説明

分岐栓

【課題】分岐栓の分岐栓本体が外装部材内で回転することによって水栓への分岐栓の取付け作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓における分岐栓本体の横孔が形成される周方向の位置によらず接続部材を分岐栓本体に配置することができる、分岐栓を提供することを課題とする。
【解決手段】湯側流路11または水側流路12に連通し且つ外周面に開口する横孔14aと外周面に開口する挿入孔15aとを有する分岐栓本体10Aと、第一貫通孔22を有し分岐栓本体10Aが嵌装される外装部材20と、横孔14aと連通するように分岐栓本体10Aの外周面にその周方向に形成される溝部50と、第一接続部材30Aとを具備する分岐栓1Aであって、第一接続部材30Aの一端部33は、溝部50と分岐孔とが連通するように外装部材20の第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて分岐栓本体10Aに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐栓の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓に取付けられて、前記水栓から流入された湯または水を分岐させてこれを所定の接続装置に流出させる分岐栓であって、その軸心方向に貫通する湯側流路と、該軸心方向に貫通する水側流路と、該湯側流路または該水側流路に連通し且つその外周面に開口する横孔と、を有する分岐栓本体と、その内周面から外周面にむけて貫通する貫通孔を有し前記分岐栓本体が嵌装される外装部材と、前記分岐栓本体の横孔に固定されるその軸心方向における一端部と、前記所定の接続装置に接続可能に構成される該軸心方向における他端部と、該軸心方向に貫通する分岐流路とを有する接続部材と、を具備し、該接続部材の一端部は、前記分岐栓本体の横孔とその分岐流路とが連通するように前記外装部材の貫通孔に挿入されるとともに前記分岐栓本体の横孔に固定される分岐栓は、公知となっている。例えば、特許文献1に示す如くである。
【0003】
当該分岐栓は、水栓の構成部材であるカバーナットと水栓本体との間に配置されることによって、水栓に取付けられる。また、当該水栓の接続部材の他端部には、ホース等を介して所定の接続装置が接続される。
そして、当該分岐栓では、その接続部材の一端部が、外装部材の貫通孔に挿入されるとともに分岐栓本体の横孔に固定されることにより、当該横孔と連通する流路(湯側流路または水側流路)から接続部材の他端部に接続された接続装置に湯または水を分岐させつつ、外装部材内で分岐栓本体が回転して分岐栓の取付け作業が煩雑になることを防止している。
なお、当該所定の接続装置とは、浄水器や食洗機等を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−88833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、当該分岐栓の多くは、その構造を簡易にするために、その分岐栓本体の横孔は、湯側流路と水側流路のうち何れか一方の所望の流路にのみ連通するように構成されている。このことは、例えば、当該分岐栓における分岐栓本体の横孔が、湯側流路と水側流路のうち所望の流路に連通し、且つ、所望の流路でない流路にも連通している場合には、当該所望の流路でない流路と横孔とを閉塞させるための部材が必要となり、その構造が複雑になるためである。
【0006】
しかしながら、このように分岐栓本体の横孔を湯側流路と水側流路のうち所望の流路にのみ連通させることにより、当該横孔が形成される周方向の位置は、所定の範囲内に制限されることとなる。そして、このように分岐栓本体の横孔を前記所望の流路にのみ連通させることにより、当該横孔に固定される接続部材の周方向の位置は、前記横孔の周方向の位置によって決定されて、当該横孔と同様に所定の範囲内に制限されることとなる。
このため、当該分岐栓では、その分岐栓本体における横孔が形成される周方向の位置によって、所定の接続装置を接続部材に接続することが困難な場合がある。また、当該分岐栓では、所定の接続装置を接続部材に接続することができても、当該接続装置を接続するためのホースを引き回して水栓回りが煩雑になる場合がある。
【0007】
即ち、本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、分岐栓の分岐栓本体が外装部材内で回転することによって水栓への分岐栓の取付け作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓における分岐栓本体の横孔が形成される周方向の位置によらず接続部材を分岐栓本体に配置することができる、分岐栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、水栓に取付けられて、前記水栓から流入された湯または水を分岐させてこれを所定の接続装置に流出させる分岐栓であって、その軸心方向に貫通する湯側流路と、該軸心方向に貫通する水側流路と、該湯側流路または該水側流路に連通し且つその外周面に開口する横孔と、該外周面に開口する挿入孔と、を有する分岐栓本体と、その内周面から外周面にむけて貫通する第一貫通孔を有し、前記分岐栓本体が嵌装される外装部材と、前記横孔と連通するように前記分岐栓本体の外周面にその周方向に形成される第一溝と、前記第一貫通孔と連通するように前記外装部材における内周面にその周方向に形成される第二溝と、のうち少なくともいずれか一方によって構成される溝部と、前記分岐栓本体の挿入孔に挿入されるその軸心方向における一端部と、前記所定の接続装置に接続可能に構成される該軸心方向における他端部と、該軸心方向中途部の外周面に開口する分岐孔と、該他端部の端面に開口するとともに該分岐孔と連通する第一分岐流路と、を有する第一接続部材と、を具備し、前記第一接続部材の一端部は、前記溝部と前記分岐孔とが連通するように、前記外装部材の第一貫通孔に挿入されるとともに前記分岐栓本体の挿入孔に挿入されて、該外装部材と該分岐栓本体とのうち少なくとも何れか一方に固定されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記外装部材は、その内周面から外周面にむけて貫通する第二貫通孔を有し、
