処理槽およびトイレ
【課題】 有機廃棄物の微生物分解処理を行うために設けられた処理槽を容易に着脱することが可能なトイレを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1であって、前記分解処理部が、処理槽20と、前記処理槽20内に設けられた多孔質材22とを用いて構成されており、前記処理槽20が、前記多孔質材22を収容可能な処理槽本体部21と、前記処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを有することを特徴としている。
【解決手段】 本発明は、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1であって、前記分解処理部が、処理槽20と、前記処理槽20内に設けられた多孔質材22とを用いて構成されており、前記処理槽20が、前記多孔質材22を収容可能な処理槽本体部21と、前記処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを有することを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽およびトイレに関し、詳しくは、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能なトイレ、およびこのトイレを構成する際に用いられる処理槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
介護等に用いるために、室内に設置可能に構成されたトイレは、従来から知られている。このように室内に設置可能に構成されたトイレとしては、近年では、投入された糞尿やトイレットペーパ等の有機廃棄物を微生物分解処理するために、分解処理部を備えたものが多く知られている。(特許文献1参照)
【0003】
具体的には、上述したようなトイレは、使用者が着座するための便座と、便座の開口部(用便口)から投入された有機廃棄物を微生物分解処理すべく設けられた分解処理部等とを用いて構成されている。分解処理部は、処理槽と、この処理槽内に設けられたおが屑と、おが屑および投入された有機廃棄物を攪拌する攪拌翼等とを用いて構成されている。
【0004】
以上のように構成されたトイレにおいては、攪拌翼を適宜回転駆動させることによって、おが屑と有機廃棄物との攪拌混合、および微生物の活性化とを効率的に行い、有機廃棄物を微生物分解処理している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−120460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術にかかる室内に設置可能なトイレ(以下、単に「トイレ」ともいう。)には、次のような問題があった。
【0007】
第一に、従来技術にかかるトイレ(例えば特許文献1に記載のトイレ)においては、攪拌翼の回転軸が処理槽を貫通すべく水平方向に設けられているものが多く、このような構成下にて、処理槽外部の駆動手段から処理槽外部の駆動軸を介して処理槽内部の攪拌翼が回転駆動すべく構成されている。
つまり、このような構成のトイレにおいては、処理槽の取り外しが困難となる。したがって、従来技術においては、処理槽内容物(有機廃棄物およびおが屑)の交換・廃棄、および処理槽の清掃等を容易に行うことができないという問題があった。
また、従来技術は、上述したように処理槽の取り外しが困難であるため、処理槽の取り外しを想定した構造にはなっておらず、処理槽自身にも何ら工夫が見られない。
【0008】
第二に、上記の通り、従来技術にかかるトイレは、攪拌翼の回転軸が処理槽を貫通すべく水平方向に設けられており、この攪拌翼を駆動させるための駆動手段が処理槽外部に併設される構成である。
つまり、従来技術にかかるトイレは、処理槽と駆動手段とが横並びに設けられた構成であるため、装置の小型化をはかることが困難であるという問題があった。
【0009】
第三に、上記従来技術にかかるトイレにおいては、回転軸が水平方向に設けられた攪拌翼を用いているため、常に攪拌翼の端部のいずれかの箇所が、処理槽内のおが屑上方位置(おが屑表面)に位置することとなる。場合によっては、攪拌翼の一部がおが屑外に露出する場合もある。
したがって、このような従来技術にかかるトイレにおいては、攪拌翼に付着した有機廃棄物等がおが屑表面に位置したり、おが屑外部に露出したりすることがあるため、悪臭を発生させるおそれがあるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる、種々の特徴を有する処理槽を提供することを課題とする。また、本発明は、処理槽を容易に着脱することが可能なトイレを提供することを課題とする。さらに、本発明は、装置の小型化を図ることが可能なトイレを提供することを課題とする。また、本発明は、悪臭の発生を低減可能なトイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる処理槽であって、多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを備えたことを特徴としている。すなわち、本発明にかかる処理槽は、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されている。また、この処理槽は、トイレから着脱自在に構成されていることが好ましい。さらに、この処理槽には、トイレからの着脱(装着および離脱)を簡単に行うことができるように、可動式の把手が設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、処理槽が処理槽本体部と尿受け部とを有するため(一体的に構成されているため)、トイレから処理槽を取り外すことによって、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができる。また、このような構成にかかる処理槽であれば、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材とを用いて構成されており、前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有することを特徴としている。ここで使用される処理槽は、上述したように、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されており、トイレから着脱自在に構成されていることが好ましい。また、この処理槽には、トイレからの着脱(装着および離脱)を簡単に行うことができるように、可動式の把手が設けられていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成された処理槽をトイレに対して簡単に着脱可能であるため、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができるトイレを得ることが可能となる。また、このような構成にかかるトイレによれば、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留する構成を容易に実現可能であるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。また、例えば、尿容器内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。
【0015】
また、本発明は、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材と、前記処理槽の底部に設けられた攪拌翼とを用いて構成され、前記攪拌翼が、前記処理槽の下方位置に設けられた駆動軸によって回転駆動すべく構成されており、前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有することを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、従来技術にかかるトイレのように、処理槽を水平方向に貫通して設けられた駆動軸によって回転駆動するのではなく、前記処理槽の下方位置に垂直方向に設けられた前記駆動軸によって回転駆動する。したがって、このような構成によれば、従来技術のように、攪拌翼を駆動させるための駆動手段を処理槽外部に(横並びに)併設させる必要がないため、トイレの小型化を実現することができる。
加えて、処理槽が、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されており、この処理槽は、トイレに対して簡単に着脱可能であるため、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができるトイレを得ることが可能となる。また、このような構成にかかるトイレによれば、先にも述べた通り、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留する構成を容易に実現可能である。したがって、このような構成によれば、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。また、例えば、尿容器内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。
【0017】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記攪拌翼に設けられた被駆動軸と前記駆動軸とが着脱可能に構成されており、前記被駆動軸を前記駆動軸から離脱させることによって、前記処理槽を取り外すことが可能である構成が好ましい。
【0018】
この好ましい構成によれば、前記処理槽を簡単に取り外すことが可能であるため、前期処理槽内の内容物(有機廃棄物および多孔質材(例えば、おが屑))の交換・廃棄、および前記処理槽の清掃等を容易に行うことができる
【0019】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記攪拌翼の回転駆動によって前記多孔質材を流動させ、前記処理槽内における前記多孔質材の表面中央部分を凹状にし得る構成であることが好ましい。つまり、本発明においては、前記処理槽内の前記多孔質材に「渦」を形成するように流動させる構成であることが好ましい。
【0020】
この好ましい構成によれば、前記多孔質材(例えば、おが屑)の表面に糞が投入された場合、前記多孔質材の渦状の流動によって、糞は前記多孔質材内部に適切に包含されることとなる。また、糞と共に投入されたトイレットペーパについても、同様に、前記多孔質材内部に包含されることとなる。
【0021】
ここで、前記攪拌翼は前記処理槽の底部に設けられており、前記多孔質材の外部に露出することはない。また、前記攪拌翼によって、前記多孔質材が渦状に流動するため、糞やトイレットペーパ等の有機廃棄物は、適切に前記多孔質材内に包含される。したがって、この好ましい構成によれば、前記攪拌翼に付着した有機廃棄物等が前記多孔質材表面に位置したり、前記多孔質材外部に露出したりすることがない。よって、この好ましい構成によれば、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0022】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記処理槽内に、前記多孔質材の流動状態を制御するガイド板が設けられている構成が好ましい。
【0023】
