説明

凝縮装置

【課題】凝縮器を小型化することができる凝縮装置を提供する。
【解決手段】凝縮装置71は、作動流体を圧縮する圧縮部20を有する圧縮機10と、圧縮部20において圧縮された作動流体を凝縮させる凝縮器13と、圧縮部20の吐出口CS2と凝縮器13の流入口13aとの間の流体通路91を流れる作動流体を冷却するために流体通路91内に冷却用流体を噴霧するノズル82を有する噴霧機構81と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機などに用いられる凝縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒回路を備えた冷凍機が知られている。この冷凍機の作動流体(冷媒)としては、例えば水、炭化水素系のプロセスガス等の種々の流体が用いられている。この冷凍機では、蒸発器で蒸発した冷媒が圧縮機で圧縮されて過熱蒸気となり、この過熱蒸気が凝縮器において凝縮される。凝縮器では、過熱蒸気は、例えば冷却水によって冷却されて飽和蒸気となり、この飽和蒸気は、さらに冷却されて凝縮する。このように凝縮器内においては、大きく分けて、過熱蒸気から飽和蒸気になるまでの過熱領域と、飽和蒸気が凝縮される凝縮領域という2つの伝熱領域が存在する。例えば、特許文献1には、作動流体として水を用いた凝縮装置を有する冷凍機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記過熱領域における熱伝達率は、前記凝縮領域における熱伝達率よりも小さい値となる。したがって、凝縮器においては、過熱領域に必要な伝熱面積が大きくなりやすく、それに合わせて凝縮器も大きくしなければならないという問題がある。
【0005】
また、多くの冷凍機では、5〜7℃程度の過熱度で運転されるが、例えば特許文献1に開示されている冷凍機のように水を冷媒とする場合には、過熱度がより大きくなるので、その分だけ過熱領域により大きな伝熱面積が必要になる。具体的には、水を冷媒とする冷凍機では、圧縮機の吐出蒸気は、100℃前後の大きな過熱度を有する過熱蒸気となる。そして、過熱領域での熱伝達率は、おおよそ数十W/mKであり、凝縮領域での熱伝達率(おおよそ10000W/mK)に対して1/1000ほどの小さい値となる。よって、水を冷媒とする場合には、過熱領域の伝熱量は、凝縮器全体の数%の熱量しかないにもかかわらず、凝縮領域と同等の伝熱面積が必要となるので、凝縮器が特に大型化しやすい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、凝縮器を小型化することができる凝縮装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の凝縮装置は、作動流体を圧縮する圧縮部を有する圧縮機と、前記圧縮部において圧縮された作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記圧縮部の吐出口と前記凝縮器の流入口との間の流体通路を流れる作動流体を冷却するために前記流体通路内に冷却用流体を噴霧するノズルを有する噴霧機構と、を備えている。
【0008】
この態様では、前記流体通路内にノズルから冷却用流体を噴霧することにより、前記流体通路を流れる作動流体を冷却することができるので、圧縮部において圧縮された作動流体が凝縮器に流入する前に、作動流体の過熱度を予め下げておくことができる。これにより、凝縮器において、過熱蒸気を冷却するために必要な伝熱面積を小さくすることができるので、その分だけ凝縮器を小型化することができる。また、上記のように伝熱面積を小さくすることにより、凝縮器にかかるコストを低減することもできる。
【0009】
前記凝縮装置において、前記ノズルは、冷却用流体を前記流体通路の上流側に向かって噴霧するように配置されているのが好ましい。
【0010】
この態様のように、冷却用流体を流体通路の上流側に向かって噴霧する場合には、流体通路の下流側に向かって噴霧する場合や流体通路に直交する方向に噴霧する場合に比べて、作動流体と冷却用流体との相対速度を大きくすることができる。これにより、作動流体と冷却用流体との熱交換の効率を高めることができるので、流体通路を流れる作動流体をより効率よく冷却して過熱度を下げることができる。
【0011】
前記凝縮装置において、前記流体通路は、作動流体の流れる方向が屈曲する屈曲部を有し、前記ノズルは、前記屈曲部に配置されていてもよい。この屈曲部は、直線状の部分(例えば直線状の配管)に比べて、作動流体が流れるときの圧力損失が元々生じやすい箇所であるので、この屈曲部にノズルを配置しても圧力損失の影響が小さい。
