説明

処方指示装置および処方指示方法

【課題】
医師のオーダ入力負担を削減し、継続して投与すべき薬剤投与が中断することを防ぐ。
【解決手段】
処方オーダの中で、継続して実施すべきオーダを管理DB120に記録。発行手段110は、処方オーダの実施状況を管理するオーダDB130を参照し、管理DB120に記録されたオーダが前回実施された実施状況から処方実施終了日時を算出し、該実施終了日時が次回オーダ指示日時に達しない場合は、自動的に必要な継続オーダを生成して、薬剤師端末400へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方オーダを指示する指示端末から処方オーダを受け付け、該処方オーダーに基づき、オーダされた処方対象を準備する準備端末へ処方オーダを指示する処方指示装置および処方指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、看護師が入力した投与すべき点滴の総量および単位時間当たりの流量に基づき、点滴投与開始時刻から点滴が終了する時刻を予測し、終了前に看護士に警告する技術は、既に公開されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−237666
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術は、看護師への便宜のみを考慮している。しかし、このような点滴の処方をオーダ指示するのは医師であり、このような処方オーダを指示する医師が抱える問題は解決できない。
【0004】
すなわち、点滴や錠剤などの処方対象を一定期間継続して実施すべき処方オーダについても、今投与している処方対象が切れると、新たに医師がオーダを再指示する必要がある。
【0005】
また、オーダ入力には入力期限があり、これを逃すと、処方対象の点滴や錠剤が中断される状態が発生する恐れがある。
【0006】
しかし、だからと言って、処方対象の終了時刻を見越して機械的にオーダの再指示を出していては、例えば、患者になんらかの突発的な異常事態が起こっている場合においては、機械的に指示されたオーダは不必要なもの、あるいは、その異常事態を悪化させかねない危険なものとなってしまう可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、以上のような課題を考慮しながら、継続して実施すべき処方対象の処方オーダを識別して、自動的に処方オーダを生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、処方オーダを指示する指示端末と、オーダされた処方対象を準備する準備端末に接続された、処方オーダを該準備端末に指示する処方指示装置あるいは処方指示方法であって、継続して実施すべき処方オーダに関する情報が管理された継続テーブルと、準備端末へ送信されるべき処方オーダに関する各種実績情報が管理された処方テーブルと、オーダ入力期限が管理された予定テーブルを活用し、指示端末から受け付けた処方オーダを前記継続テーブルに登録した上、前記処方テーブルから継続して実施すべき処方オーダを検索しその実績情報を識別して、処方した処方対象の処方実施終了日時を算出し、準備端末へ次回に指示する次回指示日時を前記予定テーブルから特定し、該実施終了日時が該次回指示日時に達しない場合は、自動的に必要な処方オーダを生成して、準備端末へ送信することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記処方テーブルに、さらに、処方オーダを前記準備端末に送信される以前に、該処方オーダが確認されたか否かを示す確認フラグが管理され、前記処方テーブルから検索した処方識別情報に対応する確認フラグが確認されていないことを示す場合は、該実施終了日時を算出しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、医師のオーダ入力負担を大幅に削減できるとともに、オーダ入力期限を医師が失念して、継続して実施すべき処方対象が途中で中断することを防ぐことが可能になる。
【0011】
また、薬剤師へ最終的に処方オーダが出される前に、該処方オーダが看護師によって確認されていないと、患者に何らかの異常が生じたと判定して、処方オーダの自動生成をおこないことで、不必要な、あるいは、危険な処方オーダを回避することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるシステム構成を図1に示す。本発明は、発行装置100、医師が処方オーダを指示する医師端末200、看護師が処方オーダに対する確認や処方実施を入力する看護師端末300、および、薬剤師に処方オーダを表示する薬剤師端末400、で構成される。なお、医師端末200、看護師端末300、薬剤師端末400とも、複数存在して発行装置100に接続されるシステム構成でも良い。
