説明

凝固及び線維素溶解カスケードのモジュレーター

トロンボプラスチン試薬は、(i)TF、(ii)リン脂質、及び(iii)ポリP TFPIブロッカーを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景〕
凝固カスケードの概略を図15に示す。図中、種々の凝固因子はそのローマ数字で表示される(すなわち、因子VIIはVIIで表示される)。血液と特定の人工表面の間に接触が生じると、内部カスケード(血液凝固の接触経路とも呼ばれる)が惹起される。組織因子(TF)(因子IIIとも表される)の露出につながる血管損傷によって、外部経路(血液凝固の組織因子経路とも呼ばれる)が惹起される。点線の矢印は外部経路と内部経路の交差点を表す。因子Xの因子Xaへの活性化で2つの経路が収束する。因子Xaは、因子VIIの因子VIIaへのさらなる活性化に役割がある。活性因子Xaはプロトロンビンを加水分解してトロンビンに活性化する。次に、トロンビンは因子XI、因子VIII及び因子Vを活性化してカスケードを推進することができる。究極的に、トロンビンの役割はフィブリノーゲンをフィブリンに変換することであり、このフィブリンが血餅を形成する。
線維素溶解システムは高度に制御された一連の酵素反応を通じたフィブリン血餅の分解の原因である。血液ホメオスタシスにおけるその役割に加え、線維素溶解システムの成分は炎症、腫瘍浸潤、組織修復及び血管形成中の細胞外マトリックスの分解及び細胞移動にも関係があるとされている([4]で精査)。線維素溶解に関与するタンパク質と相互作用の略図を図1に示す。プラスミノーゲン活性化とその後のフィブリン分解という2つの主段階が関与する。2種のセリンプロテアーゼ、すなわち組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPR)又はウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)のどちらかの作用によってプラスミノーゲン活性化が起こる。これらプラスミノーゲンアクチベーターの酵素活性は、セルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)スーパーファミリーのメンバーであるプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、PAI-1によって妨害される。プラスミノーゲン活性化の産物がセリンプロテアーゼ、プラスミンであり、その活性は別のセルピンであるα2-抗プラスミン(α2-AP)によって制御される。プラスミンがタンパク質分解によってフィブリンを可溶性フィブリン分解産物(FDP)に分解する。最近、線維素溶解のカルボキシペプチダーゼインヒビターが開示された[5]。このインヒビターの主な生理的アクチベーターはトロンビン(特にトロンボモジュリンに結合しているトロンビン)なので、該インヒビターは凝固と線維素溶解を連結するものとして働く。そういうわけで、この分子はトロンビンが活性化できる線維素溶解インヒビター(Thrombin Activatable Fibrinolysis Inhibitor)(TAFI)と呼ばれる。このインヒビターは同時に数グループで発見されたので、カルボキシペプチダーゼU、カルボキシペプチダーゼR、及び血漿カルボキシペプチダーゼBとも呼ばれることに留意すべきである。TAFIはプロカルボキシペプチダーゼとして循環し、タンパク質限定加水分解によって活性なカルボキシペプチダーゼ酵素(TAFIa)に変換される。
【0002】
組織因子経路インヒビター(TFPI)は、血液中に存在する生理的に重要な凝固インヒビターの1つである。血液の凝固が始まると、TFPIは凝固因子Xa(FXa)の活性部位に非常に緊密に結合してその酵素活性を阻害する。阻害されたTFPI:FXa複合体は因子VIIa(FVIIa)と組織因子(TF)の複合体に結合することができ、その結果、完全に阻害された四分子複合体(TF:FVIIa:TFPI:FXa)をもたらす。これが血液凝固のさらなる開始を効率的に制止する。このことが損傷後の血餅の大きさを制限するのに重要であると考えられる。生体内では、小量のTFPIだけがフリーなTFPIとして血漿中で循環する[24]。(血漿中にはリポタンパク質粒子に共有結合しているTFPIの別のプールがあるが、これは本質的に不活性である。)健康な正常な人では、大部分の活性なTFPIが内皮細胞の表面に結合しているか、又は血小板中に存在する[24]。
他の凝固タンパク質と同様、TFPIの血漿レベルは個体毎に変化しうる。TFPIレベルの正常な変化には、2つの理由のため一般的に日常的な凝固アッセイに関して制限された影響がある。第一に、多くの正常な血漿試料はかなり低レベルの活性TFPIを含む(1〜20ng/ml)。第二に、TFPIのような天然の凝固インヒビターが血漿の凝固時間に及ぼす影響は、凝固時間が短いと少ない。
全体的な凝固機能のための日常的なスクリーニング試験(プロトロンビン時間(PT)試験など)は一般的に非常に迅速に凝固するように設計されるので(PTアッセイの正常な凝固時間の範囲は、典型的に10〜15秒である)、これらの試験は、TFPIレベルの正常な変化によって最小限にしか影響を受けない。しかし、血漿試料が異常に高いレベルのTFPIを含む場合、又は凝固機能における他の欠陥が凝固時間を延長してTFPIが大きく影響するようになる場合、又は特殊な凝固アッセイにおいては、in vitroの凝固時間に及ぼすTFPIの影響が重大になりうる。
【0003】
血栓性発症の患者は、典型的に抗凝血薬で治療される。多くの場合、これらの患者は、最初にヘパリン注射で治療され、次いで徐々に長期制御用の経口抗凝血薬療法(クマジン(coumadin))に切り換えられる。クマジン治療を受けている患者の抗凝血状態は、通常、PTアッセイでモニターされ、その結果を用いてクマジン用量を調節する。複数の研究が、このヘパリン及びクマジンの療法間の移行期間中のPT結果の潜在的な可変性を開示している。ヘパリン療法を受けている患者由来の試料における凝固アッセイの妨害の1つの可能な原因は、血漿TFPIレベルの上昇である。ヘパリンの投与は内皮結合型TFPIのプールを血漿中に放出させるので、血漿TFPIレベルの上昇が起こる[25]。TFPI活性が上昇した患者では、延長した凝固時間は凝固因子の欠如と誤解され、或いは経口の抗凝血薬(クマジン)療法の影響のせいにされうる。
【0004】
いくつかの研究は、特にヘパリン療法を受けている患者における血漿TFPIのレベル上昇が血漿凝固データの正確な解釈をひどく妨げうることを実証した。血漿因子VIIaレベルの測定に使用される可溶性の組織因子ベース凝固アッセイでは、このことが特に真実である[26,27]。従って、上昇したTFPIの抗凝血効果は、該凝固アッセイで観察される凝固時間を延長し、血漿因子VIIaの擬似的に降下した測定値を与えうる。阻害性の抗-TFPI抗体を用いて該アッセイにおけるTFPIのレベル上昇による障害をうまく排除した[26,27]。しかし、抗-TFPI抗体は高価であり、完全にTFPI機能を遮断するためには高濃度で使用しなければならず、これが抗-TFPI抗体の一般的な有用性を制限する。従って、凝固アッセイにおいてTFPIの抗凝血機能を遮断する簡単かつ安価な方法が強く要望されている。
プロトロンビン時間(PT)試験は、血液凝固系の一般的なスクリーニング試験として、また特定因子アッセイの基礎として、クマジンによる経口の抗凝血療法をモニターするために広く使用されている。RTで得られる凝固時間は、主にビタミンK-依存性凝固因子II(プロトロンビン)、凝固因子VII、及び凝固因子Xの血漿レベル、並びに2種のビタミンK-非依存性タンパク質、すなわち因子Vとフィブリノーゲンのレベルに依存する。クマジン治療は、ビタミンKカルボキシラーゼ/レダクターゼサイクルをアンタゴナイズし、ひいてはグルタミン酸残基のγ-カルボキシグルタメートへの翻訳後変換を阻害する。ビタミンK-依存性凝固因子は、そのGlaドメインに必須のγ-カルボキシグルタミン酸残基を含む。従って、クマジン療法を受けている患者は、凝血原活性が低いカルボキシル化不十分のビタミンK-依存性凝固因子を生成するだろう。これが、主に因子II、因子VII及び因子Xのレベル低下のため、PTを延長する。クマジンによる経口の抗凝血薬療法がうまくいくためには患者のPTを注意深くモニターして効率的なレベルの抗凝血を達成しながら出血の併発を最小限にする必要がある(Hirshらによって精査[1])。
【0005】
ポリホスフェートは、食品添加物、食品加工、及び硬水軟化剤での使用といった、多くの商業用途で多年にわたって広く使用されている[1]。ポリホスフェートは、歯学においても歯周病の治療で使用されており、ポリホスフェートは抗菌活性を有すると報告されている[1]。組換えTFPIのリフォールディングで補助するためにポリホスフェートが使用されている[19〜21]。
無機ポリホスフェート(ポリP)は、高エネルギーの無水リン酸結合によって連結されたリン酸残基から形成された遍在性ポリマーである。ポリPは外界で見られ、細菌、真菌、動物及び植物の細胞中で検出されているが、ヒト細胞におけるその存在についてはあまり研究されていない[1]。