【0012】
前記凝縮装置において、前記凝縮器は、作動流体と、この作動流体を凝縮させる流体とが直接接触しないで熱交換する間接式熱交換器であるのが好ましい。
【0013】
例えば、凝縮器において作動流体とこの作動流体を凝縮させる流体(例えば冷却水)とが混合される直接式熱交換器では、冷却水が作動流体に直接接触するので、伝熱面積が比較的高く、上記のように過熱領域における伝熱面積の問題は比較的小さい傾向にある。一方、本態様のような間接式熱交換器では、直接式熱交換器に比べて過熱領域における伝熱面積の問題がより大きくなるので、前記流体通路内にノズルから冷却用流体を噴霧することにより、作動流体が凝縮器に流入する前に作動流体の過熱度を予め下げておくという本発明が特に有効である。
【0014】
前記凝縮装置において、前記圧縮機は、前記圧縮部の前記吐出口から吐出された作動流体の流速を低減させるための空間を有する減速部をさらに含み、前記減速部の空間は、前記流体通路の一部を構成しており、前記ノズルは、前記減速部を流れる作動流体に冷却用流体を噴霧するのが好ましい。
【0015】
この態様では、圧縮部において昇圧されつつ増速された作動流体の速度をディフューザとして機能する減速部において減速できる。また、この態様では、前記減速部の空間に冷却用流体を噴霧するので、ノズルから冷却用流体を噴霧するための噴霧室のような部材を別途設ける必要がない。
【0016】
前記凝縮装置において、前記圧縮機は、回転軸を有する電動機をさらに有し、前記圧縮部は、前記電動機の回転軸に接続される駆動軸を有し、前記電動機の回転軸は、前記駆動軸の前記吐出口側の端部に接続され、前記減速部の前記空間は、前記電動機の回転軸の軸方向に延びるとともに前記電動機を囲むように形成され、前記軸方向に垂直な断面が円環状であり、前記ノズルは、円環状の前記空間の周方向に沿って複数設けられているのが好ましい。
【0017】
この態様では、円環状の前記空間の周方向に沿ってノズルを複数配置している。これにより、減速部の空間において複数箇所に冷却用流体を噴霧することができるので、流体通路を流れる作動流体をさらに効率よく冷却して過熱度を下げることができる。
【0018】
前記凝縮装置において、前記圧縮機は、前記減速部において流速が低減された作動流体を排出するために前記減速部の前記空間につながる排出ポートを有し、前記ノズルは、前記減速部に配設されており、前記排出ポートよりも前記減速部の下流側に位置しているのが好ましい。
【0019】
この態様では、ノズルが排出ポートよりも減速部の下流側に位置しているので、作動流体が圧縮部の吐出口から吐出され、減速部において減速され、排出ポートを通じて排出される過程において、ノズルが作動流体の流れの邪魔になりにくい。したがって、ノズルの配設に起因して圧力損失が生じるのを抑制することができる。
【0020】
前記凝縮装置において、前記流体通路は、直線状部分を有し、前記ノズルは、前記直線状部分に配置されており、前記作動流体の流れる方向に対して略垂直方向に前記冷却用流体を噴霧する構成であってもよい。
【0021】
前記凝縮装置において、前記噴霧機構は、ポンプをさらに有し、前記冷却用流体は、凝縮されて前記凝縮器の流出口から排出された作動流体の一部であり、前記ポンプは、前記作動流体の一部を前記ノズルに送液する構成であるのが好ましい。
【0022】
この態様では、冷却用流体として、凝縮器の流出口から排出された作動流体の一部を用いており、この作動流体の一部をポンプによりノズルに送液する構成を採用しているので、作動流体とは別に冷却用流体を準備する必要がない。
【0023】
前記凝縮装置において、前記作動流体が水であり、前記圧縮部において圧縮された作動流体が流れる前記流体通路内の圧力が、1.5〜8kPaの範囲にある場合、本発明は特に適している。
【0024】
この態様のように作動流体が水であり、流体通路内の圧力が非常に低い場合には、凝縮器における熱交換の効率が低くなりやすく、その結果、凝縮器において、過熱蒸気を冷却して飽和蒸気にするために必要な伝熱面積が大きくなりやすい。したがって、この態様では、前記流体通路内にノズルから冷却用流体を噴霧することにより、作動流体が凝縮器に流入する前に作動流体の過熱度を予め下げておくという本発明が特に有効である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、凝縮装置において凝縮器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る凝縮装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る凝縮装置の概略構成を示す図であり、主に圧縮機の具体的構成を示している。
