説明

凍結乾燥容器および凍結乾燥物の製造方法

【課題】一般的な凍結乾燥装置を用いた凍結乾燥物の製造に使用でき、かつ使用後の分別廃棄が不要で、凍結乾燥物を効率よく製造できる凍結乾燥容器、および該凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上端に開口17を有し、開口17から凍結乾燥物が充填されるプラスチック製の容器本体11と、開口17に打栓されるプラスチック製の栓21とを備えた凍結乾燥容器10であって、開口17の縁31および/または栓21に、開口17に栓21を打栓することで、縁31と栓21とを密着させる粘着部32が設けられているとともに、開口17の縁31の全周に亘り、栓21に溶着される溶着部33が設けられている凍結乾燥容器10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥容器および該凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蛋白質製剤、抗生物質などの医療用薬剤は、有効成分の安定性を保つため、凍結乾燥処理が施され、凍結乾燥容器に収容される。
凍結乾燥物は、以下の操作により凍結乾燥容器に収容される。まず、凍結乾燥容器の容器本体内に、凍結乾燥物の原液を充填する。次に、容器本体に栓を半打栓し、該容器本体を、凍結乾燥装置内の加熱と冷却機能を備えた棚(加熱冷却棚)の上に配置する。さらに、容器本体を該加熱冷却棚で冷却し、凍結乾燥物の原液を凍結処理する。次に、この原液を凍結状態に保ったまま減圧乾燥する。その後、凍結乾燥装置内に窒素ガスを供給して容器本体内を大気圧に戻すことで、容器本体内の雰囲気を窒素ガスにガス置換する。そして、凍結乾燥装置内で容器本体に栓を完全打栓してから、凍結乾燥物が収容された凍結乾燥容器を凍結乾燥装置から取り出す。このようにして製造された凍結乾燥物は、凍結乾燥容器内の雰囲気が窒素ガスに置換されており、酸化による変性が生じにくく、有効成分の安定性に優れている。
【0003】
凍結乾燥容器から凍結乾燥物を取り出すには、凍結乾燥容器の栓に注射針を貫通させ、凍結乾燥容器内に凍結乾燥物を溶解するための所定の溶解液を注入し、該溶解液で凍結乾燥物を溶解する。その後、凍結乾燥物の溶液を注射針で吸引する。このようにして、凍結乾燥物の溶液を凍結乾燥容器から取り出す。
【0004】
従来、このような凍結乾燥容器としては、ガラス容器と、ゴム栓と、ガラス容器とゴム栓とをかしめてゴム栓の脱落を防止するアルミニウム製の留め具とを組み合わせたものが用いられてきた。しかし、このような従来の凍結乾燥容器では、使用後に、ガラス容器とゴム栓と留め具とを分別廃棄する必要があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、プラスチック製の容器本体と、容器本体の開口を打栓するプラスチック製のシール材とからなる凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造方法が開示されている。特許文献1では、凍結乾燥装置内で容器本体にシール材を溶着し、凍結乾燥容器に収容された凍結乾燥物が製造される。このように、特許文献1の凍結乾燥物の製造方法では、容器本体とシール材がともにプラスチック製とされた凍結乾燥容器を用いているので、使用後に凍結乾燥容器を分別廃棄する必要がない。
【特許文献1】特開平5−302616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の凍結乾燥物の製造方法では、溶着手段を設置した特殊な凍結乾燥装置を使用する必要があり、一般的な凍結乾燥装置を使用することができなかった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、一般的な凍結乾燥装置を用いた凍結乾燥物の製造に使用でき、かつ使用後の分別廃棄が不要な凍結乾燥容器、および該凍結乾燥容器を用いた効率のよい凍結乾燥物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)凍結乾燥物の包装に用いられる開口を有するプラスチック製の容器であって、前記プラスチック容器に、押圧により前記容器を一時的に密封する粘着部と、前記容器を溶着により密封する溶着部とがそれぞれ設けられていることを特徴とする凍結乾燥容器。
(2)上端に開口を有するプラスチック製の容器本体と、前記開口に打栓されるプラスチック製の栓とを備えた凍結乾燥容器であって、前記開口の縁および/または栓に、前記開口に前記栓を打栓することで、前記縁と前記栓とを密着させる粘着部が設けられているとともに、前記開口の縁の全周に亘り、前記栓に溶着される溶着部が設けられている(1)に記載の凍結乾燥容器。
(3)前記縁の内周側に前記溶着部が設けられるとともに、前記縁の外周側に前記粘着部が設けられている(2)に記載の凍結乾燥容器。
(4)前記粘着部と前記溶着部とを離間する離間部が、前記縁の全周に亘り設けられている、(2)または(3)に記載の凍結乾燥容器。
(5)前記容器が一端に前記開口を有する袋状であり、前記粘着部が、前記容器を一時的に密封したときに密着する前記容器の内面の片側または両側に設けられている(1)に記載の凍結乾燥容器。
(6)(2)〜(4)のいずれかに記載の凍結乾燥容器を用いる凍結乾燥物の製造方法であって、前記容器本体に凍結乾燥物の原液を充填し、該凍結乾燥物の原液を凍結乾燥した後に、前記開口に前記栓を打栓して、該栓を前記容器本体に密着させ、その後、前記容器本体と該栓とを溶着することを特徴とする凍結乾燥物の製造方法。
(7)(5)に記載の凍結乾燥容器を用いる凍結乾燥物の製造方法であって、袋状の前記容器に凍結乾燥物の原液を充填し、該凍結乾燥物の原液を凍結乾燥した後に、前記粘着部を押圧することにより密着させて前記容器を一時的に密封し、その後、前記溶着部を溶着することを特徴とする凍結乾燥物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の凍結乾燥容器は、一般的な凍結乾燥装置を用いた凍結乾燥物の製造に使用でき、かつ使用後の分別廃棄が不要である。
本発明の凍結乾燥物の製造方法によると、使用後の分別廃棄が不要な本発明の凍結乾燥容器に、一般的な凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥物を収容でき、凍結乾燥物の製造を効率よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の凍結乾燥容器は、凍結乾燥物の包装に用いられる開口を有する容器である。また、該容器に、押圧により前記容器を一時的に密封する粘着部と、前記容器を溶着により密封する溶着部とがそれぞれ設けられている。
本発明における凍結乾燥容器は、上端に開口を有する容器本体と該開口に打栓される栓とを備えた容器であってもよく、一端に開口を有する袋状の容器であってもよい。
【0010】
<第1実施形態>
以下、第1の実施形態例として、上端に開口を有する容器本体と該開口に打栓される栓とを備えた凍結乾燥容器、および該凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造方法について図を用いて詳細に説明する。
(凍結乾燥容器)
図1に示すように、本実施形態の凍結乾燥容器10は、上端に開口17を有し、開口17から凍結乾燥物の原液が収容されるプラスチック製の容器本体11と、前記開口に打栓されるプラスチック製の栓21とを備え、容器本体11と栓21とは、ヒンジ部25によって連結されている。
