説明

切断装置の速度コントロールをするための方法

【課題】
堆積マガジンの過充填を回避するために、印刷物の供給が不規則であっても、堆積体マガジンのバッファキャパシティをいつでも十分にするように、切断装置の速度をコントロールする。
【解決手段】
切断装置(1)が、印刷物(3)を切断するための切断機構(12)と、この切断機構(12)に印刷物(3)を供給するための供給装置(4)とを備え、切断の前に、印刷物(3)から、印刷物(3)の堆積体(10)が構成され、構成すべきそれぞれ1つの堆積体(10)の印刷物(3)が検出され、それぞれ構成すべき堆積体(10)の最後の印刷物(3)の到着時点に基づいて、構成すべき堆積体(10)が時間窓(25)内で切断機構(12)に供給されるように、切断機構(12)の実サイクル数(T)がコントロールされる、切断装置(1)の速度コントロールをするための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置が、印刷物を切断するための切断機構と、この切断機構に印刷物を供給するための供給装置とを備え、切断の前に、印刷物から、堆積装置内に印刷物の堆積体が構成され、構成すべき堆積体の印刷物が、供給装置の第1の移送要素上を相前後して搬送される、切断装置の速度コントロールをするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本、ペーパーバック、雑誌等の製品のようなおおまかに綴じられた印刷物は、綴じ後、綴じられてない三方のエッジを仕上げ寸法に断裁される。このような製品の産業的製造時に、仕上げプロセスにとって必要な機械は、大抵はシリアルに互いに連鎖させられている。この場合、まず、プリントされた印刷紙が、丁合機械に供給され、この丁合機械によって未固定のブックブロックに丁合される。次いで、未固定のブックブロックが綴じ機に移送され、この綴じ機において、ブックブロックが、背の領域を綴じられ、綴じられた印刷物が、使用された接着剤の硬化が行なわれる搬送ベルトによって切断装置に搬送される。切断装置の後には、例えばスタッカ、フィルムラッピング機及び紐掛け機のような別の機械を配設することができる。
【0003】
機械及び移送装置の速度が互いに同調されている場合でも、特に綴じ機と切断装置間の搬送ベルト上で、不規則な移送が生じるが、これは、例えば、瑕疵のある印刷物が排出され、操作員によってサンプルコピーが取り出され、再び供給されるか、印刷物が、方向転換部において堰き止められるからである。これにより、印刷物が特に切断装置に不規則に供給されることになる。
【0004】
三方断裁機を有するこのような切断装置は、例えば特許文献1に公開されている。但し、このような装置は、達成可能なサイクル数が本質的に他の機械の最大に達成可能なサイクル数以下であるとの欠点を備える。しかしながら、この欠点は、印刷物を切断装置の切断機構に積み重ねて供給することによって補正することができる。この場合、切断すべき堆積体の高さもしくは堆積体ごとの印刷物の数は、切断機構の前に配置された給紙装置によって発生させられ、堆積体は、給紙装置によって切断機構に供給される。給紙装置は、綴じ機から供給された印刷物を堆積させるマガジンと、所定の高さを有する堆積体又は所定の数の印刷物をマガジンから下に押し出し、切断機構に移送する押出しシステムとを有する。マガジンの過充填を回避するために、三方断裁機のサイクル数は、綴じ機の平均的能力に基づいて必要なものよりもいくらか高く調整される。これにより、マガジン内の充填高さが連続的に低下する。
【0005】
マガジンの空運転を防止するため、マガジンの充填状態が監視される。最低許容充填状態時には、押出しが中断され、再び十分な充填状態に達するまで、切断機構の1つ又は複数の空サイクルが導入される。選択的に、空サイクルの導入の代わりに、切断装置を停止してもよい。このような装置は、厚い印刷物を処理する場合に有効性が実証されている。しかしながら、薄い印刷物の場合は、堆積体での正確な切断が不確実であり、これにより、故障及び機械停止に至ることがある。
【0006】
