説明

凹凸調整液及び画像形成装置

【課題】凹凸調整液が供給される硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇によって発生する硬化性溶液層12Bの記録媒体Pに対する転写後の剥離が抑制する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッド14によってインク滴14Aが吐出されることで形成される硬化性溶液層12Bの表面の凹凸の凹部に対して、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液15Aを供給するインク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液15Aが供給される硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇を抑制される。これにより、硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇によって発生する硬化性溶液層12Bの記録媒体Pに対する転写後の剥離が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸調整液及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法について開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、中間体上に、紫外線照射により効果する物質を含むインクを吐出して画像層を形成し、この画像層に紫外線を照射して部分的に硬化させた後に、記録媒体と中間体上の画像層とを接触させて転写する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−212956号公報
【特許文献2】特開2007−152945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凹凸調整液が供給される硬化性溶液の層における粘度の上昇を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、刺激に反応して硬化すると共に吸液材料を含む硬化性溶液の層の表面に対して、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第1溶媒を有するインクが吐出されることで、前記硬化性溶液の層の表面に形成される凹凸の凹部に供給される凹凸調整液であって、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有すると共に、前記刺激に反応して硬化し、前記インク中の前記第1溶媒の重量割合と前記凹凸調整液中の前記第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液である。
【0007】
請求項2の発明は、刺激に反応して硬化すると共に吸液材料を含む硬化性溶液を被形成体の表面に供給して硬化性溶液の層を形成する形成部と、前記形成部によって形成された硬化性溶液の層の表面に対して、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第1溶媒を有するインクを吐出して、画像を形成する画像形成部と、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有すると共に前記刺激に反応して硬化する凹凸調整液であって、かつ、前記インク中の前記第1溶媒の重量割合と前記凹凸調整液中の前記第2溶媒の重量割合との比が0.826以下とされる前記凹凸調整液を、前記硬化性溶液の層の表面に前記インクが吐出されることで形成される凹凸の凹部に対して供給する供給部と、前記供給部によって凹凸調整液が供給された前記硬化性溶液の層を記録媒体への接触状態で刺激を付与して硬化させ、前記記録媒体に前記硬化性溶液の層を転写する転写部と、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の構成によれば、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液が供給される硬化性溶液の層における粘度の上昇を抑制できる。
【0009】
本発明の請求項2の構成によれば、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液が供給される硬化性溶液の層における粘度の上昇によって発生する硬化性溶液の層の当該記録媒体に対する転写後の剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る画像形成装置の凹凸調整液データ作成部で実行される凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図4】転写ベルトの表面に形成された硬化性溶液層の表面の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図5】転写ベルトの表面の硬化性溶液層の画像領域と非画像領域が記録媒体に転写される工程を示す模式図である。
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る画像形成装置の凹凸調整液データ作成部で実行される凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図9】転写ベルトの表面に形成された硬化性溶液層の表面の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図10】第3実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図11】第3実施形態に係る画像形成装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図12】第3実施形態に係る画像形成装置の凹凸調整液データ作成部で実行される凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図13】転写ベルトの表面に形成された硬化性溶液層の表面の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図14】転写ベルトの表面に形成された硬化性溶液層の表面の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図15】転写ベルトの表面に形成された硬化性溶液層の表面の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図16】第4実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図17】第5実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図18】実施例及び比較例の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0012】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る画像形成装置101の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る画像形成装置101の構成を示す概略図である。
【0013】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図1に示すように、後述する硬化性溶液の層(以下、硬化性溶液層という)12Bが形成される被形成体の一例としての転写ベルト10と、転写ベルト10に形成された硬化性溶液層12Bが転写される記録媒体Pを搬送する搬送手段(図示省略)と、を備えている。
【0014】
搬送手段としては、記録媒体Pを静電力等により外周面に付着させて搬送する搬送ベルト・搬送ドラムや、記録媒体Pを挟んで搬送する搬送ロール対で構成される。なお、記録媒体Pは、図1において矢印A方向に搬送される。
【0015】
硬化性溶液層12Bが転写される記録媒体Pとしては、例えば、用紙(具体的には普通紙、インクジェットコート紙、アート紙、合成紙等)などが用いられる。なお、記録媒体Pとしては、用紙に限られず、例えば、樹脂等で形成されたフィルム(具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート)などであってもよく、硬化性溶液層12Bが転写可能なものであればよい。
【0016】
転写ベルト10は、環状に形成され、シーム(継ぎ目)の無い無端ベルトで構成されている。なお、転写ベルト10としては、シーム有りのベルトであってもよい。
【0017】
転写ベルト10の内周側には、転写ベルト10が巻き掛けられる被巻掛部材の一例としての複数の巻掛ロール16B、10C、10A、10Bが設けられている。巻掛ロール16Bは、後述の硬化装置18に対して、記録媒体Pの搬送方向における上流側(図1において左側)に配置され、巻掛ロール10Cは、巻掛ロール16B及び硬化装置18に対して、記録媒体Pの搬送方向における下流側(図1において右側)に配置されている。
【0018】
巻掛ロール10Aは、巻掛ロール10Cに対して、記録媒体Pの搬送方向における下流側(図1において右側)であって、後述の平板22の配置側とは反対側(図1において上側)に配置されている。巻掛ロール10Bは、巻掛ロール16Bに対して、記録媒体Pの搬送方向における上流側(図1において左側)であって、後述の平板22の配置側とは反対側(図1において上側)に配置されている。
【0019】
また、転写ベルト10は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
【0020】
転写ベルト10の材料としては、一般に転写ベルトとして用いられている公知の材料、例えば、各種の樹脂(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等)、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、ステンレス等の金属材料等が挙げられる。転写ベルト10は、単層構成でもよいし、同種の材料又は異種の材料による積層構成でもよい。
【0021】
なお、転写ベルト10は、硬化性溶液層12Bを剥離しやすくするための剥離層(離型層)を表面(外周面)に有していてもよい。剥離層に用いられる材料としては、例えば、フッ素系樹脂材料・シリコーンゴム等が挙げられる。
【0022】
本実施形態においては、後述の硬化装置18が転写ベルト10の内周側に設けられているため、刺激は転写ベルト10を介して硬化性溶液層12Bに供給される。すなわち、転写ベルト10は、刺激を硬化性溶液層12Bへ伝える機能を有する。例えば、下記のように、刺激として紫外線や電子線を用いる場合には、転写ベルト10は紫外線や電子線を透過する機能を有し、刺激として熱を用いる場合には、転写ベルト10は熱を伝達させる機能を有する。また、転写ベルト10は、耐刺激性の高いものが望ましい。
【0023】
例えば、硬化装置18が紫外線照射装置である場合、転写ベルト10は、紫外線透過性が高く、紫外線に対する耐久性が高いものが望ましい。具体的には、例えば、転写ベルト10の紫外線透過率が70%以上であることが望ましい。転写ベルト10の紫外線透過率が上記範囲であることにより、硬化性溶液層12Bの硬化反応に必要な紫外線エネルギーが効率よく硬化性溶液層12Bに供給されると共に、転写ベルト10が紫外線を吸収すること等による熱の発生が抑制される。
【0024】
このような転写ベルト10を形成する材料としては、具体的には、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、TPX(ポリ―4−メチルペンテン―1)、ポリオレフィン系フィルム等が挙げられる。これらは、単層で用いられてもよく、また複数材料の積層構造により用いられてもよい。
【0025】
また、本実施形態においては、硬化性溶液層12Bに接する表面における転写ベルト10の表面自由エネルギー(γ)が低いことが望ましい。特に、表面自由エネルギー(γ)は、硬化性溶液層12Bに接する表面における記録媒体Pの表面自由エネルギー(γ)よりも低いことが望ましく、下記式が成り立つ条件であることがより望ましい。
式:γ−γ>10
【0026】
表面自由エネルギーの値は、例えば、以下の方法により求められる。
具体的には、接触角計CAM−200(KSV社製)を用い、Zisman法を用いた装置内臓のプログラム計算にて算出した。
【0027】
なお、被形成体としては、転写ベルト10に限られず、例えば、転写ドラム等の転写体であってもよく、硬化性溶液層12Bが形成可能である共に硬化性溶液層12Bが剥離可能なものであればよい。
【0028】
転写ベルト10の外周側(図1において側方)には、転写ベルト10の表面に離型剤24Aを供給して、離型剤層24Bを転写ベルト10の表面に形成する離型剤層形成装置24が設けられている。具体的には、離型剤層形成装置24は、転写ベルト10において巻掛ロール10Aが巻き掛けられている部分に対して対向しており、転写ベルト10における上記部分に対し、離型剤24Aを供給して離型剤層24Bを形成するようになっている。
【0029】
また、離型剤層形成装置24は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った長さが、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。
【0030】
離型剤層形成装置24は、例えば、離型剤24Aを収容する筐体24Cと、筐体24C内に設けられ離型剤24Aを転写ベルト10へ供給する供給ローラ24Dと、供給ローラ24Dから転写ベルト10へ供給された離型剤24Aにより形成された離型剤層24Bの層厚を規定するブレード24Eと、を含んで構成されている。離型剤層形成装置24は、必要に応じて、離型剤24Aを加熱溶融させる加熱手段(図示せず)を含んでいてもよい。
【0031】
離型剤層形成装置24は、供給ローラ24Dが転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また離型剤層形成装置24としては、上記構成に限られず、公知の塗布法(例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置を適用してもよい。
【0032】
離型剤24Aとしては、具体的には、シリコーン系オイル、フッ素系オイル、炭化水素系・ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、フェニルエーテル、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でもシリコーン系オイル、フッ素系オイル、ポリアルキレングリコールが望ましい。
【0033】
なお、本実施形態では、転写ベルト10の表面に離型剤層24Bを形成する構成について説明したが、転写ベルト10として、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)のような表面離型性の良好な材料を用いた場合には、離型剤層24Bを形成する必要はない。
【0034】
離型剤層形成装置24に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、刺激に反応して硬化すると共に吸液材料を含む硬化性溶液を転写ベルト10の表面に供給して硬化性溶液層12Bを形成する形成部の一例としての硬化性溶液層形成装置12が設けられている。
【0035】
具体的には、硬化性溶液層形成装置12は、転写ベルト10において巻掛ロール10Aと巻掛ロール10Bとの間の部分に対向しており、転写ベルト10における上記部分に対し、硬化性溶液12Aを供給して硬化性溶液層12Bを形成するようになっている。
【0036】
また、硬化性溶液層形成装置12は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った長さが、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。
【0037】
なお、硬化性溶液層形成装置12は、転写ベルト10の外周側(図1において上側)において巻掛ロール10Aの上方に配置され、転写ベルト10における巻掛ロール10Aに巻き掛けられている部分に対して硬化性溶液層12Bを形成する構成であってもよい。
【0038】
硬化性溶液層形成装置12は、例えば、硬化性溶液12Aを収容する筐体12Cと、筐体12C内に設けられ硬化性溶液12Aを転写ベルト10へ供給する供給ローラ12Dと、供給ローラ12Dから転写ベルト10へ供給された硬化性溶液12Aにより形成された硬化性溶液層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0039】
硬化性溶液層形成装置12は、その供給ローラ12Dが転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また、硬化性溶液層形成装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。なお、硬化性溶液12Aの詳細については後述する。
【0040】
硬化性溶液層形成装置12としては、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、ダイコータ、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置を適用してもよい。
【0041】