細菌中のみならず、トリパノソーマ類(trypanosomatid)及びアピコンプレクサ(apicomplexan)寄生虫、緑藻類コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、及び粘液カビ細胞性粘菌(Dictyostelium discoideum)等の数種の単細胞真核生物中で、ポリPは、アシドカルシソーム(acidocalcisome)として知られる酸性オルガネラ中に蓄積され、ミリモル又はモルレベルに達しうる[2]。最近、ヒト血小板の高密度顆粒が、その密度、酸性度、並びにピロホスフェート(PPi)、カチオン、及びポリPを蓄積する能力の点でアシドカルシソームに類似することが分かった[3]。このことがアシドカルシソームを、細菌からヒトへの進化の間に保存されてきた唯一の既知分類のオルガネラにしている。
【0006】
〔概要〕
第一の観点において、本発明により、(i)TF、(ii)リン脂質、及び(iii)ポリP TFPIブロッカーを含むトロンボプラスチン試薬を提供する。
第二の観点において、本発明により、(i)ポリP及び(ii)医薬用担体を含む、凝固促進用組成物を提供する。
第三の観点において、本発明により、創傷からの血液をポリPと接触させることを含む創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法を提供する。
第四の観点において、本発明により、TFPIを含む組成物にポリPを含ませることを含むTFPIを遮断する方法を提供する。
第五の観点において、本発明により、凝固のアクチベーターとポリPとを含む、凝固アッセイ用の試薬を提供する。
【0007】
〔定義〕
V又は因子Vは第V凝固因子を意味する。
Va又は因子Vaは活性化第V凝固因子を意味する。
VII又は因子VIIは第VII凝固因子を意味する。
VIIa又は因子VIIaは活性化第VII凝固因子を意味する。
X又は因子Xは第X凝固因子を意味する。
Xa又は因子Xaは活性化第X凝固因子を意味する。
VIII又は因子VIIIは第VIII凝固因子を意味する。
VIIIa又は因子VIIIaは活性化第VIII凝固因子を意味する。
IX又は因子IXは第IX凝固因子を意味する。
IXa又は因子IXaは活性化第IX凝固因子を意味する。
XI又は因子XIは第XI凝固因子を意味する。
XIa又は因子XIaは活性化第XI凝固因子を意味する。
XII又は因子XIIは第XII凝固因子を意味する。
XIIa又は因子XIIaは活性化第XII凝固因子を意味する。
tPAは組織型プラスミノーゲンアクチベーターを意味する。
uPAはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターを意味する。
TAFIはトロンビンが活性化できるフィブリノーゲンインヒビター(プロカルボキシペプチダーゼ)を意味し、プロカルボキシペプチダーゼB、U、又はRとしても知られる。
TAFIaはTAFIの活性化形態(活性カルボキシペプチダーゼ)を意味する。
TFPIは組織因子経路インヒビターを意味する。
ポリPnは下記式の化合物を意味する。


【0008】
【化1】

【0009】
式中、nの値は分子中のPO3単位の数に等しく、nは少なくとも3である。ポリホスフェート(ポリP)は、混合物を含め、ポリPnの総称であり、各ポリPnのnは少なくとも3である。ポリホスフェート及びいずれのポリPnの濃度も“リン酸当量”として表すことができ、これはPO3成分の濃度を意味する(例えば、1μMのポリP75は、75μMリン酸当量のポリP75と同じである)。
ポリP TFPIブロッカーは、TFPI遮断試験で決定されるような、TFPIの活性を遮断する1又は2以上のポリホスフェートである。TFPI遮断試験は、ポリP TFPIブロッカーを添加したトロンボプラスチン試薬とポリP TFPIブロッカーを添加しないトロンボプラスチン試薬を用い、プールされた血漿にTFPIを添加した場合とプールされた血漿にTFPIを添加しない場合の凝固時間を比較する1セットのPT凝固アッセイである。PT凝固アッセイは、凝固計(例えば、STart coagulometer, Diagnostica Stago, Parsippany NJ)で、50μlのヒト血漿を50μlのトロンボプラスチン試薬と37℃で120秒間プレインキュベートすることによって行う。次に、予め37℃に温めた25mMの塩化カルシウム溶液50μlを添加して凝固を惹起する。塩化カルシウムの添加時点に対する血餅形成の時間を測定する。使用直前に血漿に50ng/mlの濃度でTFPIを加える。試験すべきポリホスフェートを凝固試薬に濃度75μMリン酸当量で加える。トロンボプラスチン試薬は、凝固反応の総体積の1/3に寄与するので、ポリホスフェートの最終濃度は、トロンボプラスチン試薬中のその濃度の1/3である。
【0010】
FVIIはヒト因子VIIの因子VII凝固活性を示すいずれのタンパク質をも意味する。あるタンパク質の因子VII凝固活性は、以下のアッセイでヒト因子VIIと同じ凝固時間を与えるために必要な該タンパク質の量を比較することによって決定される:ヒト因子VII又は該タンパク質と共に、50μlの因子VII欠失クエン酸血漿をキュベット内で2分間37℃にてインキュベート後、100μLの予め温めたカルシウム含有トロンボプラスチン試薬を添加して凝固を惹起し、血餅形成までの時間をST4凝固計(Diagnostica Stago, Parsippany, NJ)等の凝固計で測定する。ヒト因子VIIの量とトロンボプラスチン試薬のタイプは好ましくは10〜15秒の凝固時間を与えるように選択される。所定の凝固時間を達成するヒト因子VIIのモル量を同じ凝固時間を与える該タンパク質のモル量で割って該タンパク質の相対的な因子VII凝固活性を得る。好ましくは、FVIIはヒト因子VIIの凝固活性の少なくとも1%を有する。FVIIとして、例えば、天然のヒト因子VII、天然のヒト因子VIIa、組換えヒト因子VII[22]及びVIIa、並びに他の哺乳動物の因子VII及びVIIa(例えば、天然のウサギ因子VII及び天然のウサギ因子VIIa)が挙げられる。
“因子VIIa当量”は、存在するFVIIの量が指定量の天然のヒト因子VIIaと同じ凝固活性を有することを意味する。例えば、“10ngの因子VIIa当量のFVII”は、存在するFVIIの量が10ngの天然のヒト因子VIIaと同じ凝固活性を有することを意味する。
rTFは、天然の哺乳動物組織因子と同一でないいずれの組換え組織因子をも意味する。これには、細菌内で生成される組換え組織因子(炭水化物が付着していないので、天然の哺乳動物組織因子とは分子量が異なる)、及び昆虫細胞(バキュロウィルス)内で生成される組換え組織因子(特定の問題のあるドメインが除去されているので、天然の哺乳動物組織因子とは分子量が異なる)が含まれる。
TFは、いずれの組織因子タンパク質をも意味し、例えば、rTF及び天然の哺乳動物組織因子が挙げられる。
トロンボプラスチン試薬は、TFを含むいずれの試薬でもあり、50μLの該試薬を正常個体からプールされた50μLの血漿と混合して120秒間37℃でインキュベートしてから50μLの予め温めた25mMのCaCl2溶液を添加すると、1分以内で凝固することとなるだろう。任意に、トロンボプラスチン試薬がカルシウムイオンを含んでもよく、この場合はCaCl2溶液を添加しない。
希釈PTアッセイは、PTアッセイで凝固時間を延長させるのに適した緩衝液で希釈したトロンボプラスチン試薬(希釈トロンボプラスチン)を用いて行うPTアッセイである。
合成トロンボプラスチン試薬はrTFを含むいずれのトロンボプラスチン試薬でもある。或いは、合成トロンボプラスチン試薬はTFを含み、かついずれのアクチン、ヘキソキナーゼ、及びアルカリ性ホスファターゼをも含まない。
トロンボプラスチン試薬の“1%因子”についての“プロトロンビン時間比”(PTR)は、指定因子の正常レベルの1%を含有する血漿についてのPTを、トロンボプラスチン試薬で得られたプールされた正常血漿(100%因子)についてのPTで割ることによって決定される。例えば、トロンボプラスチン試薬の“1%因子VIIについてのプロトロンビン時間比”は、因子VIIの正常レベルの1%を含有する血漿についてのPTを、トロンボプラスチン試薬で得られたプールされた正常血漿(100%因子)についてのPTで割ることによって決定される。
【0011】
〔詳細な説明〕
血小板は強い凝血原及び抗線維素溶解作用を発揮する。血小板の抗凝血作用は血小板α顆粒中のインヒビターPAI-1及びα2-抗プラスミンの存在に起因している。しかし、証拠の多くの方向は、血小板の強い抗線維素溶解特性はこれらインヒビターの存在のみでは説明できないことを示唆している。最近、ヒト血小板の濃顆粒中で高濃度にてポリPが発見された[3]。血小板の濃顆粒中のポリPは70〜75リン酸単位の鎖長を有し、ミリモルリン酸当量レベルで存在する。ポリPはトロンビン刺激によってセロトニン及びPPiと共に血小板から放出される[3]。この発見のため、我々は、活性化血小板からのポリPの放出が働いて、血液の凝固及び/又は線維素溶解を制御すると仮定した。
