶パネルの背面側に複数本の冷陰極管を並べるように配列することが行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。通常、冷陰極管は例えば直線状の2.6〜3ミリ径程度の細いガラス管の内部にガスが封入された構造を有しており、端部からガラス管内部の電極に接続するリード線が突出するように構成されている。使用に際しては、高電圧の印加が必要なリード線に対してシリコンゴムキャップの如き絶縁材料を被覆するようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−324592号公報
【特許文献2】特開平10−302611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の冷陰極管は、その径の太さが例えば2.1乃至3ミリ程度であって、ガラス管に無理な力が加わった場合には、簡単に破損などが発生してしまう。このため液晶パネルのバックライトとしてパネルの背面に取り付ける場合には、ガラス管に無理な力が加わらないように細心の注意を以って装着作業を行なうことが必要とされ、量産する場合には技術的な問題点となっていた。また、従来の冷陰極管を用いた液晶表示装置を保守のために交換する場合にも、同様な破損などが懸念され、事実上はユーザーによる保守交換ができない製品として認知されているのが現状である。
【0006】
また、電極周りの構造については、従来の冷陰極管はその電極のリード線の線径が細いため、生産現場での取扱いで簡単に曲がってしまうという問題が発生していた。また、リード線は特殊なシリコンゴムなどを用いた電極カバーに被覆されると共に半田付けされた長い高絶縁型リード線に接続され、1000ボルト以上の高電圧が印加されることから、安全上最も注意を必要とする。
【0007】
さらに、冷陰極管を用いた液晶表示装置を冷凍室や冷凍倉庫などの低温施設で使用する場合には、冷陰極管の周囲の温度も低くなる。冷陰極管は、一般的に低温環境下ではランプ輝度が低下する傾向を有しており、冷陰極管を冷凍室や冷凍倉庫などの低温施設で使用する場合には、冷陰極管の十分な輝度が得られないという問題が発生する。
【0008】
そこで、上述の技術的な課題に鑑み、本発明は、冷陰極管の取り付けや交換作業に伴う破損などを未然に防止すると共に、安全且つ簡便な取り付けや保守を実現する冷陰極管装置の提供を目的とする。さらに、本発明は、低温環境下でも十分な発光輝度が得られる冷陰極管装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明の冷陰極管装置は、電圧を印加するための電極が両端部に形成された冷陰極管と、前記冷陰極管よりも径大とされ前記冷陰極管を内部に支持する透光性支持管と、前記透光性支持管の端部に設けられ前記冷陰極管の電極とそれぞれ接続される支持管電極部とを有することを特徴とする。
【0010】
透光性支持管の内部に冷陰極管を支持することで、通常細いガラス管などの比較的に破損し易い材料に直接力が加わることを防止することができ、且つ前記透光性支持管の両端部に設けられる支持管電極部によって電圧を供給することで、従来のリード線の取扱いにかかわる問題も解決されることになる。
【0011】
本発明の好適な一例によれば、前記透光性支持管の内部は真空に維持され、前記透光性支持管の外部と冷陰極管自体の間での断熱を図ることが可能である。また、支持管電極部を略円筒状に形成し、その側面で外部電源に接続される構造とすることで、比較的に簡単な取り付け作業が実現され、作業効率も大幅に向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷陰極管自体が透光性支持管の内部で支持され、外力などに対しては、透光性支持管が保護部材として機能して、冷陰極管への損傷を未然に防止することができる。従って、冷陰極管の保守作業や取付け作業を大幅に効率良く行なわせることが可能となり、生産コストの削減も実現できる。
【0013】
