説明

刈取クラッチ機構

【課題】刈取レバーと刈取クラッチ機構の連動性を良くするための構成を備えた刈取クラッチ機構を提供すること。
【解決手段】刈取装置9と刈取装置9の駆動源21との連動機構を入り切りする刈取クラッチC1との連動機構として刈取レバー47と該レバー47の操作により作動するリンク機構60,62などを備えた機械的連動機構と、電動モータ56と該モータ56で作動する刈取ワイヤ57を備えた電気的連動機構から構成した刈取クラッチ機構であり、刈取クラッチC1と刈取レバー47との間をリンク機構60,62などで接続し、このリンク機構60,62などを支持するL字状フレーム67をリンク機構60,62などと一体化して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立穀稈を収穫するコンバインに関し、特に刈取レバーの操作性を向上させた構成のコンバインの刈取クラッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインはクローラを構成する無限履帯の接地面積を広くし、水田など軟弱な圃場でも自由に走行して刈取作業などの農作業を可能としている。
コンバインの操縦席のある運転台には変速レバー、操向レバー、刈取レバーなどの各種レバー、各種操作用の操作スイッチ類が配置されている。したがって、操作スイッチ類や各種レバーなどの操作を誤操作なく行う配置にする必要があり、そのための改善提案、または各種レバーの機能を関連付けて、それぞれのレバー類の操作性の改善策が提案されている。
そこで、これらの操作手段の操作性を改良して、一連の農作業を円滑に行うことができるように機能的に、操作スイッチの配置構造を改良した工夫がなされている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−176734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、操作スイッチ類や各種レバーなどの操作を誤操作なく行う配置にする必要があるが、特に刈取装置を作動させるための刈取クラッチ機構を入・切する刈取レバーが刈取クラッチ機構と離れた位置にあるので、刈取レバーと刈取クラッチ機構の連動性に改良の余地があった。
そこで、本発明の課題は刈取レバーと刈取クラッチ機構の連動性を良くするための構成を備えた刈取クラッチ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記本発明の課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、刈取装置(9)と該刈取装置(9)を駆動させる動力源(21)との連動機構を入り切りする刈取クラッチ(C1)を設け、前記連動機構は、刈取レバー(47)と該刈取レバー(47)の操作により作動するリンク機構(60,62など)を備えた機械的連動機構と、電動モータ(56)と該電動モータ(56)で作動する刈取ワイヤ(57)を備えた電気的連動機構からなる刈取クラッチ機構である。
【0005】
請求項2記載の発明は、刈取クラッチ(C1)と刈取レバー(47)との間をリンク機構(60,62など)で接続し、該リンク機構(60,62など)を支持する支持部材(67)をリンク機構(60,62など)と一体化して配置する請求項1記載の刈取クラッチ機構である。
【0006】
請求項3記載の発明は、刈取クラッチ(C1)と刈取レバー(47)との間を連結するリンク機構(60,62など)には、該リンク機構(60,62など)を構成する部材同士を連結する連結部材(70)を設けた請求項1又は請求項2記載の刈取クラッチ機構である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、刈取クラッチ(C1)を機械的連動機構によって入・切する機構と電気的連動機構によって入・切する機構を備えているので、刈取クラッチ(C1)と刈取レバー(47)の位置が機体の前後方向で大きくずれて配置されている場合でも刈取クラッチ(C1)の入り切りが容易に、確実に行える。
【0008】
また、刈取レバー(47)の動きは、リンク機構(60,62など)を介してそのまま刈取クラッチ(C1)に伝えられるので、刈取クラッチ(C1)の動きに無駄がなくなり、刈取クラッチ(C1)の動きが安定するようになる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、刈取クラッチ(C1)を刈取レバー(47)で作動させるリンク機構(60,62など)を支持する支持部材(67)を、リンク機構(60,62など)と一体的に取り付けたので、取り外しが容易に行え、メンテナンスが簡単になる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、機種によって前記機体の前後方向のずれの長さが異なる場合にも連結部材(70)のサイズを変えることで容易に対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本実施例のコンバインの左側面図であり、図2は図1のコンバインの右側面図であり、図3は図1のコンバインの平面図である。なお、本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