硬化性溶液層形成装置12に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、硬化性溶液層形成装置12によって形成された硬化性溶液層12Bの表面にインク(インク滴)14Aを吐出して、画像を形成する画像形成部の一例としてのインクジェット記録ヘッド14が、転写ベルト10の外周側(図1において上側)に設けられている。具体的には、インクジェット記録ヘッド14は、転写ベルト10において巻掛ロール10Aと巻掛ロール10Bとの間の平坦部分(非屈曲部分)に対向しており、転写ベルト10における上記部分に対してインクを吐出して画像を形成するようになっている。
【0042】
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、転写ベルト10の回転方向上流側から順に、黒色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14Kと、シアン色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14Cと、マゼンタ色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14Mと、イエロー色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14Yと、を備えて構成されている。
【0043】
具体的には、インクジェット記録ヘッド14は、インクジェット方式によってインク滴を複数のノズルから吐出する記録ヘッドであり、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動され、相対移動する硬化性溶液層12Bの表面にインク滴を吐出するように構成されている。
【0044】
また、インクジェット記録ヘッド14は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出幅が、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。すなわち、インクジェット記録ヘッド14は、転写ベルト10に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域(被画像形成領域)の幅方向(主走査方向)の1ラインを形成可能に構成されている。
【0045】
インクジェット記録ヘッド14では、制御手段の一例としてのメインコントローラ30によって、使用するノズル及び吐出タイミングが画像情報に基づき決定され、インク滴を吐出することにより、画像情報に応じた画像を形成するようになっている。インクジェット記録ヘッド14における具体的な制御及びインクジェット記録ヘッド14が吐出するインクについては、後述する。
【0046】
なお、インクジェット記録ヘッド14としては、上記の構成に限られず、転写ベルト10の幅方向に移動しながらインクを吐出して、被吐出領域(被画像形成領域)の幅方向(主走査方向)の1ラインを形成可能なスキャン型のインクジェット記録ヘッドであってもよく、硬化性溶液層12Bに対して画像が形成可能なものであればよい。
【0047】
インクジェット記録ヘッド14に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、吸液粒子17に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有すると共に刺激に反応して硬化する凹凸調整液15Aであって、かつ、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の記第2溶媒の重量割合との比が0.826以下とされる凹凸調整液(転写定着改善液)15Aを、硬化性溶液層12Bの表面にインク14Aが吐出されることで形成される凹凸の凹部に対して供給する供給部の一例としての凹凸調整液吐出部15が設けられている。
【0048】
具体的には、凹凸調整液吐出部15は、転写ベルト10において巻掛ロール10Aと巻掛ロール10Bとの間の平坦部分(非屈曲部分)に対向しており、転写ベルト10における上記部分に対してインクを吐出して画像を形成するようになっている。
【0049】
具体的には、凹凸調整液吐出部15は、インクジェット方式によって凹凸調整液15Aの液滴を複数のノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドで構成されている。このインクジェット記録ヘッドは、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動され、相対移動する硬化性溶液層12Bの表面に凹凸調整液15Aの液滴を吐出するように構成されている。
【0050】
また、凹凸調整液吐出部15は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出幅が、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。すなわち、凹凸調整液吐出部15は、転写ベルト10に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域(被画像形成領域)の幅方向(主走査方向)の1ラインを形成可能に構成されている。
【0051】
凹凸調整液吐出部15では、制御手段の一例としてのメインコントローラ30によって、使用するノズル及び吐出タイミングが画像情報に基づき決定され、凹凸調整液15Aの液滴を吐出することにより、硬化性溶液層12Bの表面にインク14Aが吐出されることで形成される凹凸の凹部に対して凹凸調整液15Aの液滴が供給されるようになっている。凹凸調整液吐出部15における具体的な制御及び凹凸調整液吐出部15が吐出する凹凸調整液については、後述する。
【0052】
なお、凹凸調整液吐出部15としては、上記の構成に限られず、転写ベルト10の幅方向に移動しながら凹凸調整液15Aの液滴を吐出するスキャン型のインクジェット記録ヘッドであってもよく、硬化性溶液層12Bに対して凹凸調整液を供給可能なものであればよい。
【0053】
インクジェット記録ヘッド14に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、インク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出された硬化性溶液層12Bを記録媒体Pへ加圧する加圧部材16と、記録媒体Pを平らに保つための平板(プラテン)44と、が設けられている。
【0054】
平板22は、具体的には、転写ベルト10の下部(巻掛ロール16Bから離れて巻掛ロール10Cに接触する部分)に対して対向して配置されている。
【0055】
加圧部材16は、具体的には、転写ベルト10が巻き掛けられた巻掛ロール16Bと、転写ベルト10を挟んで巻掛ロール16Bと対向して配置された加圧ロール16Aと、を備えて構成されている。加圧部材16では、加圧ロール16Aが巻掛ロール16B側へ圧力を加えた状態で、記録媒体Pが転写ベルト10と加圧ロール16Aとで挟まれて搬送される。さらに、記録媒体Pは、転写ベルト10の下部(巻掛ロール16Bから離れて巻掛ロール10Cに接触する部分)と、平板22とで挟まれて搬送される。
【0056】
これにより、転写ベルト10及び記録媒体Pが加圧ロール16A及び巻掛ロール16Bにより挟み込まれた位置(以下、「接触開始位置」と称する場合がある)から、巻掛ロール10C及び平板22により挟み込まれた位置(以下、「剥離位置」と称する場合がある)までの転写領域において、転写ベルト10の表面の硬化性溶液層12Bが記録媒体Pに接触した状態となる。
【0057】
加圧部材16に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、インクジェット記録ヘッド14によって画像が形成された硬化性溶液層12Bを記録媒体Pに転写する転写部の一例としての硬化装置18が、転写ベルト10の内周側に設けられている。この硬化装置18では、転写領域において、記録媒体Pに接触した状態の硬化性溶液層12Bに刺激を付与することにより硬化性溶液層12Bを硬化させて、その硬化性溶液層12Bを転写ベルト10から記録媒体Pへ転写するように構成されている。
【0058】
なお、硬化装置18の配置位置は、転写ベルト10の内周側に限られず、転写ベルト10の外周側に配置されていてもよい。この場合では、転写ベルト10は、刺激を硬化性溶液層12Bへ伝える機能を有する必要はない。記録媒体Pが刺激を硬化性溶液層12Bへ伝える機能を有する必要がある。
【0059】
硬化装置18の種類は、適用する硬化性溶液に含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料を適用する場合、硬化装置18としては硬化性溶液12A(硬化性溶液層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
【0060】
また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、硬化装置18として硬化性溶液12A(硬化性溶液層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
【0061】
また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、硬化装置18として硬化性溶液12A(硬化性溶液層12B)に熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0062】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0063】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置である。
【0064】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプ、電磁誘導方式の加熱装置などが適用される。
【0065】
硬化装置18に対する転写ベルト10の回転方向下流側には、転写ベルト10の表面に残留している硬化性溶液12Aや離型剤24Aを除去する除去装置20が、転写ベルト10の外周側に設けられている。具体的には、除去装置20は、転写ベルト10の側部(巻掛ロール10Cから離れて巻掛ロール10Aに接触するまでの部分)に対向している。
【0066】
除去装置20は、転写ベルト10に接触して、転写ベルト10に残留した硬化性溶液12Aを掻き取る除去部材20Aを備えている。除去部材20Aは、例えば、ゴム材料で形成された板状のブレードで構成されている。また、除去装置20は、除去部材20Aが掻き取った硬化性溶液12Aや離型剤24Aを収容する収容部20Bを備えている。収容部20Bは、転写ベルト10への対向側が開放された箱体で構成され、除去部材20Aが掻き取って落下した硬化性溶液12Aや離型剤24Aを受ける受け部となっている。
【0067】
(第1実施形態に係る画像形成動作)
次に、第1実施形態に係る画像形成動作を説明する。
【0068】
本実施形態に係る画像形成装置101では、転写ベルト10が回転駆動され、まず、離型剤層形成装置24により転写ベルト10の表面に離型剤層24Bが形成され、この離型剤層24Bの表面に、硬化性溶液層形成装置12により硬化性溶液12Aが供給されて、硬化性溶液層12Bが形成される。
【0069】
次に、インクジェット記録ヘッド14により、後述するメインコントローラ30の制御によって該硬化性溶液層12Bの表面へ、形成対象の画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインク滴14Aが吐出される。これによって、この硬化性溶液層12Bには、吐出されたインク滴により記録されたドットにより画像領域が形成される。
【0070】
なお、本実施形態では、この硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットの形成された領域を、「画像領域」と称して説明する。
【0071】
そして、さらに、硬化性溶液層12Bの表面には、凹凸調整液吐出部15によって凹凸調整液が吐出されて、該硬化性溶液層12Bの少なくとも非画像領域に凹凸調整液が吐出される(詳細後述)。本実施形態では、この「非画像領域」とは、硬化性溶液層12Bの表面の上記画像領域以外の領域である。この非画像領域は、詳細には、画像形成装置101において画像を記録する対象の記録媒体Pに対応する、硬化性溶液層12Bの表面の領域内において、該領域内における上記画像領域以外の領域を示している。
【0072】
なお、このインクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出、及び凹凸調整液吐出部15による凹凸調整液15Aの吐出は、張力の掛けられた状態で回転支持された転写ベルト10における非屈曲領域の表面で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で硬化性溶液層12Bにインク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出される。
【0073】
なお、本実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面にインクジェット記録ヘッド14によってインク滴14Aが吐出された後に、凹凸調整液吐出部15によって凹凸調整液15Aの吐出が行われる場合を説明するが、凹凸調整液吐出部15によって硬化性溶液層12Bへの凹凸調整液15Aの吐出が行われた後に、インクジェット記録ヘッド14によって硬化性溶液層12Bへのインク滴14Aの吐出が行われる構成であってもよい。この場合には、インクジェット記録ヘッド14より転写ベルト10の搬送方向上流側で且つ硬化性溶液層形成装置12より搬送方向加硫側に凹凸調整液吐出部15を設けた構成とすればよい。
【0074】
しかし、インク滴14Aの吐出された後に凹凸調整液15Aを吐出する構成である方が、硬化性溶液層12Bの表面での着弾インクの広がりに影響を与えにくいと言う理由から望ましい。
【0075】
次に、加圧ロール16A及び巻掛ロール16Bにより記録媒体Pと転写ベルト10とを挟み込んで圧力をかける。このとき、転写ベルト10の表面の硬化性溶液層12Bが記録媒体Pに接触する(接触開始位置)。その後、巻掛ロール10C及び平板22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、硬化性溶液層12Bが転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。
【0076】
次に、硬化装置18によって、転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の(接触中の)硬化性溶液層12Bに、転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、硬化性溶液層12Bが硬化し、転写ベルト10の表面の硬化性溶液層12Bが記録媒体Pに転写される。
【0077】
刺激付与量としては、硬化性溶液層12Bが、完全に硬化する量であることが望ましい。具体的には、例えば刺激が紫外線である場合、転写効率及び発熱抑制の観点から、積算光量で10mJ/cm以上1000mJ/cm以下範囲が望ましい。
【0078】
また、硬化性溶液層12Bが、転写ベルト10から剥離可能な程度に硬化する量の刺激付与量を与える場合には、転写/剥離後に硬化性溶液層12Bが完全に硬化する為の、刺激量を付与すれば良い。
【0079】
なお、本実施形態では、硬化装置18によって、転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の硬化性溶液層12Bに転写ベルト10を介して刺激を付与することで、硬化性溶液層12Bを硬化させる場合を説明するが、さらに、記録媒体Pに転写された後の硬化性溶液層12Bを完全に硬化させるための硬化装置(図示省略)を更に備えた構成としてもよい。
【0080】
次に、剥離位置において硬化性溶液層12Bが転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像領域Tの形成された硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0081】
そして、硬化性溶液層12Bが記録媒体Pへ転写された後の転写ベルト10表面に残った硬化性溶液12Aや離型剤24Aの残留物や異物を除去装置20により除去する。以上のように、本実施形態に係る画像形成装置101における一連の画像形成動作が行われる。
【0082】
図2には、メインコントローラ30の概略ブロック図を示した。図2に示すように、メインコントローラ30は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部38、及び画像記録部40を含んで構成されている。
【0083】
なお、メインコントローラ30は、画像形成装置101に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、画像形成装置101で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。
【0084】
なお、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。
【0085】
