説明

切換装置及びその切換装置を有する電子機器

【課題】接続部が同一であっても、ホスト機器が対応する規格を判定し、ホスト機器に接続して使用される電子機器の設定を切換えることが可能な切換装置及びその切換装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施の形態に係る切換装置50及びその切換装置を有する電子機器20は、第1の規格または第2の規格に対応する前記ホスト機器の接続手段と接続される接続部30からの信号によりホスト機器10の規格を判別し、接続部30が同一であってもホスト機器10の規格に応じてその設定を切換えることができる。従って、電子機器20はホスト機器10の規格に対応した設定で動作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト機器と接続可能な電子機器の設定を切換える切換装置及びその切換装置を有する電子機器に関し、特にホスト機器と接続することで当該ホスト機器の規格を判定しその規格に応じて電子機器の設定を切換える切換装置及びその切換装置を有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子機器は商用電源のコンセントから個別に電力を取得して動作する。しかしながら、相互に接続可能な電子機器が増加するにつれ、接続に必要なケーブルの本数が増加し、接続が煩雑となったり外観が見苦しいなどの問題が生じてきた。このため、特に音響、映像機器の分野や、パーソナルコンピュータ等の情報通信機器等の分野で、信号の送受信を1本のケーブルで行なう電子機器が多く商品化されている。そして近年、信号の送受信のみならず電力供給をも1本のケーブルで行なう電子機器も、一部の低消費電力の電子機器で商品化されている。
【0003】
信号の送受信と電力供給を1本のケーブルで行なう接続の例としては、近年パーソナルコンピュータを中心に広く普及したUSB(Universal Serial Bus)接続がある。ただし、従来のUSB2.0規格もしくはUSB1.1規格(以後、USB1.1/2.0規格と記す)では、電力供給を受ける電子機器側の最大消費電流値が500mAに制限されており、この電流値を超えると電力供給を行なう例えばパーソナルコンピュータであるホスト機器に不具合が生じる可能性がある。よって、ホスト機器には、この最大消費電流値を超過しないための保護回路を備えているものが多い。この保護回路の一例として電流検出機能付きの電源スイッチICを用いたものがある。この電流検出機能付きの電源スイッチICを用いた保護回路では、規定された最大消費電流値を超えると電子機器への電力供給を停止する。しかしながら、瞬時に電子機器への電力供給が停止されると、電子機器の側が悪影響を受ける恐れがある。従って、電力供給を受ける電子機器においても規定された最大消費電流値を超えないよう制御されることが好ましい。
【0004】
ここで、下記[特許文献1]には電力供給を車両のバッテリから受けるかUSBケーブルを介して受けるかによって自身の消費電流を変化させるナビゲーション装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−115721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に開示されている発明では、電力の供給源毎に接続部を有し、どちらの接続部から電力が供給されているかによって供給源を判別する。このため、接続部が同一で供給電力の規格が異なる場合、その規格を判別することは困難である。
【0007】
特に上記のUSB接続では、最大消費電流値900mAまでの電力供給を行うことが可能なUSB3.0規格が登場した。このUSB3.0規格は、USB1.1/2.0規格と互換性があり、USB1.1/2.0規格と接続部を共用することができる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、接続部が同一であっても、ホスト機器が対応する規格を判定し、ホスト機器に接続して使用される電子機器の設定を切換えることが可能な切換装置及びその切換装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)ホスト機器10と接続して使用される電子機器20の設定を切換える切換装置において、
第1の規格または第2の規格に対応する前記ホスト機器の接続手段と接続されるとともに、前記第1の規格及び前記第2の規格に対応する接続部30と、
前記接続部30からの信号に基づいて、前記接続部30が接続されている前記ホスト機器10の前記接続手段が対応する規格が、前記第1の規格及び前記第2の規格の内、いずれの規格であるかを判定する判定部32と、
