説明

分別装置、及び、分別方法

【課題】分別対象から高純度、かつ、高効率で対象物を分別する。
【解決手段】1層となるように平面的に配置される分別対象11を順次搬送し、所定の位置で分別対象を搬送中の幅を維持して落下させる搬送手段1と、搬送手段1により搬送中の対象物の幅方向の位置情報を取得する位置情報取得手段4と、幅方向に並んで配置され、落下中の対象物2を吹き飛ばすための気体を吐出する管体8であって、気体を吐出する開口部である複数の吐出口5を備える管体8と、複数備えられる管体8にそれぞれ設けられ、管体8に対し気体を流すか否かを決定する電磁弁10と、位置情報取得手段4から得られた位置情報に基づき落下する対象物2を吹き飛ばせるように電磁弁10を制御する制御手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、使用済み家電製品などの再資源化を目的とし、対象物と非対象物とが混在する分別対象から対象物と非対象物とを分別する分別技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動が、地球温暖化や資源の枯渇など地球規模での環境問題に悪影響を及ぼしていると考えられている。このような状況の中、循環型社会の構築に向けて、我が国においても家電リサイクル法が施行され、使用済みになったエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機のリサイクルが義務付けられている。
【0003】
従来、不要になった家電製品は、家電リサイクル工場で、破砕後に磁気、風力、振動等を利用して材料毎に分別回収し、再資源化されている。特に金属材料は、比重選別装置や磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、アルミニウムなど材料毎に高純度で回収され、高い再資源化率が実現されている。
【0004】
一方、樹脂材料では、低比重物であるポリプロピレン(以下、PPと表記)が、水を活用した比重選別で高比重物と分別され、比較的高純度で回収されている。しかしながら、水を活用した比重選別は、大量の排水が発生することや比重の近いポリスチレン(以下、PSと表記)とアクリロニトリルブタジェンスチレン(以下、ABSと表記)が分別できないことが大きな課題となっている。また近年、高比重物であるフィラー入りPPも需要が拡大しているが、これは従来の比重選別では対応できなくなっている。
【0005】
樹脂材料の再資源化に関する前記課題を考慮した分別方法が下記の特許文献1で提案されている。
【0006】
特許文献1に記載の技術は、材質識別装置により材質を検出することで、従来の比重選別で分別できない樹脂材料の分別を可能にしている。
【0007】
具体的には、ベルトコンベア上を流れる分別対象である樹脂混在物を、材料識別装置で個々に材質識別し、識別された特定材質の樹脂を、前記ベルトコンベアの搬送端より排出される樹脂混在物の落下経路から分離するために、前記落下経路の下方に配置されたパルスエアノズルから、パルスエアを吐出し、前記特定材質の樹脂を前記樹脂混在物の自然落下位置よりも遠方に吹飛ばすことで分別する方法である。
【0008】
この分別方法によれば、比重の近いPSとABSが分別でき、高比重物であるフィラー入りPPの分別にも対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−263587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記樹脂混在物には大小の様々な形状の物品が混在する場合が多い。また、特許文献1に記載されている分別装置などは、図8に示すように、前記搬送端から比較的離れた位置に管体8が取り付けられている。従って、ベルトコンベアの搬送端から落下する特定材質の対象物2を気体によって遠方に吹飛ばすには長い吐出時間が必要となり、吐出された圧縮空気は広範囲に広がることとなる。
【0011】
以上の状況であるため、分別すべき所望の樹脂材料の周辺に存在する小さい形状の樹脂材料も一緒に吹き飛ばしてしまう。したがって所望の樹脂材料のみを遠くに吹飛ばそうと思っても比較的小型の不純物が混じるため、高純度に回収することは困難である。このため、直接樹脂材料メーカーにより再生が可能となる純度である99%以上のリサイクル材を確保することは難しい。