該外装部材に固定されるその軸心方向における一端部と、前記所定の接続機器に接続可能に構成される該軸心方向における他端部と、該軸心方向に貫通して該一端部の端面と該他端部の端面とに開口する第二分岐流路と、を有する第二接続部材をさらに具備し、該第二接続部材の一端部は、前記溝部と前記第二分岐流路とが連通するように前記外装部材に固定されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記第一接続部材は、前記分岐孔よりも前記一端部側において、前記第一分岐流路を閉塞する閉塞部を備えるものである。
【0012】
請求項4においては、前記分岐栓本体の横孔と挿入孔とが一体的に構成され、前記第一接続部材の第一分岐流路は、その軸心方向に貫通して第一接続部材の一端部の端面にも開口するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
即ち、本発明によれば、分岐栓の分岐栓本体が外装部材内で回転することによって水栓への分岐栓の取付作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓における分岐栓本体の横孔が形成される位置によらず接続部材を分岐栓本体に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る分岐栓と水栓との各構成部材とを示した側面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る分岐栓を示した平面図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る分岐栓を示した背面図。
【図4】本発明の第一実施形態に係る分岐栓のA−A断面図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る分岐栓のB−B断面図。
【図6】本発明の別実施に係る分岐栓を示した側面断面図。
【図7】本発明の別実施に係る分岐栓を示した平面断面図。
【図8】本発明の第二実施形態に係る分岐栓を示した平面図。
【図9】本発明の第二実施形態に係る分岐栓を示した背面図。
【図10】本発明の第二実施形態に係る分岐栓のC−C断面図。
【図11】本発明の第二実施形態に係る分岐栓のD−D断面図。
【図12】本発明の第三実施形態に係る分岐栓を示した平面図。
【図13】本発明の第三実施形態に係る分岐栓を示した背面図。
【図14】本発明の第三実施形態に係る分岐栓のE−E断面図。
【図15】本発明の第三実施形態に係る分岐栓のF−F断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る分岐栓1Aの第一実施形態を図1から図7を用いて説明する。
分岐栓1Aは、図1に示す如く、水栓60の構成部材である水栓本体61とカバーナット63との間に配置されて水栓60に取付けられ、所定の接続装置に分岐コック65やホース66等を介して接続される。そして、分岐栓1Aは、水栓60の水栓本体61から流入される湯または水を、分岐栓1A内で分岐させ、前記所定の接続装置に流出させる。
ここで、分岐栓1Aが接続される前記所定の接続装置とは、浄水器や食洗機等を示す。
【0017】
なお、分岐栓1Aが取付けられていない通常の使用状態における水栓60は、水栓本体61とカートリッジ62とカバーナット63とハンドルレバー64とを具備している。水栓本体61内には、ボイラー等と接続される湯側流路管と、水道管と接続される水側流路管と、湯、水、または、湯水混合液が流通する混合流路管と、が設けられている。水栓本体61の上下中途部の外周部には、混合流路管と連通し、前記湯水混合液等を外部に流出するためのスパウトが設けられている。また、水栓本体61は、その上部にカートリッジ62を内装するための筒形状のケースを備える。当該ケースの上端部の外周面には雄ネジが形成されている。カートリッジ62による吐水および止水の切り替えや、湯および水の吐水量の調節は、ハンドルレバー64の操作により行われる。そして、水栓60は、水栓本体61が台所の流し台に固定した状態に設けられ、当該水栓本体61の上部にはカートリッジ62とカバーナット63とハンドルレバー64とが順に配置されて構成されている。
【0018】
分岐栓1Aが取付けられた水栓60においては、カートリッジ62と、水栓本体61の湯側流路管、水側流路管、および、混合流路管が、それぞれ分岐栓1Aを介して接続されており、カートリッジ62により、湯側流路管および水側流路管から供給される湯および水の混合流路管への、吐水および止水の切り替えや、湯および水の吐水量の調節が行われる。
【0019】
分岐栓1Aは、図2および図3に示す如く、分岐栓本体10Aと、外装部材20と、第一接続部材30Aと、を具備する。なお、以下において、分岐栓1Aは水栓本体61から水を分岐させる場合の構成に係るものとして説明する。
【0020】
分岐栓本体10Aは、図2から図5に示す如く、金属素材からなる部材であって、軸心方向を上下方向とする円柱形状に形成されている。分岐栓本体10Aは、湯側流路11と、水側流路12と、混合流路13と、横孔14aと、挿入孔15aと、第一溝16と、外突部17とを有する。
【0021】
湯側流路11は、水栓本体61の湯側流路管に接続され、湯側流路管から流入される湯を流通させ、カートリッジ62に流出させる流路である。湯側流路11は、分岐栓本体10Aの軸心方向に貫通され、図2および図5に示す平面視において上下の開口部が前右方に配置されるように形成されている。
なお、本説明では、図2および図5における上方を分岐栓1Aの前方と、図2および図5における下方を分岐栓1Aの後方と、適宜記載する。
【0022】