図1から図3に示すように、コンバインの車体フレーム2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行装置(以下、走行クローラと称す。)3を配設し、該走行クローラ3にはエンジン動力が駆動輪4を介して伝達される。車体2の前端側に分草杆8を備えた刈取装置9が設けられている。刈取装置9は車体2の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム7で支持されているので、コンバインに搭乗したオペレータが運転台19の操縦席20にあるパワステレバー(操向レバー)30を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレーム7と共に上下に昇降する構成である。
【0012】
車体フレーム2の上方には、刈取装置9から搬送されてくる穀稈を搬送して脱穀、選別する脱穀装置10と該脱穀装置10で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク13が載置され、グレンタンク13の後部に縦オーガ16、横オーガ17からなるオーガ15を連接して、グレンタンク13内の穀粒をグレンタンク下部の螺旋(図示せず)により搬送して、横オーガ17の穀粒排出口17cからコンバインの外部に排出する構成としている。
【0013】
すなわち、コンバインはオペレータが操縦席20においてHST主変速レバー22および副変速レバー23を操作し、エンジン21(図4)の動力を走行伝動ケ−ス25(図4)内の主変速機を介して変速し、左右の走行クローラ3、3に伝動して任意の速度で走行する。
【0014】
また、運転台19の右側面はオペレータの乗降用の空間が設けられている。そして前記運転台19の右側前方には、パワステレバー(操向レバー)30が設けられ、該パワステレバー30は、一本のレバーを左右に傾倒すればコンバインを左右に旋回させ、前後に傾倒すれば刈取装置9を下降、上昇できる。コンバインは、オペレータが操縦席20においてパワステレバー30を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、コンバインを旋回させようとする方向にパワステレバー30を傾倒操作することにより、左右の走行クローラ3、3に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0015】
そして運転台19の左側には、走行クローラ3を無段階で前進、停止、後退制御できるHSTレバー(主変速レバー)22、走行クローラ3の速度を低速(作業速)、中速(作業速と走行速)、高速(走行速)の3段階に切り替える副変速レバー23、刈取装置9および脱穀装置10の運転停止を操作する刈取レバー47、脱穀レバー48などが設けられている。
【0016】
図4はエンジン21からの駆動力を無段変速装置(HST)28から刈取装置9へ伝達する動力伝達機構図を示す。
刈取装置9の作動は次のように行われる。まず、エンジン21を始動して、テンションクラッチからなる刈取クラッチC1と図示しない脱穀クラッチを刈取レバー47と脱穀レバー48を入り操作して機体の回転各部を伝動し、HST主変速レバー22をコンバインが前進するように操作して、走行フレーム2を前進走行させる。次に操向レバー30を前方に倒して刈取装置9を下降させ、刈取、脱穀作業が開始される。
【0017】
圃場に植立する穀稈は刈取装置9の前端下部にある分草具8によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置11の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃(図示せず)に達して刈取られ、図示しない前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、穂先搬送ラグと株元搬送チェーンからなる供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
穀稈はフィードチェーン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置10の内部で脱穀された後にグレンタンク13へ搬送される。該グレンタンク13に貯留された穀粒は、オーガ16、17を経由してコンバインの外部へ搬送される。