【0012】
そこで、図9に示すように、管体8を落下する対象物2に近接させることにより、吐出された気体の空間的な精度を向上させ、吹き飛ばす樹脂材料の選択制を向上させることが考えられる。管体8を落下する対象物2に近接させることにより、1管体8あたりの噴射範囲が狭くなるために吐出精度が向上し、非対象物3の共連れが発生する場合も少なくなる。これにより純度を向上させることが可能となる。しかしながら、管体8の吐出口と落下する対象物2との距離が短いため、気体が充分に広がらず、隣接する管体8の間には、気体の力が弱くなる部分が発生してしまう。そして、隣接する管体8の中間対応部に対象物2が落下してきた場合、これを気体で確実に遠くまで吹飛ばすことができない場合が生じる。これによって、分別対象である樹脂材料の回収量を確保することができなくなるという新たな課題が生じる。
【0013】
さらに、以上の様な状況を克服するためには、管体8の吐出口を可能な限り密に備え、吐出される気体のピッチを狭くすることで、気体の力が弱まる部分の発生を抑えつつ、高い空間精度で樹脂材料を吹き飛ばすことが考えられる。しかし、気体を発生させるために管体8に取り付けられる電磁弁10は、所定圧力の気体に耐える必要があるため、機械的な構造上管体8よりも大きくならざるを得ない。従って、電磁弁10が干渉することなく管体8を一列に並べるためには、管体8のピッチを狭くすることは困難である。
【0014】
また、管体8のピッチを狭くするために、電磁弁10を前後千鳥状に配置することも考えられるが、エアの吐出タイミングを制御する電磁弁10と落下する樹脂材料との距離が場所によって変わるため、エア吐出のタイミングを調整することが困難になる。さらに、管体8を狭ピッチで並べる一方、電磁弁10は広ピッチで並べておき、エアノズルと電磁弁10とをフレキシブルなチューブ等で接続することも考えられるが、この場合も結局、電磁弁10と樹脂材料との距離が場所によって異なるため、制御が困難である。加えて、電磁弁10を通過したエアが曲がったチューブを通過して吐出されるため、気体の流れが乱れ、空間的な精度を確保できない懸念もある。
【0015】
本願発明は上記課題を解決するために創作されたものであり、樹脂混在物等の分別対象から所望の対象物を高純度に回収することができる分別方法、分別装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる分別装置は、複数の対象物と、複数の非対象物とが混在する分別対象から対象物と非対象物とを分別する分別装置であって、1層となるように平面的に配置される分別対象を順次搬送し、所定の位置で分別対象を搬送中の幅を維持して落下させる搬送手段と、前記搬送手段により搬送中の対象物の幅方向の位置情報を取得する位置情報取得手段と、幅方向に並んで配置され、落下中の前記対象物を吹き飛ばすための気体を吐出する管体であって、気体を吐出する開口部である複数の吐出口を備える管体と、複数備えられる前記管体にそれぞれ設けられ、前記管体に対し気体を流すか否かを決定する電磁弁と、前記位置情報取得手段から得られた位置情報に基づき落下する対象物を吹き飛ばせるように各前記電磁弁を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
これによれば、電磁弁の大きさにかかわりなく、幅方向に多数の吐出口を密に並べて配置することができ、分別対象の落下経路と吐出口との距離が短い場合でも、吐出される気体の力が乏しく落下する対象物に気体が作用しにくくなる部分の発生を抑止することが可能となる。
【0018】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる分別方法は、複数の対象物と、複数の非対象物とが混在する分別対象から対象物と非対象物とを分別する分別方法であって、分別対象を1層となるように平面的に配置し、搬送手段により前記配置された分別手段を所定方向に順次搬送し、所定の位置で分別対象を搬送中の幅を維持して落下させ、搬送中の対象物の幅方向の位置情報を位置情報取得手段により取得し、幅方向に並んで配置され、落下中の前記対象物を吹き飛ばすための気体を吐出する管体であって、幅方向に並んで配置され、気体を吐出する開口部である複数の吐出口を備える管体と、複数備えられる前記管体にそれぞれ設けられ、前記管体に対し気体を流すか否かを決定する電磁弁とを用い、前記位置情報取得手段から得られた位置情報に基づき制御手段が各前記電磁弁を制御して、落下する対象物を吹き飛ばすことを特徴とする。