【0013】
発行装置100と医師端末200、看護師端末300、薬剤師端末400は、LAN等の有線ケーブルあるいは無線通信といったネットワークを介して接続され、相互にデータ交換を行う。
【0014】
発行装置100は、さらに、発行手段110、継続して実施すべき処方オーダを管理する管理DB(データベース)120、薬剤師端末400へ送信されるべき処方オーダについて、その確認や処方実績が管理されるオーダDB130、指示される処方オーダの入力期限を管理する予定DB140、そして、継続して実施すべき処方オーダを定義する対象DB150で構成される。
【0015】
発行手段110は、医師端末200や看護師端末300から入力された処方オーダを受け付け、あるいは、発行手段110が継続して実施すべき継続処方オーダを生成し、それらの処方オーダを看護師端末300へ送信し看護師に確認させ、看護師端末300から確認済みとされた処方オーダを薬剤師端末400へ送信する。
【0016】
管理DB120には、継続して実施すべき処方オーダの情報が管理される。具体的には、図6の管理テーブル600に示すように、処方オーダを識別するオーダID、処方すべき患者を識別する患者ID、処方対象である指示内容、および、投与すべき量、そして、継続実施の終了時点を示す終了日、という各データ項目で構成される。
【0017】
オーダDB130には、薬剤師端末400へ送信されるべき処方オーダについて、その確認や処方実績が管理される。具体的には、図7のオーダテーブル700に示すように、オーダを識別するオーダID、オーダ種別を示す種別、オーダDBに登録された日時情報を示す登録日、処方すべき患者を識別する患者ID、処方対象である指示内容、および、投与すべき量、看護師端末300からの確認状態を示す指示受、看護師が当該処方を実施した日時情報を示す実施、および、処方対象の投与ペースを示す備考、といった各データ項目で構成される。
【0018】
種別項目には、通常のオーダを示す「通常」、継続して実施すべき処方オーダを示す「継続」がある。さらに、患者の突然の容態悪化や処方対象が足りなくなった場合など、看護師が看護師端末300から緊急的にオーダを指示し、後で担当医師に事後承認する場合があるが、このような緊急のオーダを示す「臨時」という種別が存在する。
【0019】
備考項目に記録される投与ペースは、処方対象が点滴ならば、例えば、1時間当たりの流量を示したり、錠剤ならば1日当たりに飲む数量を示すなど、今回処方された処方対象が、いつ投与完了するかを判断できるような情報である。
【0020】
予定DB140には、医師端末200あるいは看護師端末300から入力される処方オーダの入力期限が管理される。具体的には、図8の予定テーブル800に示すように、入力期限となる指示締切日時が記録される。図8の例では、時刻しか設定されていないが、この場合は、毎日、この設定時刻が締切期限となる。
【0021】
対象DB150には、継続して実施すべき処方オーダ、すなわち、種別が「継続」のオーダがどのようなものかを定義する定義情報が管理される。具体的には、図9の定義テーブル900に示すように、該当する処方対象の種別を示す対象種別、および、各対象種別でも特に指定される対象名称、といったデータ項目で構成される。
【0022】
例えば、図9のような定義がなされている場合、点滴の処方オーダならば全て「継続」オーダと認識される。また、錠剤の処方オーダであれば錠剤「C」のみが「継続」オーダとして認識され、他の名称の錠剤であれば「通常」オーダと判定される。但し、看護師端末300から緊急的に入力された「臨時」種別のオーダの場合は、例えこの定義テーブル900に該当する薬剤でも、「継続」種別のオーダにはならない。
【0023】
医師端末200は、発行装置100が送信してきた処方オーダの指示画面を表示し、医師が入力した処方オーダを受け付け、発行装置100へ送信するための表示入力手段210を備えている。
【0024】
看護師端末300は、薬剤師端末400へ送信される以前の処方オーダを発行装置100から受信し画面表示し、看護師が入力した確認情報(指示受け済情報)を受け付け、発行装置100へ送信する。また、看護師端末300は、看護師が入力した処方の実施日時および処方対象の投与ペースを受け付け、発行装置100へ送信する。また、看護師端末300は、看護師が入力した上記「臨時」種別に該当するオーダを受け付け、発行装置100へ送信する。
【0025】
看護師端末300は、上記のような様々な情報表示および情報入力受け付けを行なうために、表示入力手段310を備えている。
【0026】
薬剤師端末400は、発行装置100から送信されてきた処方オーダを表示し、また、処方オーダの準備完了情報など薬剤師が入力した各種入力情報を受け付け、発行装置100へ送信する。このような情報表示および情報入力受け付けを行なうために、薬剤師端末400は、表示入力手段410を備えている。
