冷陰極蛍光ランプ
【課題】 バルブ内部の三波長蛍光体の残留分布が均一な冷陰極蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、バルブの両端には一対の放電電極1を具備し、バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜2が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものである。
【解決手段】 バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、バルブの両端には一対の放電電極1を具備し、バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜2が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプに関する.
【背景技術】
【0002】
図11は従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に垂直な断面図であり、図12はランプ軸に平行な断面図である。この従来の冷陰極蛍光ランプは、バルブ3内部の放電空間5に水銀および希ガスを1種類以上封入し、その両端に封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2を約10〜40μmの厚さで形成した構造となっている。
【0003】
このような冷陰極蛍光ランプでは液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いる場合、主として三波長蛍光体(赤:Y2O3:Eu、緑:LaPO4:Ce,Tb、青:BaMg2Al10O17:Eu)が用いられている。この蛍光体は、水にポリエチレンオキサイトなどの増粘剤を溶解した無機バインダーに結着剤を混合したスラリー状態、もしくはニトロセルロースなどの増粘剤を酢酸ブチルに溶解させた有機バインダーに結着剤を混合したスラリー状態でバルブ内部へと塗布される。
【0004】
バルブ内部への蛍光体の塗布方法は一般的に下から蛍光体スラリーを吸い上げて、バルブ上端から乾燥エアーを流す方法で行われる。しかし三波長蛍光体の粒子径・比重は大小様々であるために、バルブ内部に塗布され乾燥前の蛍光体スラリー中で、三波長蛍光体はそれぞれ違った速度で下方向に流れる。このため、乾燥時に三波長蛍光体の残留分布がランプ軸方向で異なり、ランプ軸方向の色度偏差が発生し、ランプの両端の色味が目視でわかる程度(赤っぽく見える)まで大きく異なってきてしまう。
【0005】
そこで近年は、色度偏差の解消に比重の大きな蛍光体は粒子径を小さく、比重の小さな蛍光体は粒子径を大きくし流動性を制御することで色味の均一化を図ってきた。しかしながら、蛍光体は一般的に粒子径が大きくなるほど全光束(明るさ)は高くなるので、粒子径により流動をあわせたこの方法を使用すると全光束が落ちてしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開2004−2569号公報
【特許文献2】特開2004−207073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブ内部の三波長蛍光体の残留分布が均一な冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の冷陰極蛍光ランプは、バルブ内部に水銀および希ガスが1種類以上封入され、前記バルブの両端には一対の放電電極を具備し、前記バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜は、10μm〜40μmの厚さに形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バルブ内部の蛍光体被膜中の三波長蛍光体の残留分布が均一な冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0011】
(第1の実施の形態)本発明の1つの実施の形態の冷陰極蛍光ランプの構造は図11、図12の従来の冷陰極蛍光ランプと同様であり、バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、その両端には封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2が約10〜40μmの厚さで形成されている。蛍光体粒子径は赤・緑・青色蛍光体共に4μmのものを使用しており、ランプの条件として、バルブ管径はφ2.4mm、管長は350mm、測定電流は6mAで測定を行った。
【0012】
蛍光体は一般的に凝集しやすい性質を持っているため、蛍光体を分散剤によって分散させ流動を制御する。また、分散剤の種類(構成物質)によって蛍光体母体金属による作用が異なるため、赤・緑・青色蛍光体それぞれに作用する分散剤を添加し、流動を制御し、ランプ軸方向の色みを均一にする。
【0013】
赤色蛍光体においては、赤色蛍光体の母体金属(Y2O3:Eu)中に存在するYを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図1は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0014】
緑色蛍光体においては、緑色蛍光体の母体金属(LaPO4:Ce,Tb)中に存在するLaを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図2は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0015】
青色蛍光体においては、青色蛍光体の母体金属(BaMgAl10O17:Eu)中に存在するAlを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図3は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0016】
各分散剤を配合することで排気側30mmと中央部の色差は変化しており、2種以上の分散剤を配合する場合、これら3種類の分散剤の量を最適化することで管端色差を制御することが可能となる。
【0017】
