説明

分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は室内機と室外機とに分離されている室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の排気口側から発生する騒音を低減させるようにした室内機の騒音防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、分離形室内用エアコンディショナーパッケージの構成は、添付図面の図10に示すように、大きく分けて建物の内部に設置される室内機1と、建物の外部に設置される室外機2とに分けられ、これらの間には連結管3が設置されて熱流動のサイクルがなるようになっている。この時、室外機2側は熱交換機4と、コンプレッサー5と、ファン6とから構成され、冷媒の循環により冷たい空気を作る役割を行う。一方、室内に設置される室内機1は添付図面の図11及び図12に示すように、おおよそボックス形として、下部には室内空気を吸入する吸入グリッド10の後方に熱交換機11が内蔵設置されており、中央部には熱交換機を介して冷たくなった空気を再び室内に強制的に排出させるための遠心ファン12が設置されており、上部には排気ダクト13を通過した冷たい空気を室内に放出する排気グリッド14が設置されている。且つ、遠心ファン12が位置する中央部の前面部には室内機1を制御するための、例えばパワー用ボタンと印刷回路基板等により構成された操作パネル部15が設置されている。このように構成された室内機の作動状態において、操作パネル15の操作により室内機をオンさせると遠心ファンが作動し、図1212に示す矢印方向に従って吸入グリッド10を通じて室内空気が吸入された後、遠心ファン12を経て排気グリッド14を通じて冷たくなった空気が室内に吐出される。この時、吸入グリッド10を通じて吸入された空気は熱交換機11を経ながら室内の高温が低温に変わって室内の冷房を実施することになる。このような室内機において、室内機を通ずる空気の流動により騒音が発生され、このような騒音は図13に示す騒音波形図と、これに対する図14の振動スペクトル、そして図15に示す室内機の左側、正面、右側で発生される騒音発生の波形図のような形態として現れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この図表等で知られるように、室内機で発生する騒音は600Hz以下の低周波領域が大部分であり、排気ダクト部位での騒音が最も甚だしい。特に、騒音が排気ダクト部位で最も甚だしい理由は音圧がこの部位で最も高いが、排気部位であるため低周波領域での騒音防止が困難であるからである。従って、本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、室内機の排気口側で発生され室内に放出される騒音をこれに対して逆位相信号を有する制御騒音源を発生させるようにすることにより騒音を減少させることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、最大の騒音発生部であるダクト部に騒音状態を感知するセンサーを設け、該センサーにより感知された騒音状態を制御部で分析しこの騒音に対して逆位相の制御騒音源を発生させ、該制御騒音源を上部排出グリッドに設けられた上下スピーカーを通じて放出させることにより室内機で発生する騒音を低減させる分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置を提供する。
【0005】
【実 施 例】以下、このように構成された本発明を添付図面に基づいてもっと詳しい説明する。図1及び図2は本発明による分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の正面図及び断面図として、室内機の基本的な構成及び作動状態は従来と同じであるのでこれに対する詳細な説明は省略し、従来と同じである構成部品に対しては同一符号を付ける。本具体例において図2の断面図に示すように、室内機1の排気ダクト13側の排気グリッド14を中心として上下部にそれぞれ上部スピーカー20と下部スピーカー21を上部カバー22と下部カバー23を通じて設ける。本具体例では上部スピーカー20と下部スピーカー21を各カバーに一対ずつ設けた。且つ、遠心ファン12の上部側である排気ダクト13の一方側には騒音状態を感知する感知手段としてのセンサー25を設けた。このように構成された室内機が作動することにつれて、吸入グリッド10→熱交換機11→遠心ファン12→排気ダクト13→排気グリッド14の経路に従って排出される空気の流動により発生された騒音は上下部スピーカー20,21を通じて放出される騒音信号の逆位相信号により低周波数の領域が減少されて騒音が減少することになる。つまり、室内機で発生される騒音が図9aに示すような時間領域に対する騒音波形を有するとする場合、図9bに示すように図9aに対して180°の位相差を有する同一大きさの信号を発生させると図9aの信号は相殺されて無くなるようにしたものである。このような逆位相信号を上下スピーカー20,21で発生させるためには、図5のブロック図に示すような機構を遂行する制御手段である制御部30が必要である。この制御部30は騒音源に設けられたセンサー25を通じて騒音状態を感知し、これに対する各種騒音スペクトル、伝達関数、パラメーター等をデータベース化し、振動信号と騒音スペクトルのデータベースとの差からゲインを調整して伝達関数を求めることにより、センサーでパラメーター等を求めて旋回させた信号、つまり発生騒音に対して逆位相差を有する制御騒音を増幅器を通じて上下スピーカー20,21で放出させる。従って、上下スピーカー20,21で発生される逆位相の制御騒音源により、室内機から放出される騒音のエネルギーが減少されて騒音が減る。ここで、騒音の状態を感知するセンサー25としては色々なタイプが使用されるが、本発明においては騒音により発生される振動を感知する振動センサーを使用した。これはマイク機能を有するセンサーを使用する場合周囲の他の環境による要素の変化要因を無くすようにするためである。
【0006】一方、図3及び図4に示す室内機の形態は本発明の具体例として、図1及び図2に示したようにスピーカーを使用して制御騒音源を発生させる基本的は構造は同じであるが、この具体例は上下スピーカーの設置位置を変更したものである。つまり、図2においては上下スピーカー20,21を排気グリッド14の前面上下部に互いに対向するように設置したが、図4においては上部スピーカー20aの上部と下部スピーカー21aの前方にそれぞれノイズダクト40,41を設置し、又上部スピーカー20aはその前面が下方に向かうようにノイズダクト40内に設置すると共に下部スピーカー21aはその前面が前方に向かうようにノイズダクト41内に設置することによりこのスピーカーから発生される制御騒音源がノイズダクト40,41により排気グリッド14の前方にガイドされるようにしたものである。従って、上部スピーカー20aで発生した制御騒音源は上部ノイズダクト40を通じて排出空気の流動方向にガイドされ、下部スピーカー21aで発生した制御騒音源は下部ノズダクト41を通じて排出空気の流動方向に垂直方向にガイドされる。このようにノイズダクト40,41を通じて制御騒音源を放出するようにした理由は、制御騒音源がダクトを通じて集中的に放出されるようにし、制御騒音源の放出方向が排気グリッド14で発生される騒音に対して対称を成すようにすることにより騒音の減少効果をもっと向上させるためである。
【0007】ところで、スピーカーの最適設置位置又は室内機の容量に適切な冷房空間等の条件に対する最適値はスピーカーと室内機をモデルリングして数式で表した次のような式により得られる。図6に示したモデルで室内機の騒音源であるSNとスピーカーの制御騒音源であるSSとの間で発生する最適の圧力の大きさは、
【0008】
【数1】