【0011】
容器本体11は、図2に示すように、成形体12とガスバリア性フィルム13とで形成された側壁部14と、成形体12の下端の内周に成形された底部成形部19と、底部成形部19と接し、底部16の全面を覆うガスバリア性フィルム15とからなる底部16と、成形体12と一体に成形され、開口17の全周に亘り形成されたフランジ状の縁31とを有する。
【0012】
栓21は、打栓の際に開口17に接する成形体23と、成形体23を覆い、栓21にガスバリア性を付与するガスバリア性フィルム22とを有する。打栓部23の中心には、注射針を挿すための孔26が形成されている。この実施形態において、孔26は、その一方がガスバリア性フィルム22で塞がれ、他方が再封止層27で塞がれている。また、成形体23には、開口17に打栓する際の位置決めを行うガイド24が形成されている。
【0013】
縁31には、その全周に亘り、打栓によって栓21と縁31とを密着させる粘着部32と、栓21に溶着される溶着部33と、粘着部32と溶着部33とを離間する離間部34とが形成されている。
【0014】
粘着部32は、縁31の外周側に設けられ、その全周に亘り、粘着剤または接着剤が塗布されている。
粘着剤または接着剤の材質としては、ゴム系、ポリジエン系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、エステル系などが挙げられる。
粘着剤または接着剤の形態としては、固形、溶液型、エマルジョン型などが挙げられる。
粘着剤または接着剤の硬化方式としては、熱硬化型、光(UV)硬化型、重合反応型、感圧接着型などが挙げられる。
【0015】
粘着部32の幅は、概ね0.2〜5mmが好ましい。0.2mm以上であれば、打栓時に栓21と縁31との密着性を十分に確保できる。5mm以内であれば、縁31を不必要に大きくすることなく、凍結乾燥容器10をコンパクトにできる。
粘着部32に塗布される粘着剤または接着剤の厚みは、5〜500μmが好ましい。厚みが5μm以上であれば、打栓時に栓21と縁31との密着性を十分に確保できる。厚みが500μm以内であれば、粘着剤または接着剤の使用量を抑えられるとともに、打栓時の押圧によって、余分な粘着剤または接着剤が粘着部32外にはみ出すのを最小限に抑えることができる。
【0016】
溶着部33は、縁31の内周側に設けられている。
溶着部33の幅は、概ね0.2〜10mmが好ましい。0.2mm以上であれば、溶栓時に栓21との溶着を十分に行える。10mm以内であれば、縁31の直径を不必要に大きくすることなく、凍結乾燥容器10をコンパクトにできる。
【0017】
離間部34は、この実施形態では溝状とされ、粘着部32と溶着部33との間に設けられている。離間部34は、打栓時の押圧によって、粘着部32からはみ出した余分な粘着剤または接着剤が、溶着部33側に至るのを防ぐ目的で形成されている。
離間部34の幅は、概ね0.1〜5mmが好ましい。0.1mm以上であれば、打栓時の押圧によって、粘着部32からはみ出した余分な粘着剤または接着剤が、溶着部33側に至るのを十分に防ぐことができる。5mm以内であれば、縁31の直径を不必要に大きくすることなく、凍結乾燥容器10をコンパクトにできる。
離間部34の溝の深さは、概ね0.1〜10mmが好ましい。0.1mm以上であれば、打栓時に、粘着部32からはみ出した余分な粘着剤または接着剤が、溶着部33側に至るのを十分に防ぐことができる。10mm以内であれば、縁31の厚みを不必要に厚くすることなく、また容器本体11の成形性が良好となる。
【0018】
成形体12は、凍結乾燥物の収容空間を確保するために設けられている。
成形体12を形成する合成樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。中でも、凍結乾燥物への影響が少なく、廃棄性、リサイクル性に優れるポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂は透明性に優れているため、側壁部14に視認性が求められる場合にも好ましく用いられる。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。また、成形体12は、複数の異なる樹脂層からなる多層構造とされていてもよい。
【0019】
成形体12の厚みは0.5〜10mmが好ましい。0.5mm以上とすることで、容器本体11の充分な座屈強度が得られ、打栓時の押圧によっても容器本体11が破損しにくい。10mm以下とすることで、側壁部14の透明性を良好にでき、容器内に収容された凍結乾燥物の視認性が良好となる。
【0020】
ガスバリア性フィルム13は、酸素バリア性、水蒸気バリア性を有するフィルムであり、容器本体11にガスバリア性を付与するために設けられる。ガスバリア性フィルム13の酸素バリア性の指標となる酸素透過量は、0〜0.5ml/m/24hrs/MPaであることが好ましく、0〜0.1ml/m/24hrs/MPaであることがより好ましい。ガスバリア性フィルム13の水蒸気バリア性の指標となる水蒸気透過量は、0〜1.0g/m/24hrsであることが好ましく、0〜0.5g/m/24hrsであることがより好ましい。
【0021】
ガスバリア性フィルム13の厚みは、フィルムの種類にもよるが、樹脂を主成分とするフィルムの場合には、概ね10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。10μm以上であれば、充分なガスバリア性が得られる。100μm以下であれば、凍結乾燥時の熱伝導性が良好である。
【0022】
ガスバリア性フィルム13の具体例としては、銅、アルミニウム、マグネシウムなどの金属からなる5〜100μmの金属箔フィルム、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などからなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナなどを蒸着させた蒸着系バリアフィルム、5〜100μm程度の厚みの金属箔を、PET樹脂やポリプロピレン樹脂で挟み込んだ金属箔積層フィルム、PETやセロファンなどのフィルムにポリビニリデンクロライド(PVDC)をコートしたKコートフィルム、バリア性を有する有機系および/または無機系のバリア性材料をポリエステルまたはポリアミドなどからなるフィルムにコートしたコート系バリアフィルムが挙げられる。その他に、フィルムの原材料としてポリビニルアルコール系樹脂(PVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、PVDC、メタキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(MXD)を用いたフィルム、さらには、これら原材料を用いたフィルムと前述した他のガスバリアフィルムとをドライラミネート法などにより積層した積層フィルム、さらには、これら原材料とポリオレフィン樹脂などとを共押出にて積層した共押出系バリアフィルムも挙げられる。
【0023】
ガスバリア性フィルム13は、容器本体11に視認性が必要な場合、共押出系バリアフィルム、蒸着系バリアフィルム、コート系バリアフィルムなどの透明フィルムであることが好ましい。透明性を有するガスバリア性フィルム13に、前述した透明性を有する成形体12を組み合わせることで、透明性を有した側壁部14とすることができ、容器内に収容された凍結乾燥物の視認性が良好となる。