脱穀装置10の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは切断され、圃場に放出される。
【0018】
また、図4に示す変速装置24の伝動機構は走行伝動ケ−ス25における伝動経路下手側から操向伝動部24aと中間伝動部24bと副変速部24cとカウンタ−部24d(入出力部26内にある)と入出力部26とを設け、回転動力を入出力部26からカウンタ−部24d、副変速部24c及び中間伝動部24bを経由して操向伝動部24aに伝動する構成としており、該操向伝動部24aを切り替え操作することにより機体の進行方向を右側又は左側に旋回させることができる構成である。
【0019】
油圧無段変速装置(HST)28はケース32の側方に突出している油圧入力軸33の軸端部にエンジン21からの駆動力の入力プーリ35を着脱自在に取り付けているとともに、ケース32の中に油圧ポンプ28aや回転可能に設けている出力軸を有する油圧モータ28b等を設けており、前記走行伝動ケース25の右側部の上面と左側部の右横側面との間に形成された空間部に位置させて伝動ケース25の左側部の右側面に着脱自在に取り付けている。そして、前記入力プーリ35は操縦席20の下方の走行フレーム2に着脱自在に設け、且つ負荷が変動しても燃料供給量を自動制御してあらかじめ設定した回転数を出力する構成である。プーリ35とエンジン21の出力側の端部に取り付けたエンジン出力軸37に設けたプーリ38との間にベルト40を巻いている。なお、油圧無段変速装置(HST)28から出力される回転動力は変速装置24の入出力部26に伝動される。
【0020】
変速装置24の入出力部26の出力はカウンタシャフト125を経由してワンウエイクラッチ132を駆動し、該クラッチ132からベルト46を介して刈取入力軸41の刈取入力プ−リ42に動力が伝達される。刈取入力軸41は刈取装置9の回動体43の側方に突出して設けられ、該刈取入力軸41に刈取入力プ−リ42が着脱自在に取り付けられている。
刈取レバ−47の操作によって、ベルト46を張圧又は解除し、回転動力の伝動を入り切りするテンション式の刈取クラッチC1が設けられている。
【0021】
なお、図4に示すように、エンジン出力軸37に設けられた出力プーリ95から点線で示すベルト141と常張クラッチC2を含む伝達機構により、脱穀装置10の入力部にある脱穀入力プーリ96が回転して脱穀装置10の各駆動部材(揺動棚51の揺動軸136、唐箕軸137など)が駆動される。このとき、前記ベルト141に設けられたテンションプーリ128を脱穀レバ−48の操作によって作動させて脱穀装置10の回転動力の伝動を入り切りする脱穀クラッチC2を構成している。
【0022】
脱穀装置10の前方にフィードチェーン14を駆動するギアボックス135を配置し、駆動軸134を経由する油圧無段変速装置(HST)28からの動力伝動系(ワンウエイクラッチ132)と脱穀装置10からの動力伝動系(プーリ96、唐箕軸137など)の2系統の入力構成とする。さらに、機体外側に配置された手動クラッチレバー161によりワイヤケーブル85を介してテンションプーリ139を作動させてベルト138を介してフィードチェーン14を駆動させることができる。
【0023】
このように駆動軸134上で、ギアボックス135を挟んで両サイドにベルト伝動系(ベルト138とベルト142)を配置するので、ベルト交換が単独で行え、特に機体外側の脱穀装置10の動力伝動系のベルト138とベルト142の交換が単独で行え、メンテナンスが容易となる。
【0024】
また、フィードチェーン14は駆動軸134と唐箕軸137の両方から駆動できるが、この二系統の動力がメカロックしないようにするため、ワンウエイクラッチ132が設けられ、速い速度の方をフィードチェーン14に伝達する。
また、刈取装置9を所定量上げると作動が開始するモータ56を設けておき、刈取装置9の前記上昇で刈取装置9とフィードチェーン14の駆動を停止させる。
【0025】
本実施例では走行伝動ケース25の左側面から刈取装置9の駆動系とフィードチェーン14の駆動系を取り出し、同一出力軸(カウンタシャフト125)で刈取装置9とフィードチェーン14の両者を車速同調回転させる単一のワンウエイクラッチ132を設けた構成を採用している。
【0026】
刈取装置9及びフィードチェーン14は、油圧無段変速装置(HST)28が機体を後進させるとき動力を切る必要があるが、刈取装置9駆動用及びフィードチェーン14駆動用のワンウエイクラッチとして、フィードチェーン14駆動用プーリ126と刈取装置9駆動用のプーリ129の両方にまたがった単一のワンウエイククラッチ132を用いる。
【0027】
