説明

分離液状ドレッシング

【課題】 水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合しているにも拘わらず、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが可能な新規な分離液状ドレッシングを提供する。
【解決手段】 水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップと、柑橘果汁とを配合した分離液状ドレッシング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合した新規な分離液状ドレッシングに関する。詳しくは、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合しているにも拘わらず、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが可能な新規な分離液状ドレッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
分離液状ドレッシングは、マヨネーズ、マヨネーズ類、乳化ドレッシングなどと同様、代表的な酸性液状調味料の一つである。分離液状ドレッシングは、使用時、容器を上下または左右に振って全体を均一に混合し食用油脂を一時的に乳化させるが、乳化された油脂が弱い乳化状態であるため、食用油脂のコク味を味わうことができる。また、分離液状ドレッシングは、様々な食材を水相部あるいは油相部に配合し易いことから、様々な味を有した液状調味料を調製することが可能であり、酸性液状調味料のなかでも最も汎用的に用いられている。
【0003】
分離液状ドレッシングは、主にサラダの調味料として用いられることが多いが、近年、肉類または魚介類の調理食品などの調味料としても広く利用されるようになり、これらに適した様々な外観や味のものが求められている。このような状況下、分離液状ドレッシングの原材料としてカラメルやメープルシロップを配合したものが要望されている。
【0004】
加熱処理を施し、カラメルを配合した酸性液状調味料としては、特開昭60−47658号公報(特許文献1)に「焼きソバ用ソース」が開示されている。前記特許文献1記載の酸性液状調味料は、70℃に加温した状態で、食用油脂とカラメルを配合した水溶液とを、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノグリセリドなどの乳化剤を用いて乳化させた酸性水中油型乳化調味料である。
【0005】
そこで、本発明者は、カラメルあるいはメープルシロップを配合した酸性液状調味料として、アシル基を有する上記乳化剤を通常用いない分離液状ドレッシングを試作した。つまり、カラメルあるいはメープルシロップを配合し、水相部と油相部を混合した後、当該混合液を加熱殺菌し容器に充填した。しかしながら、得られた分離液状ドレッシングは、上層が乳化状態のままでセットしてしまい、もはや、容器を上下または左右に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ないという問題を生じた。
【0006】
【特許文献1】特開昭60−47658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合しているにも拘わらず、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが可能な新規な分離液状ドレッシングを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく酸性液状調味料に使用されている様々な配合原料について鋭意研究を重ねた。その結果、柑橘果汁を配合するならば、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにカラメルおよび/またはメープルシロップを配合しているにも拘わらず、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップと、柑橘果汁とを配合した分離液状ドレッシング、
(2)製品に対しカラメルの配合量が0.01〜5%である(1)の分離液状ドレッシング、
(3)製品に対しメープルシロップの配合量が0.05〜30%である(1)の分離液状ドレッシング、
(4)製品に対し柑橘果汁の配合量が0.1〜20%である(1)乃至(3)のいずれかの分離液状ドレッシング、
(5)柑橘果汁が、レモン、ゆず、かぼす、すだちの一種または二種以上の柑橘果汁である(1)乃至(4)のいずれかの分離液状ドレッシング、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにカラメルおよび/またはメープルシロップを配合しているにも拘わらず、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが可能な新規な分離液状ドレッシングを提供できることから、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合した酸性液状調味料の更なる需要の拡大が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
【0012】
