説明

処理器具

【課題】 処理対象面に対し加える下方押圧力における偏りが防がれる、床面等に対する拭き掃除等の清掃やその他の処理を行うための処理器具の提供。
【解決手段】 硬質合成樹脂製の上盤部Uの下側に、上下方向の多数の格子孔Glが隣接してなる、硬質材料からなる格子状剛性構造部Gを一体的に有する。格子状剛性構造部G下側に、上下方向の多数の格子孔Elが隣接してなるエラストマー製の格子状弾性構造部Eが位置する。格子状弾性構造部Eは、その下側のエラストマー製の対象面押圧盤部Pと一体状をなす。格子状剛性構造部Gの下側部と格子状弾性構造部Eの上側部は、それぞれの格子孔Glと格子孔Elが互いにずれることによりそれぞれの壁体Gwと壁体Ewが交差する状態で接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に対する拭き掃除等の清掃やその他の処理を行うための処理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−187910号公報には、使用者が把持する柄と継手を介して連結されるモップを保持するための保持具本体を有するモップ保持具であって、前記保持具本体が、前記柄と継手を介して連結される上部カバーと、前記上部カバーと取り付け機構を介して固定され、巻回されたモップの長手方向に沿った端部を保持する保持機構を有する保持部材と、前記保持部材の下方に配置される底板部材と、前記保持部材と前記底板部材の間に配置された緩衝材とを有することを特徴とするモップ保持具が開示されている。
【0003】
このモップ保持具を用いて床面等の清掃を行う場合、柄を介して保持具本体の上部カバーに下方押圧力を加え、その下方押圧力が底板部材に伝えられ、底板部材の下面を覆う不織布を介して床面等に下方押圧力が作用する。
【0004】
しかしながら、床面等に作用する下方押圧力には偏りが生じるため、底板部材の下面を覆う不織布による床面等の清掃効果も、不織布の一部に偏ることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−187910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、処理対象面に対し加える下方押圧力における偏りが防がれる処理器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上記目的を達成する本発明の処理器具は、
硬質材料からなる上盤部の下側に、弾力性を有する材料からなる対象面押圧盤部が結合されてなり、上盤部に加えられた処理のための下方押圧力が対象面押圧盤部を介して処理対象面に作用する処理器具であって、
上盤部と対象面押圧盤部の間に、弾性材料製の多数の上下方向支持体からなる弾性構造部を有し、
上盤部に下方押圧力が加えられることにより、前記弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、前記弾性構造部を介して下方押圧力が加わることを特徴とする。
【0008】
本発明の処理器具は、硬質材料からなる上盤部の下側に、弾力性を有する材料からなる対象面押圧盤部が結合され、上盤部と対象面押圧盤部の間に、弾性材料製の多数の上下方向支持体からなる弾性構造部を有する。
【0009】
上盤部に、処理器具による対象面の処理のために下方押圧力が加えられることにより、弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、弾性構造部を介して下方押圧力が加わる。
【0010】
弾性構造部は、弾性材料製の多数の上下方向支持体からなるものであるため、クッション性に富むと共に、上盤部から弾性構造部を介して対象面押圧盤部に作用する下方押圧力に水平方向における偏りが生じにくい。そのため、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に下方押圧力が加わることとなり、その部分における下方押圧力の偏りが防がれる。
【0011】
(1-1) 上記本発明の処理器具は、
上記弾性構造部における弾性材料製の多数の上下方向支持体が、水平方向において均等状に配置されており、
上盤部に下方押圧力が加えられることにより、前記弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、前記弾性構造部を介して下方押圧力が水平方向において均等状に加わるものとすることができる。
【0012】
この場合、上盤部から弾性構造部を介して対象面押圧盤部に作用する下方押圧力に水平方向における偏りがより生じにくくなり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に下方押圧力が加わり、その部分における下方押圧力の偏りが一層防がれる。
【0013】
(2) 上記本発明の処理器具は、
上下方向支持体が板状壁体であるものとすることができる。
【0014】
この場合、弾性構造部は、弾性材料製であり、多数の板状壁体からなるものであるため、クッション性に富むと共に、上盤部から弾性構造部を介して対象面押圧盤部に作用する下方押圧力に水平方向における偏りが生じにくい。そのため、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に下方押圧力が加わることとなり、その部分における下方押圧力の偏りが防がれる。
【0015】
(2-1) 上記処理器具は、上記弾性構造部が、弾性材料製の板状壁体が間隔おきに多数並列隣接してなるものとすることができる。
【0016】
(2-1-1) 間隔おきに多数並列隣接した上記各板状壁体は、壁体が延びる方向において連続状であるものとすることができる。
【0017】
(2-1-2) また間隔おきに多数並列隣接した上記各板状壁体は、壁体が延びる方向において間隔おきに多数直列したものとすることができる。
【0018】
(2-2) 上記処理器具は、上記弾性構造部が、多数の板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。
