切込み及び凹部を備えたタイヤトレッド
本発明は、隆起パターンを形成する複数個の要素を有するタイヤトレッドであって、各要素は、接触フェース(50)を有し、複数個の要素が少なくとも1つの切込み(4)を備え、切込みは、互いに平行であり且つトレッドを備えたタイヤの回転軸線の方向に対してせいぜい45°に等しい平均の向きをなす第2のエッジを形成するために接触フェース(50)中に延び、各切込み(4)は又、長さL及び幅dを備えたスラット(5)を形成するよう要素の2つの側面中に延び、幅dは、長さLよりも小さく、各スラット(5)は、スラット内で全体的に連続している少なくとも1つの凹部(6)を有し、凹部の最も大きな寸法方向は、内部に凹部が形成されているスラットの長さ方向であるよう差し向けられ、各凹部は、その最も長い寸法方向に沿って測定して、スラットの長さLの10%〜90%である長さLcを有し、単一のスラット(5)の凹部(6)の全ての長さLcの合計は、スラットの長さLの10%を超える、トレッドに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッドに関し、特に、複数個の切込みを備えていて、特に、冬の走行用にタイヤに取り付けられるよう設計されたトレッドに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッドは、走行時に、路面に接触するよう設計された走行面を有する。このトレッドに全体として周方向の向きの且つ全体として横方向の向き(回転軸線に平行である)の溝を設けることが公知のやり方であり、その目的は、雨天に路上に存在する水の排出を促進することにある。これら溝は、複数個の材料要素(ブロック、リブ)を画定し、これら要素の各々は、路面に接触するための接触フェースを有し、側方フェースがエッジに沿って接触フェースを切っている。「周方向」という表現は、中心がトレッドを備えたタイヤの回転方向上に位置した円の接線方向を意味している。
【0003】
雨天の際に水の膜で覆われた路面上における走行性能を向上させることを目的として、材料の品質を過度に落とさないようにするためにトレッドの要素に平均幅が溝の幅よりも実質的に小さく、通常1mm未満の少なくとも1つの切込みを設けることも又公知のやり方である。これら切込みは、横方向に且つ/或いは周方向に差し向けられる場合がある。
【0004】
トレッドの各材料要素上において、これら切込みは、数個の材料ストリップを画定し、これらストリップのエッジは、接触フェースと共に、路面上に存在する水の膜を切り裂いてこの路面との接触関係を確立するために用いられる。切込みを形成したにもかかわらず、切込みにより作られた追加のエッジの有効性の限度に達したことが判明した。1つの材料要素に設けられる切込みの数を増やしすぎても、このことは、かかる限度を押し進めるうえで満足のいくものではない。というのは、この増大は、それと同時に、トレッド要素を軟化させ、それにより、走行条件において乾いた路面上における性能が低下する場合があるからである。
【0005】
具体的に説明すると、横方向に差し向けられると共に全体としてブロックを横断して延びる切込みは、大きな細長比(即ち、ストリップの長さ及び高さに対して幅が狭い場合に大きな長さ及び大きな高さ)を有するゴムのストリップを画定する。したがって、作られたエッジの付近における接触圧力が適切な技術的効果を得るうえで十分ではないということが判明した。本発明の目的は、凸状要素上に形成された横方向エッジの付近におけるトレッドと路面との間の接触圧力を増大させることにある。
【0006】
この構成は、大きな長さの横方向エッジを用いるので有用なものであると思われるが、エッジの機械的効果を高めることにより横方向エッジの付近における接触圧力を任意形式の走行状態(乾いた路面及び濡れた路面)に最適に適合させることができる本発明のトレッドによってかかる構成を依然として改良することができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明のタイヤトレッドは、凸部を形成する複数個の要素を有し、各要素は、深さHの溝によって画定されている。各要素は、路面に接触するよう設計された接触フェース及び第1のエッジに沿って接触フェースを切った側方フェースを有し、これら第1のエッジの中には、横方向に、即ちこのトレッドを備えたタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい角度をなす方向に差し向けられているものがある。さらに、トレッドの複数個の要素が、深さP(この深さは、溝の深さHに等しくてもこれよりも小さくてもこれよりも大きくても良い)の少なくとも1つの切込みを備え、この切込みは、互いに平行であり且つトレッドを備えたタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい平均の向きをなす第2のエッジを形成するために2つの側方フェース上に且つ接触フェース上に開口している。これら切込みは、長さL及び幅dを備えたストリップを形成し、この幅dは、長さLよりも小さい。各ストリップは、全体がストリップ内に含まれた少なくとも1つのキャビティを有し、即ち、このキャビティは、ストリップのフェースのうちのどのフェース上にも開口していない。各キャビティの最も大きな寸法方向は、内部にこのキャビティが形成されているストリップの長さ方向に平行であるよう差し向けられており、各キャビティは、その最も長い寸法方向に沿って測定して長さLcを有し、長さLcは、ストリップの長さLの10%〜90%である。さらに、1つのストリップの全てのキャビティの長さLcの合計は、上述の要素の第1のエッジに沿うと共にこの要素が備えている切込みにより形成される第2のエッジに沿う接触圧力を実質的に増大させる目的で、このストリップの長さLの10%を超える。
【0008】
有利には、本発明は、切込みが長さL及び幅dを有するストリップを形成する冬用タイヤトレッドに利用でき、この幅dは、長さLのせいぜい50%に等しい。
【0009】
