分泌型ルシフェラーゼを用いた生物発光アッセイ
本明細書に開示されるのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法、及び試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であり、本方法は、分析すべき1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、試料をインキュベートするステップを含み、第1のルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、ルシフェラーゼ酵素によって触媒される反応に用いるための、特に、ルシフェラーゼを用いたレポータ遺伝子アッセイに用いるための試薬及び組成物に関する。本発明はとりわけ、その強度を増加させ、及び/又は、ルシフェラーゼ触媒反応の動態を改善するための方法及び組成物を更に提供する。
【背景技術】
【0002】
レポータ遺伝子アッセイは、遺伝子発現の研究において重要なツールであり、例えば、DNA配列、転写因子、RNA配列、RNA結合タンパク質、シグナル伝達経路、及び特定の刺激などの、対象の遺伝子の発現を何が制御しているのかを理解するのを可能にする。特に、レポータアッセイは、遺伝子制御に重要な核酸領域を同定するために用いられうる。このような領域は、ヒト疾患の治療又は予防における治療処置用の有望な標的となりうる。レポータアッセイは更に遺伝子発現を変更する能力について、薬剤をスクリーニングするのに用いられうる。
【0003】
一般的にレポータアッセイは遺伝子プロモータ領域、又は転写因子結合部位や他の調節エレメントのような、プロモータ内の特定のエレメントを同定するのに用いられる。代替的に、このようなアッセイは様々な刺激又はプロモータや調節エレメントの媒介物に対する反応を研究するために用いられる。一部のアプリケーションでは、アッセイに用いられたレポータコンストラクト又は形質移入された細胞がインビボでのプロモータ機能を研究するために生物に導入される。更に、レポータアッセイが特定のプロモータの上流のシグナル伝達経路を研究又は測定するのに用いられうる。
【0004】
例えば、推定プロモータ配列又は他の転写調節エレメントを調べるために設計されたレポータアッセイの場合において、情報を得るべき核酸は下流のレポータ遺伝子の転写の調節を可能にするために、ある位置においてレポータプラスミドにクローン化され、ひいては、レポータタンパク質の発現がレポータ遺伝子によってコード化される。レポータタンパク質は検出を簡単にするためにレポータプラスミドが形質移入された内在性タンパク質と区別すべきであり、好ましくはレポータタンパク質の発現は容易に定量化できるようにすべきである。レポータタンパク質は好適なアッセイで定量化され、例えばプロモータSV40のような遍在性プロモータによって駆動される対照レポータのレベルと比較して表わされる。対照レポータは試験レポータと区別可能にしなければならず、試験ベクタと共に形質移入され、形質移入効率の対照に用いられる別個のベクタに一般的に含まれている。このようなアッセイは細胞が比例的に同量の双方のベクタを取り込むという前提に基づいている。
【0005】
レポータ遺伝子アッセイ用の様々な異なるアプリケーションは、経時的な、又は、化合物、薬物、リガンド、ホルモン等の添加後の変化を測定するステップを含む。これは薬物スクリーニングで特に重要である。薬物の添加後に、レポータタンパク質のレベルにおいて測定可能な変化を検出することは、発現レベルの変化がmRNAを介してタンパク質に伝達されるために、遅延又は希釈されうる。本出願人によって近時になされた、このようなアプリケーションの有意な進歩は、レポータベクタでmRNA及びタンパク質の不安定化エレメントの組み合わせた使用であり、同時係属中の米国特許出願第10/658,093号に記載のように反応の速度及び大きさを改善し、この開示は引用として本明細書中に組み込まれている。
【0006】
様々なレポータ遺伝子アッセイシステムが様々な検出可能なレポータタンパク質を用いて商業上利用可能であり、最も一般的なものはクロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)、蛍光タンパク質及びルシフェラーゼである。
【0007】
ルシフェラーゼはインビトロアッセイシステム用の最も一般的に用いられるレポータタンパク質である。ルシフェラーゼは生物発光が可能な酵素であり、生物の範囲内で天然に見つけられる。商業上利用可能なアッセイシステムにおいて、ルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用いるものと、基質としてセレンテラジンを用いるものとに一般的に分割される。後者の最も広範に使用される例は、細胞内酵素であるホタルルシフェラーゼである。ルシフェリンを用いるルシフェラーゼの更なる例は、コメツキムシや鉄道虫のような鞘翅目の別のメンバ、及び双翅目(例えば、国際公開第2007/019634号に開示されたような)に由来するものを含んでいる。セレンテラジンを用いるルシフェラーゼは、ウミトサカ類ウミシイタケ属又は橈脚目ガウシア属のような海洋生物に一般的に由来している。ウミシイタケルシフェラーゼは細胞内型であり、ガウシアルシフェラーゼは天然状態においては分泌型酵素である。他の分泌型ルシフェラーゼは、メトリディア・ロンガ(Metridia longa)、ウミホタル(Vargula hilgendorfii)、トゲオキヒオドシエビ(Oplophorus gracilirostris)、プレウロマンマ・キフィアス(Pleuromamma xiphias)、及びメトリディア科の他のメンバに由来するものを含む。
【0008】
ルシフェラーゼを利用したアッセイシステムは、試験及び対照レポータの双方が同一アッセイで測定されるのを可能にする、各々が異なる基質を用いる一般的には異なる起源の1以上のルシフェラーゼを用いることができる。単一試料中の複数のルシフェラーゼによる発光シグナルを測定する能力は、明白な利益を提供し、単一の実験で複数のパラメータを測定する能力を含む。一般的には、コード化されたルシフェラーゼのタイプ、及び、各ルシフェラーゼの発現を制御する対象の調節エレメントの双方において異なる2の異なるレポータ遺伝子が、単一の株化細胞に挿入される。
【0009】
例によると、推定プロモータエレメントは、自身の発現を駆動するようなホタルルシフェラーゼレポータ遺伝子の上流にクローン化される。このプラスミドは株化細胞へSV40プロモータによって駆動されるウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を含む対照プラスミドとともに、一時的に形質移入される。第1のルシフェリンはホタルルシフェラーゼを活性化するために添加され、このレポータの活性が測定され、その後「消光及び活性化」試薬が添加される。この試薬にはルシフェリンシグナルを「消光」し、セレンテラジンを更に含んで、ウミシイタケルシフェラーゼを活性化する化合物を含み、その活性がその後測定される。プロメガ社のデュアルルシフェラーゼアッセイはこのようなシステムの一例である。
【0010】
ホタルルシフェラーゼ活性のレベルはプロモータ活性だけではなく、形質移入効率にも依存している。これはDNAの量と、DNA製剤の質と、細胞の状態に依存して大きく変わる。一緒に形質移入された対照プラスミド(SV40プロモータのような好適なプロモータによって駆動されるウミシイタケルシフェラーゼ)は、ウミシイタケルシフェラーゼ活性が細胞によって取り込まれるホタルルシフェラーゼプラスミドの量に比例するという前提に基づき、これらの変数の補正に用いられる。代替的に又は更に、ウミシイタケルシフェラーゼは細胞数、細胞生存率、及び/又は一般的な転写活性のような、他の変数の制御に用いてもよく、又は、細胞に適用される特定の治療又は化合物が双方のプロモータに影響を与えるか、又は、その1つに特有のものであるかを決定するために用いてもよい。
【0011】
単一試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼのシグナルを区別するための代替的な方法が、東洋ビーネット社のマルチカラールック(登録商標)アッセイによって例示され、同一の基質(ルシフェリン)で作用するが、異なる波長で発光する3の異なる甲虫ルシフェラーゼを用いている。しかしながらこの場合においては、光学フィルタが異なるシグナルを分離するのに要求され、このことによりルシフェラーゼごとに定量化できるシグナルが低減する。
【0012】
異なるアプリケーションの広範囲にわたって十分なシグナル強度を提供するために、弱いプロモータの使用を含み、細胞を形質移入するのを困難にする高感度ルシフェラーゼシステムに試験エレメント(例えば、プロモータ)をリンクさせることができるデュアルルシフェラーゼアッセイシステムを用いることが所望される。シグナル強度は、a)対照が実験の本質ではなく、b)SV40、RSV、EF1α又はCMVのような強い対照プロモータが十分なシグナルが生成されるのを確認するために選択されうるため、対照レポータにとっては更に重要ではない。言い換えると、(ルシフェラーゼタンパク質の分子、あるいはルシフェラーゼ遺伝子ごとに)弱いシグナルのみを生成するルシフェラーゼが、強い対照プロモータと選択的に結合されて、検出可能なシグナルが生成されるのを確認できる。ユーザは試験プロモータを選択する点から、このフレキシビリティを有しない。
【0013】
この文脈においては、商業上利用可能なデュアルルシフェラーゼアッセイ(プロメガ株式会社)が対照レポータに対して感度の良い方のウミシイタケルシフェラーゼと、試験レポータに対して感度の悪い方のホタルルシフェラーゼを用いる弱点を有している。更に、システムはホタルのシグナルが最初に測定されるのを要求する。
【0014】
商業上利用可能なマルチカラールック(登録商標)アッセイシステム(東洋ビーネット社)は、ホタルルシフェラーゼより更に低い感度を有する3の甲虫ルシフェラーゼを用いる。更に、フィルタを用いずに、別個のルシフェラーゼを測定するのが不可能であり、更なる感度の損失を生じる。更には最も一般的に用いられるルミノメータは複数の波長の識別を要求するプロトコルと互換性がない。
【0015】
ルシフェラーゼを用いる、特に1又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを用いるアッセイシステムは、一般的に溶解バッファ及びアッセイバッファという2のバッファを用いる。溶解バッファは最初に細胞を溶解するために細胞に添加され、ひいてはルシフェラーゼを放出させ、後の測定を促進する。ルシフェラーゼ基質及び補助因子を含むアッセイバッファが次いで添加され、その後、ルシフェラーゼ活性の測定がなされる。測定はアッセイバッファの添加(いわゆる、「フラッシュ」反応)で直ちに(すなわち数秒以内)、又は、光シグナルを長期間安定にするために、アッセイバッファで「グロー」試薬を用いることによって数分あるいは数時間後(いわゆる「グロー」反応)になされうる。フラッシュ反応は最も高いシグナル強度(秒ごとの発光単位)を提供し、これによって最も高い感度を提供する利点を有する。グロー反応は例えば、ユーザが簡単に利用できる(インジェクタを装備した)好適なルミノメータを有しないアプリケーションにおいて、又は、バッチ操作が注入と測定との間の遅延を要求する一部の高スループット式のスクリーニングアプリケーションにおいて、特に有利である。鞘翅目ルシフェラーゼ用のグロー試薬は、試薬組成物内のCoA又はDTTのようなチオールを含むことによって生成できる(例えば米国特許第5,650,289号、米国特許第5,641,641号参照)。DTTは更にウミシイタケルシフェラーゼのグローを拡張することが示されている(米国特許第6,171,809号)。
【0016】
ルシフェラーゼレポータアッセイ用の現存のバッファ及び試薬に関連する数多くの弱点がある。
【0017】
特に、ルシフェラーゼ反応の感度の改善、すなわち、現存の試薬で得られるものよりも大きな強度のシグナル強度を提供するマルチルシフェラーゼシステムを含む、試薬、反応組成物及びキットに対するニーズが存在する。これは例えば、研究されているプロモータが低活性のみを有する場合のように、アッセイされたレポータ遺伝子が対象の細胞に低レベルのルシフェラーゼのみを提供する場合、及び/又は、対象の細胞にレポータベクタと共に形質移入/形質導入するのが困難である場合に、特に関連がある。確実に測定されうるシグナル強度を与えるのに要求される最小数の細胞を低減することによって、感度の増加がレポータアッセイの小型化を更に促進するであろう。
【0018】
同時係属中の米国特許出願第10/658,093号に記載されたような不安定化エレメントを含むアッセイシステムを用いる場合、安定状態のルシフェラーゼシグナルは低減する。従って、より高いシグナル強度を提供する試薬は、不安定化エレメントを用いるレポータアッセイシステムにとって特に有利であろう。
【0019】
更には、シグナル強度又はルシフェラーゼシグナルの感度を改善する文脈においては、バックグラウンド発光を低減したアッセイ試薬は、バックグラウンドの低減が真のルシフェラーゼシグナルの低減と関連しない場合に、S/N比を増加させることによって性能を改善するであろう。
【0020】
マルチウェルプレートにおいて生物発光を定量するための現存の方法は、ウェル間の発光漏出の問題を受ける傾向にある。迅速に減衰するシグナルがこの所望されないアーチファクトを最小化する一方で、更に読取り値として発光又は蛍光を用いる更なるパラメータの事後の測定を可能にする。現行のルシフェラーゼアッセイシステムでは、いわゆる「フラッシュ」試薬を使用しても、一部の発光レベルが測定後長く持続する。フラッシュ反応の目的がアッセイバッファの注入後すぐに発光を測定することであるため、このシグナルは有用な目的を供しない。更に、持続するシグナルは発光又は蛍光の事後の測定と干渉しうる。一部の文脈においては、消光試薬はルシフェラーゼシグナルを終結するために添加されうる。しかしながら、この更なるピペット注入ステップを要求しない、自己終結シグナルはより簡単な及びより好ましいシステムを提供するであろう。
【0021】
現行のルシフェラーゼアッセイの更なる限界は、単一の試料で識別及び測定されうる異なるルシフェラーゼの数である。上述のように、消光試薬及び発光波長の差異が、2又は3の異なるルシフェラーゼによって生成されるシグナルを分離するのに用いられてきた。異なるルシフェラーゼからシグナルを分離する更なる手段は、4又はそれ以上の異なるルシフェラーゼを測定することができるアッセイシステムを提供し、同一試料中の4又はそれ以上の異なるパラメータの分析を提供するであろう。複数の異なるルシフェラーゼの同時測定を提供するために、異なるルシフェラーゼの活性を支持することができる試薬システムを有することが必要となる。更に、複数の異なるルシフェラーゼの連続的な活性化及び測定を提供するために、事後のルシフェラーゼ反応を妨害することなく、第1のルシフェラーゼ反応の終結できる試薬システムを有することが必要となる。
【発明の概要】
【0022】
本発明は一般的には、試料中のルシフェラーゼ酵素の量又は活性を測定するための方法に関する。本発明は部分的には、天然形態では分泌されるルシフェラーゼから生成された発光時間をDTTのようなチオール及び還元剤が顕著に短縮するという本発明者の驚くべき発見を前提としている。更に、本発明者は還元剤によるこのような天然分泌型ルシフェラーゼの不活性化が時間依存的であることを驚くべきことに測定している。不活性化の遅延は、発光シグナルを損失する前に(例えば、フラッシュ反応における)発光を測定する機会という手段を提供する。従って、利用可能なルシフェラーゼアッセイの方法論及び試薬組成物を用いて現在得られうるものよりも、高い感度の生成(強いフラッシュ段階及び/又は低いバックグラウンドシグナル)と、分泌型ルシフェラーゼに対する速い発光シグナル減衰率とを本発明の実施例は提供する。
【0023】
従って本発明は、マルチルシフェラーゼ(例えば、デュアル及びトリプルルシフェラーゼ)アッセイで発光を測定する正規のアプローチを更に提供している。このような方法は主に遺伝子レポータアッセイ内に適用される。しかしながら、他の領域における有用性は更に明白である。例えば、ルシフェラーゼは標識抗体(例えば、免疫細胞化学用に)又は標識タンパク質(例えば、BRETアッセイ用に)に用いられうる。実験的に及び選択的に特定のルシフェラーゼのオン及び/又はオフを切り替える能力によって、複数の異なるルシフェラーゼ標識を単一試料中で用いるのを可能にする。BRETアッセイの場合においては、青色発光ルシフェラーゼが好ましく、近傍の蛍光タンパク質からの蛍光を活性化するのに用いられる。本発明は2の異なる青色発光ルシフェラーゼからの発光を識別及び操作するための手段を提供し、これによってマルチBRETアッセイを促進する。
【0024】
本発明の第1の態様は試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記方法は、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼは分泌型ルシフェラーゼである。
【0025】
前記第1のルシフェラーゼの不活性化は、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことができる。
【0026】
前記第1のルシフェラーゼは、天然形態では分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。前記第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いてもよい。前記第1のルシフェラーゼは、基質としてセレンテラジンを用い、海洋起源であってもよい。前記海洋起源のルシフェラーゼはガウシア属の種、プレウロマンマ属の種、メトリディア属の種、シプリディナ属の種、又はオプロフォラス属の種に由来するものであるか、あるいは、その変異体又は誘導体であってもよい。
【0027】
前記還元剤がチオール基を含むことができる。前記還元剤はジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、β−メルカプトエタノール、システアミン、亜硫酸ナトリウム、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)からなる群から選択できる。前記還元剤はDTTであってもよい。
【0028】
ある実施例においては、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定される。このような実施例においては、(i)前記第1のルシフェラーゼの反応基質は前記還元剤と同時に添加でき、(ii)前記第1のルシフェラーゼの反応基質は前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、前記還元剤の添加前に測定でき、(iii)前記還元剤が前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定できる。
【0029】
ある実施例においては、前記ルシフェラーゼの少なくとも1つは組換えレポータ遺伝子から発現できる。前記発光シグナルはレポータ遺伝子アッセイの一部として測定されてもよい。
【0030】
前記試料は少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含むことができる。前記細胞内ルシフェラーゼは鞘翅目又は双翅目の種に由来してもよい。
【0031】
前記試料が少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含む場合、前記第1のルシフェラーゼが前記細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に不活性化されるように、前記還元剤は前記細胞内ルシフェラーゼの反応基質の添加前に前記試料に添加できる。前記細胞内ルシフェラーゼが前記還元剤によって活性化されてもよい。前記細胞内ルシフェラーゼの発光時間は前記還元剤によって拡張できる。第1及び第2のルシフェラーゼは同一又は異なる基質を用いてもよい。例えば、前記第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用い、前記細胞内ルシフェラーゼが基質としてルシフェリンを用いることができ、あるいは、前記第1のルシフェラーゼ及び前記細胞内ルシフェラーゼは双方とも、基質としてセレンテラジンを用いることができる。
【0032】
前記試料は2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを含むことができる。前記2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、異なる波長で生成できる。
【0033】
本発明の第2の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0034】
前記ルシフェラーゼは、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。
【0035】
前記試料は前記還元剤より前に前記反応基質と接触し、あるいは、前記試料が前記反応基質及び前記還元剤と同時に接触することができる。
【0036】
本発明の第3の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)次いで、前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
を含んでいる。
【0037】
本発明の第4の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0038】
本発明の第5の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記第1のルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(e)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0039】
前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されるように、ステップ(d)及び(e)はステップ(a)乃至(c)に先行できる。
【0040】
前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記試料が前記還元剤と接触するように、ステップ(b)はステップ(a)及び(c)の後に行うことができる。
【0041】
前記試料は、前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に、又は同時に前記還元剤と接触してもよい。
【0042】
本発明の第6の態様は、第1及び第2のルシフェラーゼを含む試料中の第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記第1のルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0043】
前記試料は第3のルシフェラーゼを更に含むことができる。前記第3のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであってもよい。前記第2及び第3のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、異なる波長で生成できる。前記第2のルシフェラーゼは鞘翅目の種に由来し、前記第3のルシフェラーゼが双翅目の種に由来してもよい。
【0044】
本発明の第7の態様は、天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを不活性化するための方法を提供し、前記方法は、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含んでいる。
【0045】
前記ルシフェラーゼは、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。
【0046】
前記ルシフェラーゼの不活性化は、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことができる。
【0047】
本発明の第8の態様は、天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの減衰率を増加させるための方法を提供し、前記方法は、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含んでいる。
【0048】
本発明の第9の態様は、試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記方法は、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供する試薬組成物とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼは分泌型ルシフェラーゼである。
【0049】
本発明の第10の態様は、試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法は、
(a)第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する、有効量の還元剤を前記試料に添加するステップと;
(b)前記試料中の発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼの前記発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと;
(d)前記試料中の前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とに基づいて、各ルシフェラーゼについて前記発光シグナルを計算するステップと;
を含んでいる。
【0050】
本発明の第11の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法が、
(a)前記第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0051】
本発明の第12の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、当該方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼ用の反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0052】
本発明の第13の態様は、試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼである。
【0053】
本発明の態様及び実施例によると、発光シグナルの測定前に、前記試料は細胞溶解ステップに供することができる。前記1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質の添加前に、前記試料は細胞溶解ステップに供してもよい。前記還元剤の添加前に、前記試料は細胞溶解ステップに供してもよい。前記還元剤は細胞溶解バッファ中にある。
【0054】
本発明の態様及び実施例によると、請求項1乃至44のいずれか1項に記載の方法において、1又はそれ以上のルシフェラーゼを発現する細胞が培養された条件培地を用いて、発光シグナルが測定できる。
【0055】
本明細書に更に開示されているのは、試料中でルシフェラーゼの量又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は向上した発光シグナル、及び/又はルシフェラーゼからの増大した発光シグナル減衰率の生成を可能にする。一般的に、ルシフェラーゼの存在下で、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供している。一般的には、変換は発光シグナルが前記変換前に測定できるような期間に生じる。一般的に、変換は発光シグナルの開始後、約1秒又はそれ以上、約5秒又はそれ以上あるいは約10秒又はそれ以上で明白になる。一般的に変換は期間中ずっと進行している。
【0056】
本明細書に更に開示されているのは、試料中でルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、ルシフェラーゼの存在下で、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。一般的に、試薬組成物によって提供される環境は、活性ルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへのより迅速な変換、あるいは採用、あるいはわずかな活性コンフォメーションの維持を促進している。代替的には又は更には、環境は、不活性なコンフォメーションを採用するルシフェラーゼの比率を増加させることによって、試料中のルシフェラーゼの全体的な活性を減少できる。一般的には、試薬組成物は少なくとも1の好適な還元剤を含んでいる。一般的に1又はそれ以上の薬剤はルシフェラーゼの還元を生じさせ、これによって、時間依存的な方法においてルシフェラーゼによる不活性なコンフォメーションの採用を促進する。従って、薬剤の不存在に対する薬剤の存在(薬剤(+)/薬剤(−))におけるシグナル強度の比率は、一般的には期間にわたって減少する。例えば、比率は試薬組成物をルシフェラーゼと接触させた1秒後より10秒後の方が一般的には低い。
【0057】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性をアッセイするためのキットであり、キットは少なくとも1の試薬組成物を含み、試薬組成物はルシフェラーゼの少なくとも1つの、不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供している。
【0058】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性をアッセイするためのキットであり、キットは少なくとも1の試薬組成物を含み、試薬組成物はルシフェラーゼの少なくとも1つの、不活性なコンフォメーションへのアンフォールディングを促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。
【0059】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は少なくとも1つの還元剤を含んでいる。
【0060】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は少なくとも1つの還元剤、又は酸化及び還元剤の組合せを含んでいる。一般的には、1又はそれ以上の薬剤はルシフェラーゼの還元を生じさせ、これによって、時間依存的な方法においてルシフェラーゼによる不活性なコンフォメーションの採用を促進する。
【0061】
上述によると、試薬組成物は1又はそれ以上の更なる成分を更に含む。このような更なる成分は、例えば2価金属のキレータ、抗酸化剤、プロテアーゼ阻害剤、塩、洗剤又は更なるバッファ成分から選択できる。2価金属のキレータは例えば、EDTA、CDTA、及びEGTAから選択される。一実施例においては、2価金属のキレータはEDTAであり、約1mM乃至約15mMの濃度で存在している。試薬組成物はルシフェラーゼの活性を測定するためにアッセイ試薬又はバッファの形態にできる。従って、アッセイバッファはバッファ剤のような更なる成分を更に含んでもよい。バッファ剤は例えばトリス、ヘペス又はリン酸バッファにできる。試薬組成物はルシフェラーゼ基質を更に含んでもよい。基質は例えば、ルシフェリン又はセレンテラジンにできる。特定の実施例においては、基質はセレンテラジン又はその誘導体である。例によると、セレンテラジン又はその誘導体は約2uM以上、約5uM以上、約10uM以上、約15uM以上、約20uM以上あるいは約25uM以上の濃度にできる。
【0062】
一般的に、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルは短命であり、基質の添加後約15分以内にバックグラウンドレベル近くまで減衰する。より一般的にはシグナルは基質の添加後約15分以内、基質の添加後約10分以内、基質の添加後約5分以内に初期シグナルの約1%未満まで減衰する。一般的には、生物発光シグナルは基質の添加後数秒以内から迅速に減衰し、レベルは基質の添加後約60分、基質の添加後約30分、基質の添加後約15分、基質の添加後約10分、あるいは基質の添加後約5分以内に、初期シグナルの約0.1%未満になる。
【0063】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物はDTT及びセレンテラジンを含み、ルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いている。
【0064】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1、第2、第5、第6又は第7の態様のいずれか1つによって試料に有効量の試薬組成物を添加するステップと、(b)試料中の生物発光を検出するステップとを含んでいる。
【0065】
更に本明細書中に開示されているのは、バックグラウンドシグナルを低減させ、あるいは、ルシフェラーゼ反応のS/N比を増加させるための方法であり、その方法がルシフェラーゼ用の基質及び好適な酸化還元環境を含む有効量の試薬組成物とルシフェラーゼを接触させるステップを含んでいる。一般的には、試薬組成物は少なくとも1の還元剤又は酸化及び還元剤の組合せを含んでいる。
【0066】
更に本明細書中に開示されているのは、ルシフェラーゼ酵素によって生成された生物発光シグナルの減衰率を増加させる方法であり、その方法はルシフェラーゼを有効量の試薬組成物と接触させるステップを含み、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。
【0067】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)ルシフェラーゼを発現する細胞を提供するステップと、(b)ルシフェラーゼ酵素の基質を含み、ルシフェラーゼの不活性状態又はコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な試薬組成物を添加するステップと、(c)活性ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルを検出するステップとを含んでいる。