また、ガスバリア性フィルム13は、特に優れたガスバリア性が要求される場合、ガスバリア性に特に優れた金属箔または金属箔積層フィルムであることが好ましい。なお、ガスバリア性フィルム13が金属箔または金属箔積層フィルムであることで、熱伝導性をより向上することもできる。これら金属箔または金属箔積層フィルムに用いられる金属としては、アルミニウム、マグネシウムが好ましい。
【0024】
ガスバリア性フィルム13は市販品であってもよく、例えば、凸版印刷株式会社製の「GLフィルム」、大日本印刷株式会社製の「IBフィルム」、三菱樹脂株式会社製の「テックバリア」、株式会社クラレ製の「エバールフィルム」「クラリスタ」、旭化成株式会社製の「サランUB」、タマポリ株式会社製の「ハイトロンBX」、東セロ株式会社製の「マックスバリア」、株式会社クレハ製の「ベセーラ」などが挙げられる。
【0025】
ガスバリア性フィルム13の表面には、ガスバリア性フィルム13を保護する保護層(不図示)が設けられていることが好ましい。これにより、擦れなどによるガスバリア性フィルム13のガスバリア層の損傷をより確実に防止でき、ガスバリア性を維持できる。
前記保護層を形成する樹脂としては、PET樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。前記保護層の厚みとしては、5〜100μmが好ましい。
【0026】
ガスバリア性フィルム13と成形体12との間には、ガスバリア性フィルム13と成形体12との接合を強固にする接着層(不図示)が形成されていることが好ましい。これにより、凍結乾燥時の温度変化に基づくガスバリア性フィルム13と成形体12との膨張率および収縮率の差により発生する物理的刺激や、成形体12を透過しうる内容物からの化学的刺激などにより、ガスバリア性フィルム13が成形体12から剥離することを防止でき、良好なガスバリア性を維持できる。なお、この接着層は、成形体23の樹脂と接着可能な、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂、または公知の接着剤や接着性樹脂から形成される。また、この接着層の厚みは5〜100μmが好ましい。前記接着剤としては、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤などが挙げられる。前記接着性樹脂としては、変性ポリエチレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
【0027】
ガスバリア性フィルム15は、ガスバリア性フィルム13と同様に、酸素バリア性、水蒸気バリア性を有するフィルムであり、容器本体11にガスバリア性を付与するために設けられている。ガスバリア性フィルム15の具体例、好ましい酸素透過量、好ましい水蒸気透過量、好ましい厚みも、ガスバリア性フィルム13と同様である。
【0028】
ガスバリア性フィルム15は、底部成形部19に接するように、底部16の全面にわたり形成されている。このように、容器本体11は、底部の少なくとも一部がガスバリア性フィルム15のみからなる薄肉の部分とされているため、熱伝導性に優れ、凍結乾燥を迅速に行える。底部16の熱伝導性を向上するためには、底部成形部19を極力小さくし、底部16の大部分をガスバリア性フィルム15とするのが好ましく、底部成形部19を無くして、ガスバリア性フィルム15のみとした底部16としてもよい。
【0029】
さらには、ガスバリア性フィルム15が底部16の全面よりやや広くされ、この広くされた部分が、側壁部14の底部近傍に貼り付けるようにされていてもよい。すなわち、ガスバリア性フィルム15がカップ状の形状とされていてもよい。このように、側壁部14のガスバリア性フィルム13の一部と、底部16のガスバリア性フィルム15の一部とが重ね合わされて容器本体11を覆うことで、両フィルムの継ぎ目部分にガスバリアされていない隙間が生じる可能性がなく、容器本体11のガスバリア性をさらに向上できる。
【0030】
ガスバリア性フィルム15の表面には、ガスバリア性フィルム13と同様に、ガスバリア性フィルム15を保護する保護層が設けられていることが好ましい。これにより、擦れなどによるガスバリア性フィルム15のガスバリア層の損傷を防止でき、ガスバリア性を維持できる。なお、この保護層の好ましい材質、厚みも、ガスバリア性フィルム13を保護する保護層と同様である。
【0031】
ガスバリア性フィルム15と底部成形部19との間には、ガスバリア性フィルム13と成形体12との間に好ましく設けられる接着層と同様に、ガスバリア性フィルム15と底部成形部19との接合を強固にする接着層(不図示)が設けられていることが好ましい。なお、この接着層の形成に用いられる材料、および接着層の好ましい厚みに関しても、ガスバリア性フィルム13と成形体12との間に好ましく設けられる接着層と同様である。
【0032】
栓21の成形体23を形成する樹脂としては、成形体12と同様の樹脂が挙げられ、好ましい樹脂も同様である。
ガスバリア性フィルム22は、ガスバリア性フィルム13と同様に、酸素バリア性、水蒸気バリア性を有するフィルムであり、栓21にガスバリア性を付与するために設けられ、その具体例、好ましい酸素透過量、好ましい水蒸気透過量、および好ましい厚みは、前述のガスバリア性フィルム13と同様である。
なお、栓21のガスバリア性フィルム22は、この実施形態例では成形体23の外側に形成されているが、成形体23の内側に形成されていてもよい。また、成形体23の内側および外側に形成されていてもよい。
【0033】
ガスバリア性フィルム22には、ガスバリア性フィルム13と同様に、ガスバリア性フィルム22を保護する保護層が設けられていることが好ましい。これにより、擦れなどによるガスバリア性フィルム22のガスバリア層の損傷を防止でき、ガスバリア性を維持できる。なお、この保護層の好ましい材質、厚みも、ガスバリア性フィルム13を保護する保護層と同様である。
ガスバリア性フィルム22と成形体23との間には、ガスバリア性フィルム13と成形体12との間に好ましく設けられる接着層と同様に、成形体23へのガスバリア性フィルム22の接合を強固にする接着層(不図示)が設けられていることが好ましい。なお、この接着層の形成に用いられる材料、および接着層の好ましい厚みに関しても、ガスバリア性フィルム13と成形体12との間に好ましく設けられる接着層と同様である。
【0034】
本実施形態の凍結乾燥容器10は、特に複数の凍結乾燥容器10を用いて凍結乾燥物を量産する場合、それら全ての凍結乾燥容器10を一つの押圧機で均等に押圧して一時的に密封することが容易になる点から、ガスバリア性フィルム22の外側に弾性層28が設けられた凍結乾燥容器10aであることが好ましい(図3)。
すなわち、弾性層28を設けていない場合には、量産する際に複数の凍結乾燥容器10を一つの押圧機で一度に押圧すると、それぞれの凍結乾燥容器10に均等に力を加えることが難しいため、押圧が不十分で粘着部32の密着が不完全なものができたり、押圧が過剰で凍結乾燥容器10に破損が生じるものができたりすることがある。しかし、弾性層28が設けられた凍結乾燥容器10aでは、過剰な押圧がかかった場合には弾性層28がその力を吸収するため、ある程度強い押圧を加えることにより全ての凍結乾燥容器10aを充分に押圧して一時的な密封を安定して行うことができる。
【0035】
弾性層28は、凍結乾燥容器10aに保護層が設けられている場合には、該保護層の内側に設けられていてもよく、外側に設けられていてもよい。また、弾性層28は、粘着部32または/および溶着部33に相当する部分にのみ設けられていてもよい。例えば、弾性層28の孔26に相当する部分に、該孔26と同等の孔が形成されていてもよい。
