説明

刈払機用刈刃ヘッド

【課題】外部からコード挿通用開口を通じて、コードの挿入、引き出し、引き抜きを簡単に行えて、ヘッド本体に対するコードの装着脱と張り出すコードの長さ調節を行い易く、長い又は短いコードを使用し易くして、コード資材を有効利用する。
【解決手段】ヘッド本体1のコード挟持機構設置箇所に、底壁上面に突設した軸10により支持された押圧ロール13を一対配置し、スプリング15の付勢力により両ロール13を接近させ、その最接近部分間でコードを挟持するコード挟持機構20を設置し、両ロール13の上面に係合用突部18を設け、本体ケース20を被う上カバー3に、コード解除操作つまみとコード解除部28とを連結する連結部29が嵌まる長穴を設けてスライド可能にし、コード解除時に、両ロール13の係合用突部18間にコード解除部28を嵌めて、両ロール13間を離し、刈刃コードの挟持を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は草、幼木等を刈り払いする機械に装着して用いる刈刃コード付きヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、草、幼木等の刈り払い用の機械として、エンジン等を駆動源にし、その駆動シャフトの先端部に、金属製丸刃、刈刃コード付きヘッド等を回動可能に装着した刈払機を使用している。この金属製丸刃は金属円板の外周面に多数の刃を設けているので、切断力が大きく、草の太い茎、木の細い幹等の切断に適する。しかし、建物や木の幹、石等の障害物の近くを刈る際刈り等には適さず、又刃に触れて足等を損傷することがあって、作業時の危険性が大きい。その点、刈刃ヘッドはヘッド本体の外周面から外部に放射状に張り出す複数本の刈刃コードによる切断力は小さいが、際刈りに適し、刈刃コードに触れても足等を傷つけることもなく、未熟練者の刈り払い作業にも適している。
【0003】
このような刈刃コードには一般にナイロン等のプラスチック製コードが用いられている。そして、刈刃コードをヘッド本体に装着するため、コード挟持機構により、ヘッド本体の外周面に設けたコード挿通用外開口より挿入する刈刃コードの一端部側を挟持して固定する方式が提示されている。このコード挟持機構は、ヘッド本体のケースとカバーとから構成された内部空間に一対の押圧ロールを収納し、その各押圧ロールをケースにより個別に回動可能に軸支し、更に夫々ばねにて反対方向の回転力を付勢して、両押圧ロールの相対する外周面間に刈刃コードの一端部側を挟持するものである。
【特許文献1】特開2008−253216
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコード挟持機構により、刈刃コードの一端部側を対となる両押圧ロールの外周面間で挟持して固定すると、外部から刈刃コードを挿通用外開口へ更に挿入することによって、ヘッド本体の外周面より張り出すコードの長さを短く調節することができる。しかし、コードの長さを短くし過ぎた時等に、外部からコードを挿通用外開口を通じて引っ張っても、ヘッド本体より適宜の長さ引き出して長くできない、又は引き抜いて脱着させることができないという問題がある。なお、このような刈刃コードの磨耗した残存部分は、一般にヘッド本体の中央部に設けた他の開口より引き抜いて脱着する。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、外部から刈刃ヘッド本体の外周面に設けたコード挿通用外開口を通じて、刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を夫々簡単に行えて、そのヘッド本体に対するコードの装着脱と、ヘッド本体から外部に張り出すコードを長く又は短くする自在な長さ調節を行い易く、長い又は短いコードを使用し易くして、コード資材を有効利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による刈払機用刈刃ヘッドは、円板状底壁の中央部に駆動シャフト装着用中央穴を設け、その底壁上面の内外縁部に内外周壁を夫々突設し、その外周壁にコード挿通用外開口を分散して複数箇所設け、その各コード挿通用外開口の近傍内方をコード挟持機構設置箇所に夫々する本体ケースと、円板状上壁の中央部に駆動シャフト装着用中央穴を有し、本体ケースの上側を被う上カバーとからなる円盤状ケースを有するヘッド本体の内部で、刈刃コードを夫々挟持し、そのヘッド本体の外周面に設けた各コード挿通用外開口を通じて、外部に複数本の刈刃コードを放射状に張り出すようにする。