好ましい変形例によれば、提案するトレッドは、1つのストリップの全てのキャビティ(6)の長さLcの合計は、ストリップの長さLの50%を超えるようなものである。
【0010】
さらに好ましくは、提案するトレッドは、1つのストリップの全てのキャビティの長さの合計は、ストリップの長さLcの80%を超え、各キャビティの幅は、ストリップの幅dの80%を超え、それにもかかわらず、ストリップの側方フェースのうちのどの側方フェース上にも開口しないようなものである。
【0011】
新品状態のトレッドに関する作用効果を得るためには、1つのストリップのキャビティは、要素の接触フェースに対して、走行面の下に溝の深さHの10%〜50%の深さのところに位置することが有利である。
【0012】
さらにより有利には、各キャビティと要素の接触フェースとの間の最小距離は、溝の深さHの20%〜30%である。
【0013】
実際には、これらキャビティは、トレッドの内側フェース上に、即ち、トレッドの最も内側のフェース上に、従って、このストリップの接触フェースから見て最も遠くに位置するフェース上に成形により作られるのが良い。本発明のトレッドのこの成形に関し、キャビティを延長部とする切込みを成形により作り、次にこの成形ストリップをタイヤブランク上に装着することが可能である。この実施形態によれば、凹凸要素の各ストリップ内に形成されるキャビティにより、接触圧力の分布状態をかかる要素の第1のエッジ及び横方向切込みにより形成された第2のエッジの付近で加減することができる。
【0014】
均等な実施形態では、ストリップの接触フェースの方に向かう各キャビティの延長部として、幅が1mm未満であり且つ長さがキャビティの横方向寸法に実質的に等しい切込みが設けられ、切込みは、ストリップのどの側方フェース上にも開口しておらず、切込みは、第2のエッジの方向に実質的に垂直な方向に差し向けられている。本発明のこの有利な変形例により、当然のことながら、キャビティの容易な成形が可能であるが、横方向の切込みが追加されることがない。その結果、タイヤの運動方向に差し向けられた力を受けて(駆動力を受けるか制動力を受けるかのいずれか)各ストリップの剛性を実質的に変えないようにすることが可能である。
【0015】
トレッドの要素の長手方向剪断剛性の減少を制限するため、キャビティの延長部をなす各切込みは、ストリップの幅dの20%〜80%の長さを有する。各長手方向切込みの延長部をなすキャビティの長さLcは、有利には、この切込みの長手方向長さの0.5〜1.5倍である。
【0016】
有利には、各ストリップがストリップを画定する種々のフェース相互間に含まれると共に深さH,Pのうちで最も小さい値に等しい高さにわたって含まれた材料の量として算出された全容積Veを有し、かかるストリップのキャビティの容積の合計は、このストリップの全容積Veの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい。
【0017】
さらにより有利には、1つのストリップのキャビティの容積は、ストリップの全容積Veの少なくとも40%に等しく且つせいぜい60%に等しい。
【0018】
別の変形例では、トレッドの内側に向かうストリップの各キャビティの延長部として、幅が1mm未満の切込みが設けられ、切込み自体の延長部として、別のキャビティが設けられている。この変形例では、トレッドの部分摩耗の発生後に、新品状態のトレッドの動作性能に実質的に等しい動作性能を見出すことが可能である。2つのキャビティ相互間に形成される切込みは、ストリップの横方向に垂直な方向に差し向けられる。
【0019】
好ましくは、各キャビティは、このキャビティを延長部とする切込みの中間平面に垂直な方向に細長い形状を有し、各キャビティは、断面で見て、以下の形状、即ち、円形、楕円形、三角形又は長方形から選択された断面を有するのが良い。有利には、キャビティは、直径r(これは、この場合、キャビティの最も小さな寸法Uに等しい)の円形断面を備えた円筒形のものであり、この直径は、せいぜいキャビティの長さLcに等しい。
【0020】
各キャビティの寸法は、その断面(横方向に垂直な断面平面において)の面積がキャビティの形成されているゴムのストリップの断面積の20%〜80%であるようなものである。ストリップのこの断面は、横方向に垂直な断面平面で取られており、この断面積は、ストリップの接触フェースと溝の深さHに等しい深さとの間で測定される。好ましくは、各キャビティの断面の表面積は、ストリップの断面の表面積の実質的に50%に等しい。
【0021】
同一の本発明は、トレッドパターン要素がこれらの大きな細長比に鑑みて特に可撓性であるトレッドの場合に同様に利用できる。この場合における要素の「大きな細長比」という表現は、これら要素の接触フェースの少なくとも1つの寸法が各要素を画定する溝又は切込みの深さと比較して小さいということを意味している。
【0022】
本発明の他の特徴及び他の利点は、本発明の実施形態を非限定的な例として示す添付の図面を参照して行われる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のトレッドの走行面の図であり、各要素が複数個のストリップ及び各ストリップ内に設けられた複数個のキャビティを有している状態を示す図である。
【図2】図1に示されたストリップの中央部分の要素を示す図である。
【図3】図2の要素のIII‐III線矢視断面図である。
【図4】図2の要素のIV‐IV線矢視断面図である。
【図5】本発明のトレッドの走行面の図であり、各要素が複数個のストリップ及び各ストリップ内に設けられた複数個のキャビティを有し、これらキャビティが切込みを介して走行面に向かって延びている状態を示す図である。
【図6】図5に示されたトレッドの中央部分の要素を示す図である。
【図7】図6の要素のVII‐VII線矢視断面図である。
【図8】図2の要素のVIII‐VIII線矢視断面図である。
