説明

切換経路を備えた開閉装置

本発明は、絶縁材ノズル(7)を含む、切換経路(2)を備えた開閉装置に関する。絶縁材ノズル(7)は、切換経路(2)を少なくとも部分的に取り囲んでいる。絶縁材ノズル(7)のためのノズルチャネル(8)は、放出開口(13)によって高温ガススペース(10)内で開口している。デフレクター要素(15a,15b,15c)は、デフレクターチャネル(14a,14b,14c)を形成する高温ガススペース(10)内に配置されている。デフレクターチャネル(14a,14b,14c)は、高温ガススペース(10)内で切換ガスの流動方向に拡大する断面を有するセクションを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デフレクターチャネルを備えたデフレクター要素がその中に配置された高温ガススペース内へと開口するノズルチャネルを備えた切換経路を少なくとも部分的に取り囲んでいる絶縁材ノズルを有する開閉装置に関するものであり、このものでは、高温ガススペース内へと放出方向にノズルチャネルから放出される消炎ガスは、デフレクターチャネル内へと方向転換されるようになっている。
【背景技術】
【0002】
この種の開閉装置は、たとえば特許文献1の要約書に開示されている。特許文献1は、高温ガススペースを有する開閉装置を開示している。絶縁材ノズルのノズルチャネルは高温ガススペース内へと開口している。デフレクターチャネルを備えたデフレクター要素が、高温ガススペース内のガス流を方向転換しかつ案内するために、高温ガススペース内に配置されている。ノズルチャネルから放出される切換ガスは、デフレクター要素のデフレクターチャネル内に供給される。だが、その際、デフレクターチャネルとノズルチャネルとの相対ポジションに起因して、切換ガスの一部しかデフレクターチャネル内には供給されない。
【0003】
特にノズルチャネルからデフレクターチャネルに至る移行領域において、高温ガススペース内へと放出された切換ガスの乱流が生じることがある。
【0004】
乱流によって、高温ガススペース内への切換ガスの流れは、かなり不均一になる。特に、高温ガススペースの充填および排出が実施されることになるのが短い時間間隔である場合、そうした乱流は、依然としてノズルチャネルの開口領域に存在する間、高温ガススペースの個々のゾーン内で渦が生じ、一方、高温ガススペースの他のセクションは低減された乱流にさらされるだけであるように作用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−086023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、短い時間間隔内で切換ガスを用いた高温ガススペースの効果的な充填および排出を可能とする開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これは、デフレクターチャネルが放出方向に拡大する断面を有するセクションを有する、冒頭で述べた種類の開閉装置によって達成される。
【0008】
放出方向にデフレクターチャネルの断面積を拡大することによって、流入切換ガスを、ノズルチャネルの開口領域から高温ガススペースの遠隔領域内へと素早く供給することができる。切換ガスがデフレクターチャネル内で流動するとき、デフレクターチャネルの内部で生じる摩擦による、流動速度低減のおそれが存在する。放出方向に拡大する断面が実現された場合、切換ガスを、異なる流動抵抗の領域を経て、連続的にあるいはまた段階的に、案内しかつ供給することができる。このようにして、より多くの量をまたデフレクターチャネルを経て供給することが可能となる。
【0009】
同時に、デフレクターチャネルがその断面の適切な拡大を受けることも可能である。だが、この拡大は、デフレクターチャネルの外部スリーブ側で必ずしも実施される必要はない。たとえば円筒状ベース要素内でのチャネルの適切な輪郭取りによって、アウタースリーブ側でのデフレクター要素の形状は、デフレクターチャネルの断面コースとは異なったものとすることができる。
【0010】
好ましい実施形態では、たとえば、デフレクター要素の壁の概ね一定の厚みがスリーブ側で実現され、この結果、デフレクターチャネルの境界を画定する壁のコースはまたデフレクター要素のアウタースリーブ面において反映されてもよい。セクションの断面を拡大するために、デフレクター要素は、たとえば漏斗の形態に設計されてもよい。拡大するセクションにおけるインナー壁は、円筒状であっても、湾曲していても、円錐状であってもよい。
【0011】
さらに、有利な実施形態によれば、上記セクションは円錐台形状のスリーブ面によって境界が決定されてもよい。
【0012】
その長さにわたるデフレクターチャネルの断面の連続的な拡大と同様、デフレクターチャネルは各場合に異なるセクションへと細分化されてもよく、ここで、当該セクションの少なくとも一つは、円錐台の形状の、特に中空円錐台の形状のコースを有する。たとえば、したがって、取り付けられた要素がデフレクターチャネル内へと延在することも可能であり、その結果、リンク状構造体を形成でき、そして適切な造形によって中空円錐台の形状のセクションを製造できる。たとえば、このようにして、デフレクターチャネルの断面の連続的な拡大によって、それが、その全長にわたって中空円錐台形状を有しても、あるいはあるセクションにおいてのみ、そうした形状を有してもよい。デフレクター要素の壁厚は変化してもよく、あるいは、中空円錐台の形状であるデフレクターチャネルのセクションの領域において概ね一定であるように設計されてもよい。
【0013】
さらに有利な実施形態によれば、上記セクションはステップ状様式で拡大する円筒状スリーブ面によって境界が画定されてもよい。
【0014】
連続的に拡大するセクション、たとえば、このセクションにつながるデフレクターチャネルの領域間で移行部を構成する漏斗の形状に設計されたセクションと同様、デフレクターチャネルの段状拡大が実現されてもよい。たとえば、したがって、当該チャネルが円筒状内部スリーブ面を有することも可能であり、ここで、異なる直径を備えたセクションは直に互いに境界を画定し、したがって突出エッジがデフレクターチャネルのコース中に形成され、このエッジにおいて、デフレクターチャネルは放出方向に段状様式で拡大する。