【0036】
弾性層28の材質としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリブチレンやポリイソプレンなどのゴムが挙げられる。これらは、混合または複合されていてもよく、また発泡体とされていてもよい。なかでも、過剰な押圧の吸収性能に優れる点から、前記樹脂の発泡体や熱可塑性エラストマー、ゴムが好ましい。
【0037】
弾性層28の厚みは、弾性層28の弾性率に応じて適切な値にすればよく、0.3〜10mmであることが好ましく、0.5〜8mmであることがより好ましい。弾性層28の厚みが0.3mm以上であれば、過剰な押圧の吸収性が充分に得られ、凍結乾燥物を安定して量産しやすい。また、弾性層28の厚みが10mm以下であれば、凍結乾燥容器10aへの溶解液の注入および凍結乾燥物の溶液の取り出しを行う注射針の挿入が容易になる。
【0038】
孔26は、凍結乾燥容器10内への溶液の注入および凍結乾燥物の溶解液の取り出しを行う注射針を挿入する孔である。
孔26の大きさは、挿入される注射針の直径より大きいものとされ、概ね1〜10mmの口径が好ましい。
この実施形態例では、孔26を有した凍結乾燥容器10を示したが、これに限らず、注射針が貫通できる程度に薄い肉厚にした栓であれば、孔26を有さなくてもよい。
【0039】
再封止層27は、孔26に貫通させる注射針に密着し、栓21に空隙が生じないようにするために設けられている。
再封止層27は、少なくとも孔26を覆うように設けられていればよい。例えばこの実施形態例のように、成形体23下面に設けられていてもよく、ガスバリア性フィルム22上に設けられていてもよく、ガスバリアフィルム22と成形体23との間に設けられていてもよい。さらに、ガスバリア性フィルム22内に多層フィルムとして設けられていてもよい。
【0040】
再封止層27を形成する樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマーなど、密着性に優れた樹脂が挙げられる。中でもポリエチレン樹脂が好ましく、特に低密度ポリエチレン樹脂および高強度な直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。再封止層27の厚みは、50〜500μmが好ましい。
【0041】
ヒンジ部25は、その一端が容器本体11に接合され、他端が栓21に接合され、容器本体11と栓21とを連結している。ヒンジ部25は、栓21を開口17に打栓可能なように、屈曲自在とされている。
ヒンジ部25の厚みは、ヒンジ部25を形成する樹脂の種類、凍結乾燥容器10の大きさなどによって適宜決定されるが、概ね10〜5000μmが好ましい。ヒンジ部25の厚みが10μm以上であれば、強度的に十分なものとすることができる。ヒンジ部25の厚みが5000μm以下であればヒンジ部25の屈曲性が十分となる。
ヒンジ部25の幅は、凍結乾燥容器10の大きさなどによって適宜決定されるが、概ね0.2mm〜縁31の直径が好ましい。ヒンジ部25の幅が0.2mm以上であれば、容器本体11と栓21との連結が安定し、打栓を円滑に行うことができる。ヒンジ部25の幅が縁の外径以下であれば、凍結乾燥容器の大きさを不必要に大きくすることが無い。
ヒンジ部25は、この実施形態例において、成形体12および成形体23と同様の樹脂で形成され、成形体12および成形体23と一体に成形されたものとしているが、これに限らず、成形体12および/または成形体23と別の樹脂で成形され、成形体12および/または成形体23と別に成形されたものであってもよい。
【0042】
以上説明した凍結乾燥容器10は、例えば以下のようにして製造される。
成形体12、成形体23、およびヒンジ部25は、前述した成形体12を形成する合成樹脂を用いて、射出成形などの成形方法で成形される。射出成形には、それぞれ公知の射出成形機を用いることができる。なお、成形体12、成形体23、およびヒンジ部25は、製造工程の簡略化の観点から、一体成形されるのが好ましいが、これに限らず、成形体12、成形体23、およびヒンジ部25を個別に成形してから夫々を接合してもよく、成形体12とヒンジ部25を一体に成形し、これに別途成形した成形体23を接合してもよく、または成形体23とヒンジ部25を一体に成形し、これに別途成形した成形体12を接合してもよい。
【0043】
側壁部14は、成形体12にガスバリア性フィルム13を、インモールド成形、高周波溶着、熱板溶着、インパルス溶着などにより溶着することで成形される。これらの溶着方法の中でも、インモールド成形が好ましく用いられる。
栓21は、成形体23にガスバリア性フィルム22を、インモールド成形、高周波溶着、熱板溶着、インパルス溶着などにより溶着することで成形される。これらの溶着方法の中でも、インモールド成形が好ましく用いられる。
【0044】
インモールド成形によると、例えば側壁部14を成形する場合、あらかじめ所定の寸法に切断されたガスバリア性フィルム13を、容器本体11の射出成形金型内の所定位置に固定しておき、該成形金型に成形体12の材料となる合成樹脂を流すことで、側壁部14を成形できる。したがって、成形体12を成形してから、ガスバリア性フィルム13を溶着する方法より、製造工程を簡略化できる。
【0045】
成形体12とガスバリア性フィルム13との間に、前述した接着層を設ける場合は、ガスバリア性フィルム13の成形体12と接する面、および/または成形体12のガスバリア性フィルム13と接する面に、接着層を形成する接着剤や樹脂を塗布してから溶着を行えばよい。
同様に、ガスバリア性フィルム22と成形体23との間に、前述した接着層を設ける場合は、ガスバリア性フィルム22の成形体23と接する面、および/または成形体23のガスバリア性フィルム22と接する部分に、接着層を形成する接着剤や樹脂を塗布してから溶着を行えばよい。
【0046】
底部16のガスバリア性フィルム15は、インモールド成形、高周波溶着、熱板溶着、インパルス溶着などにより溶着される。
なお、ガスバリア性フィルム13とガスバリア性フィルム15とが一体となったものをインモールド成形することも可能である。
【0047】
ガスバリア性フィルム15と底部成形部19との間に、前述した接着層を設ける場合は、ガスバリア性フィルム15の底部成形部19と接する部分、および/または底部成形部19のガスバリア性フィルム15と接する面に、接着層を形成する接着剤や樹脂を塗布してから溶着を行えばよい。
【0048】
次いで、粘着部32への粘着剤または接着剤の塗布、成形体23への再封止層27の溶着または接着などが施される。該溶着の方法としては、高周波溶着、熱板溶着、インパルス溶着などが挙げられる。また、該接着は、接着剤、接着性樹脂などによって行われる。また、弾性層28を設ける場合は、再封止層27と同様の方法で溶着または接着により設けることができる。
【0049】
以上説明した凍結乾燥容器10は、縁31に粘着部32が設けられているが、本発明はこれに限らず、栓に粘着部が設けられた凍結乾燥容器であってもよく、栓と容器本体とに粘着部が設けられた凍結乾燥容器であってもよい。
【0050】
凍結乾燥容器10は、図2に示すように、離間部34が溝状とされているが、例えば図4に示す凍結乾燥容器100のように、離間部34が凸状であってもよい。凍結乾燥容器100の離間部34も、凍結乾燥容器10の離間部34と同様に、打栓時の押圧によって粘着部32からはみ出した余分な粘着剤または接着剤が、溶着部33に至るのを防ぐことができる。
【0051】