【図9】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図10】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図11】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図12】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図13】各ストリップがトレッドの厚さの方向に相互の頂部上に幾つかのキャビティを有する変形実施形態を互いに垂直な2つの平面で取った断面で示す図である。
【図14】各ストリップがトレッドの厚さの方向に相互の頂部上に幾つかのキャビティを有する変形実施形態を互いに垂直な2つの平面で取った断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図及び説明を読み易くするために、図中、同一の機能及び/又は構造的要素を示す場合に同一の参照符号が用いられている。
【0025】
図1は、本発明のトレッド1の走行面100の図であり、このトレッドは、周方向(又は長手方向)の向きの複数本の溝2及び複数本の横方向の溝3を有し、これら溝は、同一の深さHを有している。横方向溝3は、トレッドを備えたタイヤの回転方向と0°又はせいぜい45°に等しい角度をなすよう差し向けられている。次の定義により、方向がタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい角度をなす場合、かかる方向は、横方向であると呼ばれる。トレッドは、路面に接触するよう設計された走行面及びタイヤの残部に連結されるよう設計された内面を有する。周方向及び横方向溝は、接触フェース50及び走行面を第1のエッジ12,13に沿って切っている側方フェースを備えた要素10を画定し、これらエッジのうちの或る特定のものは、周方向の向きのものであり、他のエッジは、横方向の向きのものである。
【0026】
図2は、要素10が溝の深さHに等しい深さPの数本の横方向切込み4によって切られている状態を示しており、これら切込みは、要素10の接触フェース101上と要素の2つの側方フェース上の両方に開口している。それゆえ、トレッドの各要素は、大きい方の寸法がストリップの長さLに一致した材料の複数個のストリップ5に分割され、この長さに垂直な方向は、ストリップの幅dである。提供されているかかる場合では、ストリップ5は全て、互いに等しい幅dを有するが、当然のことながら、これらの幅は、同一の要素又は別々の要素において互いに異なっていても良い。この場合におけるストリップは全て、Hに等しい高さを有する。
【0027】
各ストリップ5の内部には、直径rの円筒形の形をした複数個のキャビティ6が形成され、これらキャビティは、直径rよりも大きな寸法Lcを有している。
【0028】
回転軸線に垂直な断面平面に対応していると共に図3に示された線III‐IIIに沿って取った断面で見て、溝3及び切込み4により画定された幅dのストリップ5が設けられ、このストリップ5の内部には、キャビティ6が設けられ、トレッドの内面102に向かうこのキャビティの延長部として、切込み61が設けられ、この切込み61は、このキャビティの成形を容易にする。キャビティ6は、全て、ストリップの接触フェースから距離bを置いたところに位置するようストリップ5中に同一高さ位置で形成され、この距離bは、この例では、要素の切込みの深さPの10%に等しい。この距離bは、キャビティと新品状態のストリップ5の接触フェース100との間に位置する材料の厚さに相当している。
【0029】
キャビティをストリップ5の横方向側方フェースから隔てる最小距離aは、ストリップの幅dの10%〜50%であり、この例では、この最小距離は、幅dの25%に等しい。
【0030】
回転軸線に垂直な断面平面に対応していると共に図4に示された線IV‐IVに沿って取った断面で見て、4つのキャビティ6の各々の延長部として、トレッドの内面102上に開口した切込み61が設けられている。これらキャビティは、これらキャビティが形成されているストリップの長さLの1:25に実質的に等しい距離cだけ互いに離隔されるよう配置されている。さらに、側方フェースの最も近くに位置するキャビティは、これらフェースから距離c′の距離を置いたところに位置し、この距離c′は、ストリップの長さLの1:25に実質的に等しい。
【0031】
図5は、図1に示されているトレッドとほぼ同じトレッドを示しており、唯一の相違点は、トレッドの内側に向かうのではなく、トレッドの走行面に向かう各キャビティ6の延長部として切込み62が設けられているということにある。この切込み62は、ストリップ5のどの側方フェース上にも開口していない。さらに、この切込み62が差し向けられている方向は、横方向ではない。
【0032】
図6は、図5のトレッドの中間部分の要素10を示しており、この要素10は、2つの側方フェース上に開口し、長さL及び幅dの5つのストリップ5を画定している4つの横方向切込み4を有している。これらストリップ5の長さは、このトレッドを備えた回転軸線の方向に一致した方向XX′に平行な方向に延びている。
【0033】
回転軸線に垂直な平面で見た断面(この断面の取り方は、図6にVII‐VII線で示されている)を示す図7では、深さHの溝及び深さPの切込みにより画定されたストリップ5が設けられており、このストリップ内には、楕円形断面のキャビティ6が設けられている。走行面に向かうこのキャビティ6の延長部として、回転軸線に実質的に垂直な向きの細い切込み62が設けられ、この切込みは、この断面平面で見てキャビティの幅Uに等しい長さを有している。
【0034】
回転軸線に垂直な平面で見た断面(この断面の取り方は、図6にVIII‐VIII線で示されている)を示す図8では、走行面に向かう4つのキャビティ6の延長部として、幅が実質的に0.6mmに等しい切込み62が設けられている。
【0035】
この変形例は、トレッドの中間部分に要素10′を示しており、これら要素10′は、第1の周方向エッジ12′及び横方向である他のエッジ13′を有し、後者のエッジ13′は、回転軸線XX′と30°に等しい角度をなしている。この例では、キャビティ6′の延長部をなす切込み62′は、30°に等しい角度をなして周方向(軸線XX′に垂直な方向)に対して傾けられている。この場合、これら細い切込み62′の横方向成分は、回転軸線に平行な方向におけるトレッドの剛性を実質的に損なうことがないということが考えられる。