また、透光性支持管の内部を真空にする装置では、前記透光性支持管の外部と冷陰極管自体の間での断熱を図ることが可能であり、冷陰極管を冷凍室や冷凍倉庫などの低温施設で使用する場合であっても十分な輝度が得られることになり、冷陰極管が利用できる範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態の冷陰極管装置を示す図である。図1に示すように、本実施形態の冷陰極管装置1は、電圧を印加するための電極13が両端部に形成された冷陰極管10と、前記冷陰極管10よりも径大とされ前記冷陰極管10を内部に支持する透光性支持管12と、前記透光性支持管12の端部に設けられ前記冷陰極管10の電極13とそれぞれ接続される支持管電極部14、14とを有することを特徴とする。
【0016】
このような二重構造とされた冷陰極管装置1の冷陰極管10においては、例えば、径を3mm程度とする細長い中空のガラス管11の内部には、アルゴンやネオンなどの希ガスが極微量の水銀と共に封入されている。ガラス管11の両端部には、それぞれ電極13、13がガラス管の内部に両端部からそれぞれ突出するように設けられており、ガラス管11の両端部自体はガラス材で封止されている。そのガラスで封止された端部からはそれぞれ電極13、13に高電圧を印加するための図示しないリード線が冷陰極管10の外部に取り出されている。通常の冷陰極管と同様に、中空のガラス管11の内壁には蛍光体が塗布されており、高電圧印加時に電極から放出された電子が不活性ガスや水銀分子に衝突し、その衝突した水銀分子が励起状態から基底状態に戻る際に放出する紫外線が、ガラス管11の内壁に塗布された蛍光体に照射され、可視光を発生させ、これが冷陰極管10の発光作用として外部に光が照射される。電極13、13は例えばニッケル、モリブデンやニオブなどの材料が用いられるが、冷陰極管の電極に適するものであれば特に限定されるものではない。
【0017】
このような機構で発光を行なう冷陰極管10を保護するように、本実施形態の冷陰極管装置1には、冷陰極管10を内部に支持する透光性支持管12が設けられる。この透光性支持管12は、例えば冷陰極管10と同様なガラス材料を管状に形成したものが用いられ、冷陰極管10よりも径大とされることから冷陰極管10の外周面から所要の間隔を以って透光性支持管12が冷陰極管10と略同軸となるように保持される。一例として透光性支持管12の軸方向の長さは、冷陰極管10と略同程度の長さであり、径も例えば6〜10mm程度のサイズとされる。取扱いや製造上の観点から、透光性支持管12は略円筒状とされるが、管の一部を細くしたり、円筒状の管ではなく角形状の中空部材を使用することも可能である。透光性支持管12の内壁には、所要の蛍光体や紫外線防止或いは紫外線吸収材などの薄膜を付加することも可能である。透光性支持管12は、その内部に支持される冷陰極管10に対する直接的にかかる力を防止する機能を有しており、従って、ガラス管として所要の剛性を有していることが好ましい。また、後述するように、断熱性を高めるために透光性支持管12の内部は真空に保持される。このため光の透過性を有し且つガスバリアー性の高い材料を使うことが好ましく、ガラスなどの内部を真空に保持することに好適な材料が選択される。
【0018】
このような透光性支持管12の両端部には、内部に支持されている冷陰極管10の電極13とそれぞれ接続される支持管電極部14、14が設けられている。支持管電極部14、14は、略円筒形の金属部材であり、内側で冷陰極管10の電極13と電気的に接続するように、図示しないリード線に接続される。支持管電極部14、14は略円筒形の金属部材であることから、その周面にソケットなどを介して電圧を加えると、その電圧が内部で支持されている冷陰極管10の電極13に至り、冷陰極管10の両端に高電圧が印加されることになる。また、透光性支持管12の両端部の取り付けられる支持管電極部14、14は冷陰極管10の電極13と物理的にも接続されることから、これら支持管電極部14、14とこれら電極部14、14からの熱をはめ込むソケットホルダーを介して放熱することができ、冷陰極管10の電極13の温度を下げることができることから、冷陰極管10の長寿命化が実現される。
【0019】