この各画素のデータには、各画素の記録媒体Pの表面の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0086】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部38、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、図1を参照して説明した画像形成装置101のうち画像形成(画像記録)に関する構成要素を含むものである。
【0087】
ここで、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド14には、Y、M、C、Kの4色のインク滴各々を吐出するインクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14Kの各々が設けられている。
【0088】
このため、色変換部34は、例えば記録媒体Pやインクの特性に応じた色補正や濃度補正を行うと共に、入力された形成対象の画像の画像データがRGBデータの場合は、画像形成装置101に設けられたインクジェット記録ヘッド14から吐出されるインク滴の色の種類に応じて、該RGBデータをCMYKデータに変換する処理を画素毎に行う。
【0089】
なお、色補正処理は、一般にLUT(Look Up Table)と呼ばれる補正テーブルを用いて行う。
【0090】
画像処理部36は、画素毎に、所謂ハーフトーン処理を実行する。すなわち256階調等の比較的高階調のデータから、画像記録部40で記録可能な階調数の画像データに変換する。この処理は、各画素のYMCKの色毎に行われる。
【0091】
なお、画像形成装置101のインクジェット記録ヘッド14で記録可能な階調数は一般的には2〜8階調であるが、本実施形態では一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴14Aの種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0092】
また、詳細は後述するが、本実施形態では、凹凸調整液については、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、5階調の場合について説明する。このため、凹凸調整液吐出部15からは、凹凸調整液の吐出無しと、凹凸調整液の吐出量が各色インクジェット記録ヘッド14の内の1色のインクジェット記録ヘッド14の1つのノズルから1回に吐出されるインク量と同量(すなわち通常量)の場合と、該通常量の2倍の場合(2色分)と、該通常量の3倍の場合(3色分)と、及び該通常量の4倍の場合(4色分)と、の5種類と、である場合について説明する。
【0093】
なお、本実施形態では、各色のインクジェット記録ヘッド14の各々のノズルから吐出されるインク滴14Aの種類が上記2階調であり、凹凸調整液吐出部15から吐出される凹凸調整液15Aの量は、上記5階調である場合を説明するが、これらの階調に限られないことはいうまでもない。
【0094】
記録データ作成部38は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0095】
また、本実施形態に係る記録データ作成部38では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域以外の非画像領域に凹凸調整液を吐出するための凹凸調整液データを作成する。この凹凸調整液データは、記録データ作成部38に設けられた凹凸調整液データ作成部39で作成される(詳細は後述)。
【0096】
画像記録部40は、記録データ作成部38で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部38に設けられた凹凸調整液データ作成部39で作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aを吐出させる。
【0097】
これにより、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されて、該硬化性溶液層12Bの表面に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域が形成されると共に、該硬化性溶液層12Bの表面の画像領域以外の非画像領域に凹凸調整液15Aが吐出される。
【0098】
次に、本実施形態の作用として、凹凸調整液データ作成部39で実行される凹凸調整液データの作成について、図3を用いて説明する。
【0099】
まず、ステップ100では、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域T中のインク最大吐出量Mを算出する。
【0100】
ステップ100の処理は、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域を構成する各ドットの内の、最も多量にインク滴14Aを吐出されることによって形成されるドットを検索し、該検索したドットを記録するための吐出されるYMCKのインク滴14Aの総量を算出する処理である。
【0101】
本実施形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされるとして説明している。
【0102】
例えば、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域を構成するドットの中で最もインク滴を多量に吐出されるドットが、YMCKの各色のインク滴14Aの内の3色のインクが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク最大吐出量Mとして算出される。本実施形態では、同一ドットに打ち込まれるインク滴14Aの最大量は、300%の吐出量であるとして説明する。
【0103】
なお、このステップ100におけるインク最大吐出量Mの算出処理は、凹凸調整液データ作成部39に設けられた算出部39Aによって行われる。
【0104】
次のステップ102では、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mを示す情報をメモリ39Bに記憶する。
【0105】
次のステップ104では、メモリ39Bに記憶されていた凹凸調整液データを初期化する。この凹凸調整液データは、転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bの表面の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について凹凸調整液の量が定義されたデータである。
【0106】
本実施形態では、凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
【0107】
このステップ104では、硬化性溶液層12Bの表面の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、画像形成装置101において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0108】
ステップ106では、色変換部34に入力され、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択する。
【0109】
ステップ106の選択は、例えば、メモリ39Bに、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、凹凸調整液の吐出量を示すデータが対応づけて記憶させていない画素の内の1つを選択することで可能である。
【0110】
次のステップ108では、上記ステップ106で選択した画素が、硬化性溶液層12Bに形成されたときに画像領域Tを形成するドットに対応する画素であるか否かを判別する。ステップ108の判断は、例えば、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データの内の、上記ステップ106で選択した画素に対応するドットを記録する、YMCK各色インク滴14Aの吐出量の内の少なくとも1つが通常量吐出を示す“1”であるか否かを判別し、少なくとも1つが通常量吐出を示す‘1’である場合には、画像領域Tに対応する画素であると判別すればよい。また、上記ステップ106で選択した画素に対応するドットを記録するYMCK各色インク滴14Aの吐出量が全て吐出無を示す“0”である場合には、非画像領域であると判別すればよい。
【0111】
上記ステップ108で肯定されて、上記ステップ106またはステップ116の内の直前に選択した画素が、硬化性溶液層12Bに形成されたときに画像領域Tを形成するドットに対応する画素である場合にはステップ110へ進む。
【0112】
ステップ110では、該選択した画素に対応する領域に吐出する凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、吐出無を示す‘0’を設定する。
【0113】
次のステップ112では、上記ステップ110で設定した凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ39Bへ記憶する。
【0114】
ステップ108、ステップ110、及びステップ112の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面の画像領域の各画素に対応するドットには凹凸調整液15Aの吐出を行わない事を示す凹凸調整液データが作成されたこととなる。
【0115】
次のステップ114では、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の全ての画素について、凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ106へ戻る。
【0116】
一方、上記ステップ108で否定されて、選択した画素が非画像領域である場合には、ステップ118へ進む。
【0117】
ステップ118では、該選択した画素に対応する領域に吐出する凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに基づいて、該インク最大吐出量Mに対応する吐出量Xをメモリ39Bから読み取り、読み取った該。値“X”を、凹凸調整液15Aの吐出量Tとして設定する。
【0118】
次のステップ120では、上記ステップ118で設定した凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ39Bへ記憶した後に、上記ステップ114へ進む。
【0119】
このステップ118で設定する凹凸調整液15Aの吐出量である“X”は、インク滴14Aの吐出によって硬化性溶液層12Bに形成される画像領域Tと、該画像領域T以外の非画像領域Bとの凹凸が抑制される量であればよい。このため、凹凸調整液15Aの吐出量である“X”は、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに応じて定めればよい。
【0120】
具体的には、上記吐出量“X”は、ステップ100で算出したインク最大吐出量M以下の値であって、該インク最大吐出量Mに対応する吐出量Xを予めメモリ39Bに記憶しておいて、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに対応する吐出量Xの値を読み取ることによって設定すればよい。
【0121】
例えば、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量(100%の吐出量)を示す情報に対応づけて、凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として通常量(100%)を示す‘1’を予め対応づけてメモリ39Bに記憶する。
【0122】
また、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量の2倍(200%の吐出量)を示す情報に対応づけて、凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として、通常量の2倍を示す‘2’、または通常量(100%)を示す‘1’を予め対応づけてメモリ39B記憶する。
【0123】
また、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量の3倍(300%の吐出量)を示す情報に対応づけて、凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として、通常量の2倍を示す‘2’を予め対応づけてメモリ39B記憶する。
【0124】
上述のように、インク最大吐出量Mに対応する‘X’の値をメモリ39Bに記憶しておけば、例えば、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mが通常量‘1’である場合には、該インク最大吐出量Mに対応する通常量を示す‘1’または吐出無しを示す‘0’がメモリ39Bから読み取られて、インク最大吐出量Mに応じた、凹凸調整液15Aの吐出量である“X”が適宜定められる。
【0125】
ステップ108、ステップ118、及びステップ120の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域の各画素に対応する領域に、上記値Xの吐出量の凹凸調整液15A吐出を示す凹凸調整液データが作成されたこととなる。
【0126】
凹凸調整液データ作成部39において上記ステップ100〜ステップ120の処理が実行されることで凹凸調整液データが作成される。
【0127】
そして、上述のように、画像記録部40において、記録データ作成部38で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、硬化性溶液層12Bの表面には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
【0128】
そして、該硬化性溶液層12Bの表面の画像領域T以外の非画像領域には、記録データ作成部38に設けられた凹凸調整液データ作成部39で作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aが、上記ステップ118で設定された吐出量X吐出される。
【0129】
このため、図4に示すように転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bの表面の、インク滴14Aの吐出によって形成された画像領域T以外の非画像領域Bには、各画素に対応する領域に吐出量Xの凹凸調整液15Aが吐出された状態となる。
【0130】
そして、インク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出された硬化性溶液層12Bは、転写領域において、硬化装置18によって硬化されて記録媒体Pに転写される。
【0131】
ここで、硬化性溶液層12Bの表面にインクジェット記録ヘッド14によってインク滴14Aが吐出されると、硬化性溶液層12B中の吸液材料がインクを吸液することによって、硬化性溶液層12Bの体積が増加する。このため、図5に示すように、硬化性溶液層12Bの表面に凹凸が形成される。すなわち、画像領域Tが凸部となり、非画像領域Bが凹部となる。
【0132】
本実施形態では、この凹部に対して、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液15Aが供給される。
【0133】
インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液15Aが供給される硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇を抑制される。これにより、硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇によって発生する硬化性溶液層12Bの記録媒体Pに対する転写後の剥離が抑制される。
【0134】
なお、本実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド14から画像データに基づいて選択的にインク滴14Aが付与されてフルカラーの画像が記録媒体Pに記録されるようになっているが、記録媒体Pの表面への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴付与(噴射)装置全般、また版を用いた転写による画像を形成する方法、スクリーン印刷による画像形成方法などにも本発明に係る装置を適用される。
【0135】
―硬化性溶液―
以下、硬化性溶液12Aの詳細について説明する。
【0136】
硬化性溶液12Aは、外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料を少なくとも含んでいる。ここで、硬化性溶液12Aに含有される「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料」とは、外部からの刺激によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0137】
硬化性材料としては、例えば、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、熱硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がしやすく、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすい。電子線硬化性材料は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性材料は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性材料は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性材料を適用してもよい。なお、ここで言う硬化性材料は、硬化後は不可逆である。
