説明

分散安定性が優れた混濁果汁飲料とその製造方法

【課題】分散安定性に優れ、豊かな食感と高い嗜好性を有する、混濁果汁飲料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】増粘安定剤として、非弾力的で不安定なゲルを形成して流動性がよい低アシル型ジェランガムと、弾力的で安定なゲルを形成し得る1ないし2以上のガム類とを混合使用し、ゲル化された分子組織内の水分を長時間にわたって保持させることにより、離水現象による飲料内部の透明層形成を防止して、混濁果汁飲料の分散を安定化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混濁果汁飲料の分散安定性が優れ、豊かな食感および高い嗜好性を提供するために、非弾力的で不安定なゲルを形成して流動性がよい低アシル型ジェランガムと、弾力的で安定なゲルを形成し得るガム類の増粘安定剤を一定含量で混合使用する混濁果汁飲料およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然果物を主材料とする各種飲料の開発と普及がなされているが、各種天然果物の顆粒が一緒に含有された顆粒飲料も広く普及されている。ところで、大部分の顆粒は、固体状になっており、相対的な比重が大きいという特徴がある。したがって、顆粒飲料の容器を定置保管すると、一定時間が経過した後に、顆粒がそのまま底に沈むようになる。したがって、飲用者が容器を振って飲めば、ある程度は固体状の顆粒を飲むことはできるが、少しだけ時間が経過すると再び重力によって底面に沈み、スプーンのような手段を用いなければ飲み難いことが現実である。
【0003】
また、混濁果汁飲料の場合にも、容器を定置保管すると、一定時間が経過した後に、混濁果汁の浮遊物がそのまま底に沈むようになる欠点があった。
【0004】
このような不均一な分散状態により、外観が透明な容器を使用することができない現実的限界が発生し、これにより内面が見えない缶やPETの場合、ラベルを利用してカバーリングが可能な容器にだけ限定して生産が可能であり、多様な容器および容量を望む消費者の目線に合わせることができないだけでなく、業界の営業活動にも制約となる実情である。
【0005】
このような問題点を解決するための従来の技術として、大韓民国公開特許第2002−87596号では、固形物の浮遊性が改善されたぶどうジュース組成物として、安定剤を使用してぶどう顆粒の浮遊状態を維持させる方法が開示されているが、分散状態の維持期間が数時間から数日程度と短いため、実際の流通期限が数ヶ月である製品においてはその効用性が期待し難いという欠点があった。
【0006】
また、顆粒に代えてビードに分散性を与え、飲料中に浮遊状態を維持するようにする技術として、大韓民国公開特許(特)1998−073749号が既に公知になっている。前記公知技術の目的は、飲料内のビードの分散力を向上させて、ゲル化したビードの溶解および解離を防止して適当なゲル強度を維持するもので、このようなビード飲料は単にゼリー状態のビードを液状の飲料中に混入させたものに過ぎず、果汁または顆粒を使用した混濁飲料の天然感や豊かな果汁感を提供できないという欠点があった。前記の製造方法により適当なゲル強度を維持させた浮遊飲料としては、国内のアロエ製品と、中国で流通中であるオレンジ製品等があるが、全てが無果汁または清澄果汁を使用しており、混濁果汁を導入した製品はないのが実情である。
【0007】
一方、本発明の発明者達は、前記の問題点を解決するために、すなわち、豊かな果汁感を付与しようと前記先行技術を使用して混濁果汁および顆粒混合飲料を製造したが、透明層が形成されて分散性が不良な問題点があることを確認した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一定時間が経過した後に、混濁果汁飲料の浮遊物または顆粒が飲料容器の底に沈んだり透明層が形成される等の分散性が不良な問題点を解決することを目的とする。また本発明は、顆粒飲料の豊かな食感を付与して、嗜好度を増進させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1)必須構成成分である低アシル型ジェランガムと、高アシル型ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカラギーナンのうちから選択された単一の増粘安定剤または2種以上の増粘安定剤との混合増粘安定剤0.002〜1.0重量%、2)果汁1〜50重量%、3)甘味剤0.01〜20重量%、4)酸味剤0.01〜0.5重量%、5)その他添加剤0.01〜0.5重量%、6)水溶性カルシウム塩0.001〜1.0重量%、7)全体含量が100重量%とする量の水を含んでなる分散安定性が優れた混濁果汁飲料を提供することにより、前記課題を解決する。
【0010】