前記判定部32の判定結果に応じて前記電子機器20の設定を切換える切換部34と、
を有することを特徴とする切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)前記接続部30は前記ホスト機器10と接続される複数の端子を有しており、
前記判定部32は前記複数の端子の内の特定の端子の電位に基づいて前記接続手段が対応する規格を判定することを特徴とする上記(1)記載の切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)前記判定部32は、前記特定の端子の電位が、前記特定の端子が開放されているときの電位である開放電位である場合、前記接続手段は前記第1の規格に対応していると判定し、前記特定の端子の電位がグラウンド電位である場合、前記接続手段は前記第2の規格に対応していると判定することを特徴とする上記(2)記載の切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)前記切換部34は、前記判定部32によって前記接続手段は前記第1の規格に対応していると判定された場合、最大消費電流が第1の電流を超えない設定に前記電子機器を設定し、前記判定部32によって前記接続手段は前記第2の規格に対応していると判定された場合、最大消費電流が前記第1の電流よりも大きい第2の電流を超えない設定に前記電子機器20を設定することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)前記第2の規格は、前記第1の規格よりも高速に通信することが可能な規格であり、
前記複数の端子は前記第1の規格に対応する、第1の端子群、及び、前記第2の規格に対応する第2の端子群を含み、
前記特定の端子は前記第2の端子群が有する複数の端子の内のデータ通信用のグラウンド端子であることを特徴とする上記(2)乃至(4)のいずれか1項に記載の切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(6)前記第1の規格はUSB1.1規格またはUSB2.0規格であり、
前記第2の規格はUSB3.0規格であることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の切換装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(7)上記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の切換装置50を有する電子機器20を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
ホスト機器と接続する接続部からの信号によりホスト機器の規格を判別し、接続部が同一であってもホスト機器の規格に応じて、ホスト機器と接続して使用される電子機器の設定を切換えることができる切換装置及びその切換装置を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る切換装置及び電子機器を示すブロック図である。
【図2】USBコネクタの端子配列を説明する図である。
【図3】本発明に係る切換装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明に係る切換装置及び電子機器を記録媒体用のドライブに適用した一実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る切換装置及び電子機器をパワードスピーカに適用した一実施の形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る切換装置及びその切換装置を有する電子機器の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1に示す本実施の形態に係る電子機器20は本発明に係る切換装置50を有している。そして、切換装置50は、ホスト機器10と接続される接続部30と、接続部30からの信号に基づいて接続されているホスト機器10の接続手段が対応する規格を判定する判定部32と、判定部32の判定結果に応じて電子機器20の設定を切換える切換部34と、を有している。なお、一例として切換装置50が電子機器20に内蔵されている場合について説明するが、切換装置50は必ずしも電子機器20に内蔵されていなくてもよく、切換装置50は、電子機器の20の外部から電子機器20の設定を切換えてもよい。例えば、切換装置50は、電子機器20が切換装置50を介してホスト機器10と接続されている状態で、電子機器20の設定を切換えてもよい。
【0013】