【図3】図2の前記圧縮機を軸方向の下流側から見た図である。
【図4】前記凝縮装置の変形例1を示す概略図である。
【図5】(A)は、前記凝縮装置の変形例2を示す概略図であり、(B)は、前記凝縮装置の変形例3を示しており、圧縮機と凝縮器とをつなぐ配管の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態に係る凝縮装置71は、圧縮機10、蒸発器12及び凝縮器13を有する冷媒回路14と、噴霧機構81とを備えている。凝縮装置71は、例えば冷凍機などに用いることができる。
【0029】
圧縮機10は、その内部に圧縮部20を有している。この圧縮部20は、例えば図略のロータを有し、このロータが回転することにより、蒸発器12で蒸発した作動流体(冷媒)としての水蒸気を圧縮する。この水蒸気は、比較的低温、低圧の水蒸気である。本実施形態における圧縮部20で圧縮された作動流体たる水蒸気は、圧縮部20の吐出口CS2において、例えば大気圧以下の圧力で200℃以下の温度となる。
【0030】
具体的には、例えば、作動流体の水蒸気は、圧縮部20の吸入口CS1において、圧力が0.8〜1.7kPa程度、温度が5〜15℃程度であり、圧縮部20の吐出口CS2において、圧力が1.5〜8kPa程度、温度が40〜200℃程度である。
【0031】
凝縮器13は、作動流体と、この作動流体を凝縮させる流体(例えば冷却水など)とが直接接触しない構造を有し、これらの流体の流通空間が区分けされた間接式熱交換器である。この間接式熱交換器では、例えば伝熱管や隔壁などを介して、作動流体とこの作動流体を凝縮させる流体とが間接的に熱交換する。この凝縮器13内の圧力範囲及び温度範囲、並びに後述する流体通路91内の圧力範囲及び温度範囲は、上記した圧縮部20の吐出口CS2における圧力範囲及び温度範囲とほぼ同程度である。
【0032】
冷媒回路14では、圧縮機10で圧縮された作動流体が凝縮器13に送られ、凝縮器13において凝縮される。作動流体が相変化を伴って冷媒回路14を循環する。そして、蒸発器12において冷媒が蒸発することにより、2次側熱媒体に冷熱を供給することができる。この2次側熱媒体は、図外の利用側装置に供給されて冷却対象としての室内空気等を冷却する。
【0033】
噴霧機構81は、圧縮部20の吐出口CS2と凝縮器13の流入口13aとの間の流体通路91を流れる作動流体を冷却するために、流体通路91内に冷却用流体を噴霧することができる。噴霧機構81は、ノズル82、ポンプ83及び噴霧室84を有している。
【0034】
噴霧室84は、圧縮部20の吐出口CS2と凝縮器13の流入口13aとの間の流体通路91の途中に設けられている。ノズル82は、噴霧室84内に配置されている。ポンプ83は、凝縮器13の流出口13bと蒸発器12の流入口12aとをつなぐ配管72から分岐した分岐管73の途中に設けられている。分岐管73の先端部にはノズル82が接続されている。
【0035】
凝縮器13で凝縮されて流出口13bから排出された作動流体は、蒸発器12側に向かって配管72を流れるが、ポンプ83が作動しているときには、配管72を流れる作動流体の一部が分岐管73を通じてノズル82に送液される。そして、ノズル82から冷却用流体が噴霧される。このように第1実施形態では、分岐管73を通じてノズル82に送液される前記作動流体の一部が前記冷却用流体として用いられる。また、ノズル82は、冷却用流体としての作動流体を流体通路91の上流側に向かって噴霧するように配置されている。
【0036】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る凝縮装置71の概略構成を示す図であり、主に圧縮機10の具体的構成を示している。この第2実施形態の凝縮装置71では、噴霧機構81のノズル82が圧縮機10に直接取り付けられている点で、第1実施形態と異なっている。この圧縮機10は、軸流圧縮機として構成されている。凝縮装置71は、例えば冷凍機などに用いることができる。
【0037】
図2に示すように、圧縮機10は、作動流体を圧縮する圧縮空間CSを有する圧縮部20と、圧縮部20を駆動するための電動機22と、圧縮空間CSから吐出された作動流体の流速を減速するための減速部24と、を備えている。圧縮機10のケーシング26は、圧縮部20に配置される円筒状の第1ケース部27と、圧縮部20の一端側(上流側)に配置される第2ケース部28と、圧縮部20の他端側(下流側)となる減速部24に配置される第3ケース部29とを備えている。