水側流路12は、水栓本体61の前記水側流路管に接続され、水側流路管から流入される水を流通させ、カートリッジ62に流出させる流路である。水側流路12は、分岐栓本体10Aの軸心方向に湯側流路11と平行に貫通され、図2および図5に示す平面視において上下の開口部が前左方に配置されるように形成されている。
【0023】
混合流路13は、カートリッジ62から流入される、湯、水、または、湯水混合液を流通させ、水栓本体61に流出させる流路である。混合流路13は、分岐栓本体10Aの軸心方向に湯側流路11および水側流路12と平行に貫通され、図2および図5に示す平面視において上下の開口部が後方に配置されるように形成されている。
湯側流路11、水側流路12、および、混合流路13のそれぞれの下端部(分岐栓本体10Aの湯側流路管、水側流路管、および混合流路管との接続部)には、水漏れ防止用の環状のパッキンが設けられている。
【0024】
横孔14aは、所望の流路、即ち、分岐栓本体10Aの流路(湯側流路11、または、水側流路12)のうち、湯を分岐させたい場合には湯側流路11に連通され、水を分岐させたい場合には水側流路12に連通されて、当該所望の流路から湯または水を分岐させる孔である。
横孔14aは、本実施形態においては、水側流路12に連通される。具体的には、横孔14aは、分岐栓本体10Aの軸心方向に対して略直角に、図5に示す平面視において分岐栓本体10Aの前左方の外周面から水側流路12まで形成されている。つまり、横孔14aは、水側流路12と連通し且つ分岐栓本体10Aの前左方の外周面で開口するように形成されている。
【0025】
挿入孔15aは、第一接続部材30Aが挿入される孔であり、分岐栓本体10Aの軸心方向に対して略直角に、図5に示す平面視において分岐栓本体10Aの後方の外周面から混合流路13まで形成されている。つまり、挿入孔15aは、混合流路13と連通し且つ分岐栓本体10Aの後方の外周面で開口するように形成されている。
挿入孔15aは、分岐栓本体10Aの軸心方向(上下方向)におけるその位置が、分岐栓本体10Aの軸心方向(上下方向)における横孔14aの位置と略同一の位置となるように形成されている(図4参照)。
挿入孔15aの内周面には、雌ネジが形成されている。
【0026】
第一溝16は、分岐栓本体10Aの外周面の周方向に周状の溝が形成されることによって構成される。また、第一溝16は、横孔14aおよび挿入孔15aと連通するように、その一部が、分岐栓本体10Aの外周面における横孔14aおよび挿入孔15aの開口部と一致するように形成されている。第一溝16は、溝部50として構成される。本例の場合、第一溝16は分岐栓本体10Aの外周面の全周にわたって形成されている。
また、分岐栓本体10Aにおける第一溝16の上下両側には、位置決め溝が各々形成されて、当該位置決め溝にOリングが嵌装される(図4参照)。
【0027】
外突部17は、分岐栓本体10Aにおける下端部の外周面から半径方向外側に向けて突出し、周状に形成される。
【0028】
外装部材20は、分岐栓本体10Aが嵌装される金属素材からなる部材であって、外装本体21Aと、固定ナット25と、を具備する。
【0029】
外装本体21Aは、軸心方向を上下方向とする筒形状に形成される。また、外装本体21Aは、分岐栓本体10Aを嵌装可能なように、その内周面の径が分岐栓本体10A(外突部17を除く)の外周面の径と略同一に形成される。
外装本体21Aにおける上下中途部および下部の外周面の径は、その上部の外周面の径よりも大きい径に形成される。
外装本体21Aにおける上下中途部には、外装本体21Aの軸心方向に対して略直角に、図5に示す平面視において外装本体21Aの後方の内周面から外周面に向けて貫通する第一貫通孔22が形成される。第一貫通孔22は、第一接続部材30Aが分岐栓本体10Aに固定される際に、該第一接続部材30Aが挿入される孔である。
外装本体21Aにおける上部の外周面には、カバーナット63の開口部と螺合可能なように雄ネジが形成されている。
【0030】
固定ナット25は、分岐栓1Aを水栓本体61に取付けるための役割を果すものである。
固定ナット25は、その内周面の径が、固定ナット25内に分岐栓本体10Aの外突部17を嵌装可能なように分岐栓本体10Aの外突部17の外径と略同一に形成される。
【0031】
固定ナット25は、その上端部が内周面から半径方向内側に向けて突出し、周状に形成される内突部26を有する。内突部26は、その内径が固定ナット25内に分岐栓本体10Aの外突部17を除く部分を嵌装可能なように当該分岐栓本体10Aの外周面の径と略同一に形成される。
また、固定ナット25の内突部26を除く内周面には、水栓本体61の開口部分に螺合可能なように雌ネジが形成される。
【0032】
そして、固定ナット25には、固定ナット25の内突部26と分岐栓本体10Aの外突部17とが係合するように、下方から分岐栓本体10Aが嵌装される。
さらに、外装本体21Aには、下方から係る状態の分岐栓本体10Aが嵌装される。この際、外装本体21Aの第一貫通孔22と分岐栓本体10Aの挿入孔15aとを一致させた状態で、外装本体21Aに分岐栓本体10Aが嵌装される。さらに、このように分岐栓本体10Aが外装本体21Aに嵌装された状態においては、水側流路12と第一貫通孔22とは、横孔14aおよび第一溝16を介して連通することとなる。
このようにして外装部材20(外装本体21Aおよび固定ナット25)に、分岐栓本体10Aが嵌挿される。
【0033】
第一接続部材30Aは、所定の接続装置に接続されて、水栓本体61から分岐栓本体10Aに流入した湯や水を、当該所定の接続装置に分岐させる部材である。第一接続部材30Aは、金属素材からなる部材であり、挿入部31と接続部32とから構成される。
第一接続部材30Aの挿入部31は円柱形状に形成され、その接続部32は六角柱形状に形成されている。そして、第一接続部材30Aは、その挿入部31と接続部32との互いの軸心を一致させるように挿入部31の一側面に接続部32が一体的に設けられて構成されている。
【0034】
ここで、第一接続部材30Aにおけるその軸心方向の挿入部31側の端部は、第一接続部材30Aの軸心方向における一端部33として構成される。第一接続部材30Aおけるその軸心方向の接続部32側の端部は、第一接続部材30Aの軸心方向における他端部34として構成される。