また、本発明では、図5に示す凍結乾燥容器110のように、粘着部32と溶着部33とを離間させるため、粘着部32と溶着部33との間に段差が形成されていてもよい。凍結乾燥容器110は、粘着部32と溶着部33との間に段差が形成されることで、打栓時の押圧によって粘着部32からはみ出した余分な粘着剤または接着剤が溶着部33に至るのを防止できる。なお、離間部34を設けた凍結乾燥容器10、100の方が、凍結乾燥容器110に比べて、接着剤が溶着部33に至るのをより確実に防止できる。
【0052】
また、本発明では、図6に示すように、平らな縁31に粘着部32と溶着部33とが形成された凍結乾燥容器120であってもよい。なお、凍結乾燥容器120では、打栓時の押圧によって、粘着部32の粘着剤または接着剤が溶着部33に至る可能性が、他の実施形態例より大きいため、打栓時の押圧や、粘着剤または接着剤の塗布量を、他の実施形態例より厳密に調整するのが好ましい。
【0053】
以上説明した実施形態の栓21は、いずれもガスバリア性フィルム22と成形体23とを有したものであったが、これに限らず、例えば図7に示すように、ガスバリア性フィルム22からなる栓21を備えた凍結乾燥容器130であってもよい。
【0054】
なお、凍結乾燥容器130では、ガスバリア性フィルム22の厚みが、注射針を貫通させられる程度とされ、栓21に注射針挿入用の孔を形成していないが、必要に応じて、注射針挿入用の孔を形成してもよい。
また、凍結乾燥容器130では、ヒンジ部25が、ガスバリア性フィルム22と一体に形成されているが、これに限らず、ヒンジ部25が、成形体12と一体にされたものであってもよい。
【0055】
前述した実施形態例は、いずれもヒンジ部を有した凍結乾燥容器であったが、これに限らず、ヒンジ部を有さない凍結乾燥容器であってもよい。ヒンジ部を有さない凍結乾燥容器としては、例えば図8に示すように、ガスバリア性フィルム22から概略構成された栓21の外周の一部が、容器本体11の粘着部32に直接接合され、容器本体11と栓21とが連結されている凍結乾燥容器140が挙げられる。
【0056】
前述した実施形態例は、いずれも成形体12とガスバリア性フィルム13とで形成された側壁部14と、少なくとも一部がガスバリア性フィルム15のみからなるように、ガスバリア性フィルム15で覆われた底部とからなる容器本体11と、ガスバリア性フィルム22を有した栓21とで概略構成されている。本発明はこれに限らず、図9に示すように、容器本体51の全体に金属層52が継ぎ目なく形成され、かつ栓61の全体にも金属層52が継ぎ目なく形成された凍結乾燥容器50であってもよい。
【0057】
凍結乾燥容器50は、金属層52と、金属層52の内側に形成された合成樹脂内層53と、金属層52の外側に形成された合成樹脂外層54とを有する容器本体51および栓61から概略構成されている。また、凍結乾燥容器50は、容器本体51と栓61とがヒンジ部63で連結され、一体に成形されたものである。
【0058】
容器本体51の開口55に設けられた縁71には、前述した実施形態例と同様に、粘着部72と溶着部73と離間部74とが形成されている。
栓61には、前述した実施形態例と同様に、ガイド62と、ガスバリア性フィルム64と再封止層65とで塞がれた孔67とが形成されている。
【0059】
容器本体51の肉厚は、20〜1000μmが好ましい。20μm以上であれば、容器本体51の強度を充分に確保できる。1000μm以下であれば、容器本体51の熱伝導性を充分に確保でき、凍結乾燥が円滑に行える。
【0060】
金属層52は、容器本体51および栓61のガスバリア層として機能する。
金属層52の材質としては、アルミニウム、鉄、マグネシウム、銅などが挙げられ、中でも、アルミニウムが好ましい。アルミニウムは、比較的柔らかい金属であるため、成形加工性に特に優れているとともに、凍結乾燥容器として要求される強度も備えている。さらに、アルミニウムは、金属の中でも材料費が安価であり、入手も容易であるとともに、熱伝導性にも優れている。なお、本発明に用いられるアルミニウムには、アルミニウムに、鉄、銅、マンガン、ニッケル、マグネシウム、亜鉛などが含有されたアルミニウム合金も含む。
【0061】
金属層52の厚みは1〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましい。金属層52の厚みが1μm以上であれば、充分なガスバリア性を有することができ、かつ容器本体51の強度を充分なものとすることができる。金属層52の厚みが1000μm以下であれば、金属の使用量を抑えることができる。
【0062】
合成樹脂内層53は、金属層52を形成する金属が収容物(凍結乾燥物)と反応しないように、金属層52と収容物との接触を防止するために設けられている。
合成樹脂内層53を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂およびこれらの共重合体や混合樹脂などが挙げられる。中でも、凍結乾燥物への影響が少ないポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、合成樹脂内層53は、複数の層からなる多層構造とされていてもよい。
【0063】
合成樹脂内層53の厚みは1〜600μmが好ましい。合成樹脂内層53の厚みが1μm以上であれば、取り扱い時の擦れなどから金属層52を充分に保護することができる。合成樹脂内層53の厚みが600μm以下であれば、容器本体51および栓61の熱伝導性を充分に確保することができる。
【0064】
合成樹脂外層54は、金属層52への錆や傷の発生を防止するために設けられている。合成樹脂外層54を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、およびこれらの共重合体や混合樹脂などが挙げられる。また、合成樹脂外層54は、複数の層からなる多層構造とされていてもよい。
【0065】
合成樹脂外層54の厚みは1〜600μmが好ましい。合成樹脂外層54の厚みが1μm以上であれば、金属層52の錆の防止に有効であり、また取り扱い時の擦れなどによって金属層52に傷が生じるのを防止することができる。合成樹脂外層54の厚みが600μm以下であれば、容器本体51および栓61の熱伝導性を充分に確保することができる。
【0066】
凍結乾燥容器50は、凍結乾燥容器50の質量中、プラスチックが主とされていてもよく、金属が主とされていてもよく、これらは所望とするガスバリア性、成形性、使用後の廃棄物の種類などを鑑みて適宜決定される。凍結乾燥容器50のガスバリア性をより確実なものとする場合は、金属が主とされる方が有利であり、成形性を鑑みると、プラスチックが主とされる方が有利である。
【0067】
凍結乾燥容器50は、例えば、金属シート(金属層52)に、合成樹脂(合成樹脂内層53、合成樹脂外層54)が積層された積層シートを深絞り成形することで製造される。深絞り成形は、ジュースの缶の製造など広く用いられている成形技術であり、成形品を迅速かつ大量に製造することが可能である。
【0068】
凍結乾燥容器50は、容器本体51、ヒンジ部63、および栓61を一体に成形されるが、これに限らず、容器本体51、ヒンジ部63、栓61を夫々個別に成形してから接合してもよく、容器本体51とヒンジ部63を一体に成形し、そのヒンジ部63に別途成形した栓61を接合してもよく、栓61とヒンジ部63とを一体に成形してから、そのヒンジ部63に別途成形した容器本体51を接合してもよい。
【0069】
(凍結乾燥物の製造方法)
次に、本実施形態の凍結乾燥容器10を用いて凍結乾燥物を製造する方法について、図10〜12を参照しながら説明する。