【0138】
紫外線硬化性材料を硬化することにより得られる「紫外線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、及び紫外線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また、硬化性溶液12Aは、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに硬化性溶液12Aは、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等を含んでいてもよい。
【0139】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性材料が挙げられる。
【0140】
電子線硬化性材料を硬化することにより得られる「電子線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、及び電子線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
【0141】
ここで、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、電子線硬化性のプレポリマーとしては、紫外線硬化性の材料と同じものが挙げられる。
【0142】
熱硬化性材料を硬化することにより得られる「熱硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、熱硬化性のモノマー、熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、及び熱硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また重合の際に硬化剤を添加してもよい。また、硬化性溶液12Aは、熱硬化反応を進行させるための熱重合開始剤を含んでもよい。
【0143】
ここで、熱硬化性のモノマーとしては、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、シアヌリル酸アミド、尿素、グリセリン等のポリアルコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、アジピン酸等の酸などが挙げられる。熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、熱硬化性のプレポリマーとしては、これらのモノマーを重合させたものや、エポキシプレポリマー、ポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
【0144】
以上のように、硬化性材料は、紫外線、電子線、熱等の外部エネルギーにより硬化(例えば、重合反応が進行することによる硬化)するものであれば何でもよい。
【0145】
また、硬化性溶液には、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、及びプレポリマー、重合開始剤等)を溶解又は分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。
【0146】
また、硬化性溶液は、硬化後の層の着色制御を行う目的で各種色材を含んでいてもよい。
【0147】
また、硬化性溶液の粘度は、5mPa・s以上10000mPa・s以下、望ましくは10mPa・s以上1000mPa・s以下、より望ましくは15mPa・s以上500mPa・s以下の範囲が挙げられる。また、硬化性溶液の粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
【0148】
上記硬化性溶液12Aは、インク中の着色剤を固定化する材料を含むことが望ましい。
【0149】
また、これらの材料としては、インクに対して吸液性を有する材料(吸液性材料)が望ましい。吸液性材料とは、吸液性材料とインクを重量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸液性材料を取り出した時、吸液性材料の重量がインク混合前に対して5%以上増加するものである。
【0150】
このように、硬化性溶液12Aがインク吸液性材料を含有することによって、速やかにインク液体成分(例えば、水、水性溶媒)が、樹脂層に取り込まれ画像が固定化するため、インク間の境界部での混色や、画像均一性、さらには転写時の圧力によるインクの不均一な転写が軽減される。
【0151】
吸液性材料は、例えば樹脂(以下、吸液樹脂と称する場合がある)や、表面親インク性を持たせた無機粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなど)等があげられ、用いるインクに応じて適宜選択される。
【0152】
具体的には、インクとして水性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸水材料を用いることが望ましい。また、インクとして油性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸油材料を用いることが望ましい。
【0153】
吸水材料としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸およびその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
【0154】
また吸油材料としては、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸、コレステロール誘導体、ベンジリデンソルビトールといった低分子ゲル化剤や、ポリノルボルネン、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種ロジン類等が挙げられ、望ましくは、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ロジン類が挙げられる。
【0155】
吸液性材料が粒子状である場合には、硬化性溶液12Aの安定性と画質との両立といった観点から、体積平均粒径が0.05μm以上25μmの範囲であることが望ましく、0.05μm以上5μm以下がより望ましい。
【0156】
この吸液性材料の硬化性溶液12A全体に対する比率は、例えば質量比で10%以上望ましくは20%以上であり、より望ましくは25%以上70%以下の範囲が挙げられる。
【0157】
次に、硬化性溶液12Aに含まれる、その他の添加剤について説明する。
【0158】
硬化性溶液12Aは、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含んでもよい。
【0159】
この機能を有する成分は、上記吸液樹脂粒子を構成する樹脂(樹脂吸水性樹脂)の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
【0160】
また、当該化合物としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が好適に挙げられる。
【0161】
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0162】
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
【0163】
【化1】

【0164】
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。Xとして望ましくは、CO、NH、NR,Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na,Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3以上7以下の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1以上5以下の整数である。
【0165】
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。
【0166】
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
【0167】
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等)が好適に用いられる。
【0168】
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下であることが望ましい。より望ましくは、0.1質量%以上15質量%以下であり、更に望ましくは、1質量%以上15質量%以下である。
【0169】
―インク―
以下、インクの詳細について説明する。
【0170】
インクとしては、第1溶媒として水性溶媒を含む水性インク、第1溶媒として油性溶媒を含む油性インクなどが挙げられる。本実施形態においては、水性インク又は油性インクを用い、記録媒体として非浸透媒体を用いた場合でも、ヒーター等により溶媒を揮発させることなく良い画像定着性が得られる。
【0171】
水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料又は顔料を水性溶媒に分散又は溶解したインクが挙げられる。また、油性インクとしては、例えば、記録材として油溶性染料を油性溶媒に溶解したインク、記録材として染料又は顔料を逆ミセル化して分散したインクが挙げられる。
【0172】
油性インクを用いる場合は、低揮発性又は不揮発性の溶媒を用いた油性インクを用いることが望ましい。油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、ヘッドノズル端部において、溶媒揮発によるインク状態変化が起きにくいため、ヘッドノズル耐目詰まり性が良い。また油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、インク滴を受容した硬化性溶液層が記録媒体に転写された後に、油性インクの溶媒が記録媒体に浸透しても、カール・カックルが生じにくい。さらに油性インクの溶媒は、カチオン硬化性のものであってもよい。
【0173】
本実施形態においては、インクとして水性インクを用いることが望ましい。水性インクを用いることで、紫外線硬化型インクや相変化型インクなどに比べ、インクジェットヘッドやメンテナンス時、長期保管時の信頼性を向上することができる。この場合、上記硬化性溶液12Aに含まれる吸液性材料としては、吸水材料を用いることが望ましい。
【0174】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いられるが、耐久性の点で顔料であること望ましい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0175】
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用する方法もある。
【0176】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000(コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R(キャボット社製)、Color Black FW1(デグッサ社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0178】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0179】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0180】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0181】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
【0182】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0183】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0184】
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0185】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000乃至50000のものが挙げられる。
【0186】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1乃至100質量%が挙げられる。
【0187】
色材として水に自己分散可能な顔料も用いられる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0188】
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−260M、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−270Y、Cab−o−jet−1027R、Cab−o−jet−554B、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用される。
【0189】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
【0190】
更に、樹脂により被覆された顔料等も使用される。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等も使用される。
【0191】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も用いられる。
【0192】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0193】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5乃至30質量%の範囲が挙げられる。
【0194】
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
【0195】
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 (Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0196】
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0197】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0198】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0199】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0200】
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0201】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も用いられる。
【0202】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0203】
次に、油性溶媒について説明する。油性溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、グリコール類、含窒素溶媒、植物油等の有機溶媒が使用される。脂肪族炭化水素の例として、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルヘキサン、n−オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、ノナン、デカン等が挙げられ、アイソパーなどのn−パラフィン系溶剤、iso−パラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤などのパラフィン系溶剤でも構わない。また、芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエータル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その他、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のグリコール誘導体を溶媒として用いても良い。植物油としては、乾性油、半乾性油、不乾性油などが挙げられる。乾性油としては、荏の油、アマニ油、桐油、ケシ油、くるみ油、紅花油、ひまわり油などが挙げられ、半乾性油としては菜種油、不乾性油としては、ヤシ油が挙げられる。上記溶媒は単独もしくは二種以上併用しても良い。
【0204】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、その他、必要に応じて、界面活性材が添加される。
【0205】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0206】