ホスト機器10と接続部30とは所定の規格に準拠したケーブル14を介して接続される。ここでの接続規格の例としては、前述のUSB接続の他、D端子接続、HDMI(High Definition Multimedia Interface)接続等が挙げられる。尚、本例ではホスト機器10から電力供給を受ける電子機器20に搭載され、USB接続のUSB3.0規格とUSB1.1/2.0規格とを判別する例を用いて説明を行うが、本願はこれに限定されるものではない。尚、上記のUSB接続の規格を判別する例においては、ホスト機器10はパーソナルコンピュータや、USB接続が可能なオーディオ・ビジュアル機器等となる。また、電子機器20はUSB接続を介してホスト機器10側から電力の供給を受けるハードディスク、記録媒体用ドライブ、プリンタ、音響装置、表示装置、ファン等の機器となる。
【0014】
先ず、USB3.0規格のコネクタ形状を図2を用いて説明する。尚、図2ではケーブル14側のコネクタ形状を示すものであり、接続部30側のコネクタ形状は図2に示すものと対応する形状となる。
【0015】
ここで、図2(a)はAタイプのUSBコネクタの外観図である。また、図2(b)は、AタイプのUSB3.0規格のコネクタの各端子の配列を接続部側から見た図である。また、図2(c)は、図2(b)のT−T断面図である。尚、AタイプのUSBコネクタはホスト機器10側の接続に多く用いられる。また、図2(d)はBタイプのUSBコネクタの外観図である。また、図2(e)は、BタイプのUSB3.0規格のコネクタの各端子の配列を接続部側から見た図である。尚、BタイプのUSBコネクタはデバイス側、即ち、本願における電子機器20側の接続に多く用いられる。
【0016】
図2(b)、(c)より、AタイプのUSB3.0規格のコネクタの各端子は上下2段に形成されており、図2中下段の右から左へ端子P1〜端子P4が配置され、図2中上段の左から右へ端子P5〜端子P9が配置されている。また、図2(e)より、BタイプのUSB3.0規格のコネクタの各端子は上部と下部とに形成されており、下部には図2中の左上から時計回りに端子P1〜端子P4が配置され、上部には図2中の右から左へ端子P5〜端子P9が配置されている。
【0017】
そして、端子P1は電源供給端子(VBUS)であり、また端子P4は電源用GND端子である。また、端子P2、P3はUSB1.1/2.0規格のデータ通信のための信号用端子である。また、端子P5、P6、及び端子P8、P9、はUSB3.0規格のデータ通信のための高速信号用端子である。また、端子P7はUSB3.0規格の高速信号用グラウンド(GND)端子(GND DRAIN)である。尚、上記のように端子P1〜端子P4はUSB1.1/2.0規格に準拠しており、USB3.0の規格はUSB1.1/2.0の規格に対し上位互換性を備えている。そして、USB3.0規格のケーブル14をUSB1.1/2.0規格のホスト機器10の接続手段に接続した場合、端子P5〜P9は全てOPEN(開放電位)となる。
【0018】
接続部30はこれらの端子と対応する複数の端子を有している。特に、上記のUSB接続における接続部30は、USB1.1/2.0規格の端子P1〜端子P4に対応する第1の端子群と、第1の端子群よりも高速通信が可能なUSB3.0の規格の端子P5〜端子P9に対応する第2の端子群とを備えている。第2の端子群は第1の端子群よりもデータ通信に使用する端子が多いため、高速通信が可能となっている。
【0019】
次に、切換装置50の動作を説明する。先ず、切換装置50の接続部30とホスト機器10とをUSB3.0規格に準拠したケーブル14で接続する。
【0020】
切換装置50がホスト機器10に接続されると、図3のステップS100に示すように切換装置50の動作がスタートする。次に、判定部32は接続部30の特定の端子の電位を取得する(ステップS102)。このときの特定の端子はUSB3.0規格用の端子P5〜P9とする。ここで仮に、ホスト機器10が第1の規格であるUSB1.1/2.0規格のものであった場合、USB3.0規格用の端子P5〜P9は全て開放電位となる。また、ホスト機器10が第2の規格であるUSB3.0規格のものであった場合、端子P5、P6、及び端子P8、P9には所定の信号もしくはその信号に応じた電位となる。また、端子P7はグラウンド電位となる。判定部32は取得した特定の端子の電位を判定し(ステップS104)、その電位が開放電位であればホスト機器10の接続手段が第1の規格であるUSB1.1/2.0規格に対応すると判定する(ステップS200)。また、その電位が開放電位以外であればホスト機器10の接続手段が第2の規格であるUSB3.0規格に対応すると判定する(ステップS300)。尚、端子P5、P6、P8、P9はデータ通信用端子のため電位はその都度変化するが、端子P7はグラウンド電位で一定である。従って、判定部32はUSB3.0規格の高速信号用グラウンド端子である端子P7の電位を判別して、その電位が開放電位であればホスト機器10の接続手段をUSB1.1/2.0規格と判定し、グラウンド電位であればホスト機器10の接続手段をUSB3.0規格と判定することが最も好ましい。