【0007】
そこで、上記円盤状ケース内の各コード挟持機構設置箇所に、底壁上面に突設した軸により回動可能に支持された押圧ロールを一対ずつ配置し、その各対となる両押圧ロールに対し、スプリングの付勢力により互いに反対方向の回転力を夫々与えて、両押圧ロールを接近させ、その両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間で刈刃コードを挟持するコード挟持機構を夫々設置し、その各対となる両押圧ロールの各上面に係合用突部を夫々設け、上カバーの各コード挟持機構設置箇所と対応する位置付近に、上カバーの外側に突出するコード解除操作つまみと内側に突出するコード解除部とを連結する連結部が嵌まる長穴を夫々設け、その各長穴に沿ってコード解除操作つまみを夫々スライド可能にする。そして、コード解除時に、各コード解除操作つまみを夫々スライドさせ、各対となる両押圧ロールの係合用突部間にコード解除部を嵌めて、係合用突部間を押し広げ、スプリングの付勢力に抗して両押圧ロールの相対する外周面間を離し、刈刃コードの挟持を夫々解除する。
【0008】
又、前記各コード挟持機構の対となる両押圧ロールの各上面に、スプリングの端部が嵌まる端部嵌合穴を夫々設け、その両押圧ロールを付勢する共用スプリングとして、両端部を狭める方向に付勢力が働くループ型スプリングを用いると好ましくなる。
【0009】
又、前記各コード挿通用外開口とその内方に設置されたコード挟持機構の対となる両押圧ロールとの間に、底壁上面に突設した軸により回動可能に支持され、外部からコード挿通用外開口を通じて行う刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を案内する弧状面を有するコードガイドを一対、各押圧ロールと夫々対応させて配置し、その両コードガイドの相対する弧状面の間隔をコード挿通用外開口側で広く、内方に行く程狭くして、その両弧状面の各最奥先端を両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分の各近傍に夫々配置するとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の刈払機用刈刃ヘッドは、そのヘッド本体に対し、刈刃コードを装着する場合、コード解除操作つまみを、先ず両押圧ロールの係合用突部から離れた中立位置からスライドさせて、解除位置に移動する。すると、コード解除操作つまみの移動と共にコード解除部が両押圧ロールの相対する外周面の方向に移動し、両押圧ロールの係合用突部間に嵌まる。そして、両係合用突部の相対する外周面の最接近部分が、スプリングの付勢力に抗するコード解除部から挿入力を受けて押し広げられる。その結果、両押圧ロールがいずれもそれまでと反対方向の回転力を受け、その外周面の最接近部分が離れる。そこで、外部から刈刃コードの一端部側を、コード挿通用外開口を通じて、両押圧ロールの最接近部分間に必要な長さだけ挿入する。そして、コード解除操作つまみを中立位置に戻す。すると、刈刃コードの一端部側をスプリングの付勢力により、元通りの反対方向の回転力を受ける両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間で挟持し、固定できる。
【0011】
又は、コード解除操作つまみを中立位置に置いた状態のままで、刈刃コードの一端部側を、コード挿通用外開口を通じて、両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間に挿入する。すると、両押圧ロールの最接近部分がスプリングの付勢力に抗するコード挿入力を受けるので、両押圧ロールがいずれもそれまでと反対方向の回転力を受けて、最接近部分間が押し広げられる。そこで、刈刃コードを必要な長さだけ挿入し、その挿入を止めると、刈刃コードの一端部側を両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間で挟持し、固定できる。
【0012】