【0036】
図9〜図12は、本発明のトレッド中に切込みを延長部とするキャビティを成形により形成するよう設計された成形要素7の種々の例を示している。図9は、成形要素7を示しており、この成形要素は、軸線XX′を有する円筒形本体71を有し、この円筒形本体は、軸線XX′に垂直なストリップ72を支持している。
【0037】
図10の変形例では、成形要素7の円筒形本体71は、円筒形本体の軸線XX′に垂直な方向回りに波形の形状のものである。
【0038】
図11の変形例は、全体として円筒形の形の本体71を有し、この本体71は、その端部のところに、軸線XX′に垂直な表面711によって互いに接合された傾斜面710を有している。
【0039】
図12に示された最後の変形例は、本体71を有し、この本体71は、円筒形部分713により互いに連結された2つの円筒形半部712により形成されている。
【0040】
本発明のトレッドの別の変形実施形態が図13及び図14に示されている。図13及び図14は、変形実施形態の断面図であり、これら断面は、2つの相互に垂直な平面で取られており、かかる変形実施形態によれば、トレッドの各ストリップは、トレッドの厚さ方向に互いに上下に配置された数個のキャビティを有している。
【0041】
図13は、3つのキャビティ6,6′,6″を示しており、走行面の方向におけるこれらキャビティの各々の延長部として、それぞれ、切込み62,62′,62″が設けられている。図14の平面で見て理解できるように、これらキャビティは、長円形の断面を有している。矢印Rは、タイヤの回転方向、即ち、周方向を示している。
【0042】
本発明は、説明すると共に図示した実施例には限定されず、本発明の内容から逸脱することなく、かかる実施例の種々の改造例を想到できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッドに関し、特に、複数個の切込みを備えていて、特に、冬の走行用にタイヤに取り付けられるよう設計されたトレッドに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッドは、走行時に、路面に接触するよう設計された走行面を有する。このトレッドに全体として周方向の向きの且つ全体として横方向の向き(回転軸線に平行である)の溝を設けることが公知のやり方であり、その目的は、雨天に路上に存在する水の排出を促進することにある。これら溝は、複数個の材料要素(ブロック、リブ)を画定し、これら要素の各々は、路面に接触するための接触フェースを有し、側方フェースがエッジに沿って接触フェースを切っている。「周方向」という表現は、中心がトレッドを備えたタイヤの回転方向上に位置した円の接線方向を意味している。
【0003】
雨天の際に水の膜で覆われた路面上における走行性能を向上させることを目的として、材料の品質を過度に落とさないようにするためにトレッドの要素に平均幅が溝の幅よりも実質的に小さく、通常1mm未満の少なくとも1つの切込みを設けることも又公知のやり方である。これら切込みは、横方向に且つ/或いは周方向に差し向けられる場合がある。
【0004】
トレッドの各材料要素上において、これら切込みは、数個の材料ストリップを画定し、これらストリップのエッジは、接触フェースと共に、路面上に存在する水の膜を切り裂いてこの路面との接触関係を確立するために用いられる。切込みを形成したにもかかわらず、切込みにより作られた追加のエッジの有効性の限度に達したことが判明した。1つの材料要素に設けられる切込みの数を増やしすぎても、このことは、かかる限度を押し進めるうえで満足のいくものではない。というのは、この増大は、それと同時に、トレッド要素を軟化させ、それにより、走行条件において乾いた路面上における性能が低下する場合があるからである。
【0005】
具体的に説明すると、横方向に差し向けられると共に全体としてブロックを横断して延びる切込みは、大きな細長比(即ち、ストリップの長さ及び高さに対して幅が狭い場合に大きな長さ及び大きな高さ)を有するゴムのストリップを画定する。したがって、作られたエッジの付近における接触圧力が適切な技術的効果を得るうえで十分ではないということが判明した。本発明の目的は、凸状要素上に形成された横方向エッジの付近におけるトレッドと路面との間の接触圧力を増大させることにある。
【0006】
この構成は、大きな長さの横方向エッジを用いるので有用なものであると思われるが、エッジの機械的効果を高めることにより横方向エッジの付近における接触圧力を任意形式の走行状態(乾いた路面及び濡れた路面)に最適に適合させることができる本発明のトレッドによってかかる構成を依然として改良することができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明のタイヤトレッドは、凸部を形成する複数個の要素を有し、各要素は、深さHの溝によって画定されている。各要素は、路面に接触するよう設計された接触フェース及び第1のエッジに沿って接触フェースを切った側方フェースを有し、これら第1のエッジの中には、横方向に、即ちこのトレッドを備えたタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい角度をなす方向に差し向けられているものがある。さらに、トレッドの複数個の要素が、深さP(この深さは、溝の深さHに等しくてもこれよりも小さくてもこれよりも大きくても良い)の少なくとも1つの切込みを備え、この切込みは、互いに平行であり且つトレッドを備えたタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい平均の向きをなす第2のエッジを形成するために2つの側方フェース上に且つ接触フェース上に開口している。これら切込みは、長さL及び幅dを備えたストリップを形成し、この幅dは、長さLよりも小さい。各ストリップは、全体がストリップ内に含まれた少なくとも1つのキャビティを有し、即ち、このキャビティは、ストリップのフェースのうちのどのフェース上にも開口していない。各キャビティの最も大きな寸法方向は、内部にこのキャビティが形成されているストリップの長さ方向に平行であるよう差し向けられており、各キャビティは、その最も長い寸法方向に沿って測定して長さLcを有し、長さLcは、ストリップの長さLの10%〜90%である。さらに、1つのストリップの全てのキャビティの長さLcの合計は、上述の要素の第1のエッジに沿うと共にこの要素が備えている切込みにより形成される第2のエッジに沿う接触圧力を実質的に増大させる目的で、このストリップの長さLの10%を超える。
