説明

分散型散気装置

【課題】散気孔部材が漂流物の影響を受けにくく、かつ水深が浅く、水位の変動が大きいダム湖等にも適した分散型散気装置を提供する。
【解決手段】エアー供給手段3から1本のエアーホース5でエアーが供給されるエアータンク4と、このエアータンク4の周囲の水中に分散配置される複数個の散気孔部材7とを備えている。また、各散気孔部材7とエアータンク4とをそれぞれ接続する分岐ホース11を備えた分散型散気装置である。各散気孔部材7は、水底2aに設置された第1アンカー33の第1チェーン等34に連結されるとともに、各散気孔部材7には、散気孔部材7に浮力を付与して、第1アンカー33の略真上の水中に保持するための第1フロート35が取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム湖等の水中で広範囲に分散して散気可能な分散型散気装置の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7(a)(b)に示すように、コンプレッサ(エアー供給手段)3から1本のエアーホース5でエアーが供給されるエアータンク4と、このエアータンク4の周囲の水中に分散配置される複数個の散気孔部材7とを備えている。また、各散気孔部材7とエアータンク4とをそれぞれ接続する分岐ホース11を備えた分散型散気装置が本出願人によって提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
各散気孔部材7は、フロート8のロープ9でそれぞれ所定水深の水中に吊り下げられるとともに、ロープ13でダム湖等2の水底2aのアンカー14にそれぞれ係留されている。
【0004】
また、図7(c)に示すように、散気孔部材7は、ロープ20で水底2aに係留するとともに、フロート8のロープ9でそれぞれ所定水深の水中に浮かせるものも提案されている。
【0005】
そして、エアー供給手段3から1本のエアーホース5でエアータンク4にエアーaを供給し、エアータンク4の周囲の水中に分散配置した複数個の散気孔部材7に、エアータンク4から分岐ホース11を介してエアーbをそれぞれ供給して散気するようになる。
【0006】
かかる分散型散気装置では、ダム湖等の水中で広範囲に分散して散気できるとともに、循環曝気拡販効率を上げることができる。また、エアーホース5は、散気孔部材7の個数にかかわらず1本だけで良く、エアーホース5の本数が減少すること、これに伴ってエアーホース5の重量が軽減することで、エアーホース5のコストが安くなる。また、エアーホース5の施工コストも安くなる。さらに、分岐ホース11は、エアータンク4と各散気孔部材7との間の距離だけの短い長さで良く、しかも、分岐ホース11自体の重量を増加させる必要も無いので、コスト安であり、施工コストも安くなる等の効果がある。
【0007】
前記の分散型散気装置は、いずれも、フロート8にロープ9を介して散気孔部材7が連結されている。したがって、水位が変動しても水面から散気孔部材7までの水深(例えば15〜30m)は常に一定であるので、水深が深く(例えば40〜80m)、水位の変動が少ないダム湖等2に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−49215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、散気孔部材7は漂流物(流木等)の影響を受けやすいという問題がある。すなわち、フロート8やロープ9に漂流物(流木等)が当たり、あるいは引っかかると、散気孔部材7が大きく揺れたり、漂流方向に大きく引っ張られたりすることから、散気孔部材7の散気位置が安定しなくなる。なお、水面に浮上させているエアータンク4に漂流物が当たっても、同様に散気孔部材7の散気位置が安定しなくなる。
【0010】
また、水位の変動が大きいダム湖等2では、水位が下がると、フロート8と散気孔部材7との間の長い(前記の例えに準じると、15〜30m)ロープ9が水中で大きく蛇行して互いに絡み合いやすいという問題がある。
【0011】
そのため、散気孔部材7が漂流物の影響を受けにくく、かつ水深が浅く(例えば30m)、水位の変動が大きいダム湖等2にも適している分散型散気装置の開発が要望されている。
【0012】
本発明は、前記要望に応えるためになされたもので、背景技術を改善することで、散気孔部材が漂流物の影響を受けにくく、かつ水深が浅く、水位の変動が大きいダム湖等にも適した分散型散気装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明は、エアー供給手段から1本のエアーホースでエアーが供給されるエアータンクと、このエアータンクの周囲の水中に分散配置される複数個の散気孔部材と、この各散気孔部材とエアータンクとをそれぞれ接続する分岐ホースとを備えた分散型散気装置において、前記各散気孔部材は、水底に設置された第1アンカーの第1チェーン若しくはロープに連結されるとともに、各散気孔部材には、散気孔部材に浮力を付与して、第1アンカーの略真上の水中に保持するための第1フロートが取付けられていることを特徴とする分散型散気装置を提供するものである。