本発明の分離液状ドレッシングは、常温流通を可能ならしめるために水相部のpHを4.6以下に調整された液状調味料であり、下層の水相部の上に油相部である食用油脂が積層された調味料であって、使用の際に当該調味液が入った容器を上下または左右に振って一時的に全体を乳化して使用する、いわゆるセパレートタイプの液状調味料である。一般的に分離液状ドレッシングは、水相部が水性媒体(例えば、食酢、醤油、果汁、液糖、清水など)に水溶性原料や水分散性原料が配合された水性原料からなるが、本発明においては、水相部に一部の食用油脂が略均一に分散した乳化相であってもよい。また、本発明の分離液状ドレッシングは、水相部と油相部に分離した酸性液状調味料であればいずれのものでもよく、分離液状ドレッシングと称されるものに限定されるものではない。具体的には例えば、たれなども本発明に含まれる。
【0013】
分離液状ドレッシングは、使用後しばらくした後に、油相部と水相部に分離することが望ましいことから、通常、乳化力に優れたアシル基を有する乳化剤、具体的には例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドなどは使用されていない。したがって、本発明の分離液状ドレッシングにおいても同様に、前記アシル基を有する乳化剤が配合されていないものである。
【0014】
本発明の分離液状ドレッシングは、上述した分離液状ドレッシングにおいて、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌したものである。分離液状ドレッシングには、水相部と油相部を別々に容器に充填したものと、水相部と油相部を混合して略均一に乳化した混合液を容器に充填ものとに分けられる。さらに、前記別々に充填したものは、水相部を加熱殺菌したものとそうでないもの、また、前記混合液を充填したものは、混合液を加熱殺菌したものとそうでないものとに分けられる。これらの内、本発明は、水相部と油相部を混合して略均一に乳化した混合液を加熱殺菌し容器に充填した分離液状ドレッシングである。
【0015】
混合液を加熱殺菌し容器に充填した分離液状ドレッシングは、本来なら、水相部と油相部の混合液が次第に分離し上層に油相部、下層に水相部に分かれ分離液状ドレッシングとなる。しかしながら、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合した場合、上層が乳化状態のままでセットしてしまい、もはや、容器を上下または左右に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ないという問題を生じる。そこで、本発明は、更に柑橘果汁、好ましくはレモン、ゆず、かぼす、すだちの一種または二種以上の柑橘果汁を配合することより、使用時に容器を上下または左右に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することを可能にすることを特徴とする。
【0016】
本発明で使用するカラメルは、澱粉加水分解物、糖蜜又は糖類などの食用炭水化物を、熱処理して得られる褐色の生成物のことであり、第7版食品添加物公定書1999年よると、製造方法によりカラメルI〜IVに定義されている。カラメルIは、澱粉加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物を、熱処理して得られたもの、または酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を使用していないものである。カラメルIIは、澱粉加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、アンモニウム化合物を使用していないものである。カラメルIIIは、澱粉加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物に、アンモニウム化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物を使用していないものである。カラメルIVは、澱粉加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものである。本発明は、上記カラメルI〜IVのいずれを用いてもよく、これらは、カラメル色素として市販されており、本発明はこれを用いるとよい。
【0017】
本発明の分離液状ドレッシングには、カラメルを着色料としての効果を奏する程度配合すればよく。具体的には、製品に対して好ましくは0.01〜5%、より好ましくは0.05〜3%である。配合量が前記範囲より少ないと、着色料としての効果を奏し難く、また、後述する柑橘果汁を配合しなくても、本発明の課題である上層が乳化状態のままでセットしてしまい、容器を上下または左右に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ないという問題が生じ難い傾向にある。一方、配合量が前記範囲より多いと、本発明の分離液状ドレッシングがカラメルに由来する苦味を呈する場合があり好ましくない。
【0018】
本発明で使用するメープルシロップは、サトウカエデの樹液を濃縮した甘味料のことであり、メープルシロップとして市販されているものを用いるとよい。また、本発明で使用するメープルシロップには、上記サトウカエデより生産されたものだけでなく、例えば、クロカエデ、アメリカハナノキ、ギンカエデ、シロスジカエデ、アメリカヤマモミジ、ノルウェーカエデなどのカエデ類から生産されたものも含まれる。
【0019】