【0035】
第一接続部材30Aにおける挿入部31の外周面の径は、その一端部33が外装本体21Aの第一貫通孔22および分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて分岐栓本体10Aの挿入孔15aに接合可能なように、外装本体21Aの第一貫通孔22および分岐栓本体10Aの挿入孔15aにおける内周面の径と略同一に形成される。
第一接続部材30Aにおける挿入部31の外周面には、分岐栓本体10Aにおける挿入孔15aにその一端部33が挿入されて挿入孔15aと螺合可能なように、雄ネジが形成されている。第一接続部材30Aにおける接続部32の外周面には、前記所定の接続装置に接続可能なように雄ネジが形成される。
【0036】
第一接続部材30Aの挿入部31における軸心方向の長さは、一端部33が外装本体21Aの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入可能な長さに構成される。
【0037】
さらに、第一接続部材30Aは、分岐孔36と第一分岐流路35aとを有する。
第一接続部材30Aの分岐孔36は、その軸心と直交するように挿入部31における軸心方向中途部の外周面に開口し、夫々90度位相をずらして4つ形成されている。また、分岐孔36は、第一接続部材30Aが外装本体21Aの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて分岐栓本体10Aに固定された際に、これが溝部50(分岐栓本体10Aの第一溝16)と連通する位置に形成される。
【0038】
第一接続部材30Aの第一分岐流路35aは、その他端部34の端面に開口するとともに分岐孔36と連通するようにして、第一接続部材30Aの軸心方向に沿って形成される。
もっとも、第一分岐流路35aは、閉塞部37を備える。閉塞部37とは、分岐孔36よりも一端部33側において、第一分岐流路35aを閉塞するものである。第一接続部材30Aでは、第一分岐流路35aが分岐孔36と連通し且つ一端部33の端面に開口しないように形成されることにより、分岐孔36よりも一端部33側において第一分岐流路35aを閉塞する閉塞部37を備える構成とされる。
【0039】
第一接続部材30Aにおける分岐孔36より接続部32側における挿入部31の外周面には、位置決め溝が形成されており、当該位置決め溝に水漏れ防止用の環状のパッキンが設けられている。
【0040】
そして、第一接続部材30Aは、前記のように外装部材20(外装本体21Aおよび固定ナット25)に分岐栓本体10Aが嵌挿された状態で、その一端部33が、外装本体21Aの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて、これの雄ネジと挿入孔15aの雌ネジとを螺合させることによって、分岐栓本体10Aに固定される。この場合、第一接続部材30Aの雄ネジと分岐栓本体10Aの挿入孔15aの雌ネジとの間は、接着剤等のシール材を介装するなどして水密的にシールされる。
【0041】
このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Aに固定された際に、第一接続部材30Aの分岐孔36と溝部50(分岐栓本体10Aの第一溝16)とが連通することとなる。即ち、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Aに固定された際に、分岐栓本体10Aの水側流路12と第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、横孔14a、溝部50、および分岐孔36を介して連通することとなる。
以上のようにして、分岐栓1Aは構成される。
【0042】
分岐栓1Aが、水栓60に取付けられる手順について具体的に説明する。
まず、水栓本体61の上に分岐栓1Aを載置する。この際、水栓本体61の湯側流路管と分岐栓本体10Aの湯側流路11との夫々の開口位置、水栓本体61の水側流路管と分岐栓本体10Aの水側流路12との夫々の開口位置、および、水栓本体61の混合液流路管と分岐栓本体10Aの混合流路13との夫々の開口位置を、一致させるようにして、水栓本体61の上に分岐栓1Aを載置する。
このように水栓本体61の上に分岐栓1Aを載置することで、前記湯側流路管と湯側流路11とが、前記水側流路管と水側流路12とが、および、前記混合液流路管と混合流路13とが、それぞれ連通されることとなる。つまり、水栓本体61の前記水側流路管と、第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、水側流路12、横孔14a、溝部50(第一溝16)、および分岐孔36、を介して連通することとなる。
【0043】
次に、固定ナット25を水栓本体61に接合させる。具体的には、固定ナット25を外装本体21Aに対して回転させて固定ナット25の内周面に形成された雌ネジと、水栓本体61のケースの雄ネジとを螺合させていく。このように固定ナット25の雌ネジと水栓本体61の雄ネジとを螺合させていくことにより、固定ナット25の内突部26と分岐栓本体10Aの外突部17とが係合されて、分岐栓本体10Aの下端部が水栓本体61のケースに押圧されて、分岐栓1Aが水栓本体61に取付けられる。
【0044】
そして、当該分岐栓1Aにおける分岐栓本体10Aの上部に、カートリッジ62を載置する。
さらに、外装本体21Aの上部とカバーナット63とを接合させる。具体的には、ハンドルレバー64が取付けられたカバーナット63をカートリッジ62にかぶせて、当該カバーナット63の雌ネジと外装本体21Aの上部の雄ネジとを螺合させてこれらを接合させる。
このようにして、分岐栓1Aは水栓60に取付けられる。
【0045】