透光性支持管12の内部は、断熱などの目的で真空に維持される。このため透光性支持管12の外部の温度が低くても、十分な発光特性を得ることができ、冷陰極管を冷凍室や冷凍倉庫などの低温施設で使用する場合であっても本実施形態の冷陰極管装置1からは十分な輝度が得られることになる。
【0020】
透光性支持管12の内部には、図2に示すようなシリコンゴムなどからなるO型リング部材15を単数若しくは複数個配設することができる。冷陰極管10と透光性支持管12のそれぞれは曲げる方向の力に対して所要の曲げ強度があり、O型リング部材15を配することで透光性支持管12が多少曲がった時には冷陰極管10もO型リング部材15を介して多少曲げられ、全体的な曲げに対する強度を維持することが可能となる。
【0021】
透光性支持管12の内壁には、多層膜や所要のコーティグなどにより必要に応じて紫外線遮蔽処理を施すことができ、可視光を透過させると共に、紫外線を透光性支持管12から出ないように遮蔽することも可能である。また、透光性支持管12の内壁に更に他の蛍光体や所要の波長にフィルターなどを配設することも可能であり、また、多層膜や所要のコーティグ、或いはフィルターなどは、透光性支持管12の内壁に一様に設けることも可能であるが、部分的形成するようにすることも可能である。
【0022】
このような構造を有する本実施形態の冷陰極管装置1を取扱う場合には、透光性支持管12を直接作業者が保持し、ソケットなどの電極接合部に対して透光性支持管12の両端の支持管電極部14、14を押し込むなりの手法で嵌合させて取り付け工事を進めるこができる。従来、冷陰極管12の周囲では、リード線などの取りまわしや半田付けなどの手間が必要とされていたが、本実施形態の冷陰極管装置1ではこのような煩雑な作業は不要となり、短時間且つ作業時の損傷なども確実に防止されながら、冷陰極管10の簡便な取り付けや交換作業が実現される。
【0023】
なお、本実施形態では、冷陰極管の形状を直線状としたが、冷陰極管は曲線状、矩形状、螺旋状やその他の形状であっても良く、また、直線と曲線の組み合わせなどの形状であっても良い。
【0024】
次に、図3、図4を参照しながら、他の本実施形態の冷陰極管装置について説明する。本実施形態の冷陰極管装置は、第1の実施形態の冷陰極管装置と同様の冷陰極管と透光性支持管を有しており、その透光性支持管の両端部の形状がやや釣鐘形状とされた例である。
【0025】
本実施形態の冷陰極管装置は、電圧を印加するための電極が両端部に形成された冷陰極管20と、その冷陰極管20よりも径大とされ冷陰極管20を内部に支持する透光性支持管22と、その透光性支持管22の端部に設けられ冷陰極管20の電極とそれぞれ接続される釣鐘形状の支持管電極部24、24とを有することを特徴とする。
【0026】
透光性支持管22の内部に配設される冷陰極管20は、前述の第1の実施形態と同様のものを使用することができ、細長い中空のガラス管の内部には、アルゴンやネオンなどの希ガスが極微量の水銀と共に封入され、ガラス材で封止されるガラス管の両端部では、それぞれ図示しない電極が冷陰極管20のガラス管の内部に両端部からそれぞれ突出するように設けられている。その冷陰極管20の封止された端部からはそれぞれ電極に高電圧を印加するための図示しないリード線23が、冷陰極管20の外部に取り出され、更に後述する釣鐘形状の支持管電極部24、24の尖頭部から外部に延長されて半田部26によって半田付けされている。このようにリード線23が半田部26によって支持管電極部24、24の外端部に電気的に接続されることから、支持管電極部24、24に高電圧を印加することで、透光性支持管22の内部に配設される冷陰極管20が発光する。
【0027】
冷陰極管20は、シリコンゴムなどの弾性部材であるO形リング25の通穴を貫通する形でO形リング25に保持され、O形リング25を介して透光性支持管22の内部に支持される。透光性支持管22は、前述の第1の実施形態と同様に、例えば冷陰極管20と同様なガラス材料を円管状に形成したものが用いられ、冷陰極管20よりも径大とされることから冷陰極管20の外周面から所要の間隔を以って透光性支持管22が冷陰極管20と略同軸となるように保持される。透光性支持管22の内部には、空気、不活性ガスなどを入れることも可能であるが、前述の第1の実施形態と同様に、真空にして断熱性を高めることも可能である。