メープルシロップは、カルシウムなどミネラルを豊富に含み、独特の風味を有した甘味料である。したがって、本発明の分離液状ドレッシングには、メープルシロップの独特の風味を有する程度配合すればよく、具体的には、製品に対して好ましくは0.05〜30%、より好ましくは0.1〜20%である。配合量が前記範囲より少ないと、メープルシロップの風味を感じ難く、また、カラメルと同様、後述する柑橘果汁を配合しなくても、本発明の課題である上層が乳化状態のままでセットしてしまい、容器を上下または左右に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ないという問題が生じ難い傾向にある。一方、配合量が前記範囲より多いと、メープルシロップが甘味料であることより本発明の分離液状ドレッシングが甘くなりすぎて好ましくない。
【0020】
本発明の分離液状ドレッシングは、上記カラメルおよび/またはメープルシロップに加え、柑橘果汁を配合する必要がある。本発明で使用する柑橘果汁は例えば、レモン、ゆず、かぼす、すだち、いよかん、夏みかん、グレープフルーツ、オレンジ、みかんなどの柑橘類から搾汁した果汁であり、これらの一種または二種以上を用いるとよい。また、本発明は、これらの柑橘果汁の濃縮液、乾燥処理して粉末化したものも用いてもよい。特に、レモン、ゆず、かぼす、すだちの柑橘果汁を用いると、油相部と水相部の界面がきれいに分離し、分離液状ドレッシングとして好ましい外観が得られ好ましい。
【0021】
柑橘果汁の配合量は、上記カラメルおよび/またはメープルシロップの配合量にもよるが、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上である。配合量が前記値より少ないと、本発明の課題である上層が乳化状態のままでセットしてしまい、容器を上下または左右に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ないという問題が生じ易い。また、配合量を20%より多くしたとしても、もはや本発明の効果を奏しており経済的でないことから、配合量の上限は20%以下が好ましい。なお、上記柑橘果汁の配合量は、生の果汁に換算したときの量である。
【0022】
本発明の分離液状ドレッシングには、上述したカラメルおよび/またはメープルシロップ、並びに柑橘果汁を配合させる他に本発明の効果を損なわない範囲で分離液状ドレッシングに通常用いられている各種原料を適宜選択し配合させることができる。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、ゴマ油、魚油、卵黄油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリドなどのように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂などの食用油脂、食酢、クエン酸、乳酸などの酸材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、みりん、醤油などの各種調味料、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋などの処理を施した化工澱粉、並びに湿熱処理澱粉などの澱粉類、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、サイリュウムシードガムなどのガム質、動植物のエキス類、からし粉、胡椒などの香辛料、並びに各種蛋白質やこれらの分解物などが挙げられる。
【0023】
また、本発明は、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングであることから、その製造方法は、代表的には、カラメルおよび/またはメープルシロップ、並びに柑橘果汁を配合した水相部を調製した後、当該水相部を攪拌させながら油相部の食用油脂を徐々に注加して乳化状の混合液を調製する。得られた乳化状の混合液を60〜95℃で数秒〜30分間程度加熱殺菌を施した後、容器に充填する方法などが挙げられる。
【0024】
以下、本発明の分離液状ドレッシングについて、実施例、比較例並びに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0025】
[実施例1]
下記の配合割合に準じ、まず全水相原料をミキサーで均一に混合した。次いで得られた水相部を攪拌させながら油相部の植物油を徐々に注加して乳化状の混合液を調製した。次いで、得られた乳化状の混合液をゆっくり攪拌させながら70℃に加熱し、70℃で5分間加熱殺菌を施した後、250mL容量のPET容器に250mL充填し、密栓し分離液状ドレッシングを調製した。
【0026】
<配合割合>
(油相部)
植物油 35%
(水相部)
ブドウ糖果糖液糖 20%
食酢(酸度5%) 15%
メープルシロップ 5%
レモン果汁 5%
食塩 3%
カラメル(色素) 0.5%
グルタミン酸ソーダ 0.5%
キサンタンガム 0.1%
清水 残余
―――――――――――――――――――
合計 100%
【0027】
得られた分離液状ドレッシングを1日室温で放置し、状態を観察したところ、上層が乳化状態のままセットすることなく油相部と水相部が分離し、油相部と水相部の界面もきれいであった。また、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来た。
【0028】
[実施例2]
実施例1においてレモン果汁の代わりにゆず果汁を用い、メープルシロップを除いた以外は、実施例1と同様の方法で分離液状ドレッシングを調製した。得られた分離液状ドレッシングを1日室温で放置し、状態を観察したところ、上層が乳化状態のままセットすることなく油相部と水相部が分離し、油相部と水相部の界面もきれいであった。また、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来た。なお、ここでは示していないが、実施例1においてレモン果汁の代わりにかぼす果汁、すだち果汁を用いたものも実施例1と同様の分離液状ドレッシングが得られた。