【0027】
医師端末200、看護師端末300、薬剤師端末400は、例えば、WS(ワークステーション)、PC(パーソナルコンピュータ)や携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)端末などが想定されるが、上記のような機能を実行できるのであれば、これらの製品に限定されることはない。
【0028】
次に、図2および図3を用いて、発行装置100の発行手段110と、医師端末200、看護師端末300、薬剤師端末400の各表示入力手段210、310、410との間で行なわれる、本発明の全体的な処理の流れを説明する。
【0029】
図2で示す処理は、特に、「通常」種別のオーダ、および、「臨時」種別のオーダについて行なわれる処理である。
【0030】
S1_1で、医師端末200にオーダが入力される。あるいは、S1_2で、看護師端末300に上記「臨時」種別のオーダが入力される。いずれの場合も、各端末200、300が、入力されたオーダを発行装置100へと送信する。
【0031】
S2で、発行装置100は、医師端末200あるいは看護師端末300から送信されてきたオーダを受信する。
【0032】
S3で、発行装置100は、受信したオーダが「継続」種別のオーダか否かを判定し、該当する場合は、新規オーダIDを発行し管理DB120に該オーダを登録した上で、さらに、薬剤師端末400へ送信すべきオーダとしてオーダDB130に登録する。一方、「継続」種別オーダに該当しない場合は、オーダDB130のみに登録する。
【0033】
なお、S3における発行処理の詳細は、図4を用いながら後述する。
【0034】
S4で、発行装置100は、薬剤師端末400に送る以前にオーダDB130に登録されたオーダを看護師に確認させるため、オーダ情報に基づき生成した指示受け要求画面を、看護師端末300へ送信する。看護師の事前確認は「指示受け」と呼ばれ、従来の病院業務でも行なわれる作業である。
【0035】
S5で、看護師端末300は、発行装置100からの指示受け要求画面を受信し、画面上に指示受け要求画面を表示する。そして、S6で、看護師がオーダ内容を閲覧した上で、オーダ毎に対応づけされた画面上の確認ボタンを押下すると、看護師端末300は、表示されたオーダを指示受けしたことを示す指示受け済み情報を発行装置100へ送信する。この指示受け済み情報には、オーダIDが含まれている。
【0036】
S7で、発行装置100は、指示受け済み情報を受信し、オーダDB130の該当するオーダIDの指示受け項目を「未」から「済」へと更新する。
【0037】
なお、一度指示受け済処理したレコードに対しても、患者の容態が急変した等なんらかの異常が発生した場合、看護師端末300から、看護師が指示受け取消しの情報を送信することができる。
【0038】
S8で、発行装置100は、オーダDB130に登録されたオーダの内、指示受け項目が「済」になったオーダに基づいて、薬剤の準備指示を要求する確定処方指示画面を生成し、薬剤師端末400へ送信する。指示受け項目が「未」のままになっているオーダについては、患者容態がオーダが指示された時点とは異なるような状況に陥ったために看護師が該オーダを認めない結果だと判断して、薬剤師端末400へは送信しない。
【0039】
S9で、薬剤師端末400は、発行装置100からの確定処方指示画面を受信して、画面表示する。この確定処方指示画面を閲覧することで、看護師は、指示されたオーダに対応する各種薬剤を準備していく。
【0040】
なお、発行装置100は、準備完了したオーダについて押下する準備完了ボタンを確定処方指示画面に用意し、押下された時点で薬剤師端末400が発行装置100にその準備完了情報を送信し、発行装置100は、オーダDB130の該当するオーダIDに対応づけて、準備完了を示す情報を記録するようにしてもよい。
【0041】
また、図示していないが、薬剤師端末400には印刷装置が接続されており、確定処方指示画面に表示されるオーダ情報に基づき、薬剤師端末400は、オーダID、患者ID(あるいは患者IDに対応する患者名)、処方対象、処方対象の量を、処方対象を入れる処方袋や、処方袋に添付される処方控えレシートに印字する。
【0042】
S10で、看護師端末300は、実際に処方対象を患者に投与すると、その実施状況を示す情報を発行装置100に送信する。具体的には、看護師が処方控えレシートを確認して、オーダID、実施日時、投与ペースを看護師端末300に入力する。看護師端末300は、入力されたこれらの情報を実施情報として発行装置100へ送信する。
【0043】
S11で、発行装置100は看護師端末300から実施情報を受信すると、オーダDB130の該当するオーダIDに対応づけて、この実施情報を記録する。
【0044】