コンバインには、一般に刈取クラッチC1を機械的連動機構によって、入・切する機構があるが、刈取クラッチC1と刈取レバー47の位置が機体の前後方向で大きくずれて配置されている場合には、従来例の機械的連動機構には刈取レバー47の動きを刈取クラッチC1に伝えるためにワイヤを使用することがある。前記機械的連動機構にワイヤを用いる場合にはワイヤを引っ張る場合は良いが、ワイヤを押すことができない欠点がある。また、ワイヤ自体が伸びてしまうと、刈取レバー47の動きが刈取クラッチC1に完全に伝わらないという欠点がある。
【0028】
これに対して本実施例では、刈取クラッチC1を機械的連動機構によるリンク機構によって入・切する機構を備えているので、刈取クラッチC1と刈取レバー47の位置が機体の前後方向で大きくずれて配置されている場合でも刈取クラッチC1の入り切りが容易に、確実に行えるようになった。
【0029】
図5には本実施例の刈取クラッチC1を刈取ワイヤ57で作動させる電動モータ56を備えた電気的連動機構と刈取クラッチC1と刈取レバー47の間に設けたリンク機構を備えた機械的連動機構の構成図を示す。
まず、電気的連動機構について説明する。
支持軸52の両端が断面コ字状のクラッチフレーム53に固着され、支持軸52と並行位置にある回動軸を内装したケース55の一端をその一側面に固着しており、また支持軸52には電動モータ56により刈取クラッチC1のテンションプーリ59をバネ58を介して押し引きする刈取ワイヤ57のアウタ受けが取り付けられている。したがって、電動モータ56で刈取ワイヤ57のインナーケーブルを押し引きすると刈取クラッチC1のテンションプーリ59がクラッチベルト46の張力を調整して刈取クラッチC1に作用する。
【0030】
また、刈取クラッチC1と刈取レバー47のリンク機構による機械的連動機構は次のような構成を備えている。
一端がクラッチフレーム53に支持されている回動軸を内装したケース55の他端は平行四辺形状に組み立てられ、かつ各プレートが互いに回動自在に連結されたリンク機構の一つのプレート60と一体的に接続されている。
【0031】
さらに、回転軸ケース55と平行位置にアーム用の回動軸を内装したアーム回動軸ケース61があり、該アーム回動軸ケース61の一端は前記プレート60と平行位置にある一つのプレート62と一体的に接続されている。また、アーム回動軸ケース61の他端は前記プレート62と対向する平行位置にある一つのプレート64と一体的に接続されている。該プレート64は2つのプレート65、66を順次介して刈取レバー47と一体的に接続されている。従って刈取レバー47が矢印A方向に操作されると、プレート65の矢印B方向への回動、プレート62の矢印C方向への回動、クラッチフレーム53の矢印D方向への回動、バネ58の矢印E方向への移動を経由して刈取クラッチC1のテンションプーリ59がクラッチベルトの張力を強める方向に矢印F方向へ回動して刈取クラッチC1が入る方向に作用する。
【0032】
図5に示す刈取クラッチC1を刈取ワイヤ57で作動させる電動モータ56を備えた電気的連動機構と刈取クラッチC1と刈取レバー47の間に設けたリンク機構を備えた機械的連動機構の簡単な構成図を図7(a)に示し、刈取レバー47と脱穀レバー48の配置の関係を図7(b)に示す。
刈取レバー47を操作することで、刈取クラッチテンションプーリ59の係止部59aに係止されたバネ58は図7(a)に示すように長さS1だけ作動する。また電動モータ56では前記バネ58は長さS2だけ作動する。バネ58の前記長さS1又は長さS2だけの動きでは刈取クラッチテンションプーリ59は刈取クラッチC1を「入」にするだけの動きができず、刈取レバー47と電動モータ56が共に作動することで始めてバネ58が刈取クラッチC1を「入」にするだけの長さS(=S1+S2)の動きができ、刈取クラッチテンションプーリ59が図7(a)に示す「入」の位置へ移動し、刈取クラッチC1が「入」となる。
【0033】
なお、刈取レバー47と電動モータ56の両方を作動させて刈取クラッチC1を「入」にしているときに、刈取装置9がパワステレバー30の後方への移動操作により所定量上昇すると、電動モータ56が作動して刈取クラッチテンションプーリ59は刈取ワイヤ57の長さS2分だけ戻される。このとき刈取レバー47は前記長さS1分だけ作動中であるが、刈取クラッチC1は作動できなくなる。従って刈取装置9が所定量上昇しているときには、刈取装置9が作動停止となる。また電動モータ56のオン、オフでそれぞれフィードチェン14の作動、非作動がきまるので、刈取装置9が所定量上昇しているときにはフィードチェン14が作動状態を維持することもできる。
【0034】
また、図7(b)に示すように刈取レバー47と脱穀レバー48の操作は図面手前に動かすことが可能な構成になっており、また脱穀レバー48は単独で作動可能であるが刈取レバー47を作動させると必ず脱穀レバー48も作動する。
【0035】
コンバインを走行停止状態で脱穀を行う場合(手扱ぎ時)には手動クラッチレバー161を作動させて脱穀レバー48を単独で作動させることで脱穀装置10が作動できる。