【0015】
段状拡大が実現される場合、短い組み込みスペース内のデフレクターチャネルの途中に断面積の急激な拡大を生み出すことができる。これによって、依然としてデフレクターチャネルの内部に存在しながら、切換ガスを急激に膨張させることが可能となる。ガスがデフレクターチャネルを経て流動している間でさえ、圧力波などを切換ガス流内に生成でき、そして、これは、デフレクターチャネル内の切換ガスの放出流挙動に、したがってノズルチャネルからの切換ガスの放出挙動にも影響を与えることができる。
【0016】
さらに有利な実施形態によれば、ノズルチャネルは、排出開口の領域において断面が縮小していてもよい。
【0017】
たとえば、ノズルチャネルは、リングチャネルの、あるいは高温ガススペースの表面内に円形断面を備えたチャネルの形態で開口している。このために、開口ノズルチャネルの排出開口およびデフレクターチャネルの導入開口は、ノズルチャネルから放出される切換ガスがデフレクターチャネル内に容易に流入できるように、互いに向き合って概ね同軸状に整列させられるべきである。さらなる断面縮小がノズルチャネルの排出開口の領域において、たとえばノズル、特にベンチュリノズルの形態で実現される場合、切換ガスをさらに加速させ、そしてデフレクターチャネルの導入開口に向かってより選択的に流動させることができる。たとえば、断面の縮小は、ノズルチャネルが、排出開口ノズルチャネル方向のその最後の断面において概ね一定の断面を有するように実施でき、これに続いては、排出開口がノズル狭窄部の形態の最小断面を有するように排出開口における断面の連続的な制限が存在する。排出開口と導入開口との間の切換ガスの自由な流れが有利である。ベンチュリノズル(その取り出し開口は排出開口と導入開口との間に存在している)が、互いに向き合って整列させられた排出開口および導入開口のノズル狭窄部の相互作用によって形成される。取り出し開口は、たとえば、リング形状に設計される。
【0018】
したがって、適当な突出ショルダー、凸状モールディングあるいは類似の構造体が、排出開口の領域においてノズルチャネルに形成されてもよい。
【0019】
排出開口のノズル作用の結果、放出された切換ガスは集束ポイントへ集中させられる。
【0020】
さらに、有利なことには、上記セクションは、実質的に円筒状のスリーブ表面とテーパー状セクションとの間に移行部を形成してもよい。
【0021】
拡大する断面を備えたセクションは、たとえば、円筒状セクション内へと開口するかあるいはそれと一体化することができる。さらに、2段階の断面拡大がデフレクターチャネルの放出方向の途中で生じるように、テーパー状セクションを上記セクションに連結できる。たとえば、断面の少なくとも2段階の拡大が、デフレクターチャネルの実質的に中空な円筒状セクションの前で放出方向に実現されるように、ノズルチャネルの導入開口をテーパー状セクションに配置できる。実現されるデフレクターチャネルの導入開口ノズルチャネルの断面積は、したがって、相対的に低減され、こうして、ノズルチャネルの排出開口から発生する切換ガスが適切に集中させられるとき、デフレクターチャネル内への急速な乱れのない流入が実現される。その実施に関して、目的は、ノズルチャネルからデフレクターチャネルに可能な限り多くの放出切換ガスが流入することである。これによって、高温ガススペース内のノズルチャネルの排出開口とデフレクターチャネルの導入開口との間の領域において乱流が低減される。デフレクターチャネルの少なくとも2段階の拡大によって、ノズルチャネルの排出開口の領域における高温スペース内に、絶縁ガス(これは、当初、僅かに渦を巻き、あるいは切換ガスと混じり合う)を蓄積することが可能である。これは、高温ガススペース内の絶縁ガスと、高温ガススペース内に自由に流入する切換ガスの分離をもたらす。必要ならば、この分離は、後に解除でき、あるいは高温ガススペースへの切換ガスの充填および排出のプロセス中、維持できる。
【0022】
スペースが、ノズルチャネルの排出開口が存在する高温ガススペースの壁と、導入開口を備えたデフレクター要素との間に設けられる。これによって、ノズルチャネルからデフレクター要素内へと切換ガスの自由な移動が可能となる。高温スペース内における過圧あるいは密集の場合、流入する切換ガスは、排出開口と導入開口との間のギャップを経て漏れ出すことができる。そうした場合、切換ガスおよび絶縁ガスはまた、切換ガスがデフレクターチャネルに流入する前に、かなりの程度まで混合される。
【0023】
さらに有利な実施形態によれば、上記テーパー状セクションは、ノズルチャネルに面する自由端部において、断面縮小部を構成してもよい。
【0024】
切換ガスのより選択的な案内を実現するために、テーパー状セクションは、ノズルチャネルに面するその端部において付加的な制限部を構成でき、これによって付加的なノズル狭窄部が形成される。このノズル狭窄部は、たとえば、ベンチュリノズルの様式で形成可能である。ノズル狭窄部は、デフレクターチャネルの導入開口の領域において流入する切換ガスの加速を、そして拡大する断面を備えたセクション内での、それに続く膨張を可能とする。このようにして、切換ガスを、特に、ノズルチャネルのノズル状排出開口とデフレクターチャネルのノズル状導入開口との相互作用で、絶縁ノズルの排出開口とデフレクター要素の導入開口との間のセクション内へ方向転換し、そして案内することができる。一方では、これによって、絶縁材ノズルから漏れ出す切換ガスのデフレクターチャネル内への好都合な方向変換が実現される。他方では、高温ガススペース内の切換ガス流の自由な案内によって、故障の場合に、ノズルチャネルの排出開口とデフレクターチャネルの導入開口との間の自由スペース内へ切換ガスが流れることが可能となる。これによって、たとえば、過圧の結果として、絶縁材ノズルの、あるいはデフレクター要素の、あるいは他のコンポーネントが損傷するリスクが低減される。
【0025】
さらなる有利な実施形態によれば、半径方向に整列させられた開口は、デフレクター要素のスリーブ面に配置されてもよい。