また本発明は、分散安定性が優れた混濁果汁および顆粒飲料を製造する方法を提供することにより、前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、混濁果汁または顆粒を使用して製造した際に発生する透明層形成等の問題点を解決し、さらに飲料の分散安定性を向上させて飲用時の豊かな食感および便宜性を提供して、消費者の嗜好度を増進させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の(a)実施例1、(b)比較例3および(c)比較例5に従って製造された混濁果汁および顆粒飲料を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、豊かな果汁感を付与するため、先行する大韓民国公開特許(特)1998−073749号の技術を使用して混濁果汁飲料を製造したが、数日乃至数ヶ月後に透明層が形成されて分散性の問題点が提起された。これは、先行技術で使用されたジェランガムの特性により形成されたゲルから溶液が抜け出す離水現象によるものと判断される。本発明者達は、前記問題点を解決するために努力した結果、混濁果汁または顆粒と、低アシル型ジェランガムを必須成分として含む2種以上の増粘安定剤を混合して使用すると、顆粒飲料の豊かな食感を維持しながら、分散安定性が優れた顆粒飲料を提供することができることを発見し、本発明を完成するに至った。したがって、前記先行技術とは発明の目的および技術構成上の特徴において、完全に異なる発明であることが自明であるといえる。
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明すると次のようである。
【0015】
本発明は、1)必須構成成分である低アシル型ジェランガムと、高アシル型ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカラギーナンのうちから選択された単一の増粘安定剤または2種以上の増粘安定剤との混合増粘安定剤0.002〜1.0重量%、2)果汁1〜50重量%、3)甘味剤0.01〜20重量%、4)酸味剤0.01〜0.5重量%、5)その他添加剤0.01〜0.5重量%、6)水溶性カルシウム塩0.001〜1.0重量%、7)全体含量が100重量%とする量の水を含んでなる分散安定性が優れた混濁果汁飲料を提供する。このとき、前記混濁果汁飲料は、顆粒0.01〜50重量%を追加でさらに含むことができる。また、より具体的に、前記水は、30〜98重量%の含量で含むことができる。
【0016】
前記果汁および顆粒の種類は、当分野において一般的に使用されるもので特に限定されないが、製造しようとする飲料の目的に従って、りんご、なし、桃、キウィ、オレンジ、みかん、アロエおよびイチゴ等の果実類を選択的に使用することができる。また、これらの含量は、飲料の豊かな食感および嗜好度を考慮して前記含量範囲で追加することが望ましいが、前記果汁および顆粒の各々の含量が少な過ぎる場合には、顆粒の豊かな食感を付与することができず、嗜好度が落ちるという欠点があり、顆粒50重量%を超過した場合には、高い重量により分散安定性が落ちて長期間の保管時に混濁果汁の浮遊物または顆粒が再び沈むという問題が発生することがあり、分散安定性をより向上させるために増粘安定剤を過量に添加した場合には、混濁果汁飲料特有の爽やかですっきりした味を表現し難くなるという問題が発生し得る。
【0017】
また、前記甘味剤および増粘安定剤の形態は、当分野において使用される一般的な形態のものであって特に限定されないが、パウダー形態の甘味剤および増粘安定剤を使用する場合、溶解時に固まりが形成されることが防止でき、生産効率が向上してより好適に適用し得る。
【0018】
前記甘味剤としては、当分野において一般的に使用される甘味剤として特に限定しないが、例えば白砂糖、液状果糖および結晶果糖のうちから選択された単一の甘味剤または2種以上の混合甘味剤を使用することができる。また前記酸味剤は、当分野において一般的に使用される酸味剤として特に限定されないが、例えばクエン酸、りんご酸、アスコルビン酸、酒石酸、乳酸およびフマル酸のうちから選択された単一の酸味剤または2種以上の混合酸味剤を使用することができる。また、前記その他添加剤としては、当分野において一般的に使用されるものとして特に限定されないが、例えばクエン酸三ナトリウムのような呈味料およびビタミン類等を使用することができる。
【0019】
本発明は、低アシル型ジェランガムを含む2種以上の増粘安定剤を使用することを技術的特徴とするが、前記低アシル型ジェランガムを含む2種以上の増粘安定剤は、高アシル型ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカラギーナンのうちから選択された単一の増粘安定剤または2種以上の増粘安定剤を、低アシル型ジェランガムと混合して使用し得る。最も望ましくは、低アシル型ジェランガムと高アシル型ジェランガムとを混合して使用するのがよい。
【0020】