【0038】
圧縮部20は、第1ケース部27と、第1ケース部27内に配置されたロータ31とを備えている。第1ケース部27とロータ31との間の空間が、作動流体を圧縮するための圧縮空間CSとして機能する。この圧縮空間CSは、図2の左側が吸入口CS1となり、右側が吐出口CS2となる。したがって、蒸発器12で蒸発した作動流体は図2の左側の吸入口CS1を通して圧縮空間CS内に吸入され、この作動流体は圧縮空間CS内を図2の左から右に移動するにつれて圧縮されて吐出口CS2から吐出される。
【0039】
第1ケース部27の内周面には、複数の静翼33が軸方向に間隔をおいて固定されている。この第1ケース部27は、軸方向が水平になるように設置される。
【0040】
ロータ31は、複数の動翼34と複数のスペーサ35とを備えている。これらの複数の動翼34は、静翼33と交互に位置するように軸方向に間隔をおいて配置されている。スペーサ35は、円筒状に形成される部材であり、静翼33の径方向内側に配置されるとともに、隣り合う動翼34の間にそれぞれ配置されている。図例では、4つの動翼34と4つのスペーサ35が設けられた構成を示しているがこれに限られるものではない。
【0041】
動翼34は、円筒状のボス部37と、このボス部37の周囲に一体的に形成された翼部38とを備えている。翼部38はボス部37の周方向に複数形成されている。ボス部37の外周面及び内周面はスペーサ35の外周面及び内周面と面一の状態となっている。
【0042】
圧縮部20は、駆動軸40と、第1押え部材41と、第2押え部材42と、固定部の一例としてのナット43と、円板状部材44とを備えている。
【0043】
駆動軸40は、第1ケース部27の軸心上に配置されており、第1ケース部27の軸方向に沿って延びている。駆動軸40の両端部47,47は、軸方向において動翼34及びスペーサ35の外側に位置している。
【0044】
第1押え部材41は、最上流段の動翼34に接触するように配置され、また第2押え部材42は、最下流段の動翼34の外側に位置するスペーサ35に接触するように配置されている。第1押え部材41と第2押え部材42とは、同じ構成の部材であるが、軸方向において逆向きに配設される。
【0045】
第1押え部材41は、円板状に形成されており、該押え部材41,42には、駆動軸40を挿通させる中央貫通孔が形成されている。第1押え部材41と動翼34とが嵌合されることにより、第1押え部材41の軸心と最上流段の動翼34の軸心とが一致するようになっている。
【0046】
第2押え部材42は最下流段の動翼34の外側に位置するスペーサ35に嵌合している。これにより、第2押え部材42の軸心と最下流側に位置するスペーサ35の軸心とが一致している。互いに隣り合う動翼34とスペーサ35とは互いに嵌合されている。
【0047】
スペーサ35及びボス部37の内径は、駆動軸40の外径よりも十分大きい。このため、スペーサ35及びボス部37が繋がって形成される円筒部と駆動軸40との間には軸方向に延びる空間が形成されている。この空間すなわちロータ31の内側空間31aには、円板状部材44が設けられている。
【0048】
円板状部材44は、駆動軸40に対して垂直になる姿勢で配設されており、その中央部には厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔には駆動軸40が挿通されている。したがって、駆動軸40は、その中間部位の複数個所で円板状部材44に支持されている。
【0049】
図2に示すように、駆動軸40の両端部47,47は、それぞれ軸受け55,55によって支持されている。軸受け55は、駆動軸40の両端部47,47を回転可能に支持する。
【0050】
両軸受け55,55は、それぞれハウジング56,57に収められている。一端部側の軸受け55を収納する上流側のハウジング56は、第2ケース部28との間に円筒状の空間を形成するように設けられ、この空間は、圧縮空間CSに導入される作動流体が流れる上流側空間USとなる。一方、他端部側の軸受け55を収納する下流側のハウジング57は、第3ケース部29との間に円筒状の空間を形成するように設けられ、この空間は、圧縮空間CSから導出された作動流体が流れる下流側空間DSとなる。
【0051】
各ハウジング56,57は複数の支持部材59,59を介して第2ケース部28又は第3ケース部29に支持されている。各支持部材59は、棒状に形成されるとともに、周方向に放射状に配設されている。支持部材59,59は上流側空間US及び下流側空間DSに配置されているが、断面が流線形となっていることにより、作動流体の流れを阻害しないようになっている。なお、図例では、下流側空間DSの支持部材59がハウジング57の内側まで入り込んだ構成となっているが、このハウジング57の内側に入り込んでいる部位については棒状に形成されていなくてもよい。