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3乃至20の範囲が挙げられる。
【0207】
これらの界面活性剤の添加量は、例えば0.001乃至5質量%、望ましくは0.01乃至3質量%の範囲が挙げられる。
【0208】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加される。
【0209】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20乃至45mN/mの範囲が挙げられる。
【0210】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0211】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、望ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。ヘッド吐出性の観点からは、インクの粘度は20mPa・s以下が望ましい。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。
【0212】
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0213】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0214】
―凹凸調整液―
以下、凹凸調整液の詳細について説明する。
【0215】
凹凸調整液15Aは、硬化性溶液層12Bの表面に対してインクが吐出されることにより、硬化性溶液層12Bの表面に形成される凹凸の凹部に供給されることにより、硬化性溶液層12Bの表面凹凸状態を調整する液体である。ここでいう表面凹凸状態の調整とは、凹凸の段差を小さくして、凹凸をならすことである。
【0216】
凹凸調整液15Aの供給は、凹凸の凹部のみであってもよいし、凹凸の凹部及び凸部に対して行われても良い。
【0217】
凹凸調整液15Aとしては、上述のように、インク滴14Aによって形成される画像領域Tの色相に影響を与えない色相であり(例えば、白色や透明等)、硬化性溶液層12Bに吐出することで該硬化性溶液層12Bの表面凹凸状態を調整する液体であればよい。
【0218】
また、凹凸調整液15Aは、外部からの刺激に反応して硬化する性質を有している。具体的には、凹凸調整液15Aは、外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂を少なくとも含んでいる。ここで、凹凸調整液15Aに含有される「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂」とは、外部からの刺激によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0219】
硬化性樹脂としては、上記の硬化性溶液12Aで説明した硬化性樹脂が挙げられる。
【0220】
また、凹凸調整液15Aは、吸液材料に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有している。インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされ、望ましくは、0.551以下とされている。
【0221】
水性溶媒としては、上記水性インクの組成として説明した水性溶媒が挙げられる。また、油性溶媒としては、上記油性インクの組成として説明した油性溶媒が挙げられる。
【0222】
凹凸調整液15Aは、水溶性有機溶媒を含んでいても良い。水溶性有機溶媒としては、上記水性インクの組成として説明した水溶性有機溶媒が挙げられる。
【0223】
また、凹凸調整液15Aには、界面活性剤、その他の添加剤が添加されていても良い。界面活性剤としては、上記インクに添加される添加剤として挙げた界面活性剤が挙げられる。
【0224】
<第2実施形態>
第1実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域Bに凹凸調整液15Aを吐出する場合を説明した。本実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域Bと共に、画像領域Tについても凹凸調整液15Aを吐出する形態を説明する。
【0225】
第2実施形態に係る画像形成装置102は、図6に示すように、転写ベルト10、離型剤層形成装置24、硬化性溶液12Aを供給し硬化性溶液層12Bを形成する硬化性溶液層形成装置12、転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bに形成対象の画像の各画素に応じてインク滴14Aを吐出してドットを形成することにより該硬化性溶液層12Bの表面に画像を形成するインクジェット記録ヘッド14、硬化性溶液層12Bの表面に凹凸調整液15Aを吐出する凹凸調整液吐出部15、加圧部材16、硬化装置18、除去装置20、及びメインコントローラ31が設けられている。
【0226】
なお、本実施形態の画像形成装置102は、第1実施形態で説明した画像形成装置101の、メインコントローラ30に替えてメインコントローラ31が設けられている以外は、画像形成装置101と同一の構成であるため、同一機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0227】
メインコントローラ31は、画像形成装置102に設けられた装置各部を制御し、図示は省略するが装置各部に信号授受可能に接続されている。
【0228】
図7には、メインコントローラ31の概略ブロック図を示した。図7に示すように、メインコントローラ31は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部42、及び画像記録部40を含んで構成される。
【0229】
この記録データ作成部42には、第1実施形態で説明した凹凸調整液データ作成部39に替えて、凹凸調整液データ作成部41が設けられている。この凹凸調整液データ作成部41は、算出部41A及び各種データを記憶するメモリ41Bを含んで構成されている。
【0230】
なお、メインコントローラ31は、画像形成装置102に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、画像形成装置102で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。なお、第1実施形態と同様に、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。この各画素のデータには、各画素の記録媒体Pの表面の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0231】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部42、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、本実施形態では、図6を参照して説明した画像形成装置102のうち画像の記録に関する構成要素を含むものである。
【0232】
メインコントローラ31の構成についても、第1実施形態で説明した凹凸調整液データ作成部39に替えて、凹凸調整液データ作成部41が設けられている以外は、同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0233】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴の種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0234】
また、凹凸調整液についても、第1実施形態と同様に、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、4階調の場合について説明する。
【0235】
すなわち、本実施形態では、凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)である場合について説明する。
【0236】
記録データ作成部42は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0237】
また、本実施形態に係る記録データ作成部42では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域Tと、該画像領域以外の非画像領域Bと、の双方に凹凸調整液を吐出するための凹凸調整液データを作成する。
【0238】
この凹凸調整液データは、記録データ作成部42に設けられた凹凸調整液データ作成部41で作成される(詳細は後述)。
【0239】
画像記録部40は、記録データ作成部42で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部42に設けられた凹凸調整液データ作成部41で作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aを吐出させる。
【0240】
これにより、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されて、該硬化性溶液層12Bの表面に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成されると共に、該画像領域Tと、画像領域T以外の非画像領域Bと、の双方に凹凸調整液15Aが吐出される。
【0241】
次に、本実施形態の作用として、凹凸調整液データ作成部41で実行される凹凸調整液データの作成について、図8を用いて説明する。
【0242】
まず、ステップ200では、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域T中のインク最大吐出量Mを算出する。
【0243】
ステップ200の処理は、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域を構成する各ドットの内の、最も多量にインク滴14Aを吐出されることによって形成されるドットに、吐出されるインク滴14Aの総量を算出する処理である。
【0244】
本実施形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされる。
【0245】
例えば、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域を構成するドットの中で最もインク滴を多量に吐出されるドットが、YMCKの各色のインク滴14Aの内の3色のインクが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク最大吐出量Mとして算出される。本実施形態では、同一ドットに打ち込まれるインク滴14Aの最大量は、300%の吐出量であるとして説明する。
【0246】
なお、このステップ200におけるインク最大吐出量Mの算出処理は、凹凸調整液データ作成部41に設けられた算出部41Aによって行われる。
【0247】
次のステップ202では、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mを示す情報をメモリ41Bに記憶する。
【0248】
次のステップ204では、メモリ41Bに記憶されていた凹凸調整液データを初期化する。
【0249】
この凹凸調整液データは、転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bの表面の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について凹凸調整液の量が定義されたデータである。
【0250】
なお、この画像データには、画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域の各画素を示すデータから構成されていることから、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれている。
【0251】
本実施形態では、凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
【0252】
このステップ204では、硬化性溶液層12Bの表面の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、画像形成装置102において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0253】
ステップ206では、色変換部34に入力され、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素を選択する。
【0254】
ステップ106の選択は、例えば、メモリ39Bに、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、凹凸調整液の吐出量を示すデータが対応づけて記憶させていない画素の内の1つ(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択することで可能である。
【0255】
次のステップ208では、画像処理部36で二値化された画像データに基づいて、上記ステップ206で選択した画素に応じたドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量としての、インク吐出量Sを読み取る。このインク吐出量Sは、具体的には、画像処理部36で二値化された画像データの、該ステップ206で選択した画素の、各YMCKの色毎の二値化データを読取り、該画素に対応するドットを記録するために吐出される各色のインク滴14Aの吐出量の総量を算出し、この算出結果を読み取ることによって得られる。
【0256】
例えば、上記ステップ206で選択した画素に対応するドットが、YMCKの4色の内の3色のインク滴14Aを各々通常量吐出することで形成される場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク吐出量Sとして読み取られる。
【0257】
次のステップ210では、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mと、ステップ208で読み取られたインク吐出量と、が同じであるか否かを判別する。
【0258】
ステップ210で肯定され、インク最大吐出量Mと、凹凸調整液の吐出量の算出対象の画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量であるインク吐出量Sと、が同じである場合には、ステップ212へ進む。
【0259】
ステップ212では、凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素に対応する領域に吐出する凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、吐出無を示す‘0’を設定する。
【0260】
次のステップ214では、上記ステップ212で設定した凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する、凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ41Bへ記憶する。
【0261】
上記ステップ210及びステップ212の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域Tを構成する各ドット中の、インク滴14Aの吐出量が、画像領域T中のインク最大吐出量Mであるドットには、凹凸調整液15Aの吐出がなされないように、凹凸調整液データが作成される。
【0262】
次のステップ216では、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の全ての画素について、凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ206へ戻る。
【0263】
一方、ステップ210で否定され、インク最大吐出量Mと、凹凸調整液の吐出量の算出対象の画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量であるインク吐出量Sと、が異なる場合には、ステップ222へ進む。
【0264】
ステップ222では、凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素に対応する領域に吐出する凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mから、ステップ208で読み取ったインク吐出量Sを減算した値を、凹凸調整液15Aの吐出量Tとして設定する。
【0265】
次のステップ224では、上記ステップ222で設定した凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する、凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ41Bへ記憶する。
【0266】
上記ステップ210、ステップ222、及びステップ224の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域Tを構成する各ドット中の、インク滴14Aの吐出量が、画像領域T中のインク最大吐出量Mより少ないドットには、同一ドットに吐出されるインク滴14A及び凹凸調整液15Aの総量が、インク最大吐出量Mと同量となるように、凹凸調整液15Aの吐出量が定められる。
