説明

切断装置

本発明は、上部ナイフの第一の切断ブレード(2)および下部ナイフの第二の切断ブレード(3)、並びに少なくとも二の回転可能に駆動可能なカムシャフト(10,11)を有する駆動装置を有する切断装置(1)であって、前記カムシャフトが連結要素(8,9)により少なくとも第一の切断ブレードと接続されており、その際、連結要素(8,9)のうち少なくとも一が、長さ可変で調節可能であるよう形成されている切断装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、特に薄板を切断するためのものであって、請求項1の上位概念に記載のものに関する。さらに本発明は、請求項8の上位概念に記載の薄板を切断するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板を切断するための切断装置は先行技術より公知である。その際、切断ブレードを備えており、この切断ブレードが、駆動される動作によりスウィング動作中に互いに相対的に移動可能な切断装置が公知である。
【0003】
特許文献1は、ある切断装置を開示しており、この切断装置においては、第一の切断ブレードと第二の切断ブレードを用いて切断過程が実施される。第二の切断ブレードはその際、往復動作のための装置を備えており、その結果、第二の切断ブレードは自身の切断エッジと共に切断平面内で可動である。この為、切断ブレードは連結肢とリンクを使って可動に保持されかつ駆動される。
【0004】
同じく特許文献2は、ある切断装置を開示しており、この切断装置においては、第一の切断ブレードと第二の切断ブレードを用いて切断過程が実施され、その際、同時に、第二の切断ブレードには往復動作のための装置が備えられており、その結果第二の切断ブレードは、自身の切断エッジと共に切断平面内で可動である。更にこの為、切断ブレードは連結肢とリンクを使って可動に保持されている。比較可能な装置が特許文献3および4により開示されている。
【0005】
特許文献5はある切断装置を開示しており、この装置においては、切断ブレードはレバーを介して偏心ローラに連結されており、偏心ローラの回転により切断ブレードは可動である。特許文献6は、比較可能な、偏心ローラを介する切断ブレードのリンクを開示している。
【0006】
これらの切断装置においては、切断ブレードのガイドが、リンクを介し、レバーと偏心ローラを用いて固定され設けられている。その結果、変更された切断形状は可能とならず、それゆえさまざまな薄板厚さは、切断装置上で加工されることができないか、理想的な加工を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 2345596 A
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 2746402 A
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 2122855 A
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 1777014 A
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許 DE 2510881
【特許文献6】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 2329096 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、これを用いて不定の切断形状が可能となり、それゆえ不定の板厚を有する薄板を加工することが可能である切断装置および方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従い、この課題は、装置に関し請求項1の特徴により解決される。方法に関する課題は、請求項8の特徴により解決される。
【0010】
この為、切断装置は本発明に従い、上部ナイフの第一の切断ブレードおよび下部ナイフの第二の切断ブレードを備えており、少なくとも二つの回転可能に駆動可能なカムシャフトを有する駆動装置を有し、このカムシャフトは連結要素により少なくとも第一の切断ブレードと接続されており、その際、連結要素のうち少なくとも一つが、長さ可変で調節可能であるよう形成されている。
【0011】
同時に、本発明に従い、カムシャフトと切断ブレードの間の両方の連結要素が、長さ可変で調節可能であると有利である。
【0012】
本発明に従い、少なくとも一つの連結要素が、連結要素の長さを調節するための調節要素を備えると、さらに有効である。
【0013】
有利な実施例において、調節要素がスクリューロッドまたはスクリュースピンドルと、少なくとも一つ、好ましくは二つのスクリューキャップを備えると、有効である。その際、スクリューロッドまたはスクリュースピンドルと、スクリューキャップは、互いに相対的に回転可能であり、その結果、連結要素の長さ変更が行われる。その際、調整は、機械式または電気式に制御され、例えば電動モーターまたは圧力媒体モーターを用いて行われてもよい。
【0014】
更なる有利な実施例において、調節要素が、ピストンとシリンダを有するピストン・シリンダユニットを備えると有効である。ピストン・シリンダユニットは有利には、圧力媒体により付勢され、その結果、例えばハイドロリックオイル、空気等のような圧力媒体の付勢によってピストン・シリンダユニットの調整が互いに相対的に行われることが可能であり、長さ変更が可能である。
【0015】
別の有利な実施例において、調節要素が、偏心し調節可能なリンクをカムシャフトに備えると有効である。
【0016】