なお、「通常」種別のオーダについては、例えば、S4の指示受け要求やS8の準備指示の処理を、データ入力期限以降の所定の日時に一括して行なっても良いが、「臨時」種別のオーダについては、緊急を要するので、S1_2のオーダ入力があれば、上記所定の一括処理日時を待たずに、S4およびS8の処理を行うものとする。
【0045】
続いて、図3を用いて、S3で「継続」種別と判定されて、管理DB120に登録されたオーダに関する処理の流れを説明する。図3の処理は、発行装置100の発行手段110と、看護師端末300、薬剤師端末400の各表示入力手段310、410との間で行なわれ、医師端末200が関与しない点に特徴がある。
【0046】
S21で、発行装置100は、処理を開始するか否かを判定する。具体的には、予定DB140の予定テーブル800に管理される、医師端末200あるいは看護師端末300からの処方オーダ入力期限が、システムが保持する現在日時情報と一致するか否かで、処理を開始すべきタイミングを検知する。そして、処理を開始すべきタイミングに達したと判定すると、発行装置100はS22以降の処理を行なう。
【0047】
S22で、発行装置100は、「継続」種別オーダ、すなわち、管理DB120に登録されたオーダについて、医師端末200からの指示なしに、再度オーダを生成してオーダDB130に登録すべきか否かを判定し、登録すべきオーダについては、オーダを生成してオーダDB130に登録する。このS22における継続発行処理の詳細は、図5を用いて、後述する。
【0048】
S22で新たにオーダDB130に登録されたオーダに対する、S23〜S30の処理は、図2のS4〜S11における処理と同一なので、説明は省略する。
【0049】
次に、図2のS3で、発行装置100の発行手段110が実行する発行処理の詳細を、図4を用いて説明する。
【0050】
S31で、発行手段110は、受信したオーダ情報が、医師端末200あるいは看護師端末330のどちらから送信されたものなのか、そして、オーダ情報が含む処方対象の薬剤が何なのかを識別する。
【0051】
図示していないが、発行装置100は、医師端末200、看護師端末300、薬剤師端末400のアドレス情報を管理しており、オーダ情報の送信元のアドレスから、どの端末から送信されてきたのかを識別することが可能になっている。
【0052】
S32で、発行手段110は、受信したオーダが「臨時」種別のオーダか否かを判定する。具体的には、オーダ情報の送信元が看護師端末300であれば、そのオーダは「臨時」種別のオーダと判定する。
【0053】
「臨時」種別オーダと判定した場合、発行手段110は、受信オーダに含まれる患者IDを識別した上で、S36へと進み、患者IDが一致するオーダを管理DB120の管理テーブル600から削除する。「臨時」種別オーダは、対象患者の容態が急変し、医師の指示を待たず看護師が緊急に必要な薬剤処方を指示したものとも予測できる。したがって、それ以前に指示され「継続」種別と判断されたオーダは一旦取り消し、改めて、医師の指示を待つ必要がある。このようなことから、発行手段110は、S36の処理を実行するのである。
【0054】
そして、発行手段110は、S37へ進み、オーダDB130のオーダテーブル700に新規レコードを生成して、「臨時」種別と判定したこのオーダ情報を登録し、発行処理を完了する。登録する際、発行手段110は、新規にオーダIDを生成し、該オーダIDに対応づけて、種別項目に「臨時」を設定し、受信オーダ情報に基づき患者ID、指示内容、量の各項目に情報登録する。また、情報登録した日時を、登録日項目に記録する。
【0055】
一方、S32で「臨時」種別のオーダでないと判定した場合、発行手段110は、S33で、受信オーダ情報が「継続」種別のオーダであるか否かを判定する。具体的には、発行手段110は、対象DB150の対象テーブル900を参照し、受信オーダ情報に含まれる処方対象の薬剤が対象テーブル900に含まれるか否かを判定する。あるいは、「継続」種別のオーダの場合は、いつまでこのオーダを有効とするのか、その有効期限がオーダ情報に含まれるので、これをもって「継続」種別のオーダと判断してもよい。
【0056】
そして、「継続」種別のオーダと判定した場合、発行手段110は、S34へ進む。S34で、発行手段110は、管理DB120の管理テーブル600に新規レコードを生成して、「継続」種別と判定したこのオーダを登録する。この時、発行手段110は、新規オーダIDを生成し、該オーダIDに対応づけて、受信オーダ情報に基づき患者ID、指示内容、量、終了日(有効期限)の各項目に情報登録する。さらに、発行手段110は、S35へ進み、オーダDB130のオーダテーブル700に新規レコードを生成して、「継続」種別と判定した受信オーダ情報を登録し、発行処理を完了する。オーダテーブル700に登録する際、発行手段110は、S34で生成したオーダIDに対応づけて、種別項目に「継続」を設定し、受信オーダ情報に基づき患者ID、指示内容、量、の各項目に情報登録する。また、情報登録した日時を、登録日項目に記録する。