以上のように分岐栓1Aでは、その第一溝16は、分岐栓本体10Aの外周面にその周方向に、周状の溝が形成されることによって構成される。分岐栓本体10Aの第一溝16は、横孔14aおよび挿入孔15aと連通するように形成される。このため、分岐栓1Aでは、分岐栓本体10Aの横孔14aが形成される周方向の位置によらず、挿入孔15aを分岐栓本体10Aに形成することができる。
また、第一接続部材30Aは、その一端部33が、外装本体21Aの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて、分岐栓本体10Aに固定される。そして、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Aに固定された際に、分岐栓本体10Aの水側流路12と第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、横孔14a、溝部50、および分岐孔36を介して連通することとなる。さらに、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Aに固定されることによって、分岐栓本体10Aが外装部材20内で回転することが防止される。
したがって、分岐栓1Aによれば、分岐栓本体10Aが外装部材20内で回転することによって水栓への分岐栓の取付け作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓本体10Aの横孔14aが形成される周方向の位置によらず第一接続部材30Aを分岐栓本体10Aに配置することができる。
【0046】
分岐栓本体10Aの挿入孔15aは、混合流路13と連通するように形成されている。もっとも、第一接続部材30Aは、分岐孔36よりも一端部33側において第一分岐流路35aを閉塞する閉塞部37を備える。
このため、分岐栓1Aでは、分岐栓本体10Aの挿入孔15aと、分岐栓本体10Aの流路(湯側流路11、水側流路12、または混合流路13)と、が連通するような場合でも、当該分岐栓本体10Aの流路と第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとの連通は、閉塞部37により遮断される。他方、分岐栓1Aでは、分岐栓本体10Aの流路(湯側流路11、または、水側流路12)のうち第一接続部材30Aの第一分岐流路35aと連通させたい所望の流路と、第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、分岐栓本体10Aの横孔14a、第一溝16、および第一接続部材30Aの分岐孔36を介して連通している。
したがって、分岐栓1Aでは、その第一接続部材30Aの第一分岐流路35aを、溝部50および分岐孔36を介して前記所望の流路(湯側流路11、または、水側流路12)にのみ連通させて、当該所望の流路からのみ水や湯を分岐させることができる。
【0047】
挿入孔15aは、分岐栓本体10Aの軸心方向(上下方向)におけるその位置が、分岐栓本体10Aの軸心方向(上下方向)における横孔14aの位置と略同一の位置となるように形成されている。つまり、挿入孔15aは、これの軸心と横孔14aの軸心とが一致するように形成されている。
第一溝16は、分岐栓本体10Aの外周面にその周方向に周状の溝が形成されることによって構成される。また、第一溝16は、横孔14aおよび挿入孔15aと連通するように、その一部が、分岐栓本体10Aの周面における横孔14aおよび挿入孔15aの開口部と一致するように形成されている。
したがって、分岐栓1Aによれば、この軸心方向の長さを従来の分岐栓と比べて長く構成することなく、本発明に係る分岐栓を実現することができる。
【0048】
なお、横孔14aは、水栓本体61から湯を分岐させたい場合には、湯側流路11に連通するように形成されていてもよいものとする。
【0049】
分岐栓1Aの溝部50は、図6および図7に示す如く、第一溝16に代えて第二溝24によって構成されても良いものとする。
具体的には、第二溝24は、外装本体21Aの内周面の周方向に周状の溝が形成されることによって構成される。また、第二溝24は、第一貫通孔22および横孔14aと連通するように、その一部が、外装本体21Aの内周面における横孔14aの開口部と一致するように形成されている。本例の場合、第二溝24は、外装本体21Aの内周面の全周にわたって形成されている。
そして、当該第二溝24を有する外装本体21Aに、固定ナット25に嵌装された分岐栓本体10Aを下方から嵌装する。この際、外装本体21Aの第一貫通孔22と分岐栓本体10Aの挿入孔15aとを一致させた状態で、外装本体21Aに分岐栓本体10Aが嵌装される。さらに、このように分岐栓本体10Aが外装本体21Aに嵌装された状態においては、水側流路12と第一貫通孔22とは、横孔14aおよび第二溝24を介して連通することとなる。
なお、分岐栓1Aの溝部50は、第一溝16と第二溝24とによって構成されても良いものとする。
【0050】
第一接続部材30Aは、分岐栓本体10Aに固定されているが、外装部材20に固定されても良いものとする。例えば、外装本体21Aの第一貫通孔22の内周面に雌ネジを形成する。そして、第一接続部材30Aの一端部33が、当該第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Aの挿入孔15aに挿入されて、前記第一貫通孔22の雌ネジと第一接続部材30Aの雄ネジとを螺合させることによって、第一接続部材30Aが外装部材20(外装本体21A)に固定されてもよいものとする。
【0051】
第一接続部材30Aがその一端部33の端面を閉塞する閉塞部37を備える構成は、一端部33の開口を閉塞するような構成であればよく、例えば、第一接続部材30Aの軸心を貫通するように第一分岐流路35aを形成して、所定の閉塞部材でその一端部33の開口を閉塞する構成としても良いものとする。
【0052】