図4、図5は、Y、Alを効率よく分散することが可能な分散剤溶液の配合割合を2:8に設定し、スラリー溶液内に蛍光体重量に対し2000ppm配合した時の管端色差特性を従来型ランプと比較して示した図である。ランプ軸方向の管端色差を中央部偏差Δ0.005以内に制御することが可能となった。図6は、本発明型ランプと従来型ランプの全光束相対値を示す表である。尚、本実施の形態では高分子分散剤として、カルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加している。
【0018】
このように分散剤を2種以上混合することで管端色差x値、y値の中央部偏差値を同値に制御することが可能となり、ランプ軸方向色味の差を低減することが可能となる。このことから蛍光体の粒子径などを様々に変化させても、ランプの管端色差を制御することが可能となる。
【0019】
(第2の実施の形態)本実施の形態の冷陰極蛍光ランプの構造は、第1の実施の形態と同様である。バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、その両端には封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2が約10〜40μmの厚さで形成されている。
【0020】
蛍光体を、水にポリエチレンオキサイトなどの増粘剤を溶解した無機バインダー、もしくはニトロセルロースなどの増粘剤を酢酸ブチルに溶解させた有機バインダーに混合し、さらに結着剤・分散剤を添加してスラリー状態で使用した。この時添加された分散剤は蛍光体粒子表面に吸着し、蛍光体粒子の凝集を防いでいる。分散剤の構成物質は、蛍光体母体金属によって吸着度合いが変化するため、分散剤の添加量を増やしていくと、三波長蛍光体でそれぞれ異なる分散性(流動性)を示す。このため、バルブ内部に塗布した際に三波長蛍光体の残留分布を改善することができ、小粒子の蛍光体などを使用することなくランプ管端色差を改善することができる。
【0021】
図7は、水にポリエチレンオキサイドを溶解させた無機バインダーにカルボン酸型分散剤を蛍光体に対して重量比で分散剤を従来の添加量0ppmから、500,1000,1500,2000ppmと添加し試験を行った時の分散剤添加量と排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0022】
ランプ軸方向の色味の改善にはx値、y値の色度偏差の差を少なくする必要がある。今回分散剤量を最適化した結果、従来品0ppmでは色度偏差が0.004だったものが、300〜1500ppmの間でx値とy値の色度偏差を0.003以内にすることができた。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例の冷陰極蛍光ランプと従来の比較例の冷陰極蛍光ランプについて、バルブ内径:φ3.0mm、ランプ長:700mmバルブ内面に0.2μmの三波長蛍光体による蛍光体被膜を形成し、電流6mArmsの管電流を流してランプ軸方同の色度ずれ特性と全光束特性を比較した。実施例1では分散剤添加量1000ppmとした。
【0024】
図8、図9は、実施例と比較例との管端色差を示す図であり、図10は、その全光束特性を示す表である。本発明の実施例では、高効率の大粒子を用いて比較例とほぼ同等の全光束で、ランプ軸方向の色度偏差を低滅させ色味を改善することができた。
【0025】
尚、蛍光体被膜2の表面に希土類の金属化合物を0.1%〜5%コートすることができる。金属化合物としては、例えば、Al2O3、La2O3、MgO、CeO2、Y2O3、TiOを採用する。そして、被膜の含有量は、0.1%〜5%が適当である。これにより、蛍光体被膜2の発光を妨げず、かつ水銀の吸着、イオン衝撃から蛍光体母体を保護することにより、長寿命化が図れる。さらに、蛍光体被膜2の表面を金属酸化物によりコートする代わりに、予め三波長蛍光体それぞれの蛍光体粒子の表面に金属酸化物がコートされた蛍光体粉末を用いて蛍光体被膜2を形成しても同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態のY分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のLa分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態のAl分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の混合分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプのx偏差の管端色差特性を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の混合分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプのy偏差の管端色差特性を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の相対全光束値を示す表。
【図7】本発明の第2の実施の形態の分散剤添加量と排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図。
【図8】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプのx偏差の管端色差特性を示す図。
【図9】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプのy偏差の管端色差特性を示す図。
【図10】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプの全光束の測定結果の表。
【図11】従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に平行な断面図。
【図12】従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に垂直な断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 電極
2 蛍光体被膜
3 バルブ
5 放電空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプに関する.