本発明はポリPが外部及び内部の両経路を通じて凝固を促進し、また線維素溶解も阻害しうるという発見を利用する。ポリPを組成物で使用して、外部経路と内部経路のどちらか又は両方を通じて凝固を促進しうる。さらに、ポリPのトロンボプラスチン試薬又は他の凝固試薬への添加を用いてTFPIの作用を遮断し、ヘパリン療法及び他の抗凝血薬療法からの移行における患者についての凝固試験の精度を改善する。
ポリPは少なくとも3つのPO3成分を含む。TFPIを遮断し、凝固を促進するため、ポリPを使用しうる。好ましくは、nが少なくとも25のポリPnを使用してよく、例えば、n=25〜1000、さらに好ましくはn=25〜100である。線維素溶解を阻害するためには、nが25より大きいポリPnが好ましく、例えば、n=26〜1000(例えば27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43及び44)、さらに好ましくはnが少なくとも45で、例えば、45〜1000である。内部経路による凝固の促進のためには、nが25より大きいポリPnが好ましく、例えばn=26〜1000(例えば、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43及び44)、さらに好ましくはnが少なくとも45、例えば45〜1000である。
【0012】
凝固促進用組成物において、ポリPの濃度は、好ましくは少なくとも1nMリン酸当量、例えば1nM〜100mM、さらに好ましくは少なくとも100nMリン酸当量、例えば100nM〜10mM、最も好ましくは7500nM〜10mMリン酸当量である。患者に内部移行される、凝固促進用組成物では、単一用量で使用するポリPの最大量は、好ましくは体重1kg当たり10μmolリン酸当量である。静脈内投与の場合、単一用量で使用するポリPの最大量は、好ましくは該患者において75〜225μMリン酸当量の血漿濃度をもたらすだろう。
好ましくは、ポリPをホスファターゼインヒビターと共に用いて、ポリPの崩壊を遅くする。
出血の治療では、口(例えば洗口剤、錠剤及びロゼンジ剤)、腸管外、局所、鼻、耳、直腸(例えば座剤及び浣腸剤)等の経路によってポリホスフェートを投与して、凝固を促進し、及び/又は線維素溶解を阻止しうる。創傷からの出血を止めるための治療用組成物を製造し、創傷からの血液を該組成物と接触させ、或いは創傷を該組成物と接触させることができる。組成物は、内部経路、外部経路を惹起し、又は線維素溶解を阻害し、又はそのいずれかの組合せに必要な成分を含有しうる。治療用組成物は種々の形態でよく、創傷の位置によって決まり、例えば局所用組成物、鼻スプレー、座剤、洗口剤、注射用組成物など、或いは包帯若しくは創傷手当用品の中又は上に備えられうる。治療用組成物は好ましくは無菌であり、かつ保存剤を含んでよい。治療用組成物は種々多様な形態で投与され、例えば単位用量(unit dosage)の形態(錠剤、カプセル剤、予計量アンプル、予計量散剤パッチ、又は単一投与を意図したいずれかの他の治療用組成物)で投与され、種々の医薬用担体と併用される。このような担体として、固形希釈剤若しくは充填剤、無菌水性媒体及び種々の無毒有機溶媒が挙げられる。本明細書では、医薬用担体として、固形支持体、例えば、包帯、創傷手当用品、及びタンポンで用いられる繊維及び布が挙げられる。座剤、エマルジョン又は溶液が望ましい場合、ポリホスフェートを種々の甘味料又は調味料(経口投与用)、着色物質又は染料、及び乳化剤及び/又は懸濁剤と併用し、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びその組合せと共に併用してよい。
鼻スプレーは、湿潤又は乾燥散剤形態の組成物を含みうる。湿潤形態では、組成物は注射用組成物について後述する添加剤と同じ添加剤を含みうる。乾燥散剤としては、米国特許第6,815,424号に記載されているような他の慣習的な添加剤及び/又は担体を含めてもよい。
洗口剤は湿潤形態の組成物を含み、任意に、洗口剤共通の他の成分を含むだろう。例として米国特許第5,945,087号及び米国特許第5,338,538号に記載のものが挙げられる。これら組成物を用いて、例えばうがいすることによって、特に歯の作業後の血友病患者によって口をすすぐことができる。
乾燥形態での経口投与のため、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリセリン等の種々の賦形剤を含有する錠剤は、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギニン酸及び特定のケイ酸錯塩などの種々の崩壊剤と共に利用でき、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアカシアのような造粒結合剤と共に使用しうる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の潤沢剤は、錠剤化プロセスで有用である。同様のタイプの固形組成物をゼラチンカプセルの充填剤として使用してもよい。
【0013】
注射による投与のためには、例えば、水、食塩水、ごま油若しくはピーナツ油、水性プロピレングリコール、又は他の医薬用担体中のポリホスフェートが適する。必要に応じて水溶液は適宜緩衝させるべきであり、液状希釈剤は、好ましくはまず等張性を与えるべきである。水溶液は静脈内注射目的に適する。油性溶液は腸管外、筋肉内及び皮下注射目的に適する。種々の体腔への注射を利用して体腔中への創傷出血の凝固を促進しうる。
包帯及び創傷手当用品は湿潤又は乾燥形態で該組成物を含みうる。これらは、例えば注射用として上述したようなポリPの溶液又は懸濁を他のいずれかの所望添加剤と共に包帯又は創傷手当用品に適用し、該溶液又は懸濁液を乾燥させることによって調製される。溶液又は懸濁液は、好ましくは上述した濃度でポリPを含む。粉末化したポリPを包帯又は創傷手当用品に含浸させてもよく、或いは包帯又は創傷手当用品を形成するために用いられる繊維に織り込んでもよい。
局所用組成物は湿潤又は乾燥散剤形態でよく、医薬用担体のみならず、局所に許容しうる担体をも含みうる。このような局所に許容しうる担体は、2000年10月26日公開の国際特許公開WO 00/62742号;米国特許第5,691,380号;第5,968,528号;第4,139,619号;及び第4,684,635号;並びにCTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Second Edition (1992)で見つけられる。適切な局所に許容しうる担体並びに他の医薬用担体はこの分野の標準的参考文献であるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1990)にも記載されている。本発明の局所適用組成物は、エマルジョン(例えば水中油、油中水、水中油中水、及びシリコーン中水中油エマルジョン)、クリーム、軟膏、水溶液、ローション又はエアロゾル等の局所適用に好適な形態でよい。
TFPIを遮断するため、又は凝固のアクチベーターとして、いずれの凝固アッセイでもポリPを使用しうる。凝固のアクチベーターを含有し、任意に緩衝液及び/又はCa2+(例えば、CaCl2を添加して)を含んでよい凝固アッセイ用試薬がポリPを含んで、患者由来の試料中に存在しうるTFPIを遮断することもできる。或いは、当該試薬で典型的に使用される凝固のアクチベーターに加え、又は該アクチベーターの代替物として、凝固のアクチベーターとしてポリPを使用することができる。以下の表は、凝固アッセイと、その当該アッセイ用試薬中に存在する凝固の関連アクチベーターのリストである。
【0014】
【表A】

【0015】
トロンボプラスチン試薬に用いてTFPIを遮断する場合、存在するポリPの濃度は、好ましくは少なくとも300nMリン酸当量、例えば300nM〜500μM、さらに好ましくは少なくとも7500nMリン酸当量、例えば7500nM〜500μMである。
好ましくは、トロンボプラスチン試薬はCa2+を含み、或いは試薬の使用直前にCa2+を加えてもよい。Ca2+をキット中のトロンボプラスチン試薬で提供してよく、各部分を別個に包装し、任意に各試薬は乾燥形態でよい。Ca2+は好ましくはCaCl2として添加される。Ca2+の量は好ましくは1〜100mM、さらに好ましくは5〜75mM、さらに好ましくは10〜50mM、例えば10mM、12.5mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM及び45mMである。
ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩及び酢酸塩といったアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のような塩、例えばNaCl及びKClを添加することによって、イオン強度を調節することができる。好ましくは、塩は0〜200mM、10〜150mM、15〜125mM、さらに好ましくは25〜100mMの量で存在する。