【0068】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第8又は第10の態様により、第1のルシフェラーゼの量又は活性を測定するステップと、(b)第1のルシフェラーゼの発光シグナルを実質的に減衰可能にするために、ある期間待機するステップと、(c)第2のルシフェラーゼ用の第2の基質を添加するステップと、(d)第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するステップとを含んでいる。
【0069】
上の方法は更に、試料中の2以上のルシフェラーゼの量又は活性の測定に適用可能であり、その方法は、各々の更なるルシフェラーゼのためにステップ(c)及び(d)又はステップ(d)のみを反復するステップを含んでいる。
【0070】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)2のルシフェラーゼからの発光シグナルを生成するのに好適であるが、各ルシフェラーゼについて異なる減衰率の発光シグナルを有する有効量の試薬組成物を試料に添加するステップと、(b)試料中の発光シグナルを測定するステップと、(c)第1のルシフェラーゼの発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと、(d)試料中の発光シグナルを測定するステップと、(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とを用いて、各ルシフェラーゼの発光シグナルを計算するステップとを含んでいる。
【0071】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)ルシフェラーゼの反応基質、及び、ルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化する薬剤を含む試薬組成物と、試料を接触させるステップと、(b)ルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に発光シグナルを測定するステップとを含んでいる。
【0072】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の基質、及び、第1のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化するが、第2のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化しない薬剤を含む第1の試薬組成物と試料を接触させるステップと、(b)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に、発光シグナルを測定するステップと、(c)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化された後に、発光シグナルを測定するステップと、(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップとを含んでいる。
【0073】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の基質、及び、第1のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化するが、第2のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化しない薬剤を含む第1の試薬組成物と試料を接触させるステップと、(b)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に、発光シグナルを測定するステップと、(c)第2のルシフェラーゼ用の基質を含む第2の試薬組成物と前記試料を接触させるステップと、(d)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化された後に、発光シグナルを測定するステップと、(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本発明の実施例は、添付の図を参照して単なる例としてここに記載される。
【0075】
【図1A】図1Aは3の異なる還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図1B】図1Bは3の異なる還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図2A】図2Aは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。図2のデータは2の時間経過にわたって提供され、図2Aは180秒まで提供される。
【図2B】図2Bは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。図2のデータは2の時間経過にわたって提供され、図2Bは33分秒まで提供される。
【図3】図3は、分泌型及び非分泌型ガウシアルシフェラーゼからの生物発光シグナルでのDTT(50mM)の効果を示している。
【図4】図4は、50mMのDTTの存在下における、ウミシイタケルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図5A】図5Aは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5B】図5Bは、DTTの濃度変化の存在下における、分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5C】図5Cは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5D】図5Dは、DTTの濃度変化の存在下における、分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6A】図6Aは、ジチオエリトリトール(DTE)を有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6B】図6Bは、亜硫酸ナトリウムを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6C】図6Cは、システアミンを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6D】図6Dは、ジチオエリトリトール(DTE)を有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6E】図6Eは、システアミンを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6F】図6Fは、TCEPを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6G】図6Gは、β−メルカプトエタノールを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図7】図7は、DTTが前の開始反応のグロー段階中に添加される場合に、非分泌型ガウシアルシフェラーゼからの生物発光シグナルでのDTTの効果を示している。
【図8】図8は、非分泌型ガウシアルシフェラーゼと、ホタルルシフェラーゼとを発現する細胞内のデュアルルシフェラーゼアッセイからの生物発光(RLU)を示している。LB=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加直前に測定されるシグナル、Ga=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加直後に測定されるシグナル、15’=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加15分後(ホタルアッセイバッファの添加直前)に測定されるシグナル、FF=ホタルルシフェラーゼアッセイバッファの添加1秒後に測定されるシグナルである。
【図9A】図9Aは、腫瘍壊死因子又はフォルスコリンの存在下で、サイクリックAMP応答エレメント(CRE−FF)の調節下の不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動される、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼ、又は双方のいずれかを発現する細胞からのルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図9Aはガウシアアッセイバッファの存在下でのルシフェラーゼ活性である。
【図9B】図9Bは、腫瘍壊死因子又はフォルスコリンの存在下で、サイクリックAMP応答エレメント(CRE−FF)の調節下の不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動される、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼ、又は双方のいずれかを発現する細胞からのルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図9Bはホタルアッセイバッファの存在下でのルシフェラーゼ活性である。
【図10A】図10Aは0秒(t=0)及び1200秒(t=1200)での非分泌型ガウシアルシフェラーゼ(Ga)、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn)、又は混合溶解物中の双方のルシフェラーゼ(Ga&Rn)を含む細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。
【図10B】図10Bは、実施例10に記載のように測定される、図10Aからの非分泌型ガウシアルシフェラーゼに対する、測定(計算)及び期待された活性との比較を示している。
【図11A】図11Aは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11AはDDTなしの溶解バッファを用いている。図11Aはドキシサイクリン処理なしでの単一時点からのデータを示している。
【図11B】図11Bは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11BはDDTを含む解バッファを用いている。図11Bはドキシサイクリン処理なしでの単一時点からのデータを示している。
【図11C】図11Cは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11CはDDTなしの溶解バッファを用いている。図11Cは、ドキシサイクリン(−)と相対的にドキシサイクリン(+)として表現される総ての時点からのデータを示している。
【図11D】図11Dは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11DはDDTを含む解バッファを用いている。図11Dは、ドキシサイクリン(−)と相対的にドキシサイクリン(+)として表現される総ての時点からのデータを示している。
【図12A】図12Aはバックグラウンド発光シグナルへのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図12B】図12Bはバックグラウンド発光シグナルへのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図12C】図12Cは非分泌型ガウシアルシフェラーゼからのフラッシュ強度へのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図13】図13は、DTT、TCEP又はβ−メルカプトエタノール(b−ME)といった還元剤の存在下あるいは不存在下において、新しいアッセイバッファ中のシグナル強度に対する割合として22時間経過したアッセイバッファ中の非分泌型ガウシアルシフェラーゼから生成された生物発光シグナル強度(RLU)を示している。
【図14】図14は、酸化されたグルタチオン:還元されたグルタチオンの比率変化の存在下で、新しいアッセイバッファ(AB)及び使用前に4時間保存されたアッセイバッファ(4時間のAB)における非分泌型ガウシアルシフェラーゼの細胞溶解物中の発光(RLU)を示している。
【図15】図15は、還元されたグルタチオン:酸化されたグルタチオンについて3:2の比率での濃度変化の存在下で、新しいアッセイバッファ、使用前に7時間室温(RT)で保存されたアッセイバッファ、又は使用前に22時間4℃で保存されたアッセイバッファにおける、非分泌型ガウシアルシフェラーゼの細胞溶解物中の活性(RLU)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
文脈がそうではないことを要求しない限り、本明細書及び後に続く請求項にわたり、「含む(comprise)」という用語及び「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」のような変化形は、示された整数又はステップ又は整数又はステップのグループを含むことを意味するが、その他の整数又はステップ又は整数又はステップのグループを排除することを意味するものでがないことは理解すべきである。
【0077】
「ある」(“a”又は“an”)という冠詞は、1又はそれ以上(すなわち少なくとも1つ)を意味して本明細書で用いられる。例えば、「エレメント」は1又はそれ以上のエレメントを意味する。
【0078】
本明細書で用いられるように、1のコンフォメーションから別のものへのルシフェラーゼ酵素の変換の文脈においては、「促進する(facilitates)」という語句は、薬剤がこのような変換を提供、生成、許容又は促進することを意味する。従って、ルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換の促進は、受動的又は能動的であってもよく、直接的又は間接的であってもよい。例えば、薬剤はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換が生じうる好適な環境を提供できる。ルシフェラーゼ酵素の変換を「促進」する薬剤は一般的に薬剤の不存在下で見られるものと比較して、より有効な変換を提供するものである。
【0079】
本明細書で用いられるように、「変換(conversation)」という用語は活性/不活性状態又はコンフォメーションを得る際のフォールディング/アンフォールディング又はルシフェラーゼ酵素の他の変更である。更にルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換の引用は、活性状態又はコンフォメーションから不活性状態又はコンフォメーションへの変換、あるいは、部分的な活性又は高い方の活性状態又はコンフォメーションから低い方の活性状態又はコンフォメーションへの変換のいずれかを意味すると取られる。この文脈においては、「コンフォメーション(conformation)」という用語は酵素によって採用される構造(例えば3次又は4次などの)をその範囲内に含み、これは反応を触媒する酵素の能力に関連し、従って基質の添加と同時に生物発光シグナルを生成する。
【0080】
本明細書で用いられるように、ルシフェラーゼの生物発光シグナル強度の文脈における「増大した(enhanced)」という用語は、薬剤又は試薬組成物の不存在下で、及び/又は従来技術の組成物の存在下で得られるものと比較した、定性的又は定量的に増大又は増加したシグナル強度又はS/N比を意味している。同様に、「減衰率の増加(increased rate of decay)」という用語は、薬剤又は試薬組成物の不存在下で、及び/又は従来技術の組成物の存在下で得られるものと比較して増加した生物発光シグナルの減衰率を表わすために用いられる。
【0081】
本明細書で用いられるように、「有効量(effective amount)」という用語は、その意味の内部に、所望の効果を提供するのに十分な量の試薬組成物を含んでいる。要求される正確な量は、分析すべき試料の性質、用いられるルシフェラーゼ酵素及びルシフェラーゼが細胞内型か分泌型か、試薬の構成又は用いられる組成物のようなファクタに依存して、事例によって変化する。従って、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかしながら、任意の与えられた事例について、好適な「有効量」は日常的な実験だけを用いて当該技術分野の当業者によって測定されうる。
【0082】
本明細書で用いられるように、「非分泌型ルシフェラーゼ(non−secreted luciferase)」という用語は、細胞から細胞外環境に搬出又は分泌されないルシフェラーゼを意味している。このように「非分泌型(non−secreted)」はあらゆる形態で細胞内に保持されるルシフェラーゼを含み、ひいては、ルシフェラーゼは細胞質状態あるいは膜結合状態となる。一般的には、排他的ではないが、天然状態においては分泌されるルシフェラーゼについて、「非分泌型」形態になるように、ルシフェラーゼが本明細書に引用される場合、この分泌及び分泌の不存在は真核細胞を参照する。
【0083】
本明細書で用いられるように、「分泌型ルシフェラーゼ(secreted luciferase)」という用語は、天然形態においては通常に発現される細胞から細胞外の場所に分泌されるルシフェラーゼのことである。細胞外の場所は生物の同定に依存して生物の内外部にできる。細胞外の場所はルシフェラーゼを発現する細胞がインビトロで培養されている培地をその範囲内に含んでいる。ルシフェラーゼを発現する生物が通常住んでいる水生又は海洋環境を含んでもよい。「分泌型ルシフェラーゼ」という用語によって包囲されるものは、本明細書に記載されるようなその様々な変形及び組換えられた形態であり、このような組換えられ又は変形された形態は分泌可能又は不可能となることに更に留意すべきである。従って、「分泌型ルシフェラーゼ」という用語は分泌型ルシフェラーゼの「非分泌型」形態をその範囲内に含んでいる。
【0084】
本明細書で用いられるように、「細胞内ルシフェラーゼ(intracellular luciferase)」という用語は、発現時に及び天然形態において、細胞外培地内に分泌されるよりも、細胞又は細胞膜内に保持されるルシフェラーゼをいう。「細胞内ルシフェラーゼ」という用語によって包囲されるものは、本明細書に記載されるようなその様々な変形及び組換えられた形態であり、このような組換えられ又は変形された形態は細胞内に保持可能又は不可能になることに留意すべきである。従って、「細胞内ルシフェラーゼ」という用語は細胞内ルシフェラーゼの搬出又は分泌された形態をその範囲内に含んでいる。
【0085】
従って、本明細書で用いられるように、「非分泌型」と「細胞内ルシフェラーゼ」という用語は異なる意味を有している。「非分泌型」ルシフェラーゼは天然形態において分泌されるルシフェラーゼについて、変形した形態のものにできる一方、「細胞内」ルシフェラーゼは天然形態においては細胞内にある(分泌されない)ものである。
【0086】
本明細書で用いられるように、「不活性化する(inactivate)」、「不活性化(inactivation)」及び本明細書で用いられるようなその変化形は、還元剤によるルシフェラーゼの不活性化の文脈において、生成された発光シグナルの量によって測定されたルシフェラーゼの触媒活性が低減又は無効化されることを意味している。従って、不活性化は活性の100%の低減が生じうると完了できるが、これが事例である必要はない。一部の残効性が保持されるような部分的な不活性化は、更に考慮される。
【0087】
ルシフェラーゼ酵素を引用して本明細書で用いられるように、「基質(substrate)」という用語はルシフェラーゼが作用する反応基質分子を意味し、ルシフェラーゼの基質及び/又は触媒への結合に有益な又は要求しうるどの更なる補助因子も含まない。例えば、ルシフェラーゼ触媒反応は、マグネシウム、CoA及びATPのような補助因子から要求又は利益を受けることができるが、本発明の文脈においては、このような補助因子は「基質」という用語の範囲内にあるとは見なされない。ルシフェラーゼ「基質」は例えば、D−ルシフェリンやセレンテラジンを含む。本出願の目的のために、「ルシフェリン(luciferin)」という用語は、D−ルシフェリン及びその類似体である基質のことであり、その分子は、例えばホタル、コメツキムシ及び鉄道虫のような鞘翅目由来のルシフェラーゼ用の基質である。本発明の文脈においては、ルシフェリンという用語はセレンテラジンを包囲せず、異なる分類のルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ、ガウシア、メトリディアから由来されるもののように)によって用いられる異なるルシフェラーゼ基質を表わしている。
【0088】
本明細書で用いられるように、「試料(sample)」という用語は任意の試料を意味し、限定されないが、細胞、生物、溶解された細胞、細胞又は生物の抽出物又は成分、細胞外液、細胞が培養される培地を含み、試料は1又はそれ以上のルシフェラーゼ酵素を含み又は含むと思われる。
【0089】
本明細書で用いられるように、本発明者らは最初に、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼ酵素の活性への還元剤の効果について述べた。実際にウミシイタケ及び鞘翅目に由来するルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼで観られる効果に反して(グロー反応はDTTの存在下で拡張される)、本発明者らは、DTTのような還元剤が天然形態で分泌されるルシフェラーゼに逆の効果を与えるという驚くべき測定をした。すなわち、還元剤が天然形態で分泌されるルシフェラーゼによって生成された発光時間を顕著に短縮している。更には、本発明者らは還元剤による天然分泌型ルシフェラーゼの不活性化がすぐには生じず、時間依存的であるという驚くべき測定をした。
【0090】
理論により制限されることを所望しなければ、細胞内ルシフェラーゼは、低減された環境に上手く適用され、発光時間の点で還元剤から利益を受ける一方、天然分泌型ルシフェラーゼはより酸化された環境に適用され、還元剤によって不活性化され、タンパク質コンフォメーションを変え、及び/又は重大なジスルフィド結合を切断し、それによって触媒活性を低減及び無効化することは、本明細書において想定される。重要なことに、フラッシュ測定が妨害されないように試薬をルシフェラーゼと結合した直後に、この変換は開始しない。コンフォメーションの変化はタンパク質フォールディングの変化及び/又はルシフェラーゼの酸化還元状態の変化を含むことができる。更に、コンフォメーション的な変化はルシフェラーゼタンパク質の1またはそれ以上のジスルフィドブリッジの破壊を含んでいる。ルシフェラーゼ酵素の状態又はコンフォメーションの変化は多数の状況において所望又は要求されうる。このような状況は例えば、マルチルシフェラーゼアッセイの使用、読取り値として発光又は蛍光を用いる他の(非ルシフェラーゼ)アッセイに試料が適用できるようにするための測定後に持続する所望されないシグナルの除去、
又は単純に、過去に測定されたウェルから現在測定されているウェルに生じている発光漏出の低減を含んでいる。
【0091】
本発明の実施例はルシフェラーゼ酵素の量及び/又は活性を測定又は定量するのに所望されるルシフェラーゼを用いた反応に適用を見出す。例えば、排他的ではないが、本発明の実施例は高いシグナル強度に加えて迅速な応答を提供するために不安定化エレメントを用いたレポータ遺伝子アッセイシステムのために特に適用可能である。本発明の実施例においては、分析すべき試料は天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼのような任意のルシフェラーゼを発現することが知られているが、これは事例にする必要がない。例えば、任意の試料が問題となるルシフェラーゼ酵素を含むことをわかり得ないことが当該技術分野の当業者は分かるであろう。例えば、細胞は、プロモータ、エンハンサ又は他の制御配列と選択的に動作可能にリンクされた、ルシフェラーゼをコード化するポリヌクレオチドを含む発現構成を所有する(及び変換された)ことが知られているが、ルシフェラーゼ酵素が発現したことは知られ得ない。従って、本発明の範囲内に含まれるのは分析すべき試料が特定のルシフェラーゼを発現すると思われる実施例である。
【0092】
本明細書に記載のようなレポータ発現アッセイに加えて、本発明の実施例は更に他のアッセイシステムの適用を見出し、1又はそれ以上のルシフェラーゼ酵素の量及び/又は活性が測定できる。例えば、ルシフェラーゼはイムノアッセイでレポータとして、ハイブリダイゼーションアッセイでラベルとして用いることができ、ひいては、例えば抗体又は核酸プローブにリンクしてもよい。従って、ルシフェラーゼはレポータ又は検出可能なラベルとして用いることができる。
【0093】
本明細書に記載のように、還元剤の存在下で基質の添加後最初の数秒で天然分泌型ルシフェラーゼから生成される、非常に高い生物発光シグナル強度は、生物発光シグナルの非常に迅速な減衰と関連しうることが分かる。還元剤は単独で添加してもよいし、以下に記載のようにアッセイバッファ(例えば、1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質と共に)又は細胞溶解バッファのような試薬組成物の成分としてもよい。
【0094】
従って、本発明の実施例のための試薬組成物は少なくとも1の還元剤、一般的にはチオールを用いた還元剤を含むことができる。
【0095】
一般的な意味において、酸化−還元(酸化還元(redox))反応は、通常電子の移動による酸化数の変化によって特徴づけられる。「酸化(oxidation)」という用語は一般的に、酸化状態又は数の増加(電子の損失)である。一方、「還元(reduction)」という用語は一般的に、酸化状態又は数の減少(電子の獲得)である。「酸化剤(oxidising agent)」は時として電子受容体と呼ばれ、「還元剤(reducing agent)」は時として電子供与体と呼ばれる。還元は多くの方法で特徴付けることができる。「酸化数の減少」又は「電子の獲得」に加えて、還元は更に「酸素の取得」と大抵は見なされうる。例えば、二重結合は還元された場合2の酸素を獲得し、ケトン又はアルデヒドはそれぞれ第1及び第2アルコールに還元される場合、酸素を獲得し、ジスルフィド結合が2のチオールに還元される場合、2の酸素を獲得する。他の基質を酸化する能力を有する基質は、「酸化的(oxidative)」と言われ、「酸化剤」、「酸化体(oxidant)」又は「酸化性物質(oxidiser)」と呼ばれる。他の基質を還元する能力を有する基質は、「還元的(reductive)」と言われ、「還元剤」、「還元体(reductant)」又は「還元性物質(reducer)」と呼ばれる。一般的には酸化還元処理においては、還元体又は還元剤は電子を失って酸化され、酸化体又は酸化剤は電子を獲得して還元される。試薬組成物又はこの試薬を用いた相当する反応混合物中に1又はそれ以上の酸化剤及び/又は還元剤を存在させて、試薬又は反応混合物中に全体的な「還元した」又は「還元的」環境を提供するようにしてもよい
【0096】
還元剤はルシフェラーゼの還元を促進でき、これによってそうでなければ、高い方の活性コンフォメーション又は形態から低い方の活性コンフォメーション又は形態へのルシフェラーゼの変換を促進する。
【0097】
当該技術分野の当業者は、多様な還元剤が本発明の目的に好適であり、本明細書で考慮されていることが分かるであろう。例えば、還元剤はジスルフィド結合がチオールに還元され、ルシフェラーゼタンパク質を変性するような試薬組成物内の電気化学的ポテンシャルの生成に寄与するジスルフィド結合変換剤であってもよい。例によると、還元剤はルシフェラーゼタンパク質中のジスルフィド結合を直接的又は間接的に還元できる。例えば、酸化還元バッファの成分を還元するようなチオールはタンパク質フォールディング及び変性に含まれるチオール−ジスルフィド交換反応の比率に影響を与えることが知られている。
【0098】
チオールの還元を記載する一般式は式1.0に示される:
R−S−S−R1+2H++2e−→R−SH+R1−SH 1.0
好適な還元剤の例は限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸塩、チオグリコール酸ナトリウム、ピルビン酸塩、システイン、硫化ナトリウム、硫化水素、ジチオン酸塩、水素及び白金触媒、β−メルカプトエタノール;β−メルカプトエチルアミン、メルカプト酢酸、二酸化チオ尿素、N−エチルマレイミド、及びアスコルビン酸塩を含んでいる。いくつかの実施例においては、還元試薬はポリマ担体のような固体担体に固定化してもよい。固定化された還元試薬の一例は、固定化されたTCEPジスルフィド還元ゲルである。TCEPは還元剤の一例であるが、チオール誘導体ではない[Willis,M.,S.,Protein Science,2005,14,1818−826]。
【0099】
一般的には、還元剤は少なくとも約500μM、1mM、2mM、5mM、10mM、20mM、50mM、75mM、100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、400mM又は500mMの濃度で存在している。
【0100】
本発明による使用のための試薬組成物は、更に、当該技術分野の当業者によって容易に分かり、確認されるような多数の更なる成分を含むことができる。このような追加の成分の同定は、アッセイとアッセイの状況及び目的に用いられるルシフェラーゼ酵素に大いに依存している。本本発明の試薬組成物用の1のこのような一般的な更なる成分は、ルシフェラーゼ用の基質である。単なる例によると、試薬組成物はルシフェラーゼ及び/又はルシフェラーゼを発現する細胞の溶解によって触媒される反応に好適な又は有益な成分を更に含んでもよい。例えば、組成物は1又はそれ以上の2価金属のキレータ(EDTA、CDTA又はEGTAのような)、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、プロテアーゼ阻害剤(シュウ酸のような)、洗剤(一般的な非イオン性の)、又はHEPES、Tris、BSA及び/又はグリセロールのような更なる日常的に用いられるバッファ成分を含んでもよい。更には、本発明の試薬組成物は少なくとも約7、一般的には約7乃至約9のpHを有することができる。いずれかの特定の状況に用いられるべき試薬組成物の正確な構成を決定することは、添加すべき更なる1又はそれ以上の成分に関し、当該技術分野の当業者の能力内にある。
【0101】
本明細書に例示されているように、様々に変更されたルシフェラーゼアッセイバッファ組成物は、例えば還元剤を含み、変更された細胞内ガウシアルシフェラーゼ又は標準的な分泌型ガウシアルシフェラーゼと共に用いられる場合に非常に高い初期シグナル強度を提供し、バックグラウンドレベルへの発光の非常に迅速な減衰が後に続く。還元剤の含有が分泌型ルシフェラーゼからの発光時間を短縮することは、ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼでのDTTの報告された効果に反し、実際に真逆になることを特に驚くべきことに与えている。
【0102】
本明細書で開示されているのは、分泌型ルシフェラーゼでの還元剤のこの予想外の効果と、有利にするために異なるルシフェラーゼでのこれらの薬剤の現実的な差次的効果とを用いるための方法である。特に、本発明者らの知見はマルチルシフェラーゼアッセイを実行するための正規の方法の発展に導いた。従来技術によると、異なるルシフェラーゼによって生成されたシグナルは、消光試薬の使用を介して識別され、発光波長の差に基づいていた。本発明はルシフェラーゼシグナルが時間ベースで、すなわち、発光の動態の違いに基づいて更に識別できる。理論によって結びつけられるのを望まなければ、本明細書に例示したデータは、細胞質ルシフェラーゼと異なり、分泌型ルシフェラーゼは活性コンフォメーションを採用するためにフォールディングを要求することを示唆している。DTTのような還元剤への曝露は、分泌型ルシフェラーゼの活性を低減又は無効化する一方、この不活性化の処理は数秒以上かかり、このことが不活性化され始める前のルシフェラーゼの活性を測定するための機会という手段を生成する。驚くべきことに、本明細書に例示されるように、50mMまでのDTの含有は約5乃至15分以内にルシフェラーゼを実質的に又は完全に不活性化する能力があるにもかかわらず、初期シグナル強度のいかなる低減も生じさせない。
【0103】
本発明の試薬組成物によって提供される更なる利益は、バックグラウンド発光の低減(実際には高いS/N比)と、アッセイ試薬の延びた有効時間(従来技術のアッセイバッファは、おそらくは自動酸化のために基質の添加後、限られた有効時間を有している)を含んでいる。
【0104】
従って、本発明の方法は、短いシグナル時間と関連する高い検出の感度を提供している。これは野生型の分泌フォーマットで用いられるか、又は、非分泌型になるように変形されるかに拘らず、野生型の状態で分泌されるルシフェラーゼの事例になるように説明されている。同一の薬剤(還元剤)がウミシイタケルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼからの長いシグナル時間を提供することは、発光の動態の差に基づいてルシフェラーゼシグナルを上手く識別するのにこれらの薬剤を用いるための機会を提供している。
【0105】
本発明のための試薬組成物は、1又はそれ以上のキレータを更に含んでいてもよい。好適なキレータは限定しないが、例えばEDTA、CDTA及びEGTAのような2価金属のキレータを含む。キレータは約1mM乃至約15mMの濃度にできる。
【0106】
当該技術分野の当業者は、例示的な範囲又は成分が本明細書に記載された場合に、これらは、ルシフェラーゼタンパク質のアンフォールディング、増大した生物発光シグナル強度、低減したバックグラウンドシグナル、延長された試薬の有効時間及び/又は生物発光シグナルの短縮を得る本発明の組成物に含まれうる範囲及び成分の網羅的ではない単なる例示であることが分かるであろう。
【0107】
本発明の方法を用いて、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルがルシフェラーゼ基質の添加後約1秒以内に開始する短い段階に限定できる。例えば、生物発光シグナルは基質の添加後約30分未満又は約15分未満に限定できる。更には、単なる例によって、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルは、ルシフェラーゼ触媒反応の初期から5分、10分、15分、20分、25分又は30分後に、生物発光シグナルが初期シグナルの約1%未満乃至初期シグナルの約0.1%未満になるようにできる。