その際、偏心し調節可能なリンクがカムシャフト上に調節可能なリングまたは領域を備え、このリングまたは領域が、回転可能に可変な連結要素のリンクをカムシャフト上に備えると有利である。リンクの回転により、連結要素のカムシャフト領域における回転支点は調節され、その結果この回転支点はカムシャフトの回転軸から遠方または近くに調節可能である。
【0017】
方法に対する課題に関して、この課題は、上部ナイフの第一の切断ブレードおよび下部ナイフの第二の切断ブレード、並びに少なくとも二の回転可能に駆動可能なカムシャフトを有する駆動装置を有する切断装置を制御する方法であって、前記カムシャフトが連結要素により少なくとも第一の切断ブレードと接続されており、その際、連結要素(8,9)のうち少なくとも一が、長さ可変で調節可能である方法により解決される。
【0018】
その際、 両方の連結要素が互いに独立し、異なるように各自の長さが調整可能であると有効である。
【0019】
さらに有利な構成は、下位の請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る切断装置の図
【図2】本発明に係る切断装置の図
【図3】本発明に係る切断装置の図
【図4】本発明に係る切断装置の図
【図5】本発明に係る切断装置の図
【図6】本発明に係る切断装置の図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を、一実施例に基づき図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る切断装置1の図である。切断装置1は、第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3を備えており、その際、両切断ブレード2,3は、各切断ナイフ4,5を備えている。これら切断ナイフは、切断ブレード2,3のキャリア6,7と連結されている。第一の切断ブレード2は、上部ナイフの一部を形成し、第二の切断ブレード3は下部ナイフの一部を形成している。切断工程を実施するために、切断ブレード2は、連結要素8,9を介して各カムシャフト10,11と接続されている。その結果、カムシャフト10,11の回転により、切断ブレード2の図示された矢印に従う動作が引き起こされる。第一の切断ブレード2の動作は、線動作と回転動作が重ね合わせられた動作として行われる。第二の切断ブレード3は、好ましくは、動かせないよう固定されているが、他の実施例では可動であってもよく、かつカムシャフトを介して可動で操作可能に形成されていてもよい。
【0023】
カムシャフト10,11は自身の各軸12,13周りを回転可能に支承されており、連結要素8,9は、カムシャフトの回転軸12,13に関して偏心して関節状につながれている。その結果、カムシャフト10,11の回転により連結要素8,9が移動され、カムシャフト10,11へと第一の切断ブレード2へのその関節状の連結に基づいて、切断ブレード2は相応して動かされる。カムシャフトの回転および駆動のため、図示されていない駆動装置が設けられている。
【0024】
連結要素8,9はコネクティングロッドとしても形成され、本発明に係る調節要素14,15,16を備える。この調節要素によって、連結要素8,9は自身の長さを変化させ、調節を受けることが可能である。連結要素8,9の長さの調節可能なバリエーションによって、ナイフあるいは上部ナイフ可動台の切断ブレード2が、上部切断部分における(im Uberschnitt)切断動作中の変化を受けることが可能である。この調節可能性と上部切断部分の変化する性質によって、切断エッジの改善が達成される。板厚がより大の薄板を切断する際に、切断エッジにおけるより少ない薄板変形が達成される。また、より大な板厚の場合の薄板終端部のそりとせん断曲がり(Scheboegen)を避けることも可能となる。
【0025】
連結要素10,11の長さを調節することにより、第一の切断ブレードの、上部ナイフの高さのような高さが達成され、それによってナイフの侵入深さの改善が達成される。連結要素8,9の長さを互いに比較して不均等に調節することにより、第一の切断ブレードの動作を変化させることができる。その結果、切断の進む方向と切断角度が変更可能である。これによって、さまざま板厚と材質に対する適合が行われ得、有利には、より大の板厚の薄板をロールカッター(Rollschnitt)でもっても切断することが可能である。
【0026】
図1および2の実施例において、調節要素はスクリューロッドまたはスクリュースピンドル16と、スクリューロッド16と接続されたスクリューキャップ14,15によって形成されている。スクリューロッド16またはスクリュースピンドルをスクリューキャップ14,15に対して相対的に回転させることにより、連結要素8,9の延長または短縮を行うことができる。
【0027】
図1は、調節要素14,15,16の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は比較的大きい。スクリューロッド16またはスクリュースピンドルは、スクリューキャップ14,15に相対的に進入し、その結果、連結要素8,9の短縮が行われている。
【0028】
図2は、調節要素14,15,16の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は、図1の調節と比較して、比較的小さい。スクリューロッド16またはスクリュースピンドルは、スクリューキャップ14,15に対して相対的に繰り出され、その結果、連結要素8,9の延長が行われている。
【0029】
図3および図4は、図1および2の切断装置と比較すると、調節要素20,21が圧力媒体ピストン・シリンダユニットとして形成される点が異なる切断装置1を示している。この調節要素によって連結要素8,9は自身の長さを変更することが可能である。
【0030】