【0026】
デフレクター要素における開口の放射状配置によって、デフレクター要素の途中の貫通開口を経てデフレクターチャネルからガスを流出させ、そして放散させることが可能となる。切換ガスがほとんど完全にノズルチャネルからデフレクターチャネル内へと移送された後、それゆえ、たとえば、開口を経て半径方向に切換ガスの少なくとも一部を放出することを可能とすることが、したがってノズルチャネルの排出開口から距離をおいて配置された高温スペースのゾーンの急速な充填を実現することができる。
【0027】
有利なことには、傾斜衝突壁は少なくとも一つの開口と向き合って配置されてもよい。
【0028】
傾斜衝突壁は、半径方向に流出する消炎ガスが、空力的に効率のよい様式で方向転換されることを可能とする。衝突壁の傾斜構造によって、高温ガススペースの内部の流動抵抗を低減することができる。このようにして、たとえば、切換ガスの一部をデフレクター要素の半径方向開口を経て90度にわたって偏向させ、そして、衝突壁にぶつかった後、さらに90度にわたって方向転換させ、これによって、放出方向に対して切換ガスの少なくとも一部の180度反転を実現することが可能とされてもよい。衝突壁は、たとえば、それが、中空円錐台のインナースリーブ面のあるいはその他の好適な回転中実体の形態のデフレクター要素を取り囲むように設計でき、ここで、複数の放出ノズルが衝突壁の周面にリングの形態で配置される。
【0029】
さらに、有利なことには、上記開口は円筒状スリーブ面に配置されてもよい。
【0030】
円筒状セクションに開口を配置することによって、まず、デフレクターチャネルの拡大する断面領域において急速な放出を促進することが可能となる。流入する切換ガスは、したがって、その途中にほとんど一定に断面積を有する円筒状スリーブ表面を備えたセクションの領域における複数の開口を経て半径方向にデフレクターチャネルから流出するためにデフレクターチャネルの内部に依然として存在する間に安定する。半径方向における切換ガスの偏向と同様に、切換ガスの少なくとも一部が、導入開口と実質的に平行に整列させられたデフレクターチャネルの排出開口から放出方向をたどって流出してもよい。
【0031】
さらに有利な実施形態によれば、デフレクター要素は、絶縁材ノズルから離れる方向を向く、その端部において保持されてもよい。
【0032】
端部にデフレクター要素を設けることによって、ノズルチャネルの排出開口に面するデフレクター要素の領域を、高温ガススペース内に自由に突出させることが可能となる。この結果、当該領域は、機械的保持デバイスに関係なく、好適な空力的に効率のよい形状へと形成できる。特に、切換ガスが半径方向に噴出するとき、この切換ガスは、結果的に、もう一度、絶縁材ノズルに向かってデフレクター要素のアウタースリーブ側でフィードバックされる必要があり、この場合、たとえば、それはまた、互いに距離を置いて配置された絶縁材ノズルの排出開口とデフレクター要素の導入開口との間の配置された自由スペースを経てノズルチャネル内へと流入できる。したがって、ノズルチャネルに向かって戻るようにデフレクター要素のアウタースリーブ面に沿って反対方向にそれが流れることを可能とするために、事実上、乱流を伴わずに、デフレクターチャネル内へと絶縁材ノズルのノズルチャネルから切換ガスを供給することが、そしてそこで半径方向に切換ガスを転換することができる。有利なことには、戻り流を、拡大する断面を備えたセクションのアウタースリーブ面に沿って発生させることもでき、ここで、フィードバックのために当該領域における後続断面は放出方向とは反対の方向に拡大する。有利なことには、これは、デフレクター要素の回転対称形状によって実現でき、ここで、デフレクター要素の壁厚は、デフレクターチャネルの形状がデフレクター要素のアウタースリーブ面に反映されるように選択される。
【0033】
デフレクター要素における開口の数および開口のポジションに依存して、切換ガスがデフレクターチャネル内に流入する前に、高温ガススペース内に存在している低温絶縁ガスを、混じり合うことなく、高温切換ガスから、事実上、隔離することができる。この低温絶縁ガスの誘電特性は、したがって、高温切換ガスによって僅かな影響しか受けない。このスイッチ構造によって、望ましい消炎性能を実現できる。なぜなら、低温絶縁ガスは、中に供給された高温切換ガスによって高温ガススペースから押し出され、続いて、デフレクターチャネル内で偏向されるからである。
【0034】
デフレクター要素は、たとえば、接触部材に対して、一体的に接続されてもよい。だが、デフレクター要素は、ネジ式固定、溶接あるいはその他の好適な接合処理によって、開閉装置のさらなるアセンブリに対して連結されてもよい。同時に、デフレクター要素は、たとえば、導電性あるいは絶縁性を有することができる。
【0035】
さらに有利な実施形態によれば、高温ガススペースは、各場合に同軸状に整列させられた第1および第2の接触部材間に配置されてもよい。
【0036】
開閉装置(これは高い出力を切り換えるよう設計されている)は、たいてい、アーク接触部材および定格電流接触部材のセットを備える。そのために、定格電流接触部材およびアーク接触部材は互いに異なるように設計される。それゆえ、たとえば、アーク接触部材は好ましくはアークをガイドするように機能し、したがって適切な耐エロージョン表面領域を有する。定格電流接触部材(これはアーク接触部材によってアークに対して保護される)は、電流輸送能力に関して最適化できる。というのは、これら定格電流接触部材におけるアークの発生は、むしろ、起き難いからである。
【0037】