【0108】
ルシフェラーゼ基質及び還元剤は同一の試薬組成物の成分にしてもよく、別個に添加できるように(別個の試薬組成物の成分を含んで)分離してもよい。ルシフェラーゼ基質及び還元剤が同一の試薬組成物の成分ではない場合、基質は還元剤の添加前、後、又は同時にルシフェラーゼを含む試料に添加できる。一実施例においては、基質はセレンテラジン又はその誘導体である。例によると、セレンテラジン又はその誘導体は約5μM以上、約10μM以上、約15μM以上、約20μM以上、又は約25μM以上の濃度にしてもよい。好適なセレンテラジン誘導体は当該技術分野の当業者に公知であり、限定されないがm−、v−、e−及びf−セレンテラジンを含んでいる。
【0109】
一般的なルシフェラーゼを利用したレポータアッセイシステムは溶解バッファ及びアッセイバッファ(本明細書に「アッセイ試薬」として一括して引用)という2のバッファを用いている。溶解バッファはアッセイすべきルシフェラーゼを含む細胞を溶解するための成分を一般的に含む一方、アッセイバッファは一般的には、なかでも基質とルシフェラーゼ反応用に要求されたいずれかの補助因子とを含んでいる。
【0110】
本発明の方法により用いるための還元剤は、ルシフェラーゼアッセイバッファの成分にできる。有利なことに、本発明によるアッセイバッファは野生型又は天然状態で分泌されるルシフェラーゼと併用して用いられる場合に、短い発光時間を有効に提供する。代替的に、本発明の方法により用いるための還元剤は、細胞溶解バッファの成分にしてもよい。例によると、方法が細胞によって発現された2又はそれ以上のルシフェラーゼを測定するステップを含む場合に、還元剤を細胞溶解バッファに取り込むことが有利であり、一方のルシフェラーゼが分泌され、他方が細胞内型である。分泌型ルシフェラーゼ活性は標準的には条件培地の試料で測定でき、細胞は次いで還元剤を含む試薬内で溶解され、その後細胞内ルシフェラーゼの活性が測定される。本発明者らは大部分の分泌型ルシフェラーゼが任意の時点で(分泌のための細胞膜への移入前に可能な限り小胞体に)細胞内型にできることを見出した。細胞溶解物が分泌型及び非分泌型ルシフェラーゼの混合物を含むため、このことは真の細胞内ルシフェラーゼの測定を妨げる。還元剤とともに溶解バッファを用いることによって、実質的に測定される総ての発光が真の細胞内ルシフェラーゼからのみ由来することが分かるように、細胞内に配置された分泌型ルシフェラーゼが不活性化される。
【0111】
代替的に、単一のバッファ組成物のみが、細胞が培養される培地内に強く直接的に、細胞を溶解するのを要求するように、還元剤は組み合わせた溶解及びアッセイバッファの成分にでき、ルシフェラーゼ触媒反応を開始できる。分泌型ルシフェラーゼが用いられた場合、ルシフェラーゼを発現する細胞を溶解することが不必要なことは当該技術分野の当業者は分かるであろう。むしろ、アッセイバッファは還元剤を含み、ルシフェラーゼ触媒反応を開始するために細胞が培養される培地に直接的に添加されうる。
【0112】
本発明によって用いるための試薬組成物は一般的には水溶液であり、代替的に凍結乾燥のような固体又は乾燥形態にしてもよい。水溶性あるいは凍結乾燥のどちらでも、本発明の試薬組成物は事前混合された総ての成分を含むか、用いる前に混合すべき成分の組合せとしてかのいずれかで、提供できる。試薬組成物はルシフェラーゼの量及び/又は活性の測定用のアッセイシステムに直接用いることができ、組成物が所望の機能を実行できるように、再構成、溶解、希釈又はそうでなければ化学的又は物理的に処理してもよい。
【0113】
本発明の方法及び本発明によって用いるための試薬組成物は、試料中のいずれかのルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するのに適用可能である。ルシフェラーゼは天然に発生する酵素あるいは変更又は組換え酵素にできる。天然発生のルシフェラーゼは多数の生物発光性の生物のいずれか1つから、一般的にはその発光器官に由来してもよい。このような生物は、限定しないが生物発光性のバクテリア、原生動物、腔腸動物、軟体動物、魚、ハエ、甲殻類、甲虫類が含まれる。従来的には、ルシフェラーゼは酵素によって用いられる基質によってカテゴリ化される。ホタル及びコメツキムシのもののようなルシフェラーゼの1グループはルシフェリンを用いる。ウミシイタケ、ガウシア及びプレウロマンマといった海洋生物のもののようなルシフェラーゼの第2グループは、セレンテラジンを用いる。ウミホタルルシフェラーゼは異なる基質を用いている。本発明の試薬組成物は基質としてルシフェリン又はセレンテラジンのいずれかを用いたルシフェラーゼとの使用に適用可能である
【0114】
方法及び試薬組成物は同様に、細胞内又は分泌型ルシフェラーゼのいずれかと共に適用可能である。ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼは天然状態では細胞内であり、ガウシアルシフェラーゼは野生型状態で分泌される。ウミシイタケルシフェラーゼで得られるものよりも高い生物発光シグナル強度を与えることが示されるため、ガウシアルシフェラーゼは特定の対象であり、わずかにしか知られていないルシフェラーゼである。他の分泌型ルシフェラーゼは例えばメトリディア・ロンガ・ルシフェラーゼのように強いシグナル強度を与えるように更に示されている。一般的には本発明の試薬組成物は少なくとも1の分泌型ルシフェラーゼと併用して用いられる。いくつかの実施例においては、本発明の試薬組成物は少なくとも1の分泌型ルシフェラーゼ及び少なくとも1の非分泌型ルシフェラーゼと併用して用いられている。
【0115】
好適なルシフェラーゼは既知の技術を用いて、当該技術分野の当業者が簡単に得ることができる。ルシフェラーゼは生物発光性の生物の1又はそれ以上の発光器官から直接的に得てもよい。代替的に、ルシフェラーゼをコード化する核酸で変換されたバクテリア、酵母、昆虫細胞又はほ乳類細胞のような培養細胞から、ルシフェラーゼは得てもよい。
【0116】
ルシフェラーゼは天然発生のルシフェラーゼの変異体又は誘導体のような組換え型酵素であってもよい。例によると、酵素がこれ以上分泌されないが、細胞内に残るようにシグナル配列の除去及び/又は細胞内ポリペプチドへの融合による標準的な分子生物学的技術を用いて、天然分泌型ルシフェラーゼは変更できる。代替的に、又はそれに加えて、例えばルシフェラーゼポリペプチド配列中の1又はそれ以上のアミノ酸を変更して、選択の細胞培養システム中の酵素の発現及び/又は溶解性を調節するために、当該技術分野の当業者に公知の多数の他の変更を行うことができる。このような調節は、ルシフェラーゼ及び本発明の試薬組成物が使用される特定の適用の要件に応じて、発現及び/又は溶解性を増大及び/又は低下させるものであってよい。例えば、このタンパク質を不安定化させるために1つ又は複数の不安定化エレメントを導入してルシフェラーゼを変更することが望ましいことがある。不安定化エレメントを含むルシフェラーゼは不安定化エレメントを含まないルシフェラーゼよりも半減期が短くなり、低い定常状態レベルで発現される。好適なタンパク質不安定化エレメントとしては、PEST配列(アミノ酸プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、及びスレオニン(T)含量の高いアミノ酸配列)、細胞内タンパク質分解シグナル又はデグロンをコードする配列、及びユビキチンが含まれる。本発明の実施例で達成される感度の増大は、ルシフェラーゼの定常状態での発現が低下された不安定化ルシフェラーゼとの使用に特に有利である。タンパク質を不安定化する任意の好適な方法が本願に想定される。好適な方法は、例えば同時係属中の米国特許出願第10/658,093号(その開示全体を参照により本明細書に組み込んだものとする)に記載されている。また、ルシフェラーゼの発現を、例えばポリ(A)テール、転写エンハンサ、翻訳エンハンサ等の配列の追加及び/又はコーディングポリヌクレオチド配列中のコドン使用頻度を特定の発現系用に適合させることにより変更してもよい。例えば、昆虫細胞又はヒト細胞中でのルシフェラーゼの発現を最適化するために、ルシフェラーゼポリヌクレオチド中のコドン使用頻度をそれぞれ昆虫又はヒト細胞用に最適化してもよい。別の種用にコドン使用頻度を適合及び最適化する手法は当該技術分野の当業者に公知である。
【0117】
ルシフェラーゼのポリペプチド又はポリヌクレオチドに施すことのできる更なる変更も当該技術分野の当業者に公知である。例えば、ポリヌクレオチドに制限酵素切断部位を導入してもよく、ルシフェラーゼポリペプチドを、選択可能なマーカー等の異なる機能(例えば、抗生物質耐性)の第2のポリペプチドに融合又は共役してもよい。
【0118】
当該技術分野の当業者は、コンピュータモデリング等の公知の技術を用いて、本発明に基づく使用に特に適したルシフェラーゼの予測及び非分泌型にするために分泌型ルシフェラーゼに施し得る変更を容易に予測することができる。例えば、天然の形態では分泌型のルシフェラーゼは一般的に、このタンパク質の成熟活性コンホメーション中でジスルフィド架橋を形成するシステイン残基を含む。システイン残基は、分子内ジスルフィド結合の形成が予測されるようにアミノ酸配列内で間を空けて繰り返して配置されてもよい。このようなルシフェラーゼは一般的に、細胞内で発現された際に低下した活性を示す。したがって、当該技術分野の当業者は、天然で分泌型のルシフェラーゼの特徴の1つ又は複数を共有する相同なルシフェラーゼが本発明に基づく使用に特に適していることを理解するであろう。
【0119】
インビトロのレポータアッセイで分泌型ルシフェラーゼを使用する場合、ルシフェラーゼ活性の測定には一般的に、細胞溶解物よりも細胞培養培地の試料が用いられる。分泌型ルシフェラーゼは、一部の適用(例えば同じ細胞での反復測定)には有利であるが、その他の適用には適していない。特に、分泌型ルシフェラーゼは細胞培養培地中に蓄積できるため、遺伝子発現の急速な変化を正確にモニターすることができない。これらのルシフェラーゼの変異体非分泌型形態(不安定化エレメントを含むことが好ましい)はこの制限を克服する。本明細書に記載されている特定の変更ルシフェラーゼは、14アミノ酸からなるN末端シグナルペプチドが欠失されていることで非分泌型ルシフェラーゼになっている、変更ガウシアルシフェラーゼである。本明細書に記載されている第2の変更ルシフェラーゼは、17アミノ酸からなるN末端シグナルペプチドが欠失されていることで非分泌型ルシフェラーゼになっている、変更メトリディアルシフェラーゼである。その他の分泌型ルシフェラーゼを同様に、当該技術分野の当業者に公知の種々の方法を用いて、特に真核生物の、細胞内で発現するように変更することができる。
【0120】
本発明によると、ルシフェラーゼ活性は当該技術分野の当業者に公知の多くの方法のいずれかひとつで検出及び測定することができ、そのような方法としては、限定されるものではないが、ルミノメータ、シンチレーションカウンター、光電子増倍管光度計のような光度計、フォトエマルジョンフィルムの使用が含まれる。
【0121】
デュアル及びマルチルシフェラーゼレポータアッセイ
【0122】
提供時にとりわけ、現在利用可能なシステムを用いて得られうるよりも高感度の生成(強いフラッシュ段階及び低いバックグラウンドシグナル)及び分泌型ルシフェラーゼの場合における迅速な発光シグナル減衰率のために、本発明の方法及び組成物はデュアル及びマルチルシフェラーゼレポータアッセイの特定のアプリケーションに見出される。ガウシアルシフェラーゼのような分泌型ルシフェラーゼは、標準的な非分泌型の細胞内ルシフェラーゼよりも高い生物発光シグナル強度を提供している。しかしながら、ガウシアルシフェラーゼ又は実際のその他の分泌型ルシフェラーゼを用いたデュアル及びマルチルシフェラーゼアッセイはこれまで述べられていない。
【0123】
数百万の化合物のライブラリをスクリーニングするステップを含みうる高スループット型の薬物スクリーニングのような、多くのアプリケーションにおいて、デュアルルシフェラーゼアッセイは、別個に2つの実験を行うのと比較して、コスト及び時間のかなりの節約を提供できる。他方、用いられた株化細胞が複数のルシフェラーゼを発現する場合でさえも、ユーザが選択して単一のルシフェラーゼアッセイを行うことができるようなデュアルルシフェラーゼアッセイを実行するよりも、単一のレポータアッセイが一定に廉価及び又は簡単になる。実際に、高スループット型の薬物スクリーニングのような反復処理においては、例えば、候補の化合物の選抜候補リストを選択するために、試験プロモータの大きな初期スクリーニングにおいて、初期に単一のルシフェラーゼアッセイを行うことが所望されうる。この後、対照レポータを含むデュアルルシフェラーゼアッセイが続き、わずかな試料で実行される。従って、試験レポータのみ又は試験レポータ及び対照レポータの双方を測定する間にユーザが選択するのを可能にするデュアルルシフェラーゼアッセイシステムを有することが好ましい。
【0124】
本発明のある実施例においては、本発明によるデュアル及びマルチルシフェラーゼアッセイのルシフェラーゼ(第1のルシフェラーゼ)の少なくとも1つは、その「野生型の状態」(以降、「天然形態」とする)において、細胞質ではないルシフェラーゼである。この文脈における天然形態は、ルシフェラーゼが由来する変更されない生物に生じる。言い換えると、「天然形態」という用語は、成熟した野生型ルシフェラーゼが天然で触媒反応を起こす標準部位又は配置を参照する。このタイプの好適なルシフェラーゼは、還元されない又は細胞質よりも少なくともわずかに還元される(多く酸化される)環境又は微少環境において一般的には動作する(発光反応を起こす)。小胞体内の細胞内区画は1のこのような微少環境である。ルシフェラーゼの1又はそれ以上の触媒領域が細胞膜の細胞内側に配置できる限りにおいては、別の実施例は細胞膜である。
【0125】
一般的に、活動的な天然形態におけるルシフェラーゼは細胞内にあるが、より一般的にはそれは分泌される。分泌され、あるいは標準的に触媒活性を起こす環境がほ乳類細胞のような真核細胞の細胞質と比較して還元する環境でない場合、ルシフェラーゼは細胞内又は生物内の他の環境に分泌できる。より一般的には、天然形態におけるルシフェラーゼは外部環境に分泌される。更により一般的には、ルシフェラーゼを水環境に分泌する水生生物からルシフェラーゼが由来される。最も一般的には、ルシフェラーゼを海水に分泌する海洋生物からルシフェラーゼが由来される。このようなルシフェラーゼは一般的には基質としてセレンテラジンを用いている。第1のルシフェラーゼの上述した特徴は天然形態にある場合にそのルシフェラーゼに適用する。好適には、ルシフェラーゼはこのような特徴の1又はそれ以上を除去するように変更されうる。このようなルシフェラーゼは本明細書に記載のように、当該技術分野で公知である。
【0126】
第2のルシフェラーゼは一般的には、天然形態においては還元され、又は第1のルシフェラーゼよりも少なくとも更に還元される(少なく酸化される)環境又は微少環境において標準的に動作する(発光反応を起こす)ルシフェラーゼである。一般的に、天然形態におけるルシフェラーゼは細胞質である。好適なルシフェラーゼは当該技術分野の当業者に公知である。ルシフェラーゼは水生生物又は陸生生物から由来されうる。ルシフェラーゼは第1のルシフェラーゼと同一の基質又は異なる基質を用いてもよい。ルシフェラーゼは第1のルシフェラーゼと同一波長で又は異なる波長で発光してもよい。
【0127】
本発明の実施例によると、上に規定されるように第1のルシフェラーゼを第2のルシフェラーゼから識別できる例示的な特徴は以下の通りである。
(a)第1のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境の酸化還元ポテンシャルが第2のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境の酸化還元ポテンシャルよりも一般的により還元的でありほとんど酸化的ではなく、及び/又は
(b)第1のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境が一般的に細胞外である一方、第2のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境が細胞内であり、及び/又は、
(c)天然形態においては、第1のルシフェラーゼが分泌される一方、第2のルシフェラーゼが分泌されず、及び/又は、
(d)第1のルシフェラーゼでの還元剤及び還元される酸化還元環境の効果が、第2のルシフェラーゼに関するよりも少なくとも大きな度合いで不活性化し、及び/又は、
(e)第1のルシフェラーゼの活性化が分子内のジスルフィドブリッジの構成体に依存する一方、第1のルシフェラーゼの活性化は依存せず、及び/又は、
(f)第1のルシフェラーゼが第2次/第3次構造の構成体について重要なシステイン残基を含み、及び/又は、
(g)適宜フォールディングされた第1のルシフェラーゼの予測される構造がシステイン残基間の複数のジスルフィドブリッジを含む一方、第2のルシフェラーゼの予測される構造は含まない又は触媒領域の領域内には少なくとも含まれない。
【0128】
いくつかの実施例においては、3、4,5又はそれ以上の異なるルシフェラーゼが単一試料で測定されるように更なるルシフェラーゼは用いられる。一般的にこれらの実施例においては、少なくとも3及び以降のルシフェラーゼは第2のルシフェラーゼについて記載されたタイプ、すなわち、還元環境に耐性のあるものとなる。複数のルシフェラーゼは異なる波長で発光でき、及び/又は、異なる生物から由来してもよい。単なる例によると、3重のルシフェラーゼアッセイにおいて、第2のルシフェラーゼは鞘翅目由来にし、第3のルシフェラーゼは双翅目由来にしてもよい。
【0129】
本発明によって考慮されるマルチルシフェラーゼアッセイの例が以下に示されている。
【0130】
(i)2の異なる基質と1又は2の異なるアッセイバッファとを用いた2重のルシフェラーゼアッセイ
【0131】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いる分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシアルシフェラーゼ)であり、第2のルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用いる陸生ルシフェラーゼ(例えば、ホタル、コメツキムシ、又は双翅目ルシフェラーゼ)である。双方のルシフェラーゼを含む試料には、本発明によって記載及び例示されるような、還元剤を有するセレンテラジン含有のアッセイバッファを最初に添加する。発光はすぐに測定され、その後試料は5分間以上静置又は保存した状態にし、ガウシアシグナルが好ましくは零近くに減衰するのを可能にする。ルシフェリン含有のアッセイバッファ(Mg、CoA及びATPを更に含んでもよい)が添加され、発光が再度測定される。第1の読み取り値はガウシアルシフェラーゼ活性の測定値であり、第2の読み取り値はホタル又はコメツキムシ活性の測定値である。
【0132】
上によると、本発明は試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、この方法が、
(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、試料を接触させるステップと;
(b)第1のルシフェラーゼが還元剤によって不活性化される前に発光シグナルを測定するステップと;
(c)第1のルシフェラーゼが不活性化された後に発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0133】
更に考慮されるのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、この方法は、
(a)第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、試料を接触させるステップと;
(b)第1のルシフェラーゼが不活性化される前に発光シグナルを測定するステップと;
(c)第2のルシフェラーゼ用の反応基質と試料を接触させるステップと;
(d)第1のルシフェラーゼが不活性化された後に発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0134】
(ii)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた3重のルシフェラーゼアッセイ
【0135】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用い、青く発光する分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシアルシフェラーゼ)であり、第2及び第3のルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用い、それぞれ緑色に及び赤く発光する陸生ルシフェラーゼであり、例えば赤及び緑のPhrixothrixルシフェラーゼ及び/又は東洋ビーネット株式会社(日本)から入手可能なものである。双方のルシフェラーゼを含む試料には、本発明によって記載及び例示されるような、還元剤を有するセレンテラジン含有のアッセイバッファを最初に添加する。発光はすぐに測定され(フィルタは要求されない)、その後試料は5分間以上静置又は保存した状態にし、ガウシアシグナルが好ましくは零近くに減衰するのを可能にする。ルシフェリン含有のアッセイバッファ(Mg、CoA及びATPを更に含んでもよい)が添加され、発光はフィルタを用いて赤及び緑のシグナルを識別して再度測定される。赤及び緑の発光の同時測定が一部のルミノメータで可能である一方で、他に連続測定が要求される。
【0136】
(iii)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた4重のルシフェラーゼアッセイ
【0137】
本発明のある実施例においては、上の(ii)に記載のマルチルシフェラーゼアッセイは、基質としてルシフェリンを用い、橙色に発光する、例えば東洋ビーネット株式会社から入手可能なRolルシフェラーゼを第4のルシフェラーゼとして更に含むことができる。第2の測定中に、例えばマルチカラールック(登録商標)アッセイシステム(東洋ビーネット株式会社)に記載されるような、適したフィルタが緑色、橙色及び赤色のシグナルを分離するのに用いられる。
【0138】
(iv)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた5重のルシフェラーゼアッセイ
【0139】
本発明のある実施例においては、上の(iii)に記載のようなマルチルシフェラーゼアッセイは更に、青色に発光し、天然形態で細胞質ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを、第5のルシフェラーゼとして含んでいる。最も多くのこのようなルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用い、例えばウミシイタケルシフェラーゼのような海洋起源である。第1の測定の間に、ガウシア及びウミシイタケの双方が発光し、この測定値はガウシア及びウミシイタケシグナルの結合した合計となる。第2のアッセイ試薬の添加後すぐに、更なる測定値が生成される。この時に、シグナル全体がウミシイタケルシフェラーゼからのものになるように、ガウシアシグナルが減衰される。ガウシア及びウミシイタケシグナルはその後計算される(例えば、本明細書の実施例7に記載されるように)。第2のアッセイバッファ(ルシフェリンと選択的にMg、CoA及びATPを含む)はその後添加され、発光がフィルタを用いて緑色、橙色及び赤色のシグナルを識別し、残りの青色シグナルから分離して再度測定される。代替的に、第2のアッセイバッファは残りの青色シグナルを終結するためにウミシイタケルシフェラーゼ用の消光剤を含んでもよい。
【0140】
代替的に、ウミシイタケのみのシグナルが適切なフィルタを用いて他の呈色から青色の発光を分離する第2のアッセイバッファの添加後に測定してもよい。この場合においては、青色のフィルタが第1の測定時に用いられうる。
【0141】
(V)単一のアッセイバッファに組み合わされた2の異なる基質を用いたマルチルシフェラーゼアッセイ
【0142】
本発明のある実施例によると、2のアッセイバッファがセレンテラジン、ルシフェリン、還元剤、Mg及び選択的にATPとCoAとを含む単一バッファに結合されるのを除いて、上の(i)乃至(iv)に記載のように実行されうる。4のフィルタが用いられて、青色、緑色、橙色及び赤色のシグナルを分離する。青色のシグナルが最初に測定され(青色フィルタを用いて他の波長を排除)、ガウシアシグナルからのクロストークを最小限にするために好ましくは5分又はそれ以上の減衰が他の呈色の測定前に含まれ、初期段階のみで非常に強い。
【0143】
(vi)1の分泌型と1の非分泌型ルシフェラーゼを有する2重のルシフェラーゼアッセイ
【0144】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは分泌型形態の分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシア)であり、第2のルシフェラーゼは細胞内の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ)である。双方のルシフェラーゼを発現する細胞が培養され、条件培地の試料は分泌型(ガウシア)ルシフェラーゼの測定用に除去される。細胞は還元剤を含む試薬内で溶解され、後に細胞内(ウミシイタケ)ルシフェラーゼについて測定される。標準試薬があれば、細胞溶解物からの発光は、ウミシイタケルシフェラーゼ、及び、生成されたがまだ分泌されていないガウシアルシフェラーゼのサブセットの双方から由来する識別不能な組合せの発光を含んでいる。溶解バッファ中に還元剤を含むことによって、発光がウミシイタケルシフェラーゼレベルの測定値となるようにガウシアルシフェラーゼが不活性化される。
【0145】
本発明により更に考慮されるのは、試料中の2又はそれ以上の異なるルシフェラーゼの量又は活性を測定するための更なる方法である。一実施例においては、その方法は、少なくとも2のルシフェラーゼ用の反応基質を含む試薬組成物で試料を接触させるステップと、2又はそれ以上の異なる時点での発光量を測定するステップと、相互に比較した又は他の試料と比較した、各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために収集されたデータを用いるステップとを含み、計算は時間依存的な方法で少なくとも1のルシフェラーゼを不活性にする還元剤の存在下で発光の動態に対する2のルシフェラーゼ間の差異に依存する。その方法は更に、ルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの発光の波長の差異を用いて、少なくとも2の異なるルシフェラーゼのシグナルを識別するステップを含んでいてもよい。
【0146】
本発明の方法はルシフェラーゼ反応において改善された生物発光の動態を提供し、天然形態においては分泌しているルシフェラーゼを時間依存的な方法で還元剤が不活性化するという予想外の知見により従来技術以上の利点を提供する。還元剤は本発明においてはルシフェラーゼアッセイで、本発明による調製するアッセイ試薬及び試験キットで、及び本発明によるアッセイ及びキット用の基準及び対照で用いられうる。本発明はルシフェラーゼ活性のアッセイを実行するためのキットを提供し、このようなキットは本明細書に記載のような本発明により用いるための還元剤を含んでいる。本発明のキットは、ルシフェラーゼアッセイの使用を促進するために便利な形態で一般的にパッケージされた1又はそれ以上の物理的な容器に、ルシフェラーゼアッセイを実行するのに好適な量の試薬組成物又はその成分を含んでいる。ルシフェラーゼ基質及び還元剤は、同一又は異なる容器内にあってもよく、同一又は異なる試薬組成物内にあってもよい。一般的に、ルシフェラーゼ基質は有効時間を延長するためにアッセイ試薬(マイナスの基質)と別個の容器において提供されるが、使用前にアッセイ試薬と混合されることを意図する。複数の試薬組成物又は試薬組成物の様々な成分は例えば、水溶液又は凍結乾燥で、単一の容器で、又は複数の容器で結合される。本発明のキットは、本発明により行われるアッセイの信頼度及び正確度を保証するために対照及び基準を更に含む。好適な対照及び基準は当該技術分野の当業者に公知である。
【0147】
いくつかの実施例においては、本発明によって用いるべき試薬組成物は使用の万能性を改善するためのキット内の別個の成分として本発明は提供される。例えば別個の成分として還元剤を提供することによって、ユーザは以下のものを選択できる。
a)上のvi)によって用いるために還元剤を溶解バッファに添加するステップで、更なる有用性の例として、ユーザは他のルシフェラーゼと組み合わせて、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現する安定した株化細胞とともに作業するユーザは、ガウシアルシフェラーゼを測定するか、ガウシアルシフェラーゼを測定しないかを選択でき、後者の場合、ユーザは還元剤と共に溶解バッファを用いて、他のルシフェラーゼを測定する前にガウシアルシフェラーゼを不活性化できるステップ
b)上のi)によって用いるために還元剤をアッセイバッファに添加するステップ
c)還元剤なしで試料にアッセイバッファをまず添加し、発光を測定し、次いで還元剤を添加して少なくとも1のルシフェラーゼを不活性化するステップ
d)還元剤なしで試料にアッセイバッファをまず添加し、グロー段階が得られるまで待機し、還元剤又は還元剤を含むアッセイバッファを添加し、ルシフェラーゼが不活性化される前に発光を測定するステップ
【0148】
本明細書中における、任意の先行刊行物(又はそれに由来する情報)への参照、又は任意の公知事項への参照は、その先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は公知事項が本明細書が関する努力傾注分野の一般的共通知識の一部を形成することを承認又は自認、又は何らかの形で示唆するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0149】
ここで本発明を以下に具体例を用いて説明するが、これらは本発明の範囲を何らかの形で限定するものとして解釈されるべきではない。
【0150】
[実施例]
パートI:天然状態において分泌されたルシフェラーゼからの発光の動態を短縮させる還元剤
【実施例1】
【0151】
非分泌型及び非安定化ガウシアルシフェラーゼを安定して発現するHeLa細胞は、96−ウェルプレートの上に蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。非分泌型ルシフェラーゼは14のアミノ酸のN末端シグナルペプチドが削除された、変更されたガウシアルシフェラーゼである。不安定化ルシフェラーゼは短縮された半減期を有するような不安定エレメントを含む酵素であり、不安定なエレメントの不存在下よりも低い安定状態レベルで発現される。
【0152】
一晩のインキュベーション後、培地が除去され、細胞は、pH8.1の25mMのTrisと、150mMのNaBrと、1mMのEDTAと、63.4uMのシュウ酸ナトリウムと、0.1%のNP40基質と、5%のグリセロール(GSv3)を含む20ulの溶解バッファで溶解された。ルシフェラーゼ活性はpH8.1の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、26uMのCz(STD)を含む60ulのアッセイバッファ、又は同一のアッセイバッファで還元剤を含むものを注入後の動態アッセイで測定された。様々な濃度の3の還元剤が用いられた:DTT(4mM、10mM、20mM又は50mM);β−メルカプトエタノール(10mM、20mM、50mM又は100mM);及びTCEP(500uM又は5mM)。2の別個の実験の結果は図1Aと1Bに示される。還元剤の各々が、還元剤の不存在下で観られたよりも期間にわたって(試験された総ての濃度で)発光シグナルのより迅速な減衰を生じた。効果はより高濃度の任意の還元剤で最も強かった。用いられたルシフェラーゼ基質の濃度は、セレンテラジンを用いるルシフェラーゼ用に通常に用いたよりも有意に高かった(ほぼ5μM)。発明者はこの高濃度がガウシアルシフェラーゼによって生成された生物発光について有益な効果を生成したのを測定した。
【実施例2】
【0153】
同様の実験が、実施例1に記載されたように実施されたが、アッセイバッファ中に広範な範囲の濃度のDTTを用いた(50mM乃至500mM)。2の別個の実験からの結果は図2に示され、短い時間経過(図2A)及びより長い時間経過(図2B)を示している。実施例1で記載された実験で観られたように、発光シグナルの減衰率はDTTの濃度と直接的に関連していた。この効果は最大の500mMの濃度まで見られる(図2A)。より長い時間経過(図2B)においては、シグナルは総ての濃度で開始10分以内にほぼバックグラウンドレベル(−100RLU)に落ちた。このことは1,000乃至10,000倍の発光強度の減少を表わしている。重要なことには、DTTがガウシアルシフェラーゼからの発光時間を短縮する観察は、細胞内ルシフェラーゼについて報告されたものに反し、ホタル及び他の鞘翅目ルシフェラーゼと、ウミシイタケルシフェラーゼとを含んでいる。
【実施例3】
【0154】
発光期間に対するDTTの効果が更に野生型の分泌型ガウシアルシフェラーゼについて調査されたことを除いては、同様の実験が、実施例1に記載されたように実施された。野生型ガウシアルシフェラーゼタンパク質をコード化するレポータプラスミドと共に、HeLa細胞を一時的に形質移入し、24時間後の条件培地を収集することによって、このことは得られた。アッセイバッファ(50mMのDTTを有するか、DTTを有さないかのいずれか)は、20ulの条件培地を含むウェルに注入された。結果は、時間0と比較した残りのシグナルのパーセンテージとして表わした(図3参照)。データはDTTがアッセイバッファに含まれる場合にガウシアルシフェラーゼの双方の形態(天然の分泌型及び変更された非分泌型)が発光の非常に迅速な減衰を与えることを保証する。
【実施例4】
【0155】
HeLa細胞が細胞内ウミシイタケルシフェラーゼを一時的に発現したことを除いては、実施例1に記載されたものと同様の実験が実施された。動態アッセイはアッセイバッファ(50mMのDTTを有するか、DTTを有さないか)の、20ulの溶解物を含むウェルへの注入後、実施された。図4に示すように、ガウシアルシフェラーゼからの発光の動態に対するDTTの効果と逆に直接的に、DTTは実際にウミシイタケルシフェラーゼからの発光を延長する。