増粘安定剤としてジェランガムは、微生物を利用して好気的条件下で培養させて得た高分子多糖類として、グルコース、グルクロン酸、ラムノースが2:1:1の比率で規則的に連結された複素環式多糖体であり、その製造方法および特性に従って、高アシル型ジェランガムと低アシル型ジェランガムに区分し得る。
【0021】
【化1】

【0022】
前記化学式1で示すように、低アシル型ジェランガムは、アシル基が完全に除去されたジェランガムを意味するもので、2個の陽イオンを有する乳酸カルシウムまたはグルコン酸カルシウム等の水溶液中で、ジェランガムのカルボキシル基(−COOH)と、カルシウム陽イオンとの架橋結合を介してゲルを形成する能力があり、このように形成されたゲルは強く、非弾力的で不安定なゲルを形成して、流動性がよい流体(Fluid gel)を作ることができる特徴がある。このような低アシル型ジェランガムの代表的な例としては、商品名Kelcogel(CP Kelco社)がある。
【0023】
一方、高アシル型ジェランガムは、単位グルコースに1つ以上のアシル基を含むジェランガムを意味するもので、弾力的で安定したゲルを形成して、複数回の加熱にもゲル強度が低下しない特徴がある。このような特性を有するジェランガムは、無色透明で耐熱性、耐酸性、耐酵素性が高く、飲料、乳飲料、豆乳等の多様な各製品において、増粘剤だけでなく安定剤および分散剤等として広く使用されてきた。このような高アシル型ジェランガムの代表的な例としては、商品名Kelcogel LT−100(CP Kelco社)、HF−B(CP Kelco社)等がある。
【0024】
すなわち、前記低アシル型ジェランガムを単独で使用する場合には、非弾力的で不安定なゲルを形成して流動性がよいという長所はあるが、ゲル化された分子組織内の水分を長時間にわたって含有していることが困難であるという問題点がある。したがって本発明は、高アシル型ジェランガムのように、弾力的で安定したゲルを形成することができるガム類の増粘安定剤を混合使用することにより、顆粒の分散を安定化させて、飲料内部の透明層形成の問題点を解決したところに最大の技術的特徴がある。
【0025】
このような低アシル型ジェランガムを含む2種以上の増粘安定剤は、0.002〜1.0重量%で含んでよいが、前記増粘安定剤の含量が少な過ぎる場合には、飲料の分散安定性が悪化するという問題が発生することがあり、1.0重量%を超過する場合には、混濁果汁飲料特有の爽やかですっきりした味を出し難いという問題が発生することがある。
【0026】
前記水溶性カルシウム塩は、当分野において一般的に使用される水溶性カルシウム塩として特に限定されないが、例えばクエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムおよび乳酸カルシウムのうちから選択された単一カルシウム塩または2種以上の混合カルシウム塩を使用することができる。このような水溶性カルシウム塩は、0.001〜1.0重量%含むが、前記水溶性カルシウム塩の含量が少な過ぎる場合には、増粘安定剤と反応してゲル化されず、混濁果汁の浮遊物または顆粒が再び沈んだり透明層が形成されるという問題が発生することがあり、1.0重量%を超過する場合には、飲料がゲル化され過ぎて食感および嗜好度が低下するという問題が発生することがある。
【0027】
前記した混濁果汁飲料の製造方法としては、当分野において通常的に知られた製法として特に限定されないが、より具体的に下記製造方法により、より好適に製造することができる。このような混濁果汁飲料の製造方法としては、冷却段階を経る順序に従って、下記2種類の方法を提供することができる。
【0028】
第1の方法としては、60〜90℃の範囲の温度で低アシル型ジェランガムを必須成分として含む2種以上の増粘安定剤溶液を製造する第1段階;前記増粘安定剤溶液と、果汁、甘味剤、酸味剤およびその他添加剤を40〜70℃の範囲の温度で混合した後、水溶性カルシウム塩溶液を添加して初期飲料を製造する第2段階;前記初期飲料を5〜40℃の範囲に冷却してゲル化する第3段階;および前記ゲル化された初期飲料を殺菌した後、容器に注入および密封して混濁果汁飲料を製品化する第4段階;を含んでなる混濁果汁飲料の製造方法で製造することができる。このとき、顆粒は、前記初期飲料を製造する第2段階で果汁と一緒に顆粒を追加で添加して混合するか、前記混濁果汁飲料を製品化する第4段階でゲル化された初期飲料を殺菌した後、顆粒を追加で添加して混合することができる。
【0029】
第2の方法としては、60〜90℃の範囲の温度で低アシル型ジェランガムを必須成分として含む2種以上の増粘安定剤溶液を製造する第1段階;前記増粘安定剤溶液と、果汁、甘味剤、酸味剤およびその他添加剤を40〜70℃の範囲の温度で混合した後、水溶性カルシウム塩溶液を添加して初期飲料を製造する第2段階;前記初期飲料を殺菌した後、容器へ注入および密封して混濁果汁飲料を製品化する第3段階;および前記混濁果汁飲料を5〜40℃の範囲に冷却してゲル化する第4段階;を含んでなる混濁果汁飲料の製造方法で製造することができる。このとき、顆粒は、前記初期飲料を製造する第2段階で果汁と一緒に顆粒を追加で添加して混合するか、前記混濁果汁飲料を製品化する第3段階で初期飲料を殺菌した後、顆粒を追加で添加して混合することができる。