同時に、たいていは、スイッチオン操作の間、アーク接触部材の電気的接続がまず生じ、これに定格電流接触部材の接続が続き、そして、スイッチオフ操作の間、定格電流接触部材の分離がまず生じ、これにアーク接触部材の分離が続く。アーク接触部材の早めのおよび遅れた接続/分離のそれぞれによって、予備的フラッシュオーバーおよびスイッチオフアークは、好ましくは、アーク接触部材間でガイドされる。同時に、それぞれ関連付けられた定格電流およびアーク接触部材は互いに同軸状に整列させられてもよい。有利なことには、定格電流接触部材(これは、各場合に、開閉装置の切換状態に関係なく同じ電位を有する)は、アーク接触部材を取り囲む。同時に、アークおよび定格電流接触部材は、好ましくは、回転対称であるように設計され、この結果、アーク接触部材は関連付けられた定格電流接触部材によって取り囲まれ、ここで、高温ガススペースは、定格接触部材のインナースリーブ面とアーク接触部材のアウタースリーブ面との間に配置できる。そのために、高温ガススペースの隣接スリーブ面がそれぞれアークおよび定格電流接触部材によって相応に形成されるならば有利である。必要ならば、表面は、さらなるアセンブリによって適切に一時的にシールされる必要がある。同時に、高温ガススペースが二つの同軸状に整列させられた接触部材間に形成される場合、絶縁材ノズルの排出開口が、接触部材の一つに対して同軸状に、表面側において、高温ガススペース内へ開口しているならば有利である。
【0038】
有利な実施形態によれば、デフレクター要素は、接触部材の一方に対して、一体的に連結されてもよい。
【0039】
一体設計は、たとえば、接触部材およびデフレクター要素を、単一の鋳造プロセスで形成することを可能とする。したがって、たとえば、定格電流接触部材の一つがアルミニウム鋳造から少なくともセクションで形成されてもよい。型を適切に設計することで、デフレクター要素は接触部材と一体に設計できる。デフレクター要素は、少なくともセクションで、絶縁材によってさらに被覆されてもよい。だが、デフレクター要素の表面が絶縁材によって完全に形成されてもよい。
【0040】
さらに有利な実施形態によれば、デフレクター要素は、角度的に固定された様式で二つの接触部材を接続する連結要素に対して取り付けられてもよい。
【0041】
たとえば、第1および第2の接触部材は、アークおよび定格電流接触部材として設計でき、ここで、これら二つの接触部材は互いに関連付けられ、かつ、開閉装置の切換経路の「一方側」に存在する。この結果、二つの接触部材は、常に、開閉装置の切換ポジションに関係なく、同じ電位を有する。連結要素(これは二つの接触部材を一つに結び付ける)が、二つの接触部材を互いに位置決めするために、そしてそれらを互いに当接状態で支持するために設けられる。同時に、二つの接触部材の堅固な結合が実現されてもよい。だが、装置はカップリングの途中に配置されてもよく、これによって、二つの接触部材間の相対移動が可能となる。
【0042】
デフレクター要素は、それらが一体的に形成されるように、あるいは上記連結要素がリリース可能な連結部によって取り付けられるように、連結要素に対して連結されてもよい。
【0043】
さらに有利な実施形態によれば、ノズルチャネルの境界を画定する壁がデフレクターチャネル内に延在してもよい。
【0044】
有利なことには、ノズルチャネルは、回転対称構造を有することができる。同時に、ノズルチャネルは、特に、排出開口の領域に中空円筒構造体を有していてもよく、ここで、要素、たとえばアーク接触部材および/または補助ノズルは、絶縁材ノズル内に延在し、これによってノズルチャネルの中空円筒形状を実現している。この延在する要素は、ノズルチャネルの境界を画定する壁を形成し、かつ、有利なことにはまた、デフレクターチャネル内に突出して、少なくとも部分的にそれを通過することができる。有利なことには、当該要素は、デフレクターチャネルをその全長にわたって貫通すべきである。これによって、デフレクターチャネルの断面を調整することが可能となり、そして、切換ガスがノズルチャネルからデフレクターチャネル内へとオーバーフローするとき、壁が存在し、それに沿って高温の切換ガスが進むことができ、そして高温切換ガスは一方のチャネルから他方のチャネル内へと、たとえば、ノズルチャネルの排出開口のさらなるノズル状制限部およびデフレクターチャネルの導入開口のノズル状狭窄部によってムーズに通過できる。壁の適切な形状によって、さらに、デフレクターチャネルの断面内での給気の前進を支援できる。
【0045】
さらに有利な実施形態によれば、デフレクター要素は導電性を有していてもよい。
【0046】
デフレクター要素の導電設計によって、接触部材からデフレクター要素へと電位を移すことが、したがって、たとえば、同じ電位である壁間に無電界スペースを形成することが可能となる。これによって、部分的放電が生じるリスクを低減できる。デフレクター要素の導電設計と同様、これは、少なくとも部分的に絶縁素材によって被覆されてもよい。これは、高温切換ガスが流れ込むとき、高温ガススペースの内部での、厄介なガスのさらなる放出を促進し得る。だが、デフレクター要素は、必要とあれば、絶縁素材から完全に形成されてもよい。
【0047】
さらに有利な実施形態によれば、ノズルチャネルは、リングの形態の高温ガススペース内へと開口していてもよい。
【0048】
高温ガススペース内へのノズルチャネルのリング形状の開口によって、切換ガスの放出を支援することが可能となり、ノズルチャネルの排出開口から噴き出した後に可能な限り層状である流れが生じる。たとえば、この層状流は、リング形状チャネルへと絶縁ノズルチャネルを分割している壁に沿って広がることができる。デフレクターチャネル内への切換ガスの乱れのない移送は、この要素(これは、排出開口がリング形状開口として出現することを可能とする)がまたデフレクターチャネル内に延在する場合に補助できる。
【0049】
さらに有利な実施形態によれば、デフレクター要素はアウタースリーブ側で支持されてもよい。
【0050】
アウタースリーブ側でデフレクター要素を支持することによって、デフレクターチャネルの途中での、断面のほとんど自由に構成可能な設計が可能となる。デフレクター要素は、要素あるいは取り付けられた部品を設ける必要がなく、したがって、切換ガスの方向転換および案内に関して最適化できる。アウタースリーブ側でのサポートはまた、高温ガススペースの内部にデフレクターを設置することを容易にする。このようにして、たとえば、デフレクター要素は、さらなるアセンブリに対して一体的に接続できる。さらに、アウタースリーブ側での支持の結果、対向する端部に配置された排出開口から絶縁ノズルチャネルの導入開口への切換ガスの放出が実現できる。さらなるアセンブリ、たとえば、マージチャネル、オーバーフロー開口、バルブなどが、この領域に配置できる。