この問題を回避するため、切断装置の他の実施形において、マガジン内にカウントされた堆積体が構成され、この堆積体が、次いで切断機構に挿入される。挿入中、別の印刷物の供給は中断しなければならない。このため、切断装置のマガジンの前に、滞留コンベヤを設けることができる。この形式の装置の場合も、切断機構のサイクル数は、滞留コンベヤの過充填を回避するために、平均的に必要な再空数よりも若干な高く選択することができる。この場合、時々、空サイクルを発生させるか、切断機構を停止することができる。カウント工程により、薄い印刷物をも有する正確な堆積体を得ることができる。しかしながら、滞留コンベヤによって生じる能力制限が欠点である。即ち、印刷物は、滞留自体の後、吸引ベルトによって迅速に十分に加速させることはできない。別の欠点は、敏感な表面を有する印刷物に滞留コンベヤによるストレスマークが生じ得ることにある。
【0007】
特許文献2では、切断装置のサイクル数を切断装置の堆積マガジンに単位時間毎に供給される印刷製品に依存して自動的にコントロールすることが提案される。これにより、異形の製品流であるにもかかわらず、切断装置の十分に故障のない運転が可能になる。この方法によれば、確かに空サイクルの数を最小化することはできるが、完全に回避することはできない。この方法は、比較的低い速度で装填される切断装置に適している。速い製品供給では、製品供給の中断後の装填の再開時に、滞留が生じることになるが、これは、切断装置が、停止から生産速度へと比較的低い加速しか備えないからである。
【0008】
特許文献3に示された装填装置により、供給される印刷物の流れが不連続で極端に速い場合でも切断物の数の選択を保証する切断装置に装填することができる。このため、装填装置は、印刷物の供給および搬出によって自動的に制御される上下に配設された2つの堆積体の底を有する計数マガジンを有する。計数マガジンの下に配設された挿入装置により、印刷物から成る一体の堆積体が、サイクルを同期させて切断セルに供給可能である。制御は、マガジンに配設された、ブックブロックを検出するためのセンサの信号を利用するが、第1のセンサがマガジンの直前に配設され、第2のセンサが下の堆積体の底に配設され、第3のセンサが、供給テーブルに配設されている。堆積体毎のサンプルの数に依存して、計数マガジンは、異なった運転モードで運転可能である。
【0009】
特許文献4には、同様に、計数マガジンの前に鱗分離装置が配置された、計数マガジンを有する切断装置が記載されている。これにより、鱗流の形態で供給される薄い製品を確実に処理可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第3302946号明細書
【特許文献2】独国特許第3920557号明細書
【特許文献3】欧州特許第0887157号明細書
【特許文献4】独国特許第10321370号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底にある課題は、堆積マガジンの過充填を回避するために、印刷物の供給が不規則であっても、堆積体マガジンのバッファキャパシティをいつでも十分にするように、切断装置の速度をコントロールすることにある。加えて、印刷物は、その表面を大事に取り扱うべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、構成すべきそれぞれ1つの堆積体の印刷物が検出され、それぞれ構成すべき堆積体の最後の印刷物の検出の時点に基づいて、堆積体が時間窓内で切断機構に供給されるように、切断機構の実サイクル数がコントロールされることを特徴とする、切断装置の速度コントロールをするための方法によって解決される。
【0013】
特に、構成された堆積体は、供給装置の第2の移送要素上を切断機構に向かって搬送される。この場合、時間窓は、構成された堆積体を第2の移送要素に供給するために使用可能な最長の時間と使用可能な最短の時間間の差として計算される。
【0014】
好ましい実施例では、構成された堆積体が、第2の移送要素の挿入器によって切断機構に搬送され、計算された時間窓から、オフセット時間のための最大値と最小値が計算され、切断機構への堆積体の搬送が、オフセット時間の経過後に行なわれる。切断機構の実サイクル数が計算され、相応に調整されることにより、供給される印刷物の速度に対する切断機構のできるだけ連続的な適合の実施を保証することができる。
【0015】
好ましい実施例では、切断機構の実サイクル数が、構成すべき堆積体の最後の印刷物の到着時間に基づいてコントロールされる。この場合、切断機構の実サイクル数のコントロールは、この実サイクル数をこれまでのサイクル数に対して減少させる又は増加させることによって行なうことができる。構成すべき堆積体の最後の印刷物の供給が著しく遅延した場合、好ましいことに、切断機構の少なくとも1つの空サイクルが挿入され、切断機構の実サイクル数が増加させられる。