【0019】
(2-3) 上記処理器具は、上記弾性構造部が、多数の交差した板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。
【0020】
(2-4) 上記処理器具は、上弾性構造部が、多数の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。
【0021】
(2-5) 上記処理器具は、上記弾性構造部が、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の弾性構造部であるものとすることができる。
【0022】
弾性構造部が、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の弾性構造部である場合、上盤部から弾性構造部を介して対象面押圧盤部に作用する下方押圧力に水平方向における偏りが一層生じにくい。そのため、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に下方押圧力が加わることとなり、その部分における下方押圧力の偏りが、より効果的に防がれる。
【0023】
(2-6) 本発明の処理器具は、上下方向支持体が板状壁体である上記弾性構造部と、その下側の上記対象面押圧盤部とが、一体状をなすものとすることができる。
【0024】
(3) 本発明の処理器具は、上記上盤部と弾性構造部の間に、硬質材料製の多数の板状壁体からなる剛性構造部を有し、
前記剛性構造部の下側部と前記弾性構造部の上側部が、それぞれの板状壁体同士が交差する状態で接することにより、上盤部に加えられた下方押圧力が前記剛性構造部及び前記弾性構造部を介して対象面押圧盤部に加わるものとすることができる。
【0025】
この場合、上盤部と弾性構造部の間に、硬質材料製の多数の板状壁体からなる剛性構造部を有し、前記剛性構造部の下側部と前記弾性構造部の上側部が、それぞれの板状壁体同士が交差する状態で接する。
【0026】
上盤部に加えられた下方押圧力は、剛性構造部の多数の板状壁体を介して、それらの板状壁体とそれぞれ交差する弾性構造部の多数の板状壁体に加わる。
【0027】
そのため、剛性構造部を介して弾性構造部に加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれ、その弾性構造部を経て対象面押圧盤部に加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0028】
(3-1) 上記処理器具は、上記弾性構造部が、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の弾性構造部であり、
上記剛性構造部が、硬質材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の剛性構造部であり、
前記格子状の剛性構造部の下側部と前記格子状の弾性構造部の上側部が、それぞれの格子孔の板状壁体同士が交差する状態で接することにより、上盤部に加えられた下方押圧力が前記格子状の剛性構造部及び前記格子状の弾性構造部を介して対象面押圧盤部に加わるものとすることができる。
【0029】
この場合、上盤部に加えられた下方押圧力が、格子状の剛性構造部の多数の格子孔の板状壁体を介して、それらの板状壁体とそれぞれ交差する格子状の弾性構造部の多数の格子孔の板状壁体に加わる。
【0030】
そのため、格子状の剛性構造部を介して格子状の弾性構造部に加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれ、その格子状の弾性構造部を経て対象面押圧盤部に加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0031】
(3-2) 上記処理器具は、上記格子状剛性構造部と、その上側の上盤部とが、一体状をなすものとすることができる。
【0032】
(4) 上記本発明の処理器具は、
上下方向支持体が突起体であり、弾性構造部が、弾性材料製の多数の突起体が林立してなるものとすることができる。
【0033】
(4-1) 上記突起体は、上盤部の下側に下向きに林立したものとすることができる。
【0034】
(4-1-1) この場合、対象面押圧盤部の上側に、上記下向きに林立する突起体の下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を備えるものとすることができる。
【0035】
このような上向き嵌合部は、例えば突起体の下端部に外嵌する上向き凹部(例えば、対象面押圧盤部の上側に格子状構造を有する場合における、その格子状構造における格子孔)、又は、例えば下向きの突起体の下端部に上向き凹部若しくは穴部若しくは貫通孔部が形成されている場合は、それらに内嵌する上向き凸部とすることができる。下向き突起体と上向き嵌合部の嵌合は、隙間が生じる状態の嵌合とすることができる。
【0036】
(4-2) 上記突起体は、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立したものとすることができる。
【0037】
(4-2-1) この場合、上盤部の下側に、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立する突起体の上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を備えるものとすることができる。
【0038】
このような下向き嵌合部は、例えば突起体の上端部に外嵌する下向き凹部(例えば、上盤部の下側に格子状構造を有する場合における、その格子状構造における格子孔)、又は、例えば上向きの突起体の上端部に下向き凹部若しくは穴部若しくは貫通孔部が形成されている場合は、それらに内嵌する下向き凸部とすることができる。上向き突起体と下向き嵌合部の嵌合は、隙間が生じる状態の嵌合とすることができる。
【0039】
(4-3) 上盤部と対象面押圧盤部の間に、上盤部及び対象面押圧盤部と平行状をなす中間板を備え、