【0030】
増粘安定剤溶液を製造する第1段階では、甘味剤を追加して使用することができる。
【0031】
したがって、本発明の製造方法による顆粒飲料は、果汁および顆粒溶液の混合使用による透明層形成の問題を解決して、豊かな果汁感の飲料を製造することができ、さらに顆粒の分散および沈殿安定性を向上させ、飲用時に豊かな食感を提供して消費者の嗜好度を増進させることができる効果がある。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を、次の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
水(熱水)に、低アシル型ジェランガム0.015重量%、高アシル型ジェランガム0.015重量%、および白砂糖0.01重量%を、約90℃の温度で30分間混合して、増粘安定剤溶液を製造した。
【0034】
前記増粘安定剤溶液と、顆粒10重量%、果汁10重量%、液状果糖12.519重量%、クエン酸0.126重量%、ビタミンC 0.02重量%および香料0.1重量%を、水(熱水)で約50℃の温度条件で混合した後、0.06重量%の乳酸カルシウムを含むカルシウム溶液を添加して、初期飲料を製造した。
【0035】
前記水(熱水)の量は、総飲料の含量が100重量%となるように添加した。
【0036】
前記初期飲料を約20℃の温度に冷却してゲル化させ、前記ゲル化された初期飲料を約95℃の温度で約30秒間殺菌した後、容器に注入および密封して混濁果汁飲料を製品化した。
【0037】
前記製造された混濁果汁飲料の沈殿発生有無は、下記表1および図面に示した。
【実施例2】
【0038】
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液の製造時に、高アシル型(High Acyl)ジェランガムに代えて、アラビアゴム0.015重量%を混合して、増粘安定剤溶液を製造した。
【0039】
【表1】

【0040】
[比較例1]
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液および乳酸カルシウム溶液は使用しなかった。また、下記表2に示したように、製造された飲料の味を考慮して、液状果糖の含量を微量調節して使用した。
【0041】
[比較例2]
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液の製造時に、高アシル型ジェランガムは使用しなかった。このとき、低アシル型ジェランガム0.015重量%に代えて、低アシル型ジェランガム0.020重量%を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0042】
[比較例3]
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液の製造時に、低アシル型ジェランガムおよび乳酸カルシウム溶液は使用しなかった。このとき、高アシル型ジェランガム0.015重量%に代えて、高アシル型ジェランガム0.020重量%を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0043】
[比較例4]
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液の製造時に、低アシル型ジェランガム0.015重量%および高アシル型ジェランガム0.015重量%に代えて、低アシル型ジェランガム0.0008重量%および高アシル型ジェランガム0.0008重量%を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0044】
[比較例5]
前記実施例1と同様に実施するが、増粘安定剤溶液の製造時に、低アシル型ジェランガム0.015重量%および高アシル型ジェランガム0.015重量%に代えて、低アシル型ジェランガム0.6重量%および高アシル型ジェランガム0.6重量%を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0045】
[比較例6]
前記実施例1と同様に実施するが、0.06重量%乳酸カルシウムを含むカルシウム溶液に代えて、0.0005重量%乳酸カルシウムを含むカルシウム溶液を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0046】
[比較例7]
前記実施例1と同様に実施するが、0.06重量%乳酸カルシウムおよび水(熱水)13.427重量%を含むカルシウム溶液に代えて、1.1重量%乳酸カルシウムを含むカルシウム溶液を混合して増粘安定剤溶液を製造した。
【0047】
【表2】

【0048】