【実施例5】
【0156】
HeLa細胞が、天然の分泌型形態又は変更された非分泌型形態のいずれかで、ガウシア又はメトリディアルシフェラーゼのいずれかをコード化する発現プラスミドと共に一時的に形質移入された。分泌型メトリディアルシフェラーゼはClontech社から取得し、非分泌型メトリディアルシフェラーゼは非分泌型ガウシアルシフェラーゼと似た方法で生成された。コード化領域は、ATG(分泌型シグナル)後の最初の16のアミノ酸及び停止コドンを消去するプライマを用いるPCRによって取得された。PCR生成物はpRR23.1プラスミド(GeneStream社、オーストラリア)で連結され、非分泌型だが不安定化したメトリディアルシフェラーゼを生成した。
【0157】
形質移入後1日で、条件培地は分泌型ルシフェラーゼについて除去され、非分泌型ルシフェラーゼが実施例1に記載のように溶解された。条件培地又は溶解物の一定分量(20ul)は、pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンと、指示された濃度のDTTとを含むアッセイバッファの手動注入後に、動態アッセイのルシフェラーゼ活性についてアッセイされた。
【0158】
図5A乃至5Dは、非分泌型及び分泌型メトリディアルシフェラーゼと非分泌型及び分泌型ガウシアルシフェラーゼとが、同一の方法でDTTがアッセイバッファに含まれる場合に、発光の非常に迅速な減衰とともに応答することを示している。更には、図5A乃至5Dに示されたように、総ての4のルシフェラーゼからの発光時間を短縮する際に、DTTの濃度依存性の効果がある。
【実施例6】
【0159】
実験は、用いられた還元剤が、ジチオエリトリトール(DTE)(図6A及び6D)、亜硫酸ナトリウム(図6B)、システアミン(図6C及び6E)、TCEP(図6F)、及びβ−メルカプトエタノール(図6G)であったことを除いては、非分泌型ガウシア及びメトリディアルシフェラーゼについて実施例5に記載のように行われた。データ(図6A乃至6G)はDTTと同様、他の還元剤もガウシア及びメトリディアルシフェラーゼからの発光の迅速な減衰を提供することを示している。
【実施例7】
【0160】
非分泌型ガウシアルシフェラーゼを含む細胞溶解物は実施例1に記載のように調製された。pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンとを含む60ulのアッセイバッファは、20ulの一定分量の溶解物に添加され、反応がグロー段階に入るように、40分間室温でインキュベートしたままにした。40分後(時間0から)、更なる60ulのアッセイバッファが添加された。このアッセイバッファは、指示された濃度のDTTを含み、セレンテラジンを含まないことを除いては初期のアッセイバッファと同一であった。発光は第2のアッセイバッファの注入に続く期間内に測定され、時間0での発光単位のパーセンテージとして表わされた(図7)。
【0161】
データはDTTが前の開始反応のグロー段階中に添加された場合に、同一に所望される迅速な発光の減衰は、還元剤が反応の開始点で添加された場合と同様に観察された。これは非分泌型ガウシアルシフェラーゼ活性がグロー反応のような標準反応で測定でき、その後実質的に還元剤の添加によって終結できることを説明している。代替的に、ルシフェラーゼ活性は還元剤の添加直後に、すなわち、フラッシュ反応の使用と等しい方法で測定できる。還元剤の注入後の最初の数秒の間に発光の顕著な減衰の不足は、このようなプロトコルがシグナル強度のいかなる減少も生じさせないことを説明している。
【0162】
パートII:還元剤が異なる基質を有する異なるルシフェラーゼを用いてマルチレポータアッセイを導くために用いられうる
【実施例8】
【0163】
非分泌型及び不安定化したガウシアルシフェラーゼと、不安定化したホタルルシフェラーゼとの双方を安定に発現するHeLa細胞は、96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。培地は除去され、細胞は実施例1に記載の20ulの溶解バッファで溶解された。発光は以下の時間:アッセイバッファの添加直後(LB=基質の不存在下でのバックグラウンドシグナル);pH8.1の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、26uMのCzと、50mMのDTTとを含むガウシアアッセイバッファ(Ga)の添加直後;Gaアッセイバッファの添加15分後;pH7.35の25mMのTrisと、6mMのMgSO4と、36mMのDTTと、0.11mMのEDTAと、0.58mMのATPと、0.3mMのCoAと、0.52mMのルシフェリンと、1mg/mlのBSAとを含む60ulのホタルアッセイバッファ(FF)の添加1秒後;に、ルミノメータ内で1秒間測定された。図8に示された結果は、フラッシュ反応で測定されうるが、介入又は消光試薬の添加の必要なく、ほぼ15分以内にバックグラウンドレベルまで減衰した強いガウシアルシフェラーゼの生物発光シグナルを例示している。ホタル試薬の後の添加によって、ホタルのシグナルの測定を可能にし、このようにして、デュアルルシフェラーゼアッセイを完了する。
【実施例9】
【0164】
293T細胞は複数のタンデムCRE(CRE−FF)の制御下での不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動された、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼを含むプラスミドの一方又は双方と共に一時的に形質移入された。形質移入された細胞は96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。4通りのウェルが10uM(最終濃度)のフォルスコリン、又は10ng/mlのTNF−α(TNF)で処理され、残りは処理されなかった(対照)。4時間後、培地は除去され、各ルシフェラーゼからの発光が実施例8に記載のプロトコルを用いて測定された。
【0165】
図9Aはガウシアアッセイバッファの添加後の発光シグナルを示し(実施例5参照)、図9Bはホタルアッセイバッファの添加後のシグナルを示している。結果から、ホタルルシフェラーゼがガウシアアッセイバッファの発光シグナルを本質的に与えないこと(図9A参照)とガウシアルシフェラーゼがホタルアッセイバッファのシグナルを本質的に与えないこと(図9B参照)が明白である。従って、デュアルルシフェラーゼ法は2の信号を分離する点で非常に有効である。
【0166】
NFkBエレメントはTNFに強く応答するがフォルスコリンには応答しないことが知られ、CREはフォルスコリンに強く応答するがTNFに応答しない。従って予測されるように、NFkB−Ga(のみ)がTNFによって強く誘発されるがフォルスコリンではされず(図9A)、CRE−FF(のみ)がフォルスコリンによって強く誘発されるがTNFではされない(図9B)。重要なことには、同様の結果が双方の構成を互いに形質移入した細胞で見られ、デュアルルシフェラーゼアッセイの成果と有効性を説明している。
【0167】
パートIII:還元剤が同一基質とともに異なるルシフェラーゼを用いたマルチレポータアッセイを導くのに用いられうる。
【実施例10】
【0168】
HeLa細胞のフラスコが非分泌型ガウシアルシフェラーゼ又は標準的な細胞内ウミシイタケルシフェラーゼのいずれかをコード化する発現プラスミドで一時的に形質移入された。24時間後、別個の株細胞溶解物は各フラスコから、更には、実施例1に記載の溶解バッファを用いた形質移入されないHeLa細胞の対照フラスコから調製された。溶解物は10ulのガウシアルシフェラーゼと10ulの形質移入されないもの(Ga)、10ulのウミシイタケルシフェラーゼと10ulの形質移入されないもの(Rn)、又は10ulのガウシアルシフェラーゼと10ulのウミシイタケルシフェラーゼ(Ga&Rn)のいずれかの4通りで96−ウェルプレートに負荷された。ルシフェラーゼ活性は実施例8で記載のアッセイバッファの添加直後に測定され、その後1200秒後に再度測定された。
【0169】
図10Aは相対発光単位(RLU)として示された生データを示す。予期されるように、ガウシアの発光シグナルは初期では非常に強く、第2の読み取り前にバックグラウンドレベルまで減衰する一方、生成されたウミシイタケルシフェラーゼは2つの読み取り値間で更に低く減衰したより低い初期シグナルを示した。混合溶解物(Ga&Rn)は中間レベルの減衰を示した。
【0170】
ガウシアルシフェラーゼはもはや第2の読み取りでは検出可能な相対発光単位(RLU)に寄与しないため、この読み取り値はウミシイタケルシフェラーゼの正確な測定値であり、試料間のウミシイタケルシフェラーゼのレベルを比較するのに用いられうる。初期の読み取り値はガウシア及びウミシイタケルシフェラーゼの双方からのシグナルの組合せである。しかしながら、ガウシアルシフェラーゼによって生成されたシグナルは時間0で結合され測定されたシグナルから初期のウミシイタケルシフェラーゼシグナルを減算することによって測定できる。初期のウミシイタケルシフェラーゼシグナルを測定するために、ウミシイタケのみの(Rn)溶解物がウミシイタケルシフェラーゼからの発光の減衰率を計算する基準として用いられた。特に、減衰定数「k」がk=(初期のRnシグナル)/(1200秒でのRnシグナル)で計算された。初期のRnシグナルは更に(1200秒でのRnシグナル)×kとして計算され、初期のガウシアルシフェラーゼシグナルは初期の結合された(Ga&Rn)シグナルからその値を減算することによって計算された。
【0171】
図10Bは結合された試料のガウシアルシフェラーゼのこれらの計算された値(計算値)と、同一量のガウシアルシフェラーゼを含むが、いかなるウミシイタケルシフェラーゼも含まない(予測値:すなわち図10Aの(Ga))を含まない試料中で測定されたガウシアルシフェラーゼ活性の実測値とを比較している。基質の型又は発光の波長の点でのルシフェラーゼ間の差がない場合でさえも、測定(予測)値と計算値との間の差は非常に小さく、実質的に有意ではなく、単一アッセイバッファを含むデュアルルシフェラーゼアッセイを行うことが可能であることを説明している。異なる発光波長を有する消光試薬又はルシフェラーゼの使用に頼る前述した他のデュアルルシフェラーゼアッセイと異なり、方明細書に記載の方法は発光の動態の点でのルシフェラーゼ間の差異を用いている。発明者らの知見によると、異なるルシフェラーゼシグナルを識別するための発光の一時的な差の使用は、過去に報告されていない。2のシグナルの分離はDTTのような還元剤を含むことによって、この実施例においては非常に増大した。このことは、DTTがウミシイタケ及びホタルルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼからのシグナルを安定化する一方、ガウシアルシフェラーゼのような野生型状態で通常分泌されるルシフェラーゼからの発光時間を劇的に短縮するという驚くべき知見に基づいて可能となる。
【実施例11】
【0172】
本発明者らは1の分泌型及び1の細胞内ルシフェラーゼの使用に基づくデュアルルシフェラーゼアッセイの可能性を熟考した。双方のルシフェラーゼを発現する細胞は条件培地(分泌型ルシフェラーゼを含む)及び細胞溶解物(細胞内ルシフェラーゼを含む)の双方の発生源として用いることができる。この方法においては、2のルシフェラーゼは基質の特性の差異ではなくその位置によって分離される。しかしながら、このようなアッセイは溶解物が検出可能な分泌型ルシフェラーゼを含まないことを要求し、これは分泌型ルシフェラーゼが細胞内に生成され、分泌前に小胞体(ER)を通って移動しなければならないことを考慮しないと思われた。実際に、予備実験は分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現する細胞は培養培地の除去及び反復する細胞の洗浄後でさえ、大量のルシフェラーゼを含んでいることを示した。明らかに、生じた溶解物シグナルの少なくとも一部分は、ERを横切らず分泌されていない直近に翻訳されたルシフェラーゼ分子に由来している。潜在的にこのシグナルの一部は、ER内部に固着されるか分泌されるが、細胞膜の細胞外側に結合した古い方のルシフェラーゼ分子に由来する。この干渉するルシフェラーゼシグナルの発生源に拘わらず、本発明者らは溶解バッファ中に還元剤を含むことにより除去されると判断した。
【0173】
この仮説を試験するために、HeLa細胞は単独又は組合せのいずれかで、TRE−Rn及びCMV−Ga(野生型、分泌型)のプラスミドと共に形質移入された。後者は分泌型ガウシアルシフェラーゼの構成的な発現を提供する一方、前者は細胞内ウミシイタケルシフェラーゼのドキシサイクリン抑制可能な発現を提供している。細胞は一晩インキュベートされ、培地は除去され、2ug/mlのドキシサイクリンを有するか有しないかのいずれかの新しい一定分量の培地の添加前に一度すすいだ。2、6及び24時間後、条件培地の試料が取られた。細胞は、50mMのDTTを有する又は有しない、pH8.1の25mMのTrisと、150mMのNaBrと、1mMのEDTAと、63.4uMのシュウ酸ナトリウムと、0.1%のNP40基質と、5%のグリセロールとを含む溶解バッファを用いて溶解される前に、新しい培地ですすがれた。20ulの一定分量の条件培地及び細胞溶解物は、pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンとを含む60ulのアッセイバッファの添加に続いて、ルシフェラーゼ活性についてアッセイされた。
【0174】
図11A及び11Bは2時間の時点でのドキシサイクリンなしの試料からのデータを示している。標準的な溶解バッファ(図11A)を用いて、強いシグナルが分泌型ガウシア(Ga)ルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物で検出された。実際に、このシグナルは非分泌型ウミシイタケ(Rn)ルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物内よりもより高い。明らかに、分泌型ガウシアルシフェラーゼは条件培地に制限されない。対照的に、DTTが溶解バッファに含まれる場合(図11B)、ガウシアルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物に検出されるシグナルはなかった。従って、このプロトコルがあれば、非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼを分泌型ガウシアルシフェラーゼから識別することが可能であり、ウミシイタケを有する溶解物のみのシグナル及びガウシアを有する培地のみのシグナルによって証明される。
【0175】
このシステムの機能性及び有用性を更に説明するために、総ての時点でのデータがドキシサイクリン(−)に対するドキシサイクリン(+)として表された(図11C及び11D)。ウミシイタケルシフェラーゼが期間にわたって減少するようなTREプロモータにリンクされることに留意すべきである。このように、分泌型ガウシア(Ga)ルシフェラーゼと非分泌型ウミシイタケ(Rn)ルシフェラーゼとの間を正確に識別するシステムは、細胞溶解物の値で減衰を示すべきであり、条件培地の値ですべきではない。この効果は実際に図11Dで明らかであり、DTTを有する溶解バッファを用いて得られたデータを表わしている。対照的に、DTTなしで溶解バッファを用いて(図11C)、2のルシフェラーゼのシグナルを分離することは明らかに不可能である。
【0176】
パートIV:還元剤は低いバックグラウンドシグナルを提供する
【実施例12】
【0177】
形質移入されないHeLa細胞及び非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が以下のようにルシフェラーゼアッセイに供される。細胞は等しく一定分量で、96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。培地が除去され、細胞は実施例1に記載の20ulの溶解バッファで溶解した。40分後、発光はpH8.1の25mMのTrisと、23.6uMのセレンテラジンと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、指定された濃度のDTTとを含んだ60ulのアッセイバッファの注入直前及び直後にWallac Victor 3 ルミノメータ(Perkin Elmer社)を用いて測定された(図8参照)。
【0178】
図12Aは注入後の相対発光単位(RLU)として表わされた生データを示す。ルシフェラーゼが細胞溶解物内にないため、これらのデータはアッセイのバックグラウンドシグナルを表わす。図12Bは事前読取り値(アッセイバッファの添加前の測定値)の減算後のデータを示す。従って、これらのデータはアッセイバッファによって生成されたバックグラウンドシグナルを表わしている。これらのデータはアッセイバッファにおけるDTTの含有がバックグラウンドシグナル全体の50%以上の低減(図12A)及びアッセイバッファによって生成されたバックグラウンドシグナルの80%以上の低減(図12B)を提供することを示している。
【0179】
図12Cは非分泌型ガウシアルシフェラーゼを含むHeLa細胞溶解物を用いた、フラッシュ反応で生成された真のルシフェラーゼシグナルを低減しないことを示している。従って、アッセイバッファにおける50mMのDTTの含有がバックグラウンドシグナルを低減し(図12A及び12B)、発光の動態を顕著に短縮する(他の実施例参照)が、ガウシアルシフェラーゼからの真の新しいシグナルの強度を損なわない。
【0180】
パートV:還元剤がアッセイバッファ活性における減衰を防止又は制限する
【実施例13】
【0181】
ガウシアルシフェラーゼの株細胞溶解物が実施例1で記載の溶解バッファを用いて、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを安定に発現するフラスコのHeLa細胞を溶解することによって調製された。20ulの溶解物は96−ウェルプレートの各ウェルに負荷されて、発光は実施例1に記載のような標準的なアッセイバッファ(STD)か、図13に示したような量及びタイプの還元剤を更に含む同一のアッセイバッファかのいずれかの注入に続くフラッシュ反応で測定された。4通りの試料が新しく調製されたアッセイバッファを用いて各群について測定された。アッセイバッファは4℃で22時間、暗所で保存され、プロトコルを繰り返した。
【0182】
図13は、新しいものである場合に同一のアッセイバッファから得られるシグナル強度に対するパーセンテージとして、この古いアッセイバッファを用いたシグナル強度を示している。還元剤の不存在下で、アッセイバッファ(STD)の活性度は保存中に60%以上減衰した。総ての還元剤はこの減衰を低減するのに効果的であり、特に注目すべきなのは、50mMのDTTの提供がアッセイバッファ分解の総ての根拠を完全に無効にした。
【実施例14】
【0183】
不安定化した、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が等しく一定分量で96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。同一の溶解バッファが総ての試料に用いられた。ルシフェラーゼ活性は図14に示した還元及び酸化されたグルタチオンの量及び比率を含む新しいアッセイバッファを用いて測定された。アッセイバッファは室温で4時間保存され、複製試料を測定するために再度用いられた。図14はグルタチオンの不存在下で、アッセイバッファの活性が約32%減衰したことを示している。この減衰は還元されたグルタチオンのみ、酸化されたグルタチオンのみ、及び各比率の2の組合せを含む5mMのグルタチオンの存在によって完全に遮断された。しかしながら、新しいバッファのベースライン活性は、グルタチオン、特に酸化されたグルタチオンが、安定性を提供する有利な効果を有するにも拘らずアッセイバッファ活性を低減させる。
【実施例15】
【0184】
不安定化した、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が等しく一定分量で96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。同一の溶解バッファが総ての試料に用いられた。ルシフェラーゼ活性は図15に示したようなグルタチオンの総量(酸化:還元が3:2の比率)を含む新しいアッセイバッファを用いて測定された。アッセイバッファは室温で7時間又は4℃で22時間保存され、複製試料を測定するのに再度用いられた。図15はグルタチオンの不存在下で、アッセイバッファの活性が約50%減衰したことを示している。この減衰は5mMのグルタチオンの存在によって完全に遮断されたが、初期の活性はこのバッファで低減された。少量のグルタチオンが期間にわたる活性の損失からの保護と、活性時の初期低減のレベルの双方の点で、中間的な効果を示した。
【0185】
当業者は、本明細書に記載した発明が、具体的に記載した以外の変更及び修正が可能であることを理解するであろう。本発明はそのような全ての変更及び修正を含むと理解されるべきである。本発明はまた、本明細書中で個々に又は集合的に言及又は記載した全てのステップ、構成、組成物、及び化合物、並びに任意の2つ以上の前記ステップ又は構成の組合せの全てを含む。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、ルシフェラーゼ酵素によって触媒される反応に用いるための、特に、ルシフェラーゼを用いたレポータ遺伝子アッセイに用いるための試薬及び組成物に関する。本発明はとりわけ、その強度を増加させ、及び/又は、ルシフェラーゼ触媒反応の動態を改善するための方法及び組成物を更に提供する。
【背景技術】
【0002】
レポータ遺伝子アッセイは、遺伝子発現の研究において重要なツールであり、例えば、DNA配列、転写因子、RNA配列、RNA結合タンパク質、シグナル伝達経路、及び特定の刺激などの、対象の遺伝子の発現を何が制御しているのかを理解するのを可能にする。特に、レポータアッセイは、遺伝子制御に重要な核酸領域を同定するために用いられうる。このような領域は、ヒト疾患の治療又は予防における治療処置用の有望な標的となりうる。レポータアッセイは更に遺伝子発現を変更する能力について、薬剤をスクリーニングするのに用いられうる。
【0003】
一般的にレポータアッセイは遺伝子プロモータ領域、又は転写因子結合部位や他の調節エレメントのような、プロモータ内の特定のエレメントを同定するのに用いられる。代替的に、このようなアッセイは様々な刺激又はプロモータや調節エレメントの媒介物に対する反応を研究するために用いられる。一部のアプリケーションでは、アッセイに用いられたレポータコンストラクト又は形質移入された細胞がインビボでのプロモータ機能を研究するために生物に導入される。更に、レポータアッセイが特定のプロモータの上流のシグナル伝達経路を研究又は測定するのに用いられうる。
【0004】
例えば、推定プロモータ配列又は他の転写調節エレメントを調べるために設計されたレポータアッセイの場合において、情報を得るべき核酸は下流のレポータ遺伝子の転写の調節を可能にするために、ある位置においてレポータプラスミドにクローン化され、ひいては、レポータタンパク質の発現がレポータ遺伝子によってコード化される。レポータタンパク質は検出を簡単にするためにレポータプラスミドが形質移入された内在性タンパク質と区別すべきであり、好ましくはレポータタンパク質の発現は容易に定量化できるようにすべきである。レポータタンパク質は好適なアッセイで定量化され、例えばプロモータSV40のような遍在性プロモータによって駆動される対照レポータのレベルと比較して表わされる。対照レポータは試験レポータと区別可能にしなければならず、試験ベクタと共に形質移入され、形質移入効率の対照に用いられる別個のベクタに一般的に含まれている。このようなアッセイは細胞が比例的に同量の双方のベクタを取り込むという前提に基づいている。
【0005】
レポータ遺伝子アッセイ用の様々な異なるアプリケーションは、経時的な、又は、化合物、薬物、リガンド、ホルモン等の添加後の変化を測定するステップを含む。これは薬物スクリーニングで特に重要である。薬物の添加後に、レポータタンパク質のレベルにおいて測定可能な変化を検出することは、発現レベルの変化がmRNAを介してタンパク質に伝達されるために、遅延又は希釈されうる。本出願人によって近時になされた、このようなアプリケーションの有意な進歩は、レポータベクタでmRNA及びタンパク質の不安定化エレメントの組み合わせた使用であり、同時係属中の米国特許出願第10/658,093号に記載のように反応の速度及び大きさを改善し、この開示は引用として本明細書中に組み込まれている。
【0006】
様々なレポータ遺伝子アッセイシステムが様々な検出可能なレポータタンパク質を用いて商業上利用可能であり、最も一般的なものはクロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)、蛍光タンパク質及びルシフェラーゼである。
【0007】
ルシフェラーゼはインビトロアッセイシステム用の最も一般的に用いられるレポータタンパク質である。ルシフェラーゼは生物発光が可能な酵素であり、生物の範囲内で天然に見つけられる。商業上利用可能なアッセイシステムにおいて、ルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用いるものと、基質としてセレンテラジンを用いるものとに一般的に分割される。後者の最も広範に使用される例は、細胞内酵素であるホタルルシフェラーゼである。ルシフェリンを用いるルシフェラーゼの更なる例は、コメツキムシや鉄道虫のような鞘翅目の別のメンバ、及び双翅目(例えば、国際公開第2007/019634号に開示されたような)に由来するものを含んでいる。セレンテラジンを用いるルシフェラーゼは、ウミトサカ類ウミシイタケ属又は橈脚目ガウシア属のような海洋生物に一般的に由来している。ウミシイタケルシフェラーゼは細胞内型であり、ガウシアルシフェラーゼは天然状態においては分泌型酵素である。他の分泌型ルシフェラーゼは、メトリディア・ロンガ(Metridia longa)、ウミホタル(Vargula hilgendorfii)、トゲオキヒオドシエビ(Oplophorus gracilirostris)、プレウロマンマ・キフィアス(Pleuromamma xiphias)、及びメトリディア科の他のメンバに由来するものを含む。
【0008】
ルシフェラーゼを利用したアッセイシステムは、試験及び対照レポータの双方が同一アッセイで測定されるのを可能にする、各々が異なる基質を用いる一般的には異なる起源の1以上のルシフェラーゼを用いることができる。単一試料中の複数のルシフェラーゼによる発光シグナルを測定する能力は、明白な利益を提供し、単一の実験で複数のパラメータを測定する能力を含む。一般的には、コード化されたルシフェラーゼのタイプ、及び、各ルシフェラーゼの発現を制御する対象の調節エレメントの双方において異なる2の異なるレポータ遺伝子が、単一の株化細胞に挿入される。
【0009】
例によると、推定プロモータエレメントは、自身の発現を駆動するようなホタルルシフェラーゼレポータ遺伝子の上流にクローン化される。このプラスミドは株化細胞へSV40プロモータによって駆動されるウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を含む対照プラスミドとともに、一時的に形質移入される。第1のルシフェリンはホタルルシフェラーゼを活性化するために添加され、このレポータの活性が測定され、その後「消光及び活性化」試薬が添加される。この試薬にはルシフェリンシグナルを「消光」し、セレンテラジンを更に含んで、ウミシイタケルシフェラーゼを活性化する化合物を含み、その活性がその後測定される。プロメガ社のデュアルルシフェラーゼアッセイはこのようなシステムの一例である。
【0010】
ホタルルシフェラーゼ活性のレベルはプロモータ活性だけではなく、形質移入効率にも依存している。これはDNAの量と、DNA製剤の質と、細胞の状態に依存して大きく変わる。一緒に形質移入された対照プラスミド(SV40プロモータのような好適なプロモータによって駆動されるウミシイタケルシフェラーゼ)は、ウミシイタケルシフェラーゼ活性が細胞によって取り込まれるホタルルシフェラーゼプラスミドの量に比例するという前提に基づき、これらの変数の補正に用いられる。代替的に又は更に、ウミシイタケルシフェラーゼは細胞数、細胞生存率、及び/又は一般的な転写活性のような、他の変数の制御に用いてもよく、又は、細胞に適用される特定の治療又は化合物が双方のプロモータに影響を与えるか、又は、その1つに特有のものであるかを決定するために用いてもよい。
【0011】
単一試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼのシグナルを区別するための代替的な方法が、東洋ビーネット社のマルチカラールック(登録商標)アッセイによって例示され、同一の基質(ルシフェリン)で作用するが、異なる波長で発光する3の異なる甲虫ルシフェラーゼを用いている。しかしながらこの場合においては、光学フィルタが異なるシグナルを分離するのに要求され、このことによりルシフェラーゼごとに定量化できるシグナルが低減する。
【0012】
異なるアプリケーションの広範囲にわたって十分なシグナル強度を提供するために、弱いプロモータの使用を含み、細胞を形質移入するのを困難にする高感度ルシフェラーゼシステムに試験エレメント(例えば、プロモータ)をリンクさせることができるデュアルルシフェラーゼアッセイシステムを用いることが所望される。シグナル強度は、a)対照が実験の本質ではなく、b)SV40、RSV、EF1α又はCMVのような強い対照プロモータが十分なシグナルが生成されるのを確認するために選択されうるため、対照レポータにとっては更に重要ではない。言い換えると、(ルシフェラーゼタンパク質の分子、あるいはルシフェラーゼ遺伝子ごとに)弱いシグナルのみを生成するルシフェラーゼが、強い対照プロモータと選択的に結合されて、検出可能なシグナルが生成されるのを確認できる。ユーザは試験プロモータを選択する点から、このフレキシビリティを有しない。
【0013】
この文脈においては、商業上利用可能なデュアルルシフェラーゼアッセイ(プロメガ株式会社)が対照レポータに対して感度の良い方のウミシイタケルシフェラーゼと、試験レポータに対して感度の悪い方のホタルルシフェラーゼを用いる弱点を有している。更に、システムはホタルのシグナルが最初に測定されるのを要求する。
【0014】
商業上利用可能なマルチカラールック(登録商標)アッセイシステム(東洋ビーネット社)は、ホタルルシフェラーゼより更に低い感度を有する3の甲虫ルシフェラーゼを用いる。更に、フィルタを用いずに、別個のルシフェラーゼを測定するのが不可能であり、更なる感度の損失を生じる。更には最も一般的に用いられるルミノメータは複数の波長の識別を要求するプロトコルと互換性がない。
【0015】
ルシフェラーゼを用いる、特に1又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを用いるアッセイシステムは、一般的に溶解バッファ及びアッセイバッファという2のバッファを用いる。溶解バッファは最初に細胞を溶解するために細胞に添加され、ひいてはルシフェラーゼを放出させ、後の測定を促進する。ルシフェラーゼ基質及び補助因子を含むアッセイバッファが次いで添加され、その後、ルシフェラーゼ活性の測定がなされる。測定はアッセイバッファの添加(いわゆる、「フラッシュ」反応)で直ちに(すなわち数秒以内)、又は、光シグナルを長期間安定にするために、アッセイバッファで「グロー」試薬を用いることによって数分あるいは数時間後(いわゆる「グロー」反応)になされうる。フラッシュ反応は最も高いシグナル強度(秒ごとの発光単位)を提供し、これによって最も高い感度を提供する利点を有する。グロー反応は例えば、ユーザが簡単に利用できる(インジェクタを装備した)好適なルミノメータを有しないアプリケーションにおいて、又は、バッチ操作が注入と測定との間の遅延を要求する一部の高スループット式のスクリーニングアプリケーションにおいて、特に有利である。鞘翅目ルシフェラーゼ用のグロー試薬は、試薬組成物内のCoA又はDTTのようなチオールを含むことによって生成できる(例えば米国特許第5,650,289号、米国特許第5,641,641号参照)。DTTは更にウミシイタケルシフェラーゼのグローを拡張することが示されている(米国特許第6,171,809号)。
【0016】
ルシフェラーゼレポータアッセイ用の現存のバッファ及び試薬に関連する数多くの弱点がある。
【0017】
特に、ルシフェラーゼ反応の感度の改善、すなわち、現存の試薬で得られるものよりも大きな強度のシグナル強度を提供するマルチルシフェラーゼシステムを含む、試薬、反応組成物及びキットに対するニーズが存在する。これは例えば、研究されているプロモータが低活性のみを有する場合のように、アッセイされたレポータ遺伝子が対象の細胞に低レベルのルシフェラーゼのみを提供する場合、及び/又は、対象の細胞にレポータベクタと共に形質移入/形質導入するのが困難である場合に、特に関連がある。確実に測定されうるシグナル強度を与えるのに要求される最小数の細胞を低減することによって、感度の増加がレポータアッセイの小型化を更に促進するであろう。
【0018】
同時係属中の米国特許出願第10/658,093号に記載されたような不安定化エレメントを含むアッセイシステムを用いる場合、安定状態のルシフェラーゼシグナルは低減する。従って、より高いシグナル強度を提供する試薬は、不安定化エレメントを用いるレポータアッセイシステムにとって特に有利であろう。
【0019】
更には、シグナル強度又はルシフェラーゼシグナルの感度を改善する文脈においては、バックグラウンド発光を低減したアッセイ試薬は、バックグラウンドの低減が真のルシフェラーゼシグナルの低減と関連しない場合に、S/N比を増加させることによって性能を改善するであろう。
【0020】
マルチウェルプレートにおいて生物発光を定量するための現存の方法は、ウェル間の発光漏出の問題を受ける傾向にある。迅速に減衰するシグナルがこの所望されないアーチファクトを最小化する一方で、更に読取り値として発光又は蛍光を用いる更なるパラメータの事後の測定を可能にする。現行のルシフェラーゼアッセイシステムでは、いわゆる「フラッシュ」試薬を使用しても、一部の発光レベルが測定後長く持続する。フラッシュ反応の目的がアッセイバッファの注入後すぐに発光を測定することであるため、このシグナルは有用な目的を供しない。更に、持続するシグナルは発光又は蛍光の事後の測定と干渉しうる。一部の文脈においては、消光試薬はルシフェラーゼシグナルを終結するために添加されうる。しかしながら、この更なるピペット注入ステップを要求しない、自己終結シグナルはより簡単な及びより好ましいシステムを提供するであろう。