【0019】
これによれば、電磁弁の大きさにかかわりなく、幅方向に多数の吐出口を密に並べて配置することができ、分別対象の落下経路と吐出口との距離が短い場合でも、吐出される気体の力が乏しく落下する対象物に気体が作用しにくくなる部分の発生を抑止することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本構成によれば、分別対象の落下経路と吐出口との距離を10mm以上、50mm以下とできるにもかかわらず、幅方向全体にわたって対象物を吹き飛ばすことが可能となる。従って、従前では高精度の選別が不可能であった5〜10mm程度のサイズの小さい対象物も吹飛ばすことができる。また、吐出口と対象物とが近接した状態で対象物を吹き飛ばすことができる為、吹き飛ばされた対象物の飛翔軌道が安定し、回収量も向上させることが可能となる。
【0021】
これにより、材料メーカーにより直接再生が可能となる純度99%以上の分別性能を獲得することが可能となる。また、5〜10mm程度のサイズの小さい対象物に対しても高精度に回収可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】分別装置を模式的に示す斜視図である。
【図2】管体と管体に接続される電磁弁とを模式的に示す斜視図である。
【図3】分別装置の搬送端近傍を示す図であり、(a)は、側面図、(b)は正面図である。
【図4】吐出口が一つの場合における吐出距離と飛翔距離の関係を示したグラフである。
【図5】吐出口の直径と飛翔距離の関係を示したグラフである。
【図6】吐出口に関し異なる状態の管体を用いた場合の飛翔距離の関係を示したグラフである。
【図7】分別装置の他の実施の形態を示す正面図である。
【図8】従来の分別装置を模式的に示す斜視図である。
【図9】従来の分別装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、分別装置を模式的に示す斜視図である。
【0024】
同図に示すように、分別装置20は、搬送手段1によって搬送される分別対象11から、所望する対象物2を分別する装置であり、搬送手段1と、位置情報取得手段4と、吐出口5を備える管体8と、電磁弁10と、制御手段14とを備えている。また、分別装置20は、空圧源15と分別版6とを備えている。
【0025】
搬送手段1は、1層となるように平面的に配置される分別対象11を順次搬送し、所定の位置で分別対象11を搬送中の幅を維持して落下させる装置である。本実施の形態の場合、搬送手段1としてベルトコンベアが採用されている。
【0026】
位置情報取得手段4は、搬送手段1により搬送中の対象物2の幅方向の位置情報を取得する装置である。具体的に位置情報取得手段4は、分別対象11を撮像し、得られた画像を解析することにより色や、形状、デザインに基づいて対象物2と非対象物3とを識別し、対象物2の位置情報を取得する機能を備えるものである。
【0027】
なお、位置情報取得手段4は、近赤外線センサ、中赤外線センサ、X線センサ、画像認識センサなど様々な方式の中から、感度の優れたセンサを備え、対象物2と非対象物3との材質の差に基づいて対象物2と非対象物3とを識別すると共に、搬送手段1の搬送方向と交差する方向に前記センサを走査し、対象物2の材質が存在する位置情報とそれ以外の位置情報とを取得することができるものや、複数個センサを並べ、対象物2の識別と位置情報の取得を同時にするものでもかまわない。
【0028】
図2は、管体と管体に接続される電磁弁とを模式的に示す斜視図である。
図3は、分別装置の搬送端近傍を示す図であり、(a)は、側面図、(b)は正面図である。
【0029】
管体8は、幅方向(x軸方向)に並んで配置され、落下中の対象物2を吹き飛ばすための気体を吐出する管体である。具体的には金属製のパイプを例示することができる。