【0052】
支持部材59には、潤滑剤を供給及び排出するための給排通路59aが形成されている。潤滑剤は、第2ケース部28及び第3ケース部29の外部から導入され、この給排通路59aの1つを通って軸受け55に供給され、他の給排通路59aを通って軸受け55から排出される。
【0053】
駆動軸40の吐出口CS2側の端部47は、下流側のハウジング57内に配置されており、この端部47には、振動減衰部の一例としてのフレキシブルカップリング61を介して電動機22の回転軸22aが接続されている。圧縮部20の駆動軸40と電動機22の回転軸22aとが増速機を介することなく接続されているので、電動機22の回転数とロータ31の回転数とは同じ回転数となっている。
【0054】
前記減速部24は、第3ケース部29によって形成された下流側空間DSを有している。第3ケース部29は、第1ケース部27の軸方向一端部に繋がる外周面部29aと、外周面部29aの内側に配置されて軸方向に延びる内周面部29bと、外周面部29a及び内周面部29bの軸方向端部同士を接続する端面部29cと、を備えている。
【0055】
外周面部29aは、円筒状に形成されるとともに軸方向の中間部において、吐出口CS2から遠ざかるにつれて内径が少しずつ大きくなるフレア部29dが形成されている。そして、このフレア部29dから先の部位29eは内径が一定となっている。一方、内周面部29bは、下流側のハウジング57の端部に接続され、軸方向に沿って外径が一定となっている円筒状に形成されている。したがって、下流側空間DSには、軸方向に垂直な断面が円環状であり、かつ断面積が次第に拡大するテーパー部と、軸方向に垂直な断面が円環状であり、かつ断面積が一定となっている平行部とが含まれている。
【0056】
少なくともテーパー部は、圧縮部20によって圧縮された作動流体を減速して圧力回復するディフューザとして機能する。平行部は、テーパー部で減速された流体を集合するコレクタとして機能する。減速部24では、作動流体がテーパー部で十分に減速されるので、平行部において過大な損失を発生せずに圧力回復することができる。なお、図例では、内周面部29bがハウジング57と段差状に接続された構成を示しているが、この段差部をなくすようにしてもよい。また内周面部29bは、外周面部29aのテーパー部に対応するところがテーパー状に形成されている構成としてもよい。また、平行部の長さ等は、吐出口CS2から吐出された作動流体の流速をどの程度まで減速するかに応じて適宜選択することができる。
【0057】
外周面部29aにおいて、平行部を構成する部位29eには、排出ポート65が設けられている。この排出ポート65には、下流側空間DS内で減速された作動流体を凝縮器13に導くための配管74が接続されている。
【0058】
内周面部29bには、ハウジング57との接続部から径方向内側に延出されるように電動機支持部66が設けられている。電動機22は、減速部24の内周面部29bの内側に配置されるとともに、電動機支持部66に取り付けられている。
【0059】
図3は、図2の圧縮機10を軸方向の下流側(右側)から見た図である。図2及び図3に示すように、この第2実施形態では、噴霧機構81は、複数のノズル82を備えており、第1実施形態のように圧縮機10とは別体の噴霧室を備えていない。なお、この噴霧機構81は、図2では図示を省略しているが、図1に示す第1実施形態と同様に、ポンプ83が分岐管73の途中に設けられており、分岐管73の先端部に複数のノズル82が接続された構成を有している。
【0060】
また、この第2実施形態では、圧縮部20の吐出口CS2と凝縮器13の流入口13aとの間の流体通路91は、下流側空間DSと、排出ポート65の内部空間と、配管74の内部空間とを含む。ノズル82は、流体通路91のうちの下流側空間DSに配設されている。
【0061】
複数のノズル82は、第3ケース部29の端面部29cに配設されている。複数のノズル82は、円環状の空間の周方向のほぼ全周にわたってほぼ等間隔に配置されている。したがって、圧縮部20の吐出口CS2から吐出され、円環状の空間内を流れる作動流体を満遍なく冷却することができる。
【0062】
各ノズル82は、端面部29cに設けられた図略の貫通口から下流側空間DS内に挿入されており、各ノズル82の先端に設けられた図略の噴霧孔は、下流側空間DS内に配置されている。各噴霧孔は、前記軸方向の上流側に向いているので、各ノズル82は、作動流体を流体通路91の上流側にほぼ対向する向きに噴霧することができる。