図3は、調節要素20,21の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は比較的大きい。それに合わせて、ピストン・シリンダユニットのピストン20はシリンダ21内へ比較的深く進入している。
【0031】
図4は、調節要素20,21の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は、図3の調節と比較して、比較的小さい。それに合わせて、ピストン・シリンダユニットのピストン20は、シリンダ21から比較的遠くまで繰り出されている。
【0032】
ピストン・シリンダユニット20,21の調節の経路計測または経路制御により、完全に進入した位置から完全に繰り出された位置の間の任意の位置が達成可能である。両ピストン・シリンダユニット20,21の非対称の調節によって、切断の進む方向と切断形状の変更を行うことができる。
【0033】
図5および6は、図1、2、3および4の切断装置1と比較すると、調節要素30,31(これによって連結要素が自身の長さを変更することが可能となる)が、偏心したリングまたは領域として形成されており、このリングまたは領域が連結要素8,9のカムシャフトへのリンクを可変に形成し、この連結要素においてリングまたは領域がカムシャフト内で回転可能かつ調節可能に支承されている点が異なる切断装置1を示している。
【0034】
図5は、調節要素30,31の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は比較的大きい。それに合わせて、リングはリンクが上方にあるように回転している。
【0035】
図6は、調節要素30,31の調節を示し、この調節において第一の切断ブレード2と第二の切断ブレード3の間の間隔は、図5の調節と比較して、比較的小さい。それに合わせて、リングまたは領域は、リンクが下方にあるように回転している。
【0036】
カムシャフトに、またはクランクシャフトにも導入される、偏心リングまたは領域のこの形成によって、連結要素8,9のリンクの間隔と、カムシャフト10,11の回転軸12,13の変更が達成されることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 切断装置
2 切断ブレード
3 切断ブレード
4 切断ナイフ
5 切断ナイフ
6 キャリア
7 キャリア
8 連結要素
9 連結要素
10 カムシャフト
11 カムシャフト
12 軸
13 軸
14 調節要素
15 調節要素
16 調節要素
20 調節要素
21 調節要素
30 調節要素
31 調節要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部ナイフの第一の切断ブレード(2)および下部ナイフの第二の切断ブレード(3)、並びに、少なくとも二つの回転可能に駆動可能なカムシャフト(10,11)を有しかつ連結要素(8,9)により少なくとも第一の切断ブレードと接続されている駆動装置を有する切断装置(1)において、
連結要素(8,9)のうち少なくとも一つが、長さ可変で調節可能であるよう形成されていることを特徴とする前記切断装置(1)。
【請求項2】
カムシャフトと切断ブレードの間の両方の連結要素が、長さ可変で調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
少なくとも一つの連結要素(8,9)が、連結要素の長さを調節するための調節要素(14,15,16,20,21,30,31)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の切断装置。
【請求項4】
調節要素(16)がスクリューロッドまたはスクリュースピンドルと、少なくとも一つ、好ましくは二つのスクリューキャップを備えることを特徴とする請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
調節要素が、ピストン(20)とシリンダ(21)を有するピストン・シリンダユニット(20,21)を備えることを特徴とする請求項3に記載の切断装置。
【請求項6】
調節要素(30,31)が、偏心し調節可能なリンクをカムシャフトに備えることを特徴とする請求項3に記載の切断装置。
【請求項7】
偏心し調節可能なリンクがカムシャフト上に調節可能なリングまたは領域(30,31)を備え、このリングまたは領域が、回転可能に可変な連結要素のリンクをカムシャフト上に備えることを特徴とする請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
上部ナイフの第一の切断ブレード(2)および下部ナイフの第二の切断ブレード(3)、並びに少なくとも二の回転可能に駆動可能なカムシャフト(10,11)を有する駆動装置を有する切断装置(1)を制御する方法であって、前記カムシャフトが連結要素(8,9)により少なくとも第一の切断ブレードと接続されている方法において、
連結要素(8,9)のうち少なくとも一が、長さ可変で調節可能であることを特徴とする前記方法。
【請求項9】
両方の連結要素が互いに独立し、異なるように各自の長さが調整可能であることを特徴とする請求項8に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−524700(P2010−524700A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503377(P2010−503377)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002730
【国際公開番号】WO2008/135127
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】