【0009】となり、ここで制御しようとする空間を細分してn個の空間に分けたとすると、
【0010】
【数2】


【0011】となり、この式に基づいて制御手段内のデータベースで色々な要素値等を比べて最低値、つまり最小の騒音制御値を得る。ここで、上記式より引用されたVmの値は次の式による値である。
【0012】
【数3】


【0013】
Rp,Rs:騒音源とスピーカーより空間Aまでの距離α:波数(W/C;Cは音速)
W:角振動数(=2πf)
φ:室内機から発生された騒音とスピーカーから発生された制御騒音源との位相差φop:φの最適値A:騒音減少空間(平面;仮定)
上記式で分母値は室内機から発生する騒音値を、分子値はスピーカーから発生する制御騒音値を表す。
【0014】又、騒音制御により室内機から最終的に発生する騒音状態を感知するマイクロホン50を、図5の回路図に示したように、追加設置して室内機から発生する騒音値を測定し、この値を再び制御手段の制御部30の一要素でフィードバックして最適の精密値を再び求めるようにすることも望ましい。従って、このように制御させた騒音制御状態を実験により測定した結果、図7aのような室内機の騒音信号に対して図7bのような逆位相信号を発生させることによって、室内機での騒音制御結果は図8aの作動前状態と図8bの作動後状態とを比べる時、騒音が減少されたことがわかる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は低周波領域を有する、室内機から発生される騒音をこの騒音に対して逆位相差を有する制御騒音源を放出して相殺低減させる際、制御騒音源の放出方向が発生される騒音に対して、上下部でそれぞれ対称をなすことができるようにしているから、騒音の制御効果が、より高められ、騒音の低下された分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による室内機の正面図である。
【図2】本発明による室内機の断面図である。
【図3】本発明の他の具体例である室内機の正面図である。
【図4】本発明の他の具体例である室内機の断面図である。
【図5】本発明の要部である制御部の論理流れ図である。
【図6】(a)本発明をモデルリング作業で分析した模式図である。
(b)本発明をモデルリング作業で分析した模式図である。
【図7】(a)室内機から発生する騒音の実際波形図である。
(b)図7aに対して逆位相を有する、スピーカーから発生する制御騒音の実際波形図である。
【図8】(a)本発明による室内機の騒音制御前の状態図である。
(b)本発明による室内機の騒音制御後の状態図である。
【図9】(a)時間領域に対する騒音源での騒音発生波形図である。
(b)時間領域に対するスピーカーから発生される制御騒音の波形図である。
【図10】分離形室内用エアコンディショナーパッケージの全体構成図である。
【図11】従来室内機の正面図である。
【図12】従来室内機の断面図である。
【図13】従来室内機の騒音スペクトルである。
【図14】(a)従来室内機の振動スペクトルである。
(b)従来室内機の振動スペクトルである。
【図15】(a)従来室内機の左側での騒音発生波形図である。
(b)従来室内機の正面での騒音発生波形図である。
(c)従来室内機の右側での騒音発生波形図である。
【符号の説明】
1…室内機、2…室外機、11…熱交換機、12…遠心ファン、13…排気ダクト、14…排気グリッド、20…上部スピーカー、21…下部スピーカー、22…上部カバー、23…下部カバー、25…センサー、30…制御部、40,41…ノイズダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 室内機の上部排気グリッドの上、下部にそれぞれ設置され制御騒音源を放出するスピーカーと、ダクトに設置され騒音の状態を感知する感知手段と、上記感知手段により感知された騒音因子等を分析し上記スピーカーを通じて制御騒音源を発生させる制御騒音手段と、から構成されることを特徴とする分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置。
【請求項2】 上記スピーカーは排気グリッドの前面上、下部に互いに対向するように配置されて、制御騒音源が空気排出方向に対して垂直方向に放出されるように構成されることを特徴とする請求項記載の分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置。
【請求項3】 上記スピーカーは排気グリッドの前面上、下部に設けられた水平ノイズダクトと垂直ノイズダクト内に配置されて、制御騒音源が空気排出方向に対して水平方向と垂直方向に放出されるように構成されることを特徴とする請求項2記載の分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置。
【請求項4】 上記感知手段は振動センサーにより構成されることを特徴とする請求項2記載の分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置。
【請求項5】 制御された最終騒音の状態を感知する感知マイクロホンが追加設置されて騒音制御の最適値を得るように構成されることを特徴とする請求項2記載の分離形室内用エアコンディショナーパッケージの室内機の騒音防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図5】
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【図10】
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【図13】
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【図15】
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【図14】
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