【0029】
[実施例3]
実施例1においてレモン果汁の代わりにグレープフルーツ果汁を用い、カラメルを除いた以外は、実施例1と同様の方法で分離液状ドレッシングを調製した。得られた分離液状ドレッシングを1日室温で放置し、状態を観察したところ、油相部と水相部の界面がややモヤっとしているが、上層が乳化状態のままセットすることなく油相部と水相部が分離していた。また、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来た。
【0030】
[比較例1]
実施例1においてレモン果汁を除いた以外は、実施例1と同様の方法で調味料を調製した。得られた調味料を1日室温で放置し、状態を観察したところ、上層が乳化状態のままセットしていた。また、容器を上下左右に激しく振ったが全体を均一に混合することが出来なかった。
【0031】
[比較例2]
実施例1においてレモン果汁5%の代わりにクエン酸(無水)0.3%を配合した以外は、実施例1と同様の方法で調味料を調製した。得られた調味料を1日室温で放置し、状態を観察したところ、上層が乳化状態のままセットしていた。また、容器を上下左右に激しく振ったが全体を均一に混合することが出来なかった。なお、レモン果汁には、約0.6%のクエン酸を含有しており、上記クエン酸の配合量は、それに相当する。
【0032】
[参考例1]
実施例1において、比較例1と同様、レモン果汁を除いた配合割合で、まず全水相原料をミキサーで均一に混合した後、水相部をゆっくり攪拌させながら70℃に加熱し、70℃で5分間加熱殺菌を施した。次いで、分離液状ドレッシングの容量が250mLとなるように250mL容量のPET容器に前記加熱殺菌した水相部を充填した後に、残りの油相部である植物油を充填して水相部に油相部を積層させ、次いで密栓し、分離液状ドレッシングを調製した。
【0033】
得られた分離液状ドレッシングを1日室温で放置し、状態を観察したところ、
油相部と水相部の界面がややモヤっとしているが、油相部と水相部が分離していた。また、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来た。
【0034】
実施例1〜3、比較例1〜2、および参考例1の結果より、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合した場合、柑橘果汁を更に配合しなければ、上層が乳化状態のままセットすることなく油相部と水相部が分離し、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することができる分離液状ドレッシングが得られないことが理解される。特に、レモン果汁、ゆず果汁、かぼす果汁またはすだち果汁を用いたものは、油相部と水相部の界面がきれいに分離し、分離液状ドレッシングとして好ましい外観を有していた。
【0035】
[試験例1]
柑橘果汁の配合量による、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングへの影響を調べた。つまり、実施例1において、レモン果汁の配合量を下表の配合量に変えた以外は、実施例1と同様の方法で分離液状ドレッシングを調製した。得られた分離液状ドレッシングを1日室温で放置し、状態を観察した。なお、実施例1において、カラメルまたはメープルシロップを除いた配合割合でも下表と同様な結果となった。
【0036】
【表1】

【0037】
<評価基準>
◎:上層が乳化状態のままでセットすることなく油相部と水相部が分離しており、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来る。
○:上層が乳化状にややセットしているが、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することが出来る。
△:上層が乳化状態のままセットしており、容器を上下に激しく振ると全体を均一に混合することが出来る。
×:上層が乳化状態のままセットしており、容器を上下に激しく振っても全体を均一に混合することが出来ない。
【0038】
表1より、水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップを配合した場合、柑橘果汁を0.1%以上配合しなければ、容器を上下に軽く振るだけで容易に全体を均一に混合することができる分離液状ドレッシングが得られないことが理解される。
特に、柑橘果汁を0.5%以上配合したものは、上層が乳化状態のままでセットすることなく油相部と水相部が分離し好ましかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相部と油相部の混合液を加熱殺菌した分離液状ドレッシングにおいて、カラメルおよび/またはメープルシロップと、柑橘果汁とを配合したことを特徴とする分離液状ドレッシング。
【請求項2】
製品に対しカラメルの配合量が0.01〜5%である請求項1記載の分離液状ドレッシング。
【請求項3】
製品に対しメープルシロップの配合量が0.05〜30%である請求項1記載の分離液状ドレッシング。
【請求項4】
製品に対し柑橘果汁の配合量が0.1〜20%である請求項1乃至3のいずれかに記載の分離液状ドレッシング。
【請求項5】
柑橘果汁が、レモン、ゆず、かぼす、すだちの一種または二種以上の柑橘果汁である請求項1乃至4のいずれかに記載の分離液状ドレッシング。