【背景技術】
【0002】
図11は従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に垂直な断面図であり、図12はランプ軸に平行な断面図である。この従来の冷陰極蛍光ランプは、バルブ3内部の放電空間5に水銀および希ガスを1種類以上封入し、その両端に封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2を約10〜40μmの厚さで形成した構造となっている。
【0003】
このような冷陰極蛍光ランプでは液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いる場合、主として三波長蛍光体(赤:Y2O3:Eu、緑:LaPO4:Ce,Tb、青:BaMg2Al10O17:Eu)が用いられている。この蛍光体は、水にポリエチレンオキサイトなどの増粘剤を溶解した無機バインダーに結着剤を混合したスラリー状態、もしくはニトロセルロースなどの増粘剤を酢酸ブチルに溶解させた有機バインダーに結着剤を混合したスラリー状態でバルブ内部へと塗布される。
【0004】
バルブ内部への蛍光体の塗布方法は一般的に下から蛍光体スラリーを吸い上げて、バルブ上端から乾燥エアーを流す方法で行われる。しかし三波長蛍光体の粒子径・比重は大小様々であるために、バルブ内部に塗布され乾燥前の蛍光体スラリー中で、三波長蛍光体はそれぞれ違った速度で下方向に流れる。このため、乾燥時に三波長蛍光体の残留分布がランプ軸方向で異なり、ランプ軸方向の色度偏差が発生し、ランプの両端の色味が目視でわかる程度(赤っぽく見える)まで大きく異なってきてしまう。
【0005】
そこで近年は、色度偏差の解消に比重の大きな蛍光体は粒子径を小さく、比重の小さな蛍光体は粒子径を大きくし流動性を制御することで色味の均一化を図ってきた。しかしながら、蛍光体は一般的に粒子径が大きくなるほど全光束(明るさ)は高くなるので、粒子径により流動をあわせたこの方法を使用すると全光束が落ちてしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開2004−2569号公報
【特許文献2】特開2004−207073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブ内部の三波長蛍光体の残留分布が均一な冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の冷陰極蛍光ランプは、バルブ内部に水銀および希ガスが1種類以上封入され、前記バルブの両端には一対の放電電極を具備し、前記バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜は、10μm〜40μmの厚さに形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バルブ内部の蛍光体被膜中の三波長蛍光体の残留分布が均一な冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0011】
(第1の実施の形態)本発明の1つの実施の形態の冷陰極蛍光ランプの構造は図11、図12の従来の冷陰極蛍光ランプと同様であり、バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、その両端には封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2が約10〜40μmの厚さで形成されている。蛍光体粒子径は赤・緑・青色蛍光体共に4μmのものを使用しており、ランプの条件として、バルブ管径はφ2.4mm、管長は350mm、測定電流は6mAで測定を行った。
【0012】
蛍光体は一般的に凝集しやすい性質を持っているため、蛍光体を分散剤によって分散させ流動を制御する。また、分散剤の種類(構成物質)によって蛍光体母体金属による作用が異なるため、赤・緑・青色蛍光体それぞれに作用する分散剤を添加し、流動を制御し、ランプ軸方向の色みを均一にする。
【0013】
赤色蛍光体においては、赤色蛍光体の母体金属(Y2O3:Eu)中に存在するYを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図1は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0014】
緑色蛍光体においては、緑色蛍光体の母体金属(LaPO4:Ce,Tb)中に存在するLaを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図2は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0015】
青色蛍光体においては、青色蛍光体の母体金属(BaMgAl10O17:Eu)中に存在するAlを効率よく分散することが可能な高分子分散剤を用いる。図3は、蛍光体スラリー中の分散剤添加量を蛍光体重量に対し500ppm、1000ppm、3000ppm、5000ppmの条件で試験を行った時の分散剤添加量とランプ排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0016】
各分散剤を配合することで排気側30mmと中央部の色差は変化しており、2種以上の分散剤を配合する場合、これら3種類の分散剤の量を最適化することで管端色差を制御することが可能となる。
【0017】
図4、図5は、Y、Alを効率よく分散することが可能な分散剤溶液の配合割合を2:8に設定し、スラリー溶液内に蛍光体重量に対し2000ppm配合した時の管端色差特性を従来型ランプと比較して示した図である。ランプ軸方向の管端色差を中央部偏差Δ0.005以内に制御することが可能となった。図6は、本発明型ランプと従来型ランプの全光束相対値を示す表である。尚、本実施の形態では高分子分散剤として、カルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加している。
【0018】
このように分散剤を2種以上混合することで管端色差x値、y値の中央部偏差値を同値に制御することが可能となり、ランプ軸方向色味の差を低減することが可能となる。このことから蛍光体の粒子径などを様々に変化させても、ランプの管端色差を制御することが可能となる。
【0019】
(第2の実施の形態)本実施の形態の冷陰極蛍光ランプの構造は、第1の実施の形態と同様である。バルブ3内部に水銀および希ガス5が1種類以上封入され、その両端には封着線4を介し一対の放電電極1が接続してある。また、バルブ3内壁には蛍光体被膜2が約10〜40μmの厚さで形成されている。
【0020】