【0051】
本発明について、代表的実施形態に関して図面に大まかに示し、かつ、以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】デフレクター要素の第1の変形例を備えた開閉装置を通る断面図である。
【図2】二つの実施形態においてデフレクター要素の第2の変形例を備えた開閉装置を示す図である。
【図3】二つの実施形態においてデフレクター要素の第3の変形例を備えた開閉装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1、図2および図3は、各例に関して、同じように機能する開閉装置を示しているが、これらは、基本的に、高温ガススペース内に配置されたデフレクター要素の異なる構造に関して互いに異なっている。したがって、図1を参照し、実例として、開閉装置の基本構造について、まず説明する。図1に示す開閉装置に関する言及はまた、図2および図3に示す開閉装置にも同様に当てはまる。したがって、同じ作用を有するアセンブリは、図中で、同じ参照数字によって示している。
【0054】
開閉装置は図1に断面で示されている。開閉装置は、長手方向軸線1の周囲で延在する実質的に回転対称な構造を有する。開閉装置は切換経路2を有する。切換経路2は、第1のアーク接触部材5と第2のアーク接触部材6との間で延在している。第1の定格電流接触部材3および第2の定格電流接触部材4がアーク接触部材5,6とそれぞれ関連付けられている。定格電流接触部材3,4およびアーク接触部材5,6は、各場合において、長手方向軸線1に関して回転対称様式で形成され、かつ、長手方向軸線1に関して同軸状に配置されている。同時に、第1のアーク接触部材5は筒状構造を有するが、それは、第2のアーク接触部材6に面するその端部にベル形ブッシュを有する。したがって、第2のアーク接触部材6は、それが、電気的接触をしながら第1のアーク接触部材5のブッシュ内に移動できるように、ボルトの形態に設計されている。第2の定格電流接触部材4は、複数の接触フィンガーを有するが、これは弾性的に変形可能であり、かつ、第1の定格電流接触部材3と接触するために第1の定格電流接触部材3のスリーブ面に向かって動くことができる。
【0055】
第1の定格電流接触部材3と第1のアーク接触部材5とは互いに関連付けられている。第2の定格電流接触部材4および第2のアーク接触部材6も同様に互いに関連付けられている。関連付けられた接触部材は、常に、開閉装置の切換状態に関係なく、同じ電位を有する。
【0056】
定格電流接触部材3,4およびアーク接触部材5,6は、この定格電流接触部材3,4およびアーク接触部材5,6が互いに接触できるように、長手方向軸線1に沿って、互いに移動することができる。同時に、スイッチオン操作の間、アーク接触部材5,6は、定格電流接触部材3,4よりも前の、ある時点で、早めに互いに接触状態となる。スイッチオフ操作の間、定格電流接触部材3,5がまず分離し、アーク接触部材5,6がそれに続く。
【0057】
アーク接触部材5,6と定格電流接触部材3,4の接続および分離の時間のずれによって、スイッチオンあるいはスイッチオフアークがアーク接触部材5,6間で案内される。絶縁材ノズル7が、バーニングアークを有利に方向転換し、かつ、案内するために設けられる。絶縁材ノズル7はノズルチャネル8を有する。同時に、ノズルチャネル8は、回転対称であるように設計され、かつ、第2のアーク接触部材6によって一時的に閉塞できる狭窄部を有する。絶縁材ノズル7のノズルチャネル8は少なくとも部分的に切換経路2を取り囲み、かつ、長手方向軸線1に対して同軸状に整列させられる。絶縁材ノズル7は、第1の定格電流接触部材3上の、同一であるが対向するリセス内に角度的に固定された様式で設けられる周方向カラーを備えたアウタースリーブ側に取り付けられる。ネジ式固定具9が、第1の定格電流接触部材3上に絶縁材ノズル7を固定するために設けられる。
【0058】
第1のアーク接触部材5は、絶縁材ノズル7のノズルチャネル8内に延在しており、この結果、高温ガススペース10に面するノズルチャネル8のセクションはリングチャネルの形態に形成される。高温ガススペース10は、実質的に、中空円筒状収容スペースの形態に設計され、ここで、高温ガススペース10のアウタースリーブ面は第1の定格電流接触部材3によって境界が画定されており、かつ、インナースリーブ面は、第1のアーク接触部材5によって、そして、この第1のアーク接触部材5を取り囲む絶縁材によって境界が画定されている。第2のアーク接触部材6に面するその端部において、高温ガススペース10は、絶縁材ノズル7の表面によって、その正面側に関して、境界が画定されている。さらに、高温ガススペース10のこの正面側は、ネジ式固定具9と定格電流接触部材3の一部とによって境界が画定されている。連結要素11が、高温ガススペース10の対向する面端部に配置されている。連結要素11は、第1の定格電流接触部材3を第1のアーク接触部材5に対して、これらが互いに有効に接続されるように連結し、かつ、この連結要素11は二つの接触部材3,5間に導電接続をもたらす。長手方向軸線1の方向に延在するリセスが、連結要素11に配置されている。
【0059】
ノズルチャネル8内に延在している、第1のアーク接触部材5の領域は、絶縁材からなる補助ノズル12によって取り囲まれている。補助ノズル12の一つの壁は、特に、その実質的に中空円筒形態の領域において、ノズルチャネル8の境界を画定している。同時に、補助ノズル12は、第2のアーク接触部材6に向かって、第1のアーク接触部材5を越えて延在している。さらに、補助ノズル12はまた、高温ガススペース10の内部において第1のアーク接触部材5を少なくとも部分的に取り囲んでいる。リンク形排出開口13が絶縁材ノズル7の表面に配置されており、ここでノズルチャネル8は高温ガススペース内へと開口している。同時に、ノズルチャネル8のリング形セクションの絞りが、排出開口13の近傍に設けられており、これによってノズル狭窄部が排出開口13の領域に直に形成されている。この例では、絶縁材ノズル7は、ノズル狭窄部を形成するために、対応する半径方向内側指向モールディングを備える。ノズル作用は、排出開口13の領域において半径方向に拡大する補助ノズル12によって支援される。さらに、ノズルを形成するために、ノズルチャネル8の排出開口12の領域のさらなる設計もまた実施可能である。たとえば、突出ショルダー、ランプ、絞りあるいはその他の好適なモールディングを、ノズル作用を得るために、チャネル内に配置することが可能である。ノズルチャネル8の排出開口13から放出された切換ガスは、放出方向にデフレクター要素15aのデフレクターチャネル14a内に案内される。放出方向は長手方向軸線1と平行に延在している。