この好ましい構成によれば、前記多孔質材が渦状に流動している前記処理槽内に前記ガイド板が設けられているため、前記多孔質材の流動状態がより促進されて、前記多孔質材中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)されることとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる、種々の特徴を有する処理槽を得ることができる。また、本発明によれば、有機廃棄物の微生物分解処理を行うために設けられた処理槽を容易に着脱することが可能なトイレを得ることができる。さらに、本発明によれば、装置の小型化を図ることが可能なトイレを得ることができる。また、本発明によれば、悪臭の発生を低減可能なトイレを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態にかかるトイレの概略断面模式図を示したものである。また、図2は、図1に示されたトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図2(a)は、処理槽の概略断面模式図を示し、図2(b)は、処理槽の上面概略図を示している。本実施形態にかかるトイレ1は、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能な構成を有している。
【0027】
図1に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、本体ケーシング10、この本体ケーシング10内に設けられた処理槽20、処理槽20の上方位置に設けられた便座40、および便座40の上方位置に設けられた蓋部50等を用いて構成されている。本実施形態においては、処理槽20とこの処理槽20内に設けられたおが屑22(多孔質材)とを用いて、分解処理部が構成されている。
【0028】
本体ケーシング10内には、上述した処理槽20等の他に、尿容器12が設けられている。この尿容器12には、本体ケーシング10の尿受けガイド部13に連通した尿配管14が設けられている。また、この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能に構成されている。
【0029】
処理槽20は、処理槽本体部21と、この処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを用いて構成されている。また、この処理槽20には、ヒンジ結合にて可動式(回動自在)に構成された把手23が設けられている。本実施形態にかかるトイレ1は、必要に応じて、蓋部50および便座40を持ち上げて開放した後、把手23を上方向に持ち上げることによって、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことができる。
【0030】
本実施形態にかかる処理槽20を構成する処理槽本体部21内には、有機廃棄物を微生物分解処理するために、おが屑22(本発明の「多孔質材」に相当)が設けられている。処理槽本体部21内には、おが屑22が投入されているが、トイレ1の使用に伴い、おが屑22内には糞等が投入される。そして、この処理槽本体部21内は、適宜、攪拌・混合処理が行われるため、おが屑22と糞とは攪拌混合されて(手作業あるいは機械的処理にて)、処理槽本体部21内の収容物は、単なる「おが屑」ではなく、有機肥料等に使用可能な有機物となる。しかしながら、以下の説明においては、説明の煩雑さを避けるために、糞が投入される前後に関わらず、「おが屑」として説明を行う。
【0031】
処理槽本体部21内のおが屑22は、初期投入時の水分量が40%〜50%程度(好ましくは、40%)に調整されている。これは、風乾おが屑を使用すると初期臭が発生するからである。本実施形態によれば、処理槽本体部21内において、糞とおが屑22とが攪拌混合され、糞の水分が適切におが屑22に吸収される。加えて、このおが屑22が担体となって好気性の菌が効率的に増殖する。したがって、このような構成によれば、糞に対して効果的に微生物分解処理を施すことが可能となるので、におい、容量、および重量を低減させることができる。つまり、処理槽本体部21内のおが屑22と有機廃棄物(糞等)とを含んだ内容物は、においや重量等の少ない有機物とすることができる。この有機物は、有機肥料としての使用が可能である。なお、本実施形態によれば、糞から発生するメチルカプタン、アンモニア、インドール等の臭気ガスはおが屑22に吸着されるため、においを低減することができる。
【0032】
尿受け部30は、上述したように、処理槽本体部21の上方位置に設けられており、尿投入部32と、この尿投入部32に穿孔された尿排出孔33とを用いて構成されている。本実施形態においては、この尿投入部32に排泄された尿は、尿投入部32および尿排出孔33を介して、処理槽20外に排出される。より具体的には、尿排出孔33から排出された尿は、本体ケーシング10に設けられた尿受けガイド部13、およびこの尿受けガイド部13に連通した尿配管14を介して、尿容器12に導かれる。尿排出孔33は、処理槽20を本体ケーシング10の適切な位置に装着した状態で、尿受けガイド部13に連通すべく構成されている。この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能であるため、所定量以上の尿を収容した後は、本体ケーシング10から取り外される。そして、収容された尿の廃棄および尿容器12の洗浄等が行われる。
【0033】
便座40は、処理槽20の上方位置に設けられ、本体ケーシング10とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。また、この便座40には、糞尿を投入可能な開口部41が設けられている。そして、使用者は、この便座40に着座した状態で排泄行為等を行い、尿は、開口部41および尿投入部32等を経て尿容器12に導かれ、糞は、開口部41を経て処理槽本体部21内に導かれる。なお、この便座40は、電気ヒータあるいは温水等を用いた「暖房便座」としてもよい。さらに、この便座40の近傍には、温水洗浄装置を設けてもよい。
【0034】
蓋部50は、便座40の上方位置に設けられ、便座40とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。
【0035】
本実施形態にかかるトイレ1は、以上のように構成されており、上述した構成に基づいて、次のような作用効果を有する。
【0036】
本実施形態においては、トイレ1を構成する本体ケーシング10内に設けられた処理槽20が可動式の把手23を有し、この把手23も含めた処理槽20の全体形状が、いわゆる「バケツ」状の形態を有している。したがって、このような構成を有するトイレ1によれば、蓋部50および便座40を開放状態とすることによって、簡単に本体ケーシング10内から処理槽20を取り外すことができる。また、本実施形態にかかる処理槽20は、上述したように、おが屑22を収容し得る処理槽本体部21と、尿受け部30とが一体的に構成されている。したがって、このような構成によれば、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことが可能となるため、処理槽20内のおが屑22の交換作業や、処理槽本体部21および尿受け部30の洗浄処理等を容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、尿を尿受け部30を介して糞とは異なる箇所(尿容器12)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態にかかるトイレに関し、図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施形態にかかるトイレは、図3に示すように、トイレ1を構成する処理槽20内に、攪拌翼70等を設けたことを特徴としている。すなわち、本実施形態にかかるトイレ1は、第一実施形態にかかるトイレ1に対して、新たな構成要素(攪拌翼70等)を加えたものである。そこで、以下においては、第一実施形態と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を行う。また、本実施形態に関する説明を行う場合であっても、必要に応じて、図1および図2を参照する。特に処理槽20の形状等については、図2を参照する。
【0040】
図3は、本発明の第二実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1(以下、単に「トイレ」ともいう。)の概略断面模式図を示したものであって、この図3においては、トイレ1の便座40に使用者Hが着座した状態を示している。本実施形態にかかるトイレ1は、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能な構成を有している。また、図4は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20、攪拌翼70、および駆動手段60の拡大概略断面模式図を示したものである。
【0041】
図3に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、本体ケーシング10、この本体ケーシング10内に設けられた処理槽20、処理槽20の上方位置に設けられた便座40、便座40の上方位置に設けられた蓋部50、処理槽20内に設けられた攪拌翼70、および攪拌翼70を回転駆動させるために設けられた駆動手段60等を用いて構成されている。
【0042】
本体ケーシング10内には、上述した処理槽20および駆動手段60等の他に、尿容器12が設けられている。この尿容器12には、本体ケーシング10の尿受けガイド部13に連通した尿配管14が設けられている。また、この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能に構成されている。
【0043】
本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20は、処理槽本体部21と、この処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを用いて構成されている。また、この処理槽20には、ヒンジ結合にて可動式(回動自在)に構成された把手23が設けられている。本実施形態にかかるトイレ1は、必要に応じて、蓋部50および便座40を持ち上げて開放した後、把手23を上方向に持ち上げることによって、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことができる。
【0044】
処理槽20を構成する処理槽本体部21内には、有機廃棄物を微生物分解処理するために、おが屑22(本発明の「多孔質材」に相当)が設けられている。また、処理槽20の底面部(内側)には、おが屑22を攪拌・混合させるために、攪拌翼70が設けられている。なお、処理槽20内には、おが屑22が投入されているが、トイレ1の使用に伴い、おが屑22内には糞等が投入される。そして、このおが屑22は、糞と攪拌混合されて、単なる「おが屑」ではなく、有機肥料等に使用可能な有機物となる。しかしながら、以下の説明においては、第一実施形態の場合と同様に、説明の煩雑さを避けるために、糞が投入される前後に関わらず、「おが屑」として説明を行う。
【0045】
処理槽本体部21内のおが屑22は、初期投入時の水分量が40%〜50%程度(好ましくは、40%)に調整されている。これは、風乾おが屑を使用すると初期臭が発生するからである。本実施形態によれば、処理槽20内において、攪拌翼70が所定時間毎に回転駆動することによって、処理槽20内で糞とおが屑22とが攪拌混合され、糞の水分が適切におが屑22に吸収される。加えて、このおが屑22が担体となって好気性の菌が効率的に増殖する。したがって、このような構成によれば、糞に対して効果的に微生物分解処理を施すことが可能となるので、におい、容量、および重量を低減させることができる。つまり、処理槽本体部内21のおが屑22と有機廃棄物(糞等)とを含んだ内容物は、においや重量等の少ない有機物とすることができる。この有機物は、有機肥料としての使用が可能である。なお、本実施形態によれば、糞から発生するメチルカプタン、アンモニア、インドール等の臭気ガスはおが屑22に吸着するため、においを低減することができる。