【0008】
有利には、本発明は、切込みが長さL及び幅dを有するストリップを形成する冬用タイヤトレッドに利用でき、この幅dは、長さLのせいぜい50%に等しい。
【0009】
好ましい変形例によれば、提案するトレッドは、1つのストリップの全てのキャビティ(6)の長さLcの合計は、ストリップの長さLの50%を超えるようなものである。
【0010】
さらに好ましくは、提案するトレッドは、1つのストリップの全てのキャビティの長さの合計は、ストリップの長さLcの80%を超え、各キャビティの幅は、ストリップの幅dの80%を超え、それにもかかわらず、ストリップの側方フェースのうちのどの側方フェース上にも開口しないようなものである。
【0011】
新品状態のトレッドに関する作用効果を得るためには、1つのストリップのキャビティは、要素の接触フェースに対して、走行面の下に溝の深さHの10%〜50%の深さのところに位置することが有利である。
【0012】
さらにより有利には、各キャビティと要素の接触フェースとの間の最小距離は、溝の深さHの20%〜30%である。
【0013】
実際には、これらキャビティは、トレッドの内側フェース上に、即ち、トレッドの最も内側のフェース上に、従って、このストリップの接触フェースから見て最も遠くに位置するフェース上に成形により作られるのが良い。本発明のトレッドのこの成形に関し、キャビティを延長部とする切込みを成形により作り、次にこの成形ストリップをタイヤブランク上に装着することが可能である。この実施形態によれば、凹凸要素の各ストリップ内に形成されるキャビティにより、接触圧力の分布状態をかかる要素の第1のエッジ及び横方向切込みにより形成された第2のエッジの付近で加減することができる。
【0014】
均等な実施形態では、ストリップの接触フェースの方に向かう各キャビティの延長部として、幅が1mm未満であり且つ長さがキャビティの横方向寸法に実質的に等しい切込みが設けられ、切込みは、ストリップのどの側方フェース上にも開口しておらず、切込みは、第2のエッジの方向に実質的に垂直な方向に差し向けられている。本発明のこの有利な変形例により、当然のことながら、キャビティの容易な成形が可能であるが、横方向の切込みが追加されることがない。その結果、タイヤの運動方向に差し向けられた力を受けて(駆動力を受けるか制動力を受けるかのいずれか)各ストリップの剛性を実質的に変えないようにすることが可能である。
【0015】
トレッドの要素の長手方向剪断剛性の減少を制限するため、キャビティの延長部をなす各切込みは、ストリップの幅dの20%〜80%の長さを有する。各長手方向切込みの延長部をなすキャビティの長さLcは、有利には、この切込みの長手方向長さの0.5〜1.5倍である。
【0016】
有利には、各ストリップがストリップを画定する種々のフェース相互間に含まれると共に深さH,Pのうちで最も小さい値に等しい高さにわたって含まれた材料の量として算出された全容積Veを有し、かかるストリップのキャビティの容積の合計は、このストリップの全容積Veの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい。
【0017】
さらにより有利には、1つのストリップのキャビティの容積は、ストリップの全容積Veの少なくとも40%に等しく且つせいぜい60%に等しい。
【0018】
別の変形例では、トレッドの内側に向かうストリップの各キャビティの延長部として、幅が1mm未満の切込みが設けられ、切込み自体の延長部として、別のキャビティが設けられている。この変形例では、トレッドの部分摩耗の発生後に、新品状態のトレッドの動作性能に実質的に等しい動作性能を見出すことが可能である。2つのキャビティ相互間に形成される切込みは、ストリップの横方向に垂直な方向に差し向けられる。
【0019】
好ましくは、各キャビティは、このキャビティを延長部とする切込みの中間平面に垂直な方向に細長い形状を有し、各キャビティは、断面で見て、以下の形状、即ち、円形、楕円形、三角形又は長方形から選択された断面を有するのが良い。有利には、キャビティは、直径r(これは、この場合、キャビティの最も小さな寸法Uに等しい)の円形断面を備えた円筒形のものであり、この直径は、せいぜいキャビティの長さLcに等しい。
【0020】
各キャビティの寸法は、その断面(横方向に垂直な断面平面において)の面積がキャビティの形成されているゴムのストリップの断面積の20%〜80%であるようなものである。ストリップのこの断面は、横方向に垂直な断面平面で取られており、この断面積は、ストリップの接触フェースと溝の深さHに等しい深さとの間で測定される。好ましくは、各キャビティの断面の表面積は、ストリップの断面の表面積の実質的に50%に等しい。
【0021】
同一の本発明は、トレッドパターン要素がこれらの大きな細長比に鑑みて特に可撓性であるトレッドの場合に同様に利用できる。この場合における要素の「大きな細長比」という表現は、これら要素の接触フェースの少なくとも1つの寸法が各要素を画定する溝又は切込みの深さと比較して小さいということを意味している。
【0022】
本発明の他の特徴及び他の利点は、本発明の実施形態を非限定的な例として示す添付の図面を参照して行われる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のトレッドの走行面の図であり、各要素が複数個のストリップ及び各ストリップ内に設けられた複数個のキャビティを有している状態を示す図である。