【0021】
切換部34は判定部32の判定結果に応じて電子機器20の設定を切換える。例えば、判定部32がホスト機器10の接続手段を第1の規格であるUSB1.1/2.0規格と判定すると、切換部34はその判定結果を受けて電子機器20の設定を第1の電流である最大消費電流値500mAを超えない第1の規格に対応した設定に切換える(ステップS202)。また、判定部32がホスト機器10の接続手段を第2の規格であるUSB3.0規格と判定すると、切換部34は電子機器20の設定を第1の電流よりも大きい第2の電流である最大消費電流値900mAを超えない第2の規格に対応した設定に切換える(ステップS302)。そして、切換装置50の判定動作及び切換動作は終了する(ステップS108)。
【0022】
次に、切換部34が切換える設定の一例として、電子機器20がDVD等の記録媒体用のドライブ20aの場合を図4に示す。電子機器20がドライブ20aの場合、判定部32がホスト機器10の接続手段をUSB1.1/2.0規格と判定すると、切換部34はドライブ20aの消費電流値が500mAを超えないようにするために、制御部40の書込速度設定部42を操作し書き込み速度設定を例えば4倍速設定に切換える。また、判定部32がホスト機器10の接続手段をUSB3.0規格と判定すると、切換部34は書込速度設定部42を操作して、書き込み速度設定を4倍速設定のときよりも書き込み速度が速くなり、かつ、消費電流値が大きくなる8倍速設定に切換える。これにより、ドライブ20aのドライブユニット44は、ホスト機器10の接続手段がUSB1.1/2.0規格に対応する場合には4倍速設定で書き込み動作を行い、ホスト機器10の接続手段がUSB3.0規格に対応する場合には8倍速設定で書き込み動作を行う。つまり、切換部34は、ホスト機器10の接続手段がUSB3.0規格に対応する場合には、ホスト機器10の接続手段がUSB1.1/2.0規格に対応する場合よりも早い書き込み速度の設定にドライブ20aを設定する。
【0023】
ここで、一般的なDVDドライブでは、特に書き込み時の回転速度が速くなると消費電流が上昇する。これは、回転速度が上がることによりモータの消費電力が増加することに加えレーザ出力も増大するためである。従って、ホスト機器10側の規格に応じて書き込み速度設定を切換えることで、ホスト機器10がUSB1.1/2.0規格であってもUSB3.0規格であっても、電子機器20(ドライブ20a)はその規格における最大の能力で動作することができる。また、ホスト機器10側の規格に応じて書き込み速度設定を切換えることで、その最大消費電流をホスト機器10側の規格で定められた値未満に抑えることができる。
【0024】
次に、本願の切換装置50及び電子機器20をUSB接続のパワードスピーカに適用した一実施の形態を図5示す。電子機器20としてのパワードスピーカ20bは、切換装置50と、パワードスピーカ20bの各部を制御する制御部24と、ユーザがパワードスピーカ20bを操作するための操作部25と、を有している。また、パワードスピーカ20bは、ホスト機器10から供給される電力の電流値を検出する電流検出部21と、ホスト機器10から入力するLチャンネル、Rチャンネルのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するデジタル/アナログ変換部22と、音声出力の音量を増減する音量調整部23と、制御部24の制御によりアナログ音声信号のレベルをそれぞれ制限する電流制限部26a、26bと、アナログ音声信号をそれぞれ増幅するパワーアンプ27a、27bと、アナログ音声信号をそれぞれ音声として出力するLチャンネルスピーカSPK(L)、RチャンネルスピーカSPK(R)と、を有している。
【0025】
次に、パワードスピーカ20bの動作を説明する。先ず、パワードスピーカ20bの接続部30とホスト機器10とをUSB3.0規格に準拠したケーブル14を介して接続する。接続部30がホスト機器10に接続されると、切換装置50の判定部32が接続部30の端子P7の電位を判別する。そして、判定部32は端子P7の電位が開放電位であればホスト機器10をUSB1.1/2.0規格と判定する。また、グラウンド電位であればホスト機器10をUSB3.0規格と判定する。
【0026】