【0057】
一方、S33で、「継続」種別のオーダでないと判定した場合、このオーダは、「通常」種別のオーダとなるので、発行手段110は、S38に進み、「通常」種別と判定した受信オーダ情報をオーダDB130のオーダテーブル700に登録し、発行処理を完了する。登録する際、発行手段110は、新規にオーダIDを生成し、該オーダIDに対応づけて、種別項目に「通常」を設定し、受信オーダ情報に基づき患者ID、指示内容、量の各項目に情報登録する。また、情報登録した日時を、登録日項目に記録する。
【0058】
以上が、発行装置100の発行手段110が実行する、図2のS3の発行処理の詳細である。
【0059】
次に、図3のS22で、発行装置100の発行手段110が実行する継続発行処理の詳細を、図5を用いて説明する。
【0060】
S41で、発行手段110は、予定テーブル800とシステムの現在日時に基づき、次回のオーダ入力期限を識別し、ワークメモリに記憶する。
【0061】
例えば、現在日時が3月3日午前10時とする。今、図8の予定テーブル800を参照すると、オーダ入力期限は毎日午前10時となっているので、3月3日午前10時が今回入力期限となり、次回入力期限は翌日3月4日午前10時ということになる。
【0062】
S42で、発行手段110は、管理DB130の管理テーブル600の第1レコードを読み込む。
【0063】
S43で、発行手段110は、読み込んだレコードの終了日項目を確認する。そして、現在日時が設定された終了日を過ぎていたら、このオーダは既に継続すべきものではないと判定し、発行手段110は、S44へ進み、該レコードを管理DB120の管理テーブル600から削除して、S50へと進む。
【0064】
一方、S43で、現在日時が終了日を超えていない場合は、発行手段110は、S45へ進み、オーダDB130のオーダテーブル700に管理される「継続」種別となっているオーダを参照し、読込レコードのオーダIDと同一のレコードの内で直近のレコードを特定する。
【0065】
そして、S46で、特定した該オーダIDの直近レコードの指示受け項目が「済」に設定されているか否か、および、実施項目に実施日時情報が記録されているか否かを判定する。判定の結果、指示受け項目が「済」になっていない場合、あるいは、実施項目が未記録の場合、発行手段110は、S44に進み、管理DB120の管理テーブル600から該当オーダIDレコードを削除して、S50に進む。この処理は、該当オーダの患者の容態が急変した等何らかの異常が生じたため、看護師がこの「継続」種別のオーダに指示受け確認処理をしなかった、または、処方対象の薬剤を実際に投与しなかった危険性があり、これ以上継続すべきオーダとして認められないために実行される。
【0066】
一方、S46で、オーダテーブル700で特定したレコードが、指示受け済かつ実施済(実施日時情報の記録有り)である場合、発行手段110は、S47へ進み、前回実施した処方対象が完了する終了日時を予測する。具体的には、特定したレコードの処方量項目に記録された処方対象の総量を、備考項目の投与ペースで除算して完了所要時間を求め、実施日時情報を起点として該完了所要時間を加算した終了日時を算出する。
【0067】
そして、S48で、発行手段110は、算出した終了日時が、S41で求めた次回オーダ入力期限に達するか否かを判定する。そして、終了日時が次回入力期限に達する場合、つまり、次回入力期限時点では、前回実施した薬剤の投与がまだ完了しないと判定した場合は、今回の入力期限で薬剤師端末400へ送信するオーダを生成する必要が無いため、発行手段110は、S50へ進む。
【0068】
一方、S48で、算出した終了日時が次回入力期限に達しない場合、つまり、次回入力期限までに前回実施した薬剤投与が完了してしまう場合は、今回の入力期限で薬剤師端末400へ送信するオーダを生成する必要があるため、発行手段110は、S49に進み、オーダDB130のオーダテーブル700に新規レコードを生成し、読込レコードのオーダ情報に基づき、新規レコードに新たな「継続」種別のオーダ情報を記録する。また、情報登録した日時を、登録日項目に記録する。この時、オーダIDは新規生成せず、読込レコードのオーダIDをそのまま流用する。
【0069】
なお、終了日までの残余期間が所定の期間量に達した時は、管理テーブル600の処方量通りに設定すると過剰投与となる恐れが生じるため、この場合は処方量を新規レコードの処方量項目に記録せず、看護師端末300に指示受け要求を送信する際に、看護師に必要量を設定させるような入力領域を設けた要求画面を生成して送信し、看護師端末300からの指示受け済情報が含む処方量を記録するものとする。
【0070】