【0060】
図1は、デフレクターチャネル14aを備えたデフレクター要素15aの第1の変形例を示している。図2および図3に示すデフレクター要素15b,15cならびにデフレクターチャネル14b,14cの作動原理は各場合に関して同じである。構造的設計のみが互いに相違している。
【0061】
以下、デフレクター要素の作用について、図1を参照し、実例として説明する。
【0062】
デフレクターチャネル14aは、実質的に回転対称の中空構造を有し、かつ、長手方向軸線1に対して同軸状に配置されている。同時に、図1によれば、デフレクター要素15aは、第1の定格電流接触部材3に対する一体型接続部を有する。図1に基づくデフレクター要素15aは、排出開口13から離れる方向を向く、その端部において、第1の定格電流接触部材3に接続され、かつ、それによって保持されている。デフレクター要素15aおよび定格電流接触部材3の一体設計が、この例では実現されている。さらに、デフレクター要素15aはまた、代替様式で固定することもできる。デフレクター要素15aの内部に形成されたデフレクターチャネル14aは導入開口を有する。この導入開口は、排出開口13に面するデフレクター要素15aの端部に配置されている。同時に、デフレクター要素15aは、スロット形自由スペースが排出開口13aとデフレクターチャネル14aの導入開口との間に設けられるようなサイズとされている。このスロット形自由スペースは、たとえば、過剰な切換ガスを放出することを、そして切換ガスあるいは絶縁ガスが還流することを可能とする。排出開口13に面するその端部において、導入開口は同様に断面絞りを備えており、この結果、ノズルのノズル狭窄部がデフレクターチャネル14aの導入開口の領域に同様に形成されている。同時に、ノズルチャネル8の排出開口13におけるノズルの、そしてデフレクターチャネル14aの導入開口のノズルの方向は、互いに対向する方向に整列させられており、すなわち、排出開口13においてノズルを形成するために、排出開口13からの切換ガスの放出方向に連続的な絞りが設けられている。逆に、導入開口におけるノズル狭窄部は、デフレクターチャネル14aの断面が、このデフレクターチャネル14aの導入開口を基点として拡大するように対応して形成されている。
【0063】
ノズル作用の結果、排出開口13aから放出される切換ガスは、補助ノズル12のアウタースリーブ面に対して放出され、そしてデフレクターチャネル14a内へと補助ノズル12のアウタースリーブ面に沿って流れ込む。デフレクターチャネル14a内にはセクション16が存在するが、これは、切換ガスの放出方向に拡大する。同時に、当該セクションは、実質的に円錐台の形態のスリーブ面を備える。好ましくは、デフレクターチャネル14aのこのセクション16は、中空円錐台の形態に設計されるべきである。セクション16に接続されるのは中空円筒状セクションであり、これはデフレクターチャネル14aの概ね一定の断面積を提供する。セクション16および放出方向にその上流側に存在するノズル形状テーパーは、導入開口から中空円筒状セクションへの漏斗形状移行部を形成する。
【0064】
デフレクターチャネル14aの排出開口は、少なくとも部分的に、連結要素11によって覆われており、この結果、導入開口を経てデフレクターチャネル14a内に流入する高温切換ガスを、半径方向に整列した開口17によって、90度だけ半径方向外側に偏向させることも可能である。デフレクターチャネル14a内に流れ込む切換ガスの一部は、連結要素11の開口を経て、放出方向にさらに流動することができる。この例では、補助ノズル12は、それが部分的にデフレクターチャネル14aの境界を画定するようなサイズとされている。補助ノズルは、デフレクターチャネル14aが補助ノズル12のスリーブ面によってその全長にわたって境界が画定されるように寸法取りされてもよい。
【0065】
傾斜衝突壁18は、開口18の少なくともいくつかと関連付けられている。衝突壁18の傾斜配置は、デフレクターチャネル14aの内部へと放出方向に方向転換される切換ガスが開口17を経て半径方向外側に案内され、かつ、デフレクター要素15aのアウタースリーブ面に沿って反対方向に送り戻されるように、さらに90度だけ、半径方向外向きに案内される切換ガスの一部の偏向を支援する。
【0066】
図1において、切換ガスの流入は、長手方向軸線1上の、いくつかの矢印によって示されている。放出方向と逆の方向におけるデフレクター要素15aのアウタースリーブ面に沿った切換ガスの戻り流は長手方向軸線1の下方に示されており、この切換ガスは、所与のポイントにおいて放出開口13に再流入し、そして第2のアーク接触部材6に向かって還流する。
【0067】
図1から分かるように、デフレクター要素15aは、ここでは、実質的に一定の壁厚を有しており、この結果、デフレクターチャネル14aの形状はまた、デフレクター要素15aのアウタースリーブ面に反映される。
【0068】
切換ガスの流れの作用および機能の原理について以下で大まかに説明する。
【0069】