【0028】
前述の第1の実施形態と同様に、透光性支持管22の両端部には、内部に支持されている冷陰極管20の電極23とそれぞれ接続される釣鐘形状の支持管電極部24、24が設けられている。釣鐘形状の支持管電極部24、24は、略円筒形状の周囲から徐々に径小とされ端部が尖頭状とされた金属部材であり、冷陰極管20の電極23と半田部26により電気的に接続される。組み立て時では、支持管電極部24、24の尖頭部分からリード線23が少量突出するように保持されたところで半田付けがなされ、支持管電極部24、24と冷陰極管20の間の電気的な接続が行われる。また、支持管電極部24が釣鐘形状であることから、リード線23を支持管電極部24の内壁に沿って案内することで容易に支持管電極部24の中心軸に合わせることができ、したがって、当該冷陰極管装置自体の組み立ても容易に行うことができる。
【0029】
図4は、本実施形態の冷陰極管装置をソケットの一例とともに示す図であり、円筒状の透光性支持管22の両端部に設けられた支持管電極部24、24がソケットに装着されるところを示す図である。ソケットは、透光性支持管22の両端部の位置に合わせて取り付け部21に螺子などで予め固定されている。ソケットは、一対の屈曲した金属板バネを空間を空けて対向するように配置した嵌着部27を有しており、金属製の支持管電極部24の外周部が嵌着部27の嵌め込まれて透光性支持管22が固定される。嵌着部27は接続片である電気接続部28と一体もしくは別体であっても電気的な導通がなされるように設けられており、電気接続部28はコネクタ29に配線を介して接続される。冷陰極管を駆動するための例えばインバータからの高電圧はコネクタ29を介して両ソケットの電気接続部28に供給される。
【0030】
このようなソケットを用いた場合では、嵌着部27の端部に支持管電極部24の外周部を突き当てて押し込むことで、本実施形態の冷陰極管装置をソケットに対して容易に固定させることができ、同時に電気的な接続も完成することから、部品の組み立てや交換作業が極めて円滑に進められるという利点をもたらすことになる。
【0031】
なお、本実施形態では、嵌着部27を一対の金属板バネを利用する形で取り付ける形状で説明したが、これに限定されず例えばソケットに通穴を設け、通穴に金属製の支持管電極部24を挿通した後で螺子などで固定するような取り付け方法であっても良い。
【0032】
さらに他の実施形態の冷陰極管装置について、図5を参照しながら説明する。図5に示す冷陰極管装置は、2本の冷陰極管30、31がガラス管からなる透光性支持管32の内部に配設される例であり、支持管電極部34、37が両端部にそれぞれ設けられている。
【0033】
透光性支持管32の内部に配設される冷陰極管30、31は、前述の第1の実施形態と同様のものを使用することができ、細長い中空のガラス管の内部には、アルゴンやネオンなどの希ガスが極微量の水銀と共に封入され、そのガラス管の両端部では、それぞれ図示しない電極が冷陰極管30、31のガラス管の内部でそれぞれ突出するように設けられる。
【0034】
本実施形態の冷陰極管装置では、一方の支持管電極部34が釣鐘形状とされ、他方の支持管電極部37が円筒形状とされる。一方の支持管電極部34は、2本の冷陰極管30、31を直列若しくは並列に接続するための中継部として機能し、前述の支持管電極部24と同様に、冷陰極管30、31から取り出されるリード線33、33が釣鐘形状の支持管電極部34の尖頭部から外部に延長されて半田部36によって半田付けされている。冷陰極管30、31から取り出される他端のリード線はそれぞれ他方の支持管電極部37の外周部に延在された電極部38、39に接続されており、電極部38、39の間に高電圧を印加することで2本の冷陰極管30、31に電圧が印加され、透光性支持管32の内部に配設される冷陰極管30、31の両方が発光する。電極部38、39は、印加される電圧に応じて離間されるが、冷陰極管30、31からのリード線は電極部38、39に対して内側から接続するように構成することもでき、一旦外側に出してから接続するようにしても良い。
【0035】