上記弾性構造部は、前記中間板の上側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立し且つ前記中間板の下側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立してなるものとすることができる。
【0040】
(4-3-1) 対象面押圧盤部の上側に、上記下向きに林立する突起体の下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を備え、および/または、上盤部の下側に、上記上向きに林立する突起体の上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を備えたものとすることができる。
【0041】
(5) 本発明の処理器具は、上記対象面押圧盤部のうち、上記弾性構造部の所定範囲の下方の部分の底面部が、対象面押圧盤部全体の底面部の60%以上を占めるものとすることができる。
【0042】
(6) 本発明の処理器具は、対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シートを保持するための保持部を備えるものとすることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の処理器具において、弾性構造部は、弾性材料製の多数の上下方向支持体からなるものであるため、クッション性に富むと共に、上盤部から弾性構造部を介して対象面押圧盤部に作用する下方押圧力に水平方向における偏りが生じにくい。そのため、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に下方押圧力が加わることとなり、その部分における下方押圧力の偏りが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】床用清掃器具の斜視図である。
【図2】保持部を省略したヘッド部の破砕斜視図である。
【図3】格子状剛性構造部及び上盤部の底面図である。
【図4】クッション体の平面図である。
【図5】クッション体の短手方向垂直断面図である。
【図6】格子状剛性構造部及びクッション体の平面図である。
【図7】クッション体の底面図である。
【図8】クッション体の側面図である。
【図9】剛性構造部及び上盤部の底面図である。
【図10】クッション体の平面図である。
【図11】ヘッド部の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(1) 図1乃至図8は何れも本発明の処理器具の実施の形態の一例としての床用清掃器具に関するものである。
【0046】
この床用清掃器具は、硬質合成樹脂製の上盤部Uの下方に、弾力性を有する材料としてのエラストマーからなる対象面押圧盤部Pを有してなる平面視長方形状のヘッド部Hと、上盤部Uの中央部に任意方向に回動し得るよう結合された柄Sからなる。
【0047】
上盤部Uの下側には、上下方向の多数の格子孔Glが隣接してなる硬質合成樹脂製の格子状剛性構造部Gを有し、格子状剛性構造部Gは、その上側の上盤部Uと一体状をなす。一体状をなす上盤部Uと格子状剛性構造部Gの四隅部には、保持部Mが嵌合保持される上方開口の保持部用開口部Qを有する
【0048】
格子状剛性構造部Gにおける多数の格子孔Glは、それぞれ硬質材料からなる板状の壁体Gwにより構成されており、格子孔Glの水平断面形状は、正方形であって、全ての格子孔Glは同一断面形状である。
【0049】
対象面押圧盤部Pの上側には、上下方向の多数の格子孔Elが隣接してなるエラストマー製の格子状弾性構造部Eを有し、対象面押圧盤部Pの全外周には、外方に張り出すエラストマー製の張出部Paを有する。格子状弾性構造部Eはその下側の対象面押圧盤部P及び外周側の張出部Paと一体状をなしてクッション体Cを構成する。
【0050】
張出部Paの下端位置は、対象面押圧盤部Pの底面部の上下方向位置よりも間隙を隔てて上方に位置し、対象面押圧盤部Pの底面部の外縁部と張出部Paの外側部との間の部分に、下方開口の内側凹部Pbと、内側凹部より下方開口部が上方に位置する外側凹部Pcが形成されている。
【0051】
格子状弾性構造部Eにおける多数の格子孔Elは、それぞれ弾性材料からなる板状の壁体Ew(上下方向支持体)により構成されている。格子孔Elの水平断面形状は、正方形であって、全ての格子孔Elは同一断面形状である。格子状弾性構造部Eは、上盤部Uと対象面押圧盤部Pの間の水平面積の実質上全部に有する。
【0052】
上盤部Uに下方押圧力が加えられることにより、格子状剛性構造部Gを介して、格子状弾性構造部Eの実質上全体に下方押圧力が加わる。格子状弾性構造部Eの全範囲の下方の部分の底面部は、対象面押圧盤部P全体の底面部の実質上全部である。
【0053】
格子状剛性構造部Gの下側部と格子状弾性構造部Eの上側部は、それぞれの格子孔Glと格子孔Elが互いにずれることによりそれぞれの壁体Gwと壁体Ewが交差する状態で接する。
【0054】
上盤部Uに対する下方押圧力は、柄Sを介して加えることができる。上盤部Uに加えられた下方押圧力は、格子状剛性構造部G及び格子状弾性構造部Eを経、対象面押圧盤部Pを介して清掃対象の床面に作用する。
【0055】
上盤部Uの上側には、対象面押圧盤部Pの下側を覆うように拭き掃除のための不織布シートNを保持するための保持部Mを備える。保持部Mは、合成ゴム等の弾性材料製の板状部に設けられた切れ目により形成された相対する舌片部Maにより保持するものである。
【0056】
対象面押圧盤部Pの下面は平面状であり、進行方向が主たる処理方向である短手方向(平面視における長方形状の短辺に平行な方向)に沿うと共にその方向に直交する方向の振幅を有する正弦波に近似した波形状をなす連続した畝状の同一波形の可撓性のフィンFを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンFの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔がほぼ0であるように有する。前記各フィンFは、それらの稜線(図5におけるフィンFの下端縁)が、対象面押圧盤部Pにおける前記処理方向の中央部に向かって下方に凸となる曲面状の仮想面に接するように形成されている。フィンFの断面形状は、稜線に向かって次第に薄肉となる薄板状である。