S50で、発行手段110は、管理テーブル600にまだ未処理の次レコードが存在するか否かを判定し、存在する場合は、S51へ進み、次レコードを読み込んだ上で、S43の処理へと戻る。一方、次レコードが存在しない場合は、一連の継続発行処理を完了することとなる。
【0071】
最後に、オーダテーブル700に図7のようなデータが記録される場合に、本発明の特徴である「継続」種別のオーダがどのように処理されるのかを、図10を用いて説明する。
【0072】
図7のオーダテーブル700は、3月3日午前10時の時点、つまりオーダ入力期限に達した時点のデータ内容である。そして、図10は、オーダテーブル700の内、「継続」種別のオーダに該当する患者のオーダだけを図式化したものである。これら全ての「継続」種別オーダは、前回オーダ入力期限(=3月2日午前10時)で薬剤師端末400へ送信されたオーダが、直近のオーダとなっているものとする。
【0073】
今、3月3日午前10時のオーダ入力期限に達したとして、これら「継続」種別オーダの内容を検討する。
【0074】
まず、オーダID「0002」は図7のオーダテーブル700のレコード内容から、3月2日午後1時に点滴を投与開始し始め、1時間10単位の投与ペースで注入していることがわかる。点滴総量は600単位なので投与所要時間は60時間であり、投与開始日時に基づき投与終了日時を算出すると、3月5日午前1時が終了日時となる。一方、次回のオーダ入力期限は3月4日午前10時であり、したがって、オーダID「0002」は、今回入力期限を持って薬剤師端末400へ送信すべきオーダとする必要がない。よって、オーダID「0002」に対する継続発行処理は、図5のS48で「YES」の判定処理となり、新たにオーダ生成せずに継続発行処理を終えることとなる。
【0075】
次に、オーダID「0004」について検討すると、図7のオーダテーブル700から、3月2日午後1時に点滴を投与し始め、1時間10単位の投与ペースで注入していることがわかる。点滴総量は300単位なので投与所要時間は30時間であり、このことから、3月3日午後9時に投与が完了すると予測される。一方、次回のオーダ入力期限は3月4日午前10時であり、したがって、オーダID「0004」は、次回オーダ入力期限までに点滴が途切れてしまうため、今回入力期限を持って薬剤師端末400へ送信すべきオーダとしてオーダ生成する必要がある。よって、オーダID「0004」に対する継続発行処理は、図5のS48で「NO」の判定処理となり、S49のオーダ登録処理を行うこととなる。
【0076】
次に、オーダID「0005」について検討すると、3月2日午後1時に2日分(3月2日と、3月3日)の錠剤を、患者に渡したことになっている。よって、次回オーダ入力期限3月4日午前10時には、3月4日分以降の錠剤を渡す必要が生じるはずである。しかし、ここで注目すべきは、このオーダに対応する同一の患者「150」に対して、3月3日午前1時に「臨時」種別のオーダ(オーダID「0008」)が指示されている点である。図4の発行処理に従えば、S32の判定処理で「YES」判定がなされるため、S36で、管理DB120の管理テーブル600からオーダID「0005」は削除されてしまう。よって、今回のオーダ入力期限の3月3日午前10時の時点には、管理テーブル600にはオーダID「0005」が存在せず、よって、図5の継続発行処理の対象ではなくなっている。
【0077】
次に、オーダID「0006」について検討すると、図7のオーダテーブル700では指示受け済項目が「未」のままになっている。よって、前回の3月2日午前10時のオーダ入力期限で、結局、このオーダは薬剤師端末400には送信されなかったことになる。したがって、図5の継続発行処理に従えば、S46の判定処理で「No」判定となり、S44へと進み、このオーダは管理テーブル600から削除され、次回オーダ入力期限以降、継続発行処理の対象オーダでなくなる。
【0078】
以上、本発明を医療分野に適用した実施例を説明したが、処方オーダを受け付ける時点で医師の識別情報も併せて受付、有効期限の終了日以前に管理DB120から削除される「継続」種別のデータについては、削除された時点で、「継続」種別のオーダを指示した医師の識別情報に対応づけられた連絡先へ通知するようにしても良い。
【0079】
また、本実施例では、「臨時」種別のオーダを受け付けたら、該当する患者への「継続」種別のオーダは全て削除したが、「臨時」種別のオーダ内容(例えば、処方対象の薬剤が何か)によって、削除すべき「継続」種別オーダを限定するようにしてもよい。
【0080】
また、本発明の適用分野が医療分野に限られる訳ではない。例えば、薬品・石炭・ガス・水などの燃料を継続して補給しなければならない分野、あるいは、歯車、金属、ゴム製品などの消耗品や磨耗品を一定期間経過するごとに交換しなければならないような分野でも、本発明は適用可能である。