【0021】
現行のルシフェラーゼアッセイの更なる限界は、単一の試料で識別及び測定されうる異なるルシフェラーゼの数である。上述のように、消光試薬及び発光波長の差異が、2又は3の異なるルシフェラーゼによって生成されるシグナルを分離するのに用いられてきた。異なるルシフェラーゼからシグナルを分離する更なる手段は、4又はそれ以上の異なるルシフェラーゼを測定することができるアッセイシステムを提供し、同一試料中の4又はそれ以上の異なるパラメータの分析を提供するであろう。複数の異なるルシフェラーゼの同時測定を提供するために、異なるルシフェラーゼの活性を支持することができる試薬システムを有することが必要となる。更に、複数の異なるルシフェラーゼの連続的な活性化及び測定を提供するために、事後のルシフェラーゼ反応を妨害することなく、第1のルシフェラーゼ反応の終結できる試薬システムを有することが必要となる。
【発明の概要】
【0022】
本発明は一般的には、試料中のルシフェラーゼ酵素の量又は活性を測定するための方法に関する。本発明は部分的には、天然形態では分泌されるルシフェラーゼから生成された発光時間をDTTのようなチオール及び還元剤が顕著に短縮するという本発明者の驚くべき発見を前提としている。更に、本発明者は還元剤によるこのような天然分泌型ルシフェラーゼの不活性化が時間依存的であることを驚くべきことに測定している。不活性化の遅延は、発光シグナルを損失する前に(例えば、フラッシュ反応における)発光を測定する機会という手段を提供する。従って、利用可能なルシフェラーゼアッセイの方法論及び試薬組成物を用いて現在得られうるものよりも、高い感度の生成(強いフラッシュ段階及び/又は低いバックグラウンドシグナル)と、分泌型ルシフェラーゼに対する速い発光シグナル減衰率とを本発明の実施例は提供する。
【0023】
従って本発明は、マルチルシフェラーゼ(例えば、デュアル及びトリプルルシフェラーゼ)アッセイで発光を測定する正規のアプローチを更に提供している。このような方法は主に遺伝子レポータアッセイ内に適用される。しかしながら、他の領域における有用性は更に明白である。例えば、ルシフェラーゼは標識抗体(例えば、免疫細胞化学用に)又は標識タンパク質(例えば、BRETアッセイ用に)に用いられうる。実験的に及び選択的に特定のルシフェラーゼのオン及び/又はオフを切り替える能力によって、複数の異なるルシフェラーゼ標識を単一試料中で用いるのを可能にする。BRETアッセイの場合においては、青色発光ルシフェラーゼが好ましく、近傍の蛍光タンパク質からの蛍光を活性化するのに用いられる。本発明は2の異なる青色発光ルシフェラーゼからの発光を識別及び操作するための手段を提供し、これによってマルチBRETアッセイを促進する。
【0024】
本発明の第1の態様は試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記方法は、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼは分泌型ルシフェラーゼである。
【0025】
前記第1のルシフェラーゼの不活性化は、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことができる。
【0026】
前記第1のルシフェラーゼは、天然形態では分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。前記第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いてもよい。前記第1のルシフェラーゼは、基質としてセレンテラジンを用い、海洋起源であってもよい。前記海洋起源のルシフェラーゼはガウシア属の種、プレウロマンマ属の種、メトリディア属の種、シプリディナ属の種、又はオプロフォラス属の種に由来するものであるか、あるいは、その変異体又は誘導体であってもよい。
【0027】
前記還元剤がチオール基を含むことができる。前記還元剤はジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、β−メルカプトエタノール、システアミン、亜硫酸ナトリウム、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)からなる群から選択できる。前記還元剤はDTTであってもよい。
【0028】
ある実施例においては、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定される。このような実施例においては、(i)前記第1のルシフェラーゼの反応基質は前記還元剤と同時に添加でき、(ii)前記第1のルシフェラーゼの反応基質は前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、前記還元剤の添加前に測定でき、(iii)前記還元剤が前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定できる。
【0029】
ある実施例においては、前記ルシフェラーゼの少なくとも1つは組換えレポータ遺伝子から発現できる。前記発光シグナルはレポータ遺伝子アッセイの一部として測定されてもよい。
【0030】
前記試料は少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含むことができる。前記細胞内ルシフェラーゼは鞘翅目又は双翅目の種に由来してもよい。
【0031】
前記試料が少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含む場合、前記第1のルシフェラーゼが前記細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に不活性化されるように、前記還元剤は前記細胞内ルシフェラーゼの反応基質の添加前に前記試料に添加できる。前記細胞内ルシフェラーゼが前記還元剤によって活性化されてもよい。前記細胞内ルシフェラーゼの発光時間は前記還元剤によって拡張できる。第1及び第2のルシフェラーゼは同一又は異なる基質を用いてもよい。例えば、前記第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用い、前記細胞内ルシフェラーゼが基質としてルシフェリンを用いることができ、あるいは、前記第1のルシフェラーゼ及び前記細胞内ルシフェラーゼは双方とも、基質としてセレンテラジンを用いることができる。
【0032】
前記試料は2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを含むことができる。前記2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、異なる波長で生成できる。
【0033】
本発明の第2の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0034】
前記ルシフェラーゼは、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。
【0035】
前記試料は前記還元剤より前に前記反応基質と接触し、あるいは、前記試料が前記反応基質及び前記還元剤と同時に接触することができる。
【0036】
本発明の第3の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)次いで、前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
を含んでいる。
【0037】
本発明の第4の態様は、試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記ルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0038】
本発明の第5の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記第1のルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(e)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0039】
前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されるように、ステップ(d)及び(e)はステップ(a)乃至(c)に先行できる。
【0040】
前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記試料が前記還元剤と接触するように、ステップ(b)はステップ(a)及び(c)の後に行うことができる。
【0041】
前記試料は、前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に、又は同時に前記還元剤と接触してもよい。
【0042】
本発明の第6の態様は、第1及び第2のルシフェラーゼを含む試料中の第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記第1のルシフェラーゼは天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含んでいる。
【0043】
前記試料は第3のルシフェラーゼを更に含むことができる。前記第3のルシフェラーゼは細胞内ルシフェラーゼであってもよい。前記第2及び第3のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルは、異なる波長で生成できる。前記第2のルシフェラーゼは鞘翅目の種に由来し、前記第3のルシフェラーゼが双翅目の種に由来してもよい。
【0044】
本発明の第7の態様は、天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを不活性化するための方法を提供し、前記方法は、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含んでいる。
【0045】
前記ルシフェラーゼは、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態にできる。
【0046】
前記ルシフェラーゼの不活性化は、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことができる。
【0047】
本発明の第8の態様は、天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの減衰率を増加させるための方法を提供し、前記方法は、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含んでいる。
【0048】
本発明の第9の態様は、試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法を提供し、前記方法は、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供する試薬組成物とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼは分泌型ルシフェラーゼである。
【0049】
本発明の第10の態様は、試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法は、
(a)第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する、有効量の還元剤を前記試料に添加するステップと;
(b)前記試料中の発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼの前記発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと;
(d)前記試料中の前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とに基づいて、各ルシフェラーゼについて前記発光シグナルを計算するステップと;
を含んでいる。
【0050】
本発明の第11の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法が、
(a)前記第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0051】
本発明の第12の態様は、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、当該方法は、
(a)前記第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼ用の反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0052】
本発明の第13の態様は、試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、前記方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼである。
【0053】
本発明の態様及び実施例によると、発光シグナルの測定前に、前記試料は細胞溶解ステップに供することができる。前記1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質の添加前に、前記試料は細胞溶解ステップに供してもよい。前記還元剤の添加前に、前記試料は細胞溶解ステップに供してもよい。前記還元剤は細胞溶解バッファ中にある。
【0054】
本発明の態様及び実施例によると、請求項1乃至44のいずれか1項に記載の方法において、1又はそれ以上のルシフェラーゼを発現する細胞が培養された条件培地を用いて、発光シグナルが測定できる。
【0055】
本明細書に更に開示されているのは、試料中でルシフェラーゼの量又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は向上した発光シグナル、及び/又はルシフェラーゼからの増大した発光シグナル減衰率の生成を可能にする。一般的に、ルシフェラーゼの存在下で、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供している。一般的には、変換は発光シグナルが前記変換前に測定できるような期間に生じる。一般的に、変換は発光シグナルの開始後、約1秒又はそれ以上、約5秒又はそれ以上あるいは約10秒又はそれ以上で明白になる。一般的に変換は期間中ずっと進行している。
【0056】
本明細書に更に開示されているのは、試料中でルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、ルシフェラーゼの存在下で、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。一般的に、試薬組成物によって提供される環境は、活性ルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへのより迅速な変換、あるいは採用、あるいはわずかな活性コンフォメーションの維持を促進している。代替的には又は更には、環境は、不活性なコンフォメーションを採用するルシフェラーゼの比率を増加させることによって、試料中のルシフェラーゼの全体的な活性を減少できる。一般的には、試薬組成物は少なくとも1の好適な還元剤を含んでいる。一般的に1又はそれ以上の薬剤はルシフェラーゼの還元を生じさせ、これによって、時間依存的な方法においてルシフェラーゼによる不活性なコンフォメーションの採用を促進する。従って、薬剤の不存在に対する薬剤の存在(薬剤(+)/薬剤(−))におけるシグナル強度の比率は、一般的には期間にわたって減少する。例えば、比率は試薬組成物をルシフェラーゼと接触させた1秒後より10秒後の方が一般的には低い。
【0057】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性をアッセイするためのキットであり、キットは少なくとも1の試薬組成物を含み、試薬組成物はルシフェラーゼの少なくとも1つの、不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供している。
【0058】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性をアッセイするためのキットであり、キットは少なくとも1の試薬組成物を含み、試薬組成物はルシフェラーゼの少なくとも1つの、不活性なコンフォメーションへのアンフォールディングを促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。
【0059】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は少なくとも1つの還元剤を含んでいる。
【0060】
本明細書に更に開示されているのは、1又はそれ以上のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物は少なくとも1つの還元剤、又は酸化及び還元剤の組合せを含んでいる。一般的には、1又はそれ以上の薬剤はルシフェラーゼの還元を生じさせ、これによって、時間依存的な方法においてルシフェラーゼによる不活性なコンフォメーションの採用を促進する。
【0061】
上述によると、試薬組成物は1又はそれ以上の更なる成分を更に含む。このような更なる成分は、例えば2価金属のキレータ、抗酸化剤、プロテアーゼ阻害剤、塩、洗剤又は更なるバッファ成分から選択できる。2価金属のキレータは例えば、EDTA、CDTA、及びEGTAから選択される。一実施例においては、2価金属のキレータはEDTAであり、約1mM乃至約15mMの濃度で存在している。試薬組成物はルシフェラーゼの活性を測定するためにアッセイ試薬又はバッファの形態にできる。従って、アッセイバッファはバッファ剤のような更なる成分を更に含んでもよい。バッファ剤は例えばトリス、ヘペス又はリン酸バッファにできる。試薬組成物はルシフェラーゼ基質を更に含んでもよい。基質は例えば、ルシフェリン又はセレンテラジンにできる。特定の実施例においては、基質はセレンテラジン又はその誘導体である。例によると、セレンテラジン又はその誘導体は約2uM以上、約5uM以上、約10uM以上、約15uM以上、約20uM以上あるいは約25uM以上の濃度にできる。
【0062】
一般的に、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルは短命であり、基質の添加後約15分以内にバックグラウンドレベル近くまで減衰する。より一般的にはシグナルは基質の添加後約15分以内、基質の添加後約10分以内、基質の添加後約5分以内に初期シグナルの約1%未満まで減衰する。一般的には、生物発光シグナルは基質の添加後数秒以内から迅速に減衰し、レベルは基質の添加後約60分、基質の添加後約30分、基質の添加後約15分、基質の添加後約10分、あるいは基質の添加後約5分以内に、初期シグナルの約0.1%未満になる。
【0063】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するための試薬組成物であり、試薬組成物はDTT及びセレンテラジンを含み、ルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いている。
【0064】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1、第2、第5、第6又は第7の態様のいずれか1つによって試料に有効量の試薬組成物を添加するステップと、(b)試料中の生物発光を検出するステップとを含んでいる。
【0065】
更に本明細書中に開示されているのは、バックグラウンドシグナルを低減させ、あるいは、ルシフェラーゼ反応のS/N比を増加させるための方法であり、その方法がルシフェラーゼ用の基質及び好適な酸化還元環境を含む有効量の試薬組成物とルシフェラーゼを接触させるステップを含んでいる。一般的には、試薬組成物は少なくとも1の還元剤又は酸化及び還元剤の組合せを含んでいる。
【0066】
更に本明細書中に開示されているのは、ルシフェラーゼ酵素によって生成された生物発光シグナルの減衰率を増加させる方法であり、その方法はルシフェラーゼを有効量の試薬組成物と接触させるステップを含み、試薬組成物はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な酸化還元環境を提供している。
【0067】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)ルシフェラーゼを発現する細胞を提供するステップと、(b)ルシフェラーゼ酵素の基質を含み、ルシフェラーゼの不活性状態又はコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な試薬組成物を添加するステップと、(c)活性ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルを検出するステップとを含んでいる。
【0068】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第8又は第10の態様により、第1のルシフェラーゼの量又は活性を測定するステップと、(b)第1のルシフェラーゼの発光シグナルを実質的に減衰可能にするために、ある期間待機するステップと、(c)第2のルシフェラーゼ用の第2の基質を添加するステップと、(d)第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するステップとを含んでいる。
【0069】
上の方法は更に、試料中の2以上のルシフェラーゼの量又は活性の測定に適用可能であり、その方法は、各々の更なるルシフェラーゼのためにステップ(c)及び(d)又はステップ(d)のみを反復するステップを含んでいる。
【0070】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)2のルシフェラーゼからの発光シグナルを生成するのに好適であるが、各ルシフェラーゼについて異なる減衰率の発光シグナルを有する有効量の試薬組成物を試料に添加するステップと、(b)試料中の発光シグナルを測定するステップと、(c)第1のルシフェラーゼの発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと、(d)試料中の発光シグナルを測定するステップと、(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とを用いて、各ルシフェラーゼの発光シグナルを計算するステップとを含んでいる。
【0071】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)ルシフェラーゼの反応基質、及び、ルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化する薬剤を含む試薬組成物と、試料を接触させるステップと、(b)ルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に発光シグナルを測定するステップとを含んでいる。
【0072】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の基質、及び、第1のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化するが、第2のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化しない薬剤を含む第1の試薬組成物と試料を接触させるステップと、(b)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に、発光シグナルを測定するステップと、(c)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化された後に、発光シグナルを測定するステップと、(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップとを含んでいる。
【0073】
更に本明細書中に開示されているのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、その方法は、(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の基質、及び、第1のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化するが、第2のルシフェラーゼの触媒活性を時間依存的に低減又は不活性化しない薬剤を含む第1の試薬組成物と試料を接触させるステップと、(b)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化される前に、発光シグナルを測定するステップと、(c)第2のルシフェラーゼ用の基質を含む第2の試薬組成物と前記試料を接触させるステップと、(d)第1のルシフェラーゼの触媒活性が薬剤によって低減又は不活性化された後に、発光シグナルを測定するステップと、(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本発明の実施例は、添付の図を参照して単なる例としてここに記載される。
【0075】
【図1A】図1Aは3の異なる還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図1B】図1Bは3の異なる還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図2A】図2Aは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。図2のデータは2の時間経過にわたって提供され、図2Aは180秒まで提供される。
【図2B】図2Bは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。図2のデータは2の時間経過にわたって提供され、図2Bは33分秒まで提供される。
【図3】図3は、分泌型及び非分泌型ガウシアルシフェラーゼからの生物発光シグナルでのDTT(50mM)の効果を示している。
【図4】図4は、50mMのDTTの存在下における、ウミシイタケルシフェラーゼについての、期間にわたる相対発光単位(RLU)での生物発光の動態を示している。
【図5A】図5Aは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5B】図5Bは、DTTの濃度変化の存在下における、分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5C】図5Cは、DTTの濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図5D】図5Dは、DTTの濃度変化の存在下における、分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6A】図6Aは、ジチオエリトリトール(DTE)を有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6B】図6Bは、亜硫酸ナトリウムを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6C】図6Cは、システアミンを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型メトリディアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは120分まで提供される。
【図6D】図6Dは、ジチオエリトリトール(DTE)を有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6E】図6Eは、システアミンを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6F】図6Fは、TCEPを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図6G】図6Gは、β−メルカプトエタノールを有する還元剤の濃度変化の存在下における、非分泌型ガウシアルシフェラーゼについての、期間にわたる1秒間あたりの計数値(CPS)での発光を示している。データは50分まで提供される。
【図7】図7は、DTTが前の開始反応のグロー段階中に添加される場合に、非分泌型ガウシアルシフェラーゼからの生物発光シグナルでのDTTの効果を示している。
【図8】図8は、非分泌型ガウシアルシフェラーゼと、ホタルルシフェラーゼとを発現する細胞内のデュアルルシフェラーゼアッセイからの生物発光(RLU)を示している。LB=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加直前に測定されるシグナル、Ga=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加直後に測定されるシグナル、15’=ガウシアルシフェラーゼアッセイバッファの添加15分後(ホタルアッセイバッファの添加直前)に測定されるシグナル、FF=ホタルルシフェラーゼアッセイバッファの添加1秒後に測定されるシグナルである。
【図9A】図9Aは、腫瘍壊死因子又はフォルスコリンの存在下で、サイクリックAMP応答エレメント(CRE−FF)の調節下の不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動される、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼ、又は双方のいずれかを発現する細胞からのルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図9Aはガウシアアッセイバッファの存在下でのルシフェラーゼ活性である。
【図9B】図9Bは、腫瘍壊死因子又はフォルスコリンの存在下で、サイクリックAMP応答エレメント(CRE−FF)の調節下の不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動される、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼ、又は双方のいずれかを発現する細胞からのルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図9Bはホタルアッセイバッファの存在下でのルシフェラーゼ活性である。
【図10A】図10Aは0秒(t=0)及び1200秒(t=1200)での非分泌型ガウシアルシフェラーゼ(Ga)、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn)、又は混合溶解物中の双方のルシフェラーゼ(Ga&Rn)を含む細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。
【図10B】図10Bは、実施例10に記載のように測定される、図10Aからの非分泌型ガウシアルシフェラーゼに対する、測定(計算)及び期待された活性との比較を示している。
【図11A】図11Aは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11AはDDTなしの溶解バッファを用いている。図11Aはドキシサイクリン処理なしでの単一時点からのデータを示している。
【図11B】図11Bは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11BはDDTを含む解バッファを用いている。図11Bはドキシサイクリン処理なしでの単一時点からのデータを示している。
【図11C】図11Cは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11CはDDTなしの溶解バッファを用いている。図11Cは、ドキシサイクリン(−)と相対的にドキシサイクリン(+)として表現される総ての時点からのデータを示している。
【図11D】図11Dは、CMV駆動のガウシアルシフェラーゼ(Ga又はCMV−ガウシア)とTRE駆動の非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼ(Rn又はTRE−ウミシイタケ)とを発現する細胞の条件培地及び細胞溶解物中のルシフェラーゼ活性(RLU)を示している。図11DはDDTを含む解バッファを用いている。図11Dは、ドキシサイクリン(−)と相対的にドキシサイクリン(+)として表現される総ての時点からのデータを示している。
【図12A】図12Aはバックグラウンド発光シグナルへのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図12B】図12Bはバックグラウンド発光シグナルへのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図12C】図12Cは非分泌型ガウシアルシフェラーゼからのフラッシュ強度へのDTTの濃度変化の効果を示している。
【図13】図13は、DTT、TCEP又はβ−メルカプトエタノール(b−ME)といった還元剤の存在下あるいは不存在下において、新しいアッセイバッファ中のシグナル強度に対する割合として22時間経過したアッセイバッファ中の非分泌型ガウシアルシフェラーゼから生成された生物発光シグナル強度(RLU)を示している。
【図14】図14は、酸化されたグルタチオン:還元されたグルタチオンの比率変化の存在下で、新しいアッセイバッファ(AB)及び使用前に4時間保存されたアッセイバッファ(4時間のAB)における非分泌型ガウシアルシフェラーゼの細胞溶解物中の発光(RLU)を示している。
【図15】図15は、還元されたグルタチオン:酸化されたグルタチオンについて3:2の比率での濃度変化の存在下で、新しいアッセイバッファ、使用前に7時間室温(RT)で保存されたアッセイバッファ、又は使用前に22時間4℃で保存されたアッセイバッファにおける、非分泌型ガウシアルシフェラーゼの細胞溶解物中の活性(RLU)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