【0046】
また、処理槽20の底面部(外側)には、処理槽20内のおが屑22の水分調整を行うために、ヒータ24が設けられている(図4等参照)。このヒータ24は、例えば、ニクロムヒータを用いて構成されており、処理槽20内の温度を40℃〜60℃の範囲内に制御する。この温度制御は、おが屑22内の微生物の発酵促進、おが屑22の水分調整(蒸発調整)、あるいはおが屑22内の殺菌処理(雑菌(有害菌)を死滅させるための処理)等のために行われる。なお、これらの図においては、省略しているが、処理槽20内あるいはその近傍には(本体ケーシング10内には)、おが屑22の温度を測定するための温度計が設けられており、その温度計の測定値に基づいて、ヒータ24がON/OFF制御(あるいは比例制御)されて、処理槽20内(のおが屑22)が適切な温度に制御される。
【0047】
尿受け部30は、上述したように、処理槽本体部21の上方位置に設けられており、尿投入部32と、この尿投入部32に穿孔された尿排出孔33とを用いて構成されている。つまり、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、処理槽本体部21と尿受け部30とが一体的に構成されている。
【0048】
本実施形態においては、この尿投入部32に排泄された尿は、尿投入部32および尿排出孔33を介して、処理槽20外に排出される。より具体的には、尿排出孔33から排出された尿は、本体ケーシング10に設けられた尿受けガイド部13、およびこの尿受けガイド部13に連通した尿配管14を介して、尿容器12に導かれる。尿排出孔33は、処理槽20を本体ケーシング10の適切な位置に装着した状態で、尿受けガイド部13に連通すべく構成されている。この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能であるため、所定量以上の尿を収容した後は、本体ケーシング10から取り外される。そして、収容された尿の廃棄および尿容器12の洗浄等が行われる。
【0049】
便座40は、処理槽20の上方位置に設けられ、本体ケーシング10とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。また、この便座40には、糞尿を投入可能な開口部41が設けられている。図3に示すように、使用者Hは、この便座40に着座した状態で排泄行為等を行い、尿Nは、開口部41および尿投入部32等を経て尿容器12に導かれ、糞Bは、開口部41を経て処理槽本体部21内に導かれる。なお、この便座40は、電気ヒータあるいは温水等を用いた「暖房便座」としてもよい。さらに、この便座40の近傍には、温水洗浄装置を設けてもよい。
【0050】
蓋部50は、便座40の上方位置に設けられ、便座40とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。例えば、この蓋部50には、開閉センサ(図示省略)が設けられており、蓋部50を開放状態とすると同時に、処理槽20内に設けられた攪拌翼70が回転駆動すべく構成されている。また、蓋部50を閉止状態とすると、処理槽20内に設けられた攪拌翼70を一定時間回転駆動させるべく(定期攪拌すべく)構成されている。
【0051】
先にも述べた通り、図4は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20、攪拌翼70、および駆動手段60の拡大概略断面模式図を示したものである。また、図5は、図4のV部領域(破線領域)の部分拡大断面図を示したものであって、図5(a)は、駆動軸63と被駆動軸91とが装着状態にある図を示し、図5(b)は、駆動軸63と被駆動軸91とが離脱状態にある図を示している。
【0052】
この図4に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、処理槽本体部21内のおが屑22を攪拌処理するために、処理槽20の底面20Aの内面側に攪拌翼70が設けられている。また、この処理槽20の底面20Aの外面側には、攪拌翼70を回転駆動させるための駆動軸63が設けられている。
【0053】
駆動手段60は、駆動軸63と、制御部61と、電動モータおよび減速機等からなる駆動部62等とを用いて構成されており、必要に応じて、各種のギヤ、チェーン、ホイール等も用いられる。つまり、この駆動手段60は、駆動軸63を適宜、必要な回転数にて回転駆動させるべく構成されておれば、どのような態様としてもよい。本実施形態においては、駆動手段60は、駆動軸63を用いて、攪拌翼70を7rpm〜15rpm程度の回転数で回転駆動させるべく構成されている。この回転速度あるいは回転数は、制御部61によって制御される。
【0054】
なお、この制御部61は、攪拌翼70の回転制御の他に、必要に応じて、ヒータ24の温度制御、処理槽本体部21内のおが屑22の水分管理等を行うべく構成されている。例えば、処理槽20の下方位置に重量計(図示省略)を設け、糞Bが投入されたことによる増加重量から残滓分の推定演算(糞B=残滓+水分+分解成分(水+二酸化炭素))を行って、適切な水分量を保持するように、ヒータ24あるいは攪拌翼70の制御(温度制御、回転制御)を行うべく、制御部61が構成されている。つまり、制御部61には、重量、温度等が入力され、この入力値に基づいて、制御部61は、ヒータ24や攪拌翼70を制御可能に構成されている。
【0055】
攪拌翼70は、図4等に示すように、処理槽20の底面20Aの内面側に設けられており、被駆動軸91とボルト部94とを用いて、被駆動軸91に固着されている。そして、駆動軸63からの回転駆動力を被駆動軸91を介して受け、底面20Aに沿うように、回転駆動する。より具体的には、処理槽20の底面20Aに設けられた被駆動軸91は、軸受け部92にて保持され、この軸受け部92と底面20Aとの間には、シール部材93が設けられている。また、この図5等においては省略しているが、軸受け部92には、被駆動軸91との接触部分に、ボールベアリング等が設けられている。
【0056】
本実施形態によれば、図5に示すように、攪拌翼70側の被駆動軸91と、駆動手段60側の駆動軸63とが、容易に着脱することができるように構成されている。本実施形態においては、たとえば、駆動軸63の凸部の断面は、六角形等の多角形形状に形成されており、被駆動軸91の凹部の断面は、駆動軸63に対応した形状(駆動軸63が六角形であれば、これに対応して六角形)に形成されている。つまり、駆動軸63と被駆動軸91とは、嵌合自在に構成されている。
【0057】
本実施形態にかかるトイレ1は、以上のように構成されており、上述した構成に基づいて、次のような作用効果を有する。以下、上述した図1〜図5に加えて、図6〜図8を用い、本実施形態にかかるトイレ1の作用効果を説明する。
【0058】
ここで、図6は、本実施形態にかかるトイレ1における処理槽20(を構成する処理槽本体部21)内のおが屑22の流動状態を説明するための概略断面模式図であって、図6(a)が初期状態を示す図、図6(b)が所定時間流動した後の状態を示す図である。また、図7は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する攪拌翼70を説明するための概略図であって、図7(a)は側面図を示し、図7(b)は図7(a)の上面図を示し、図7(c)は図7(a)の矢視線VII方向側面図を示している。さらに、図8は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する攪拌翼70の展開図を示している。なお、図7(b)における矢印Wは、処理槽20内における攪拌翼70の回転方向を示している。この図7(b)に示すように、本実施形態にかかる攪拌翼70は、トイレ1の上方から見て時計方向に回転駆動する。
【0059】
本実施形態にかかるトイレ1は、上述したように、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、分解処理部が、処理槽20と、処理槽20内に設けられたおが屑22と、処理槽20の底部(底面20Aの内面側)に設けられた攪拌翼70とを用いて構成され、攪拌翼70が、処理槽20の下方位置(底面20Aの外面側)に設けられた駆動軸63によって回転駆動すべく構成されている。
【0060】
つまり、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20内の攪拌翼70は、従来技術にかかるトイレのように、処理槽を水平方向に貫通して設けられた駆動軸によって回転駆動するのではなく、処理槽20の下方位置に垂直方向に設けられた駆動軸63によって回転駆動する。このような構成によれば、従来技術のように、攪拌翼を駆動させるための駆動手段を処理槽外部に(横並びに)併設させる必要がない。したがって、本実施形態によれば、トイレ1の小型化を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態にかかるトイレ1は、攪拌翼70に設けられた被駆動軸91と、上述した駆動軸63とが着脱可能に構成されており、被駆動軸91を駆動軸63から離脱させることによって、図5にて説明したように、処理槽20を取り外すことが可能である。
【0062】
また、本実施形態にかかるトイレ1は、攪拌翼70の回転駆動によって処理槽20内のおが屑22を流動させ、処理槽20内におけるおが屑22の表面中央部分を凹状となるように構成されている。
【0063】
つまり、本実施形態によれば、攪拌翼70を回転駆動させることによって、処理槽20内のおが屑22に「渦」を形成するように流動させ、処理槽20内におけるおが屑22の表面中央部分22Bを凹状としている(図6(b)参照)。処理槽20内におが屑22を投入した初期状態(図6(a)参照)においては、おが屑22の表面22Aはほぼ平坦な状態であるが、この状態から攪拌翼70を回転駆動させることによって、おが屑22は処理槽20の内側から外側に流動させられ、おが屑22全体が「渦」状に流動する。すなわち、図6(b)の矢印Sに示すように、攪拌翼70によって処理槽20の内側から外側に押し出されたおが屑22は、処理槽20の側面20Bに達した後に、処理槽20の側面20Bに沿って上昇し、ある程度上方に達した後に、処理槽20の中央部に向かって流動(流下)することとなる。
【0064】
このような構成によれば、おが屑22の表面(平坦表面22Aあるいは凹状表面22B)に糞Bが投入された場合、おが屑22の渦状の流動によって、糞Bはおが屑22内部に適切に包含されることとなる。また、糞Bと共に投入されたトイレットペーパについても、同様に、おが屑22内部に包含されることとなる。
【0065】
本実施形態にかかるトイレ1によれば、上述したように、攪拌翼70は、常におが屑22の内部に位置し、おが屑22外部に露出することはない。また、攪拌翼70によって、おが屑22が渦状に流動するため、糞Bやトイレットペーパ等の有機廃棄物は、適切におが屑22内に包含される。したがって、本実施形態によれば、攪拌翼70に付着した有機廃棄物等がおが屑22表面に位置したり、おが屑22外部に露出したりすることがない。よって、本実施形態によれば、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0066】
また、攪拌翼70の回転駆動によって、おが屑22内に効果的に空気(酸素)の供給を行うことができる。したがって、おが屑22内における微生物分解処理を活性化することができる。加えて、攪拌翼70の回転駆動によって、おが屑22の乾燥処理にも寄与することとなる。
【0067】
ところで、上述したような「渦」状の流動形態をおが屑22に発生させるために、本実施形態にかかる攪拌翼70は、図7に示すように構成されている。また、この図7に示した本実施形態にかかる攪拌翼70は、図8の展開部材80を用いて構成されている。
【0068】
図8に示す展開部材80は、ステンレス等の板状部材を打ち抜いて構成されたものであり、実線部分が切り込み線、破線部分が折り曲げ線(谷折線あるいは山折線)となる。