まず、図10に示すように、凍結乾燥容器10の容器本体11内に、無菌状態とされた凍結乾燥物の原液Aを充填し、凍結乾燥装置内の加熱冷却棚200(加熱と冷却機能を備えた棚)の上に配置する。そして、凍結乾燥物の原液Aを充填した容器本体11を、加熱冷却棚200を用いて冷却し、凍結乾燥物の原液Aを凍結処理する。次に、凍結乾燥物の原液Aを凍結状態に保ったまま減圧乾燥することで、水分を昇華させ、凍結乾燥物を得る。次いで、凍結乾燥装置内に窒素ガスを供給して大気圧に戻し、容器本体11内の雰囲気を窒素ガスにガス置換する。
【0070】
次いで、図11に示すように、凍結乾燥装置内に備えられた押圧機201を栓21に押し当て、凍結乾燥物Bの入った容器本体11の開口17に栓21を打栓して、栓21と縁31とを密着させる。その後、凍結乾燥装置から凍結乾燥容器10を取り出す。
【0071】
ここで、本発明における密着とは、物理的な力によって開口に栓を打栓させたときに、後述する溶着の工程までの時間、凍結乾燥容器内の窒素ガスが漏出しない程度に、粘着部32の粘着力によって栓と縁とが接合して、凍結乾燥容器が一時的に密封されていることをいう。
【0072】
図12に示すように、凍結乾燥装置外に取り出された凍結乾燥容器10は、高周波溶着機に配置される。そして、高周波溶着機に備えられた押圧治具203で栓21を押圧しつつ、押圧治具203中に設けられた高周波発生コイル204から、凍結乾燥容器10に対して高周波を照射する。これにより、溶着部33が熱溶融されて、容器本体11と栓21とが溶着され、凍結乾燥容器10の気密性がより確実なものとなる。このようにして、凍結乾燥容器10に凍結乾燥物Bが収容される。なお、容器本体11と栓21とは高周波溶着に限らず、超音波溶着、レーザ溶着、熱板溶着、インパルス溶着などの手段により溶着してもよい。
【0073】
本実施形態の凍結乾燥物の製造方法によると、凍結乾燥容器10の容器本体11と栓21とがプラスチック製であるため、容器本体11と栓21との溶着が可能であり、従来のガラス容器とゴム栓を用いた凍結乾燥容器で必要とされていたアルミニウム製の留め具を省略することができる。これにより、使用後の凍結乾燥容器10は、分別廃棄が不要である。
また、本実施形態の凍結乾燥物の製造方法によると、打栓によって栓と縁とが密着されるので、打栓された凍結乾燥容器を凍結乾燥装置外に取り出しても、容器内の窒素ガスがすぐに漏出することがなく、栓と容器本体との溶着を凍結乾燥装置外で行うことができる。
また、本実施形態例の凍結乾燥物の製造方法は、後述する袋状の凍結乾燥容器に比べて凍結乾燥容器10の外力による変形等が起こり難いため、収容している凍結乾燥物をより安定に保存することができる点で好ましい。
このように、本発明の凍結乾燥物の製造方法は、使用後の分別廃棄が不要な本発明の凍結乾燥容器に、一般的な凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥物を収容できるので、効率的な凍結乾燥物の製造が行える。
【0074】
前述した製造例では、押圧機201および押圧治具203の押圧によって粘着部32からはみ出た粘着剤(接着剤)が、離間部34に受け止められる。したがって、粘着剤が溶着部33にまで至ることはなく、はみ出した粘着剤が溶着の妨げになることがなく、凍結乾燥物の製造をさらに効率よく行える。
さらに、前述した製造例に用いた凍結乾燥容器10は、縁31の外周側に粘着部32が設けられ、縁31の内周側に溶着部33が設けられている。この構成によって、粘着部32をはみ出した粘着剤は溶着部33で堰き止められる。したがって、粘着剤が容器本体11内に流れて、凍結乾燥物に混入する可能性を極力少なくすることができる。これにより、凍結乾燥物の製造をさらに効率よく行える。
【0075】
(凍結乾燥物の取り出し)
次に、本実施形態の凍結乾燥容器10に収容された凍結乾燥物を取り出す手順、および使用後の廃棄について説明する。
まず、孔26から注射針を挿入し、ガスバリア性フィルム22および再封止層27を貫通させ、凍結乾燥容器10内に凍結乾燥物を溶解するための所定の溶液を注入する。そして、該溶液により凍結乾燥物を溶解する。次いで、凍結乾燥物の溶解液を注射針で吸引する。このように、凍結乾燥物を溶解液の状態にして、凍結乾燥容器10から取り出す。
【0076】
ここで、凍結乾燥容器10には、栓21に再封止層27が設けられているため、再封止層27が注射針に密着し、注射針とガスバリア性フィルム22との間に空隙が生じるのを防止でき、注射針を貫通させても容器内の密閉状態が維持される。
なお、凍結乾燥容器10からの凍結乾燥物の取り出しは、注射針によるものに限らず、凍結乾燥物を溶解させずにそのまま服用してもよく、または孔26から複数流路を有するチューブなどを挿入し、空気流下で微粉の凍結乾燥物として凍結乾燥容器10外へ搬送させて、服用してもよい。
【0077】
このように凍結乾燥物を取り出した後、凍結乾燥容器10は廃棄される。ここで、本発明の凍結乾燥容器10は、前述したように、容器本体11と栓21とがプラスチック製であるため、プラスチックとして廃棄でき、使用後の分別廃棄が不要である。
【0078】
なお、凍結乾燥容器50の場合、容器本体51と栓61とを合わせた質量中、質量比で金属が主であれば、金属として廃棄でき、または質量比でプラスチックが主であればプラスチックとして廃棄できる。そのため、凍結乾燥容器50においても、使用後の分別廃棄が不要である。
【0079】
<第2実施形態>
次に、第2の実施形態例として、一端に開口を有する袋状の凍結乾燥容器および該凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造方法について、図を用いて詳細に説明する。
(凍結乾燥容器)
本実施形態の凍結乾燥容器80は、図13(a)、(b)に示すように、袋状の容器81の一端に開口82が形成されている。また、容器81には、容器81を一時的に密封する粘着部83と、容器81を溶着により密封する溶着部84とがそれぞれ設けられている。
【0080】
容器81は、酸素バリア性、水蒸気バリア性を有するガスバリア性フィルムからなる袋状の容器である。これにより容器81にガスバリア性が付与される。
容器81を形成するガスバリア性フィルムの酸素バリア性の指標となる酸素透過量は、0〜0.5ml/m/24hrs/MPaであることが好ましく、0〜0.1ml/m/24hrs/MPaであることがより好ましい。また、該ガスバリア性フィルムの水蒸気バリア性の指標となる水蒸気透過量は、0〜1.0g/m/24hrsであることが好ましく、0〜0.5g/m/24hrsであることがより好ましい。
【0081】
容器81のガスバリア性フィルムの厚みは、フィルムの種類にもよるが、樹脂を主成分とするフィルムの場合には、概ね10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。10μm以上であれば、充分なガスバリア性が得られる。100μm以下であれば、凍結乾燥時の熱伝導性が良好である。
【0082】
容器81のガスバリア性フィルムの具体例としては、第1実施形態におけるガスバリア性フィルム13で挙げたものと同じものを挙げることができ、好ましい態様も同じである。
容器81のガスバリア性フィルムの外側には、該ガスバリア性フィルムの損傷を防止してガスバリア性を維持しやすい点から、保護層が設けられていることが好ましい。該保護層は、第1実施形態におけるガスバリア性フィルム13を保護する保護層と同じものを用いることができ、好ましい厚みは5〜100μmが好ましい。
【0083】