【0267】
また、上記ステップ210、ステップ222、及びステップ224の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域T以外の非画像領域Bには、該非画像領域Bの各画素に対応する領域には、凹凸調整液15Aの吐出量として、インク最大吐出量Mと同量の吐出量が定められる。
【0268】
凹凸調整液データ作成部41において上記ステップ200〜ステップ224の処理が実行されることで凹凸調整液データが作成される。
【0269】
そして、上述のように、画像記録部40において、記録データ作成部42で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、硬化性溶液層12Bの表面には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
【0270】
そして、該硬化性溶液層12Bの表面の画像領域T、及び画像領域T以外の非画像領域Bの双方に、記録データ作成部42に設けられた凹凸調整液データ作成部41で作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aが、上記ステップ222で設定された吐出量X吐出される。
【0271】
このため、図9に示すように転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bの表面の、インク滴14Aの吐出によって形成された画像領域T及び非画像領域Bの各々の各画素に対応する各領域には、吐出されるインク滴14A及び凹凸調整液15Aの総量が画像領域Tのインク最大吐出量Mとなるように、インク滴14A、またはインク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出されることとなる。
【0272】
そして、インク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出された硬化性溶液層12Bは、転写領域において、硬化装置18によって硬化されて記録媒体Pに転写される。
【0273】
このように、本実施形態の画像形成装置102によれば、硬化性溶液層12Bの表面のインク滴14A及び凹凸調整液15Aの吐出量が、形成対象の画像の各画素に対応する領域間で同じになるように調整される。
【0274】
<第3実施形態>
第1実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域B全体に凹凸調整液15Aを吐出する場合を説明した。本実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外縁に沿った領域のみを凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に凹凸調整液15Aを吐出する形態を説明する。
【0275】
第3実施形態に係る画像形成装置103は、図10に示すように、転写ベルト10、離型剤層形成装置24、硬化性溶液12Aを供給し硬化性溶液層12Bを形成する硬化性溶液層形成装置12、転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bに形成対象の画像の各画素に応じてインク滴14Aを吐出してドットを形成することにより該硬化性溶液層12Bの表面に画像を形成するインクジェット記録ヘッド14、硬化性溶液層12Bの表面に凹凸調整液15Aを吐出する凹凸調整液吐出部15、加圧部材16、硬化装置18、除去装置20、及びメインコントローラ33が設けられている。
【0276】
なお、本実施形態の画像形成装置103は、第1実施形態で説明した画像形成装置101の、メインコントローラ30に替えてメインコントローラ33が設けられている以外は、画像形成装置101と同一の構成であるため、同一機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0277】
メインコントローラ33は、画像形成装置103に設けられた装置各部を制御し、図示は省略するが装置各部に信号授受可能に接続されている。
【0278】
図11には、メインコントローラ33の概略ブロック図を示した。図11に示すように、メインコントローラ33は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部44、及び画像記録部40を含んで構成される。
【0279】
この記録データ作成部44には、第1実施形態で説明した凹凸調整液データ作成部39に替えて、凹凸調整液データ作成部46が設けられている。この凹凸調整液データ作成部46は、算出部46A及び各種データを記憶するメモリ46Bを含んで構成されている。
【0280】
なお、メインコントローラ33は、画像形成装置103に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、画像形成装置103で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。なお、第1実施形態と同様に、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。この各画素のデータには、各画素の記録媒体Pの表面の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0281】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部44、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、本実施形態では、図10を参照して説明した画像形成装置103のうち画像の記録に関する構成要素を含むものである。
【0282】
メインコントローラ33の構成についても、第1実施形態で説明した凹凸調整液データ作成部39に替えて、凹凸調整液データ作成部46が設けられている以外は、同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0283】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴の種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0284】
また、凹凸調整液についても、第1実施形態と同様に、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、5階調の場合について説明する。このため、凹凸調整液吐出部15からは、凹凸調整液の吐出無しと、凹凸調整液の吐出量が各色インクジェット記録ヘッド14の内の1色のインクジェット記録ヘッド14の1つのノズルから1回に吐出されるインク量と同量(すなわち通常量)の場合と、該通常量の2倍の場合(2色分)と、該通常量の3倍の場合(3色分)と、及び該通常量の4倍の場合(4色分)と、の5種類と、である場合について説明する。
【0285】
記録データ作成部44は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0286】
また、本実施形態に係る記録データ作成部44では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域Tの外縁に沿った領域のみを凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に凹凸調整液15Aを吐出するための凹凸調整液データを作成する。
【0287】
この凹凸調整液データは、記録データ作成部44に設けられた凹凸調整液データ作成部46で作成される(詳細は後述)。
【0288】
画像記録部40は、記録データ作成部44で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部44に設けられた凹凸調整液データ作成部46で作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aを吐出させる。
【0289】
これにより、硬化性溶液層12Bの表面にインク滴14Aが吐出されて、該硬化性溶液層12Bの表面に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成されると共に、該画像領域Tの外縁に沿った領域のみを凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に凹凸調整液15Aが吐出される。
【0290】
次に、本実施形態の作用として、凹凸調整液データ作成部46で実行される凹凸調整液データの作成について、図12を用いて説明する。
【0291】
まずステップ300では、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域Tを構成する各ドットの内の、画像領域Tの縁を構成する各ドットに対応する画素の各々について、各ドットを記録するための吐出するインク滴14Aの吐出量の総量mを算出する処理である。
【0292】
本実施形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされる。このため、例えば、硬化性溶液層12Bの表面に形成される画像領域Tを構成するドットの内の、画像領域Tの縁を構成する各ドットが、例えば、YMCKの4色内の2色のインク滴14Aが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その2倍である200%の吐出量(通常量の2倍(2色分))が、対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mとして算出される。
【0293】
次のステップ302では、上記ステップ300の処理によって算出された、画像領域Tの縁を構成する各ドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mを示す情報を、対応する画素を示すデータに対応づけてメモリ46Bに記憶する。
【0294】
次のステップ304では、メモリ46Bに記憶されていた凹凸調整液データを初期化する。この凹凸調整液データは、転写ベルト10の表面に形成された硬化性溶液層12Bの表面の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について凹凸調整液の量が定義されたデータである。
【0295】
なお、この画像データには、画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域の各画素を示すデータから構成されていることから、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれている。
【0296】
本実施形態では、凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量、及びなし、の4種類が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
【0297】
このステップ304では、硬化性溶液層12Bの表面の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、画像形成装置103において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0298】
ステップ305では、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて、硬化性溶液層12Bの表面の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外縁に沿った領域を、凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定する。
【0299】
ステップ305の処理は、例えば、該画像データに基づいて、硬化性溶液層12Bの表面の画像領域Tの縁(周縁)に相当する領域を構成する各画素について、各画素から非画像領域B側に連続する3画素の群から構成される領域を、非画像領域B’として設定する。
【0300】
ステップ305の処理によって、硬化性溶液層12Bの表面の画像領域T以外の非画像領域B中の、画像領域Tの外縁に沿った領域が、凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定される。なお、本実施形態では、説明を簡略化するために、非画像領域B中の、画像領域Tの外縁に向かって3画素分の領域を、凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定する場合を説明するが、3画素分に限られない。
【0301】
次のステップ306では、上記ステップ300でインク滴14Aの吐出量mを算出した、画像領域Tの縁(周縁)を構成する複数の画素の内の、凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素を選択する。
【0302】
ステップ306の選択は、例えば、上記ステップ300でインク滴14Aの吐出量mを算出した、画像領域Tの縁(周縁)を構成する複数の画素の内の、非画像領域B’側に連続する画素の凹凸調整液15Aの吐出量が未設定の1の画素(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択することで可能である。
【0303】
次のステップ308では、上記ステップ306で選択した画素に対応するドットを記録するためのインク吐出量mをメモリ46Bから読み取る。ステップ308の処理は、上記ステップ300の処理によってメモリ46Bに記憶された、上記ステップ306で選択した画素を示すデータに対応して記憶されているインク吐出量mを読み取ることによって可能である。
【0304】
次のステップ310では、上記ステップ305で設定した非画像領域B’内の、上記ステップ306で選択した画素から、非画像領域B’側に連続する画素を読み取る。本実施形態では、該連続する画素として、該選択した画素から非画像領域B’側に連続する3つの画素を読み取るものとして説明する。
【0305】
なお、本実施形態では、3つの画素を読み取るものとして説明するが、1画素以上であればよく、1画素、2画素、4画素等であってもよい。この場合には、上記ステップ305において、各々非画像領域B’として、画像領域Tから非画像領域B側に連続する画素として、各々1画素、2画素、4画素の領域を定めればよい。
【0306】
次のステップ312では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に一番目に連続する画素(すなわち、隣接する画素)を選択する。
【0307】
次のステップ314では、上記ステップ312で選択した画素への凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mを設定する。
【0308】
次のステップ316では、上記設定したインク吐出量mと、上記ステップ312で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0309】
次のステップ318では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に2番目に連続する画素を選択する。
【0310】
次のステップ320では、上記ステップ318で選択した画素への凹凸調整液15A吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mの1/2の量である1/2mを設定する。
【0311】
次のステップ322では、上記設定したインク吐出量1/2mと、上記ステップ318で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0312】
次のステップ324では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に3番目に連続する画素を選択する。
【0313】
次のステップ326では、該ステップ324で選択した画素への凹凸調整液15A吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mの1/3の量である1/3mを設定する。
【0314】
次のステップ328では、上記設定したインク吐出量1/3mと、上記ステップ318で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0315】
次のステップ330では、上記ステップ305で設定した非画像領域B’の全画素について、凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ306へ戻る。
【0316】
凹凸調整液データ作成部46において上記ステップ300〜ステップ330の処理が実行されることで凹凸調整液データが作成される。
【0317】
この凹凸調整液データは、上記ステップ300〜ステップ330の処理によって作成されたものであることから、硬化性溶液層12Bの表面の画像領域Tの外縁の非画像領域B’に吐出される凹凸調整液15Aの量が、該画像領域Tの縁から非画像領域B側へ向かって段階滴に吐出量が少なくなるように設定されている。
【0318】
画像記録部40においては、記録データ作成部44で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、硬化性溶液層12Bの表面には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