このように、本実施形態の冷陰極管装置では、複数の冷陰極管をまとめて1つに支持管内に配置させることが可能であり、高密度に冷陰極管を配列させる場合に極めて有効である。なお、本実施形態の冷陰極管装置では、2本の冷陰極管30、31を直列に接続した例を示しているが、複数の冷陰極管を並列に接続するような構造であっても良く、また、内部に配設する冷陰極管は、必ずしも同じ冷陰極管を選ぶ場合に限らず、例えば蛍光波長が多少異なるものを組み合わせるようにすることも可能である。
【0036】
図6は他の冷陰極管装置の一例を示す図である。本実施形態の冷陰極管装置は、第2の実施形態の冷陰極管装置と同様の冷陰極管と釣鐘形状の支持管電極部を伴う透光性支持管を有しており、特に一方の支持管電極部44には排気管45が形成される例である。
【0037】
本実施形態の冷陰極管装置も、前述の他の実施形態と同様に、電圧を印加するための電極が両端部に形成された冷陰極管40と、その冷陰極管40よりも径大とされ冷陰極管40を内部に支持する透光性支持管42と、その透光性支持管42の端部に設けられ冷陰極管40の電極とそれぞれ接続される釣鐘形状の支持管電極部43、44とを有する。一方の釣鐘形状の支持管電極部44には、その中心軸に沿って中央部から尖頭部に至る長さで排気管45が形成されており、この排気管45を介して冷陰極管40からのリード線を外部に延長させて半田付けできると共に、当該透光性支持管42の内部を真空に引く場合に当該排気管45を介して気体分子を透光性支持管42の外部に排出することができる。このような排気管45を有する支持管電極部44を用いることで、冷陰極管40に対する電気的な接続の問題と、透光性支持管内部の排気の問題を同時に解決することができ、当該冷陰極管装置を組み立てる場合に極めて有効である。
【0038】
本発明の冷陰極管装置を用いた場合では、その温度環境に対して優れた適性を示すことが明らかであるが、本件発明者らはそれを敢えて実証するために、図7に示すような4つの形態についてソケット部分の温度を実測している。図7の(A)は、透光性支持管がない従来の冷陰極管であり、インバータ60から高電圧が冷陰極管50の両端のリード線に印加されるように構成されている。図7の(B)に示す装置は、冷陰極管50が透光性支持管52の内部に配設され、透光性支持管52の両端の支持管電極部54、54にインバータ60から高電圧が印加される例である。図7の(C)に示す装置は、冷陰極管50が透光性支持管52の内部に配設され、透光性支持管52の両端の支持管電極部54、54にインバータ60から高電圧が印加される例であって、さらに両端の支持管電極部54、54にソケット55、55が装着される例である。図7の(D)に示す装置は、図7の(C)に示す装置に更にアルミニューム製放熱板56、56が取り付けられた例である。
【0039】
実験は、インバータから発光可能となる所要の電圧を電極に加え、室温20℃での電極部における温度を測定したものである。先ず、図7の(A)に示す従来の冷陰極管では、冷陰極管電極からの熱の放射によって電極部の温度が上昇しており、約130℃という結果が得られている。次に、図7の(B)に示す冷陰極管50が透光性支持管52の内部に配設される構造では、約110℃の電極部温度の計測値が得られており、冷陰極管装置から約20℃もの発熱温度の低減がなされていることが判明した。
【0040】
次に、ソケット等による放熱効率については、図7の(C)に示すようなソケット55に本発明の冷陰極管装置を取り付けた場合に、ソケット55の部分の温度は更に約30℃降下して、約80℃と言う結果が得られ、さらに図7の(D)に示すようなアルミニューム製放熱板56、56が取り付けられた場合では、ソケット55の部分の温度は更に約40℃も降下して、約40℃と言う結果が得られている。このようにソケットを用いることで、ソケット部分までの熱影響はかなり低減されることがわかり、さらに放熱板などの部材を利用することで、冷陰極管装置からの温度上昇を十分に低減できることが分かった。
図8は本発明の冷陰極管装置として透光性支持管の内部を真空としその真空部分に冷陰極管を配置した例(真空ガラス管CCFL)と、従来の支持管の無い冷陰極管そのもの(CCFL単管)とについて、環境温度に対する輝度を示したグラフである。
【0041】