また、容器81のガスバリア性フィルムの内容物側には、ヒートシールによる製袋を容易にするため、シーラントフィルムが積層されていることが好ましい。
シーラントフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などや、それらの変性樹脂または混合樹脂からなるフィルムが挙げられる。
【0084】
容器81の形態は、この例では、底を平坦にした形態(図13)である。容器81は、三方をヒートシールにより溶着した自立性のない袋であってもよく、図13に例示した形態以外のその他の自立性のある袋であってもよい。自立性のない袋としては、平パウチや、一部賦型を施した形態(図16)などが挙げられる。また、自立性のあるその他の袋としては、スタンディングパウチ等が挙げられる。なかでも、自立性があり、また容器81の底と加熱冷却棚との接触面積が大きくなる点から、図13に例示した底の平坦な形態の袋であることが好ましい。
【0085】
開口82は、容器81の一端を切り取っただけの開放端であってもよいが、密封操作が容易になる点からヒートシールなどの溶着により開口82の大きさを適度に狭めたり、凍結乾燥物の原料の充填が容易になる点から開口82の部分が立体形状になるように折り目をつけたりすることが好ましい。
【0086】
粘着部83は、押圧により容器81を一時的に密封する役割を果たす部分である。
粘着部83は、容器81を一時的に密封するときに密着する容器81の内面の片側または両側に設けられる。すなわち、容器81を一時的にしっかりと密封することができれば、一時的密封時に互いに密着する容器81の内面同士の片側のみに粘着部83が設けられていてもよく、互いに密着する容器81の内面同士の両側に(内面全周に亘って)設けられていてもよい。
粘着部83は、凍結乾燥物を収容している状態で容器81を一時的に密封することができる位置に設けられていればよく、押圧により密着させることが容易になる点から容器81の開口82近傍に設けられていることが好ましい。
【0087】
粘着部83は、粘着剤または接着剤が貼付または塗布されている。
粘着剤または接着剤の材質としては、ゴム系、ポリジエン系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、エステル系などが挙げられる。
粘着剤または接着剤の形態としては、固形、溶液型、エマルジョン型などが挙げられる。
粘着剤または接着剤の硬化方式としては、熱硬化型、光(UV)硬化型、重合反応型、感圧接着型などが挙げられる。いずれの型の粘着剤または接着剤であっても、凍結乾燥後に押圧するだけで、開口82が密着された状態になることが好ましい。
【0088】
粘着部83の幅は、概ね0.2〜5mmが好ましい。0.2mm以上であれば、開口82を充分に密着させることができる。5mm以内であれば、容器81を不必要に大きくすることなく、凍結乾燥容器80をコンパクトにできる。
粘着部83に塗布される粘着剤または接着剤の厚みは、5〜500μmが好ましい。厚みが5μm以上であれば、粘着部83を充分に密着させることができる。厚みが500μm以内であれば、粘着剤または接着剤の使用量を抑えられる。
【0089】
溶着部84は、溶着により容器81を密封する役割を果たす部分である。
溶着部84は、この例では粘着部83よりも内容物側(開口82側と逆側)に設けられている(図13)。溶着部84は、粘着部83よりも開口82側に設けられていてもよいが、粘着部83の粘着剤または接着剤が内容物側に流れて凍結乾燥物に混入することを抑制できる点から、粘着部83よりも内容物側であることが好ましい。
【0090】
溶着部84の幅は、概ね0.2〜30mmが好ましく、0.5〜15mmがより好ましい。0.2mm以上であれば、容器81を充分に密封することが容易となる。30mm以内であれば、容器81を不必要に大きくすることなく、凍結乾燥容器80をコンパクトにできる。
【0091】
また、この容器81には、内容物を取り出す際に注射針を刺し込むための取出し部85が設けられている。取出し部85には、注射針を刺した際に、該注射針に密着し、容器81内外の機密性を保持する再封止層が設けられている。該再封止層は、少なくとも取出し部85を覆うように設けられていればよく、容器81を構成するガスバリア性フィルムの外側あるいは内側に設けられる。
さらに、前記再封止層は、容器81を構成するガスバリア性フィルムおよび/または、保護層やシーラントフィルムと一体となっていてもよい。再封止層が容器全体にわたって設けられている場合は、注射針を刺し込むための取出し部として、本実施形態例の取出し部85のように特定の部位を設けなくてもよい。
前記再封止層は、ガスバリア性フィルムおよび/または、保護層やシーラントフィルムに密着していればよく、ヒートシールやインパルスシールなどによる溶着や、粘着剤や接着剤を介する貼付により設けられていてもよい。
【0092】
容器81における前記再封止層を形成する樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマーなど、密着性に優れた樹脂が挙げられる。中でもポリエチレン樹脂が好ましく、特に低密度ポリエチレン樹脂および高強度な直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。該再封止層の厚みは、50〜500μmが好ましい。
【0093】
以上説明した凍結乾燥容器80は、例えば以下のようにして製造される。
容器81の形成は、パウチの製造に通常用いられる方法などを用いることができ、例えば、ガスバリア性フィルム及びシーラントフィルムをラミネート加工により積層して、それをシーラントフィルムが内側になるように折り畳み、一端に開口82を形成するようにヒートシールする方法を用いることができる。保護層を設ける場合は、シーラントフィルム、ガスバリア性フィルム、及び保護層を同時にラミネート加工により積層することができる。また、自立性のある容器81とする場合には、公知の方法により自立性を付与する加工を行う。粘着部83への粘着剤または接着剤の貼付または塗布は、あらかじめ製袋前に粘着部83となる部分に施してもよく、製袋工程中もしくは製袋後に施してもよい。
以上のような方法で、凍結乾燥容器80を製造することができる。
【0094】
(凍結乾燥物の製造方法)
次に、第2実施形態の凍結乾燥容器80を用いて凍結乾燥物を製造する方法について説明する。
まず、凍結乾燥容器80の容器81内に、第1実施形態と同様にして、無菌状態とされた凍結乾燥物の原液を充填し、凍結乾燥装置内の加熱冷却棚の上に配置する。そして、凍結乾燥物の原液を充填した容器81を、加熱冷却棚を用いて冷却し、凍結乾燥物の原液を凍結処理する。次に、凍結乾燥物の原液を凍結状態に保ったまま減圧乾燥することで、水分を昇華させ、凍結乾燥物を得る。次いで、凍結乾燥装置内に窒素ガスを供給して大気圧に戻し、容器81内の雰囲気を窒素ガスにガス置換する。
【0095】
次に、図14に示すように、凍結乾燥装置内に備えられた台座301上に、容器81の粘着部83が設けられた部分を配置した状態で、凍結乾燥装置内に備えられた押圧機302を粘着部83に押し当て、凍結乾燥物が収容された凍結乾燥容器80の容器81を一次的に密封する。その後、凍結乾燥装置から凍結乾燥容器80を取り出す。
次に、図15に示すように、凍結乾燥装置から取り出した凍結乾燥容器80の粘着部84の内側の溶着部84を熱板303でヒートシールすることにより溶着し、容器81を密封する。これにより、凍結乾燥容器80の気密性が確実なものとなる。このようにして、凍結乾燥容器80に凍結乾燥物が収容される。なお、溶着部84の溶着は、前記熱板溶着に限らず、超音波溶着、レーザ溶着、インパルス溶着などの手段により行ってもよい。