【0014】
請求項2のように、前記第1チェーン若しくはロープは、第1アンカーに対する係止位置を変えることで、長さ調整が可能である構成とすることができる。
【0015】
請求項3のように、前記エアータンクは、水底に設置された第2アンカーの第2チェーン若しくはロープに連結されて、水中に潜らせている構成とすることができる。
【0016】
請求項4のように、前記エアータンクは、水底の複数箇所に設置された第3アンカーの第3チェーン若しくはロープに連結されて、第2フロートで水面に浮上させている構成とすることができる。
【0017】
請求項5のように、前記各散気孔部材には、水面に浮上する目印ブイが第4チェーン若しくはロープに連結されている構成とすることができる。
【0018】
請求項6のように、バランスウェイトを兼ねる補強メンバーが設けられ、第1フロートは補強メンバーに取付けられ、第1チェーン若しくはロープは補強メンバーに連結されるとともに、散気孔部材は補強メンバーに固定具で固定されている構成とすることができる。
【0019】
請求項7のように、前記エアータンクと各散気孔部材との間は、略等しい距離に設定されているとともに、前記各散気孔部材の間隔は、隣り合う散気孔部材からの散気が干渉しない距離に設定されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、散気孔部材は水底の第1アンカーに第1チェーン等で連結し、散気孔部材に取付けた第1フロートで、第1アンカーの略真上の水中に保持するようにしたから、湖底から散気孔部材までの高さを常に一定に維持できるようになる。そして、背景技術のようなフロートやロープが無いので、漂流物の影響を受けにくいため、散気孔部材の散気位置が安定するようになる。また、背景技術のようなロープが無くなるので、水位が大きく下がってもロープが絡み合うという問題もない。したがって、水深が浅く、水位の変動が大きいダム湖等にも適するようになる。
【0021】
請求項2によれば、第1チェーン等の長さを調整することで、湖底から散気孔部材までの高さを調整することが可能となる。
【0022】
請求項3によれば、エアータンクは水底の第2アンカーに第2チェーン等で連結して水中に潜らせているから、エアータンクも漂流物の影響を受けにくくなるため、散気孔部材の散気位置がより安定するようになる。
【0023】
請求項4によれば、エアータンクは第2フロートで水面に浮上させているが、水底の複数箇所に設置した第3アンカーの第3チェーン等に連結することで、移動しないように保持される。したがって、エアータンクは、漂流物の影響を受けにくくなるため、散気孔部材の散気位置がより安定するようになる。
【0024】
このように、エアータンクを水面に浮上させることで、エアー供給手段からのエアーの供給を止めた時でも、散気孔部材からエアータンクやエアーホースに水が浸入しなくなる。したがって、散気孔部材からエアータンクの間のエアーホースが必要とする揚程能力で良く、エアー供給手段の必要容量を最小限に抑えることができる。また、水面に浮上するエアータンクのエアー吐出部にオリフィスや流量調整バルブを設けることで、水面上からエアー量を調整することが可能になる。
【0025】
請求項5によれば、水面に浮上する目印ブイで、水中の散気孔部材の位置を水上から確認できるようになる。
【0026】
請求項6によれば、浮力等の応力はバランスウェイトを兼ねる補強メンバーで受け支えることができるから、散気孔部材には応力が作用しなくなるので、散気孔部材が変形する等の不具合がなくなる。また、補強メンバーは、分岐ホースの重量で散気孔部材が傾かないように、つまり水平を保つようにバランスをとるためのバランスウェイトを兼ねているから、エアーが上方へ均等に散気されるようになる。
【0027】
請求項7によれば、エアータンクと各散気孔部材との間を略等しい距離に設定することで、各散気孔部材に供給されるエアー量が均等になって、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。また、各散気孔部材の間隔を、隣り合う散気孔部材からの散気が干渉しない距離に設定することで、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る第1実施形態の分散型散気装置であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明に係る第2実施形態の分散型散気装置であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】散気孔部材とバランスウェイトを兼ねる補強メンバーの平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】第1チェーン等の側面図である。