【0016】
トロンボプラスチン試薬は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)等のリン脂質に再脂質化されたTFを含む。リン脂質の少なくとも一部は正味負に荷電したリン脂質、例えばPS、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、又はホスファチジルイノシトール(PI)である。好ましくは、PSの量は総リン脂質含量の5〜50%、さらに好ましくは10〜40%、例えば15%、20%、25%、30%、及び35%である。PEの量は、好ましくは総リン脂質含量の0〜50%、さらに好ましくは5〜40%、例えば10%、15%、20%、25%、30%、及び35%である。好ましくは、リン脂質含量の残りは、PC等の天然のリン脂質で構成され、例えば総リン脂質含量の0〜95%、さらに好ましくは40〜90%、例えば45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%である。TFは、組織から抽出された天然のTF、又はrTFでよい。トロンボプラスチン試薬は2005年2月16日提出のJames H. Morrissey及びEmily M. Kerestesの米国仮特許出願“万能凝血原”、代理人案件番号ILL05-060-PRO、出願番号_____(参照によってその全体をここに援用する)に記載されているタイプのものでもよい。
【0017】
トロンボプラスチン試薬の国際感度指数(International Sensibility Index)(ISI)値は、好ましくは0.6〜2、さらに好ましくは0.8〜1.5、なおさらに好ましくは0.8〜1.2、最も好ましくは0.9〜1.1である。或いは、好ましくはトロンボプラスチン試薬のISI値は、最大1.5又は最大1.2である。WHO承認方法でトロンボプラスチン試薬のISI値を決定すべきである[23]。
好ましくは、1%因子VIIについてのPTRは1〜10、さらに好ましくは1〜5、なおさらに好ましくは1〜2、最も好ましくは最大1.5、例えば最大1.4、1.3、1.2及び1.1である。
好ましくは、1%因子II(プロトロンビン)についてのPTRは1〜10、さらに好ましくは1.5〜7、なおさらに好ましくは2〜7、最も好ましくは少なくとも2、例えば少なくとも3、4、5及び6である。
好ましくは、1%因子XについてのPTRは1〜10、例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6及び7である。
好ましくは、1%因子VIIについてのPTRは最大2であり、かつ1%因子IIについてのPTRは少なくとも4であり;さらに好ましくは1%因子VIIについてのPTRは最大1.5であり、かつ1%因子IIについてのPTRは少なくとも5であり;最も好ましくは、1%因子VIIについてのPTRは最大1.2であり、かつ1%因子IIについてのPTRは少なくとも6である。
【0018】
凍結乾燥、噴霧乾燥、又は他の適切なタンパク質乾燥法によって、トロンボプラスチン試薬を乾燥形態で提供することができる。該試薬をストリップ又は他の固形支持体上で乾燥させて、個別に包装して提供される成分を有するキットとして、或いは2以上のパッケージに包装された成分群を有するキットとして提供することができる。成分のいくつか又はすべてを乾燥形態で提供してよく、食塩水又は生理緩衝液中で他の成分を提供することができる。キットとして提供されるトロンボプラスチン試薬は、1又は2以上の容器にトロンボプラスチン試薬を含み、別個の容器でポリPが供給されるので、必要な時だけポリPを添加することができる。
本発明のトロンボプラスチン試薬は、添加されたFVIIを含有しうる。トロンボプラスチン試薬への微小量の因子VIIaの添加を利用して因子VIIに対する感度を最小限にし、他の因子に対する反応をさらに操作することができる。これは2004年8月31日提出のMorrisseyらの米国特許出願第10/931,282号“トロンボプラスチン試薬”でさらに完全に説明されてる。いずれのFVII、例えばいずれの哺乳動物の因子VII又はVIIa(例えば、ヒト、ウサギ、ラット、ウシなど)も使用しうる。好ましくは、トロンボプラスチン試薬は、添加された因子VIIa、さらに好ましくはヒト因子VIIaを含む。FVIIを組換えによって調製してもよい[22]。
好ましくは、存在するFVIIの量は、正常な個体の血漿中で見られる因子VII又は因子VIIaの量、例えば因子II-欠損及び因子X-欠損血漿中で見られる因子VII又はVIIaの量より少ない。存在するFVIIの量は、好ましくは0.1〜10ng/mlの因子VIIa当量、1〜6ng/mlの因子VIIa当量、又は2.5〜5ng/mlの因子VIIa当量、さらに好ましくは少なくとも1ng/mlの因子VIIa当量である。或いは、FVIIの量をピコモル濃度(pM)量;例えば、1〜1000pMの因子VIIa当量、50〜400pMの因子VIIa当量、好ましくは少なくとも150pMの因子VIIa当量又は少なくとも200pMの因子VIIa当量;で表現することができる。
トロンボプラスチン試薬を用いて、いずれの抗凝血薬療法もモニターしうる。下表1は種々のこれら薬物を列挙する。
【0019】
【表1】

【実施例】
【0020】
〔ポリPは、血漿凝固の速度と線維素溶解の速度の両方に影響を及ぼす〕
血液の凝固と線維素溶解におけるポリPの役割をまず血漿の凝固と溶解の組合せモデルを用いて調査した。このシステムでは、プールされた正常なヒトのクエン酸化血漿の凝固を塩化カルシウムの添加によって惹起する。このようにして惹起された凝固は血液凝固の内部経路を通じて起こり、接触アクチベーターが添加されない場合は相対的に遅い。トロンビン(凝固カスケードの最後の酵素)がタンパク質分解的にフィブリノーゲンをフィブリンに変換し、同時に重合してフィブリンゲル、つまり血餅を形成する。フィブリンの凝固は血漿の濁度の増加に関連し、この濁度は405nmでの吸光度の変化を測定することによって簡単にモニターできる。カルシウムイオンと同時に血漿にプラスミノーゲンアクチベーターを添加すると、プラスミノーゲンをプラスミンに活性化し、引き続きフィブリン血餅を溶解することができる。溶解は、濁度の経時的な減少として観察される。図2aに示されるように、カルシウム添加後に血漿が凝固し、約25分で半最大吸光度に達する。uPAの存在下では、血餅が溶解し、43分で50%の血餅溶解が起こる。(uPAの非存在下では、血餅形成段階は述べたのと同じであるが、溶解は起こらなかった:データ示さず)。
75リン酸単位の鎖長のポリP(ポリP75)をこのモデルの血漿に添加すると、血漿凝固の速度と線維素溶解の速度の両方に劇的に影響を及ぼした。半最大吸光度に達する時間は、ポリPの非存在下で約25分に比し(図2a)、ポリP75の存在下では5分未満に短縮した(図2b)。さらに、ポリP75の存在は、50%の溶解への時間をuPAだけの43分に比し(図2a)、68分に増やした(図2b)。これらの結果は、ポリPが凝固を促進し、かつ線維素溶解を阻害することを示している。
【0021】
〔ポリPは線維素溶解を阻害する〕
凝固時間に及ぼすポリPの作用とは無関係に線維素溶解に及ぼすポリPの作用を研究するため、uPAの存在下(1.4nMのuPAで補充した、プールされた正常な血漿)でカルシウムイオンとトロンビンの混合物によって凝固が惹起されるようにモデルを修正した。トロンビンの量を選択して、溶解段階のみに分析を集中できる急速な凝固時間を生じさせた。図3に示されるように、トロンビンは、ポリP75の存在下又は非存在下で、最初の時点で凝固がほとんど完了するように、血漿の凝固を急速に誘発した。ポリPの非存在下では、血餅は引き続き溶解し、この実験では61分という50%溶解時間だった。ポリP75の存在下では、血餅の溶解は強く阻害された(すなわち、50%溶解までの時間が150分を超えた)。この血餅溶解モデルのuPAをtPAで置き換えた場合も同様の効果が観察された:ポリP75の存在によって溶解は排除された(データ示さず)。線維素溶解の阻害に及ぼすポリP75の作用の大きさはuPA濃度に依存した。高いuPA濃度では、ポリP75の作用は遮蔽されうる。これはおそらく血餅内におけるuPAとポリPとのバランス状態を反映しているのだろう。
ポリP75による線維素溶解の阻害は濃度依存性であり、最適濃度は100nM〜1μMのポリP75の範囲だった(図4)。ポリPの鎖長も重要だった。ポリP45、ポリP65及びポリP75は線維素溶解を阻害する似通った能力を有したが、ポリP25は線維素溶解を阻害する能力が低かった(図5)。非常に短いリン酸分子、例えばリン酸ナトリウム(Pi)、PPi、又はトリポリリン酸ナトリウム(ポリP3)は、線維素溶解について認識できる作用を及ぼさなかった(データ示さず)。用いた最高のポリP濃度(75μMのリン酸モノマーに等しい)は我々のアッセイで使用したカルシウムイオンのmM濃度よりずっと低いことに留意すべきである。このことが、遊離カルシウムイオン濃度を減らすことによって(例えば、カルシウムイオンと錯体を形成することによって、又はカルシウムイオンを沈殿させることによって)、簡単にポリPが凝固又は線維素溶解に影響を与えるという可能性を除外する。