【0057】
(2) 拭き掃除のための不織布シートNを、対象面押圧盤部Pの下側を覆った状態で上盤部Uの上側の保持部Mにより保持しすると、不織布シートNは、張出部Paにおける内側凹部Pbの下方開口及び外側凹部Pcの下方開口を覆う状態となる。この状態で柄Sを介して上盤部Uに下方押圧力を加えつつ床用清掃器具を操作することにより、床面に対し不織布シートNによる拭掃除を行うことができる。
【0058】
上盤部Uに加えられた下方押圧力は、格子状剛性構造部Gの多数の格子孔Glの壁体Gwを介して、それらの壁体Gwとそれぞれ交差する格子状弾性構造部Eの多数の格子孔Elの壁体Ewに加わる。
【0059】
そのため、格子状剛性構造部Gを介して格子状弾性構造部Eに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0060】
更に、その格子状弾性構造部Eを介して対象面押圧盤部Pに作用する下方押圧力は、格子状弾性構造部Eが、弾性材料製であり、上下方向の多数の格子孔Elが隣接してなるものであるため、クッション性に富むと共に、水平方向における偏りが生じにくい。そのため、格子状弾性構造部Eの下側の対象面押圧盤部Pに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれるので、対象面押圧盤部Pの下側を覆った不織布シートNによる床面の拭掃除を偏りなく行うことができる。
【0061】
また、対象面押圧盤部Pの下面における前記処理方向に直交する方向の実質上何れの位置においても、前記処理方向において何れかのフィンFが存在するため、対象面押圧盤部Pの下側を不織布シートNで覆った床用清掃器具を前記処理方向に移動させた場合に、床用清掃器具が移動した床面のほぼ全体に対し、何れかのフィンFが作用し得る。そのため、並列隣接する波形状のフィンFにより床面上に押圧された不織布シートNにより、床面上の塵埃が波形状フィンFの何れかの位置において捕捉され易い。
【0062】
各フィンFは、それらの稜線が、対象面押圧盤部Pにおける前記処理方向の中間部に向かって下方に凸となる仮想面に接するように形成されている。そのため、対象面押圧盤部Pに対し下方押圧力が作用して床面に対し不織布シートNを挟んでフィンFが押圧されて屈曲することにより、広い範囲にわたるフィンFが床面に接することとなる一方、対象面押圧盤部Pに対する下方押圧力が十分に作用していない場合はフィンFが十分に屈曲しないので不織布シートNを挟んで床面に接するフィンFの範囲は狭くなり、フィンFが床面から浮いている範囲が広くなる。
【0063】
従って、対象面押圧盤部Pに作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切調整することによって、フィンFを介して床面に対し所望の清掃処理を行うことができる。例えば対象面押圧盤部Pに対し処理方向前方において下方押圧力を実質上作用させずに広い範囲のフィンFを床面上に浮いた状態として床用清掃器具を前進させることにより、前方の床面上の塵埃を不織布シートNの下側に取り込み、その後、処理方向前方において対象面押圧盤部Pに対し十分な下方押圧力を作用させつつ床用清掃器具を後退させることにより、不織布シートNの下側に取り込んだ塵埃を不織布シートNにより拭き取ることができる。
【0064】
なお、比較的細かい塵埃は、床面上でのヘッド部Hの移動に伴い対象面押圧盤部Pの底面部の上下方向位置よりも間隙を隔てて上方に位置する張出部Paの下端位置と床面との間を通過して対象面押圧盤部Pの底面部を覆う不織布シートNにより拭き取られ得る。
【0065】
一方、比較的大きな塵芥は、床面上をヘッド部Hが移動するに従って、張出部Paの下端位置と床面との間を通過するか、或いは、張出部Paが塵芥により上方に変形しつつ、不織布シートNのうち内側凹部Pbの下方開口又は外側凹部Pcの下方開口を覆う部分に捕捉され得る。このような塵芥を対象面押圧盤部Pの底面部が乗り越えて後方に取り残したり、前方へ弾いたり、取り込んだものの拭材保持具を後方に移動させると前方へ離脱してしまうことが効果的に防がれ、清掃効果が高まる。また張出部は、ヘッド部Hと家具や壁面等との緩衝効果を発揮し得る。
【0066】
(3) 図9及び図10は、何れも本発明の処理器具の実施の形態の別の例としての床用清掃器具に関するものである。
【0067】
この例と図1乃至図8記載の例との主な相違は、平面視長方形状の上盤部Uの下側に、格子状剛性構造部Gではなく、短手方向の多数の板状壁体Gawが等間隔に多数並列隣接してなる硬質合成樹脂製の剛性構造部Gaを有する点と、対象面押圧盤部Pの上側に、格子状弾性構造部Eではなく、長手方向の多数の板状壁体Eawが等間隔に多数並列隣接してなるエラストマー製の弾性構造部Eaを有する点である。その他の点は、図中の符号を含めて図1乃至図8記載の例と同様である。
【0068】
弾性構造部Eaは、上盤部Uと対象面押圧盤部Pの間の水平面積の実質上全部に有する。
【0069】
上盤部Uに下方押圧力が加えられることにより、剛性構造部Gaを介して、弾性構造部Eaの実質上全体に下方押圧力が加わる。弾性構造部Eaの全範囲の下方の部分の底面部は、対象面押圧盤部P全体の底面部の実質上全部である。
【0070】
剛性構造部Gaの下側部と弾性構造部Eaの上側部は、それぞれの板状壁体Gawと板状壁体Eawが交差(直交)する状態で接する。
【0071】
上盤部Uに加えられた下方押圧力は、剛性構造部Gaの多数並列隣接した板状壁体Gawを介して、それらの板状壁体Gawとそれぞれ交差する弾性構造部Eaの多数並列隣接した板状壁体Eawに加わる。
【0072】