また、脱穀レバー48を作動させると、脱穀レバー作動用検出スイッチ(図示せず)がこれを検知して前記電動モータ56を作動させる構成になっているので刈取ワイヤ57の前記長さS2分だけ刈取クラッチテンションプーリ59が作動して刈取クラッチC1が「入」状態となり、穀稈の刈取りと刈り取った穀稈の脱穀が可能となる。
【0036】
図5に示す刈取クラッチC1とクラッチフレーム53を含む刈取クラッチ部と刈取レバー47のリンク機構を走行伝動ケ−ス25に取り付けたL字状に折れ曲がった形状のフレーム67に、回転軸を内装した回動軸ケース55とアーム回動軸ケース61を溶接接続している。前記L字状フレーム67によってクラッチ部と刈取レバー47が前後方向に大きくずれていても、刈取レバー47の入り切りをダイレクトに刈取クラッチC1に伝えることが可能となった。
【0037】
なお、図5に示すように走行伝動ケ−ス25から左右に突出する駆動シャフト50に走行クローラ3の駆動輪4が設けられている。また、刈取クラッチC1の刈取入力軸41の刈取入力プ−リ42に走行伝動ケース25内の駆動系から動力が伝達される。刈取入力軸41は刈取装置9の回動体43の側方に突出して設けられ、該刈取入力軸41に刈取入力プ−リ42が着脱自在に取り付けられている。
【0038】
また、刈取クラッチC1とクラッチフレーム53を含む刈取クラッチ部とL字状フレーム67とその上のリンク機構を取り外し、図8に示すように刈取レバー47とプレート66だけを機体に取り付け、該プレート66のピン66aと刈取テンションプーリ59との間をケーブル69で接続するとモータ56を使用しない廉価型になる。なお、この場合にはモータ56がないため、刈取装置9が所定量上昇したとき、刈取装置9とフィードチェーンが作動停止となる機能はない。
【0039】
さらに、刈取クラッチ部と刈取レバー47の機体前後のずれの大きさを、リンク機構の連結ロッド70の長さを変更することで対応できる。該連結ロッド70の長さを変更することで刈取クラッチ部と刈取レバー47の前後方向のズレに対応できるので、機種によって、クラッチ部と刈取レバー47の前後方向の距離が異なっても対応できる。
【0040】
クラッチ部と刈取レバー47の位置が機体左右方向で大きくずれて配置されている機種ではアーム回動軸ケース61の長さを変更することで容易に調整できる。
図6には図5に比して長いアーム回動軸ケース61を設けた構成を示す。この場合は、刈取レバー47とクラッチ部が左右方向に大きくずれていても、刈取レバー47の入、切をダイレクトに刈取クラッチC1に伝えることが可能となる。
【0041】
また、図6に示すように、クラッチ部とリンク機構とアーム回動軸ケース61を支えるフレーム67’を機体側面視でL字状で、しかも機体上面視でもL字状となる折れ曲がり形状にした構成とする。この折れ曲がりフレーム67’上に、クラッチ部とリンク機構などの全ての部材を配置しているので、この部分を一体としたユニットで走行伝動ケ−ス25に取り付け、取り外しが可能となり、メンテナンスが簡単に行える。また、フレーム67’が一本で構成されているので、コストダウンとなる。
【0042】
この場合にもクラッチ部と刈取レバー47の左右のズレの大きさをアーム回動軸ケース61の長さを変更することで、機種によって、クラッチ部と刈取レバー47の左右方向の距離が異なっても対応できる。
【0043】
また、本実施例のリンク機構では、図6に示すようにクラッチフレーム53の側面にあるプレート60の長さL1とプレート62の長さL2の比(L1/L2)を自由に変更できるようにすることができる。前記プレート長さ比(L1/L2)を自由に変更することが可能なため、クラッチフレーム53とリンク機構と折れ曲がりフレーム67’を一つのユニットとしていろいろな機種のコンバインに搭載する際に、刈取レバー47のストロークがまちまちであっても、前記プレート長さ比(L1/L2)を変更することで、全ての機種に対応することが可能である。
【0044】
上記各実施例に示した構成におけるクラッチ部のワイヤ受け73,75が、径の異なるワイヤが、一つの溝でどちらのタイプも取り付け可能にするために図9(a)の斜視図に示すように略V字状の溝とした。
【0045】
なお、ワイヤ受け73,75は例えば図8のケーブル69を係止する操縦席のレバーガイド用の支持部材74の両端部に係止している。
【0046】
従来のワイヤ受け73,75は、径の異なるワイヤを取り付けるために、2種類以上の溝幅を有するワイヤ受けを用意していたが、図9に示す構成により部品の管理工数が従来より減少した。
【0047】
また、図9に示すワイヤ受け73,75は、径の異なるワイヤが一つの溝でどちらのタイプも取り付け可能であり、アジャスターに対するインナーのラインずれを最小限にしたことを特徴とする。従来のワイヤ受けの場合、径の異なるワイヤを取り付けるためには、径の異なるワイヤが取り付けられるように、それぞれの別の溝を2箇所設けたワイヤ受けが一般的であった。しかしこの方法では、取り付けられたアジャスターに対するインナーのラインずれが大きくなり、ワイヤのインナーの摩耗等の耐久性での問題があった。