ポリPが線維素溶解を阻害できると考えられるいくつかのメカニズムがある。例えば、ポリPは、tPA又はuPAの酵素活性を阻害することによって、プラスミノーゲンの活性化を減ずることができるだろう。或いは、ポリPは、線維素溶解の血漿インヒビターの1つの活性化又は機能を増強することによって作用できるだろう。uPA又はtPAの酵素活性に及ぼすポリP75の直接の効果を精製タンパク質を用いる酵素アッセイで試験すると、ポリP75はどちらの酵素も阻害しないことが分かった(データ示さず)。
【0022】
〔ポリPによる線維素溶解の阻害は、トロンビンが活性化できる線維素溶解インヒビター(TAFI)に依存性である〕
ポリPの1つの可能な標的は血漿線維素溶解インヒビター、TAFIである。TAFIaの作用メカニズムは古典的な(セリン)インヒビターと異なる。これは、TAFIaが、活性酵素との直接的な相互作用によってではなく、フィブリンからC-末端リジンとアルギニン残基を除去することによって、線維素溶解の速度を減じるためである。部分的に分解したフィブリン上に露出しているC-末端リジン残基はプラスミノーゲン及びtPAに結合する。この結合がプラスミノーゲン及びtPA酵素をその作用部位に局在化するために役立ち、ポジティブなフィードバックメカニズムを与え、これによってプラスミノーゲンのプラスミンへの変換が加速される。そして、TAFIaはtPAとプラスミノーゲンの結合に重要な残基を排除することによって、ネガティブにこのフィードバック反応を調節する[6〜8]。血漿中のTAFIの濃度は、約100nMであるが、劇的に溶解を延長するためには小量のTAFIaしか必要ない。溶解に対するTAFIaの半最大効果は1nMで見られ、10nMで最大効果が見られる[9]。
【0023】
TAFIaの既知の生理学的インヒビターは存在しない。その活性は、その極端に熱不安定な性質によって制御され、37℃で約10分の半減期を有すると考えられる。TAFIの多くの天然に存在する変形があり、in vivoで安定性を与え、大いに抗線維素溶解ポテンシャルを変えるものもある[9,10]。TAFIaの自発的な崩壊は、タンパク質分解による切断ではなく誘導性コンホメーション変化の結果である[11]。
血餅溶解のポリP-依存性遅延におけるTAFIの役割を調査した。まず血漿中のTAFIaの特異的インヒビター、すなわちジャガイモ塊茎由来のカルボキシペプチダーゼインヒビター(CPI)を用いてこの問題を試験した。CPI(6.25μM)及び/又はポリP75(75μMリン酸当量)の存在下又は非存在下でカルシウムイオンとトロンビンを添加することによって、プールされた正常な血漿を凝固させた。前の実験で観察されたように、ポリP75の存在下で血餅溶解が劇的に阻害された(図6a)。CPIを血漿に添加すると(TAFIa由来のいずれの寄与も排除するため)、線維素溶解の速度が増した。興味深いことに、CPIが存在するとポリP75はもはや線維素溶解の速度又は程度に何ら影響を持たなかった(図6a)。これは、線維素溶解を遅らせるポリP75の能力が血漿TAFIに依存性であることを示唆している。この考察を確証するため、TAFIの免疫枯渇血漿を用いてポリP75による線維素溶解の延長におけるTAFIの役割を調べた。この場合もやはり、正常な血漿に及ぼすその作用とは著しく対照的に、TAFI-欠失血漿へのポリP75の添加は血餅溶解時間に何ら作用を及ぼさなかった。
【0024】
〔ポリPは血液凝固の接触経路を加速する〕
いずれのプラスミノーゲンアクチベーターも添加せずに行うマルチウェルプレート内での血漿凝固アッセイを用い、血漿凝固に対するポリPの作用をさらに評価した。このようなアッセイにおける血漿の凝固は血液凝固の接触経路に依存し、かつこのアッセイは、他の接触アクチベーターを何も添加せずにプラスチック(ポリスチレン)ウェル内で行われるので、凝固時間がゆっくりである。ポリPの非存在下では血餅形成までの時間は10分を超えるが、ポリP75を含めることで約5分に短縮した(図7a)。ポリPが接触経路を通じて作用するという考えを直接試験するため、因子XII-欠失血漿を用いてこの凝固アッセイを繰り返し、その結果、凝固時間が大いに延長した(ほぼ20分;図7b)。ポリP75を因子XII-欠失血漿に添加すると、正常なプールされた血漿に比し(図7a)、凝固時間がさらに大きく延長した(図7b)。
血液凝固の接触経路の開始段階はカルシウムに依存しないので、因子XIIの活性化はカルシウムイオンを添加しないクエン酸化血漿中で起こりうる。プールされた正常な血漿を2分間ポリP75とプレインキュベートしてから塩化カルシウムを添加すると、ポリPとプレインキュベートしない血漿の凝固時間に対し、凝固時間が有意に短縮された(データ示さず)。これは、ポリP75が接触経路の開始段階を加速しうることを示唆している。実際に、接触経路の既知の人工アクチベーターの多くは負に荷電した表面又は負に荷電したポリマーを含む[13]。そこで、プールされた正常な血漿又は因子XII-欠失血漿をポリP75と2分間プレインキュベートすることによって、ポリPが働いて凝固の接触段階を活性化するという仮説を吟味した。このプレインキュベーション時間後、第二の一定分量の血漿(それぞれ因子XII-欠失血漿又は正常な血漿)を添加し、即座に塩化カルシウムを加え、血餅形成までの時間を測定した。従って、この実験の凝固アッセイは、正常な血漿と因子XII-欠失血漿の50:50混合物を含むが、血漿をポリP75とプレインキュベートする順序が異なった。ポリP75と正常な血漿とのプレインキュベーションの結果、凝固時間が有意に短くなった(約4分に;図7c)。他方、ポリP75と因子XII-欠失血漿とのプレインキュベーションの結果、血漿の体積の50%が、プールされた正常な血漿によって与えられているという事実にもかかわらず、凝固時間が長く(>10分)なった(図7c)。これらの結果は、血漿とポリP75とのプレインキュベーションが、血液凝固の接触経路の活性化の指標である因子XII-依存性様式で凝固時間を短縮することを実証している。
【0025】
鎖長を変えたポリPを、プールされた正常な血漿と2分間プレインキュベートした後、塩化カルシウムで凝固を惹起することによって、接触経路を介する凝固の活性化に及ぼすポリPの鎖長の影響を調べた。図8に示されるように、ポリPなしでインキュベートした正常な血漿は10分より多くの時間をかけて凝固した。ポリP25の添加は、凝固時間に何ら認識できる効果を及ぼさなかったが、ポリP45、ポリP65又はポリP75の添加は凝固時間を劇的に短縮した(5分未満に;図8)。これらデータは、因子XIIの活性化を促進するためには、ポリP分子は、好ましくは25〜45リン酸残基という最小鎖長を有することを示唆している。
【0026】
〔ポリPは血液凝固の組織因子経路を加速する〕
プロトロンビン時間(PT)アッセイ、部分トロンボプラスチン時間(PTT)アッセイ、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイ、因子Xa凝固アッセイ(XaT)、及びトロンビン時間(TT)アッセイといった常用されている血漿凝固アッセイを利用して、種々の凝固アッセイの凝固時間に影響を与えるポリP75の能力を系統的に評価した(図9)。トロンボプラスチン試薬(組織因子活性及びカルシウムイオンの起源)を血漿に添加することによって行うPTアッセイは、外部経路、又は組織因子経路を通じて凝固させる。PTT及びaPTTアッセイは血液凝固の接触経路、又は内部経路に頼る。XaTアッセイは血漿中の因子V、プロトロンビン及びフィブリノーゲンの存在に頼るが、TTアッセイはフィブリノーゲンの存在のみに頼る。従って、これらのアッセイは、血液凝固カスケードの異なる段階を評価する。すべて凝固計で37℃にて行った。
図9に示されるように、標準的なPTアッセイにおけるポリP75の血漿への添加は、凝固時間にほとんど影響を及ぼさなかった。しかし、PTアッセイを修正して希釈トロンボプラスチン試薬を利用すると(希釈PTアッセイ)、ポリP75は、小さいが再現性のある凝固時間の短縮を引き起こした。ポリP75はaPTTアッセイには作用しなかったが、PTTアッセイの凝固時間を短縮した。この結果は、aPTTアッセイがPTTアッセイでは失っている接触経路の強力なアクチベーターを利用することから、ポリPが血液凝固の接触経路の弱いアクチベーターであることと一致する。興味深いことに、ポリP75はTTアッセイに作用しないが、XaTアッセイで凝固時間を短縮した。この後者の結果は、希釈PTアッセイの結果と共に、ポリPがトロンビンの血液凝固上流の組織因子経路のいくつかの局面を増強することを示唆している。
【0027】
〔TFPIの抗凝血作用を強力に遮断することによってポリPは組織因子経路を加速する〕