次に、図8から図11を用いて、本発明に係る分岐栓の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態に係る分岐栓1Bは、第一実施形態に係る分岐栓1Aと同様の構成を有する部分があるため、本実施形態に係る分岐栓1Bの説明は、分岐栓1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、分岐栓1Aの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
分岐栓1Bは、図8および図9に示す如く、分岐栓本体10Bと、外装部材20と、第一接続部材30Aと、第二接続部材40とを具備する。
【0054】
分岐栓本体10Bは、図8および図11に示す如く、湯側流路11と、水側流路12と、混合流路13と、横孔14aと、挿入孔15bと、第一溝16と、外突部17とを有する。
【0055】
挿入孔15bは、第一接続部材30Aが挿入される孔であり、分岐栓本体10Bの軸心方向に対して略直角に、図11に示す平面視において分岐栓本体10Bの右方の外周面から湯側流路11まで形成されている。つまり、挿入孔15bは、湯側流路11と連通し且つ分岐栓本体10Bの右方の外周面で開口するように形成されている。
挿入孔15bは、分岐栓本体10Bの軸心方向(上下方向)におけるその位置が、分岐栓本体10Bの軸心方向(上下方向)における横孔14aの位置と略同一の位置となるように形成されている(図10参照)。
挿入孔15bの内周面には、雌ネジが形成されている。
【0056】
第一溝16は、横孔14aおよび挿入孔15bと連通するように、その一部が、分岐栓本体10Bの外周面における横孔14aおよび挿入孔15bの開口部と一致するように形成されている。
【0057】
外装部材20は、分岐栓本体10Bが嵌装される金属素材からなる部材であって、外装本体21Bと、固定ナット25と、を具備する。
【0058】
外装本体21Bにおける上下中途部には、外装本体21Bの軸心方向に対して略直角に、図11に示す平面視において外装本体21Bの右方の内周面から外周面に向けて貫通する第一貫通孔22が形成される。
外装本体21Bにおける上下中途部には、外装本体21Bの軸心方向に対して略直角に、図11に示す平面視において外装本体21Bの左方の内周面から外周面に向けて貫通する第二貫通孔23が形成される。
つまり、第一貫通孔22と第二貫通孔23とは左右対称となるように形成されている。また、第一貫通孔22と第二貫通孔23とは、それぞれ上下方向において略同一の位置に形成されている。
第二貫通孔23の内周面には、第二接続部材40と螺合可能な雌ネジが形成されている。
【0059】
外装本体21Bには、固定ナット25が嵌装された分岐栓本体10Bが、下方から嵌装される。この際、外装本体21Bの第一貫通孔22と分岐栓本体10Bの挿入孔15bとを一致させた状態で、外装本体21Bに分岐栓本体10Bが嵌装される。そして、このように分岐栓本体10Bが外装本体21Bに嵌装された状態においては、水側流路12と第一貫通孔22とは、横孔14aおよび第一溝16を介して連通することとなる。
このようにして外装部材20(外装本体21Bおよび固定ナット25)に、分岐栓本体10Bが嵌挿される。
【0060】
そして、第一接続部材30Aは、前記のように外装部材20(外装本体21Bおよび固定ナット25)に分岐栓本体10Bが嵌挿された状態で、その一端部33が、外装本体21Bの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Bの挿入孔15bに挿入されて、分岐栓本体10Aに固定される。
【0061】
このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Bに固定された際に、第一接続部材30Aの分岐孔36と溝部50(分岐栓本体10Bの第一溝16)とが連通することとなる。即ち、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Bに固定された際に、分岐栓本体10Bの水側流路12と第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、横孔14a、溝部50、および分岐孔36を介して連通することとなる。
【0062】
第二接続部材40は、所定の接続装置に接続されて、水栓本体61から分岐栓本体10Bに流入した湯や水を、当該所定の接続装置に分岐させる部材である。第二接続部材40は、金属素材からなる部材であり、挿入部41と接続部42とから構成される。
第二接続部材40の挿入部41は円柱形状に形成され、その接続部42は六角柱形状に形成されている。そして、第二接続部材40は、その挿入部41と接続部42との互いの軸心を一致させるように挿入部41の一側面に接続部42が一体的に設けられて構成されている。
【0063】
ここで、第二接続部材40におけるその軸心方向の挿入部41側の端部は、第二接続部材40の軸心方向における一端部43として構成される。第二接続部材40おけるその軸心方向の接続部42側の端部は、第二接続部材40の軸心方向における他端部44として構成される。
【0064】
第二接続部材40における挿入部41の外周面の径は、その一端部43が外装本体21Bの第二貫通孔23に挿入されて当該第二貫通孔23に接合可能なように、外装本体21Bにおける第二貫通孔23の内周面の径と略同一に形成される。
第二接続部材40における挿入部41の外周面には、外装本体21Bにおける第二貫通孔23にその一端部43が挿入されて第二貫通孔23と螺合可能なように、雄ネジが形成されている。第二接続部材40における接続部42の外周面には、前記所定の接続装置に接続可能なように雄ネジが形成される。
第二接続部材40の挿入部41における軸心方向の長さは、外装本体21Bにおける第二貫通孔23の軸心方向の長さと略同一に構成される。
【0065】
さらに、第二接続部材40は、第二分岐流路45を有する。
第二分岐流路45は、その一端部43の端面および他端部44の端面に開口するとともに、第二接続部材40の軸心を貫通するようにして形成される。
【0066】
そして、第二接続部材40は、その一端部43が、外装本体21Bの第二貫通孔23に挿入されて、これの雄ネジと第二貫通孔23の雌ネジとを螺合させることによって、外装本体21Bに固定される。この場合、第二接続部材40の雄ネジと外装本体21Bの第二貫通孔23の雌ネジとの間は、接着剤等のシール材を介装するなどして水密的にシールされる。