切換操作、特にスイッチオフ操作の際に、二つのアーク接触部材5,6間に切換アークが発生する。アークは、特にノズル狭窄部が第2のアーク接触部材6によって塞がれている間に、切換ガスを発生させる。これは、開閉装置内に存在する絶縁ガス、たとえば六弗化硫黄、窒素、あるいはその他の好適なガスあるいはガス混合物の加熱および膨張によって生じる。膨張した切換ガスの少なくとも一部は、ノズルチャネル8を経て高温ガススペース10へと供給される。同時に、高温切換ガスが、概ね、特にほとんど完全に、デフレクターチャネル14aの導入開口内へと方向転換されるように、排出開口13の領域において方向転換が生じる。低温の絶縁ガスは既に高温ガススペース10内に存在している。当初、高温切換ガスによって押しやられるこの低温ガスは、開口17を経て、デフレクターチャネル14aから押し出される。事象のさらに途中で、切換ガスは高温ガススペース10内に絶えず程度が増大しながら集中し、この結果、高温ガススペース10内の圧力が増大する。ノズルチャネル8のノズル狭窄部から障害物が除去されたとき、高温ガススペース10内に高圧で蓄えられたガスは流れ出すことができる。排出開口13を経た低温絶縁ガスの放出が流入する切換ガスによって今まで阻止されていたので、絶縁材ノズル8のノズル狭窄部から障害物が除去されたとき、高温切換ガスによって圧縮されていた、排出開口13と導入開口との間の自由スペースの領域内で保護された低温絶縁ガスは初めに放出される。これに続いては高温切換ガスの放出がなされる。
【0070】
高温ガススペース10内での低温絶縁ガスと高温切換ガスの混合は、高温ガススペース10内にデフレクター要素15aを配置することで制限できる。この結果、切換経路2を、初期に、絶縁材ノズル7の領域において、低温絶縁ガスで満たすことが可能である。低温絶縁ガスは、高温切換ガスに比べて、より優れた冷却・絶縁作用を有する。したがって、僅かな時間で、切換ガススペース内で高い圧力を実現することが、そして同時に、流入する高温切換ガスと高温ガススペース10内に存在する低温絶縁ガスとの制限された混合のみを許容することが可能である。
【0071】
図2は図1に示された開閉装置を図示しているが、ここでは、デフレクター要素15bの第2の変形例が高温ガススペース10内に示されている。デフレクター要素15bは第1の実施形態では長手方向軸線1の上方に、そして第2の実施形態では長手方向軸線1の下方に示されている。図2に基づくデフレクター要素15bは、実質的に円錐台の形態のアウタースリーブ面を有する。ここで、長手方向軸線1の上方に示された第1実施形態は、デフレクター要素15bの長さの大部分にわたって一定の壁厚を有し、この結果、図2に基づくデフレクターチャネル(これはデフレクター要素15bの内部で延在している)は、ほとんど連続的に拡大し、しかも中空円錐状形態を有する。排出開口13に面するその端部において、デフレクター要素15bは突出ショルダーを備え、導入開口の領域に直にノズル状狭窄部を備えたテーパー状セクションを実現している。図2に基づくデフレクター要素15bの第1実施形態においては、デフレクター要素15bは、第1の定格電流接触部材3に対して一体的に連結されている。開口17の形態および配置の変更も図示されている。
【0072】
長手方向軸線1上の第1実施形態の形態とは異なり、長手方向軸線1下方の第2実施形態はインナースリーブ側に段状拡大部19を備え、この結果、変形例を示す長手方向軸線下方の図2に基づくデフレクターチャネル14bは、段状拡大部19を形成する、二つの当接する中空円筒状セクションから形成されている。さらに、デフレクター要素15bの第2実施形態において、デフレクター要素15bのネジ式固定が実現され、ここで、このネジ式固定は、第1の定格電流接触部材3の突出ショルダー上で連結要素11と共になされる。長手方向軸線1の上方および下方の両実施形態における、そのデフレクターチャネルを備えたデフレクター要素15bの作用は、図1に関して説明したとおりである。
【0073】
図1および図2に基づくデフレクター要素15a,15bの設計は基本的に導電性材料で実現されているが、図3に基づく第3実施形態では、デフレクター要素15cの設計は絶縁部分として実現されている。同時に、図3に基づくデフレクター要素15cの一部が金属製補強材を備えてもよい。同様に、図1および図2のそれぞれに基づくデフレクター要素15a,15bは、絶縁材料からなるカバーを少なくとも部分的に備えてもよい。
【0074】
図3に基づくデフレクター要素15cの第3の変形例は、補助ノズル12上に存在するように設計される。この例では、一体成形接続部が補助ノズル12とデフレクター要素15cとの間に設けられる。絶縁材ノズル12のアウタースリーブ面はデフレクター要素15cを、したがってまたデフレクターチャネル14cを完全に通過する。絶縁材ノズル12がデフレクター要素15c内に部分的に延在するだけでもよい。デフレクター要素15cによって取り囲まれた図3に基づくデフレクターチャネル14cはリング構造を有する。同時に、デフレクターチャネル14cの連続拡大部が、長手方向軸線1上方の第1実施形態に設けられる。繰り返すが、突出ノーズ(これは導入開口の領域に直にノズル狭窄部の形態のテーパーを構成する)は、デフレクター要素15cの切換ガス導入開口の領域に設けられる。デフレクター要素15cは、デフレクターチャネル14cの内部に配置されたストラットによって補助ノズル12上で支持されている。
【0075】
長手方向軸線1下方に示すデフレクター要素15cの第2実施形態において、アウタースリーブ側には円錐台の形状のスリーブ面が設けられ、一方、デフレクター要素15c(これはデフレクターチャネル14cの境界を画定する)のインナースリーブ側は二つの当接する実質的に中空円筒状セクションによって境界が画定されており、ここで、小さな断面を備えた一方のセクションから、より大きな断面を備えた他方のセクションへと、段状拡大部19が存在する。デフレクター要素15cを支持するためのストラットは、好ましくは、デフレクターチャネル14cの二つの中空円筒状セクション間の段差領域に配置されるべきである。
【0076】
図1および図2に示す構造とは異なり、排出開口13から離れる方向に面するデフレクターチャネル14cの端部において、高温ガススペース10の前面壁からスペースが設けられている。
【0077】