【0069】
図8の中央部89(図7における中央部79に相当)を固定した状態で、第一展開部81を第一山折線81aに沿って約90度折り曲げて、第一谷折線81bに沿って約135度折り曲げることによって、図7の第一翼部71が形成される。また、中央部89を固定した状態で、第五展開部85を第五山折部85aに沿って約45度折り曲げて、第五展開部85を固定した状態で、第四展開部84を第四谷折線84bに沿って約45度折り曲げることによって、図7の第五傾斜翼部75および第四平板翼部74が形成される。また、第四展開部84を固定した状態で、第二展開部82を第二谷折線82bに沿って約25度折り曲げて、第三展開部83を第三山折線83aに沿って約25度折り曲げることによって、図7の第二翼部72および第三翼部73が形成される。
【0070】
本実施形態によれば、以上のように構成された攪拌翼70の中央部79に穿孔された取付孔79Aに被駆動軸91を挿通させ、この被駆動軸91とボルト部94とによって、攪拌翼70が固定されている。そして、このように構成された攪拌翼70を用いることによって、上述したように、処理槽20内のおが屑22を内側から外側に押し出して、おが屑22に、「渦」状の流動形態を発生させることができる。なお、本実施形態にかかる攪拌翼70は、処理槽20の上方位置から見て図7(b)のように取り付けられており、この状態で時計回り(矢印W方向)に回転駆動して、おが屑22に、「渦」状の流動形態を発生させる。
【0071】
また、本実施形態にかかるトイレ1においても、第一実施形態と同様に、処理槽20は、おが屑22を収容し得る処理槽本体部21と、尿受け部30とが一体的に構成されている。また、この処理槽20は可動式の把手23を有し、この把手23も含めた処理槽20の全体形状が、いわゆる「バケツ」状の形態を有している。
【0072】
したがって、このような構成を有するトイレ1によれば、蓋部50および便座40を開放状態とすることによって、簡単に本体ケーシング10内から処理槽20を取り外すことができる。このように、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことが可能となれば、処理槽20内の内容物(有機廃棄物およびおが屑22)の交換・廃棄作業や、処理槽本体部21および尿受け部30の清掃・洗浄処理等を容易に行うことができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、第一実施形態と異なり、処理槽20内に攪拌翼70を有するが、図5等を用いて説明したように、この攪拌翼70の被駆動軸91と駆動手段60側の駆動軸63とは簡単に着脱することができる。したがって、上述したような処理槽20の着脱作業に対して、処理槽20内の攪拌翼70は、何ら妨げにはならない。
【0074】
さらに、本実施形態においては、第一実施形態と同様に、尿を尿受け部30を介して糞とは異なる箇所(尿容器12)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。なお、この尿容器12内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。また、この尿容器12内の尿Nは、二日程度で廃棄することが好ましい。
【0075】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態にかかるトイレに関し、図面に基づいて説明する。
【0076】
図9は、本発明の第三実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1(以下、単に「トイレ」ともいう。)の概略断面模式図を示したものである。また、図10は、図9のトイレ1を構成する処理槽の概略図を示したものであって、図10(a)は図9の矢視線X方向から見た処理槽の概略図を示し、図10(b)は図9の上面から見た処理槽の概略上面図を示している。なお、この図10においては、図面の煩雑化を避けるために、説明に必要な処理槽20の主要部以外の構成要素(トイレ1を構成する他の要素やおが屑等)の記載については省略している。
【0077】
本実施形態にかかるトイレ1は、基本的に第二実施形態にて説明したトイレ1と同様の構成を有しており、その構成要素として、おが屑22の流動状態を制御するガイド板90を処理槽20内に設けた点のみが異なる。
【0078】
そこで、以下においては、第二実施形態と同様の構成要素については同様の符号を付してその説明を割愛し、主に第三実施形態の特徴的部分について説明する。
【0079】
図9および図10に示すように、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20の側面20Bには、ガイド板90が設けられている。このガイド板90は、図10(a)に示すように、所定の傾斜角度θ(水平面に対する傾斜角度θ)を有すべく、処理槽20の側面20Bに設けられている。このガイド板90の傾斜角度θは、例えば、10°〜45°程度であることが好ましい。また、この傾斜角度θは、20°程度であることがより好ましい。
【0080】
本実施形態にかかるガイド板90は、攪拌翼70の回転方向に沿って、ガイド板90が「高」から「低」に傾斜するように、処理槽20の側面20Bに取り付けられている。つまり、ガイド板90の取り付け状態と攪拌翼70の回転方向との関係については、ガイド板90の上方端部90a(図10(a)の左上方に位置する端部90a)から、ガイド板90の下方端部90b(図10(a)の右下方に位置する端部90b)の方向に対して、攪拌翼70が回転駆動することとなる。これを換言すれば、図10(b)において、攪拌翼70は時計方向に回転駆動することとなる。
【0081】
本実施形態によれば、以上のように、処理槽20内部にガイド板90が設けられているため、おが屑22の流動状態がより促進されて、おが屑22中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)されることとなる。
【0082】
攪拌翼70の回転駆動によって混合攪拌されるおが屑22は、先に図6等を用いて説明した通り、処理槽20の内側から外側に流動させられ、おが屑22全体が「渦」状に流動する。すなわち、図6(b)の矢印Sに示すように、攪拌翼70によって処理槽20の内側から外側に押し出されたおが屑22は、処理槽20の側面20Bに達した後に、処理槽20の側面20Bに沿って上昇し、ある程度上方に達した後に、処理槽20の中央部に向かって流動(流下)することとなる。
【0083】
これに対し、本実施形態においては、この流動しているおが屑22と接触すべくガイド板90が設けられており、このガイド板90によって、処理槽20の側面20Bに沿って上昇してきたおが屑22が処理槽20の側面20Bの下方位置に押し戻される。つまり、本実施形態によれば、ガイド板90を設けることによって、単に攪拌翼70の回転駆動と重力とによって渦状に回転・上下動していたおが屑22に対して、側面20Bの下方向に対してその動きを制御する、強制的な「力」を作用させることが可能となる。これによって、上述したように、おが屑22の流動状態がより促進されて、おが屑22中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)される。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
上記実施形態においては、多孔質材としておが屑を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、わら、籾殻、椰子殻等の植物系材料や、活性炭、ゼオライト等の無機材料等を用いることも可能である。
【0086】
また、上記第三実施形態においては、ガイド板90を一つ設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、複数のガイド板を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図2】図1に示されたトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図2(a)は、処理槽の概略断面模式図を示し、図2(b)は、処理槽の上面概略図を示している。
【図3】本発明の第二実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図4】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する処理槽、攪拌翼、および駆動手段の拡大概略断面模式図を示したものである。
【図5】図4のV部領域(破線領域)の部分拡大断面図を示したものであって、図5(a)は、駆動軸と被駆動軸とが装着状態にある図を示し、図5(b)は、駆動軸と被駆動軸とが離脱状態にある図を示している。
【図6】本発明の第二実施形態にかかるトイレにおける処理槽内のおが屑の流動状態を説明するための概略断面模式図であって、図6(a)が初期状態を示す図、図6(b)が所定時間流動した後の状態を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する攪拌翼を説明するための概略図であって、図7(a)は側面図を示し、図7(b)は図7(a)の上面図を示し、図7(c)は図7(a)の矢視線VII方向側面図を示している。
【図8】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する攪拌翼の展開図を示している。
【図9】本発明の第三実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図10】図9のトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図10(a)は図9の矢視線X方向から見た処理槽の概略図を示し、図10(b)は図9の上面から見た処理槽の概略上面図を示している。
【符号の説明】
【0088】
1…トイレ
10…本体ケーシング、12…尿容器、13…尿受けガイド部、14…尿配管
20…処理槽、20A…処理槽底面、20B…処理槽側面、21…処理槽本体部、22…おが屑、23…把手、24…ヒータ
30…尿受け部、32…尿投入部、33…尿排出孔
40…便座、41…開口部
50…蓋部
60…駆動手段、61…制御部、62…駆動部、63…駆動軸
70…攪拌翼、71…第一翼部、72…第二翼部、73…第三翼部、74…第四平板翼部、75…第五傾斜翼部、79…中央部、79A…取付孔
80…展開部材、81…第一展開部、82…第二展開部、83…第三展開部、84…第四展開部、85…第五展開部、89…中央部
91…被駆動軸、92…軸受け部、93…シール部材、94…ボルト部
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽およびトイレに関し、詳しくは、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能なトイレ、およびこのトイレを構成する際に用いられる処理槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
介護等に用いるために、室内に設置可能に構成されたトイレは、従来から知られている。このように室内に設置可能に構成されたトイレとしては、近年では、投入された糞尿やトイレットペーパ等の有機廃棄物を微生物分解処理するために、分解処理部を備えたものが多く知られている。(特許文献1参照)
【0003】
具体的には、上述したようなトイレは、使用者が着座するための便座と、便座の開口部(用便口)から投入された有機廃棄物を微生物分解処理すべく設けられた分解処理部等とを用いて構成されている。分解処理部は、処理槽と、この処理槽内に設けられたおが屑と、おが屑および投入された有機廃棄物を攪拌する攪拌翼等とを用いて構成されている。
【0004】