【図2】図1に示されたストリップの中央部分の要素を示す図である。
【図3】図2の要素のIII‐III線矢視断面図である。
【図4】図2の要素のIV‐IV線矢視断面図である。
【図5】本発明のトレッドの走行面の図であり、各要素が複数個のストリップ及び各ストリップ内に設けられた複数個のキャビティを有し、これらキャビティが切込みを介して走行面に向かって延びている状態を示す図である。
【図6】図5に示されたトレッドの中央部分の要素を示す図である。
【図7】図6の要素のVII‐VII線矢視断面図である。
【図8】図2の要素のVIII‐VIII線矢視断面図である。
【図9】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図10】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図11】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図12】図5に示されているトレッドのキャビティの成形に用いられる成形要素の変形例を示す図である。
【図13】各ストリップがトレッドの厚さの方向に相互の頂部上に幾つかのキャビティを有する変形実施形態を互いに垂直な2つの平面で取った断面で示す図である。
【図14】各ストリップがトレッドの厚さの方向に相互の頂部上に幾つかのキャビティを有する変形実施形態を互いに垂直な2つの平面で取った断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図及び説明を読み易くするために、図中、同一の機能及び/又は構造的要素を示す場合に同一の参照符号が用いられている。
【0025】
図1は、本発明のトレッド1の走行面100の図であり、このトレッドは、周方向(又は長手方向)の向きの複数本の溝2及び複数本の横方向の溝3を有し、これら溝は、同一の深さHを有している。横方向溝3は、トレッドを備えたタイヤの回転方向と0°又はせいぜい45°に等しい角度をなすよう差し向けられている。次の定義により、方向がタイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい角度をなす場合、かかる方向は、横方向であると呼ばれる。トレッドは、路面に接触するよう設計された走行面及びタイヤの残部に連結されるよう設計された内面を有する。周方向及び横方向溝は、接触フェース50及び走行面を第1のエッジ12,13に沿って切っている側方フェースを備えた要素10を画定し、これらエッジのうちの或る特定のものは、周方向の向きのものであり、他のエッジは、横方向の向きのものである。
【0026】
図2は、要素10が溝の深さHに等しい深さPの数本の横方向切込み4によって切られている状態を示しており、これら切込みは、要素10の接触フェース101上と要素の2つの側方フェース上の両方に開口している。それゆえ、トレッドの各要素は、大きい方の寸法がストリップの長さLに一致した材料の複数個のストリップ5に分割され、この長さに垂直な方向は、ストリップの幅dである。提供されているかかる場合では、ストリップ5は全て、互いに等しい幅dを有するが、当然のことながら、これらの幅は、同一の要素又は別々の要素において互いに異なっていても良い。この場合におけるストリップは全て、Hに等しい高さを有する。
【0027】
各ストリップ5の内部には、直径rの円筒形の形をした複数個のキャビティ6が形成され、これらキャビティは、直径rよりも大きな寸法Lcを有している。
【0028】
回転軸線に垂直な断面平面に対応していると共に図3に示された線III‐IIIに沿って取った断面で見て、溝3及び切込み4により画定された幅dのストリップ5が設けられ、このストリップ5の内部には、キャビティ6が設けられ、トレッドの内面102に向かうこのキャビティの延長部として、切込み61が設けられ、この切込み61は、このキャビティの成形を容易にする。キャビティ6は、全て、ストリップの接触フェースから距離bを置いたところに位置するようストリップ5中に同一高さ位置で形成され、この距離bは、この例では、要素の切込みの深さPの10%に等しい。この距離bは、キャビティと新品状態のストリップ5の接触フェース100との間に位置する材料の厚さに相当している。
【0029】
キャビティをストリップ5の横方向側方フェースから隔てる最小距離aは、ストリップの幅dの10%〜50%であり、この例では、この最小距離は、幅dの25%に等しい。
【0030】
回転軸線に垂直な断面平面に対応していると共に図4に示された線IV‐IVに沿って取った断面で見て、4つのキャビティ6の各々の延長部として、トレッドの内面102上に開口した切込み61が設けられている。これらキャビティは、これらキャビティが形成されているストリップの長さLの1:25に実質的に等しい距離cだけ互いに離隔されるよう配置されている。さらに、側方フェースの最も近くに位置するキャビティは、これらフェースから距離c′の距離を置いたところに位置し、この距離c′は、ストリップの長さLの1:25に実質的に等しい。
【0031】
図5は、図1に示されているトレッドとほぼ同じトレッドを示しており、唯一の相違点は、トレッドの内側に向かうのではなく、トレッドの走行面に向かう各キャビティ6の延長部として切込み62が設けられているということにある。この切込み62は、ストリップ5のどの側方フェース上にも開口していない。さらに、この切込み62が差し向けられている方向は、横方向ではない。
【0032】
図6は、図5のトレッドの中間部分の要素10を示しており、この要素10は、2つの側方フェース上に開口し、長さL及び幅dの5つのストリップ5を画定している4つの横方向切込み4を有している。これらストリップ5の長さは、このトレッドを備えた回転軸線の方向に一致した方向XX′に平行な方向に延びている。
【0033】