好ましい実施形態を用いて本発明を図示説明してきたが、本発明は開示された例に限定されるものではなく、当業者であれば、その他の変形例をそこから見出すことは可能である。特に、デフレクターチャネルの、そしてデフレクター要素の形状だけでなく、開口の形状の変形例が考えられる。だが、好ましくは、ノズルポジションの、そして排出開口12の、そしてデフレクターチャネル14a,14b,14cの導入開口のアライメントによって、排出開口から放出される切換ガスが、補助ノズル12のスリーブ面あるいは第1のアーク接触部材5のスリーブ面に当たって長手方向軸線1へと可能な限り半径方向内側に案内されるように、したがってデフレクターチャネルの導入開口の対向するように向けられたノズル狭窄部内に移送されるように、ノズル作用が互いに向き合う方向に整列させられることに固執すべきである。
【符号の説明】
【0078】
1 長手方向軸線
2 切換経路
3 第1の定格電流接触部材
4 第2の定格電流接触部材
5 第1のアーク接触部材
6 第2のアーク接触部材
7 絶縁材ノズル
8 ノズルチャネル
9 ネジ式固定具
10 高温ガススペース
11 連結要素
12 補助ノズル
13 リンク形排出開口
14a,14b,14c デフレクターチャネル
15a,15b,15c デフレクター要素
16 セクション
17 開口
18 傾斜衝突壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中にデフレクターチャネル(14a,14b,14c)を備えたデフレクター要素(15a,15b,15c)が配置された高温ガススペース(10)内へと開口するノズルチャネル(8)を備えた切換経路(2)を少なくとも部分的に取り囲んでいる絶縁材ノズル(7)を有する開閉装置であって、
前記高温ガススペース(10)内へと放出方向に前記ノズルチャネル(8)から放出される消炎ガスは、前記デフレクターチャネル(14a,14b,14c)内へと方向転換されるようになっており、前記デフレクターチャネル(14a,14b,14c)は、前記放出方向に拡大する断面を有するセクション(16)を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記セクション(16)は、円錐台形状のスリーブ面によって境界が画定されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記セクション(16)は、ステップ状様式で拡大する円筒状のスリーブ面によって境界が画定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ノズルチャネル(8)は、排出開口(13)の領域において断面が縮小していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記セクション(16)は、実質的に円筒状のスリーブ面とテーパー状セクションとの間で移行部を形成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記テーパー状セクションは、前記ノズルチャネル(8)に面する自由端において断面縮小部を構成していることを特徴とする請求項5に記載の開閉装置。
【請求項7】
半径方向に整列させられた開口(17)が、前記デフレクター要素(15a,15b,15c)のスリーブ面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項8】
傾斜衝突壁(19)が少なくとも一つの開口(17)に対向して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の開閉装置。
【請求項9】
前記開口(17)は前記円筒状のスリーブ面に配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の開閉装置。
【請求項10】
前記デフレクター要素(15a,15b,15c)は、前記絶縁材ノズル(8)から離れる方向を向く、その端部において保持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項11】
高温ガススペース(10)が、各場合に同軸状に整列させられた第1および第2の接触部材(3,5)間に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項12】
前記デフレクター要素(15a,15b,15c)は、前記接触部材(3)の一つに対して一体的に連結されていることを特徴とする請求項11に記載の開閉装置。
【請求項13】
前記デフレクター要素(15a,15b,15c)は、角度的に固定された様式で、前記二つの接触部材(3,5)を連結する連結要素(11)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の開閉装置。
【請求項14】
前記ノズルチャネル(8)の境界を画定する壁が前記デフレクターチャネル(14a,14b,14c)内へと延在していることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項15】
前記デフレクター要素(15a,15b,15c)は導電性を有することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項16】
前記ノズルチャネル(8)は、リングの形態の前記高温ガススペース(10)内へと開口していることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項17】
前記デフレクター要素(15a,15b,15c)は、前記アウタースリーブ側で支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517679(P2012−517679A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549503(P2011−549503)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050826
【国際公開番号】WO2010/091944
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】