蛍光体を、水にポリエチレンオキサイトなどの増粘剤を溶解した無機バインダー、もしくはニトロセルロースなどの増粘剤を酢酸ブチルに溶解させた有機バインダーに混合し、さらに結着剤・分散剤を添加してスラリー状態で使用した。この時添加された分散剤は蛍光体粒子表面に吸着し、蛍光体粒子の凝集を防いでいる。分散剤の構成物質は、蛍光体母体金属によって吸着度合いが変化するため、分散剤の添加量を増やしていくと、三波長蛍光体でそれぞれ異なる分散性(流動性)を示す。このため、バルブ内部に塗布した際に三波長蛍光体の残留分布を改善することができ、小粒子の蛍光体などを使用することなくランプ管端色差を改善することができる。
【0021】
図7は、水にポリエチレンオキサイドを溶解させた無機バインダーにカルボン酸型分散剤を蛍光体に対して重量比で分散剤を従来の添加量0ppmから、500,1000,1500,2000ppmと添加し試験を行った時の分散剤添加量と排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図である。
【0022】
ランプ軸方向の色味の改善にはx値、y値の色度偏差の差を少なくする必要がある。今回分散剤量を最適化した結果、従来品0ppmでは色度偏差が0.004だったものが、300〜1500ppmの間でx値とy値の色度偏差を0.003以内にすることができた。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例の冷陰極蛍光ランプと従来の比較例の冷陰極蛍光ランプについて、バルブ内径:φ3.0mm、ランプ長:700mmバルブ内面に0.2μmの三波長蛍光体による蛍光体被膜を形成し、電流6mArmsの管電流を流してランプ軸方同の色度ずれ特性と全光束特性を比較した。実施例1では分散剤添加量1000ppmとした。
【0024】
図8、図9は、実施例と比較例との管端色差を示す図であり、図10は、その全光束特性を示す表である。本発明の実施例では、高効率の大粒子を用いて比較例とほぼ同等の全光束で、ランプ軸方向の色度偏差を低滅させ色味を改善することができた。
【0025】
尚、蛍光体被膜2の表面に希土類の金属化合物を0.1%〜5%コートすることができる。金属化合物としては、例えば、Al2O3、La2O3、MgO、CeO2、Y2O3、TiOを採用する。そして、被膜の含有量は、0.1%〜5%が適当である。これにより、蛍光体被膜2の発光を妨げず、かつ水銀の吸着、イオン衝撃から蛍光体母体を保護することにより、長寿命化が図れる。さらに、蛍光体被膜2の表面を金属酸化物によりコートする代わりに、予め三波長蛍光体それぞれの蛍光体粒子の表面に金属酸化物がコートされた蛍光体粉末を用いて蛍光体被膜2を形成しても同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態のY分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のLa分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態のAl分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の混合分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプのx偏差の管端色差特性を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の混合分散溶液を用いた冷陰極蛍光ランプのy偏差の管端色差特性を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の相対全光束値を示す表。
【図7】本発明の第2の実施の形態の分散剤添加量と排気側30mmと中央部の色度偏差の関係を示す図。
【図8】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプのx偏差の管端色差特性を示す図。
【図9】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプのy偏差の管端色差特性を示す図。
【図10】実施例1と比較例との冷陰極蛍光ランプの全光束の測定結果の表。
【図11】従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に平行な断面図。
【図12】従来の冷陰極蛍光ランプのランプ軸に垂直な断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 電極
2 蛍光体被膜
3 バルブ
5 放電空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ内部に水銀および希ガスが1種類以上封入され、前記バルブの両端には一対の放電電極を具備し、前記バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものであることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記蛍光体被膜は、10μm〜40μmの厚さに形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項1】
バルブ内部に水銀および希ガスが1種類以上封入され、前記バルブの両端には一対の放電電極を具備し、前記バルブ内面に赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)、青色蛍光体(BaMg2Al10O17:Eu)の三波長蛍光体が含まれた蛍光体被膜が形成されている冷陰極蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜は、流動性を高めるために三波長蛍光体のスラリー中にカルボン酸型脂肪酸塩、カルボン酸型硫酸エステル塩、カルボン酸型アルキルアミン塩、カルボン酸型第4級アンモニウム塩の高分子分散剤のうち少なくとも2種類以上を添加したものを前記バルブ内面に塗布し乾燥させて形成したものであることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記蛍光体被膜は、10μm〜40μmの厚さに形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−202516(P2006−202516A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10168(P2005−10168)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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