【0016】
好ましい実施例では、供給装置の第1の移送要素上の印刷物の速度が、印刷物の長さに依存して、切断機構の実サイクル数に依存せずに調整される。この場合、印刷物は、切断装置に、その前に配置された処理機械から供給することができ、切断装置の切断機構の公称サイクル数が、処理機械によって設定される。
【0017】
次に、図面に関係させて、本発明を実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】印刷物の三方を断裁するための切断装置の概略図
【図2】連続的な製品供給が行なわれるときの時間経過を含めたグラフ
【図3】製品供給を増加させたときの時間経過を含めたグラフ
【図4】製品供給を減少させたときの時間経過を含めたグラフ
【図5】製品供給を著しく減少させたときの時間経過を含めたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、移送装置2によって、印刷物3を、移送方向Fに、その前に配置された、例えば印刷物を製造するための綴じ機、取出し装置又は給紙装置のような処理機械33から供給される切断装置1を示す。この場合、印刷物3は、処理機械33から直接供給される必要はなく、切断装置1への供給前に、例えば中間貯蔵することができる。切断装置1により、印刷物3は、開放した3つのサイドエッジを、仕上げ寸法に断裁される。処理機械33と切断装置1間に配設された移送装置2は、もっとも簡単な場合には、連続した搬送ベルトによって構成され、これら搬送ベルト上を、印刷物3が個々に相前後して移送される。高い生産能力を有する装置の場合は特に、移送装置2は、例えば鱗状配列装置及び脱鱗状配列装置、排出ポイント及び分配ポイント、アドレッシング装置及びカーブ要素のような付加的な装置を備えることができる。
【0020】
移送装置2は、印刷物3を、個々に相前後して切断装置1の供給装置4に供給するが、この供給装置は、ここではベルトコンベヤとして形成された第1の移送要素26を備え、この第1の移送要素は、コントロール可能なモータMによって駆動可能である。第1の移送要素26の前に配置された移送要素2の速度は、印刷物3の長さと処理機械33のサイクル数に依存して、移送装置2上の連続する印刷物3間のスペースができるだけ僅かになるように選択される。これにより、供給される印刷物3の周波数は、上側を制限されている。例えば光学的な検出のための連続する印刷物3間のスペースの画像を保証するため、第1の移送要素26の速度は、移送装置2の速度よりも常に高い。
【0021】
第1の移送要素26により、印刷物3は、2つの平面上に配設された上の堆積スライダ7と下の堆積スライダ8とを有する垂直な堆積シャフト6によって構成された堆積装置5に供給される。対で配設された堆積スライダ7,8は、二重矢印Dの方向に、印刷物3が抑留される閉位置と、印刷物3が解放される開位置との間を変位可能である。もっとも下の印刷物3のストレスマークを回避するため、堆積スライダ7,8は、開放時、付加的に垂直に下に向かって加速される。堆積装置5により、印刷物3は、ある程度の時間の間、一時的に貯蔵することができる。堆積シャフト6は、下側を、移送テーブルの形態の第2の移送要素9によって制限され、この第2の移送要素上に、堆積装置5によって、多数の印刷物3から構成される堆積体10が、上から供給される。
【0022】
第2の移送要素9上を、堆積体10は、同様に二重矢印Dの方向に前後に変位可能なプッシャ11によって切断装置1の切断機構12の図示してない切断テーブル上に移送される。次いで、堆積体10は、切断テーブルと、同様に図示してないプレスプレートとの間に挟まれる。この位置で、堆積相10は、フロントカッタ13によってフロントエッジを断裁され、サイドカッタ14によって両サイドエッジを断裁されるが、切断順序は、逆に行なってもよい。プレスプレートを取り外した後、仕上げ断裁された堆積体10は、第1のコンベヤ15と後続の第2のコンベヤ16とによって搬出方向Aに搬出される。これにより、切断テーブルが、断裁すべき次の堆積体10を収容するために自由になる。
【0023】