そのため、剛性構造部Gaを介して弾性構造部Eaに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0073】
更に、その弾性構造部Eaを介して対象面押圧盤部Pに作用する下方押圧力は、弾性構造部Eaが、弾性材料製であり、長手方向の多数の板状壁体Eawが等間隔に多数並列隣接してなるものであるため、クッション性に富むと共に、水平方向における偏りが生じにくい。そのため、弾性構造部Eaの下側の対象面押圧盤部Pに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれるので、対象面押圧盤部Pの下側を覆うように取り付けた不織布シートNによる床面の拭掃除を偏りなく行うことができる。
【0074】
(4) 図11は、本発明の処理器具の実施の形態の別の例としての床用清掃器具に関するものである。
【0075】
この例と図1乃至図8記載の例との主な相違は、対象面押圧盤部Pの上側に、格子状弾性構造部Eではなく、円柱状の同一形状の多数の上向き突起体Taが水平方向において縦横均等状に林立してなるエラストマー製の弾性構造部Tを有し、上盤部Uの下側の格子状剛性構造部Gにおける格子孔Glに、突起体Taの上端部がそれぞれ内嵌する点である。格子孔Glに対する上向き突起体Taの嵌合は、水平方向に隙間が生じる状態の嵌合である。その他の点は、図中の符号を含めて図1乃至図8記載の例と同様である。
【0076】
弾性構造部Tは、上盤部Uと対象面押圧盤部Pの間の水平面積の実質上全部に有する。
【0077】
上盤部Uに下方押圧力が加えられることにより、剛性構造部Gを介して、弾性構造部Tの実質上全体に下方押圧力が加わる。弾性構造部Tの全範囲の下方の部分の底面部は、対象面押圧盤部P全体の底面部の実質上全部である。
【0078】
上盤部Uに加えられた下方押圧力は、剛性構造部Gの多数隣接した格子孔Glを介して、水平方向において縦横均等状に多数林立した上向き突起体Taに加わる。
【0079】
そのため、剛性構造部Gを介して弾性構造部Tに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0080】
更に、その弾性構造部Tを介して対象面押圧盤部Pに作用する下方押圧力は、弾性構造部Tが、円柱状の同一形状の多数の上向き突起体Taが水平方向において縦横均等状に林立してなるエラストマー製(弾性材料製)であるため、クッション性に富むと共に、水平方向における偏りが生じにくい。そのため、弾性構造部Tの下側の対象面押圧盤部Pに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれるので、対象面押圧盤部Pの下側を覆うように取り付けた不織布シートNによる床面の拭掃除を偏りなく行うことができる。
【0081】
(5) 本発明の処理器具は、硬質材料からなる上盤部の下側に、弾力性を有する材料からなる対象面押圧盤部が(例えば直接に又は別部材を介して間接に)結合されてなり、上盤部に下方押圧力を加えることにより、対象面押圧盤部を介して処理対象面に対し必要な下方押圧力を加えつつ、拭き掃除等の清掃やその他の処理を行うために使用し得るものである。上盤部に対し対象面押圧盤部は着脱不能に結合したもののほか、着脱可能なものとすることもできる。後者の場合、上盤部の下側に、対象面押圧盤部に代えて、例えば繊維材料製のモップ用拭材を面ファスナ等により着脱し得るものとすることができる。
【0082】
(5-1) 処理器具の平面視の形状は、長方形状であることが好ましいが、これに限るものではない。
【0083】
(5-2) 上盤部は、処理器具による対象面の処理のために加えられた下方押圧力を、下側の対象面押圧盤部との間に有する弾性構造部の所定範囲全体に伝えるものであり、硬質材料製(例えば硬質合成樹脂又はその他の硬質材料製)である。
【0084】
上盤部に対する下方押圧力は、例えば、上盤部に柄や把手を結合し、その柄や把手等を介して加えることができる。
【0085】
(5-3) 対象面押圧盤部は、弾力性を有する材料(例えば合成ゴム等のエラストマー)からなり、上盤部に加えられた下方押圧力(主に操作者の人力であるが、人力に限るものではない。)は、少なくとも対象面押圧盤部を介して処理対象面に作用する。
【0086】
処理対象面としては、床面、壁面、家具その他の物の種々の面であってよい。処理対象面の処理としては、拭き掃除等の清掃、ワックス若しくはその他の処理剤の塗布、床面等の処理対象面磨き等を例示することができる。
【0087】
(5-4) 対象面押圧盤部の下面は、例えば、水平面、下に凸の各種湾曲面、主たる処理方向の中間部(例えば中央部)に向かって下方に凸となる湾曲面又は平面同士若しくは平面と湾曲面の組み合わせ等とすることができ、これらに対し弾性材料からなる各種突条やフィン等の下向き突起体を設けたものとすることもできる。主たる処理方向が複数存在する場合は何れか一つとすることができる。なお、主たる処理方向というのは、例えば対象面押圧盤部の下面が平面視において長方形状である場合は、通常、短辺に平行な方向であるが、平面視において正方形の場合は、通常、何れかの辺に平行な方向である。
【0088】
対象面押圧盤部の下面の形態の好ましい例として、主たる処理方向に沿うと共に前記処理方向に直交する方向の振幅を有する波形状をなす畝状の弾性材料製のフィンを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状(好ましくは同一波形のものが多数並列状)に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が前記振幅の4分の1以下(好ましくは5分の1以下、より好ましくは10分の1以下。或いは、例えば1mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0以上0.2mm以下)であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複(例えば、半波長毎に、振幅の0乃至90%重複)するように有するものを挙げることができる。
【0089】