【0319】
また、画像記録部40においては、凹凸調整液データ作成部46において作成された凹凸調整液データに従って、凹凸調整液吐出部15のノズルから凹凸調整液15Aが吐出されることで、該硬化性溶液層12Bの表面の画像領域Tの外縁に沿った領域である非画像領域B’に、画像領域Tから非画像領域Bに向かって段階的に少ない吐出量となるように凹凸調整液15Aが吐出される。
【0320】
このため、例えば、図13に示すように、硬化性溶液層12Bの表面の画像領域Tの外縁の非画像領域B’において、該画像領域Tの縁から非画像領域B側へ向かって段階滴に吐出量が少なくなるように、凹凸調整液15Aが吐出される。例えば、図13に示すように、硬化性溶液層12Bの画像領域Tの外側に隣接する領域である非画像領域B1には、画像領域Tの縁部を構成するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの量と同量の凹凸調整液15Aが吐出される。そして、該非画像領域B1の更に非画像領域B側に隣接する領域である非画像領域B2には、画像領域Tの縁部を構成するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの量の1/2の量の凹凸調整液15Aが吐出され、さらに外側の非画像領域B3には、該インク滴14Aの量の1/3の量の凹凸調整液15Aが吐出される。
【0321】
このため、硬化性溶液層12Bの画像領域T以外の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外側に沿った非画像領域B’に、画像領域Tに近い位置から離れるに従って少ない量の凹凸調整液15Aが吐出されることとなる。
【0322】
そして、インク滴14A及び凹凸調整液15Aが吐出された硬化性溶液層12Bは、転写領域において、硬化装置18によって硬化されて記録媒体Pに転写される。
【0323】
上述のように、本実施形態の画像形成装置103によれば、硬化性溶液層12Bの画像領域T以外の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外側に沿った非画像領域B’に、画像領域Tに近い位置から離れるに従って少ない量の凹凸調整液15Aが吐出される。
【0324】
なお、本実施形態の画像形成装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって凹凸調整液15Aの吐出量が段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、画像領域Tの外周に沿った非画像領域B’内に、画像領域Tの外縁を構成する画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mと同量の凹凸調整液15Aを吐出するようにしてもよい(図15参照)。
【0325】
また、本実施形態の画像形成装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって、凹凸調整液15Aの吐出量が段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、該境界から非画像領域Bに向かって、凹凸調整液15Aのカバレッジ(網点面積率)が少なくなるように、一定の吐出量の凹凸調整液15Aを吐出してもよい(図14参照)。
【0326】
また、本実施形態の画像形成装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって、凹凸調整液15Aの吐出量が1倍、1/2倍、1/3倍と段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、画像領域Tと非画像領域B’との境界から離れるほど凹凸調整液15Aの吐出量が少なくなれば良く、このような倍率に限られない。
【0327】
<第4実施形態>
第4実施形態の画像形成装置104は、第1実施形態における凹凸調整液吐出部15に替えて、図16に示すように、硬化性溶液層12Bを半硬化する硬化装置402と、硬化性溶液層12Bの表面に接触して画像領域T及び非画像領域Bに凹凸調整液15Aを塗布する塗布装置404と、を備えている。
【0328】
硬化装置402は、インクジェット記録ヘッド14に対する転写ベルト10の回転方向下流側であって、かつ塗布装置404に対する転写ベルト10の回転方向上流側に配置されている。
【0329】
硬化装置402の種類は、硬化装置18と同種のものが用いられる。すなわち、硬化装置18が紫外線照射装置であれば硬化装置402は紫外線照射装置とされる。硬化装置402は、硬化性溶液層12Bに刺激を付与することで、硬化性溶液層12Bを半硬化状態にするようになっている。従って、硬化装置402は、少なくとも、硬化装置18が硬化性溶液層12Bに対して供給する刺激量も少ない刺激量を硬化性溶液層12Bに付与する構成とされている。
【0330】
なお、硬化装置402が硬化性溶液層12Bに対して刺激の供給は、インクジェット記録ヘッド14のインク滴により形成された画像が固定化され、塗布装置404における接触によって画像が乱れない範囲でなされればよい。
【0331】
塗布装置404は、転写ベルト10において巻掛ロール10Bが巻き掛けられている部分に対して対向しており、転写ベルト10における上記部分に対し、凹凸調整液15Aを供給してするようになっている。
【0332】
また、塗布装置404は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った長さが、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。
【0333】
塗布装置404は、例えば、凹凸調整液15Aを収容する筐体404Cと、筐体404C内に設けられ硬化性溶液層12Bに接触して凹凸調整液15Aを硬化性溶液層12Bに塗布する塗布部材404Aと、を備えている。
【0334】
塗布部材404Aと転写ベルト10との間隔は、予め定められた間隔とされており、塗布部材404Aは、予め定められた層厚で凹凸調整液15Aを硬化性溶液層12Bに塗布するように構成されている。すなわち、硬化性溶液層12B中の吸液材料がインクを吸液することによって、硬化性溶液層12Bの表面に形成される凹凸の凹部及び凸部に対して、凹凸調整液15Aが塗布される。
【0335】
本実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面に形成される凹凸の凹部に対して、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液15Aが供給される。
【0336】
インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液15Aが供給される硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇を抑制される。これにより、硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇によって発生する硬化性溶液層12Bの記録媒体Pに対する転写後の剥離が抑制される。
【0337】
なお、本実施形態のインクジェット記録ヘッド14におけるインク吐出の制御は、第1実施形態と同様になされる。
【0338】
<第5実施形態>
第5実施形態の画像形成装置105は、第1実施形態における凹凸調整液吐出部15に替えて、図17に示すように、硬化性溶液層12Bの表面に非接触で画像領域T及び非画像領域Bに凹凸調整液15Aを塗布する塗布装置504と、を備えている。
【0339】
塗布装置504は、スリットダイで構成されており、一方向(具体的には、転写ベルト10の幅方向)に沿って形成された吐出孔(スリット)504Aから転写ベルト10の表面へ、転写ベルト10に非接触で硬化性溶液12Aを吐出するようになっている。塗布装置504では、駆動装置の一例としてのポンプ(図示省略)の圧力によって、硬化性溶液層12B中の吸液材料がインクを吸液することによって、硬化性溶液層12Bの表面に形成される凹凸の凹部及び凸部に対して、凹凸調整液15Aが塗布される構成とされている。
【0340】
塗布装置504は、転写ベルト10の幅方向(転写ベルト10の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った長さが、転写ベルト10における被吐出領域以上(被画像形成領域以上)とされている。
【0341】
塗布装置504の吐出面(図17において下面)と転写ベルト10との間隔は、予め定められた間隔とされている。
【0342】
本実施形態では、硬化性溶液層12Bの表面に形成される凹凸の凹部に対して、インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液15Aが供給される。
【0343】
インク中の第1溶媒の重量割合と凹凸調整液中の第2溶媒の重量割合との比が、0.826を超える場合に比べ、凹凸調整液15Aが供給される硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇を抑制される。これにより、硬化性溶液層12Bにおける粘度の上昇によって発生する硬化性溶液層12Bの記録媒体Pに対する転写後の剥離が抑制される。
【0344】
なお、本実施形態のインクジェット記録ヘッド14におけるインク吐出の制御は、第1実施形態と同様になされる。
【実施例】
【0345】
以下、実施例及び比較例について説明する。各実施例及び各比較例では、以下に示す組成の凹凸調整液を作成し、作成した凹凸調整液について、後述する定着性評価・紫外線光による硬化性評価を行った。なお、各実施例及び各比較例における凹凸調整液の組成、定着性評価・紫外線光による硬化性評価が図18の表に示されている。この表の「%」は、重量%を示す。なお、本発明は、以下の各実施例に限られるものではない。
【0346】
(実施例1)
−凹凸調整液−
・アニロックスM-327(東亞合成株式会社製):30.2重量%
・TEGO Rad 2200N(Evonic Tego Chemie GmbH):2.9重量%
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):58.4重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):5.6重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・純水:なし
【0347】
(実施例2)
−凹凸調整液−
・アニロックスM-327(東亞合成株式会社製):38.9重量%
・アニロックスM-313(東亞合成株式会社製):9.7重量%
・TEGO Rad 2200N(Evonic Tego Chemie GmbH):1.9重量%
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):27.0重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):19.5重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・純水:なし
【0348】
(実施例3)
−凹凸調整液−
・アニロックスM-327(東亞合成株式会社製):38.9重量%
・アニロックスM-313(東亞合成株式会社製):9.7重量%
・TEGO Rad 2200N(Evonic Tego Chemie GmbH):1.9重量%
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):27.0重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):9.7重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・純水(水性溶媒):9.7重量%
【0349】
(実施例4)
−凹凸調整液−
・アニロックスM-327(東亞合成株式会社製):29.2重量%
・アニロックスM-313(東亞合成株式会社製):9.7重量%
・TEGO Rad 2200N(Evonic Tego Chemie GmbH):1.9重量%
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):27.0重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):なし
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・純水(水性溶媒):29.2重量%
【0350】
(実施例5)
−凹凸調整液−
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):38.9重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):4.9重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・グリセリン:8.8重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:4.6重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):38.9重量%
【0351】
(実施例6)
−凹凸調整液−
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):29.2重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):4.9重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・グリセリン:8.8重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:4.6重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):48.7重量%
【0352】
(実施例7)
−凹凸調整液−
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):19.5重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):4.9重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・グリセリン:8.8重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:4.6重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):58.4重量%
【0353】
(比較例1)
−凹凸調整液−
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):14.6重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):4.9重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・グリセリン:8.8重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:4.6重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):63.3重量%
【0354】
(比較例2)
−凹凸調整液−
・アクリロイルモルホリン(株式会社興人製):9.7重量%
・ポリエチレングリコールジアクリレートPEG400DA(日本化薬社製):4.9重量%
・イルガキュア754(チバジャパン株式会社):2.9重量%
・グリセリン:8.8重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:4.6重量%
・サーフィノール465(日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):68.2重量%
【0355】
(比較例3)
−凹凸調整液−
・グリセリン:20.0重量%
・ジエチレングリコール:5.0重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:10.0重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.5重量%
・純水(水性溶媒):63.5重量%
【0356】
(比較例4)
−凹凸調整液−
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量%
・グリセリン:20.0重量%
・イソプロピルアルコール:3.0重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5.0重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業株式会社製):1.0重量%
・純水(水性溶媒):70.7重量%
【0357】
(定着性評価)
評価条件を以下の各評価条件1〜3に替えて、後述の評価方法にて定着性評価を行った。
【0358】
<定着性評価の評価条件1>
上記第1実施形態と同様な構成の画像形成装置101(図1参照)を用いて、硬化性溶液層形成装置により硬化性溶液を転写ベルトに供給して硬化性溶液層を形成し、その硬化性溶液層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、硬化性溶液層の表面に画像領域を形成した。また、硬化性溶液層の表面の該画像領域以外の非画像領域には、凹凸調整液を吐出した。