特に、プッシャ11は、モータMによって駆動され、フロントカッタ13とサイドカッタ14は、共にモータMによって駆動され、第1のコンベヤ15はモータMによって、第2のコンベヤ16はモータMによって駆動される。別のモータMは、切断装置1の主駆動装置を構成する。この主駆動装置は、例えば切断テーブル上の整向機構、移送装置等のような、切断装置1の言及してない全ての機構を駆動し、モータM1〜5のためのマスタ駆動装置を構成する。
【0024】
モータM1〜6は、相応の駆動コントローラA1〜6と接続された回転角制御式のモータとして形成されている。駆動コントローラA1〜6は、制御信号を交換するために制御装置17と接続されている。選択的に、駆動コントローラA1〜6は、制御装置17の一部として形成してもよい。制御装置17の出力部は、上の堆積スライダ7のための図示してない操作手段と接続され、制御装置17の入力部は、光バリヤL1〜3及びセンサ24と接続されている。
【0025】
光バリヤLは、第1の移送要素26の始端に配設され、光バリヤLは、第1の移送要素26の終端に配設されている。光バリヤLは、光バリヤLの後に配設され、これら両光バリヤL,L間の間隔30は、少なくとも移送方向Fの印刷物3の長さに一致する。
【0026】
方法を、図2〜5に関係させて以下で詳細に説明する。以下の例は、全て、堆積体内の印刷物3の切断の3つの実例に関する。しかしながら、これらの例は、一般的に有効であり、1つの堆積体10は、少なくとも1つの印刷物3によって構成される。処理機械33は、所定のサイクル数Tで生産を行ない、これにより、切断装置1に対して、処理機械33のサイクル数Tの三倍の公称サイクル数Tと、サイクル時間tが得られる。連続的な運転で、切断装置1の供給装置4に、断裁すべき印刷物3が、移送装置2によって同様に連続的に供給される。
【0027】
光線、即ち光バリヤLは、搬送される印刷物3によって周期的に中断される。これにより、光線が中断された場合の暗期18と、光線の領域内に印刷物3が存在しない場合の明期19とを有する信号が生じる。付属の時間ダイアグラムが、図2の上に図示されており、それぞれ1つの暗期18と明期19から構成されるパルス20が、それぞれ構成すべき堆積体10の通し番号を付与された印刷物3に一致する。カッコ内の記載は、1つの堆積体10の番号を示し、添え字の数が、堆積体10内の印刷物3の番号を示す。従って、番号(n+1)を有するパルス20は、番号(n+1)を有する堆積体10内に番号2を有する印刷物3に対応する。
【0028】
堆積体10毎の印刷物3の数と、連続するパルス20間の時間とを含めて、制御装置17は、切断装置1の付属の実サイクル数Tもしくは機械サイクルZを計算し、モータMを、駆動コントローラAによって相応の回転数で駆動する。これにより、光バリヤLによってパルス20が連続的に発生された場合に、公称サイクル数Tに一致する実サイクル数Tでの切断装置1の同様に連続的な作動が生じる。実サイクル数Tは、上側を最大サイクル数TMAXによって制限され、下側を最小サイクル数TMINによって制限される。
【0029】
供給装置4の第1の移送要素26の速度は、制御装置17によって、制御装置17とって既知の、移送方向Fの印刷物3の長さに基づいて計算され、モータMが、駆動コントローラAによって必要な回転数で駆動されるが、第1の移送要素26の速度は、下側を制限されている。これにより、一方では、供給装置4内の印刷物3間に十分に大きい隙間を構成することが得られ、他方では、堆積装置5に印刷物3を(投込み式で)供給する際に最低速度を下回らないことが得られる。供給装置4内の印刷物3の製品追跡のため、第1の移送要素26の駆動ホイール21には、図1に図示したように、サムホイール23と、制御装置17と接続されたセンサ24とから構成されたクロックジェネレータ22が設けられている。選択的に、モータMに既に統合された回転角センサも、この目的のために使用可能である。
【0030】
光バリヤLと製品追跡装置による印刷物3の検出により、制御装置17は、いつでも、光バリヤLに対して相対的な第1の移送要素26上の印刷物3の位置と、光バリヤL2と光バリヤL3間の間隔31を進むために印刷製品3が必要とする時間tもしくは印刷物3が堆積シャフト6に到着するまでの時間とを計算する状況にある。加えて、制御装置17は、光バリヤLによる、構成すべき堆積体の最後の印刷物3の検出後、下の堆積スライダ8上に仕上がった堆積体10が構成されるまでに必要な、最低限必要な時間tと、下の堆積スライダ8が適時に再び次の堆積体10を構成するために準備が整うように、下の堆積スライダ8が開放されるまでに最大限使用可能な時間tとを計算することができる。時間tと時間tによって構成される時間窓25内で、下の堆積スライダ8が開放され、従って、堆積体10が、第2の移送要素9によって上から供給されなければならない。