ポリPがTFPIの抗凝血作用を遮断しうるという仮説を試した。組換えTFPIの濃度を変えて血漿試料に添加する希釈PTアッセイでこの仮説を調べた。血漿は通常比較的低レベルのフリーなTFPIを含有するので、外因性TFPIの添加はPT凝固時間を劇的に長くしうる。図10に示されるように、プールされた正常な血漿に50、100又は200ng/mlのTFPIを添加すると、希釈PT凝固時間を大いに延長した。著しく対照的に、75μMのポリP75リン酸当量を希釈トロンボプラスチン試薬に含めると、試験したすべてのTFPI濃度でTFPIの抗凝血作用を完全に排除した。他の実験で、標準的なPTアッセイでもポリP75がTFPIの作用を排除するが、標準的なPTアッセイの非常に短いベースラインの凝固時間のため、TFPIの有無による凝固時間の絶対的な差異は小さいことが分かった(データ示さず)。因子Xaを不活性化できる別の血漿プロテアーゼインヒビターはセルピン、抗トロンビン(正式には抗トロンビンIIIとして知られる)である。ポリP75を添加する凝固アッセイで、抗トロンビン-欠失血漿に添加する抗トロンビンの量を変えて行う同様の実験は、ポリPが抗トロンビンの抗凝血機能を遮断しないことを明らかにした(データ示さず)。
TFPIの抗凝血作用を排除するポリP75の能力は濃度依存性である。プールされた正常な血漿に100ng/mlのTFPIを加えると、希釈PT凝固時間が66秒から160秒超えに増加した(図11)。希釈トロンボプラスチン試薬に添加するポリP75の濃度を増やすと、凝固時間を延長するTFPIの能力を漸進的にアンタゴナイズした。興味深いことに、375nMリン酸当量程の少ないポリPで、TFPIによって延長される凝固時間の有意な短縮が観察されたが、約7500nMリン酸当量〜375μMリン酸当量の範囲のポリP75濃度では、TFPIの抗凝血作用が本質的に完全に排除された。(ここで与えたポリPの濃度はトロンボプラスチン試薬に添加した濃度であることに注意すべきである;トロンボプラスチン試薬は該凝固アッセイにおける最終体積の1/3しか構成しないので、凝固混合物中のポリP75の最終濃度は指定した濃度より3倍低かった。)
【0028】
TFPIの作用を遮断するポリPの能力はポリPの鎖長にも依存した。プールされた正常な血漿試料について希釈PTアッセイを行った。前記試料のいくつかは200ng/mlのTFPIを含んでいた。ポリPの非存在下では、TFPIの添加が平均凝固時間を59秒から294秒に延長した。指定した鎖長のポリPを希釈トロンボプラスチン試薬に75μMリン酸当量の濃度で含めた。ポリP25、ポリP45、ポリP65及びポリP75はすべてTFPIの抗凝血作用を排除した(図12)。他方、非常に短いリン酸分子(Pi、Pii、又はポリP3)はTFPIの抗凝血機能を全く遮断しなかった。TFPI機能排除のポリPのサイズ-依存性は、線維素溶解阻害のポリPのサイズ-依存性又は血液凝固の接触経路活性化のポリPのサイズ-依存性とは異なる。従って、ポリP25は、より長いポリP分子と同様にTFPI機能を遮断する能力を有した。対照的に、ポリP25は、45以上のリン酸単位から成るポリP分子に対して、接触経路を誘発する能力を示さず、かつ線維素溶解を阻害する能力を減じた。この結果は、ポリマー長を変えたポリP分子を用いて、TFPI機能-対-線維素溶解又は接触活性化を差動的に調節できることを意味する。
TFPI機能のアンタゴナイズにおけるポリPのサイズ-依存性をさらに強調するため、ポリP65を子ウシの腸アルカリ性ホスファターゼで広範に消化させた。以前の研究は、哺乳動物の腸のアルカリ性ホスファターゼは非常に活性なエキソポリホスファターゼでもあることを示している[14]。プールされた正常な血漿に100ng/mlのTFPIを添加すると、実質的にその希釈PT凝固時間を延長し、1300nMリン酸当量のポリP65の添加は、この延長を排除した(図13)。しかし、ポリP65をアルカリ性ホスファターゼで2時間消化後、希釈PT凝固アッセイのTFPI媒介延長の遮断においてポリP65は完全に無効になった(図13)。この実験は、短いリン酸分子はTFPIの抗凝血作用を遮断しえないことを確証し、さらにTFPIの作用を排除するポリPの能力はポリP製剤中に存在する混入物によらないことを実証している。
【0029】
〔ヒトの血漿及び血清中でのポリPの安定性〕
ポリPの安定性を調べるため、ポリP75をヒトの血漿又は血清中で最終濃度10mMリン酸当量にて37℃でインキュベートし、種々の時間後に残存しているポリPを数量化した。結果(図14)は、ポリP75の分解は遅く、約2時間で50%分解することを示した。これは、ヒトの血漿又は血清の存在下でのポリP34の遅い分解に関する以前の報告と一致している[15]。
【0030】
〔材料と方法〕
材料−プールされた正常な血漿及び因子XII-欠失血漿はGeorge King Bio-Medical, Inc. (Overland Park, Kansas)から得た。TAFI又は抗トロンビンの免疫枯渇したヒトの血漿はAffinity Biologicals (Ancaster, Ontario, Canada)から得た。平均鎖長25、45、65又は75のポリP(リン酸ナトリウムガラス)はSigma Chemical Company (St. Louis, MO)から得た。CPI及びtPAはCalbiochem (San Diego, CA)から得、uPAはJ. Henkin (Abbott Laboratories)の親切なギフトだった。ヒトのαトロンビン、抗トロンビン及び因子XaはEnzyme Research Laboratories (South Bend, IN)から得た。ヒトTFPIの全長組換え体はGeorge Broze博士, Washington University St. Louisの親切なギフトだった。
【0031】
血漿凝固及び線維素溶解のマイクロプレート-ベースアッセイ−いくつかの凝固アッセイは平底のポリスチレン製96-ウェルプレート(Corning)で行った。37℃でVERSAmaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)にて405nmで吸光度を測定することによって、血餅形成の尺度である濁度を数量化した。反応(最終体積100μl)は典型的に以下の最終濃度を含有した:30%(v/v)のヒト血漿;8mM Tris-HCl緩衝液,pH 7.4;0.008%(v/v) Tween-20;10.6mMの塩化カルシウム;及び可変性の10nMトロンビン。いくつかの実験では、凝固反応をカルシウムイオンだけで惹起した。この場合、1.25×上記成分(塩化カルシウム以外)の反応混合物を1ウェル当たり80μlの最終体積で調製した。53mMの塩化カルシウム20μlを添加して凝固を惹起し、405nmでの吸光度をモニターした。他の実験では、カルシウムイオンとトロンビンの混合物で凝固を惹起した。この場合、上述した80μlの反応混合物に106mMの塩化カルシウムを10μl添加後、即座に100nMのトロンビンを10μl加えた。
血漿凝固/線維素溶解の複合アッセイも、反応混合物が1.4nMのuPAを含み、線維素溶解を刺激したことを除き、前のパラグラフで述べた通りに96-ウェルプレートで行った。
特に断らない限り、ポリP75は典型的に、これら凝固アッセイ又は凝固/線維素溶解アッセイにおいて、凝固反応で75μMリン酸当量の最終濃度で含まれた。他の鎖長のポリP製剤を研究する場合、それらも典型的に75μMリン酸当量の最終濃度で使用した。従って、ポリP25は3μMの最終濃度で使用し、ポリP45は1.67μMの最終濃度で使用し、かつポリP65は1.15μMの最終濃度で使用した。存在する場合、CPIは6.25μM CPIの最終濃度で使用した。
【0032】
凝固計ベース血漿凝固アッセイ−以前に記載されているように[18]、20%のホスファチジルセリンと80%のホスファチジルコリンの混合物をリン脂質:組織因子のモル比8700:1で用い、組換えヒト組織因子をリン脂質小胞中で再構成した。記載通りに[18]、20%のホスファチジルセリンと80%のホスファチジルコリンで構成される(組織因子なし)ブランクのリン脂質小胞(PCPS小胞)を調製した。TBSA緩衝液(50mM Tris-HCl pH 7.5、100mM NaCl、0.02%のアジ化ナトリウム、0.1%(w/v)のウシ血清アルブミン)中200ng/mlの組織因子の最終濃度に再脂質化組織因子を希釈することによってPTアッセイ用のトロンボプラスチン試薬を調製した。典型的に50μMのPCPS小胞を含有するTBSA緩衝液中1ng/mlの組織因子の最終濃度に再脂質化組織因子を希釈すること以外、PTアッセイ用試薬と同様に希釈PTアッセイ用トロンボプラスチン試薬を調製した。aPTT試薬はSTA(登録商標)-PTT(Diagnostica Stago, Parsippany, NJ)だった。PTT試薬はTBSA緩衝液中の50μMのPCPS小胞から成った。XaTアッセイ用の凝固試薬は、50μMのPCPS小胞を含有するTBSA緩衝液中1nMの因子Xaから成った。TT試薬は16.7mMの塩化カルシウムを含有するTBSA緩衝液中5単位/mlのトロンビンから成った。
