説明

切裂帯付き段ボール箱

【課題】
切裂帯を途中で切断すること無く引き裂いて開封することができる段ボール箱を提供する。
【解決手段】
本発明は、裏ライナに罫線を入れて、その同一直線上にライナカットを加工するものである。
罫線と同一直線上にライナカットを加工することで、段ボール箱を開封する時にライナカットの切断部分の間を切り裂く時に、ライナカット線上から逸脱しそうになっても、罫線に案内されて次のライナカット切断部分に到達することが可能となる。
裏ライナを罫線加工することで折り癖が付くが、中芯との接着において反発により接着が不十分になることを考慮し、罫線加工後にロールを通すことで折り癖を矯正することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封用の切裂帯を設けた段ボール箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に缶などの内容品を段ボール板4面と、その4面に隣接するフラップにより梱包される、図1に示す形状のラップアラウンド式と呼ばれる0406形式の段ボール箱の多くは、開封しやすいように開封口を設けている。
【0003】
図1のAの開封口からは、段ボール箱の1以上の面を切断して開封できるように、開封テープや切断部分などの開封用案内が付随している。
【0004】
貼合機で加工する開封用案内には、裏ライナに、流れ方向に対して平行で一対かつ一定幅の破線の切断部分を入れた、図2のBに示すライナカットがある。
【0005】
ライナカットにより開封する場合、図2のBの切断部分と切断部分の間のつなぎを切り裂く時に、ライナカットの内側に切れ目が入ってライナカットの切断線上から逸脱してしまい、図4のように開封途中でライナカットが破断してしまうことがあった。
【0006】
途中で破断することを防止するためには、ライナカットの内側に入った切れ目が次の切断した部分に到達すればよい。
【0007】
例えば、特許文献1のようにライナの流れ方向に対して角度のある切断部分のライナカットや、曲線状の切断部分を有するライナカットがあるが、刃が流れ方向に対して角度を有しているため、貼合機の速度が制限され生産性が低下する恐れや、刃の変形の恐れがある。
【0008】
製函機で加工する開封用案内の場合、段ボール板に切断部分を入れる加工を施す。段ボール板は一組のライナの間にサインカーブ様形状の中芯が接着した中空構造である。段ボール板を切断するときは、ずれやライナの割れを防止するため、刃の周囲を押さえ込んで切断する。そのため切断部分付近は段が潰れてしまい、箱の圧縮強度が低下する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−341664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ライナカットを案内とする開封方式で、開封途中にライナカットがライナカット直線上から逸脱せず、生産性を低下させず、刃の変形が少ない方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、裏ライナに罫線を入れて、その同一直線上にライナカットを加工するものである。
罫線と同一直線上にライナカットを加工することで、段ボール箱を開封する時にライナカットの切断部分の間を切り裂く時に、ライナカット線上から逸脱しそうになっても、罫線に案内されて次のライナカット切断部分に到達することが可能となる。
裏ライナを罫線加工することで折り癖が付くが、中芯との接着において反発により接着が不十分になることを考慮し、罫線加工後にロールを通すことで折り癖を矯正することもできる。
【0012】
以下、本発明は、上記課題を解決するため、(1)〜(4)の構成を採る。
(1)段ボールの裏側原紙に罫線を入れ、その同一直線上に切れ目が断続するライナカット線を設けることを特徴とする切裂帯付き段ボール箱である。
(2)段ボールの裏側原紙に罫線を入れた後に折り癖を矯正するロールがあることを特徴とする(1)項に記載の切裂帯付き段ボール箱である。
【0013】
(3)加工装置がシングルフェーサのシングル側ライナの経路上にあることを特徴とする(1)項ないし(2)項に記載の切断帯付き段ボール箱である。
(4)段ボールの裏側原紙は片面段ボールのライナに相当する原紙もしくは両面段ボールの裏側原紙であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれかに記載の切断帯付き段ボール箱である。
【発明の効果】
【0014】
裏ライナに罫線加工後にライナカット加工することで、組み立てた段ボール箱を開封する時にライナカットの切断部分の間のつなぎ部分でライナカット直線上から逸脱しそうになった場合でも、ライナカット直線上の罫線に沿って切れることで、再びライナカットの切断部分に戻り、開封途中でちぎれることが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ラップアラウンド式段ボール箱である。
【図2】ライナカット加工した図である。
【図3】ラップアラウンド式段ボール箱を開封口から開封した図である。
【図4】ラップアラウンド式段ボール箱を開封口から角度をつけて開封した図である。
【図5】従来のライナカット加工した段ボールである。
【図6】罫線加工後にライナカット加工した段ボールの一実施形態である。
【図7】罫線加工後にライナカット加工した段ボールの別な実施形態である。
【図8】シングルフェーサ入口での罫線加工、罫線折りぐせ矯正、ライナカット加工の各装置である。