【0031】
他方で、プッシャ11は、下の堆積スライダ8が開放された場合には、後方の終端位置27に存在しなければならず、堆積体10が第2の移送要素9上に存在する場合に初めて、その前進運動の開始を許される。プッシャ11の運動経過29が、図2〜図5に図示されているが、プッシャ11は、堆積体10を上から供給することができるその後方の終端位置27と、堆積体を完全に切断テーブル上に移送した前方の終端位置28との間を変位可能である。その後方の終端位置27で、プッシャ11は、静止時間tの間停止しているが、この静止時間tは、機械サイクルZの一定の割合に一致する。
【0032】
堆積体10が時間tの間に上から供給され、降下時間t後、第2の移送要素9に直接達した場合に、プッシャ11が押込みを開始することができる、考えうるもっとも早い時点tが生じ得る。堆積体10が時間tの間に上から供給され、同時に、プッシャ11がその後方の終端位置27に達し、プッシャ11が後方の終端位置27に留まっている静止時間tの経過後、プッシャ11が押込みを開始することができる、考えうる最も遅い時点tsが生じ得る。
【0033】
従って、プッシャ11が堆積体10の押込みを開始することができる領域Bは、式B=t−t+t−tにより計算することができる。制御装置17は、光バリヤLの傍らを、それぞれ構成すべき堆積体10の最後の印刷物3がそれぞれ通過する際に、プッシャ11の押込み運動の開始までのオフセット時間tOffset=t+t+t+t(tは、選択すべき有利な時間である(下記参照))を計算し、押込み運動の開始を正確にオフセット時間tOffset後に行なうことができるように、切断機構12の実サイクル数Tもしくは機械サイクルZを修正する。印刷物3の短期間に増加させた供給速度又は低下させた供給速度に対応できるように、時間tをB/2にほぼ等しく選択する場合が有利である。
【0034】
光バリヤLの傍らを、構成すべき堆積体10も最後の印刷物3がそれぞれ通過する際、制御装置17は、計算した時間tを、測定した時間tと比較し、偏差が生じた場合には、切断機構12の押込み運動の開始を領域B内の狙った箇所で行なうことができるように、切断機構12の実サイクル数Tを修正する。加えて、堆積シャフト6への印刷物3の到着時点の測定により、堆積スライダ7,8は、時間的に正確に制御することができる。
【0035】
経過を、番号n,n,nを有する3つの印刷物3から成る堆積体10により説明する。番号n及びnを有する印刷物3が、光バリヤLによって検出され、パルス20(n)及び20(n)を発生させる。番号nを有する印刷物3の前縁が光バリヤLに達した場合、時間t,t,t,t,t及びtが算定される。これから、制御装置17が、引き続きオフセット時間tOffsetを計算する。選択的に、時間t,t,t,t,t及びtのための値のいくつかは、定数として制御装置17のメモリ内に保管し、ここから読み出すことができる。tのための値は、例えば、1つの同一の堆積装置5への堆積体10の降下時間tが構造に依存して常に同一の値を有する場合に、一定であると評価することができる。
【0036】
切断装置1の切断機構12が現在の実サイクル数Tで更に作動される場合に、時間tOffsetの経過後、プッシャ11が押込み運動を開始するとの計算が行なわれた場合、実サイクル数Tは、一定のままである。他の場合には、実サイクル数Tは、更なる説明で詳細に述べるように適合される。
【0037】
図3は、番号n1〜3を有する3つの印刷物3が、高いカデンスで到着する、従って、構成すべき番号nを持つ堆積体10の番号nを有する第3のもしくは最後の印刷物3が、前の機械サイクルZ(n−2)の場合よりも早く到着する場合を示す。制御装置17により、番号nを有する次の堆積体10を時間tOffsetの経過後に同期させたサイクルで押し込むために、プッシャ11が引き続き準備を整えられるまで、実サイクル数Tが増加させられる。これは、結果として、番号(n−1)を有する堆積体10のための機械サイクルZ(n−1)が機械サイクルZ(n−2)に対して短縮されるとのことを生じさせる。
【0038】