文脈がそうではないことを要求しない限り、本明細書及び後に続く請求項にわたり、「含む(comprise)」という用語及び「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」のような変化形は、示された整数又はステップ又は整数又はステップのグループを含むことを意味するが、その他の整数又はステップ又は整数又はステップのグループを排除することを意味するものでがないことは理解すべきである。
【0077】
「ある」(“a”又は“an”)という冠詞は、1又はそれ以上(すなわち少なくとも1つ)を意味して本明細書で用いられる。例えば、「エレメント」は1又はそれ以上のエレメントを意味する。
【0078】
本明細書で用いられるように、1のコンフォメーションから別のものへのルシフェラーゼ酵素の変換の文脈においては、「促進する(facilitates)」という語句は、薬剤がこのような変換を提供、生成、許容又は促進することを意味する。従って、ルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換の促進は、受動的又は能動的であってもよく、直接的又は間接的であってもよい。例えば、薬剤はルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換が生じうる好適な環境を提供できる。ルシフェラーゼ酵素の変換を「促進」する薬剤は一般的に薬剤の不存在下で見られるものと比較して、より有効な変換を提供するものである。
【0079】
本明細書で用いられるように、「変換(conversation)」という用語は活性/不活性状態又はコンフォメーションを得る際のフォールディング/アンフォールディング又はルシフェラーゼ酵素の他の変更である。更にルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換の引用は、活性状態又はコンフォメーションから不活性状態又はコンフォメーションへの変換、あるいは、部分的な活性又は高い方の活性状態又はコンフォメーションから低い方の活性状態又はコンフォメーションへの変換のいずれかを意味すると取られる。この文脈においては、「コンフォメーション(conformation)」という用語は酵素によって採用される構造(例えば3次又は4次などの)をその範囲内に含み、これは反応を触媒する酵素の能力に関連し、従って基質の添加と同時に生物発光シグナルを生成する。
【0080】
本明細書で用いられるように、ルシフェラーゼの生物発光シグナル強度の文脈における「増大した(enhanced)」という用語は、薬剤又は試薬組成物の不存在下で、及び/又は従来技術の組成物の存在下で得られるものと比較した、定性的又は定量的に増大又は増加したシグナル強度又はS/N比を意味している。同様に、「減衰率の増加(increased rate of decay)」という用語は、薬剤又は試薬組成物の不存在下で、及び/又は従来技術の組成物の存在下で得られるものと比較して増加した生物発光シグナルの減衰率を表わすために用いられる。
【0081】
本明細書で用いられるように、「有効量(effective amount)」という用語は、その意味の内部に、所望の効果を提供するのに十分な量の試薬組成物を含んでいる。要求される正確な量は、分析すべき試料の性質、用いられるルシフェラーゼ酵素及びルシフェラーゼが細胞内型か分泌型か、試薬の構成又は用いられる組成物のようなファクタに依存して、事例によって変化する。従って、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかしながら、任意の与えられた事例について、好適な「有効量」は日常的な実験だけを用いて当該技術分野の当業者によって測定されうる。
【0082】
本明細書で用いられるように、「非分泌型ルシフェラーゼ(non−secreted luciferase)」という用語は、細胞から細胞外環境に搬出又は分泌されないルシフェラーゼを意味している。このように「非分泌型(non−secreted)」はあらゆる形態で細胞内に保持されるルシフェラーゼを含み、ひいては、ルシフェラーゼは細胞質状態あるいは膜結合状態となる。一般的には、排他的ではないが、天然状態においては分泌されるルシフェラーゼについて、「非分泌型」形態になるように、ルシフェラーゼが本明細書に引用される場合、この分泌及び分泌の不存在は真核細胞を参照する。
【0083】
本明細書で用いられるように、「分泌型ルシフェラーゼ(secreted luciferase)」という用語は、天然形態においては通常に発現される細胞から細胞外の場所に分泌されるルシフェラーゼのことである。細胞外の場所は生物の同定に依存して生物の内外部にできる。細胞外の場所はルシフェラーゼを発現する細胞がインビトロで培養されている培地をその範囲内に含んでいる。ルシフェラーゼを発現する生物が通常住んでいる水生又は海洋環境を含んでもよい。「分泌型ルシフェラーゼ」という用語によって包囲されるものは、本明細書に記載されるようなその様々な変形及び組換えられた形態であり、このような組換えられ又は変形された形態は分泌可能又は不可能となることに更に留意すべきである。従って、「分泌型ルシフェラーゼ」という用語は分泌型ルシフェラーゼの「非分泌型」形態をその範囲内に含んでいる。
【0084】
本明細書で用いられるように、「細胞内ルシフェラーゼ(intracellular luciferase)」という用語は、発現時に及び天然形態において、細胞外培地内に分泌されるよりも、細胞又は細胞膜内に保持されるルシフェラーゼをいう。「細胞内ルシフェラーゼ」という用語によって包囲されるものは、本明細書に記載されるようなその様々な変形及び組換えられた形態であり、このような組換えられ又は変形された形態は細胞内に保持可能又は不可能になることに留意すべきである。従って、「細胞内ルシフェラーゼ」という用語は細胞内ルシフェラーゼの搬出又は分泌された形態をその範囲内に含んでいる。
【0085】
従って、本明細書で用いられるように、「非分泌型」と「細胞内ルシフェラーゼ」という用語は異なる意味を有している。「非分泌型」ルシフェラーゼは天然形態において分泌されるルシフェラーゼについて、変形した形態のものにできる一方、「細胞内」ルシフェラーゼは天然形態においては細胞内にある(分泌されない)ものである。
【0086】
本明細書で用いられるように、「不活性化する(inactivate)」、「不活性化(inactivation)」及び本明細書で用いられるようなその変化形は、還元剤によるルシフェラーゼの不活性化の文脈において、生成された発光シグナルの量によって測定されたルシフェラーゼの触媒活性が低減又は無効化されることを意味している。従って、不活性化は活性の100%の低減が生じうると完了できるが、これが事例である必要はない。一部の残効性が保持されるような部分的な不活性化は、更に考慮される。
【0087】
ルシフェラーゼ酵素を引用して本明細書で用いられるように、「基質(substrate)」という用語はルシフェラーゼが作用する反応基質分子を意味し、ルシフェラーゼの基質及び/又は触媒への結合に有益な又は要求しうるどの更なる補助因子も含まない。例えば、ルシフェラーゼ触媒反応は、マグネシウム、CoA及びATPのような補助因子から要求又は利益を受けることができるが、本発明の文脈においては、このような補助因子は「基質」という用語の範囲内にあるとは見なされない。ルシフェラーゼ「基質」は例えば、D−ルシフェリンやセレンテラジンを含む。本出願の目的のために、「ルシフェリン(luciferin)」という用語は、D−ルシフェリン及びその類似体である基質のことであり、その分子は、例えばホタル、コメツキムシ及び鉄道虫のような鞘翅目由来のルシフェラーゼ用の基質である。本発明の文脈においては、ルシフェリンという用語はセレンテラジンを包囲せず、異なる分類のルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ、ガウシア、メトリディアから由来されるもののように)によって用いられる異なるルシフェラーゼ基質を表わしている。
【0088】
本明細書で用いられるように、「試料(sample)」という用語は任意の試料を意味し、限定されないが、細胞、生物、溶解された細胞、細胞又は生物の抽出物又は成分、細胞外液、細胞が培養される培地を含み、試料は1又はそれ以上のルシフェラーゼ酵素を含み又は含むと思われる。
【0089】
本明細書で用いられるように、本発明者らは最初に、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼ酵素の活性への還元剤の効果について述べた。実際にウミシイタケ及び鞘翅目に由来するルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼで観られる効果に反して(グロー反応はDTTの存在下で拡張される)、本発明者らは、DTTのような還元剤が天然形態で分泌されるルシフェラーゼに逆の効果を与えるという驚くべき測定をした。すなわち、還元剤が天然形態で分泌されるルシフェラーゼによって生成された発光時間を顕著に短縮している。更には、本発明者らは還元剤による天然分泌型ルシフェラーゼの不活性化がすぐには生じず、時間依存的であるという驚くべき測定をした。
【0090】
理論により制限されることを所望しなければ、細胞内ルシフェラーゼは、低減された環境に上手く適用され、発光時間の点で還元剤から利益を受ける一方、天然分泌型ルシフェラーゼはより酸化された環境に適用され、還元剤によって不活性化され、タンパク質コンフォメーションを変え、及び/又は重大なジスルフィド結合を切断し、それによって触媒活性を低減及び無効化することは、本明細書において想定される。重要なことに、フラッシュ測定が妨害されないように試薬をルシフェラーゼと結合した直後に、この変換は開始しない。コンフォメーションの変化はタンパク質フォールディングの変化及び/又はルシフェラーゼの酸化還元状態の変化を含むことができる。更に、コンフォメーション的な変化はルシフェラーゼタンパク質の1またはそれ以上のジスルフィドブリッジの破壊を含んでいる。ルシフェラーゼ酵素の状態又はコンフォメーションの変化は多数の状況において所望又は要求されうる。このような状況は例えば、マルチルシフェラーゼアッセイの使用、読取り値として発光又は蛍光を用いる他の(非ルシフェラーゼ)アッセイに試料が適用できるようにするための測定後に持続する所望されないシグナルの除去、
又は単純に、過去に測定されたウェルから現在測定されているウェルに生じている発光漏出の低減を含んでいる。
【0091】
本発明の実施例はルシフェラーゼ酵素の量及び/又は活性を測定又は定量するのに所望されるルシフェラーゼを用いた反応に適用を見出す。例えば、排他的ではないが、本発明の実施例は高いシグナル強度に加えて迅速な応答を提供するために不安定化エレメントを用いたレポータ遺伝子アッセイシステムのために特に適用可能である。本発明の実施例においては、分析すべき試料は天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼのような任意のルシフェラーゼを発現することが知られているが、これは事例にする必要がない。例えば、任意の試料が問題となるルシフェラーゼ酵素を含むことをわかり得ないことが当該技術分野の当業者は分かるであろう。例えば、細胞は、プロモータ、エンハンサ又は他の制御配列と選択的に動作可能にリンクされた、ルシフェラーゼをコード化するポリヌクレオチドを含む発現構成を所有する(及び変換された)ことが知られているが、ルシフェラーゼ酵素が発現したことは知られ得ない。従って、本発明の範囲内に含まれるのは分析すべき試料が特定のルシフェラーゼを発現すると思われる実施例である。
【0092】
本明細書に記載のようなレポータ発現アッセイに加えて、本発明の実施例は更に他のアッセイシステムの適用を見出し、1又はそれ以上のルシフェラーゼ酵素の量及び/又は活性が測定できる。例えば、ルシフェラーゼはイムノアッセイでレポータとして、ハイブリダイゼーションアッセイでラベルとして用いることができ、ひいては、例えば抗体又は核酸プローブにリンクしてもよい。従って、ルシフェラーゼはレポータ又は検出可能なラベルとして用いることができる。
【0093】
本明細書に記載のように、還元剤の存在下で基質の添加後最初の数秒で天然分泌型ルシフェラーゼから生成される、非常に高い生物発光シグナル強度は、生物発光シグナルの非常に迅速な減衰と関連しうることが分かる。還元剤は単独で添加してもよいし、以下に記載のようにアッセイバッファ(例えば、1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質と共に)又は細胞溶解バッファのような試薬組成物の成分としてもよい。
【0094】
従って、本発明の実施例のための試薬組成物は少なくとも1の還元剤、一般的にはチオールを用いた還元剤を含むことができる。
【0095】
一般的な意味において、酸化−還元(酸化還元(redox))反応は、通常電子の移動による酸化数の変化によって特徴づけられる。「酸化(oxidation)」という用語は一般的に、酸化状態又は数の増加(電子の損失)である。一方、「還元(reduction)」という用語は一般的に、酸化状態又は数の減少(電子の獲得)である。「酸化剤(oxidising agent)」は時として電子受容体と呼ばれ、「還元剤(reducing agent)」は時として電子供与体と呼ばれる。還元は多くの方法で特徴付けることができる。「酸化数の減少」又は「電子の獲得」に加えて、還元は更に「酸素の取得」と大抵は見なされうる。例えば、二重結合は還元された場合2の酸素を獲得し、ケトン又はアルデヒドはそれぞれ第1及び第2アルコールに還元される場合、酸素を獲得し、ジスルフィド結合が2のチオールに還元される場合、2の酸素を獲得する。他の基質を酸化する能力を有する基質は、「酸化的(oxidative)」と言われ、「酸化剤」、「酸化体(oxidant)」又は「酸化性物質(oxidiser)」と呼ばれる。他の基質を還元する能力を有する基質は、「還元的(reductive)」と言われ、「還元剤」、「還元体(reductant)」又は「還元性物質(reducer)」と呼ばれる。一般的には酸化還元処理においては、還元体又は還元剤は電子を失って酸化され、酸化体又は酸化剤は電子を獲得して還元される。試薬組成物又はこの試薬を用いた相当する反応混合物中に1又はそれ以上の酸化剤及び/又は還元剤を存在させて、試薬又は反応混合物中に全体的な「還元した」又は「還元的」環境を提供するようにしてもよい
【0096】
還元剤はルシフェラーゼの還元を促進でき、これによってそうでなければ、高い方の活性コンフォメーション又は形態から低い方の活性コンフォメーション又は形態へのルシフェラーゼの変換を促進する。
【0097】
当該技術分野の当業者は、多様な還元剤が本発明の目的に好適であり、本明細書で考慮されていることが分かるであろう。例えば、還元剤はジスルフィド結合がチオールに還元され、ルシフェラーゼタンパク質を変性するような試薬組成物内の電気化学的ポテンシャルの生成に寄与するジスルフィド結合変換剤であってもよい。例によると、還元剤はルシフェラーゼタンパク質中のジスルフィド結合を直接的又は間接的に還元できる。例えば、酸化還元バッファの成分を還元するようなチオールはタンパク質フォールディング及び変性に含まれるチオール−ジスルフィド交換反応の比率に影響を与えることが知られている。
【0098】
チオールの還元を記載する一般式は式1.0に示される:
R−S−S−R1+2H++2e−→R−SH+R1−SH 1.0
好適な還元剤の例は限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸塩、チオグリコール酸ナトリウム、ピルビン酸塩、システイン、硫化ナトリウム、硫化水素、ジチオン酸塩、水素及び白金触媒、β−メルカプトエタノール;β−メルカプトエチルアミン、メルカプト酢酸、二酸化チオ尿素、N−エチルマレイミド、及びアスコルビン酸塩を含んでいる。いくつかの実施例においては、還元試薬はポリマ担体のような固体担体に固定化してもよい。固定化された還元試薬の一例は、固定化されたTCEPジスルフィド還元ゲルである。TCEPは還元剤の一例であるが、チオール誘導体ではない[Willis,M.,S.,Protein Science,2005,14,1818−826]。
【0099】
一般的には、還元剤は少なくとも約500μM、1mM、2mM、5mM、10mM、20mM、50mM、75mM、100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、400mM又は500mMの濃度で存在している。
【0100】
本発明による使用のための試薬組成物は、更に、当該技術分野の当業者によって容易に分かり、確認されるような多数の更なる成分を含むことができる。このような追加の成分の同定は、アッセイとアッセイの状況及び目的に用いられるルシフェラーゼ酵素に大いに依存している。本本発明の試薬組成物用の1のこのような一般的な更なる成分は、ルシフェラーゼ用の基質である。単なる例によると、試薬組成物はルシフェラーゼ及び/又はルシフェラーゼを発現する細胞の溶解によって触媒される反応に好適な又は有益な成分を更に含んでもよい。例えば、組成物は1又はそれ以上の2価金属のキレータ(EDTA、CDTA又はEGTAのような)、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、プロテアーゼ阻害剤(シュウ酸のような)、洗剤(一般的な非イオン性の)、又はHEPES、Tris、BSA及び/又はグリセロールのような更なる日常的に用いられるバッファ成分を含んでもよい。更には、本発明の試薬組成物は少なくとも約7、一般的には約7乃至約9のpHを有することができる。いずれかの特定の状況に用いられるべき試薬組成物の正確な構成を決定することは、添加すべき更なる1又はそれ以上の成分に関し、当該技術分野の当業者の能力内にある。
【0101】
本明細書に例示されているように、様々に変更されたルシフェラーゼアッセイバッファ組成物は、例えば還元剤を含み、変更された細胞内ガウシアルシフェラーゼ又は標準的な分泌型ガウシアルシフェラーゼと共に用いられる場合に非常に高い初期シグナル強度を提供し、バックグラウンドレベルへの発光の非常に迅速な減衰が後に続く。還元剤の含有が分泌型ルシフェラーゼからの発光時間を短縮することは、ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼでのDTTの報告された効果に反し、実際に真逆になることを特に驚くべきことに与えている。
【0102】
本明細書で開示されているのは、分泌型ルシフェラーゼでの還元剤のこの予想外の効果と、有利にするために異なるルシフェラーゼでのこれらの薬剤の現実的な差次的効果とを用いるための方法である。特に、本発明者らの知見はマルチルシフェラーゼアッセイを実行するための正規の方法の発展に導いた。従来技術によると、異なるルシフェラーゼによって生成されたシグナルは、消光試薬の使用を介して識別され、発光波長の差に基づいていた。本発明はルシフェラーゼシグナルが時間ベースで、すなわち、発光の動態の違いに基づいて更に識別できる。理論によって結びつけられるのを望まなければ、本明細書に例示したデータは、細胞質ルシフェラーゼと異なり、分泌型ルシフェラーゼは活性コンフォメーションを採用するためにフォールディングを要求することを示唆している。DTTのような還元剤への曝露は、分泌型ルシフェラーゼの活性を低減又は無効化する一方、この不活性化の処理は数秒以上かかり、このことが不活性化され始める前のルシフェラーゼの活性を測定するための機会という手段を生成する。驚くべきことに、本明細書に例示されるように、50mMまでのDTの含有は約5乃至15分以内にルシフェラーゼを実質的に又は完全に不活性化する能力があるにもかかわらず、初期シグナル強度のいかなる低減も生じさせない。
【0103】
本発明の試薬組成物によって提供される更なる利益は、バックグラウンド発光の低減(実際には高いS/N比)と、アッセイ試薬の延びた有効時間(従来技術のアッセイバッファは、おそらくは自動酸化のために基質の添加後、限られた有効時間を有している)を含んでいる。
【0104】
従って、本発明の方法は、短いシグナル時間と関連する高い検出の感度を提供している。これは野生型の分泌フォーマットで用いられるか、又は、非分泌型になるように変形されるかに拘らず、野生型の状態で分泌されるルシフェラーゼの事例になるように説明されている。同一の薬剤(還元剤)がウミシイタケルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼからの長いシグナル時間を提供することは、発光の動態の差に基づいてルシフェラーゼシグナルを上手く識別するのにこれらの薬剤を用いるための機会を提供している。
【0105】
本発明のための試薬組成物は、1又はそれ以上のキレータを更に含んでいてもよい。好適なキレータは限定しないが、例えばEDTA、CDTA及びEGTAのような2価金属のキレータを含む。キレータは約1mM乃至約15mMの濃度にできる。
【0106】
当該技術分野の当業者は、例示的な範囲又は成分が本明細書に記載された場合に、これらは、ルシフェラーゼタンパク質のアンフォールディング、増大した生物発光シグナル強度、低減したバックグラウンドシグナル、延長された試薬の有効時間及び/又は生物発光シグナルの短縮を得る本発明の組成物に含まれうる範囲及び成分の網羅的ではない単なる例示であることが分かるであろう。
【0107】
本発明の方法を用いて、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルがルシフェラーゼ基質の添加後約1秒以内に開始する短い段階に限定できる。例えば、生物発光シグナルは基質の添加後約30分未満又は約15分未満に限定できる。更には、単なる例によって、ルシフェラーゼによって生成された生物発光シグナルは、ルシフェラーゼ触媒反応の初期から5分、10分、15分、20分、25分又は30分後に、生物発光シグナルが初期シグナルの約1%未満乃至初期シグナルの約0.1%未満になるようにできる。
【0108】
ルシフェラーゼ基質及び還元剤は同一の試薬組成物の成分にしてもよく、別個に添加できるように(別個の試薬組成物の成分を含んで)分離してもよい。ルシフェラーゼ基質及び還元剤が同一の試薬組成物の成分ではない場合、基質は還元剤の添加前、後、又は同時にルシフェラーゼを含む試料に添加できる。一実施例においては、基質はセレンテラジン又はその誘導体である。例によると、セレンテラジン又はその誘導体は約5μM以上、約10μM以上、約15μM以上、約20μM以上、又は約25μM以上の濃度にしてもよい。好適なセレンテラジン誘導体は当該技術分野の当業者に公知であり、限定されないがm−、v−、e−及びf−セレンテラジンを含んでいる。
【0109】
一般的なルシフェラーゼを利用したレポータアッセイシステムは溶解バッファ及びアッセイバッファ(本明細書に「アッセイ試薬」として一括して引用)という2のバッファを用いている。溶解バッファはアッセイすべきルシフェラーゼを含む細胞を溶解するための成分を一般的に含む一方、アッセイバッファは一般的には、なかでも基質とルシフェラーゼ反応用に要求されたいずれかの補助因子とを含んでいる。
【0110】
本発明の方法により用いるための還元剤は、ルシフェラーゼアッセイバッファの成分にできる。有利なことに、本発明によるアッセイバッファは野生型又は天然状態で分泌されるルシフェラーゼと併用して用いられる場合に、短い発光時間を有効に提供する。代替的に、本発明の方法により用いるための還元剤は、細胞溶解バッファの成分にしてもよい。例によると、方法が細胞によって発現された2又はそれ以上のルシフェラーゼを測定するステップを含む場合に、還元剤を細胞溶解バッファに取り込むことが有利であり、一方のルシフェラーゼが分泌され、他方が細胞内型である。分泌型ルシフェラーゼ活性は標準的には条件培地の試料で測定でき、細胞は次いで還元剤を含む試薬内で溶解され、その後細胞内ルシフェラーゼの活性が測定される。本発明者らは大部分の分泌型ルシフェラーゼが任意の時点で(分泌のための細胞膜への移入前に可能な限り小胞体に)細胞内型にできることを見出した。細胞溶解物が分泌型及び非分泌型ルシフェラーゼの混合物を含むため、このことは真の細胞内ルシフェラーゼの測定を妨げる。還元剤とともに溶解バッファを用いることによって、実質的に測定される総ての発光が真の細胞内ルシフェラーゼからのみ由来することが分かるように、細胞内に配置された分泌型ルシフェラーゼが不活性化される。
【0111】
代替的に、単一のバッファ組成物のみが、細胞が培養される培地内に強く直接的に、細胞を溶解するのを要求するように、還元剤は組み合わせた溶解及びアッセイバッファの成分にでき、ルシフェラーゼ触媒反応を開始できる。分泌型ルシフェラーゼが用いられた場合、ルシフェラーゼを発現する細胞を溶解することが不必要なことは当該技術分野の当業者は分かるであろう。むしろ、アッセイバッファは還元剤を含み、ルシフェラーゼ触媒反応を開始するために細胞が培養される培地に直接的に添加されうる。
【0112】
本発明によって用いるための試薬組成物は一般的には水溶液であり、代替的に凍結乾燥のような固体又は乾燥形態にしてもよい。水溶性あるいは凍結乾燥のどちらでも、本発明の試薬組成物は事前混合された総ての成分を含むか、用いる前に混合すべき成分の組合せとしてかのいずれかで、提供できる。試薬組成物はルシフェラーゼの量及び/又は活性の測定用のアッセイシステムに直接用いることができ、組成物が所望の機能を実行できるように、再構成、溶解、希釈又はそうでなければ化学的又は物理的に処理してもよい。
【0113】
本発明の方法及び本発明によって用いるための試薬組成物は、試料中のいずれかのルシフェラーゼの量及び/又は活性を測定するのに適用可能である。ルシフェラーゼは天然に発生する酵素あるいは変更又は組換え酵素にできる。天然発生のルシフェラーゼは多数の生物発光性の生物のいずれか1つから、一般的にはその発光器官に由来してもよい。このような生物は、限定しないが生物発光性のバクテリア、原生動物、腔腸動物、軟体動物、魚、ハエ、甲殻類、甲虫類が含まれる。従来的には、ルシフェラーゼは酵素によって用いられる基質によってカテゴリ化される。ホタル及びコメツキムシのもののようなルシフェラーゼの1グループはルシフェリンを用いる。ウミシイタケ、ガウシア及びプレウロマンマといった海洋生物のもののようなルシフェラーゼの第2グループは、セレンテラジンを用いる。ウミホタルルシフェラーゼは異なる基質を用いている。本発明の試薬組成物は基質としてルシフェリン又はセレンテラジンのいずれかを用いたルシフェラーゼとの使用に適用可能である
【0114】
方法及び試薬組成物は同様に、細胞内又は分泌型ルシフェラーゼのいずれかと共に適用可能である。ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼは天然状態では細胞内であり、ガウシアルシフェラーゼは野生型状態で分泌される。ウミシイタケルシフェラーゼで得られるものよりも高い生物発光シグナル強度を与えることが示されるため、ガウシアルシフェラーゼは特定の対象であり、わずかにしか知られていないルシフェラーゼである。他の分泌型ルシフェラーゼは例えばメトリディア・ロンガ・ルシフェラーゼのように強いシグナル強度を与えるように更に示されている。一般的には本発明の試薬組成物は少なくとも1の分泌型ルシフェラーゼと併用して用いられる。いくつかの実施例においては、本発明の試薬組成物は少なくとも1の分泌型ルシフェラーゼ及び少なくとも1の非分泌型ルシフェラーゼと併用して用いられている。
【0115】
好適なルシフェラーゼは既知の技術を用いて、当該技術分野の当業者が簡単に得ることができる。ルシフェラーゼは生物発光性の生物の1又はそれ以上の発光器官から直接的に得てもよい。代替的に、ルシフェラーゼをコード化する核酸で変換されたバクテリア、酵母、昆虫細胞又はほ乳類細胞のような培養細胞から、ルシフェラーゼは得てもよい。
【0116】
ルシフェラーゼは天然発生のルシフェラーゼの変異体又は誘導体のような組換え型酵素であってもよい。例によると、酵素がこれ以上分泌されないが、細胞内に残るようにシグナル配列の除去及び/又は細胞内ポリペプチドへの融合による標準的な分子生物学的技術を用いて、天然分泌型ルシフェラーゼは変更できる。代替的に、又はそれに加えて、例えばルシフェラーゼポリペプチド配列中の1又はそれ以上のアミノ酸を変更して、選択の細胞培養システム中の酵素の発現及び/又は溶解性を調節するために、当該技術分野の当業者に公知の多数の他の変更を行うことができる。このような調節は、ルシフェラーゼ及び本発明の試薬組成物が使用される特定の適用の要件に応じて、発現及び/又は溶解性を増大及び/又は低下させるものであってよい。例えば、このタンパク質を不安定化させるために1つ又は複数の不安定化エレメントを導入してルシフェラーゼを変更することが望ましいことがある。不安定化エレメントを含むルシフェラーゼは不安定化エレメントを含まないルシフェラーゼよりも半減期が短くなり、低い定常状態レベルで発現される。好適なタンパク質不安定化エレメントとしては、PEST配列(アミノ酸プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、及びスレオニン(T)含量の高いアミノ酸配列)、細胞内タンパク質分解シグナル又はデグロンをコードする配列、及びユビキチンが含まれる。本発明の実施例で達成される感度の増大は、ルシフェラーゼの定常状態での発現が低下された不安定化ルシフェラーゼとの使用に特に有利である。タンパク質を不安定化する任意の好適な方法が本願に想定される。好適な方法は、例えば同時係属中の米国特許出願第10/658,093号(その開示全体を参照により本明細書に組み込んだものとする)に記載されている。また、ルシフェラーゼの発現を、例えばポリ(A)テール、転写エンハンサ、翻訳エンハンサ等の配列の追加及び/又はコーディングポリヌクレオチド配列中のコドン使用頻度を特定の発現系用に適合させることにより変更してもよい。例えば、昆虫細胞又はヒト細胞中でのルシフェラーゼの発現を最適化するために、ルシフェラーゼポリヌクレオチド中のコドン使用頻度をそれぞれ昆虫又はヒト細胞用に最適化してもよい。別の種用にコドン使用頻度を適合及び最適化する手法は当該技術分野の当業者に公知である。
【0117】
ルシフェラーゼのポリペプチド又はポリヌクレオチドに施すことのできる更なる変更も当該技術分野の当業者に公知である。例えば、ポリヌクレオチドに制限酵素切断部位を導入してもよく、ルシフェラーゼポリペプチドを、選択可能なマーカー等の異なる機能(例えば、抗生物質耐性)の第2のポリペプチドに融合又は共役してもよい。
【0118】
当該技術分野の当業者は、コンピュータモデリング等の公知の技術を用いて、本発明に基づく使用に特に適したルシフェラーゼの予測及び非分泌型にするために分泌型ルシフェラーゼに施し得る変更を容易に予測することができる。例えば、天然の形態では分泌型のルシフェラーゼは一般的に、このタンパク質の成熟活性コンホメーション中でジスルフィド架橋を形成するシステイン残基を含む。システイン残基は、分子内ジスルフィド結合の形成が予測されるようにアミノ酸配列内で間を空けて繰り返して配置されてもよい。このようなルシフェラーゼは一般的に、細胞内で発現された際に低下した活性を示す。したがって、当該技術分野の当業者は、天然で分泌型のルシフェラーゼの特徴の1つ又は複数を共有する相同なルシフェラーゼが本発明に基づく使用に特に適していることを理解するであろう。
【0119】
インビトロのレポータアッセイで分泌型ルシフェラーゼを使用する場合、ルシフェラーゼ活性の測定には一般的に、細胞溶解物よりも細胞培養培地の試料が用いられる。分泌型ルシフェラーゼは、一部の適用(例えば同じ細胞での反復測定)には有利であるが、その他の適用には適していない。特に、分泌型ルシフェラーゼは細胞培養培地中に蓄積できるため、遺伝子発現の急速な変化を正確にモニターすることができない。これらのルシフェラーゼの変異体非分泌型形態(不安定化エレメントを含むことが好ましい)はこの制限を克服する。本明細書に記載されている特定の変更ルシフェラーゼは、14アミノ酸からなるN末端シグナルペプチドが欠失されていることで非分泌型ルシフェラーゼになっている、変更ガウシアルシフェラーゼである。本明細書に記載されている第2の変更ルシフェラーゼは、17アミノ酸からなるN末端シグナルペプチドが欠失されていることで非分泌型ルシフェラーゼになっている、変更メトリディアルシフェラーゼである。その他の分泌型ルシフェラーゼを同様に、当該技術分野の当業者に公知の種々の方法を用いて、特に真核生物の、細胞内で発現するように変更することができる。
【0120】
本発明によると、ルシフェラーゼ活性は当該技術分野の当業者に公知の多くの方法のいずれかひとつで検出及び測定することができ、そのような方法としては、限定されるものではないが、ルミノメータ、シンチレーションカウンター、光電子増倍管光度計のような光度計、フォトエマルジョンフィルムの使用が含まれる。
【0121】
デュアル及びマルチルシフェラーゼレポータアッセイ
【0122】
提供時にとりわけ、現在利用可能なシステムを用いて得られうるよりも高感度の生成(強いフラッシュ段階及び低いバックグラウンドシグナル)及び分泌型ルシフェラーゼの場合における迅速な発光シグナル減衰率のために、本発明の方法及び組成物はデュアル及びマルチルシフェラーゼレポータアッセイの特定のアプリケーションに見出される。ガウシアルシフェラーゼのような分泌型ルシフェラーゼは、標準的な非分泌型の細胞内ルシフェラーゼよりも高い生物発光シグナル強度を提供している。しかしながら、ガウシアルシフェラーゼ又は実際のその他の分泌型ルシフェラーゼを用いたデュアル及びマルチルシフェラーゼアッセイはこれまで述べられていない。
【0123】
数百万の化合物のライブラリをスクリーニングするステップを含みうる高スループット型の薬物スクリーニングのような、多くのアプリケーションにおいて、デュアルルシフェラーゼアッセイは、別個に2つの実験を行うのと比較して、コスト及び時間のかなりの節約を提供できる。他方、用いられた株化細胞が複数のルシフェラーゼを発現する場合でさえも、ユーザが選択して単一のルシフェラーゼアッセイを行うことができるようなデュアルルシフェラーゼアッセイを実行するよりも、単一のレポータアッセイが一定に廉価及び又は簡単になる。実際に、高スループット型の薬物スクリーニングのような反復処理においては、例えば、候補の化合物の選抜候補リストを選択するために、試験プロモータの大きな初期スクリーニングにおいて、初期に単一のルシフェラーゼアッセイを行うことが所望されうる。この後、対照レポータを含むデュアルルシフェラーゼアッセイが続き、わずかな試料で実行される。従って、試験レポータのみ又は試験レポータ及び対照レポータの双方を測定する間にユーザが選択するのを可能にするデュアルルシフェラーゼアッセイシステムを有することが好ましい。
【0124】