前記の、並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔というのは、並列隣接する波形状のフィンにおける向かい合う山部の頂点の前記処理方向に直交する方向における位置が離隔している場合に、一方のフィンの山部の頂点と他方のフィンの山部の頂点の前記処理方向に直交する方向における距離を意味する。
【0090】
また前記各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部における前記処理方向の中間部(例えば中央部)に向かって下方に凸となる仮想面に接するように形成されているものを挙げることができる。各フィンの稜線をこのように形成するには、例えば、対象面押圧盤部の下面を処理方向の中間部に向かって下方に凸となる仮想面に形成し、各フィンの高さは一定とする手段や、対象面押圧盤部の下面を水平面として、各フィンの高さを変化させる手段があり得る。なお、前記フィンは前記処理方向に沿って連続したものであることが好ましい。
【0091】
(5-5) 対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シート(例えば、拭き掃除のための不織布シート又はその他のシート)を保持するための保持部を備えるものである場合、保持部としては、相対する弾性舌片により保持するものや、クリップ部等の挟圧部等を適宜採用し得る。保持部の位置としては、上盤部の上側が好ましいが、これに限るものではない。
【0092】
(5-6) 弾性構造部は、弾性材料(例えば合成ゴム等のエラストマー)製の多数の上下方向支持体からなる。
【0093】
上下方向支持体は、水平方向において均等状に多数配置され、上盤部に下方押圧力が加えられることにより、弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、弾性構造部を介して下方押圧力が水平方向において均等状に加わるものとすることができる。
【0094】
(5-7) 上下方向支持体は、板状壁体であるものとすることができる。この場合、弾性構造部は、弾性材料製の多数の板状壁体からなる。
【0095】
(5-7-1) 弾性構造部は、例えば、弾性材料製の板状壁体が間隔おきに多数並列隣接してなるものとすることができる。この場合、間隔おきに多数並列隣接した各板状壁体は、例えば、壁体が延びる方向において連続状であるものとすることができるほか、壁体が延びる方向において間隔おきに多数直列したものとすることもできる。
【0096】
また弾性構造部は、例えば、多数の板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。この場合、板状壁体の高さに対し壁体が延びる方向の長さは、例えば0.5乃至5倍程度とすることができる。
【0097】
また弾性構造部は、多数の交差した板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。この場合、板状壁体の高さに対し壁体が延びる方向の長さは、例えば0.5乃至5倍程度とすることができる。
【0098】
また弾性構造部は、多数の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。平面視における閉曲線としては、例えば、正方形のほか、長方形、正六角形、正三角形、直角二等辺三角形、各種正多角形、その他の多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。この弾性構造部は、同一又は異なるサイズ又は形状の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されたものとすることができる。
【0099】
更に、弾性構造部は、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状とすることができる。格子状の弾性構造部は、上下方向の多数の格子孔が隣接してなるものであり、弾性材料からなる。
【0100】
格子状の弾性構造部における多数の格子孔は、それぞれ弾性材料からなる板状の壁体により構成されているものとすることができる。格子孔の水平断面形状としては、例えば、正方形のほか、長方形、正六角形(ハニカム構造等)、正三角形、直角二等辺三角形、各種正多角形、その他の多角形、円形、楕円形等を挙げることができ、同一断面形状の格子孔が多数隣接したもののほか、複数種の断面形状の格子孔が多数隣接したものとすることもできる。
【0101】
また更に、弾性構造部は、上記各種構造の2種以上を組み合わせて用いたものとすることができる。
【0102】
弾性構造部は、その下側の上記対象面押圧盤部と一体状をなすものであることが好ましいが、弾性構造部は、例えば上盤部及び対象面押圧盤部とは別の部材であるものとすることもできる。
【0103】
(5-7-2) 上盤部と弾性構造部の間に有するものとすることができる剛性構造部は、多数の板状壁体からなるものであって、硬質材料(例えば硬質合成樹脂)からなる。剛性の下側部と弾性構造部の上側部は、それぞれの板状壁体同士が交差する状態で接する。例えば、直交又は45度等のその他の角度で交差するものとすることができる。剛性構造部は、その上側の上盤部と一体状をなすものであることが好ましい。
【0104】
剛性構造部は、例えば、硬質材料製の板状壁体が間隔おきに多数並列隣接してなるものとすることができる。この場合、間隔おきに多数並列隣接した各板状壁体は、例えば、壁体が延びる方向において連続状であるものとすることができるほか、壁体が延びる方向において間隔おきに多数直列したものとすることもできる。
【0105】
また剛性構造部は、例えば、多数の板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。この場合、板状壁体の高さに対し壁体が延びる方向の長さは、例えば0.5乃至5倍程度とすることができる。
【0106】