前記表1および表2に示したように、本発明の製造方法による混濁果汁飲料を製造して室温定置保管2ヶ月後、低アシル型ジェランガムを含んだ2種以上の増粘安定剤を混合使用する際に透明層形成の問題を最も良く解決することができ、またジェランガムの含量が全体の顆粒飲料に対して0.002〜1.0重量%の範囲である場合に、飲料の清涼感を阻害する過度な粘度増加なしに安定的な顆粒分布状態の顆粒飲料が得られることを確認することができた。
【0049】
[実験例1]
官能検査
本発明の実施例1および2の混濁果汁および顆粒飲料、および比較例1乃至7の顆粒飲料に対して、20名のパネル要員を選定して、Sensory Score Sheet法により官能検査を実施した。官能検査に使用した感覚点数表(Sensory Score Sheets)は、以下のようである。官能検査において視覚的効果、均一な顆粒感および味に対する評価は9点評点法を使用し、その結果は下記表3に示したようである。
【0050】
【表3】

【0051】
前記表3に示したように、実施例1、2において、透明層形成解決および顆粒の均一な分布等から、消費者の視覚的評価、均一な顆粒感および味の評価点数も高く、全体的に嗜好度が高く現れた。反面、比較例1乃至7において製造された混濁果汁および顆粒飲料は、透明層形成および沈殿等により視覚的評価点数が低かったり、飲用時に不均一な顆粒分布により食感が多少落ちたりすることで、全体的な嗜好度も低く現れた。
【0052】
したがって、本発明の製造方法により製造された飲料は、既存の製造方法導入時に発生する透明層形成等の問題点を解決することができ、飲料の分散安定性を向上させて商品性が優秀であるものと期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)必須構成成分である低アシル型ジェランガムと、高アシル型ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカラギーナンのうちから選択された単一の増粘安定剤または2種以上の増粘安定剤との混合増粘安定剤0.002〜1.0重量%、
2)果汁1〜50重量%、
3)甘味剤0.01〜20重量%、
4)酸味剤0.01〜0.5重量%、
5)その他添加剤0.01〜0.5重量%、
6)水溶性カルシウム塩0.001〜1.0重量%、および
7)全体含量が100重量%となるようにする量の水
を含んでなることを特徴とする分散安定性が優れた混濁果汁飲料。
【請求項2】
前記混濁果汁飲料が、顆粒0.01〜50重量%を追加でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の混濁果汁飲料。
【請求項3】
前記水溶性カルシウム塩が、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムおよび乳酸カルシウムのうちから選択された単一のカルシウムまたは2種以上の混合カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の混濁果汁飲料。
【請求項4】
60〜90℃の範囲の温度で低アシル型ジェランガムを必須成分として含む2種以上の増粘安定剤溶液を製造する第1段階と;
前記増粘安定剤の溶液と、果汁、甘味剤、酸味剤およびその他添加剤とを40〜70℃の範囲の温度で混合した後、水溶性カルシウム塩溶液を添加して初期飲料を製造する第2段階と;
前記初期飲料を5〜40℃の範囲に冷却してゲル化する第3段階と;
前記ゲル化された初期飲料を殺菌した後、容器に注入および密封して混濁果汁飲料を製品化する第4段階と;
を含んでなることを特徴とする分散安定性が優れた混濁果汁飲料の製造方法。
【請求項5】
前記初期飲料を製造する第2段階で果汁と一緒に顆粒を追加で添加して混合することを特徴とする請求項4に記載の混濁果汁飲料の製造方法。
【請求項6】
前記混濁果汁飲料を製品化する第4段階でゲル化された初期飲料を殺菌した後、顆粒を追加で添加して混合することを特徴とする請求項4に記載の混濁果汁飲料の製造方法。
【請求項7】
60〜90℃の範囲の温度で低アシル型ジェランガムを必須成分として含む2種以上の増粘安定剤溶液を製造する第1段階と;
前記増粘安定剤の溶液と、果汁、甘味剤、酸味剤およびその他添加剤とを40〜70℃の範囲の温度で混合した後、水溶性カルシウム塩溶液を添加して初期飲料を製造する第2段階と;
前記初期飲料を殺菌した後、容器へ注入および密封して混濁果汁飲料を製品化する第3段階と;
前記混濁果汁飲料を5〜40℃の範囲に冷却してゲル化する第4段階と;
を含んでなることを特徴とする分散安定性が優れた混濁果汁飲料の製造方法。
【請求項8】
前記初期飲料を製造する第2段階で果汁と一緒に顆粒を追加で添加して混合することを特徴とする請求項7に記載の混濁果汁飲料の製造方法。
【請求項9】
前記混濁果汁飲料を製品化する第3段階で初期飲料を殺菌した後、顆粒を追加で添加して混合することを特徴とする請求項7に記載の混濁果汁飲料の製造方法。

【図1】
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