この図8からも明らかなように、本発明の冷陰極管装置(真空ガラス管CCFL)では、かなりの低温域(例えば−20℃)から高温域(50〜60℃)まであまり変化の少ない安定した輝度強度が得られている。一方、従来のCCFL単管では、室温以下の範囲ではその相対強度が悪化しており、例えば冷凍室などの低温域では十分な輝度が得られなくなっている。このような本発明の冷陰極管装置が、環境温度に対して広い温度範囲で適用可能であることは、透光性支持管の内部が真空とされることで、断熱効果があり、そのため周囲が低い温度でもその低い温度が冷陰極管そのものには伝わらないためと推測される。
【0042】
次に、本件発明者らは、透光性支持管の内部に冷陰極管を配置した例(ガラス管保護CCFL)と、従来の支持管の無い冷陰極管そのもの(CCFL単管)について、管の破壊強度を実験により測定した。図9は、その実験の様子を模式的に示した図であり、一対の支柱71、71の間に測定対象となる管73を配置し、その管73の中央に吊り下げ荷重の形式で、おもりを吊り下げ、管73が折れる重さについて測定した。管73としては、前述の透光性支持管の内部に冷陰極管を配置した例(ガラス管保護CCFL)と、従来の支持管の無い冷陰極管そのもの(CCFL単管)を準備した。CCFL単管としては3ミリ径のものを用意し、ガラス管保護CCFLとしては7ミリ径のものを用意した。
【0043】
この実験の結果、図10の(A),(B)にも示すように、CCFL単管では約140グラムの比較的に軽い荷重で冷陰極管が破断してしまったが、本発明のガラス管保護CCFLでは約1200グラムという重さで破断が生じたが、その前の段階では壊れることがなく、ガラス管で保護することで、装置全体としては強度が大幅に向上していることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の冷陰極管装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の冷陰極管装置の一例を示す他の斜視図である。
【図3】本発明の冷陰極管装置の他の一例を示す側面図である。
【図4】図3に示した本発明の冷陰極管装置の他の一例をソケットの例と共に示す側面図である。
【図5】本発明の冷陰極管装置のさらに他の一例を示す側面図である。
【図6】本発明の冷陰極管装置のまた更に他の一例を示す側面図である。
【図7】冷陰極管装置の4つの形態と温度の関係を示す図である。
【図8】ガラス管保護CCFLとCCFL単管のそれぞれについて環境温度と輝度の関係を示すグラフである。
【図9】ガラス管保護CCFLとCCFL単管のそれぞれについて吊り下げ荷重に関する実験の説明図である。
【図10】ガラス管保護CCFLとCCFL単管のそれぞれについて吊り下げ荷重に関する実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 冷陰極管装置
10、20、30、31、40、50 冷陰極管
12、22、32、42、52 透光性支持管
14、24、34、37、43、44、54 支持管電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を印加するための電極が両端部に形成された冷陰極管と、
前記冷陰極管よりも径大とされ前記冷陰極管を内部に支持する透光性支持管と、
前記透光性支持管の端部に設けられ前記冷陰極管の電極とそれぞれ接続される支持管電極部とを有することを特徴とする冷陰極管装置。
【請求項2】
前記透光性支持管の内部であって前記冷陰極管の周囲は真空に維持されることを特徴とする請求項1記載の冷陰極管装置。
【請求項3】
前記支持管電極部は略円筒状の側面で外部電源に接続されることを特徴とする請求項1記載の冷陰極管装置。
【請求項4】
前記透光性支持管には紫外線カット処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の冷陰極管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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