【図6】(a)はエアータンク部分の拡大側面図、(b)は変形例1のエアータンク部分の拡大側面図、(c)は変形例2のエアータンク部分の拡大側面図である。
【図7】背景技術の分散型散気装置であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、背景技術と同一構成・作用の箇所は、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
図1は、第1実施形態の分散型散気装置30Aであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。ダム湖等2の堤体上にコンプレッサ(エアー供給手段)3が設置されている。また、エアータンク4は、水底2aに設置された第2アンカー31の第2チェーン若しくはロープ(以下、チェーン等と略す。)32に連結されて、水中に潜らせている。エアータンク4の水深は、後述する散気孔部材7と略同程度が好ましい。
【0031】
堤体上のコンプレッサ3と水中のエアータンク4の下部とは、水底2aに敷設された1本のエアーホース5で接続されていて、この1本のエアーホース5でコンプレッサ3からエアータンク4にエアーが供給されるようになっている(矢印a参照)。
【0032】
エアータンク4の周囲の水中には、複数個の散気孔部材7が分散配置されている。具体的には、エアータンク4の周囲の3等分間隔(120度)の位置に計3個の散気孔部材7が分散配置されている。
【0033】
各散気孔部材7は、水底2aに設置された第1アンカー33の第1チェーン等34に連結されるとともに、各散気孔部材7には、散気孔部材7に浮力を付与して、第1アンカーの略真上の水中に保持するための第1フロート35(後述)が取付けられている。例えば、ダム湖等2が水深30m程度である場合、各散気孔部材7は、水底2aから3〜15mの高さの水中に保持されることになる。
【0034】
エアータンク4と各散気孔部材7とは、ロープ10と分岐ホース11とが一体化された複合部材12でそれぞれ連結されている。
【0035】
そして、各散気孔部材7とエアータンク4とを分岐ホース11でそれぞれ接続することにより、エアータンク4のエアーが分岐ホース11を介して各散気孔部材7に供給されて(矢印b参照)、各散気孔部材7から水中に散気されるようになる。エアータンク4は、コンプレッサ3のエアーを各散気孔部材7に中継して分散供給するものであるから、中継エアータンクと呼ぶことができる。
【0036】
また、エアータンク4は、水底2aの第2アンカー31の第2チェーン等32に連結され、各散気孔部材7は、水底2aの第1アンカー33の第1チェーン等34に連結されている。加えて、エアータンク4と各散気孔部材7とは、ロープ10で連結されている。このことから、エアータンク4と各散気孔部材7との相対位置がずれないようになっている。
【0037】
さらに、エアータンク4と各散気孔部材7とを連結するロープ10により、エアータンク4と各散気孔部材7との間は、略等しい距離L1(例えば約60m)に設定(維持)されるようになる。また、各散気孔部材7の間は、隣り合う散気孔部材7からの散気が干渉しない間隔L2(例えば、約50m以上)に設定(維持)されるようにすることが好ましい。
【0038】
第1実施形態の分散型散気装置30Aであれば、コンプレッサ3から1本のエアーホース5でエアータンク4にエアーを供給している。そして、エアータンク4の周囲の水中に分散配置した複数個の散気孔部材7に、エアータンク4から分岐ホース11を介してエアーをそれぞれ供給して散気するようになる。
【0039】
散気孔部材7は水底2aの第1アンカー33に第1チェーン等34で連結し、散気孔部材7に取付けた第1フロート35で、第1アンカー33の略真上の水中に保持するようにしたから、水底2aから散気孔部材7までの高さを常に一定に維持できるようになる。
【0040】
そして、背景技術のようなフロート8やロープ9が無いので、漂流物の影響を受けにくいため、散気孔部材7の散気位置が安定するようになる。また、背景技術のようなロープ9が無くなるので、水位が大きく下がってもロープ9が絡み合うという問題もない。したがって、水深が浅く、水位の変動が大きいダム湖等にも適するようになる。
【0041】
さらに、エアータンク4は水底2aの第2アンカー31に第2チェーン等32で連結して水中に潜らせているから、エアータンク4も漂流物の影響を受けにくくなるため、散気孔部材7の散気位置がより安定するようになる。
【0042】
また、エアータンク4と各散気孔部材7との間を略等しい距離L1に設定することで、各散気孔部材7に供給されるエアー量が均等になって、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。さらに、各散気孔部材7の間隔を、隣り合う散気孔部材7からの散気が干渉しない距離L2に設定することで、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。