【0030】
また、管体8は、幅方向(x軸方向)に並んで配置される吐出口5を備えている。
吐出口5は、気体を吐出する開口部であり、本実施の形態の場合、一つの管体8に対して二つ設けられている。吐出口5は、分別対象11の落下経路Aと吐出口5から吐出される気体の流れBとの交点Cと、吐出口5との距離Dが10mm以上、50mm以下の範囲から選定されることが好ましい。吐出口5の直径Eは、1.2mm以上、2.0mm以下の範囲から選定されることが好ましい。
【0031】
本実施の形態の場合、管体8は、円筒形状であって、内部に円柱形状の空洞を一つ備え、端部に前記空洞を閉塞する閉塞部7を備えており、一つの管体8に対し閉塞部7に円形の吐出口5が二つ設けられている。
【0032】
なお、管体8の形状は円筒形状ばかりでなく、断面が矩形や楕円形など任意の形状を採用しうる。また、吐出口5の形状も、円形ばかりでなく、矩形や星形など任意の形状を採用しうる。
【0033】
電磁弁10は、一つの管体8に一つ設けられ、管体8に対し気体を流すか否かを決定する装置である。本実施の形態の場合、電磁弁10は、いわゆるソレノイドバルブであり、一つの電磁弁10を開閉することにより、対応する管体8に設けられる複数の吐出口5から同時に気体流が流れるか否かを決定することができるものとなっている。
【0034】
以上の様な構造や配置を採用することにより、電磁弁10の大きさにかかわりなく狭ピッチ吐出口5を配置することが可能となり、サイズの小さい対象物2が、隣接する管体8の間に存在した場合においても確実に吹飛ばすことが可能となる。それに加えて、落下中の対象物2の近傍に配置される複数の吐出口5から同時に気体を吐出するために対象物2の飛翔軌道を安定させることができる。従って、対象物2の回収率を向上させることも可能となり、対象物2と非対象物3の分別精度も向上する。従って本構成の導入により、所望の樹脂の高純度化および高回収の両立が可能となる。
【0035】
制御手段14は、位置情報取得手段4から得られた位置情報に基づき落下する対象物2を吹き飛ばせるように各電磁弁10を制御する装置であり、いわゆるコンピュータである。
【0036】
分別版6は、吹き飛ばされた対象物2と、吹き飛ばされずに落下した非対象物3とを区別するために立設される板体である。
【0037】
空圧源15は、所定圧力の気体を管体8に供給することのできる装置である。本実施の形態の場合、空圧源15は、空気を一定の圧力で供給するコンプレッサである。
【実施例】
【0038】
次に、本願発明の実施例を説明する。本実施例は、複数種類の樹脂片を含む分別対象11から、ポリプロレン(以下、PP)からなる対象物2を分別する分別方法について詳細に説明するものである。
【0039】
分別対象11は、使用済み冷蔵庫からコンプレッサおよび断熱剤中のフロンなどを取り除いた後、粉砕機で破砕し回収されたものである。
【0040】
分別対象11は、分別対象11同士が重ならず、1層となるように、搬送手段1であるベルトコンベア上にホッパなどを用いて順次散布される。搬送手段1は、1m/秒で分別対象11を搬送できるように調整されている。位置情報取得手段4は、近赤外線識別装置を備えており、搬送手段1により位置情報取得手段4の下方に流れてきた分別対象11の中からPPからなる対象物2を識別し、その幅方向(x方向)における位置情報を順次取得している。
【0041】
次に、搬送手段1の搬出端より排出される識別された対象物2のみを吹き飛ばすように、制御手段14が電磁弁10を制御し、管体8の吐出口5から吐出する気体で対象物2を吹き飛ばした。気体は空気であり、その吐出圧力は0.3MPaであった。
【0042】
以上の状況の下、対象物2の飛翔距離を測定した。分別対象11の落下軌道Aと管体8から気体が吐出される延長線の交点Cを原点として、原点からのコンベア進行方向の距離をX(mm)とし、コンベアに垂直方向の距離をY(mm)と表記した。
【0043】
図4は、吐出口が一つの場合における吐出距離と飛翔距離の関係を示したグラフである。
【0044】