【0067】
このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、第二接続部材40の第二分岐流路45と溝部50(分岐栓本体10Bの第一溝16)とが連通することとなる。即ち、このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、分岐栓本体10Bの水側流路12と第二接続部材40の第二分岐流路45とは、横孔14a、および、溝部50を介して連通することとなる。
以上のようにして、分岐栓1Bは構成される。
【0068】
分岐栓1Bでは、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Bに固定された際に、分岐栓本体10Bの水側流路12と第一接続部材30Aの第一分岐流路35aとは、横孔14a、溝部50、および分岐孔36を介して連通することとなる。
また、分岐栓1Bでは、このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、第二接続部材40の第二分岐流路45と溝部50(分岐栓本体10Bの第一溝16)とが連通することとなる。
さらに、このように第一接続部材30Aが分岐栓本体10Bに固定されることによって、分岐栓本体10Bが外装部材20内で回転することが防止される。
【0069】
したがって、分岐栓1Bによれば、分岐栓本体10Bが外装部材20内で回転することによって水栓への分岐栓1Bの取付け作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓本体10Bの横孔14aが形成される周方向の位置によらず、第一接続部材30Aを分岐栓本体10Aに、第二接続部材40を外装部材20に配置することができる。
また、分岐栓1Bによれば、2つの接続部材(第一接続部材30Aおよび第二接続部材40)にそれぞれ所定の接続装置を接続して、水のみまたは湯のみを、当該2台の所定の接続装置に同時に分岐させることができる。よって、分岐栓1Bによれば、このような水のみまたは湯のみを2台の接続装置に同時に分岐することができ、且つ、分岐栓本体10Bの横孔14aが形成される周方向の位置によらず、第一接続部材30Aを分岐栓本体10Aに、第二接続部材40を外装部材20に配置することができる分岐栓を、簡易構造で実現することができる。
【0070】
次に、図12から図15を用いて、本発明に係る分岐栓の第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態に係る分岐栓1Cは、第一実施形態に係る分岐栓1Aおよび第二実施形態に係る分岐栓1Bと同様の構成を有する部分があるため、本実施形態に係る分岐栓1Cの説明は、分岐栓1Aおよび分岐栓1Bと同様の構成の部分については適宜省略し、分岐栓1Aおよび分岐栓1Bの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0071】
分岐栓1Cは、図12および図13に示す如く、分岐栓本体10Cと、外装部材20(外装本体21Bおよび固定ナット25)と、第一接続部材30Cと、第二接続部材40とを具備する。
【0072】
分岐栓本体10Cは、図12および図15に示す如く、湯側流路11と、水側流路12と、混合流路13と、横孔14cと、挿入孔15cと、第一溝16と、外突部17とを有する。
【0073】
分岐栓本体10Cの横孔14cと挿入孔15cとは、一体的に構成される。
当該一体的に構成される横孔14cおよび挿入孔15c(以下、一体孔18と称する)は、分岐栓本体10Cの軸心方向に対して略直角に、図15に示す平面視において分岐栓本体10Cの左方の外周面から水側流路12まで形成されている。つまり、一体孔18は、水側流路12と連通し且つ分岐栓本体10Cの左方の外周面で開口するように形成されている。
一体孔18の内周面には、雌ネジが形成されている。
【0074】
第一溝16は、一体孔18と連通するように、その一部が、分岐栓本体10Cの外周面における一体孔18の開口部と一致するように形成されている。
【0075】
外装本体21Bには、固定ナット25が嵌装された分岐栓本体10Cが、下方から嵌装される。この際、外装本体21Bの第一貫通孔22と分岐栓本体10Cの一体孔18とを一致させた状態で、外装本体21Bに分岐栓本体10Cが嵌装される。そして、このように分岐栓本体10Cが外装本体21Bに嵌装された状態においては、水側流路12と第一貫通孔22とは、一体孔18および第一溝16を介して連通することとなる。
このようにして外装部材20(外装本体21Bおよび固定ナット25)に、分岐栓本体10Cが嵌挿される。
【0076】
第一接続部材30Cは、分岐孔36と第一分岐流路35cとを有する。
第一接続部材30Cの第一分岐流路35cは、その一端部33の端面およびその他端部34の端面に開口するとともに、分岐孔36と連通するようにして、第一接続部材30Cの軸心を貫通するようにして形成される。即ち、第一接続部材30Cは、閉塞部37を備えないように構成される。
【0077】
そして、第一接続部材30Cは、前記のように外装部材20(外装本体21Bおよび固定ナット25)に分岐栓本体10Cが嵌挿された状態で、その一端部33が、外装本体21Bの第一貫通孔22に挿入されるとともに分岐栓本体10Cの一体孔18(挿入孔15c)に挿入されて、これの雄ネジと一体孔18の雌ネジとを螺合させることによって、分岐栓本体10Cに固定される。
【0078】
このように第一接続部材30Cが分岐栓本体10Cに固定された際に、第一分岐流路35cと分岐栓本体10Cの水側流路12とが直接連通し、且つ、分岐孔36と溝部50(分岐栓本体10Cの第一溝16)とが連通することとなる。即ち、このように第一接続部材30Cが分岐栓本体10Cに固定された際に、分岐栓本体10Cの水側流路12と溝部50とは、第一接続部材30Cの第一分岐流路35cおよび分岐孔36を介して連通することとなる。