【0043】
図3および図4の詳細に示すように、平面視で略正八角形状のバランスウェイトを兼ねる補強メンバー36が設けられ、この補強メンバー36は、小サイズの内側補強メンバー36Aと、大サイズの外側補強メンバー36Bとを有している。そして、内側補強メンバー36Aと外側補強メンバー36Bとは、円周上略等角度間隔(例えば45度)で放射状に配置された計8本の補強バー36Cで一体的に連結されている。
【0044】
外側補強メンバー36Bの下面の複数箇所(本例では4箇所)、および補強バー36Cの各外端部には、球形状の第1フロート35がブラケット37を介してそれぞれ取付けられている。なお、第1フロート35の取付けは、前記の箇所および個数に限られるものではなく、第1フロート35自体も球形状のものに限られるものではない。
【0045】
この補強メンバー36は、分岐ホース11の重量で散気孔部材7が傾かないようにバランスをとるためのバランスウェイトを兼ねている。
【0046】
散気孔部材7は、中空のパイプをリング状に丸めて、その上部に多数の散気孔(エアー出口)7aを円周上略等角度間隔で形成したものである。また、散気孔部材7の中央部には中空ボックス38が設けられ、この中空ボックス38と散気孔部材7とが円周上3等分位置のパイプ39で連結されている。したがって、分岐ホース11から中空ボックス38にエアーが供給され、中空ボックス38から各パイプ39を介して散気孔部材7にエアーが供給されることで、散気孔7aからエアーを散気するようになる。なお、散気孔部材7は、リング状に丸めたパイプに多数の散気孔7aを形成したものである必要はなく、例えば1本のホースの先端開口を散気孔としたものであってもよい。
【0047】
散気孔部材7は、補強メンバー36の各補強バー36Cの上面に設置された状態で、各補強バー36Cにベルト(固定具)40で固定されている。
【0048】
また、第1アンカー33の第1チェーン等34は、散気孔部材7に直に連結するのではなく、補強メンバー36の各補強バー36Cの下面に連結されている(図5参照)。
【0049】
さらに散気孔部材7の外側補強メンバー36Bの上面には、水面に浮上する目印ブイ41が第4チェーン等42で連結されている。
【0050】
このように、第1フロート35を補強メンバー36に取付け、第1、第4チェーン等34,42も補強メンバー36に連結するとともに、散気孔部材7は補強メンバー36にベルト40で固定している。したがって、浮力等の応力は補強メンバー36で受け支えることができるから、散気孔部材7には応力が作用しなくなるので、散気孔部材7が変形する等の不具合がなくなる。また、補強メンバー36は、分岐ホース11の重量で散気孔部材7が傾かないように、つまり水平を保つようにバランスをとるためのバランスウェイトを兼ねているから、エアーが上方へ均等に散気されるようになる。
【0051】
また、水面に浮上する目印ブイ41で、水中の散気孔部材7の位置を水上から確認できるようになる。
【0052】
図5に示すように、第1チェーン等34は、シャックル43で第1アンカー33に連結しているが、第1チェーン等34のストレート部(主チェーン)34Aに、このストレート部34Aよりも長い補助チェーン44を連結している。なお、45は、ストレート部34Aに取付けた補助フロートである。
【0053】
そして、散気孔部材7の水底2aからの高さを高くしたい場合には、シャックル43から第1チェーン等34のストレート部34Aを外し、補助チェーン44の端部44aをシャックル43に連結する。
【0054】
これにより、第1チェーン等34のストレート部34Aが補助チェーン44によって、第1アンカー33に対する係止位置が変わることで、長さ調整ができるようになる。このように、第1チェーン等34の長さを調整することで、水底2aの起伏状態や必要に応じて、水底2aから各散気孔部材7までの高さを個々に調整することが可能となる。このとき、補助フロート45は、補助チェーン44によってチェーン長さが長くなる結果、チェーン重量が増加することで、散気孔部材7がチェーン重量で沈み込まないように、チェーン44に浮力を付与するようになる。
【0055】
図2は、第2実施形態の分散型散気装置30Bであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。第1実施形態と相違する点は、エアータンク4を第2フロート46で水面に浮上させていることである。また、このエアータンク4は、水底2aの複数箇所、具体的には、エアータンク4の周囲の3等分間隔(120度)の位置に設置した第3アンカー47の第3チェーン等48に連結したことである。
【0056】
第2実施形態の分散型散気装置30Bであれば、エアータンク4は第2フロート46で水面に浮上させているが、水底2aの複数箇所に設置した第3アンカー47の第3チェーン等48に連結することで、移動しないように保持される。したがって、エアータンク4は、漂流物の影響を受けにくくなるため、散気孔部材7の散気位置がより安定するようになる。