また剛性構造部は、多数の交差した板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。この場合、板状壁体の高さに対し壁体が延びる方向の長さは、例えば0.5乃至5倍程度とすることができる。
【0107】
また剛性構造部は、多数の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されてなるものとすることができる。平面視における閉曲線としては、例えば、正方形のほか、長方形、正六角形、正三角形、直角二等辺三角形、各種正多角形、その他の多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。この剛性構造部は、同一又は異なるサイズ又は形状の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されたものとすることができる。
【0108】
更に、剛性構造部は、硬質材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状とすることができる。格子状の剛性構造部は、上下方向の多数の格子孔が隣接してなるものであり、硬質材料からなる。
【0109】
格子状の剛性構造部における多数の格子孔は、それぞれ硬質材料からなる板状の壁体により構成されているものとすることができる。格子孔の水平断面形状としては、例えば、正方形のほか、長方形、正六角形(ハニカム構造等)、正三角形、直角二等辺三角形、各種正多角形、その他の多角形、円形、楕円形等を挙げることができ、同一断面形状の格子孔が多数隣接したもののほか、複数種の断面形状の格子孔が多数隣接したものとすることもできる。
【0110】
また更に、剛性構造部は、上記各種構造の2種以上を組み合わせて用いたものとすることができる。
【0111】
(5-8) 上下方向支持体は、突起体であり、弾性構造部が、弾性材料(例えば合成ゴム等のエラストマー)製の多数の突起体が林立してなるものとすることができる。
【0112】
突起体の例としては、円や楕円又は四角や六角を始めとする多角形等の断面を有する柱状体又は筒状体を挙げることができる。弾性構造部を構成する多数の突起体は、同一形状の突起体でもよく、複数種の形状の突起体でもよい。
【0113】
突起体は、例えば、上盤部の下側に下向きに林立したもの、又は、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立したものとすることができる。
【0114】
突起体が、上盤部の下側に下向きに林立したものである場合、それらの下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を対象面押圧盤部の上側に有するものとすることができる。このような上向き嵌合部は、例えば対象面押圧盤部と同じ材料により一体状をなすものとすることができ、例えば突起体の下端部に外嵌する上向き凹部(例えば、対象面押圧盤部の上側に格子状構造を有する場合における、その格子状構造における格子孔)、又は、例えば下向きの突起体の下端部に上向き凹部若しくは穴部若しくは貫通孔部が形成されている場合は、それらに内嵌する上向き凸部とすることができる。下向き突起体と上向き嵌合部の嵌合は、隙間が生じる状態の嵌合とすることができる。
【0115】
突起体が、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立したものである場合、それらの上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を上盤部の下側に有するものとすることができる。このような下向き嵌合部は、例えば上盤部と同じ材料により一体状をなすものとすることができ、例えば突起体の上端部に外嵌する下向き凹部(例えば、上盤部の下側に格子状構造を有する場合における、その格子状構造における格子孔)、又は、例えば上向きの突起体の上端部に下向き凹部若しくは穴部若しくは貫通孔部が形成されている場合は、それらに内嵌する下向き凸部とすることができる。上向き突起体と下向き嵌合部の嵌合は、水平方向に隙間が生じる状態の嵌合とすることができる。
【0116】
また、上盤部と対象面押圧盤部の間に、上盤部及び対象面押圧盤部と平行状をなす中間板(例えば、非可撓性、又は可撓性)を備え、弾性構造部として、中間板の上側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立し且つ中間板の下側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立してなるものを備えるものとすることができる。突起体の材料や形状の例としては、前記と同様の例を挙げることができる。
【0117】
この場合、対象面押圧盤部の上側に、上記下向きに林立する突起体の下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を備え、および/または、上盤部の下側に、上記上向きに林立する突起体の上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を備えたものとすることができる。上向き嵌合部及び下向き嵌合部の例や突起体との嵌合は前記と同様とすることができる。
【0118】
(5-9) 弾性構造部は、上盤部と対象面押圧盤部の間の、例えば水平面積の60%以上の部分に有するものとすることができる。好ましくは70%以上の部分、より好ましくは80%以上の部分、更に好ましくは水平面積の90%以上の部分若しくは全部である。
【0119】
上盤部に下方押圧力が加えられることにより、弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わる。弾性構造部の所定範囲の下方の部分の底面部は、対象面押圧盤部全体の底面部の60%以上を占めるものとすることができる。好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは90%以上若しくは全部である。
【符号の説明】
【0120】
C クッション体
E 格子状弾性構造部
Ea 弾性構造部