以上のように構成されたトイレにおいては、攪拌翼を適宜回転駆動させることによって、おが屑と有機廃棄物との攪拌混合、および微生物の活性化とを効率的に行い、有機廃棄物を微生物分解処理している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−120460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術にかかる室内に設置可能なトイレ(以下、単に「トイレ」ともいう。)には、次のような問題があった。
【0007】
第一に、従来技術にかかるトイレ(例えば特許文献1に記載のトイレ)においては、攪拌翼の回転軸が処理槽を貫通すべく水平方向に設けられているものが多く、このような構成下にて、処理槽外部の駆動手段から処理槽外部の駆動軸を介して処理槽内部の攪拌翼が回転駆動すべく構成されている。
つまり、このような構成のトイレにおいては、処理槽の取り外しが困難となる。したがって、従来技術においては、処理槽内容物(有機廃棄物およびおが屑)の交換・廃棄、および処理槽の清掃等を容易に行うことができないという問題があった。
また、従来技術は、上述したように処理槽の取り外しが困難であるため、処理槽の取り外しを想定した構造にはなっておらず、処理槽自身にも何ら工夫が見られない。
【0008】
第二に、上記の通り、従来技術にかかるトイレは、攪拌翼の回転軸が処理槽を貫通すべく水平方向に設けられており、この攪拌翼を駆動させるための駆動手段が処理槽外部に併設される構成である。
つまり、従来技術にかかるトイレは、処理槽と駆動手段とが横並びに設けられた構成であるため、装置の小型化をはかることが困難であるという問題があった。
【0009】
第三に、上記従来技術にかかるトイレにおいては、回転軸が水平方向に設けられた攪拌翼を用いているため、常に攪拌翼の端部のいずれかの箇所が、処理槽内のおが屑上方位置(おが屑表面)に位置することとなる。場合によっては、攪拌翼の一部がおが屑外に露出する場合もある。
したがって、このような従来技術にかかるトイレにおいては、攪拌翼に付着した有機廃棄物等がおが屑表面に位置したり、おが屑外部に露出したりすることがあるため、悪臭を発生させるおそれがあるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる、種々の特徴を有する処理槽を提供することを課題とする。また、本発明は、処理槽を容易に着脱することが可能なトイレを提供することを課題とする。さらに、本発明は、装置の小型化を図ることが可能なトイレを提供することを課題とする。また、本発明は、悪臭の発生を低減可能なトイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる処理槽であって、多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを備えたことを特徴としている。すなわち、本発明にかかる処理槽は、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されている。また、この処理槽は、トイレから着脱自在に構成されていることが好ましい。さらに、この処理槽には、トイレからの着脱(装着および離脱)を簡単に行うことができるように、可動式の把手が設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、処理槽が処理槽本体部と尿受け部とを有するため(一体的に構成されているため)、トイレから処理槽を取り外すことによって、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができる。また、このような構成にかかる処理槽であれば、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材とを用いて構成されており、前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有することを特徴としている。ここで使用される処理槽は、上述したように、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されており、トイレから着脱自在に構成されていることが好ましい。また、この処理槽には、トイレからの着脱(装着および離脱)を簡単に行うことができるように、可動式の把手が設けられていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成された処理槽をトイレに対して簡単に着脱可能であるため、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができるトイレを得ることが可能となる。また、このような構成にかかるトイレによれば、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留する構成を容易に実現可能であるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。また、例えば、尿容器内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。
【0015】
また、本発明は、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材と、前記処理槽の底部に設けられた攪拌翼とを用いて構成され、前記攪拌翼が、前記処理槽の下方位置に設けられた駆動軸によって回転駆動すべく構成されており、前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有することを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、従来技術にかかるトイレのように、処理槽を水平方向に貫通して設けられた駆動軸によって回転駆動するのではなく、前記処理槽の下方位置に垂直方向に設けられた前記駆動軸によって回転駆動する。したがって、このような構成によれば、従来技術のように、攪拌翼を駆動させるための駆動手段を処理槽外部に(横並びに)併設させる必要がないため、トイレの小型化を実現することができる。
加えて、処理槽が、処理槽本体部と尿受け部とが一体的に構成されており、この処理槽は、トイレに対して簡単に着脱可能であるため、使用時に汚染される主な部分(処理槽本体部および尿受け部)を簡単に清掃等することができるトイレを得ることが可能となる。また、このような構成にかかるトイレによれば、先にも述べた通り、尿を尿受け部を介して糞とは異なる箇所(例えば、尿容器)に単独で貯留する構成を容易に実現可能である。したがって、このような構成によれば、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。また、例えば、尿容器内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。
【0017】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記攪拌翼に設けられた被駆動軸と前記駆動軸とが着脱可能に構成されており、前記被駆動軸を前記駆動軸から離脱させることによって、前記処理槽を取り外すことが可能である構成が好ましい。
【0018】
この好ましい構成によれば、前記処理槽を簡単に取り外すことが可能であるため、前期処理槽内の内容物(有機廃棄物および多孔質材(例えば、おが屑))の交換・廃棄、および前記処理槽の清掃等を容易に行うことができる
【0019】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記攪拌翼の回転駆動によって前記多孔質材を流動させ、前記処理槽内における前記多孔質材の表面中央部分を凹状にし得る構成であることが好ましい。つまり、本発明においては、前記処理槽内の前記多孔質材に「渦」を形成するように流動させる構成であることが好ましい。
【0020】
この好ましい構成によれば、前記多孔質材(例えば、おが屑)の表面に糞が投入された場合、前記多孔質材の渦状の流動によって、糞は前記多孔質材内部に適切に包含されることとなる。また、糞と共に投入されたトイレットペーパについても、同様に、前記多孔質材内部に包含されることとなる。
【0021】
ここで、前記攪拌翼は前記処理槽の底部に設けられており、前記多孔質材の外部に露出することはない。また、前記攪拌翼によって、前記多孔質材が渦状に流動するため、糞やトイレットペーパ等の有機廃棄物は、適切に前記多孔質材内に包含される。したがって、この好ましい構成によれば、前記攪拌翼に付着した有機廃棄物等が前記多孔質材表面に位置したり、前記多孔質材外部に露出したりすることがない。よって、この好ましい構成によれば、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0022】
また、本発明にかかるトイレにおいては、前記処理槽内に、前記多孔質材の流動状態を制御するガイド板が設けられている構成が好ましい。
【0023】
この好ましい構成によれば、前記多孔質材が渦状に流動している前記処理槽内に前記ガイド板が設けられているため、前記多孔質材の流動状態がより促進されて、前記多孔質材中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)されることとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる、種々の特徴を有する処理槽を得ることができる。また、本発明によれば、有機廃棄物の微生物分解処理を行うために設けられた処理槽を容易に着脱することが可能なトイレを得ることができる。さらに、本発明によれば、装置の小型化を図ることが可能なトイレを得ることができる。また、本発明によれば、悪臭の発生を低減可能なトイレを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態にかかるトイレの概略断面模式図を示したものである。また、図2は、図1に示されたトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図2(a)は、処理槽の概略断面模式図を示し、図2(b)は、処理槽の上面概略図を示している。本実施形態にかかるトイレ1は、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能な構成を有している。
【0027】
図1に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、本体ケーシング10、この本体ケーシング10内に設けられた処理槽20、処理槽20の上方位置に設けられた便座40、および便座40の上方位置に設けられた蓋部50等を用いて構成されている。本実施形態においては、処理槽20とこの処理槽20内に設けられたおが屑22(多孔質材)とを用いて、分解処理部が構成されている。
【0028】
本体ケーシング10内には、上述した処理槽20等の他に、尿容器12が設けられている。この尿容器12には、本体ケーシング10の尿受けガイド部13に連通した尿配管14が設けられている。また、この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能に構成されている。
【0029】
処理槽20は、処理槽本体部21と、この処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを用いて構成されている。また、この処理槽20には、ヒンジ結合にて可動式(回動自在)に構成された把手23が設けられている。本実施形態にかかるトイレ1は、必要に応じて、蓋部50および便座40を持ち上げて開放した後、把手23を上方向に持ち上げることによって、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことができる。
【0030】