回転軸線に垂直な平面で見た断面(この断面の取り方は、図6にVII‐VII線で示されている)を示す図7では、深さHの溝及び深さPの切込みにより画定されたストリップ5が設けられており、このストリップ内には、楕円形断面のキャビティ6が設けられている。走行面に向かうこのキャビティ6の延長部として、回転軸線に実質的に垂直な向きの細い切込み62が設けられ、この切込みは、この断面平面で見てキャビティの幅Uに等しい長さを有している。
【0034】
回転軸線に垂直な平面で見た断面(この断面の取り方は、図6にVIII‐VIII線で示されている)を示す図8では、走行面に向かう4つのキャビティ6の延長部として、幅が実質的に0.6mmに等しい切込み62が設けられている。
【0035】
この変形例は、トレッドの中間部分に要素10′を示しており、これら要素10′は、第1の周方向エッジ12′及び横方向である他のエッジ13′を有し、後者のエッジ13′は、回転軸線XX′と30°に等しい角度をなしている。この例では、キャビティ6′の延長部をなす切込み62′は、30°に等しい角度をなして周方向(軸線XX′に垂直な方向)に対して傾けられている。この場合、これら細い切込み62′の横方向成分は、回転軸線に平行な方向におけるトレッドの剛性を実質的に損なうことがないということが考えられる。
【0036】
図9〜図12は、本発明のトレッド中に切込みを延長部とするキャビティを成形により形成するよう設計された成形要素7の種々の例を示している。図9は、成形要素7を示しており、この成形要素は、軸線XX′を有する円筒形本体71を有し、この円筒形本体は、軸線XX′に垂直なストリップ72を支持している。
【0037】
図10の変形例では、成形要素7の円筒形本体71は、円筒形本体の軸線XX′に垂直な方向回りに波形の形状のものである。
【0038】
図11の変形例は、全体として円筒形の形の本体71を有し、この本体71は、その端部のところに、軸線XX′に垂直な表面711によって互いに接合された傾斜面710を有している。
【0039】
図12に示された最後の変形例は、本体71を有し、この本体71は、円筒形部分713により互いに連結された2つの円筒形半部712により形成されている。
【0040】
本発明のトレッドの別の変形実施形態が図13及び図14に示されている。図13及び図14は、変形実施形態の断面図であり、これら断面は、2つの相互に垂直な平面で取られており、かかる変形実施形態によれば、トレッドの各ストリップは、トレッドの厚さ方向に互いに上下に配置された数個のキャビティを有している。
【0041】
図13は、3つのキャビティ6,6′,6″を示しており、走行面の方向におけるこれらキャビティの各々の延長部として、それぞれ、切込み62,62′,62″が設けられている。図14の平面で見て理解できるように、これらキャビティは、長円形の断面を有している。矢印Rは、タイヤの回転方向、即ち、周方向を示している。
【0042】
本発明は、説明すると共に図示した実施例には限定されず、本発明の内容から逸脱することなく、かかる実施例の種々の改造例を想到できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部を形成する複数個の要素(10)を有するタイヤトレッドであって、各要素は、深さHの溝(2,3)によって画定され、各要素は、路面に接触するよう設計された接触フェース(50)及び第1のエッジ(12,13)に沿って前記接触フェースを切っている側方フェースを有し、前記トレッドの複数個の要素が深さPの少なくとも1つの切込み(4)を備え、前記切込みは、互いに平行であり且つ前記トレッドを備えた前記タイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい平均の向きをなす第2のエッジを形成するために前記接触フェース(50)上に開口し、各切込み(4)は又、長さL及び幅dを備えたストリップ(5)を形成するよう前記要素の2つの側面上に開口し、前記幅dは、前記長さLよりも小さい、トレッドにおいて、各ストリップ(5)は、全体が前記ストリップ内に含まれた少なくとも1つのキャビティ(6)を有し、前記キャビティの最も大きな寸法方向は、内部に該キャビティが形成されている前記ストリップの長さ方向であるよう差し向けられ、各キャビティは、その最も長い寸法方向に沿って測定して長さLcを有し、長さLcは、前記第1及び前記第2のエッジに沿う接触圧力を実質的に増大させる目的で前記ストリップの長さLの10%〜90%である、トレッド。
【請求項2】
1つの前記ストリップの全ての前記キャビティ(6)の長さLcの合計は、前記ストリップの長さLの50%を超える、請求項1記載のトレッド。
【請求項3】
1つの前記ストリップ(5)の全ての前記キャビティ(6)の長さの合計は、前記ストリップの長さLcの80%を超え、各キャビティの幅は、前記ストリップの幅dの80%を超える、請求項1記載のトレッド。
【請求項4】
1つの前記ストリップ(5)の前記キャビティ(6)は、前記走行面の下に前記溝の深さHの10%〜50%の深さのところに位置している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項5】
前記ストリップの前記接触フェースの方に向かう各キャビティの延長部として、幅が1mm未満であり且つ長さが前記キャビティの横方向寸法に実質的に等しい切込みが設けられ、前記切込みは、前記ストリップのどの側方フェース上にも開口しておらず、前記切込みは、前記第2のエッジの方向に実質的に垂直な方向に差し向けられており、前記切込みは、前記切込みを延長部とする前記キャビティの横方向寸法に実質的に等しい長さを有する、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項6】
各ストリップが全容積Veを有するので、1つの前記ストリップの前記キャビティの容積は、前記ストリップの全容積Veの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項7】