【0096】
本実施形態の凍結乾燥物の製造方法によると、従来のガラス容器とゴム栓を用いた凍結乾燥容器で必要とされていたアルミニウム製の留め具を用いないため、使用後の凍結乾燥容器80は分別廃棄が不要である。また、押圧によって容器81が一時的に密封されるので、凍結乾燥容器80を凍結乾燥装置外に取り出しても容器81内の窒素ガスがすぐに漏出することがなく、その後の溶着部84の溶着を凍結乾燥装置外で行うことができる。
また、本実施形態の凍結乾燥容器80は、第1実施形態の凍結乾燥容器10に比べて小さくした状態で収納および廃棄が可能であるため、使用前の収納スペースおよび使用後の廃棄スペースを低減できる点で好ましい。
このように、本実施形態の凍結乾燥物の製造方法は、使用後の分別廃棄が不要な本発明の凍結乾燥容器に、台座などを追加するだけで一般的な凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥物を収容できるので、効率的な凍結乾燥物の製造が行える。
【0097】
(凍結乾燥物の取り出し)
次に、本実施形態の凍結乾燥容器80に収容された凍結乾燥物を取り出す手順、および使用後の廃棄について説明する。
まず、開口82から注射針を挿入して貫通させ、凍結乾燥容器80内に凍結乾燥物を溶解するための所定の溶液を注入する。そして、該溶液により凍結乾燥物を溶解する。次いで、凍結乾燥物の溶解液を注射針で吸引する。このように、凍結乾燥物を溶解液の状態にして、凍結乾燥容器80から取り出す。
【0098】
なお、凍結乾燥容器80からの凍結乾燥物の取り出しは、注射針によるものに限らず、凍結乾燥物を溶解させずにそのまま服用してもよく、または開口82から複数流路を有するチューブなどを挿入し、空気流下で微粉の凍結乾燥物として凍結乾燥容器10外へ搬送させて、服用してもよい。
【0099】
このように凍結乾燥物を取り出した後、凍結乾燥容器80は廃棄される。ここで、本発明の凍結乾燥容器80はプラスチックとして廃棄でき、使用後の分別廃棄が不要である。
なお、容器81のガスバリア性フィルムに金属箔を用いている場合は金属として廃棄でき、金属箔積層フィルムを用いている場合は、質量比でプラスチックが主であればプラスチックとして廃棄できるため、分別廃棄は不要である。
【0100】
本発明の凍結乾燥容器は、一般的な凍結乾燥装置を用いた凍結乾燥物の製造に使用でき、かつ使用後の分別廃棄が不要である。
本発明の凍結乾燥物の製造方法によると、凍結乾燥物を、使用後の分別廃棄が不要な凍結乾燥容器に、一般的な凍結乾燥装置を用いて収容でき、凍結乾燥物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態例の凍結乾燥容器を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態例の凍結乾燥容器を示す縦断面図である。
【図3】図1の凍結乾燥容器の栓に弾性層が設けられた例を示した断面図である。
【図4】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す部分縦断面図である。
【図5】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す部分縦断面図である。
【図6】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す部分縦断面図である。
【図7】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す部分縦断面図である。
【図8】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す部分縦断面図である。
【図9】他の実施形態例の凍結乾燥容器を示す側面断面図である。
【図10】凍結乾燥物の製造工程を示す縦断面図である。
【図11】凍結乾燥物の製造工程を示す縦断面図である。
【図12】凍結乾燥物の製造工程を示す縦断面図である。
【図13】本発明の袋状の凍結乾燥容器の一例を示した図である。(a)開放状態、(b)密封状態。
【図14】図13の凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造工程を示す模式図である。
【図15】図13の凍結乾燥容器を用いた凍結乾燥物の製造工程を示す模式図である。
【図16】本発明の袋状の凍結乾燥容器の他の実施形態例を示した図である。(a)が正面図、(b)が側面図であり、密封状態を示している。
【符号の説明】
【0102】
10、50、100、110、120、130、140 凍結乾燥容器
11、51 容器本体
17、55 開口
21、61 栓
31、71 縁
32、72 粘着部
33、73 溶着部
34、74 離間部
80 凍結乾燥容器
81 容器
82 開口
83 粘着部
84 溶着部
A 凍結乾燥物の原液
B 凍結乾燥物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥物の包装に用いられる開口を有するプラスチック製の容器であって、
前記容器に、押圧により前記容器を一時的に密封する粘着部と、前記容器を溶着により密封する溶着部とがそれぞれ設けられていることを特徴とする凍結乾燥容器。
【請求項2】
上端に開口を有するプラスチック製の容器本体と、前記開口に打栓されるプラスチック製の栓とを備えた凍結乾燥容器であって、
前記開口の縁および/または栓に、前記開口に前記栓を打栓することで、前記縁と前記栓とを密着させる粘着部が設けられているとともに、
前記開口の縁の全周に亘り、前記栓に溶着される溶着部が設けられている、請求項1に記載の凍結乾燥容器。
【請求項3】
前記縁の内周側に前記溶着部が設けられるとともに、前記縁の外周側に前記粘着部が設けられている、請求項2に記載の凍結乾燥容器。
【請求項4】
前記粘着部と前記溶着部とを離間する離間部が、前記縁の全周に亘り設けられている、請求項2または3に記載の凍結乾燥容器。
【請求項5】
前記容器が一端に前記開口を有する袋状であり、
前記粘着部が、前記容器を一時的に密封するときに密着する前記容器の内面の片側または両側に設けられている、請求項1に記載の凍結乾燥容器。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれかに記載の凍結乾燥容器を用いる凍結乾燥物の製造方法であって、
前記容器本体に凍結乾燥物の原液を充填し、該凍結乾燥物の原液を凍結乾燥した後に、前記開口に前記栓を打栓して、該栓を前記容器本体に密着させ、その後、前記容器本体と該栓とを溶着することを特徴とする凍結乾燥物の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の凍結乾燥容器を用いる凍結乾燥物の製造方法であって、
袋状の前記容器に凍結乾燥物の原液を充填し、該凍結乾燥物の原液を凍結乾燥した後に、前記粘着部を押圧することにより密着させて前記容器を一時的に密封し、その後、前記溶着部を溶着することを特徴とする凍結乾燥物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−25370(P2010−25370A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184031(P2008−184031)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】