【0359】
なお、画像領域は、各ドットについて、2色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出することで形成した。
【0360】
また、非画像領域には、各画素に対応する領域に2plのインク滴を吐出した。この非画像領域に凹凸調整液を吐出するための凹凸調整液データは、図3に示す処理ルーチンを凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図3中のインク最大吐出量Mは、上述のように4plとし、ステップ118における非画像領域の各画素に対応する領域に吐出する凹凸調整液の吐出量であるXは、2plに設定した。
【0361】
そして、このインク滴及び凹凸調整液の吐出された硬化性溶液層を記録媒体に接触させた状態で硬化装置より刺激を付与し硬化性溶液層を硬化させて転写ベルトから剥離し、評価を行った。条件は以下の通りである。なお、下記紫外線照射強度及び積算光量は、転写ベルトを透過した後の紫外線照射強度及び積算光量である。
【0362】
また、硬化性溶液層形成装置によって形成された層厚15μmの硬化性溶液層の表面に、インク滴が吐出されることで形成される凹凸の凸部の高さは、硬化性溶液層の表面に形成された複数のドットの内の任意の20点を選択して、測定したところ、9μmであった。
【0363】
この凸部の高さは、レーザー3次元形状測定装置(キーエンス株式会社製 VK−8700)にて、硬化性溶液層の表面の画像領域と非画像領域のプロファイルを測定することによって測定した。
【0364】
・転写ベルト:厚さ0.1mm、ベルト幅350mm、外径Φ168mmのETFE製無端ベルト(プロセス速度:400mm/s)
・硬化性溶液層形成装置:グラビアロールコーター(硬化性溶液層の層厚15μm)
・各インクジェット記録ヘッド:ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッド(解像度解像度1200×1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である)、ドロップサイズ2pL)
・凹凸調整液吐出ヘッド:ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッド(解像度解像度1200×1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である)、ドロップサイズ2pL)
・加圧ロール:径30mmの鋼製パイプにシリコーンゴムを被覆したもの(転写ベルトに対する押し当て圧力:5kPa)
・硬化装置:メタルハライドランプ(紫外線照射強度240W/cmを積算光量で100mJ/cm照射)
・記録媒体:アート紙(OK金藤)
【0365】
また、硬化性溶液、及び各色のインクは、以下のように作製したものを用いた。
【0366】
−硬化性溶液(ラジカル硬化性樹脂)−
・ポリウレタンアクリレート:40重量部
・アクリロイルモルホリン(UV硬化モノマー):20.0重量部
・ポリアクリル酸ナトリウム(吸液樹脂、ボールミル粉砕により数平均粒子径2.5μmとしたもの):35.0重量部
・メチルベンゾイルベンゾエート(光重合開始剤):5重量部
【0367】
−ブラックインク−
Cab−o−jet−300(キャボット社製)を超音波ホモジナイザーで30分間処理した後、遠心分離処理(7000r.p.m.,20分間)して顔料分散液(カーボン濃度12.8%)を得た。
次に、下記の各成分を十分混合し、1μmフィルターで加圧ろ過し、インクを調製した
・上記顔料分散液:40重量部
・グリセリン:20重量部
・サーフィノール465:1.5重量部
・純水:35重量部
【0368】
−インク作成方法1−
顔料30重量部に、スチレン−マレイン酸共重合体のナトリウム中和塩を3重量部加え、さらにイオン交換水を加えて、総量を300重量部とした。この液を超音波ホモジナイザーを用いて分散した。この液を遠心分離装置で、遠心分離をし、残部分100重量部を除去した。この上澄み液を5μmのフィルターに通過させて、分散液を得た。適量の前記分散液に、グリセリン10重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部、界面活性剤0.03重量部、イソプロピルアルコール3重量部、イオン交換水及び水酸化ナトリウムを適量加え、総量が100重量部、顔料濃度が5重量%となるように調整した。これを、混合し、5μmのフィルターを通過させることにより、目的とするインクを得た。
【0369】
−シアンインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.アシッドブルー199:5.0重量%
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量%
・グリセリン:15.0重量%
・イソプロピルアルコール:3.0重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5.0重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量%
・イオン交換水(水性溶媒):70.7重量%
【0370】
−マゼンタインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.アシッドレッド52:3.5重量%
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量%
・グリセリン:15.0重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5.0重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量%
・イオン交換水(水性溶媒):75.2重量%
【0371】
−イエローインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.ダイレクトイエロ86:4.0重量%
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.4重量%
・グリセリン:15.0重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:10.0重量%
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量%
・イオン交換水(水性溶媒):69.6重量%
【0372】
<定着性評価の評価条件2>
上記第2実施形態と同様な構成の画像形成装置102(図6参照)を用いて、硬化性溶液層形成装置により硬化性溶液を転写ベルトに供給して硬化性溶液層を形成し、その硬化性溶液層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該硬化性溶液層の表面に画像領域を形成した。また、硬化性溶液層の表面の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、凹凸調整液を吐出した。
【0373】
なお、画像領域は、各ドットについて、2色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出した領域と、1色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2plのインク滴を吐出した領域を、を有するものとした。
【0374】
そして、画像領域中の、2plのインク滴の吐出された領域には2plの凹凸調整液を吐出し、非画像領域には、各画素に対応する領域に4plのインク滴を吐出した。この非画像領域に凹凸調整液を吐出するための凹凸調整液データは、図8に示す処理ルーチンを凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図8中のインク最大吐出量Mは、上述のように4plとし、ステップ222におけるSは、画像領域の各ドットに4plのインク滴の吐出される画素については4plとし、画像領域のドットに2plのインク滴の吐出される画素については2plとした。また、Sは、非画像領域の各画素については0plとした。
【0375】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に凹凸調整液の吐出された硬化性溶液層を記録媒体に接触させた状態で硬化装置より刺激を付与し硬化性溶液層を硬化させて転写ベルトから剥離して評価を行った。なお、評価条件2では、加圧ロールにおける、転写ベルトに対する押し当て圧力を2kPaとした以外の画像記録条件は評価条件1と同じ条件とした。
【0376】
<定着性評価の評価条件3>
上記第3実施形態と同様な構成の画像形成装置103(図10参照)を用いて、硬化性溶液層形成装置により硬化性溶液を転写ベルトに供給して硬化性溶液層を形成し、その硬化性溶液層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該硬化性溶液層の表面に画像領域を形成した。また、硬化性溶液層の表面の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、凹凸調整液を吐出した。
【0377】
なお、画像領域は、各ドットについて、1色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出した。
【0378】
評価条件3では、凹凸調整液吐出対象の非画像領域として、画像領域の外縁に沿った3画素分の領域を定めた。そして、画像領域と非画像領域との境界から離れるほど、凹凸調整液の吐出量が4pl、2pl、0plとなるように吐出した。この非画像領域に凹凸調整液を吐出するための凹凸調整液データは、図12に示す処理ルーチンを凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図12中の画像領域中の画像縁部のインク吐出量mは、上述のように4plとし、ステップ314において設定される凹凸調整液吐出量Tは4plとし、ステップ320で設定される凹凸調整液吐出量は2plとし、ステップ326で設定される凹凸調整液吐出量は0plとした。
【0379】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に凹凸調整液の吐出された硬化性溶液層を記録媒体に接触させた状態で硬化装置より刺激を付与し硬化性溶液層を硬化させて転写ベルトから剥離して評価を行った。なお、評価条件3では、上記以外の画像記録条件は評価条件1と同じ条件とした。
【0380】
<定着性評価の評価条件4>
上記第4実施形態と同様な構成の画像形成装置104(図16参照)を用いて、硬化性溶液層形成装置により硬化性溶液を転写ベルトに供給して硬化性溶液層を形成し、その硬化性溶液層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該硬化性溶液層の表面に画像領域を形成した。また、硬化性溶液層の表面の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、凹凸調整液を吐出した。
【0381】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に凹凸調整液の吐出された硬化性溶液層を記録媒体に接触させた状態で硬化装置より刺激を付与し硬化性溶液層を硬化させて転写ベルトから剥離して評価を行った。なお、評価条件4では、評価条件1における凹凸調整液吐出ヘッド替えて用いられる硬化装置・塗布装置における条件を以下とした以外の画像記録条件は評価条件1と同じ条件とした。
【0382】
・塗布装置(ブレードコーター):ブレードと転写ベルトとの間隔:25μm
・硬化装置:385nmのLEDアレイ光源(積算光量が150mj/cm2となるように光照射)がなされる。
【0383】
<定着性評価の評価条件5>
上記第5実施形態と同様な構成の画像形成装置105(図17参照)を用いて、硬化性溶液層形成装置により硬化性溶液を転写ベルトに供給して硬化性溶液層を形成し、その硬化性溶液層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該硬化性溶液層の表面に画像領域を形成した。また、硬化性溶液層の表面の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、凹凸調整液を吐出した。
【0384】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に凹凸調整液の吐出された硬化性溶液層を記録媒体に接触させた状態で硬化装置より刺激を付与し硬化性溶液層を硬化させて転写ベルトから剥離して評価を行った。なお、評価条件5では、評価条件1における凹凸調整液吐出ヘッド替えて用いられる塗布装置における条件を以下とした以外の画像記録条件は評価条件1と同じ条件とした。
【0385】
・塗布装置(スリットダイ):塗布装置の吐出面と転写ベルトの間隔:150μm、吐出孔(スリット)の幅:400μm、ポンプの圧力:凹凸調整液の層が15μm厚で形成されるように調整
【0386】
<定着性評価の評価方法>
定着性評価は、JIS K5400-8.5付着性(基盤目テープ法)に基づき、カッターにより1mm間隔で100枡クロスカットし、その部分に、JIS Z 1522に規定するセロハン粘着テープ(幅18mm)を貼り付け、剥がした後における硬化性溶液層の記録媒体に対する付着状態を目視により評価した。
【0387】
評価基準は、以下の通りである。
○:剥がれなし
△:1〜20枡の剥がれ有り
×:20枡以上の剥がれ有り
【0388】
この結果、図18の表に示すように、実施例1〜5では、各評価条件1〜5において剥がれが見られなかった(評価○)。実施例6,7では、各評価条件1〜5において剥がれが見られたものの、1〜20枡の剥がれとどまっていた(評価△)。比較例1〜4では、各評価条件1〜5において20枡以上の剥がれが見られた(評価×)。
【0389】
なお、上記の実施例では、凹凸調整液において水性溶媒としての純水を用いているが、油性溶媒においても、同様の結果とのあるものと考えられる。
【0390】
(紫外線照射による硬化性評価)
以下の評価方法によって、紫外線照射による凹凸調整液の硬化性評価を行った。1mlの凹凸調整液をPETフィルム上に滴下した後、凹凸調整液に対して500mJ/cmの紫外線照射を行い、硬化状態を評価した。
【0391】
評価基準は、以下の通りである。
○:完全硬化(指こすりでも破壊されない)
△:硬化はするがやわらかい(指こすりで破壊される)
×:硬化しない
【0392】
この結果、図18の表に示すように、実施例1〜3では凹凸調整液が完全硬化した(評価○)。実施例4では、○〜△の評価が得られた。実施例5〜7・比較例1では硬化するもののやわらかい状態であった(評価△)。比較例2では、△〜×の評価が得られた。比較例2〜4では、凹凸調整液が硬化しなかった(評価×)。
【0393】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0394】
10 転写ベルト(被形成体の一例)
12 硬化性溶液層形成装置(形成部の一例)
12A 硬化性溶液
12B 硬化性溶液層
14 インクジェット記録ヘッド(画像形成部の一例)
15A 凹凸調整液
15 凹凸調整液吐出部(供給部の一例)
18 硬化装置(転写部の一例)
101 画像形成装置
102 画像形成装置
103 画像形成装置
104 画像形成装置
105 画像形成装置
404 塗布装置(供給部の一例)
504 塗布装置(供給部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激に反応して硬化すると共に吸液材料を含む硬化性溶液の層の表面に対して、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第1溶媒を有するインクが吐出されることで、前記硬化性溶液の層の表面に形成される凹凸の凹部に供給される凹凸調整液であって、
前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有すると共に、前記刺激に反応して硬化し、前記インク中の前記第1溶媒の重量割合と前記凹凸調整液中の前記第2溶媒の重量割合との比が、0.826以下とされる凹凸調整液。
【請求項2】
刺激に反応して硬化すると共に吸液材料を含む硬化性溶液を被形成体の表面に供給して硬化性溶液の層を形成する形成部と、
前記形成部によって形成された硬化性溶液の層の表面に対して、前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第1溶媒を有するインクを吐出して、画像を形成する画像形成部と、
前記吸液材料に吸収される水性又は油性の第2溶媒を有すると共に前記刺激に反応して硬化する凹凸調整液であって、かつ、前記インク中の前記第1溶媒の重量割合と前記凹凸調整液中の前記第2溶媒の重量割合との比が0.826以下とされる前記凹凸調整液を、前記硬化性溶液の層の表面に前記インクが吐出されることで形成される凹凸の凹部に対して供給する供給部と、
前記供給部によって凹凸調整液が供給された前記硬化性溶液の層を記録媒体への接触状態で刺激を付与して硬化させ、前記記録媒体に前記硬化性溶液の層を転写する転写部と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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