【0079】
第二接続部材40は、その一端部43が、外装本体21Bの第二貫通孔23に挿入されて、これの雄ネジと第二貫通孔23の雌ネジとを螺合させることによって、外装本体21Bに固定される。
このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、第二接続部材40の第二分岐流路45と溝部50(分岐栓本体10Cの第一溝16)とが連通することとなる。即ち、このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、分岐栓本体10Cの水側流路12と第二接続部材40の第二分岐流路45とは、第一分岐流路35c、分岐孔36、および、溝部50を介して連通することとなる。
以上のようにして、分岐栓1Cは構成される。
【0080】
分岐栓1Cでは、このように第一接続部材30Cが分岐栓本体10Cに固定された際に、分岐栓本体10Cの水側流路12と溝部50とは、第一分岐流路35cおよび分岐孔36を介して連通することとなる。
また、分岐栓1Cでは、このように第二接続部材40が外装本体21Bに固定された際に、分岐栓本体10Cの水側流路12と第二接続部材40の第二分岐流路45とは、第一分岐流路35c、分岐孔36、および、溝部50を介して連通することとなる。
さらに、このように第一接続部材30Cが分岐栓本体10Cに固定されることによって、分岐栓本体10Cが外装部材20内で回転することが防止される。
【0081】
したがって、分岐栓1Cによれば、分岐栓本体10Cが外装部材20内で回転することによって水栓への分岐栓の取付け作業が煩雑になることを防止することができ、且つ、分岐栓本体10Bの横孔14aが形成される周方向の位置によらず、第二接続部材40を外装部材20に配置することができる。
また、分岐栓1Cによれば、2つの接続部材(第一接続部材30Cおよび第二接続部材40)にそれぞれ所定の接続装置を接続して、水のみまたは湯のみを、当該2台の所定の接続装置に同時に分岐させることができる。よって、分岐栓1Cによれば、このような水のみまたは湯のみを2台の接続装置に同時に分岐することができる分岐栓を、簡易構造で実現することができる。
【0082】
分岐栓本体10Cの横孔14cと挿入孔15cとは、一体的に構成される。
したがって、分岐栓1Cによれば、横孔14c用の孔と挿入孔15c用の孔とを夫々形成する必要がないため、このような水のみまたは湯のみを2台の接続装置に同時に分岐することができる分岐栓の製造コストを低減させることができる。
さらに、分岐栓1Cによれば、分岐栓本体10Cの径が小さくて、これに横孔14cと挿入孔15cとをそれぞれ形成することが困難な場合にも、このような水のみまたは湯のみを2台の接続装置に同時に分岐することができる分岐栓を容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
1A・1B・1C 分岐栓
10A・10B・10C 分岐栓本体
11 湯川流路
12 水側流路
13 混合流路
14a・14c 横孔
15a・15b・15c 挿入孔
16 第一溝
20 外装部材
30A・30C 第一接続部材
33 一端部
34 他端部
35a・35c 第一分岐流路
36 分岐孔
50 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓に取付けられて、前記水栓から流入された湯または水を分岐させてこれを所定の接続装置に流出させる分岐栓であって、
その軸心方向に貫通する湯側流路と、該軸心方向に貫通する水側流路と、該湯側流路または該水側流路に連通し且つその外周面に開口する横孔と、該外周面に開口する挿入孔と、を有する分岐栓本体と、
その内周面から外周面にむけて貫通する第一貫通孔を有し、前記分岐栓本体が嵌装される外装部材と、
前記横孔と連通するように前記分岐栓本体の外周面の周方向に形成される第一溝と、前記第一貫通孔および前記横孔と連通するように前記外装部材における内周面の周方向に形成される第二溝と、のうち少なくともいずれか一方によって構成される溝部と、
前記分岐栓本体の挿入孔に挿入されるその軸心方向における一端部と、前記所定の接続装置に接続可能に構成される該軸心方向における他端部と、該軸心方向中途部の外周面に開口する分岐孔と、該他端部の端面に開口するとともに該分岐孔と連通する第一分岐流路と、を有する第一接続部材と、
を具備し、
前記第一接続部材の一端部は、前記溝部と前記分岐孔とが連通するように、前記外装部材の第一貫通孔に挿入されるとともに前記分岐栓本体の挿入孔に挿入されて、該外装部材と該分岐栓本体とのうち少なくとも何れか一方に固定される、分岐栓。
【請求項2】
前記外装部材は、その内周面から外周面にむけて貫通する第二貫通孔を有し、
前記分岐栓は、該外装部材に固定されるその軸心方向における一端部と、前記所定の接続機器に接続可能に構成される該軸心方向における他端部と、該軸心方向に貫通して該一端部の端面と該他端部の端面とに開口する第二分岐流路と、を有する第二接続部材をさらに具備し、
該第二接続部材の一端部は、前記溝部と前記第二分岐流路とが連通するように前記外装部材に固定される、請求項1に記載の分岐栓。
【請求項3】
前記第一接続部材は、前記分岐孔よりも前記一端部側において、前記第一分岐流路を閉塞する閉塞部を備える、請求項1または請求項2に記載の分岐栓。
【請求項4】
前記分岐栓本体の横孔と挿入孔とが一体的に構成され、
前記第一接続部材の第一分岐流路は、その軸心方向に貫通して前記第一接続部材の一端部の端面にも開口する、請求項1または請求項2に記載の分岐栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−102477(P2011−102477A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257225(P2009−257225)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】