本実施形態にかかる処理槽20を構成する処理槽本体部21内には、有機廃棄物を微生物分解処理するために、おが屑22(本発明の「多孔質材」に相当)が設けられている。処理槽本体部21内には、おが屑22が投入されているが、トイレ1の使用に伴い、おが屑22内には糞等が投入される。そして、この処理槽本体部21内は、適宜、攪拌・混合処理が行われるため、おが屑22と糞とは攪拌混合されて(手作業あるいは機械的処理にて)、処理槽本体部21内の収容物は、単なる「おが屑」ではなく、有機肥料等に使用可能な有機物となる。しかしながら、以下の説明においては、説明の煩雑さを避けるために、糞が投入される前後に関わらず、「おが屑」として説明を行う。
【0031】
処理槽本体部21内のおが屑22は、初期投入時の水分量が40%〜50%程度(好ましくは、40%)に調整されている。これは、風乾おが屑を使用すると初期臭が発生するからである。本実施形態によれば、処理槽本体部21内において、糞とおが屑22とが攪拌混合され、糞の水分が適切におが屑22に吸収される。加えて、このおが屑22が担体となって好気性の菌が効率的に増殖する。したがって、このような構成によれば、糞に対して効果的に微生物分解処理を施すことが可能となるので、におい、容量、および重量を低減させることができる。つまり、処理槽本体部21内のおが屑22と有機廃棄物(糞等)とを含んだ内容物は、においや重量等の少ない有機物とすることができる。この有機物は、有機肥料としての使用が可能である。なお、本実施形態によれば、糞から発生するメチルカプタン、アンモニア、インドール等の臭気ガスはおが屑22に吸着されるため、においを低減することができる。
【0032】
尿受け部30は、上述したように、処理槽本体部21の上方位置に設けられており、尿投入部32と、この尿投入部32に穿孔された尿排出孔33とを用いて構成されている。本実施形態においては、この尿投入部32に排泄された尿は、尿投入部32および尿排出孔33を介して、処理槽20外に排出される。より具体的には、尿排出孔33から排出された尿は、本体ケーシング10に設けられた尿受けガイド部13、およびこの尿受けガイド部13に連通した尿配管14を介して、尿容器12に導かれる。尿排出孔33は、処理槽20を本体ケーシング10の適切な位置に装着した状態で、尿受けガイド部13に連通すべく構成されている。この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能であるため、所定量以上の尿を収容した後は、本体ケーシング10から取り外される。そして、収容された尿の廃棄および尿容器12の洗浄等が行われる。
【0033】
便座40は、処理槽20の上方位置に設けられ、本体ケーシング10とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。また、この便座40には、糞尿を投入可能な開口部41が設けられている。そして、使用者は、この便座40に着座した状態で排泄行為等を行い、尿は、開口部41および尿投入部32等を経て尿容器12に導かれ、糞は、開口部41を経て処理槽本体部21内に導かれる。なお、この便座40は、電気ヒータあるいは温水等を用いた「暖房便座」としてもよい。さらに、この便座40の近傍には、温水洗浄装置を設けてもよい。
【0034】
蓋部50は、便座40の上方位置に設けられ、便座40とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。
【0035】
本実施形態にかかるトイレ1は、以上のように構成されており、上述した構成に基づいて、次のような作用効果を有する。
【0036】
本実施形態においては、トイレ1を構成する本体ケーシング10内に設けられた処理槽20が可動式の把手23を有し、この把手23も含めた処理槽20の全体形状が、いわゆる「バケツ」状の形態を有している。したがって、このような構成を有するトイレ1によれば、蓋部50および便座40を開放状態とすることによって、簡単に本体ケーシング10内から処理槽20を取り外すことができる。また、本実施形態にかかる処理槽20は、上述したように、おが屑22を収容し得る処理槽本体部21と、尿受け部30とが一体的に構成されている。したがって、このような構成によれば、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことが可能となるため、処理槽20内のおが屑22の交換作業や、処理槽本体部21および尿受け部30の洗浄処理等を容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、尿を尿受け部30を介して糞とは異なる箇所(尿容器12)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態にかかるトイレに関し、図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施形態にかかるトイレは、図3に示すように、トイレ1を構成する処理槽20内に、攪拌翼70等を設けたことを特徴としている。すなわち、本実施形態にかかるトイレ1は、第一実施形態にかかるトイレ1に対して、新たな構成要素(攪拌翼70等)を加えたものである。そこで、以下においては、第一実施形態と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明を行う。また、本実施形態に関する説明を行う場合であっても、必要に応じて、図1および図2を参照する。特に処理槽20の形状等については、図2を参照する。
【0040】
図3は、本発明の第二実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1(以下、単に「トイレ」ともいう。)の概略断面模式図を示したものであって、この図3においては、トイレ1の便座40に使用者Hが着座した状態を示している。本実施形態にかかるトイレ1は、介護等のために移動可能であって、室内に設置可能な構成を有している。また、図4は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20、攪拌翼70、および駆動手段60の拡大概略断面模式図を示したものである。
【0041】
図3に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、本体ケーシング10、この本体ケーシング10内に設けられた処理槽20、処理槽20の上方位置に設けられた便座40、便座40の上方位置に設けられた蓋部50、処理槽20内に設けられた攪拌翼70、および攪拌翼70を回転駆動させるために設けられた駆動手段60等を用いて構成されている。
【0042】
本体ケーシング10内には、上述した処理槽20および駆動手段60等の他に、尿容器12が設けられている。この尿容器12には、本体ケーシング10の尿受けガイド部13に連通した尿配管14が設けられている。また、この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能に構成されている。
【0043】
本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20は、処理槽本体部21と、この処理槽本体部21の上方位置に設けられた尿受け部30とを用いて構成されている。また、この処理槽20には、ヒンジ結合にて可動式(回動自在)に構成された把手23が設けられている。本実施形態にかかるトイレ1は、必要に応じて、蓋部50および便座40を持ち上げて開放した後、把手23を上方向に持ち上げることによって、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことができる。
【0044】
処理槽20を構成する処理槽本体部21内には、有機廃棄物を微生物分解処理するために、おが屑22(本発明の「多孔質材」に相当)が設けられている。また、処理槽20の底面部(内側)には、おが屑22を攪拌・混合させるために、攪拌翼70が設けられている。なお、処理槽20内には、おが屑22が投入されているが、トイレ1の使用に伴い、おが屑22内には糞等が投入される。そして、このおが屑22は、糞と攪拌混合されて、単なる「おが屑」ではなく、有機肥料等に使用可能な有機物となる。しかしながら、以下の説明においては、第一実施形態の場合と同様に、説明の煩雑さを避けるために、糞が投入される前後に関わらず、「おが屑」として説明を行う。
【0045】
処理槽本体部21内のおが屑22は、初期投入時の水分量が40%〜50%程度(好ましくは、40%)に調整されている。これは、風乾おが屑を使用すると初期臭が発生するからである。本実施形態によれば、処理槽20内において、攪拌翼70が所定時間毎に回転駆動することによって、処理槽20内で糞とおが屑22とが攪拌混合され、糞の水分が適切におが屑22に吸収される。加えて、このおが屑22が担体となって好気性の菌が効率的に増殖する。したがって、このような構成によれば、糞に対して効果的に微生物分解処理を施すことが可能となるので、におい、容量、および重量を低減させることができる。つまり、処理槽本体部内21のおが屑22と有機廃棄物(糞等)とを含んだ内容物は、においや重量等の少ない有機物とすることができる。この有機物は、有機肥料としての使用が可能である。なお、本実施形態によれば、糞から発生するメチルカプタン、アンモニア、インドール等の臭気ガスはおが屑22に吸着するため、においを低減することができる。
【0046】
また、処理槽20の底面部(外側)には、処理槽20内のおが屑22の水分調整を行うために、ヒータ24が設けられている(図4等参照)。このヒータ24は、例えば、ニクロムヒータを用いて構成されており、処理槽20内の温度を40℃〜60℃の範囲内に制御する。この温度制御は、おが屑22内の微生物の発酵促進、おが屑22の水分調整(蒸発調整)、あるいはおが屑22内の殺菌処理(雑菌(有害菌)を死滅させるための処理)等のために行われる。なお、これらの図においては、省略しているが、処理槽20内あるいはその近傍には(本体ケーシング10内には)、おが屑22の温度を測定するための温度計が設けられており、その温度計の測定値に基づいて、ヒータ24がON/OFF制御(あるいは比例制御)されて、処理槽20内(のおが屑22)が適切な温度に制御される。
【0047】
尿受け部30は、上述したように、処理槽本体部21の上方位置に設けられており、尿投入部32と、この尿投入部32に穿孔された尿排出孔33とを用いて構成されている。つまり、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、処理槽本体部21と尿受け部30とが一体的に構成されている。
【0048】
本実施形態においては、この尿投入部32に排泄された尿は、尿投入部32および尿排出孔33を介して、処理槽20外に排出される。より具体的には、尿排出孔33から排出された尿は、本体ケーシング10に設けられた尿受けガイド部13、およびこの尿受けガイド部13に連通した尿配管14を介して、尿容器12に導かれる。尿排出孔33は、処理槽20を本体ケーシング10の適切な位置に装着した状態で、尿受けガイド部13に連通すべく構成されている。この尿容器12は、適宜、本体ケーシング10から着脱可能であるため、所定量以上の尿を収容した後は、本体ケーシング10から取り外される。そして、収容された尿の廃棄および尿容器12の洗浄等が行われる。
【0049】
便座40は、処理槽20の上方位置に設けられ、本体ケーシング10とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。また、この便座40には、糞尿を投入可能な開口部41が設けられている。図3に示すように、使用者Hは、この便座40に着座した状態で排泄行為等を行い、尿Nは、開口部41および尿投入部32等を経て尿容器12に導かれ、糞Bは、開口部41を経て処理槽本体部21内に導かれる。なお、この便座40は、電気ヒータあるいは温水等を用いた「暖房便座」としてもよい。さらに、この便座40の近傍には、温水洗浄装置を設けてもよい。
【0050】