【0063】
また、図2に示すように、この凝縮装置71では、排出ポート65が減速部24の側部に設けられており、前記軸方向にほぼ直交する方向(図2では下方)に延びている。圧縮部20の吐出口CS2から吐出された作動流体は、減速部24内を軸方向に流れ、その後、排出ポート65側に向かって流れる。
【0064】
一方で、複数のノズル82は、圧縮機10の軸方向の下流側の端部(端面部29c)に設けられていて、減速部24において排出ポート65よりも下流側に配設されているので、各ノズル82が作動流体の流れの邪魔になりにくい。したがって、複数のノズル82を配置することに起因して圧力損失が生じるのを抑制することができる。
【0065】
また、ノズル82から噴霧される作動流体の粒径は、熱交換の効率を向上させる点で小さい方が好ましい。作動流体の粒径を小さくするには、ノズル82の先端における図略の噴霧孔の孔径を小さくする必要があり、この場合、ノズル82からの噴霧量もおのずと少なくなる。したがって、この第2実施形態のように、ノズル82を複数配設することによって噴霧量の総量を確保しつつ作動流体の粒径を小さくすることができる。
【0066】
本実施形態に係る凝縮装置71では、圧縮機10における電動機22の回転軸22aが回転すると、圧縮部20の駆動軸40も同じ回転数で回転し、ロータ31が軸回りに回転する。これに伴い、上流側空間US内の作動流体が吸入口CS1を通じて圧縮空間CSに吸入され、圧縮空間CS内では作動流体が圧縮されながら図2の右方向に送られ、吐出口CS2を通して下流側空間DSに吐出される。この作動流体は、減速部24内において減速されるとともに圧力回復し、排出ポート65を通して排出される。また、噴霧機構81のポンプが作動することにより、ノズル82から冷却用流体としての作動流体が減速部24の空間内に噴霧される。これにより、圧縮部20において圧縮された作動流体が減速部24の空間内において冷却される。
【0067】
以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態では、流体通路91内にノズル82から冷却用流体としての作動流体を噴霧することにより、流体通路91を流れる作動流体を冷却することができるので、作動流体が凝縮器13に流入する前に、作動流体の過熱度を予め下げることができる。これにより、凝縮器13において、過熱蒸気を冷却するために必要な伝熱面積を小さくすることができるので、凝縮器13を小型化することができる。また、上記のように伝熱面積を小さくすることにより、凝縮器13にかかるコストを低減することもできる。
【0068】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、冷却用流体を流体通路91の上流側に向かって噴霧するので、流体通路91の下流側に向かって噴霧する場合や流体通路91に直交する方向に噴霧する場合に比べて、作動流体と冷却用流体との相対速度を大きくすることができる。これにより、作動流体と冷却用流体との熱交換の効率を高めることができるので、流体通路91を流れる作動流体をより効率よく冷却することができる。
【0069】
前記第2実施形態では、圧縮部20において昇圧されつつ増速された作動流体の速度をディフューザとして機能する減速部24において減速できる。また、第2実施形態では、減速部24の空間に冷却用流体を噴霧可能なように、ノズル82が圧縮機10に取り付けられているので、ノズル82から冷却用流体を噴霧するための噴霧室のような部材を別途設ける必要がない。
【0070】
第2実施形態では、減速部24の空間は、電動機22の回転軸の軸方向に延びるとともに電動機22を囲むように形成され、前記空間の軸方向に垂直な断面が円環状である。そして、円環状の前記空間の周方向に沿ってノズル82を複数配置している。これにより、減速部24の空間において複数箇所に冷却用流体を噴霧することができる。
【0071】
第1実施形態及び第2実施形態では、冷却用流体として、凝縮器13の流出口13bから排出された作動流体の一部を用いており、この作動流体の一部をポンプ83によりノズル82に送液する構成を採用しているので、作動流体とは別に冷却用流体を準備する必要がない。
【0072】
第2実施形態では、電動機の回転軸に増速機を介することなく圧縮部の駆動軸が接続された構成となっている。このため、例えば従来の冷凍機に用いられる凝縮装置のように増速機を設けるために電動機を圧縮部に対してオフセットして配置(電動機を圧縮部に対して径方向に位置ずれした状態で配置)させる必要がない。したがって、圧縮機の径方向の幅が大きくなることを防止できる。しかも、増速機が設けられていないため、この点からも圧縮機の径方向の幅が大きくなることを防止できる。