【0048】
しかし、本実施例では図9(b)の正面図に示すようにワイヤ受け73,75のワイヤのアウター受けは、溝部をテーパ状に構成したことで、径の異なるワイヤを一つの溝で取り付け可能とすると共に、アジャスターに対するワイヤのインナーのラインずれ長さLを最小限に抑えることができた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、コンバインの刈取クラッチ機構として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例のコンバインの左側面図である。
【図2】図1のコンバインの右側面図である。
【図3】図1のコンバインの平面図である。
【図4】図1のコンバインの動力伝達部の構成図である。
【図5】図1のコンバインの一実施例の刈取クラッチ部と刈取レバー、電動モータの連動機構を示す図である。
【図6】図1のコンバインの一実施例の刈取クラッチ部と刈取レバー、電動モータの連動機構を示す図である。
【図7】図1のコンバインの刈取クラッチと刈取レバーの間に設けたリンク機構を備えた機械的連動機構と電気的連動機構との簡単な構成図(図7(a))と刈取レバーと脱穀レバーの配置の関係図(図7(b))である。
【図8】図1のコンバインの刈取クラッチ部と刈取レバーだけの連結機構を示す図である。
【図9】図1のコンバインのワイヤ受けの斜視図(図9(a))と正面図(図9(b))である。
【符号の説明】
【0051】
2 車体フレーム 3 走行クローラ
4 駆動輪 7 刈取装置支持フレーム
8 分草杆 9 刈取装置
10 脱穀装置 11 穀稈引起し装置
13 グレンタンク 14 フィードチェーン
15 オーガ 16 縦オーガ
17 横オーガ 19 運転台
20 操縦席 21 エンジン
22 HST主変速レバー 23 副変速レバー
24 変速装置 25 走行伝動ケ−ス
26 入出力部 28 無段変速装置(HST)
28a 油圧ポンプ 28b 油圧モータ
30 操向レバー 32 ケース
33 油圧入力軸 35 入力プーリ
37 エンジン出力軸 38 プーリ
40 ベルト 41 刈取入力軸
42 刈取入力プ−リ 43 回動体
46 ベルト 47 刈取レバー
48 脱穀レバー 50 駆動シャフト
51 揺動棚 52 支持軸
53 クラッチフレーム 55 回動軸ケース
56 電動モータ 57 刈取ワイヤ
58 バネ 59 刈取クラッチテンションプーリ
60、62、64、65,66 プレート
61 アーム回動軸ケース 67,67’ 折れ曲がりフレーム
69 ケーブル 70 連結ロッド
73,75 ワイヤ受け 85 ワイヤケーブル
95 出力プーリ 96 脱穀入力プーリ
125 カウンタシャフト 126、129 プーリ
128 テンションプーリ 127 ワンウェイクラッチ
134 駆動軸 135 ギアボックス
136 揺動軸 137 唐箕軸
138 ベルト 139 テンションプーリ
141,142 ベルト 161 手動クラッチレバー
C1 刈取クラッチ C2 脱穀クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置(9)と該刈取装置(9)を駆動させる動力源(21)との連動機構を入り切りする刈取クラッチ(C1)を設け、前記連動機構は、刈取レバー(47)と該刈取レバー(47)の操作により作動するリンク機構(60,62など)を備えた機械的連動機構と、電動モータ(56)と該電動モータ(56)で作動する刈取ワイヤ(57)を備えた電気的連動機構からなることを特徴とする刈取クラッチ機構。
【請求項2】
刈取クラッチ(C1)と刈取レバー(47)との間をリンク機構(60,62など)で接続し、該リンク機構(60,62など)を支持する支持部材(67)をリンク機構(60,62など)と一体化して配置することを特徴とする請求項1記載の刈取クラッチ機構。
【請求項3】
刈取クラッチ(C1)と刈取レバー(47)との間を連結するリンク機構(60,62など)には、該リンク機構(60,62など)を構成する部材同士を連結する連結部材(70)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刈取クラッチ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−300894(P2007−300894A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135377(P2006−135377)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】