蓋部50は、便座40の上方位置に設けられ、便座40とヒンジ結合(図示省略)されているため、必要に応じて開閉可能である。例えば、この蓋部50には、開閉センサ(図示省略)が設けられており、蓋部50を開放状態とすると同時に、処理槽20内に設けられた攪拌翼70が回転駆動すべく構成されている。また、蓋部50を閉止状態とすると、処理槽20内に設けられた攪拌翼70を一定時間回転駆動させるべく(定期攪拌すべく)構成されている。
【0051】
先にも述べた通り、図4は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20、攪拌翼70、および駆動手段60の拡大概略断面模式図を示したものである。また、図5は、図4のV部領域(破線領域)の部分拡大断面図を示したものであって、図5(a)は、駆動軸63と被駆動軸91とが装着状態にある図を示し、図5(b)は、駆動軸63と被駆動軸91とが離脱状態にある図を示している。
【0052】
この図4に示すように、本実施形態にかかるトイレ1は、処理槽本体部21内のおが屑22を攪拌処理するために、処理槽20の底面20Aの内面側に攪拌翼70が設けられている。また、この処理槽20の底面20Aの外面側には、攪拌翼70を回転駆動させるための駆動軸63が設けられている。
【0053】
駆動手段60は、駆動軸63と、制御部61と、電動モータおよび減速機等からなる駆動部62等とを用いて構成されており、必要に応じて、各種のギヤ、チェーン、ホイール等も用いられる。つまり、この駆動手段60は、駆動軸63を適宜、必要な回転数にて回転駆動させるべく構成されておれば、どのような態様としてもよい。本実施形態においては、駆動手段60は、駆動軸63を用いて、攪拌翼70を7rpm〜15rpm程度の回転数で回転駆動させるべく構成されている。この回転速度あるいは回転数は、制御部61によって制御される。
【0054】
なお、この制御部61は、攪拌翼70の回転制御の他に、必要に応じて、ヒータ24の温度制御、処理槽本体部21内のおが屑22の水分管理等を行うべく構成されている。例えば、処理槽20の下方位置に重量計(図示省略)を設け、糞Bが投入されたことによる増加重量から残滓分の推定演算(糞B=残滓+水分+分解成分(水+二酸化炭素))を行って、適切な水分量を保持するように、ヒータ24あるいは攪拌翼70の制御(温度制御、回転制御)を行うべく、制御部61が構成されている。つまり、制御部61には、重量、温度等が入力され、この入力値に基づいて、制御部61は、ヒータ24や攪拌翼70を制御可能に構成されている。
【0055】
攪拌翼70は、図4等に示すように、処理槽20の底面20Aの内面側に設けられており、被駆動軸91とボルト部94とを用いて、被駆動軸91に固着されている。そして、駆動軸63からの回転駆動力を被駆動軸91を介して受け、底面20Aに沿うように、回転駆動する。より具体的には、処理槽20の底面20Aに設けられた被駆動軸91は、軸受け部92にて保持され、この軸受け部92と底面20Aとの間には、シール部材93が設けられている。また、この図5等においては省略しているが、軸受け部92には、被駆動軸91との接触部分に、ボールベアリング等が設けられている。
【0056】
本実施形態によれば、図5に示すように、攪拌翼70側の被駆動軸91と、駆動手段60側の駆動軸63とが、容易に着脱することができるように構成されている。本実施形態においては、たとえば、駆動軸63の凸部の断面は、六角形等の多角形形状に形成されており、被駆動軸91の凹部の断面は、駆動軸63に対応した形状(駆動軸63が六角形であれば、これに対応して六角形)に形成されている。つまり、駆動軸63と被駆動軸91とは、嵌合自在に構成されている。
【0057】
本実施形態にかかるトイレ1は、以上のように構成されており、上述した構成に基づいて、次のような作用効果を有する。以下、上述した図1〜図5に加えて、図6〜図8を用い、本実施形態にかかるトイレ1の作用効果を説明する。
【0058】
ここで、図6は、本実施形態にかかるトイレ1における処理槽20(を構成する処理槽本体部21)内のおが屑22の流動状態を説明するための概略断面模式図であって、図6(a)が初期状態を示す図、図6(b)が所定時間流動した後の状態を示す図である。また、図7は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する攪拌翼70を説明するための概略図であって、図7(a)は側面図を示し、図7(b)は図7(a)の上面図を示し、図7(c)は図7(a)の矢視線VII方向側面図を示している。さらに、図8は、本実施形態にかかるトイレ1を構成する攪拌翼70の展開図を示している。なお、図7(b)における矢印Wは、処理槽20内における攪拌翼70の回転方向を示している。この図7(b)に示すように、本実施形態にかかる攪拌翼70は、トイレ1の上方から見て時計方向に回転駆動する。
【0059】
本実施形態にかかるトイレ1は、上述したように、有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、分解処理部が、処理槽20と、処理槽20内に設けられたおが屑22と、処理槽20の底部(底面20Aの内面側)に設けられた攪拌翼70とを用いて構成され、攪拌翼70が、処理槽20の下方位置(底面20Aの外面側)に設けられた駆動軸63によって回転駆動すべく構成されている。
【0060】
つまり、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20内の攪拌翼70は、従来技術にかかるトイレのように、処理槽を水平方向に貫通して設けられた駆動軸によって回転駆動するのではなく、処理槽20の下方位置に垂直方向に設けられた駆動軸63によって回転駆動する。このような構成によれば、従来技術のように、攪拌翼を駆動させるための駆動手段を処理槽外部に(横並びに)併設させる必要がない。したがって、本実施形態によれば、トイレ1の小型化を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態にかかるトイレ1は、攪拌翼70に設けられた被駆動軸91と、上述した駆動軸63とが着脱可能に構成されており、被駆動軸91を駆動軸63から離脱させることによって、図5にて説明したように、処理槽20を取り外すことが可能である。
【0062】
また、本実施形態にかかるトイレ1は、攪拌翼70の回転駆動によって処理槽20内のおが屑22を流動させ、処理槽20内におけるおが屑22の表面中央部分を凹状となるように構成されている。
【0063】
つまり、本実施形態によれば、攪拌翼70を回転駆動させることによって、処理槽20内のおが屑22に「渦」を形成するように流動させ、処理槽20内におけるおが屑22の表面中央部分22Bを凹状としている(図6(b)参照)。処理槽20内におが屑22を投入した初期状態(図6(a)参照)においては、おが屑22の表面22Aはほぼ平坦な状態であるが、この状態から攪拌翼70を回転駆動させることによって、おが屑22は処理槽20の内側から外側に流動させられ、おが屑22全体が「渦」状に流動する。すなわち、図6(b)の矢印Sに示すように、攪拌翼70によって処理槽20の内側から外側に押し出されたおが屑22は、処理槽20の側面20Bに達した後に、処理槽20の側面20Bに沿って上昇し、ある程度上方に達した後に、処理槽20の中央部に向かって流動(流下)することとなる。
【0064】
このような構成によれば、おが屑22の表面(平坦表面22Aあるいは凹状表面22B)に糞Bが投入された場合、おが屑22の渦状の流動によって、糞Bはおが屑22内部に適切に包含されることとなる。また、糞Bと共に投入されたトイレットペーパについても、同様に、おが屑22内部に包含されることとなる。
【0065】
本実施形態にかかるトイレ1によれば、上述したように、攪拌翼70は、常におが屑22の内部に位置し、おが屑22外部に露出することはない。また、攪拌翼70によって、おが屑22が渦状に流動するため、糞Bやトイレットペーパ等の有機廃棄物は、適切におが屑22内に包含される。したがって、本実施形態によれば、攪拌翼70に付着した有機廃棄物等がおが屑22表面に位置したり、おが屑22外部に露出したりすることがない。よって、本実施形態によれば、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。
【0066】
また、攪拌翼70の回転駆動によって、おが屑22内に効果的に空気(酸素)の供給を行うことができる。したがって、おが屑22内における微生物分解処理を活性化することができる。加えて、攪拌翼70の回転駆動によって、おが屑22の乾燥処理にも寄与することとなる。
【0067】
ところで、上述したような「渦」状の流動形態をおが屑22に発生させるために、本実施形態にかかる攪拌翼70は、図7に示すように構成されている。また、この図7に示した本実施形態にかかる攪拌翼70は、図8の展開部材80を用いて構成されている。
【0068】
図8に示す展開部材80は、ステンレス等の板状部材を打ち抜いて構成されたものであり、実線部分が切り込み線、破線部分が折り曲げ線(谷折線あるいは山折線)となる。
【0069】
図8の中央部89(図7における中央部79に相当)を固定した状態で、第一展開部81を第一山折線81aに沿って約90度折り曲げて、第一谷折線81bに沿って約135度折り曲げることによって、図7の第一翼部71が形成される。また、中央部89を固定した状態で、第五展開部85を第五山折部85aに沿って約45度折り曲げて、第五展開部85を固定した状態で、第四展開部84を第四谷折線84bに沿って約45度折り曲げることによって、図7の第五傾斜翼部75および第四平板翼部74が形成される。また、第四展開部84を固定した状態で、第二展開部82を第二谷折線82bに沿って約25度折り曲げて、第三展開部83を第三山折線83aに沿って約25度折り曲げることによって、図7の第二翼部72および第三翼部73が形成される。
【0070】
本実施形態によれば、以上のように構成された攪拌翼70の中央部79に穿孔された取付孔79Aに被駆動軸91を挿通させ、この被駆動軸91とボルト部94とによって、攪拌翼70が固定されている。そして、このように構成された攪拌翼70を用いることによって、上述したように、処理槽20内のおが屑22を内側から外側に押し出して、おが屑22に、「渦」状の流動形態を発生させることができる。なお、本実施形態にかかる攪拌翼70は、処理槽20の上方位置から見て図7(b)のように取り付けられており、この状態で時計回り(矢印W方向)に回転駆動して、おが屑22に、「渦」状の流動形態を発生させる。
【0071】
また、本実施形態にかかるトイレ1においても、第一実施形態と同様に、処理槽20は、おが屑22を収容し得る処理槽本体部21と、尿受け部30とが一体的に構成されている。また、この処理槽20は可動式の把手23を有し、この把手23も含めた処理槽20の全体形状が、いわゆる「バケツ」状の形態を有している。
【0072】
したがって、このような構成を有するトイレ1によれば、蓋部50および便座40を開放状態とすることによって、簡単に本体ケーシング10内から処理槽20を取り外すことができる。このように、本体ケーシング10内から処理槽20を簡単に取り外すことが可能となれば、処理槽20内の内容物(有機廃棄物およびおが屑22)の交換・廃棄作業や、処理槽本体部21および尿受け部30の清掃・洗浄処理等を容易に行うことができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、第一実施形態と異なり、処理槽20内に攪拌翼70を有するが、図5等を用いて説明したように、この攪拌翼70の被駆動軸91と駆動手段60側の駆動軸63とは簡単に着脱することができる。したがって、上述したような処理槽20の着脱作業に対して、処理槽20内の攪拌翼70は、何ら妨げにはならない。
【0074】