【0073】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、冷凍機に用いられる凝縮装置71として構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、凝縮装置71を例えば、冷却水を得るためのチラー、空調装置、濃縮機等に用いられる圧縮機として構成してもよい。
【0074】
作動流体は、水蒸気に限定されるものではない。例えば、炭化水素系のプロセスガス等の種々の流体を作動流体として適用することができる。また、圧縮機は、軸流圧縮機に限定されるものではない。
【0075】
また、前記実施形態では、作動流体をノズルから流体通路の上流側に向かって噴霧する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、作動流体をノズルから流体通路の下流側に向かって噴霧してもよく、流体通路と直交する方向に噴霧してもよい。
【0076】
また、例えば図4に示す変形例1のような凝縮装置71であってもよい。この変形例1において、流体通路91は、圧縮機10と凝縮器13とをつなぐ配管により構成されており、この配管は、作動流体の流れる方向が屈曲する屈曲部91aを有している。ノズル82は、屈曲部91aに配置されている。この屈曲部91aは、配管の直線状の部分に比べて、作動流体が流れるときの圧力損失が元々生じやすい箇所であるので、この屈曲部91aにノズルを配置しても圧力損失の影響が小さい。
【0077】
また、仮に、配管の直線状の部分にノズルを配置して、かつ冷却用流体を流体通路の上流側に向かって噴霧しようとすると、例えば、配管の側面から配管内にノズルを挿入し、かつノズルの先端部付近を上流側に折り曲げて配置することによってノズルの噴霧孔を上流側に向ける必要がある。この場合、流体通路の断面積に占めるノズルの割合が比較的大きくなりやすいので、圧力損失が大きくなりやすい。一方、図4に示すように屈曲部91aにノズル82を配置すれば、冷却用流体を流体通路の上流側に向けて噴霧しつつ、ノズル82の配置に起因する圧力損失への影響を小さくすることができる。
【0078】
配管の直線状の部分にノズルを配置する場合には、例えば図5(A)に示す変形例2の形態が例示できる。図5(A)に示す変形例2では、圧縮機10と凝縮器13とをつなぐ流体通路(配管)91の直線状部分に、複数のノズル82が配設されている。この変形例2では、略水平方向に延設された配管の直線状部分に2つのノズル82が配管の周囲から内側に向かって冷却用流体を噴霧できるように配置されている。より具体的には、上側のノズル82は、配管内において冷却用流体を下方(圧縮された作業流体の流れに対して略垂直方向)に向かって噴霧できるように図略の噴霧孔を有している。下側のノズル82は、配管内において冷却用流体を上方に向かって噴霧できるように図略の噴霧孔を有している。
【0079】
また、図5(B)に示す変形例3のように、流体通路(配管)91の直線状部分に、圧縮された作業流体の流れに対して略垂直方向に、複数の(多数の)ノズル82を配管の周方向に沿って環状に配置してもよい。これらのノズル82は、前記周方向にほぼ等間隔に点在している。また、この変形例3では、環状の配列が2つ存在している。2つの環状の配列は、図5(B)において矢印で示す作動流体の流れ方向に互いにずれた位置に設けられている。この変形例3では、各ノズル82から配管の半径方向内側に向かって冷却用流体が噴霧されるので、配管内を流れる作動流体を満遍なく冷却することができる。
【0080】
また、変形例3では、各ノズル82の先端が流体通路91(配管)の内面から配管内にほとんど突出しないように配管に配設されている。これにより、流体通路91内において各ノズル82が作動流体の流れの邪魔にならないので、ノズル82の配置に起因する圧力損失への影響をさらに小さくすることができる。
【0081】
なお、変形例2及び変形例3では、流体通路91の直線状部分に複数のノズル82を設けているが、直線状部分に1つのノズル82を設けるだけでもよい。また、変形例2及び変形例3では、流体通路91の直線状部分において、冷却用流体がノズル82から半径方向内側に向かって噴霧される場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、流体通路91の直線状部分において、ノズル82から冷却用流体が上流側に向かって噴霧される形態であってもよい。この場合、例えば、流体通路91の直線状部分における配管内にノズル82を挿入し、かつノズル82の先端部付近を上流側に折り曲げて配置することによって冷却用流体をノズルから上流側に向かって噴霧することができる。