同図において、横軸は距離Dを表し、縦軸は樹脂がY軸方向に飛翔した距離を表している。吐出口5の口径は直径で2.0mmであり、吐出口5は、一つの管体8に対し一つ設けられている。電磁弁10が開の状態になる時間である吐出時間は21msである。管体8の配置角度であり、吐出口5から吐出される気体の角度である吐出角度は15°であった。
【0045】
対象物2は、その代表的な大きさである20mm×20mmのものを用いた。また周囲への気体吐出の広がりを確認するために隣接する位置に5mm×5mmのポリスチレン(以下、PS)の非対象物3を配置した。
【0046】
この結果より、落下経路Aと吐出口5との距離が10mm未満の場合は、ノズル部分に分別対象11が接触することで正確に吐出できない場合があるためにふさわしくないことを見出した。また50mmよりも大きくなると、一つの吐出口5からの噴射範囲が広くなる。従って、周辺に存在する非対象物3も飛翔するために精度が悪化しふさわしくないことを見出した。以上の結果より、分別対象11の落下経路Aと管体8が備える吐出口5からの延長上の直線距離である距離Dが10mm〜50mmが優れているということを見出した。
【0047】
図5は、吐出口の直径と飛翔距離の関係を示したグラフである。
同図において、横軸は樹脂がX方向に飛翔した距離を表し、縦軸は樹脂がY軸方向に飛翔した距離を表している。
【0048】
管体8には吐出口5が一つ設けられており、吐出口5の直径を1.0mm、1.2mm、1.8mm、2.0mm、2.5mmにそれぞれ変更したときの飛翔結果をまとめた。吐出口5の口径は1つ、吐出時間は21ms、吐出角度は15°、対象物2は、破砕物の代表的な大きさである20mm×20mmのサンプルを用いて飛翔距離を測定した。管体8を原点として、X方向およびY方向の飛翔を高速度カメラで測定することで飛翔距離を測定した。
【0049】
以上の結果、直径1.2mm以上の吐出口5の口径での飛翔距離が安定することを見出した。1.2mmよりも吐出口5の口径が小さいと空気抵抗が大きくなるために極端に吐出力が低下し、必要とする飛翔距離が得られない。また吐出口5の口径が2.5mmよりも大きい場合は衝突力が小さくなること、構造が大きくなるために高精度な選別ができなくなるという観点からふさわしくない。従って、回収量を確保するためには、吐出口5の口径は直径で1.2mm〜2.0mmがふさわしいということを見出した。
【0050】
図6は、吐出口に関し異なる状態の管体を用いた場合の飛翔距離の関係を示したグラフである。
【0051】
試験の種類としては以下の4種類を行った。1)管体8に吐出口5を一つ備えている場合であって、対象物2が吐出口5の正面に落下する場合、2)管体8に吐出口5を一つ備えている場合であって、対象物2が吐出口5の正面から幅方向に2.5mmずれた位置に落下する場合、3)管体8に吐出口5を二つ備えている場合であって、対象物2を二つの吐出口5の中間地点に落下する場合、4)管体8に吐出口5を二つ備えている場合であって、対象物2を二つの吐出口5の中間地点から幅方向に2.5mmずれた位置に落下する場合である。
【0052】
吐出時間は8ms、吐出角度は15°、対象物2は8mm×8mmのサンプルを用いて飛翔距離を測定した。
【0053】
前記2)と4)の場合を比較すると、管体8に複数の吐出口5を備える場合と比較して管体8に一つの吐出口を備える場合が極端に下がっていることを見出した。この結果より、サイズの小さい対象物に対応するためには、管体8に複数の吐出口5が設けられることに優位性があるということを見出した。
【0054】
なお、管体8に設けられる吐出口5の数が多くなればなるほど、一つの吐出口5の直径は小さくなり、気体の吐出力は小さくなる。これを補うためには、管体8に供給する気体の圧力を高く設定しなければならない。このために一つの管体8に設けられる吐出口5の数が多くなれば飛翔距離は小さくなる傾向にある。従って、管体8に設けられる吐出口5の数は二つが望ましい。
【0055】
図7は、分別装置の他の実施の形態を示す正面図である。
同図に示すように、本実施の形態の分別装置20が備える管体8は、対象物2の落下軌道Aに沿って並んだ吐出口5を備えている。
【0056】
本実施の形態の場合、幅方向に対しての複数の吐出口5が配置される優位性を維持したまま、対象物2の落下軌道Aに沿って吐出口5を配置することで、対象物2の飛翔安定性という観点で効果を発揮する。