本発明のある実施例においては、本発明によるデュアル及びマルチルシフェラーゼアッセイのルシフェラーゼ(第1のルシフェラーゼ)の少なくとも1つは、その「野生型の状態」(以降、「天然形態」とする)において、細胞質ではないルシフェラーゼである。この文脈における天然形態は、ルシフェラーゼが由来する変更されない生物に生じる。言い換えると、「天然形態」という用語は、成熟した野生型ルシフェラーゼが天然で触媒反応を起こす標準部位又は配置を参照する。このタイプの好適なルシフェラーゼは、還元されない又は細胞質よりも少なくともわずかに還元される(多く酸化される)環境又は微少環境において一般的には動作する(発光反応を起こす)。小胞体内の細胞内区画は1のこのような微少環境である。ルシフェラーゼの1又はそれ以上の触媒領域が細胞膜の細胞内側に配置できる限りにおいては、別の実施例は細胞膜である。
【0125】
一般的に、活動的な天然形態におけるルシフェラーゼは細胞内にあるが、より一般的にはそれは分泌される。分泌され、あるいは標準的に触媒活性を起こす環境がほ乳類細胞のような真核細胞の細胞質と比較して還元する環境でない場合、ルシフェラーゼは細胞内又は生物内の他の環境に分泌できる。より一般的には、天然形態におけるルシフェラーゼは外部環境に分泌される。更により一般的には、ルシフェラーゼを水環境に分泌する水生生物からルシフェラーゼが由来される。最も一般的には、ルシフェラーゼを海水に分泌する海洋生物からルシフェラーゼが由来される。このようなルシフェラーゼは一般的には基質としてセレンテラジンを用いている。第1のルシフェラーゼの上述した特徴は天然形態にある場合にそのルシフェラーゼに適用する。好適には、ルシフェラーゼはこのような特徴の1又はそれ以上を除去するように変更されうる。このようなルシフェラーゼは本明細書に記載のように、当該技術分野で公知である。
【0126】
第2のルシフェラーゼは一般的には、天然形態においては還元され、又は第1のルシフェラーゼよりも少なくとも更に還元される(少なく酸化される)環境又は微少環境において標準的に動作する(発光反応を起こす)ルシフェラーゼである。一般的に、天然形態におけるルシフェラーゼは細胞質である。好適なルシフェラーゼは当該技術分野の当業者に公知である。ルシフェラーゼは水生生物又は陸生生物から由来されうる。ルシフェラーゼは第1のルシフェラーゼと同一の基質又は異なる基質を用いてもよい。ルシフェラーゼは第1のルシフェラーゼと同一波長で又は異なる波長で発光してもよい。
【0127】
本発明の実施例によると、上に規定されるように第1のルシフェラーゼを第2のルシフェラーゼから識別できる例示的な特徴は以下の通りである。
(a)第1のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境の酸化還元ポテンシャルが第2のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境の酸化還元ポテンシャルよりも一般的により還元的でありほとんど酸化的ではなく、及び/又は
(b)第1のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境が一般的に細胞外である一方、第2のルシフェラーゼが標準的に触媒活性を起こす天然の微少環境が細胞内であり、及び/又は、
(c)天然形態においては、第1のルシフェラーゼが分泌される一方、第2のルシフェラーゼが分泌されず、及び/又は、
(d)第1のルシフェラーゼでの還元剤及び還元される酸化還元環境の効果が、第2のルシフェラーゼに関するよりも少なくとも大きな度合いで不活性化し、及び/又は、
(e)第1のルシフェラーゼの活性化が分子内のジスルフィドブリッジの構成体に依存する一方、第1のルシフェラーゼの活性化は依存せず、及び/又は、
(f)第1のルシフェラーゼが第2次/第3次構造の構成体について重要なシステイン残基を含み、及び/又は、
(g)適宜フォールディングされた第1のルシフェラーゼの予測される構造がシステイン残基間の複数のジスルフィドブリッジを含む一方、第2のルシフェラーゼの予測される構造は含まない又は触媒領域の領域内には少なくとも含まれない。
【0128】
いくつかの実施例においては、3、4,5又はそれ以上の異なるルシフェラーゼが単一試料で測定されるように更なるルシフェラーゼは用いられる。一般的にこれらの実施例においては、少なくとも3及び以降のルシフェラーゼは第2のルシフェラーゼについて記載されたタイプ、すなわち、還元環境に耐性のあるものとなる。複数のルシフェラーゼは異なる波長で発光でき、及び/又は、異なる生物から由来してもよい。単なる例によると、3重のルシフェラーゼアッセイにおいて、第2のルシフェラーゼは鞘翅目由来にし、第3のルシフェラーゼは双翅目由来にしてもよい。
【0129】
本発明によって考慮されるマルチルシフェラーゼアッセイの例が以下に示されている。
【0130】
(i)2の異なる基質と1又は2の異なるアッセイバッファとを用いた2重のルシフェラーゼアッセイ
【0131】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用いる分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシアルシフェラーゼ)であり、第2のルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用いる陸生ルシフェラーゼ(例えば、ホタル、コメツキムシ、又は双翅目ルシフェラーゼ)である。双方のルシフェラーゼを含む試料には、本発明によって記載及び例示されるような、還元剤を有するセレンテラジン含有のアッセイバッファを最初に添加する。発光はすぐに測定され、その後試料は5分間以上静置又は保存した状態にし、ガウシアシグナルが好ましくは零近くに減衰するのを可能にする。ルシフェリン含有のアッセイバッファ(Mg、CoA及びATPを更に含んでもよい)が添加され、発光が再度測定される。第1の読み取り値はガウシアルシフェラーゼ活性の測定値であり、第2の読み取り値はホタル又はコメツキムシ活性の測定値である。
【0132】
上によると、本発明は試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法を提供し、この方法が、
(a)第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、試料を接触させるステップと;
(b)第1のルシフェラーゼが還元剤によって不活性化される前に発光シグナルを測定するステップと;
(c)第1のルシフェラーゼが不活性化された後に発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0133】
更に考慮されるのは、試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であり、この方法は、
(a)第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、試料を接触させるステップと;
(b)第1のルシフェラーゼが不活性化される前に発光シグナルを測定するステップと;
(c)第2のルシフェラーゼ用の反応基質と試料を接触させるステップと;
(d)第1のルシフェラーゼが不活性化された後に発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含んでいる。
【0134】
(ii)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた3重のルシフェラーゼアッセイ
【0135】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは基質としてセレンテラジンを用い、青く発光する分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシアルシフェラーゼ)であり、第2及び第3のルシフェラーゼは基質としてルシフェリンを用い、それぞれ緑色に及び赤く発光する陸生ルシフェラーゼであり、例えば赤及び緑のPhrixothrixルシフェラーゼ及び/又は東洋ビーネット株式会社(日本)から入手可能なものである。双方のルシフェラーゼを含む試料には、本発明によって記載及び例示されるような、還元剤を有するセレンテラジン含有のアッセイバッファを最初に添加する。発光はすぐに測定され(フィルタは要求されない)、その後試料は5分間以上静置又は保存した状態にし、ガウシアシグナルが好ましくは零近くに減衰するのを可能にする。ルシフェリン含有のアッセイバッファ(Mg、CoA及びATPを更に含んでもよい)が添加され、発光はフィルタを用いて赤及び緑のシグナルを識別して再度測定される。赤及び緑の発光の同時測定が一部のルミノメータで可能である一方で、他に連続測定が要求される。
【0136】
(iii)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた4重のルシフェラーゼアッセイ
【0137】
本発明のある実施例においては、上の(ii)に記載のマルチルシフェラーゼアッセイは、基質としてルシフェリンを用い、橙色に発光する、例えば東洋ビーネット株式会社から入手可能なRolルシフェラーゼを第4のルシフェラーゼとして更に含むことができる。第2の測定中に、例えばマルチカラールック(登録商標)アッセイシステム(東洋ビーネット株式会社)に記載されるような、適したフィルタが緑色、橙色及び赤色のシグナルを分離するのに用いられる。
【0138】
(iv)2の異なる基質と2の異なるアッセイバッファとを用いた5重のルシフェラーゼアッセイ
【0139】
本発明のある実施例においては、上の(iii)に記載のようなマルチルシフェラーゼアッセイは更に、青色に発光し、天然形態で細胞質ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを、第5のルシフェラーゼとして含んでいる。最も多くのこのようなルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用い、例えばウミシイタケルシフェラーゼのような海洋起源である。第1の測定の間に、ガウシア及びウミシイタケの双方が発光し、この測定値はガウシア及びウミシイタケシグナルの結合した合計となる。第2のアッセイ試薬の添加後すぐに、更なる測定値が生成される。この時に、シグナル全体がウミシイタケルシフェラーゼからのものになるように、ガウシアシグナルが減衰される。ガウシア及びウミシイタケシグナルはその後計算される(例えば、本明細書の実施例7に記載されるように)。第2のアッセイバッファ(ルシフェリンと選択的にMg、CoA及びATPを含む)はその後添加され、発光がフィルタを用いて緑色、橙色及び赤色のシグナルを識別し、残りの青色シグナルから分離して再度測定される。代替的に、第2のアッセイバッファは残りの青色シグナルを終結するためにウミシイタケルシフェラーゼ用の消光剤を含んでもよい。
【0140】
代替的に、ウミシイタケのみのシグナルが適切なフィルタを用いて他の呈色から青色の発光を分離する第2のアッセイバッファの添加後に測定してもよい。この場合においては、青色のフィルタが第1の測定時に用いられうる。
【0141】
(V)単一のアッセイバッファに組み合わされた2の異なる基質を用いたマルチルシフェラーゼアッセイ
【0142】
本発明のある実施例によると、2のアッセイバッファがセレンテラジン、ルシフェリン、還元剤、Mg及び選択的にATPとCoAとを含む単一バッファに結合されるのを除いて、上の(i)乃至(iv)に記載のように実行されうる。4のフィルタが用いられて、青色、緑色、橙色及び赤色のシグナルを分離する。青色のシグナルが最初に測定され(青色フィルタを用いて他の波長を排除)、ガウシアシグナルからのクロストークを最小限にするために好ましくは5分又はそれ以上の減衰が他の呈色の測定前に含まれ、初期段階のみで非常に強い。
【0143】
(vi)1の分泌型と1の非分泌型ルシフェラーゼを有する2重のルシフェラーゼアッセイ
【0144】
一実施例においては、第1のルシフェラーゼは分泌型形態の分泌型の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ガウシア)であり、第2のルシフェラーゼは細胞内の海洋ルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ)である。双方のルシフェラーゼを発現する細胞が培養され、条件培地の試料は分泌型(ガウシア)ルシフェラーゼの測定用に除去される。細胞は還元剤を含む試薬内で溶解され、後に細胞内(ウミシイタケ)ルシフェラーゼについて測定される。標準試薬があれば、細胞溶解物からの発光は、ウミシイタケルシフェラーゼ、及び、生成されたがまだ分泌されていないガウシアルシフェラーゼのサブセットの双方から由来する識別不能な組合せの発光を含んでいる。溶解バッファ中に還元剤を含むことによって、発光がウミシイタケルシフェラーゼレベルの測定値となるようにガウシアルシフェラーゼが不活性化される。
【0145】
本発明により更に考慮されるのは、試料中の2又はそれ以上の異なるルシフェラーゼの量又は活性を測定するための更なる方法である。一実施例においては、その方法は、少なくとも2のルシフェラーゼ用の反応基質を含む試薬組成物で試料を接触させるステップと、2又はそれ以上の異なる時点での発光量を測定するステップと、相互に比較した又は他の試料と比較した、各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために収集されたデータを用いるステップとを含み、計算は時間依存的な方法で少なくとも1のルシフェラーゼを不活性にする還元剤の存在下で発光の動態に対する2のルシフェラーゼ間の差異に依存する。その方法は更に、ルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの発光の波長の差異を用いて、少なくとも2の異なるルシフェラーゼのシグナルを識別するステップを含んでいてもよい。
【0146】
本発明の方法はルシフェラーゼ反応において改善された生物発光の動態を提供し、天然形態においては分泌しているルシフェラーゼを時間依存的な方法で還元剤が不活性化するという予想外の知見により従来技術以上の利点を提供する。還元剤は本発明においてはルシフェラーゼアッセイで、本発明による調製するアッセイ試薬及び試験キットで、及び本発明によるアッセイ及びキット用の基準及び対照で用いられうる。本発明はルシフェラーゼ活性のアッセイを実行するためのキットを提供し、このようなキットは本明細書に記載のような本発明により用いるための還元剤を含んでいる。本発明のキットは、ルシフェラーゼアッセイの使用を促進するために便利な形態で一般的にパッケージされた1又はそれ以上の物理的な容器に、ルシフェラーゼアッセイを実行するのに好適な量の試薬組成物又はその成分を含んでいる。ルシフェラーゼ基質及び還元剤は、同一又は異なる容器内にあってもよく、同一又は異なる試薬組成物内にあってもよい。一般的に、ルシフェラーゼ基質は有効時間を延長するためにアッセイ試薬(マイナスの基質)と別個の容器において提供されるが、使用前にアッセイ試薬と混合されることを意図する。複数の試薬組成物又は試薬組成物の様々な成分は例えば、水溶液又は凍結乾燥で、単一の容器で、又は複数の容器で結合される。本発明のキットは、本発明により行われるアッセイの信頼度及び正確度を保証するために対照及び基準を更に含む。好適な対照及び基準は当該技術分野の当業者に公知である。
【0147】
いくつかの実施例においては、本発明によって用いるべき試薬組成物は使用の万能性を改善するためのキット内の別個の成分として本発明は提供される。例えば別個の成分として還元剤を提供することによって、ユーザは以下のものを選択できる。
a)上のvi)によって用いるために還元剤を溶解バッファに添加するステップで、更なる有用性の例として、ユーザは他のルシフェラーゼと組み合わせて、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現する安定した株化細胞とともに作業するユーザは、ガウシアルシフェラーゼを測定するか、ガウシアルシフェラーゼを測定しないかを選択でき、後者の場合、ユーザは還元剤と共に溶解バッファを用いて、他のルシフェラーゼを測定する前にガウシアルシフェラーゼを不活性化できるステップ
b)上のi)によって用いるために還元剤をアッセイバッファに添加するステップ
c)還元剤なしで試料にアッセイバッファをまず添加し、発光を測定し、次いで還元剤を添加して少なくとも1のルシフェラーゼを不活性化するステップ
d)還元剤なしで試料にアッセイバッファをまず添加し、グロー段階が得られるまで待機し、還元剤又は還元剤を含むアッセイバッファを添加し、ルシフェラーゼが不活性化される前に発光を測定するステップ
【0148】
本明細書中における、任意の先行刊行物(又はそれに由来する情報)への参照、又は任意の公知事項への参照は、その先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は公知事項が本明細書が関する努力傾注分野の一般的共通知識の一部を形成することを承認又は自認、又は何らかの形で示唆するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0149】
ここで本発明を以下に具体例を用いて説明するが、これらは本発明の範囲を何らかの形で限定するものとして解釈されるべきではない。
【0150】
[実施例]
パートI:天然状態において分泌されたルシフェラーゼからの発光の動態を短縮させる還元剤
【実施例1】
【0151】
非分泌型及び非安定化ガウシアルシフェラーゼを安定して発現するHeLa細胞は、96−ウェルプレートの上に蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。非分泌型ルシフェラーゼは14のアミノ酸のN末端シグナルペプチドが削除された、変更されたガウシアルシフェラーゼである。不安定化ルシフェラーゼは短縮された半減期を有するような不安定エレメントを含む酵素であり、不安定なエレメントの不存在下よりも低い安定状態レベルで発現される。
【0152】
一晩のインキュベーション後、培地が除去され、細胞は、pH8.1の25mMのTrisと、150mMのNaBrと、1mMのEDTAと、63.4uMのシュウ酸ナトリウムと、0.1%のNP40基質と、5%のグリセロール(GSv3)を含む20ulの溶解バッファで溶解された。ルシフェラーゼ活性はpH8.1の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、26uMのCz(STD)を含む60ulのアッセイバッファ、又は同一のアッセイバッファで還元剤を含むものを注入後の動態アッセイで測定された。様々な濃度の3の還元剤が用いられた:DTT(4mM、10mM、20mM又は50mM);β−メルカプトエタノール(10mM、20mM、50mM又は100mM);及びTCEP(500uM又は5mM)。2の別個の実験の結果は図1Aと1Bに示される。還元剤の各々が、還元剤の不存在下で観られたよりも期間にわたって(試験された総ての濃度で)発光シグナルのより迅速な減衰を生じた。効果はより高濃度の任意の還元剤で最も強かった。用いられたルシフェラーゼ基質の濃度は、セレンテラジンを用いるルシフェラーゼ用に通常に用いたよりも有意に高かった(ほぼ5μM)。発明者はこの高濃度がガウシアルシフェラーゼによって生成された生物発光について有益な効果を生成したのを測定した。
【実施例2】
【0153】
同様の実験が、実施例1に記載されたように実施されたが、アッセイバッファ中に広範な範囲の濃度のDTTを用いた(50mM乃至500mM)。2の別個の実験からの結果は図2に示され、短い時間経過(図2A)及びより長い時間経過(図2B)を示している。実施例1で記載された実験で観られたように、発光シグナルの減衰率はDTTの濃度と直接的に関連していた。この効果は最大の500mMの濃度まで見られる(図2A)。より長い時間経過(図2B)においては、シグナルは総ての濃度で開始10分以内にほぼバックグラウンドレベル(−100RLU)に落ちた。このことは1,000乃至10,000倍の発光強度の減少を表わしている。重要なことには、DTTがガウシアルシフェラーゼからの発光時間を短縮する観察は、細胞内ルシフェラーゼについて報告されたものに反し、ホタル及び他の鞘翅目ルシフェラーゼと、ウミシイタケルシフェラーゼとを含んでいる。
【実施例3】
【0154】
発光期間に対するDTTの効果が更に野生型の分泌型ガウシアルシフェラーゼについて調査されたことを除いては、同様の実験が、実施例1に記載されたように実施された。野生型ガウシアルシフェラーゼタンパク質をコード化するレポータプラスミドと共に、HeLa細胞を一時的に形質移入し、24時間後の条件培地を収集することによって、このことは得られた。アッセイバッファ(50mMのDTTを有するか、DTTを有さないかのいずれか)は、20ulの条件培地を含むウェルに注入された。結果は、時間0と比較した残りのシグナルのパーセンテージとして表わした(図3参照)。データはDTTがアッセイバッファに含まれる場合にガウシアルシフェラーゼの双方の形態(天然の分泌型及び変更された非分泌型)が発光の非常に迅速な減衰を与えることを保証する。
【実施例4】
【0155】
HeLa細胞が細胞内ウミシイタケルシフェラーゼを一時的に発現したことを除いては、実施例1に記載されたものと同様の実験が実施された。動態アッセイはアッセイバッファ(50mMのDTTを有するか、DTTを有さないか)の、20ulの溶解物を含むウェルへの注入後、実施された。図4に示すように、ガウシアルシフェラーゼからの発光の動態に対するDTTの効果と逆に直接的に、DTTは実際にウミシイタケルシフェラーゼからの発光を延長する。
【実施例5】
【0156】
HeLa細胞が、天然の分泌型形態又は変更された非分泌型形態のいずれかで、ガウシア又はメトリディアルシフェラーゼのいずれかをコード化する発現プラスミドと共に一時的に形質移入された。分泌型メトリディアルシフェラーゼはClontech社から取得し、非分泌型メトリディアルシフェラーゼは非分泌型ガウシアルシフェラーゼと似た方法で生成された。コード化領域は、ATG(分泌型シグナル)後の最初の16のアミノ酸及び停止コドンを消去するプライマを用いるPCRによって取得された。PCR生成物はpRR23.1プラスミド(GeneStream社、オーストラリア)で連結され、非分泌型だが不安定化したメトリディアルシフェラーゼを生成した。
【0157】
形質移入後1日で、条件培地は分泌型ルシフェラーゼについて除去され、非分泌型ルシフェラーゼが実施例1に記載のように溶解された。条件培地又は溶解物の一定分量(20ul)は、pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンと、指示された濃度のDTTとを含むアッセイバッファの手動注入後に、動態アッセイのルシフェラーゼ活性についてアッセイされた。
【0158】
図5A乃至5Dは、非分泌型及び分泌型メトリディアルシフェラーゼと非分泌型及び分泌型ガウシアルシフェラーゼとが、同一の方法でDTTがアッセイバッファに含まれる場合に、発光の非常に迅速な減衰とともに応答することを示している。更には、図5A乃至5Dに示されたように、総ての4のルシフェラーゼからの発光時間を短縮する際に、DTTの濃度依存性の効果がある。
【実施例6】
【0159】
実験は、用いられた還元剤が、ジチオエリトリトール(DTE)(図6A及び6D)、亜硫酸ナトリウム(図6B)、システアミン(図6C及び6E)、TCEP(図6F)、及びβ−メルカプトエタノール(図6G)であったことを除いては、非分泌型ガウシア及びメトリディアルシフェラーゼについて実施例5に記載のように行われた。データ(図6A乃至6G)はDTTと同様、他の還元剤もガウシア及びメトリディアルシフェラーゼからの発光の迅速な減衰を提供することを示している。
【実施例7】
【0160】
非分泌型ガウシアルシフェラーゼを含む細胞溶解物は実施例1に記載のように調製された。pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンとを含む60ulのアッセイバッファは、20ulの一定分量の溶解物に添加され、反応がグロー段階に入るように、40分間室温でインキュベートしたままにした。40分後(時間0から)、更なる60ulのアッセイバッファが添加された。このアッセイバッファは、指示された濃度のDTTを含み、セレンテラジンを含まないことを除いては初期のアッセイバッファと同一であった。発光は第2のアッセイバッファの注入に続く期間内に測定され、時間0での発光単位のパーセンテージとして表わされた(図7)。
【0161】
データはDTTが前の開始反応のグロー段階中に添加された場合に、同一に所望される迅速な発光の減衰は、還元剤が反応の開始点で添加された場合と同様に観察された。これは非分泌型ガウシアルシフェラーゼ活性がグロー反応のような標準反応で測定でき、その後実質的に還元剤の添加によって終結できることを説明している。代替的に、ルシフェラーゼ活性は還元剤の添加直後に、すなわち、フラッシュ反応の使用と等しい方法で測定できる。還元剤の注入後の最初の数秒の間に発光の顕著な減衰の不足は、このようなプロトコルがシグナル強度のいかなる減少も生じさせないことを説明している。
【0162】
パートII:還元剤が異なる基質を有する異なるルシフェラーゼを用いてマルチレポータアッセイを導くために用いられうる
【実施例8】
【0163】
非分泌型及び不安定化したガウシアルシフェラーゼと、不安定化したホタルルシフェラーゼとの双方を安定に発現するHeLa細胞は、96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。培地は除去され、細胞は実施例1に記載の20ulの溶解バッファで溶解された。発光は以下の時間:アッセイバッファの添加直後(LB=基質の不存在下でのバックグラウンドシグナル);pH8.1の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、26uMのCzと、50mMのDTTとを含むガウシアアッセイバッファ(Ga)の添加直後;Gaアッセイバッファの添加15分後;pH7.35の25mMのTrisと、6mMのMgSO4と、36mMのDTTと、0.11mMのEDTAと、0.58mMのATPと、0.3mMのCoAと、0.52mMのルシフェリンと、1mg/mlのBSAとを含む60ulのホタルアッセイバッファ(FF)の添加1秒後;に、ルミノメータ内で1秒間測定された。図8に示された結果は、フラッシュ反応で測定されうるが、介入又は消光試薬の添加の必要なく、ほぼ15分以内にバックグラウンドレベルまで減衰した強いガウシアルシフェラーゼの生物発光シグナルを例示している。ホタル試薬の後の添加によって、ホタルのシグナルの測定を可能にし、このようにして、デュアルルシフェラーゼアッセイを完了する。
【実施例9】
【0164】
293T細胞は複数のタンデムCRE(CRE−FF)の制御下での不安定化したホタルルシフェラーゼ、又は、複数のタンデムNFkB結合部位(NFkB−Ga)によって駆動された、不安定化した細胞内ガウシアルシフェラーゼを含むプラスミドの一方又は双方と共に一時的に形質移入された。形質移入された細胞は96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。4通りのウェルが10uM(最終濃度)のフォルスコリン、又は10ng/mlのTNF−α(TNF)で処理され、残りは処理されなかった(対照)。4時間後、培地は除去され、各ルシフェラーゼからの発光が実施例8に記載のプロトコルを用いて測定された。
【0165】
図9Aはガウシアアッセイバッファの添加後の発光シグナルを示し(実施例5参照)、図9Bはホタルアッセイバッファの添加後のシグナルを示している。結果から、ホタルルシフェラーゼがガウシアアッセイバッファの発光シグナルを本質的に与えないこと(図9A参照)とガウシアルシフェラーゼがホタルアッセイバッファのシグナルを本質的に与えないこと(図9B参照)が明白である。従って、デュアルルシフェラーゼ法は2の信号を分離する点で非常に有効である。
【0166】
NFkBエレメントはTNFに強く応答するがフォルスコリンには応答しないことが知られ、CREはフォルスコリンに強く応答するがTNFに応答しない。従って予測されるように、NFkB−Ga(のみ)がTNFによって強く誘発されるがフォルスコリンではされず(図9A)、CRE−FF(のみ)がフォルスコリンによって強く誘発されるがTNFではされない(図9B)。重要なことには、同様の結果が双方の構成を互いに形質移入した細胞で見られ、デュアルルシフェラーゼアッセイの成果と有効性を説明している。
【0167】
パートIII:還元剤が同一基質とともに異なるルシフェラーゼを用いたマルチレポータアッセイを導くのに用いられうる。
【実施例10】
【0168】
HeLa細胞のフラスコが非分泌型ガウシアルシフェラーゼ又は標準的な細胞内ウミシイタケルシフェラーゼのいずれかをコード化する発現プラスミドで一時的に形質移入された。24時間後、別個の株細胞溶解物は各フラスコから、更には、実施例1に記載の溶解バッファを用いた形質移入されないHeLa細胞の対照フラスコから調製された。溶解物は10ulのガウシアルシフェラーゼと10ulの形質移入されないもの(Ga)、10ulのウミシイタケルシフェラーゼと10ulの形質移入されないもの(Rn)、又は10ulのガウシアルシフェラーゼと10ulのウミシイタケルシフェラーゼ(Ga&Rn)のいずれかの4通りで96−ウェルプレートに負荷された。ルシフェラーゼ活性は実施例8で記載のアッセイバッファの添加直後に測定され、その後1200秒後に再度測定された。
【0169】
図10Aは相対発光単位(RLU)として示された生データを示す。予期されるように、ガウシアの発光シグナルは初期では非常に強く、第2の読み取り前にバックグラウンドレベルまで減衰する一方、生成されたウミシイタケルシフェラーゼは2つの読み取り値間で更に低く減衰したより低い初期シグナルを示した。混合溶解物(Ga&Rn)は中間レベルの減衰を示した。
【0170】
ガウシアルシフェラーゼはもはや第2の読み取りでは検出可能な相対発光単位(RLU)に寄与しないため、この読み取り値はウミシイタケルシフェラーゼの正確な測定値であり、試料間のウミシイタケルシフェラーゼのレベルを比較するのに用いられうる。初期の読み取り値はガウシア及びウミシイタケルシフェラーゼの双方からのシグナルの組合せである。しかしながら、ガウシアルシフェラーゼによって生成されたシグナルは時間0で結合され測定されたシグナルから初期のウミシイタケルシフェラーゼシグナルを減算することによって測定できる。初期のウミシイタケルシフェラーゼシグナルを測定するために、ウミシイタケのみの(Rn)溶解物がウミシイタケルシフェラーゼからの発光の減衰率を計算する基準として用いられた。特に、減衰定数「k」がk=(初期のRnシグナル)/(1200秒でのRnシグナル)で計算された。初期のRnシグナルは更に(1200秒でのRnシグナル)×kとして計算され、初期のガウシアルシフェラーゼシグナルは初期の結合された(Ga&Rn)シグナルからその値を減算することによって計算された。
【0171】
図10Bは結合された試料のガウシアルシフェラーゼのこれらの計算された値(計算値)と、同一量のガウシアルシフェラーゼを含むが、いかなるウミシイタケルシフェラーゼも含まない(予測値:すなわち図10Aの(Ga))を含まない試料中で測定されたガウシアルシフェラーゼ活性の実測値とを比較している。基質の型又は発光の波長の点でのルシフェラーゼ間の差がない場合でさえも、測定(予測)値と計算値との間の差は非常に小さく、実質的に有意ではなく、単一アッセイバッファを含むデュアルルシフェラーゼアッセイを行うことが可能であることを説明している。異なる発光波長を有する消光試薬又はルシフェラーゼの使用に頼る前述した他のデュアルルシフェラーゼアッセイと異なり、方明細書に記載の方法は発光の動態の点でのルシフェラーゼ間の差異を用いている。発明者らの知見によると、異なるルシフェラーゼシグナルを識別するための発光の一時的な差の使用は、過去に報告されていない。2のシグナルの分離はDTTのような還元剤を含むことによって、この実施例においては非常に増大した。このことは、DTTがウミシイタケ及びホタルルシフェラーゼのような細胞内ルシフェラーゼからのシグナルを安定化する一方、ガウシアルシフェラーゼのような野生型状態で通常分泌されるルシフェラーゼからの発光時間を劇的に短縮するという驚くべき知見に基づいて可能となる。
【実施例11】
【0172】
本発明者らは1の分泌型及び1の細胞内ルシフェラーゼの使用に基づくデュアルルシフェラーゼアッセイの可能性を熟考した。双方のルシフェラーゼを発現する細胞は条件培地(分泌型ルシフェラーゼを含む)及び細胞溶解物(細胞内ルシフェラーゼを含む)の双方の発生源として用いることができる。この方法においては、2のルシフェラーゼは基質の特性の差異ではなくその位置によって分離される。しかしながら、このようなアッセイは溶解物が検出可能な分泌型ルシフェラーゼを含まないことを要求し、これは分泌型ルシフェラーゼが細胞内に生成され、分泌前に小胞体(ER)を通って移動しなければならないことを考慮しないと思われた。実際に、予備実験は分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現する細胞は培養培地の除去及び反復する細胞の洗浄後でさえ、大量のルシフェラーゼを含んでいることを示した。明らかに、生じた溶解物シグナルの少なくとも一部分は、ERを横切らず分泌されていない直近に翻訳されたルシフェラーゼ分子に由来している。潜在的にこのシグナルの一部は、ER内部に固着されるか分泌されるが、細胞膜の細胞外側に結合した古い方のルシフェラーゼ分子に由来する。この干渉するルシフェラーゼシグナルの発生源に拘わらず、本発明者らは溶解バッファ中に還元剤を含むことにより除去されると判断した。
【0173】
この仮説を試験するために、HeLa細胞は単独又は組合せのいずれかで、TRE−Rn及びCMV−Ga(野生型、分泌型)のプラスミドと共に形質移入された。後者は分泌型ガウシアルシフェラーゼの構成的な発現を提供する一方、前者は細胞内ウミシイタケルシフェラーゼのドキシサイクリン抑制可能な発現を提供している。細胞は一晩インキュベートされ、培地は除去され、2ug/mlのドキシサイクリンを有するか有しないかのいずれかの新しい一定分量の培地の添加前に一度すすいだ。2、6及び24時間後、条件培地の試料が取られた。細胞は、50mMのDTTを有する又は有しない、pH8.1の25mMのTrisと、150mMのNaBrと、1mMのEDTAと、63.4uMのシュウ酸ナトリウムと、0.1%のNP40基質と、5%のグリセロールとを含む溶解バッファを用いて溶解される前に、新しい培地ですすがれた。20ulの一定分量の条件培地及び細胞溶解物は、pH7.75の25mMのTrisと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸と、26uMのセレンテラジンとを含む60ulのアッセイバッファの添加に続いて、ルシフェラーゼ活性についてアッセイされた。