【図9】罫線輪である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
貼合機では図8に示すように、裏ライナに罫線輪Lにて罫線加工し、その後に切り欠きのある円形刃物Jでライナカット加工し、その後に段成形した中芯とシングルフェーサで貼り合わす。
【0017】
上記で裏ライナに罫線輪Lにて罫線加工した後、図8のKのロールにて罫線の折り癖を矯正し、その後に切り欠きのある円形刃物Jでライナカット加工し、その後に段成形した中芯とをシングルフェーサで貼り合わすこともできる。
【0018】
罫線とライナカットが同一直線上になるためには、罫線輪L、折り癖矯正ロールK、ライナカットJの各加工装置は近接していることが望ましい。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図に示しながら説明する。
図1はいわゆるラップアラウンド式の0406形の箱で、直方体6面のうち4面を一様な面、2面を貼り合せた面からなる。
【0020】
図2はラップアラウンド式の箱の一部を内部から見た図である。ライナカットは箱の内側となる裏ライナに切断部分加工された開封用案内であり、2つの面と、それに連接する短いフラップとに加工されている。
【0021】
図3に示すように開封口を指先で持ち、箱の外周方向へ引っ張ることでライナカットの切断部分に沿って箱が開封される。
【0022】
開封口を持って引っ張る時に、ライナカット間の中央線上に沿って開封されることが望ましいが、図4のようにその中央線に対して角度を生じて開封されることがある。
【0023】
ライナカット間の中央線に対して角度を生じて開封すると、切断部分から破れた部分が次の切断部分に到達せずに逸脱してしまうことがある。そのまま引っ張るとライナカットはもう一方のライナカットに到達してしまい、千切れてしまう。
【0024】
従来のライナカットは、図5に示すような切断部分Gを裏ライナの流れ方向に対して、2本平行に加工する。Hは切断部分と切断部分の間のつなぎ部分である。
【0025】
図6に示すように、裏ライナに罫線Iを加工し、その後にライナカットGを加工することで、罫線がライナカットの切断部分と切断部分との間の案内役を果たし、切断帯がライナカット直線上から逸脱しない。
【0026】
図7は裏ライナMにライナカットGより広めの罫線Iを加工した図であり、同様に切断帯がライナカット直線上から逸脱しない。
【0027】
図8は裏ライナのシングルフェーサ入口の一部を示した図で、ライナカット加工刃Jによるライナカットを加工する部分である。ライナカットは円盤状で切れ目が入った刃Jを金属ロールに当て、その間にライナMを通すことでライナカット加工するものである。ライナカット加工する直前に罫線加工を施すことで、ライナカット加工での位置ズレを抑えることが容易になる。
【0028】
図8において、罫線輪Lによる罫線加工とライナカット加工刃Jによるライナカット加工の間に罫線折りぐせを矯正する装置Kを備えても良い。
【0029】
図9は罫線輪LにライナMを通して罫線加工をする図の例である。
【0030】
ライナカットに罫線加工の有る場合と無い場合とで開封口からライナカットにより開封した結果を表1に示す。
開封口の一方を引っ張った時の1面を罫線加工した場合では途中でちぎれることはなかった。罫線加工をしない場合では途中でちぎれた場合が見られた。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
ライナカット加工した段ボール箱の全てに適用が可能である。特に食品や飲料缶のような内容品自身で強度を保持する形態の段ボール箱への適用が期待される。
【符号の説明】
【0033】
A:開封口
B:ライナカット
C:外フラップ
D:内フラップ
E:開封口からライナカットに沿って切り出した段ボール片
F:開封口からライナカットに沿って切り出し、途中でライナカット線から逸脱してしまった段ボール片
G:ライナカット切断部分加工
H:ライナカット切断部分と切断部分の間のつなぎ
I:罫線
J:ライナカット加工刃
K:罫線矯正ロール
L:罫線輪
M:ライナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールの裏側原紙に罫線を入れ、その同一直線上に切れ目が断続するライナカット線を設けることを特徴とする切裂帯付き段ボール箱。
【請求項2】
段ボールの裏側原紙に罫線を入れた後に折り癖を矯正するロールがあることを特徴とする請求項1に記載の切裂帯付き段ボール箱。
【請求項3】
加工装置がシングルフェーサのシングル側ライナの経路上にあることを特徴とする請求項1ないし2に記載の切断帯付き段ボール箱。
【請求項4】
段ボールの裏側原紙は片面段ボールのライナに相当する原紙もしくは両面段ボールの裏側原紙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切断帯付き段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−189044(P2010−189044A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36374(P2009−36374)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(502356517)王子チヨダコンテナー株式会社 (66)
【Fターム(参考)】