Eaw 板状壁体
El 格子孔
Ew 壁体
F フィン
G 格子状剛性構造部
Ga 剛性構造部
Gaw 板状壁体
Gl 格子孔
Gw 壁体
H ヘッド部
M 保持部
Ma 弾性片
N 不織布シート
P 対象面押圧盤部
Pa 張出部
Pb 内側凹部
Pc 外側凹部
Q 保持部用開口部
S 柄
T 弾性構造部
Ta 突起体
U 上盤部
V 嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材料からなる上盤部の下側に、弾力性を有する材料からなる対象面押圧盤部が結合されてなり、上盤部に加えられた処理のための下方押圧力が対象面押圧盤部を介して処理対象面に作用する処理器具であって、
上盤部と対象面押圧盤部の間に、弾性材料製の多数の上下方向支持体からなる弾性構造部を有し、
上盤部に下方押圧力が加えられることにより、前記弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、前記弾性構造部を介して下方押圧力が加わることを特徴とする処理器具。
【請求項2】
上記弾性構造部における弾性材料製の多数の上下方向支持体が、水平方向において均等状に配置されており、
上盤部に下方押圧力が加えられることにより、前記弾性構造部の所定範囲全体に、その上側に位置する上盤部から下方押圧力が加わり、対象面押圧盤部のうち少なくとも前記弾性構造部の所定範囲の下方の部分全体に、前記弾性構造部を介して下方押圧力が水平方向において均等状に加わる請求項1記載の処理器具。
【請求項3】
上下方向支持体が板状壁体である請求項1又は2記載の処理器具。
【請求項4】
弾性構造部が、弾性材料製の板状壁体が間隔おきに多数並列隣接してなるものである請求項3記載の処理器具。
【請求項5】
間隔おきに多数並列隣接した上記各板状壁体が、壁体が延びる方向において連続状である請求項4記載の処理器具。
【請求項6】
間隔おきに多数並列隣接した上記各板状壁体が、壁体が延びる方向において間隔おきに多数直列したものである請求項4記載の処理器具。
【請求項7】
弾性構造部が、多数の板状壁体が分散配置されてなるものである請求項3記載の処理器具。
【請求項8】
弾性構造部が、多数の交差した板状壁体が分散配置されてなるものである請求項3記載の処理器具。
【請求項9】
弾性構造部が、多数の平面視閉曲線状をなす板状壁体が分散配置されてなるものである請求項3記載の処理器具。
【請求項10】
上下方向支持体が板状壁体であり、弾性構造部が、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の弾性構造部である請求項3記載の処理器具。
【請求項11】
上記弾性構造部と、その下側の上記対象面押圧盤部とが、一体状をなす請求項3乃至10の何れか1項に記載の処理器具。
【請求項12】
上記上盤部と弾性構造部の間に、硬質材料製の多数の板状壁体からなる剛性構造部を有し、
前記剛性構造部の下側部と前記弾性構造部の上側部が、それぞれの板状壁体同士が交差する状態で接することにより、上盤部に加えられた下方押圧力が前記剛性構造部及び前記弾性構造部を介して対象面押圧盤部に加わる請求項3乃至10の何れか1項に記載の処理器具。
【請求項13】
上記弾性構造部が、弾性材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の弾性構造部であり、
上記剛性構造部が、硬質材料製の多数の板状壁体が交差してなる上下方向の多数の格子孔が隣接した格子状の剛性構造部であり、
前記格子状の剛性構造部の下側部と前記格子状の弾性構造部の上側部が、それぞれの格子孔の板状壁体同士が交差する状態で接することにより、上盤部に加えられた下方押圧力が前記格子状の剛性構造部及び前記格子状の弾性構造部を介して対象面押圧盤部に加わる請求項11記載の処理器具。
【請求項14】
上記格子状剛性構造部と、その上側の上盤部とが、一体状をなす請求項11又は12記載の処理器具。
【請求項15】
上下方向支持体が突起体であり、弾性構造部が、弾性材料製の多数の突起体が林立してなるものである請求項1又は2記載の処理器具。
【請求項16】
上記突起体が、上盤部の下側に下向きに林立したものである請求項15記載の処理器具。
【請求項17】
対象面押圧盤部の上側に、上記下向きに林立する突起体の下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を備えた請求項15記載の処理器具。
【請求項18】
上記突起体が、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立したものである請求項15記載の処理器具。
【請求項19】
上盤部の下側に、対象面押圧盤部の上側に上向きに林立する突起体の上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を備えた請求項18記載の処理器具。
【請求項20】
上盤部と対象面押圧盤部の間に、上盤部及び対象面押圧盤部と平行状をなす中間板を備え、
上記弾性構造部は、前記中間板の上側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立し且つ前記中間板の下側に弾性材料製の多数の突起体が上向きに林立してなるものである請求項15記載の処理器具。
【請求項21】
対象面押圧盤部の上側に、上記下向きに林立する突起体の下端部がそれぞれ嵌合する上向き嵌合部を備え、および/または、上盤部の下側に、上記上向きに林立する突起体の上端部がそれぞれ嵌合する下向き嵌合部を備えた請求項20記載の処理器具。
【請求項22】
対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シートを保持するための保持部を備える請求項1乃至21の何れか1項に記載の処理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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