典型的にSTart凝固計(Diagnostica Stago)で50μMの指定した凝固試薬と50μMのヒト血漿を以下の時間37℃にてインキュベートすることによって、PT、XaT、aPTT及びPTT凝固アッセイを行った:PT及びXaTアッセイ、120秒;aPTT及びPTTアッセイ、180秒。次に、予め37℃に温めた25mMの塩化カルシウム溶液を50μl添加して凝固を惹起した。塩化カルシウムの添加時点に対する血餅形成までの時間を測定した。同じ凝固計で以下のようにTT凝固アッセイを行った:50μlのヒト血漿を60秒間予め37℃に加温後、50μlの予め温めたTT試薬を添加し、血餅形成までの時間を測定した。凝固に及ぼすTFPIの作用を試験する場合、使用直前に血漿に指定濃度でTFPIを添加した。凝固に及ぼすポリPの作用を試験する場合、ポリPを指定濃度で凝固試薬に添加した。TTアッセイ以外のすべてのアッセイでは、凝固試薬は凝固反応における総体積の1/3に寄与した。このため、凝固反応でのポリPの最終濃度は、指定した濃度より典型的に3倍低かった(又はTTアッセイでは2倍低かった)。
【0033】
ポリPのアルカリ性ホスファターゼによる消化−50mM Tris-HCl緩衝液、pH 9.5中、100U/mlの子ウシの腸のアルカリ性ホスファターゼ(Promega, Madison, WI)によって室温で2時間100μMのポリP65を消化させた。この消化混合物を希釈トロンボプラスチン試薬中で希釈して200nMという最終ポリP65濃度を得ることによって、消化されたポリPを凝固反応で即座に使用した。
ポリPの定量−記載通りに[3]、ポリPとヒト血清又はヘパリン化血漿とのインキュベーション後、ポリPの過塩素酸抽出及び測定を行った。
【0034】
〔参考文献〕
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【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は線維素溶解カスケードを示す。
【図2】図2a及び2bは、ポリPが血漿の凝固を促進し、線維素溶解を遅らせることを示すグラフである。図2a:プールされた正常な血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムを添加して凝固を惹起し;25分までに血餅形成の指標である半最大吸光度(光散乱)に達し、50%の血餅溶解までの時間は43分だった。図2b:図2aと同様の血漿の凝固/溶解反応であるが、75μMリン酸当量のポリP75を添加した。両パネル中の結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは10実験の代表例である。
【図3】図3はポリPが線維素溶解を阻害することを示すグラフである。プールされた正常血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムとトロンビンの混合物を添加して凝固を惹起した。ポリPの非存在下では(○)、血漿が急速に凝固してから次の100分にわたって溶解した。75μMリン酸当量のポリP75の存在下でも(●)、血漿は急速に凝固したが、次の150分でも溶解し損ねた。結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは10実験の代表例である。
【図4】図4はポリPによる線維素溶解の阻害が濃度依存性であることを示すグラフである。プールされた正常血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムとトロンビンの混合物を添加して凝固を惹起した。ポリP75を以下の濃度でインキュベートした:0nMリン酸当量(○);750nMリン酸当量(△);3750nMリン酸当量(▲);7.5μMリン酸当量(□);37.5μMリン酸当量(■);及び75μMリン酸当量(●)。結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは3実験の代表例である。
【図5】図5はポリPの抗線維素溶解効果が鎖長に依存することを示すグラフである。プールされた正常血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムとトロンビンの混合物を添加して凝固を惹起した(○:ポリPなし)。異なる鎖長のポリPを75μMリン酸当量でインキュベートした:ポリP25(△);ポリP45(▲);ポリP65(□)及びポリP75(■)。結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは3実験の代表例である。
【図6】図6a及び6bはポリPによる線維素溶解の減衰がTAFI-依存性であることを示すグラフである。プールされた正常血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムとトロンビンの混合物を添加して凝固を惹起した。ポリPの非存在下では約50分までに血餅溶解が完了したが(○)、75μMリン酸当量のポリP75の存在下では血餅溶解が激しく減衰した(●)。6.25μMのCPIの添加は、ポリP75の非存在下(△)及び存在下(▲)で同様によく血餅溶解を促進した。図6b:TAFI-欠失血漿を1.4nMのuPAで補充し、塩化カルシウムとトロンビンの混合物を添加して凝固を惹起した。以下の試験した全条件下で急速な血餅溶解が観察された:uPAのみ(○);75μMリン酸当量のポリP75、但しCPIなし(●);6.25μMのCPI、但しポリPなし(△);及び75μMリン酸当量のポリP75プラス6.25μMのCPI(▲)。両パネルの結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは5実験の代表例である。
【図7】図7a、7b及び7cは接触経路による凝固因子XIIの活性化がポリPによって増強されることを示すグラフである。図7a:プールされた正常血漿の凝固に及ぼすポリP75の効果。正常血漿をポリスチレンの96-ウェルプレートのウェル内で2分間周囲温度にて75μMリン酸当量のポリP75の非存在下(○)又は存在下(●)でインキュベートした。次に、塩化カルシウムを添加して凝固を誘発し、405nmにおける吸光度を37℃で測定し、塩化カルシウムの添加からの時間を測定した。図7b:因子XII欠失血漿の凝固に及ぼすポリP75の効果。プールされた正常血漿に代えて因子XII-欠失血漿を使用すること以外、図7aと同様に凝固反応を行った。血餅形成までの時間(>10分)は、ポリPの非存在下(△)でもポリP75の存在下(▲)でも共に、プールされた正常血漿で有意に長かった。図7c:添加の順序は、ポリP75が凝固を刺激する能力に影響を与える。血漿とポリP75の周囲温度での最初の2分のインキュベーションを、40μl分量の因子XII-欠失血漿又は正常血漿のどちらかと行うこと以外、図7aと同様に凝固反応を行った。2分のインキュベーション時間の終了時、第二の40μl分量の血漿を添加後、即座に塩化カルシウムで凝固を惹起した。最初のインキュベーションを正常血漿で行った場合、第二分量は因子XII-欠失血漿で行い、最初のインキュベーションを因子XII-欠失血漿で行った場合、第二分量は正常血漿で行った。因子XII-欠失血漿をポリP75と2分間プレインキュベートしてから正常血漿を添加した場合、凝固時間は10分より長かった(▲)。正常血漿をポリP75と2分間プレインキュベートしてから因子XII-欠失血漿を添加した場合、凝固時間は5分未満だった(●)。3つすべてのパネル中の結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは3実験の代表例である。
【図8】図8は、因子XIIの活性化を増強するためには、25-ホスフェートより大きいポリPポリマーが必要であることを示すグラフである。プールされた正常血漿を2分間周囲温度でポリPの非存在下(○)又は存在下でインキュベート後、塩化カルシウムで凝固を惹起した。鎖長が異なるポリPは、最終濃度75μMリン酸当量で含まれた。以下のポリPの長さを用いた:ポリP25(△);ポリP45(▲);ポリP65(□);ポリP75(●)。結果は二通りのウェルの平均である。これらデータは3実験の代表例である。
【図9】図9は、種々の凝固試験に及ぼすポリPの効果を示す棒グラフである。凝固試薬に添加される75μMリン酸当量のポリP75の存在下(白棒)又は非存在下(黒棒)、表示した凝固アッセイをプールされた正常血漿で凝固計にて行った。平均凝固時間を示す(エラーバー=標準偏差;n=5)。
【図10】図10は、ポリPがTFPIの抗凝血作用を排除することを示すグラフである。TFPIの濃度を変えて、プールされた正常血漿に加え、希釈PTアッセイを用いて希釈トロンボプラスチン試薬に添加される75μMリン酸当量のポリP75の存在下(○)又は非存在下(▲)で凝固時間を測定した。平均凝固時間を示す(エラーバー=標準偏差;n=3)。