切換部34は、判定部32がホスト機器10をUSB1.1/2.0規格と判定すると、制御部24の設定を最大消費電流値が500mAであるUSB1.1/2.0規格のものに切換える。また、判定部32がホスト機器10をUSB3.0規格と判定すると、制御部24の設定を最大消費電流値が900mAであるUSB3.0規格のものに切換える。
【0027】
これと並行して、接続部30の端子P1にはホスト機器10からの電力がケーブル14を介して供給される。供給された電力は切換装置50を含む電子機器20の各部に供給される。また、電流検出部21はホスト機器10から供給される電力の電流値を検出し制御部24に出力する。尚、図5においては電源ラインの記載は省略する。
【0028】
またこれと並行して、接続部30の端子P2からはホスト機器10から出力されたLチャンネルのデジタル音声信号が入力する。また、接続部30の端子P3からはホスト機器10から出力されたRチャンネルのデジタル音声信号が入力する。尚、本例ではホスト機器10がUSB3.0規格のものであっても、ホスト機器10からのデジタル音声信号は端子P2、P3から入力するものとする。
【0029】
端子P2、P3から入力したLチャンネル、Rチャンネルのデジタル音声信号は、デジタル/アナログ変換部22に入力し、ここでアナログ音声信号に変換される。変換されたアナログ音声信号は音量調整部23に入力する。音量調整部23は制御部24によって制御され、例えばユーザが操作部25を操作して出力音声の増減指示を行なうと、制御部24はその指示に応じて音量調整部23の増幅量もしくは減衰量を変化させる。これにより、音声出力の音量が増減する。
【0030】
音量調整部23から出力したLチャンネル、Rチャンネルのアナログ音声信号はそれぞれパワーアンプ27a、27bで増幅される。パワーアンプ27a、27bで増幅されたアナログ音声信号は、LチャンネルスピーカSPK(L)、RチャンネルスピーカSPK(R)からそれぞれ音声として出力される。
【0031】
ここで、判定部32がホスト機器10をUSB1.1/2.0規格と判定し制御部24の設定がUSB1.1/2.0規格となっている状態で、電流検出部21からの電流値が500mAを超えた場合、制御部24は電流制限部26a、26bを制御して端子P1からの供給電力の電流値を最大消費電流値である500mA以下とする。また、判定部32がホスト機器10をUSB3.0規格と判定し制御部24の設定がUSB3.0規格となっている状態で、電流検出部21からの電流値が900mAを超えた場合、制御部24は電流制限部26a、26bを制御して端子P1からの供給電力の電流値を最大消費電流値である900mA以下とする。
【0032】
尚、電流制限部26a、26bが動作しても、電流検出部21からの電流値が設定された規格の最大消費電流値を超える場合、制御部24は音量調整部23を制御して音声出力の音量をさらに減少させることで供給電力の電流値をその規格の最大消費電流値以下とする。
【0033】
ここで、パワードスピーカ20bのパワーアンプ27a、27bなどの電源効率を仮に80%とすると、最大消費電流値が500mAであるUSB1.1/2.0規格では、その出力は最大約2Wである。これに対し、最大消費電流値が900mAであるUSB3.0規格では、その出力を約1.8倍の最大3.6Wに向上することができる。つまり、ホスト機器10の最大消費電流値に応じてパワードスピーカ20b自身の最大消費電流の上限値を切換えることで、ホスト機器10がUSB1.1/2.0規格であってもUSB3.0規格であっても、パワードスピーカ20bはその規格における最大の出力で動作することができる。
【0034】
以上のように、本実施の形態に係る切換装置50及びその切換装置50を有する電子機器20は、接続部30の特定の端子、特にUSB接続においては高速信号用グラウンド端子である端子P7の電位により、ホスト機器10の規格を判別する。このため、接続部30が同一であっても容易な回路構成でホスト機器10の規格を判定することができる。
【0035】
また、その判定結果に応じて電子機器20の設定を変更する。従って、特にUSB接続ではホスト機器10がUSB1.1/2.0規格であってもUSB3.0規格であっても、電子機器20はその規格における最大の能力で動作することができる。さらに、ホスト機器10の規格に応じて電子機器20自身の最大消費電流の上限値の切り換えを行なうことが可能なため、いずれの規格であっても規定された最大消費電流値を超えることが無い。よって、ホスト機器10、電子機器20、双方を安定して動作させることができる。
【0036】