【0057】
以上の様な実施の形態の分別装置20を採用し、以上の様な分別方法を採用することで、電磁弁10の干渉など機械構造的な限界に影響されること無く、吐出口5のピッチを5mmよりさらに小さくすることが可能となる。これにより、サイズの小さい対象物2を含む分別対象11から対象物2を高純度、かつ、高回収率で回収することが可能となる。さらに、対象物2が小さい場合でも、高純度で高い回収率を維持することができる為、直接材料メーカーにより再生が可能となる純度99%以上の分別性能を高精度かつ高回収に実施することを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、所望する特定材質からなる対象物の回収量と回収精度とを高めることができ、廃家電や一般廃棄物に含まれる特定材質からなる対象物を再資源化する分別装置、分別手法として、材料の資源循環に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 搬送手段
2 対象物
3 非対象物
4 位置情報取得手段
5 吐出口
6 分別版
7 閉塞部
8 管体
10 電磁弁
11 分別対象
14 制御手段
15 空圧源
20 分別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物と、複数の非対象物とが混在する分別対象から対象物と非対象物とを分別する分別装置であって、
1層となるように平面的に配置される分別対象を順次搬送し、所定の位置で分別対象を搬送中の幅を維持して落下させる搬送手段と、
前記搬送手段により搬送中の対象物の幅方向の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
幅方向に並んで配置され、落下中の前記対象物を吹き飛ばすための気体を吐出する管体であって、気体を吐出する開口部である複数の吐出口を備える管体と、
複数備えられる前記管体にそれぞれ設けられ、前記管体に対し気体を流すか否かを決定する電磁弁と、
前記位置情報取得手段から得られた位置情報に基づき落下する対象物を吹き飛ばせるように各前記電磁弁を制御する制御手段と
を備える分別装置。
【請求項2】
前記吐出口は、幅方向に並んで配置される
請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記吐出口は、対象物の落下方向に並んで配置される
請求項1または請求項2に記載の分別装置。
【請求項4】
前記分別対象の落下経路と前記吐出口から吐出される気体の流れとの交点と、前記吐出口との距離が10mm以上、50mm以下である
請求項2に記載の分別装置。
【請求項5】
前記吐出口の口径は、直径1.2mm以上、2.0mm以下である
請求項2または請求項4に記載の分別装置。
【請求項6】
前記管体は、二つの前記吐出口を備える
請求項1〜請求項5の何れかに記載の分別装置。
【請求項7】
複数の対象物と、複数の非対象物とが混在する分別対象から対象物と非対象物とを分別する分別方法であって、
分別対象を1層となるように平面的に配置し、
搬送手段により前記配置された分別手段を所定方向に順次搬送し、
所定の位置で分別対象を搬送中の幅を維持して落下させ、
搬送中の対象物の幅方向の位置情報を位置情報取得手段により取得し、
幅方向に並んで配置され、落下中の前記対象物を吹き飛ばすための気体を吐出する管体であって、気体を吐出する開口部である複数の吐出口を備える管体と、複数備えられる前記管体にそれぞれ設けられ、前記管体に対し気体を流すか否かを決定する電磁弁とを用い、前記位置情報取得手段から得られた位置情報に基づき制御手段が各前記電磁弁を制御して、落下する対象物を吹き飛ばす
分別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104461(P2011−104461A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259337(P2009−259337)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】