(付記1)処方オーダを指示する指示端末と、オーダされた処方対象を準備する準備端末に接続された、処方オーダを該準備端末に指示する処方指示装置であって、
処方識別情報に対応づけて、オーダすべき処方対象、該処方対象の量を示す処方量、が管理された継続テーブルと、
処方識別情報に対応づけて、処方指示された処方対象が処方実施された開始日時、および、該処方対象の実施状況、が管理された処方テーブルと、
処方オーダを準備端末へ指示する指示日時、が管理された予定テーブルと、
処方量を含む処方オーダを、指示端末から受け付ける受付手段と、
受け付けた前記処方オーダへ処方識別情報を発行した上、該処方オーダについて、前記継続テーブルに登録する登録手段と、
前記継続テーブルに登録された処方識別情報を、前記処方テーブルを参照して検索し、検索した処方識別情報に対応する開始日時および実施状況を識別して、該継続テーブルの該処方識別情報に対応する処方量に基づき処方対象の実施終了日時を算出する算出手段と、
前記予定テーブルから準備端末へ次回に指示する次回指示日時を特定し、該次回指示日時を前記算出した実施終了日時と比較し、該実施終了日時が該次回指示日時に達しない場合は、前記継続テーブルから、前記処方識別情報に関する処方対象を識別し、該処方対象の処方オーダを生成する生成手段と、
前記生成された処方オーダを前記準備端末へ送信する指示手段と
を備えることを特徴とする処方指示装置。(1)
(付記2)処方オーダを指示する指示端末と、オーダされた処方対象を準備する準備端末に接続された、処方オーダを該準備端末に指示する処方指示方法であって、
コンピュータが、
処方量を含む処方オーダを、指示端末から受け付ける受付ステップと、
受け付けた前記処方オーダへ処方識別情報を発行した上で、処方識別情報に対応づけて、オーダすべき処方対象、該処方対象の量を示す処方量、が管理された継続テーブルに、該処方オーダを登録する登録ステップと、
処方識別情報に対応づけて、処方指示された処方対象が処方実施された開始日時、および、該処方対象の実施状況、が管理された処方テーブルを参照して、前記継続テーブルに登録された処方識別情報を検索し、検索した処方識別情報に対応する開始日時および実施状況を識別して、該継続テーブルの該処方識別情報に対応する処方量に基づき処方対象の実施終了日時を算出する算出ステップと、
処方オーダを準備端末へ指示する指示日時、が管理された予定テーブルから、準備端末へ次回に指示する次回指示日時を特定し、該次回指示日時を前記算出した実施終了日時と比較し、該実施終了日時が該次回指示日時に達しない場合は、前記継続テーブルから、前記処方識別情報に関する処方対象を識別し、該処方対象の処方オーダを生成する生成ステップと、
前記生成された処方オーダを前記準備端末へ送信する指示ステップと
を備えることを特徴とする処方指示方法。(2)
(付記3)付記2記載の処方指示方法であって、
前記処方テーブルには、さらに、処方識別情報に対応づけて、前記コンピュータが指示ステップで処方オーダを前記準備端末に送信する以前に、該処方オーダが確認されたか否かを示す確認フラグ、が管理され、
前記算出ステップは、前記コンピュータが、前記処方テーブルから検索した処方識別情報に対応する確認フラグが確認されていないことを示す場合は、実施終了日時を算出しない
ことを特徴とする処方指示方法。(3)
(付記4)付記2記載の処方指示方法であって、
前記算出ステップは、前記コンピュータが、前記検索した前記処方識別情報に対応した前記実施状況が記録されていない場合は、前記実施終了日時を算出しない
ことを特徴とする処方指示方法。
(付記5)付記2記載の処方指示方法であって、
前記継続テーブルおよび前記処方テーブルには、処方識別情報に対応づけて、さらに、処方対象が投与されるべき対象である被処方対象が管理され、
さらに、前記処方テーブルには、さらに、緊急に指示された処方を示す緊急情報が、緊急に指示された処方識別情報に対応づけて管理され、
前記算出ステップは、前記コンピュータが、前記検索した処方識別情報に対応づけて前記緊急情報が記録されている場合は、前記実施終了日時を算出しない
ことを特徴とする処方指示方法。
(付記6)付記2記載の処方指示方法であって、
前記登録ステップは、前記コンピュータが、前記継続テーブルに登録すべき処方対象が管理された定義テーブルを参照し、前記受付ステップで受け付けた前記処方オーダに含まれる処方対象が該定義テーブルに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合にのみ、該継続テーブルに該処方オーダを登録する
ことを特徴とする処方指示方法。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明のシステム構成例を示す図である。
【図2】本発明の「通常」および「臨時」種別オーダに対する全体処理フロー図である。