さらに、本実施形態においては、第一実施形態と同様に、尿を尿受け部30を介して糞とは異なる箇所(尿容器12)に単独で貯留することが可能となるため、アンモニアの発生が抑制され、悪臭を発生させる可能性を低減することができる。なお、この尿容器12内に殺菌剤等を混ぜることによって、雑菌による分解を抑えることができる。また、この尿容器12内の尿Nは、二日程度で廃棄することが好ましい。
【0075】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態にかかるトイレに関し、図面に基づいて説明する。
【0076】
図9は、本発明の第三実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレ1(以下、単に「トイレ」ともいう。)の概略断面模式図を示したものである。また、図10は、図9のトイレ1を構成する処理槽の概略図を示したものであって、図10(a)は図9の矢視線X方向から見た処理槽の概略図を示し、図10(b)は図9の上面から見た処理槽の概略上面図を示している。なお、この図10においては、図面の煩雑化を避けるために、説明に必要な処理槽20の主要部以外の構成要素(トイレ1を構成する他の要素やおが屑等)の記載については省略している。
【0077】
本実施形態にかかるトイレ1は、基本的に第二実施形態にて説明したトイレ1と同様の構成を有しており、その構成要素として、おが屑22の流動状態を制御するガイド板90を処理槽20内に設けた点のみが異なる。
【0078】
そこで、以下においては、第二実施形態と同様の構成要素については同様の符号を付してその説明を割愛し、主に第三実施形態の特徴的部分について説明する。
【0079】
図9および図10に示すように、本実施形態にかかるトイレ1を構成する処理槽20の側面20Bには、ガイド板90が設けられている。このガイド板90は、図10(a)に示すように、所定の傾斜角度θ(水平面に対する傾斜角度θ)を有すべく、処理槽20の側面20Bに設けられている。このガイド板90の傾斜角度θは、例えば、10°〜45°程度であることが好ましい。また、この傾斜角度θは、20°程度であることがより好ましい。
【0080】
本実施形態にかかるガイド板90は、攪拌翼70の回転方向に沿って、ガイド板90が「高」から「低」に傾斜するように、処理槽20の側面20Bに取り付けられている。つまり、ガイド板90の取り付け状態と攪拌翼70の回転方向との関係については、ガイド板90の上方端部90a(図10(a)の左上方に位置する端部90a)から、ガイド板90の下方端部90b(図10(a)の右下方に位置する端部90b)の方向に対して、攪拌翼70が回転駆動することとなる。これを換言すれば、図10(b)において、攪拌翼70は時計方向に回転駆動することとなる。
【0081】
本実施形態によれば、以上のように、処理槽20内部にガイド板90が設けられているため、おが屑22の流動状態がより促進されて、おが屑22中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)されることとなる。
【0082】
攪拌翼70の回転駆動によって混合攪拌されるおが屑22は、先に図6等を用いて説明した通り、処理槽20の内側から外側に流動させられ、おが屑22全体が「渦」状に流動する。すなわち、図6(b)の矢印Sに示すように、攪拌翼70によって処理槽20の内側から外側に押し出されたおが屑22は、処理槽20の側面20Bに達した後に、処理槽20の側面20Bに沿って上昇し、ある程度上方に達した後に、処理槽20の中央部に向かって流動(流下)することとなる。
【0083】
これに対し、本実施形態においては、この流動しているおが屑22と接触すべくガイド板90が設けられており、このガイド板90によって、処理槽20の側面20Bに沿って上昇してきたおが屑22が処理槽20の側面20Bの下方位置に押し戻される。つまり、本実施形態によれば、ガイド板90を設けることによって、単に攪拌翼70の回転駆動と重力とによって渦状に回転・上下動していたおが屑22に対して、側面20Bの下方向に対してその動きを制御する、強制的な「力」を作用させることが可能となる。これによって、上述したように、おが屑22の流動状態がより促進されて、おが屑22中の有機廃棄物が効果的に分解処理(微生物分解処理)される。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
上記実施形態においては、多孔質材としておが屑を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、わら、籾殻、椰子殻等の植物系材料や、活性炭、ゼオライト等の無機材料等を用いることも可能である。
【0086】
また、上記第三実施形態においては、ガイド板90を一つ設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、複数のガイド板を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図2】図1に示されたトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図2(a)は、処理槽の概略断面模式図を示し、図2(b)は、処理槽の上面概略図を示している。
【図3】本発明の第二実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図4】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する処理槽、攪拌翼、および駆動手段の拡大概略断面模式図を示したものである。
【図5】図4のV部領域(破線領域)の部分拡大断面図を示したものであって、図5(a)は、駆動軸と被駆動軸とが装着状態にある図を示し、図5(b)は、駆動軸と被駆動軸とが離脱状態にある図を示している。
【図6】本発明の第二実施形態にかかるトイレにおける処理槽内のおが屑の流動状態を説明するための概略断面模式図であって、図6(a)が初期状態を示す図、図6(b)が所定時間流動した後の状態を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する攪拌翼を説明するための概略図であって、図7(a)は側面図を示し、図7(b)は図7(a)の上面図を示し、図7(c)は図7(a)の矢視線VII方向側面図を示している。
【図8】本発明の第二実施形態にかかるトイレを構成する攪拌翼の展開図を示している。
【図9】本発明の第三実施形態にかかる有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレの概略断面模式図を示したものである。
【図10】図9のトイレを構成する処理槽の概略図を示したものであって、図10(a)は図9の矢視線X方向から見た処理槽の概略図を示し、図10(b)は図9の上面から見た処理槽の概略上面図を示している。
【符号の説明】
【0088】
1…トイレ
10…本体ケーシング、12…尿容器、13…尿受けガイド部、14…尿配管
20…処理槽、20A…処理槽底面、20B…処理槽側面、21…処理槽本体部、22…おが屑、23…把手、24…ヒータ
30…尿受け部、32…尿投入部、33…尿排出孔
40…便座、41…開口部
50…蓋部
60…駆動手段、61…制御部、62…駆動部、63…駆動軸
70…攪拌翼、71…第一翼部、72…第二翼部、73…第三翼部、74…第四平板翼部、75…第五傾斜翼部、79…中央部、79A…取付孔
80…展開部材、81…第一展開部、82…第二展開部、83…第三展開部、84…第四展開部、85…第五展開部、89…中央部
91…被駆動軸、92…軸受け部、93…シール部材、94…ボルト部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる処理槽であって、
多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを備えた
ことを特徴とする処理槽。
【請求項2】
有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、
前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材とを用いて構成されており、
前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有する
ことを特徴とするトイレ。
【請求項3】
有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、
前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材と、前記処理槽の底部に設けられた攪拌翼とを用いて構成され、
前記攪拌翼が、前記処理槽の下方位置に設けられた駆動軸によって回転駆動すべく構成されており、
前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有する
ことを特徴とするトイレ。
【請求項4】
前記攪拌翼に設けられた被駆動軸と前記駆動軸とが着脱可能に構成されており、前記被駆動軸を前記駆動軸から離脱させることによって、前記処理槽を取り外すことが可能である
請求項3に記載のトイレ。
【請求項5】
前記攪拌翼の回転駆動によって前記多孔質材を流動させ、前記処理槽内における前記多孔質材の表面中央部分を凹状にし得る
請求項3または4に記載のトイレ。
【請求項6】
前記処理槽内に、前記多孔質材の流動状態を制御するガイド板が設けられている
請求項3から5のいずれか1項に記載のトイレ。
【請求項1】
有機廃棄物を微生物分解処理するトイレを構成する際に用いられる処理槽であって、
多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを備えた
ことを特徴とする処理槽。
【請求項2】
有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、
前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材とを用いて構成されており、
前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有する
ことを特徴とするトイレ。
【請求項3】
有機廃棄物を微生物分解処理する分解処理部を備えたトイレであって、
前記分解処理部が、処理槽と、前記処理槽内に設けられた多孔質材と、前記処理槽の底部に設けられた攪拌翼とを用いて構成され、
前記攪拌翼が、前記処理槽の下方位置に設けられた駆動軸によって回転駆動すべく構成されており、
前記処理槽が、前記多孔質材を収容可能な処理槽本体部と、前記処理槽本体部の上方位置に設けられた尿受け部とを有する
ことを特徴とするトイレ。
【請求項4】
前記攪拌翼に設けられた被駆動軸と前記駆動軸とが着脱可能に構成されており、前記被駆動軸を前記駆動軸から離脱させることによって、前記処理槽を取り外すことが可能である
請求項3に記載のトイレ。
【請求項5】
前記攪拌翼の回転駆動によって前記多孔質材を流動させ、前記処理槽内における前記多孔質材の表面中央部分を凹状にし得る
請求項3または4に記載のトイレ。
【請求項6】
前記処理槽内に、前記多孔質材の流動状態を制御するガイド板が設けられている
請求項3から5のいずれか1項に記載のトイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−37898(P2007−37898A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227839(P2005−227839)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(505054070)オーループ有限会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(505054070)オーループ有限会社 (2)
【Fターム(参考)】
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