【0174】
図11A及び11Bは2時間の時点でのドキシサイクリンなしの試料からのデータを示している。標準的な溶解バッファ(図11A)を用いて、強いシグナルが分泌型ガウシア(Ga)ルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物で検出された。実際に、このシグナルは非分泌型ウミシイタケ(Rn)ルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物内よりもより高い。明らかに、分泌型ガウシアルシフェラーゼは条件培地に制限されない。対照的に、DTTが溶解バッファに含まれる場合(図11B)、ガウシアルシフェラーゼのみを発現する細胞の溶解物に検出されるシグナルはなかった。従って、このプロトコルがあれば、非分泌型ウミシイタケルシフェラーゼを分泌型ガウシアルシフェラーゼから識別することが可能であり、ウミシイタケを有する溶解物のみのシグナル及びガウシアを有する培地のみのシグナルによって証明される。
【0175】
このシステムの機能性及び有用性を更に説明するために、総ての時点でのデータがドキシサイクリン(−)に対するドキシサイクリン(+)として表された(図11C及び11D)。ウミシイタケルシフェラーゼが期間にわたって減少するようなTREプロモータにリンクされることに留意すべきである。このように、分泌型ガウシア(Ga)ルシフェラーゼと非分泌型ウミシイタケ(Rn)ルシフェラーゼとの間を正確に識別するシステムは、細胞溶解物の値で減衰を示すべきであり、条件培地の値ですべきではない。この効果は実際に図11Dで明らかであり、DTTを有する溶解バッファを用いて得られたデータを表わしている。対照的に、DTTなしで溶解バッファを用いて(図11C)、2のルシフェラーゼのシグナルを分離することは明らかに不可能である。
【0176】
パートIV:還元剤は低いバックグラウンドシグナルを提供する
【実施例12】
【0177】
形質移入されないHeLa細胞及び非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が以下のようにルシフェラーゼアッセイに供される。細胞は等しく一定分量で、96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。培地が除去され、細胞は実施例1に記載の20ulの溶解バッファで溶解した。40分後、発光はpH8.1の25mMのTrisと、23.6uMのセレンテラジンと、1mMのEDTAと、2mMのアスコルビン酸塩と、指定された濃度のDTTとを含んだ60ulのアッセイバッファの注入直前及び直後にWallac Victor 3 ルミノメータ(Perkin Elmer社)を用いて測定された(図8参照)。
【0178】
図12Aは注入後の相対発光単位(RLU)として表わされた生データを示す。ルシフェラーゼが細胞溶解物内にないため、これらのデータはアッセイのバックグラウンドシグナルを表わす。図12Bは事前読取り値(アッセイバッファの添加前の測定値)の減算後のデータを示す。従って、これらのデータはアッセイバッファによって生成されたバックグラウンドシグナルを表わしている。これらのデータはアッセイバッファにおけるDTTの含有がバックグラウンドシグナル全体の50%以上の低減(図12A)及びアッセイバッファによって生成されたバックグラウンドシグナルの80%以上の低減(図12B)を提供することを示している。
【0179】
図12Cは非分泌型ガウシアルシフェラーゼを含むHeLa細胞溶解物を用いた、フラッシュ反応で生成された真のルシフェラーゼシグナルを低減しないことを示している。従って、アッセイバッファにおける50mMのDTTの含有がバックグラウンドシグナルを低減し(図12A及び12B)、発光の動態を顕著に短縮する(他の実施例参照)が、ガウシアルシフェラーゼからの真の新しいシグナルの強度を損なわない。
【0180】
パートV:還元剤がアッセイバッファ活性における減衰を防止又は制限する
【実施例13】
【0181】
ガウシアルシフェラーゼの株細胞溶解物が実施例1で記載の溶解バッファを用いて、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを安定に発現するフラスコのHeLa細胞を溶解することによって調製された。20ulの溶解物は96−ウェルプレートの各ウェルに負荷されて、発光は実施例1に記載のような標準的なアッセイバッファ(STD)か、図13に示したような量及びタイプの還元剤を更に含む同一のアッセイバッファかのいずれかの注入に続くフラッシュ反応で測定された。4通りの試料が新しく調製されたアッセイバッファを用いて各群について測定された。アッセイバッファは4℃で22時間、暗所で保存され、プロトコルを繰り返した。
【0182】
図13は、新しいものである場合に同一のアッセイバッファから得られるシグナル強度に対するパーセンテージとして、この古いアッセイバッファを用いたシグナル強度を示している。還元剤の不存在下で、アッセイバッファ(STD)の活性度は保存中に60%以上減衰した。総ての還元剤はこの減衰を低減するのに効果的であり、特に注目すべきなのは、50mMのDTTの提供がアッセイバッファ分解の総ての根拠を完全に無効にした。
【実施例14】
【0183】
不安定化した、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が等しく一定分量で96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。同一の溶解バッファが総ての試料に用いられた。ルシフェラーゼ活性は図14に示した還元及び酸化されたグルタチオンの量及び比率を含む新しいアッセイバッファを用いて測定された。アッセイバッファは室温で4時間保存され、複製試料を測定するために再度用いられた。図14はグルタチオンの不存在下で、アッセイバッファの活性が約32%減衰したことを示している。この減衰は還元されたグルタチオンのみ、酸化されたグルタチオンのみ、及び各比率の2の組合せを含む5mMのグルタチオンの存在によって完全に遮断された。しかしながら、新しいバッファのベースライン活性は、グルタチオン、特に酸化されたグルタチオンが、安定性を提供する有利な効果を有するにも拘らずアッセイバッファ活性を低減させる。
【実施例15】
【0184】
不安定化した、非分泌型ガウシアルシフェラーゼを発現するHeLa細胞が等しく一定分量で96−ウェルプレートに蒔いて培養され、一晩インキュベートされた。同一の溶解バッファが総ての試料に用いられた。ルシフェラーゼ活性は図15に示したようなグルタチオンの総量(酸化:還元が3:2の比率)を含む新しいアッセイバッファを用いて測定された。アッセイバッファは室温で7時間又は4℃で22時間保存され、複製試料を測定するのに再度用いられた。図15はグルタチオンの不存在下で、アッセイバッファの活性が約50%減衰したことを示している。この減衰は5mMのグルタチオンの存在によって完全に遮断されたが、初期の活性はこのバッファで低減された。少量のグルタチオンが期間にわたる活性の損失からの保護と、活性時の初期低減のレベルの双方の点で、中間的な効果を示した。
【0185】
当業者は、本明細書に記載した発明が、具体的に記載した以外の変更及び修正が可能であることを理解するであろう。本発明はそのような全ての変更及び修正を含むと理解されるべきである。本発明はまた、本明細書中で個々に又は集合的に言及又は記載した全てのステップ、構成、組成物、及び化合物、並びに任意の2つ以上の前記ステップ又は構成の組合せの全てを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼが分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの不活性化が、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、天然形態では分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態になることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用いることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、基質としてセレンテラジンを用い、海洋起源であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記海洋起源のルシフェラーゼがガウシア属の種、プレウロマンマ属の種、メトリディア属の種、シプリディナ属の種、又はオプロフォラス属の種に由来するものであるか、あるいは、その変異体又は誘導体であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、前記還元剤がチオール基を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記還元剤がジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、β−メルカプトエタノール、システアミン、亜硫酸ナトリウム、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記還元剤がDTTであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの反応基質が前記還元剤と同時に添加されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの反応基質が前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、前記還元剤の添加前に測定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記還元剤が前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法において、前記ルシフェラーゼの少なくとも1つが組換えレポータ遺伝子から発現されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法において、前記発光シグナルがレポータ遺伝子アッセイの一部として測定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが鞘翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが双翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、前記細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に不活性化されるように、前記還元剤が、前記細胞内ルシフェラーゼの反応基質の添加前に前記試料に添加されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか1項に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが前記還元剤によって活性化されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれか1項に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼの発光時間が前記還元剤によって拡張されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用い、前記細胞内ルシフェラーゼが基質としてルシフェリンを用いることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼ及び前記細胞内ルシフェラーゼが双方とも、基質としてセレンテラジンを用いることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項16乃至23のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、異なる波長で生成されることを特徴とする方法。
【請求項26】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、前記ルシフェラーゼが、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態となることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の方法において、前記試料が前記還元剤より前に前記反応基質と接触することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26又は27に記載の方法において、前記試料が前記反応基質及び前記還元剤と同時に接触することを特徴とする方法。
【請求項30】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)次いで、前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(e)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されるように、ステップ(d)及び(e)がステップ(a)乃至(c)に先行することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32又は33に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記試料が前記還元剤と接触するように、ステップ(b)がステップ(a)及び(c)の後に行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、前記試料が、前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に、又は同時に前記還元剤と接触することを特徴とする方法。
【請求項36】
第1及び第2のルシフェラーゼを含む試料中の第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項32乃至36のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が第3のルシフェラーゼを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記第3のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37又は38に記載の方法において、前記第2及び第3のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、異なる波長で生成されることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、前記第2のルシフェラーゼが鞘翅目の種に由来し、前記第3のルシフェラーゼが双翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1乃至40のいずれか1項に記載の方法において、発光シグナルの測定前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、前記1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質の添加前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、前記還元剤の添加前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項41又は42に記載の方法において、前記還元剤が細胞溶解バッファ中にあることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項1乃至44のいずれか1項に記載の方法において、1又はそれ以上のルシフェラーゼを発現する細胞が培養された条件培地を用いて、発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項46】
天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを不活性化するための方法であって、当該方法が、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記ルシフェラーゼが、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態となることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項46又は47に記載の方法において、前記ルシフェラーゼの不活性化が、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの減衰率を増加させるための方法であって、当該方法が、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供する試薬組成物とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼが分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項51】
試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する、有効量の還元剤を前記試料に添加するステップと;
(b)前記試料中の発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼの前記発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと;
(d)前記試料中の前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とに基づいて、各ルシフェラーゼについて前記発光シグナルを計算するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)前記第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼ用の反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項1】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼが分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの不活性化が、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、天然形態では分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態になることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用いることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、基質としてセレンテラジンを用い、海洋起源であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記海洋起源のルシフェラーゼがガウシア属の種、プレウロマンマ属の種、メトリディア属の種、シプリディナ属の種、又はオプロフォラス属の種に由来するものであるか、あるいは、その変異体又は誘導体であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、前記還元剤がチオール基を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記還元剤がジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、β−メルカプトエタノール、システアミン、亜硫酸ナトリウム、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記還元剤がDTTであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの反応基質が前記還元剤と同時に添加されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼの反応基質が前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、前記還元剤の添加前に測定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記還元剤が前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に前記試料に添加され、前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法において、前記ルシフェラーゼの少なくとも1つが組換えレポータ遺伝子から発現されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法において、前記発光シグナルがレポータ遺伝子アッセイの一部として測定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が少なくとも1の細胞内ルシフェラーゼを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが鞘翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが双翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが、前記細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に不活性化されるように、前記還元剤が、前記細胞内ルシフェラーゼの反応基質の添加前に前記試料に添加されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか1項に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼが前記還元剤によって活性化されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれか1項に記載の方法において、前記細胞内ルシフェラーゼの発光時間が前記還元剤によって拡張されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼが基質としてセレンテラジンを用い、前記細胞内ルシフェラーゼが基質としてルシフェリンを用いることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼ及び前記細胞内ルシフェラーゼが双方とも、基質としてセレンテラジンを用いることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項16乃至23のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記2又はそれ以上の細胞内ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、異なる波長で生成されることを特徴とする方法。
【請求項26】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、前記ルシフェラーゼが、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態となることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の方法において、前記試料が前記還元剤より前に前記反応基質と接触することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26又は27に記載の方法において、前記試料が前記反応基質及び前記還元剤と同時に接触することを特徴とする方法。
【請求項30】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)次いで、前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
試料中のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記ルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記ルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記ルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記ルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に、前記ルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(e)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが測定されるように、ステップ(d)及び(e)がステップ(a)乃至(c)に先行することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32又は33に記載の方法において、前記第1のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルの測定前に、前記試料が前記還元剤と接触するように、ステップ(b)がステップ(a)及び(c)の後に行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、前記試料が、前記第1のルシフェラーゼの反応基質より前に、又は同時に前記還元剤と接触することを特徴とする方法。
【請求項36】
第1及び第2のルシフェラーゼを含む試料中の第2のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであり、前記第2のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであり、前記方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する還元剤と前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第2のルシフェラーゼの反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルを測定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項32乃至36のいずれか1項に記載の方法において、前記試料が第3のルシフェラーゼを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記第3のルシフェラーゼが細胞内ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37又は38に記載の方法において、前記第2及び第3のルシフェラーゼによって生成された前記発光シグナルが、異なる波長で生成されることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、前記第2のルシフェラーゼが鞘翅目の種に由来し、前記第3のルシフェラーゼが双翅目の種に由来することを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1乃至40のいずれか1項に記載の方法において、発光シグナルの測定前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、前記1又はそれ以上のルシフェラーゼ基質の添加前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、前記還元剤の添加前に、前記試料が細胞溶解ステップに供されることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項41又は42に記載の方法において、前記還元剤が細胞溶解バッファ中にあることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項1乃至44のいずれか1項に記載の方法において、1又はそれ以上のルシフェラーゼを発現する細胞が培養された条件培地を用いて、発光シグナルが測定されることを特徴とする方法。
【請求項46】
天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼを不活性化するための方法であって、当該方法が、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記ルシフェラーゼが、天然形態においては分泌されるルシフェラーゼについて、非分泌型に変更された形態となることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項46又は47に記載の方法において、前記ルシフェラーゼの不活性化が、前記ルシフェラーゼの触媒活性を阻害又は無効化するステップ、及び/又は前記ルシフェラーゼを不活性なコンフォメーションに変換するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであるルシフェラーゼによって生成された発光シグナルの減衰率を増加させるための方法であって、当該方法が、前記ルシフェラーゼを含む試料を還元剤と接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼによって生成された発光シグナルを測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼの不活性なコンフォメーションへの変換を促進するのに好適な環境を提供する試薬組成物とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、天然形態における前記第1のルシフェラーゼが分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項51】
試料中の2又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化する、有効量の還元剤を前記試料に添加するステップと;
(b)前記試料中の発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼの前記発光シグナルを減衰可能にするために、ある期間待機するステップと;
(d)前記試料中の前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)ステップ(b)及び(d)の結果と、各発光シグナルにおける異なる減衰率とに基づいて、各ルシフェラーゼについて前記発光シグナルを計算するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)前記第1及び第2のルシフェラーゼ用の反応基質、及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが前記還元剤によって不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(d)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
試料中の第1及び第2のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、
(a)前記第1のルシフェラーゼ用の反応基質及び前記第1のルシフェラーゼを時間依存的に不活性化するが前記第2のルシフェラーゼを不活性化しない還元剤と、前記試料を接触させるステップと;
(b)前記第1のルシフェラーゼが不活性化される前に前記発光シグナルを測定するステップと;
(c)前記第2のルシフェラーゼ用の反応基質と前記試料を接触させるステップと;
(d)前記第1のルシフェラーゼが不活性化された後に前記発光シグナルを測定するステップと;
(e)相互に比較した、又は他の試料と比較した各ルシフェラーゼの量又は活性を計算するために、ステップ(b)及び(c)で収集されたデータを用いるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
試料中の1又はそれ以上のルシフェラーゼの量又は活性を測定するための方法であって、当該方法が、分析すべき前記1又はそれ以上のルシフェラーゼの1又はそれ以上の反応基質と、第1のルシフェラーゼを不活性化するための還元剤とを用いて、前記試料をインキュベートするステップを含み、前記第1のルシフェラーゼが天然形態においては分泌型ルシフェラーゼであることを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−512759(P2010−512759A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541700(P2009−541700)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/AU2007/002003
【国際公開番号】WO2008/074100
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509115306)ジーン ストリーム ピーティーワイ エルティーディ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/AU2007/002003
【国際公開番号】WO2008/074100
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509115306)ジーン ストリーム ピーティーワイ エルティーディ (2)
【Fターム(参考)】
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