【図3】本発明の「継続」種別オーダに対する全体処理フロー図である。
【図4】本発明の発行処理の詳細処理フロー図である。
【図5】本発明の継続発行処理の詳細処理フロー図である。
【図6】本発明の管理テーブル600を示す図である。
【図7】本発明のオーダテーブル700を示す図である。
【図8】本発明の予定テーブル800を示す図である。
【図9】本発明の対象テーブル900を示す図である。
【図10】本発明の図7のオーダテーブル700に基づく処方時系列概念図である。
【符号の説明】
【0082】
100 発行装置
110 発行手段
120 管理DB(データベース)
130 オーダDB(データベース)
140 予定DB(データベース)
150 対象DB(データベース)
200 医師端末
210、310、410 表示入力手段
300 看護師端末
400 薬剤師端末
600 管理テーブル
700 オーダテーブル
800 予定テーブル
900 対象テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方オーダを指示する指示端末と、オーダされた処方対象を準備する準備端末に接続された、処方オーダを該準備端末に指示する処方指示装置であって、
処方識別情報に対応づけて、オーダすべき処方対象、該処方対象の量を示す処方量、が管理された継続テーブルと、
処方識別情報に対応づけて、処方指示された処方対象が処方実施された開始日時、および、該処方対象の実施状況、が管理された処方テーブルと、
処方オーダを準備端末へ指示する指示日時、が管理された予定テーブルと、
処方量を含む処方オーダを、指示端末から受け付ける受付手段と、
受け付けた前記処方オーダへ処方識別情報を発行した上、該処方オーダについて、前記継続テーブルに登録する登録手段と、
前記継続テーブルに登録された処方識別情報を、前記処方テーブルを参照して検索し、検索した処方識別情報に対応する開始日時および実施状況を識別して、該継続テーブルの該処方識別情報に対応する処方量に基づき処方対象の実施終了日時を算出する算出手段と、
前記予定テーブルから準備端末へ次回に指示する次回指示日時を特定し、該次回指示日時を前記算出した実施終了日時と比較し、該実施終了日時が該次回指示日時に達しない場合は、前記継続テーブルから、前記処方識別情報に関する処方対象を識別し、該処方対象の処方オーダを生成する生成手段と、
前記生成された処方オーダを前記準備端末へ送信する指示手段と
を備えることを特徴とする処方指示装置。
【請求項2】
処方オーダを指示する指示端末と、オーダされた処方対象を準備する準備端末に接続された、処方オーダを該準備端末に指示する処方指示方法であって、
コンピュータが、
処方量を含む処方オーダを、指示端末から受け付ける受付ステップと、
受け付けた前記処方オーダへ処方識別情報を発行した上で、処方識別情報に対応づけて、オーダすべき処方対象、該処方対象の量を示す処方量、が管理された継続テーブルに、該処方オーダを登録する登録ステップと、
処方識別情報に対応づけて、処方指示された処方対象が処方実施された開始日時、および、該処方対象の実施状況、が管理された処方テーブルを参照して、前記継続テーブルに登録された処方識別情報を検索し、検索した処方識別情報に対応する開始日時および実施状況を識別して、該継続テーブルの該処方識別情報に対応する処方量に基づき処方対象の実施終了日時を算出する算出ステップと、
処方オーダを準備端末へ指示する指示日時、が管理された予定テーブルから、準備端末へ次回に指示する次回指示日時を特定し、該次回指示日時を前記算出した実施終了日時と比較し、該実施終了日時が該次回指示日時に達しない場合は、前記継続テーブルから、前記処方識別情報に関する処方対象を識別し、該処方対象の処方オーダを生成する生成ステップと、
前記生成された処方オーダを前記準備端末へ送信する指示ステップと
を備えることを特徴とする処方指示方法。
【請求項3】
請求項2記載の処方指示方法であって、
前記処方テーブルには、さらに、処方識別情報に対応づけて、前記コンピュータが指示ステップで処方オーダを前記準備端末に送信する以前に、該処方オーダが確認されたか否かを示す確認フラグ、が管理され、
前記算出ステップは、前記コンピュータが前記処方テーブルから検索した処方識別情報に対応する確認フラグが確認されていないことを示す場合は、該実施終了日時を算出しない
ことを特徴とする処方指示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−229308(P2007−229308A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56653(P2006−56653)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】