尚、上記の切換装置50は一例であるから、ドライブ20a、パワードスピーカ20bの構成は無論のこと、切換装置50の各部の構成、動作、規格の判定方法等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。例えば、電力供給可能な機器であればホスト機器はパーソナルコンピュータでなくても良く、本発明の切換装置及びその切換装置を有する電子機器は電力供給可能な様々な機器に対応することができる。また、USB規格を例に説明したが、電力供給及びデータ通信が可能な規格であれば、どのような規格でもよい。
【0037】
また、切換部34が、ホスト機器10の接続手段が対応する規格に応じて、電子機器20の最大消費電流に関する設定を切換える例を説明したが、切換部34が切換える電子機器20の設定は電子機器20の最大消費電流に関する設定に限らない。
【0038】
例えば、ホスト機器10の接続手段が対応する規格に応じてデータの通信速度も変わるため、例えば、電子機器20が表示装置であり、ホスト機器10から電子機器20へ映像データが送信され、表示装置がその映像データに基づく映像を表示する場合、規格に応じた通信速度の違いにより、映像の画質が異なる場合がある。そのような場合、切換部34は、ホスト機器10の接続手段が対応する規格に応じて、表示装置の画質調整に関する設定を切換えてもよい。
【0039】
また、接続部の端子の電位に基づいて規格を判定する構成としたが、これに限らず、データの通信速度によって規格を判定してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 ホスト機器
20 電子機器
30 接続部
32 判定部
34 切換部
50 切換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト機器と接続して使用される電子機器の設定を切換える切換装置において、
第1の規格または第2の規格に対応する前記ホスト機器の接続手段と接続されるとともに、前記第1の規格及び前記第2の規格に対応する接続部と、
前記接続部からの信号に基づいて、前記接続部が接続されている前記ホスト機器の前記接続手段が対応する規格が、前記第1の規格及び前記第2の規格の内、いずれの規格であるかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて前記電子機器の設定を切換える切換部と、
を有することを特徴とする切換装置。
【請求項2】
前記接続部は前記ホスト機器と接続される複数の端子を有しており、
前記判定部は前記複数の端子の内の特定の端子の電位に基づいて前記接続手段が対応する規格を判定することを特徴とする請求項1記載の切換装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記特定の端子の電位が、前記特定の端子が開放されているときの電位である開放電位である場合、前記接続手段は前記第1の規格に対応していると判定し、前記特定の端子の電位がグラウンド電位である場合、前記接続手段は前記第2の規格に対応していると判定することを特徴とする請求項2記載の切換装置。
【請求項4】
前記切換部は、前記判定部によって前記接続手段は前記第1の規格に対応していると判定された場合、最大消費電流が第1の電流を超えない設定に前記電子機器を設定し、前記判定部によって前記接続手段は前記第2の規格に対応していると判定された場合、最大消費電流が前記第1の電流よりも大きい第2の電流を超えない設定に前記電子機器を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切換装置。
【請求項5】
前記第2の規格は、前記第1の規格よりも高速に通信することが可能な規格であり、
前記複数の端子は、前記第1の規格に対応する第1の端子群、及び、前記第2の規格に対応する第2の端子群を含み、
前記特定の端子は前記第2の端子群が有する複数の端子の内のデータ通信用のグラウンド端子であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の切換装置。
【請求項6】
前記第1の規格はUSB1.1規格またはUSB2.0規格であり、
前記第2の規格はUSB3.0規格であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の切換装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の切換装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−203781(P2011−203781A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67786(P2010−67786)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】