図4は、番号n1〜3を有する3つの印刷物3が、低いカデンスで到着する、従って、構成すべき番号nを持つ堆積体10の番号nを有する第3のもしくは最後の印刷物3が、前の機械サイクルZ(n−2)の場合よりも遅く到着する場合を示す。制御装置17により、番号nを有する次の堆積体10を時間tOffsetの経過後に同期させたサイクルで押し込むために、プッシャ11が引き続き適時に準備を整えられるまで、実サイクル数Tが低下させられる。これは、結果として、番号(n−1)を有する堆積体10のための機械サイクルZ(n−1)が機械サイクルZ(n−2)に対して延長されるとのことを生じさせる。実サイクル数Tの増加又は減少によって、構成すべき堆積体10の最後の印刷物3の非常に早い又は非常に遅い到着時点を補正することが可能でないのなら、切断機構12は、複数の機械サイクルにわたって、増加又は低下させた実サイクル数Tで駆動される。多数の印刷物3を備える堆積体10を処理する場合には、構成すべき堆積体10の、最後の印刷物3に対して先行する印刷物3も光バリヤLによって検出し、この信号の評価によって既に実サイクル数Tをコントロールすることも考えられる。
【0039】
図5には、算定した実サイクル数Tが最小サイクル数TMINよりも低くなるまで遅延されて、堆積体10の番号nを有する第3のもしくは最後の印刷物3が光バリヤLによって検知される場合が図示されているが、しかしながらこれは可能でない。この場合、実サイクル数Tが増加させられ、プッシャ11が、少なくとも1つの機械サイクルZの間にその後方の終端位置27に抑留され、これにより、切断機構12が、少なくとも1つのいわゆる空サイクルを機械サイクルZleer内で実施する。空サイクルでは、プッシャ11が、その後方の終端位置27に留まり、フリントカッタ13とサイドカッタ14を駆動するためのモータMが、引き続き1つの機械サイクルの期間の間停止される。連続する複数の空サイクルの後、印刷物3がもはや切断機構12内に存在しない場合、切断機構12の全ての駆動装置は、停止させることができる。実サイクル数Tは、tOffsetの経過後にプッシャ11が押出し運動を開始するように計算される。この例では、これが可能でない。それは、実サイクル数TがTMAXよりも大きくなり、従って、TMAXに限定されたままだからである。これは、結果として、予め図示した経過と比べて、時間tがコントロール偏差Rだけ大きくなるとのことを生じさせる。図1〜4に図示したようないわゆる「標準ケース」については、コントロール偏差Rは値「0」を有する。光バリヤLによる番号(n+1)を有する印刷物3の検出後には、tOffsetの経過後にプッシャ11が押込みを開始するように、実サイクル数TEが新しく計算される。機械サイクルZ(n+1)以降、時間tの値は、再び狙った値にされ、切断装置1は、一定の実サイクル数T=Tで生産を行なうことができる。
【0040】
この方法は、単純化すれば、切断すべき堆積体10が非常に遅く構成された場合には、切断機構12の実サイクル数Tが増加させられ、少なくとも1つの空サイクルが発生される、印刷物3を事前に検出し、かつ、供給される印刷物3に応じて切断機構12の実サイクル数をコントロールすることによる切断装置1の切断機構12の同期方法と、言い換えることができる。クロックジェネレータ22と光バリヤL及び光バリヤLにより、制御装置17は、印刷物3が第1の移送要素26上に存在するか、印刷物3が第1の移送要素26上のどこに存在するかを確定する状態にある。これは、切断装置1及び/又は移送装置2が停止した場合に、移送要素26を、当初の速度で空で運転するか、非常に低い速度で印刷物3が堆積装置5に供給されないように迅速に停止させるかを可能にする。第1の移送要素26の停止後に未だ印刷物3が第1の移送要素26上に存在する場合には、第1の移送要素26は、印刷物3が光バリヤLによって検出されるまで、逆方向に駆動することができる。
【0041】
移送方向Fへの第1の移送要素26の再起動後、その上に存在する印刷物3に続いて、大きい加速区間が使用可能となるので、堆積装置5への(投込み式の)供給は、全速力で行なうことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 切断装置
2 移送装置
3 印刷物
4 供給装置
5 堆積装置
6 堆積シャフト
7 上の堆積スライダ
8 下の堆積スライダ
9 第2の移送要素
10 堆積体
11 プッシャ
12 切断機構