【0082】
また、例えば、流体通路91の直線状部分において、ノズル82を斜めに配設することにより、冷却用流体を上流側に向けて噴霧することができる。この場合は、ノズル82の先端が流体通路91(配管)の内面から配管内にほとんど突出しないように、ノズル82を配設できるので、ノズル82の配置に起因する圧力損失への影響をさらに小さくすることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 圧縮機
12 蒸発器
13 凝縮器
14 冷媒回路
20 圧縮部
22 電動機
22a 回転軸
24 減速部
31 ロータ
40 駆動軸
71 凝縮装置
81 噴霧機構
82 ノズル
83 ポンプ
84 噴霧室
91 流体通路
91a 屈曲部
CS1 圧縮部の吸入口
CS2 圧縮部の吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧縮する圧縮部を有する圧縮機と、
前記圧縮部において圧縮された作動流体を凝縮させる凝縮器と、
前記圧縮部の吐出口と前記凝縮器の流入口との間の流体通路を流れる作動流体を冷却するために前記流体通路内に冷却用流体を噴霧するノズルを有する噴霧機構と、を備えている凝縮装置。
【請求項2】
前記ノズルは、冷却用流体を前記流体通路の上流側に向かって噴霧するように配置されている、請求項1に記載の凝縮装置。
【請求項3】
前記流体通路は、作動流体の流れる方向が屈曲する屈曲部を有し、
前記ノズルは、前記屈曲部に配置されている、請求項1又は2に記載の凝縮装置。
【請求項4】
前記凝縮器は、作動流体とこの作動流体を凝縮させる流体とが直接接触しないで熱交換する間接式熱交換器である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝縮装置。
【請求項5】
前記圧縮機は、前記圧縮部の前記吐出口から吐出された作動流体の流速を低減させるための空間を有する減速部をさらに含み、
前記減速部の空間は、前記流体通路の一部を構成しており、
前記ノズルは、前記減速部を流れる作動流体に冷却用流体を噴霧する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凝縮装置。
【請求項6】
前記圧縮機は、回転軸を有する電動機をさらに有し、
前記圧縮部は、前記電動機の回転軸に接続される駆動軸を有し、
前記電動機の回転軸は、前記駆動軸の前記吐出口側の端部に接続され、
前記減速部の前記空間は、前記電動機の回転軸の軸方向に延びるとともに前記電動機を囲むように形成され、前記軸方向に垂直な断面が円環状であり、
前記ノズルは、円環状の前記空間の周方向に沿って複数配設されている、請求項5に記載の凝縮装置。
【請求項7】
前記圧縮機は、前記減速部において流速が低減された作動流体を排出するために前記減速部の前記空間につながる排出ポートを有し、
前記ノズルは、前記減速部に配設されており、前記排出ポートよりも前記減速部の下流側に位置している、請求項5又は6に記載の凝縮装置。
【請求項8】
前記流体通路は、直線状部分を有し、
前記ノズルは、前記直線状部分に配置されており、前記作動流体の流れる方向に対して略垂直方向に前記冷却用流体を噴霧する、請求項1に記載の凝縮装置。
【請求項9】
前記噴霧機構は、ポンプをさらに有し、
前記冷却用流体は、凝縮されて前記凝縮器の流出口から排出された作動流体の一部であり、
前記ポンプは、前記作動流体の一部を前記ノズルに送液する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の凝縮装置。
【請求項10】
前記作動流体が水であり、
前記圧縮部において圧縮された作動流体が流れる前記流体通路内の圧力は、1.5〜8kPaの範囲にある、請求項1〜9のいずれか1項に記載の凝縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225582(P2012−225582A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94136(P2011−94136)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(507385785)ダニッシュ テクノロジカル インスティテュート (7)
【出願人】(507385796)