【図11】図11は、ポリPによるTFPIの抗凝血作用の排除が濃度依存性であることを示すグラフである。リン酸当量としてのポリP75の濃度を変えて、希釈トロンボプラスチン試薬に添加した。TFPIを添加しない(▲)又は100ng/mlのTFPIを添加した(○)、プールされた正常血漿を用いて希釈PTアッセイによって凝固時間を測定した。平均凝固時間を示す(エラーバー=標準偏差;n=3)。
【図12】図12は、TFPIの抗凝血作用をアンタゴナイズするポリPの能力が鎖長に依存することを示す棒グラフである。プールされた正常血漿試料で、200ng/mlのTFPIを含む試料(白棒)とTFPIを含まなない試料(黒棒)について希釈PTアッセイを行った。
【図13】図13は、TFPIの抗凝血作用を逆にするポリPの能力をポリPのホスファターゼ消化が排除することを示す棒グラフである。ポリP65を室温にて子ウシの腸のアルカリ性ホスファターゼと共に又は該ホスファターゼなしでインキュベートし、TFPIを添加した場合と添加しない場合のプールされた正常血漿を用いて希釈PT凝固時間を測定した。アルカリ性ホスファターゼはあるがポリPがない場合(白棒);ホスファターゼとポリP65がある場合(黒棒);及びポリPはあるがアルカリ性ホスファターゼがない場合(斜線のある棒)。データは平均凝固時間である(エラーバー=標準偏差;n=3)。
【図14】図14は、血漿及び血清中のポリPの安定性を示すグラフである。ポリP75をヒト血清中(■)又はヘパリン化血漿中(◆)でインキュベートし、種々の時点で一定分量を取り、残存しているポリPを決定した。
【図15】図15は、凝固カスケードの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)TF、(ii)リン脂質、及び(iii)ポリP TFPIブロッカーを含む、トロンボプラスチン試薬。
【請求項2】
前記ポリP TFPIブロッカーがポリPn(nは少なくとも25)を含む、請求項1に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項3】
さらに(iv)Ca2+を含む、請求項1又は2に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項4】
さらに(v)因子VIIを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項5】
さらに(vi)少なくとも1種のアルカリ金属塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項6】
前記リン脂質がPSを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項7】
nが45未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項8】
さらに、(iv)Ca2+、(v)因子VII、及び(vi)少なくとも1種のアルカリ金属塩を含み、前記リン脂質がPC及びPSを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトロンボプラスチン試薬。
【請求項9】
(i)ポリPと、(ii)医薬用担体とを含む、凝固促進用組成物。
【請求項10】
前記組成物が単位用量の形態である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリPがポリPn(nは25より大きい)を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリPがポリPn(nは少なくとも45)を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が局所用組成物、鼻スプレー、座剤、洗口剤、注射用組成物、包帯及び創傷手当用品から成る群より選択される、請求項9〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記医薬用担体が固形支持体である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が無菌である、請求項9〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が無菌である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリPがポリPn(nは25より大きい)を含む、請求項9〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリPがポリPn(nは少なくとも45)を含む、請求項9〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が局所用組成物、鼻スプレー、座剤、洗口剤、注射用組成物、包帯及び創傷手当用品から成る群より選択される、請求項9〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
投与が必要な患者に抗凝血薬を投与する工程、及び請求項2に記載のトロンボプラスチン試薬で前記患者の凝固時間を測定する工程を含む、抗凝血薬を投与する方法。
【請求項21】
前記創傷からの血液を、請求項9〜19のいずれか1項に記載の組成物と接触させる工程を含む、創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法。
【請求項22】
前記創傷からの血液を、請求項9〜19のいずれか1項に記載の組成物と接触させる工程を含む、創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法。
【請求項23】
前記創傷からの血液を、請求項9〜19のいずれか1項に記載の組成物と接触させる工程を含む、創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法。
【請求項24】
前記創傷からの血液を、請求項9〜19のいずれか1項に記載の組成物と接触させる工程を含む、創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法。
【請求項25】
前記創傷からの血液をポリPと接触させる工程を含む、創傷からの出血を止めるか又は遅くする方法。
【請求項26】
フィブリンをポリPn(nは25より大きい)と接触させる工程を含む、線維素溶解を遅くする方法。
【請求項27】
nが少なくとも45である、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記TFPIを含む組成物にポリPを含ませる工程を含む、TFPIを遮断する方法。
【請求項29】
前記組成物がトロンボプラスチン試薬を含む、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリPがポリPn(nは少なくとも25)を含む、請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
凝固のアクチベーターとポリPとを含む、凝固アッセイ用試薬。
【請求項32】
さらに緩衝液を含む、請求項31に記載の試薬。
【請求項33】
さらにカルシウムイオンを含む、請求項31又は32に記載の試薬。
【請求項34】
前記凝固アッセイが、プロトロンビン時間アッセイ、活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイ、部分トロンボプラスチン時間アッセイ、Xa凝固時間アッセイ、毒液ベース凝固時間アッセイ、トロンビン凝固時間アッセイ及びVIIa凝固アッセイから成る群より選択される、請求項31〜33のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項35】
前記試薬が乾燥している、請求項31〜34のいずれか1項に記載の試薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−531692(P2008−531692A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558087(P2007−558087)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/006642
【国際公開番号】WO2006/096345
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(500033634)ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ (21)
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE UNIVERSITY OF ILLINOIS
【住所又は居所原語表記】506 South Wright Street, Urbana, IL 61801
【Fターム(参考)】