13 フロントカッタ
14 サイドカッタ
15 第1のコンベヤ
16 第2のコンベヤ
17 制御装置
18 暗期
19 明期
20 パルス
21 駆動ホイール
22 クロックジェネレータ
23 サムホイール
24 センサ
25 時間窓
26 第1の移送要素
27 後方の終端位置
28 前方の終端位置
29 プッシャの運動経過
30 間隔
31 間隔
33 処理機械

駆動コントローラ
駆動コントローラ
駆動コントローラ
駆動コントローラ
駆動コントローラ
駆動コントローラ
光バリヤ
光バリヤ
光バリヤ
モータ
モータ
モータ
モータ
モータ
モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断装置(1)が、印刷物(3)を切断するための切断機構(12)と、この切断機構(12)に印刷物(3)を供給するための供給装置(4)とを備え、切断の前に、印刷物(3)から、堆積装置(5)内に印刷物(3)の堆積体(10)が構成され、構成すべき堆積体(10)の印刷物(3)が、供給装置(4)の第1の移送要素(26)上を相前後して搬送される、切断装置(1)の速度コントロールをするための方法において、
構成すべきそれぞれ1つの堆積体(10)の印刷物(3)が検出され、それぞれ構成すべき堆積体(10)の最後の印刷物(3)の検出の時点に基づいて、堆積体(10)が時間窓(25)内で切断機構(12)に供給されるように、切断機構(12)の実サイクル数(T)がコントロールされることを特徴とする方法。
【請求項2】
構成された堆積体(10)が、供給装置(4)の第2の移送要素(9)上を切断機構(12)に向かって搬送され、時間窓(25)が、構成された堆積体(10)を第2の移送要素(9)に供給するために使用可能な最長の時間(t)と使用可能な最短の時間(t)間の差として計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
構成された堆積体(10)が、第2の移送要素(9)の挿入器(11)によって切断機構(12)に搬送され、計算された時間窓から、オフセット時間(tOffset)のための最大値と最小値が計算され、切断機構(12)への堆積体(10)の搬送が、オフセット時間(tOffset)の経過後に行なわれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
切断機構(12)の実サイクル数(T)が、構成すべき堆積体(10)の最後の印刷物(3)の到着時間に基づいてコントロールされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
切断機構(12)の実サイクル数(T)のコントロールが、この実サイクル数をこれまでのサイクル数に対して減少させる又は増加させることによって行なわれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
構成すべき堆積体(10)の最後の印刷物(3)の供給が著しく遅延した場合、切断機構(12)の少なくとも1つの空サイクルが挿入され、切断機構(12)の実サイクル数(T)が増加させられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
供給装置(4)の第1の移送要素(26)上の印刷物(3)の速度が、印刷物(3)の長さに依存して、切断機構(12)の実サイクル数(T)に依存せずに調整されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
印刷物(3)が、切断装置(1)に、その前に配置された処理機械(33)から供給され、切断装置(1)の切断機構(12)の公称サイクル数(TN)が、処理機械(33)によって設定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−40046(P2013−40046A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172614(P2012−172614)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(502200092)ミュラー・マルティニ・ホルディング・アクチエンゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】