【0057】
このように、エアータンク4を水面に浮上させることで、コンプレッサ3からのエアーの供給を止めた時でも、散気孔部材7からエアータンク4やエアーホース5に水が浸入しなくなる。したがって、散気孔部材7からエアータンク4の間のエアーホース5が必要とする揚程能力で良く、コンプレッサ3の必要容量を最小限に抑えることができる。
【0058】
また、水面に浮上するエアータンク4のエアー吐出部4aにオリフィス16や流量調整バルブ18(後述)を設けることで、水面上からエアー量を調整することが可能になる。
【0059】
すなわち、第1実施形態の分散型散気装置30Aでは、エアータンク4は水中にあることから、図6(a)に詳細に示したように、分岐ホース11は、エアータンク4のエアー吐出部4aに差し込んで接続されている。
【0060】
これに対して、第2実施形態の分散型散気装置30Bでは、エアータンク4は水上にあることから、図6(a)の構成を採用できる。しかも、図6(b)に示すように、エアー吐出部4aにオリフィス16を設ければ、オリフィス16でエアー量を固定的に調整することができる。したがって、各散気孔部材7に供給されるエアー量が均等になって、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。なお、オリフィス16は、分岐ホース11等に設けても良い。
【0061】
また、図6(c)に示すように、エアー吐出部4aに流量計17と流量調整バルブ18とを設ければ、流量計17と流量調整バルブ18とでエアー量を可変的に調整することができる。したがって、各散気孔部材7に供給されるエアー量が均等になって、循環曝気攪拌が良好に行えるようになる。
【符号の説明】
【0062】
2 ダム湖等
2a 湖底
3 コンプレッサ(エアー供給手段)
4 エアータンク
5 エアーホース
7 散気孔部材
11 分岐ホース
30A,30B 分散型散気装置
31 第2アンカー
32 第2チェーン等
33 第1アンカー
34 第1チェーン等
35 第1フロート
36 バランスウェイトを兼ねる補強メンバー
40 ベルト(固定具)
41 目印ブイ
42 第4チェーン等
46 第2フロート
47 第3アンカー
48 第3チェーン等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー供給手段から1本のエアーホースでエアーが供給されるエアータンクと、このエアータンクの周囲の水中に分散配置される複数個の散気孔部材と、この各散気孔部材とエアータンクとをそれぞれ接続する分岐ホースとを備えた分散型散気装置において、
前記各散気孔部材は、水底に設置された第1アンカーの第1チェーン若しくはロープに連結されるとともに、各散気孔部材には、散気孔部材に浮力を付与して、第1アンカーの略真上の水中に保持するための第1フロートが取付けられていることを特徴とする分散型散気装置。
【請求項2】
前記第1チェーン若しくはロープは、第1アンカーに対する係止位置を変えることで、長さ調整が可能であることを特徴とする請求項1に記載の分散型散気装置。
【請求項3】
前記エアータンクは、水底に設置された第2アンカーの第2チェーン若しくはロープに連結されて、水中に潜らせていることを特徴とする請求項1または2に記載の分散型散気装置。
【請求項4】
前記エアータンクは、水底の複数箇所に設置された第3アンカーの第3チェーン若しくはロープに連結されて、第2フロートで水面に浮上させていることを特徴とする請求項1または2に記載の分散型散気装置。
【請求項5】
前記各散気孔部材には、水面に浮上する目印ブイが第4チェーン若しくはロープに連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分散型散気装置。
【請求項6】
バランスウェイトを兼ねる補強メンバーが設けられ、第1フロートは補強メンバーに取付けられ、第1チェーン若しくはロープは補強メンバーに連結されるとともに、散気孔部材は補強メンバーに固定具で固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の分散型散気装置。
【請求項7】
前記エアータンクと各散気孔部材との間は、略等しい距離に設定されているとともに、前記各散気孔部材の間隔は、隣り合う散気孔部材からの散気が干渉しない距離に設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の分散型散気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−218286(P2011−218286A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89628(P2010−89628)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(591073337)株式会社丸島アクアシステム (58)
【Fターム(参考)】