1つの前記ストリップの前記キャビティの容積は、前記ストリップの全容積Veの少なくとも40%に等しく且つせいぜい60%に等しい、請求項6記載のトレッド。
【請求項8】
各キャビティは、直径rの円形断面を備えた円筒形のものである、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項9】
前記トレッドの内側に向かうストリップの各キャビティの延長部として、幅が1mm未満の切込みが設けられ、前記切込み自体の延長部として、別のキャビティが設けられている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項10】
各長手方向切込みの延長部としての前記キャビティの長さLcは、有利には、前記切込みの長さの0.5〜1.5倍である、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項11】
前記ストリップの幅dは、前記ストリップの長さLのせいぜい50%に等しい、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項1】
凸部を形成する複数個の要素(10)を有するタイヤトレッドであって、各要素は、深さHの溝(2,3)によって画定され、各要素は、路面に接触するよう設計された接触フェース(50)及び第1のエッジ(12,13)に沿って前記接触フェースを切っている側方フェースを有し、前記トレッドの複数個の要素が深さPの少なくとも1つの切込み(4)を備え、前記切込みは、互いに平行であり且つ前記トレッドを備えた前記タイヤの回転軸線の方向とせいぜい45°に等しい平均の向きをなす第2のエッジを形成するために前記接触フェース(50)上に開口し、各切込み(4)は又、長さL及び幅dを備えたストリップ(5)を形成するよう前記要素の2つの側面上に開口し、前記幅dは、前記長さLよりも小さい、トレッドにおいて、各ストリップ(5)は、全体が前記ストリップ内に含まれた少なくとも1つのキャビティ(6)を有し、前記キャビティの最も大きな寸法方向は、内部に該キャビティが形成されている前記ストリップの長さ方向であるよう差し向けられ、各キャビティは、その最も長い寸法方向に沿って測定して長さLcを有し、長さLcは、前記第1及び前記第2のエッジに沿う接触圧力を実質的に増大させる目的で前記ストリップの長さLの10%〜90%である、トレッド。
【請求項2】
1つの前記ストリップの全ての前記キャビティ(6)の長さLcの合計は、前記ストリップの長さLの50%を超える、請求項1記載のトレッド。
【請求項3】
1つの前記ストリップ(5)の全ての前記キャビティ(6)の長さの合計は、前記ストリップの長さLcの80%を超え、各キャビティの幅は、前記ストリップの幅dの80%を超える、請求項1記載のトレッド。
【請求項4】
1つの前記ストリップ(5)の前記キャビティ(6)は、前記走行面の下に前記溝の深さHの10%〜50%の深さのところに位置している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項5】
前記ストリップの前記接触フェースの方に向かう各キャビティの延長部として、幅が1mm未満であり且つ長さが前記キャビティの横方向寸法に実質的に等しい切込みが設けられ、前記切込みは、前記ストリップのどの側方フェース上にも開口しておらず、前記切込みは、前記第2のエッジの方向に実質的に垂直な方向に差し向けられており、前記切込みは、前記切込みを延長部とする前記キャビティの横方向寸法に実質的に等しい長さを有する、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項6】
各ストリップが全容積Veを有するので、1つの前記ストリップの前記キャビティの容積は、前記ストリップの全容積Veの少なくとも20%に等しく且つせいぜい80%に等しい、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項7】
1つの前記ストリップの前記キャビティの容積は、前記ストリップの全容積Veの少なくとも40%に等しく且つせいぜい60%に等しい、請求項6記載のトレッド。
【請求項8】
各キャビティは、直径rの円形断面を備えた円筒形のものである、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項9】
前記トレッドの内側に向かうストリップの各キャビティの延長部として、幅が1mm未満の切込みが設けられ、前記切込み自体の延長部として、別のキャビティが設けられている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項10】
各長手方向切込みの延長部としての前記キャビティの長さLcは、有利には、前記切込みの長さの0.5〜1.5倍である、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項11】
前記ストリップの幅dは、前記ストリップの長さLのせいぜい50%に等しい、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のトレッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−510920(P2012−510920A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539012(P2011−539012)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066213
【国際公開番号】WO2010/063750
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066213
【国際公開番号】WO2010/063750
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
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