又、ヘッド本体に既に装着されている刈刃コードの張り出し長さを長く又は短く調節する場合には、コード解除操作つまみを上述した方法で中立位置から解除位置に移動し、刈刃コードに対する挟持を解除した後、外部から挿通用外開口を通じて刈刃コードを必要な長さだけ引き出し又は挿入する。すると、つまみを再度中立位置に戻して刈刃コードを挟持し、固定させることにより、張り出し長さを長く又は短くすることができる。しかし、ヘッド本体に既に装着されている刈刃コードの張り出し長さを短く調節する場合には、コード解除操作つまみを中立位置に置いた状態のままで、刈刃コードの一端部側をコード挿通用外開口を通じて、両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間に挿入する上述した方法で、刈刃コードを挟持し、固定させることによっても行うことができる。そして、磨耗した刈刃コードの残存部分等はコード解除操作つまみを中立位置から解除位置に移動した後、挿通用外開口を通じて引き抜きにより脱着する。それ故、外部からヘッド本体の外周面に設けたコード挿通用外開口を通じて行う刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を簡単に行えて、そのヘッド本体に対する刈刃コードの装着脱と、ヘッド本体の外周面から外部に張り出す刈刃コードを長く又は短くする自在な長さ調節を行うことができる。
【0013】
又、ヘッド本体に対し、長い刈刃コードを使用する場合には、コードの一部を必要な長さだけ挿通用外開口を通じて外部に張り出し、コードの大部分をヘッド本体の円盤状ケース内に収納しておく。すると、張り出した刈刃コードの作業部が摩滅した時点で、外部から挿通用外開口を通じて、コードが必要な長さになるように適宜引き出し又は挿入することにより、コードの張り出し長さを自在に調節でき、無駄になるコードを少なくすることができる。又は、ヘッド本体に設けられている2箇所のコード挟持機構で長い刈刃コードを共用して、2コード挟持機構にコードを掛け渡して挟持させ、コードの両端部側をヘッド本体より夫々張り出させて使用できる。その際には、刈刃コードをヘッド本体の中央部を通過させて配置するのがよく、本体ケースの内周壁に2箇所コード挿通用内開口を設けて利用する。そして、長い刈刃コードの両端側が摩耗して短くなったら残存の部分を片側の刈刃コードとして1箇所のコード挟持機構により挟持させて使用する。すると、無駄になる刈刃コードを節減できる。それ故、長い又は短い刈刃コードが使用し易くなり、コード資材の有効利用に適する。
【0014】
又、各コード挟持機構の対となる両押圧ロールの各上面に、スプリングの端部が嵌まる端部嵌合穴を夫々設け、その両押圧ロールを付勢する共用スプリングとして、両端部を狭める方向に付勢力が働くループ型スプリングを用いることにより、そのループ型スプリングの中央部を迂回させてヘッド本体の外周面近くに配置し、刈刃コードを挟持する両押圧ロールの相対する外周面から大きく離すことができる。それ故、ループ型スプリングの囲繞空間が大きくなり、その内部にコード解除操作つまみと連結するコード解除部を設置し易く、スライド領域を大きく取ることができる。しかも、ループ型スプリングを共用にすると、両押圧ロールに与える付勢力を等しくできるので、外部から刈刃コードの一部を持ち、コード挿通用外開口を通じて行う刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を円滑に行える。
【0015】
又、各コード挿通用外開口とその内方に設置されたコード挟持機構の対となる両押圧ロールとの間に、底壁上面に突設した軸により回動可能に支持され、外部からコード挿通用外開口を通じて、刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を案内する弧状面を有するコードガイドを一対、各押圧ロールと夫々対応させて配置し、その両コードガイドの相対する弧状面の間隔をコード挿通用外開口側で広く、内方に行く程狭くして、その両弧状面の各最奥先端を両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分の各近傍に夫々配置することにより、両コードガイドの相対する弧状面の最奥先端の間隔が、外部から刈刃コードの一部を持ち、挿通用外開口を通じて挿入、引き出し、引き抜きの各作業をする刈刃コードの太さに応じて、両コードガイドの各回動と相対する弧状面の各形状により変化して、適切に対応できる。それ故、種々の太さを有する刈刃コードを良好に使用できる。しかも、使用する刈刃コードの太さにより撓み方が異なるが、刈刃コードの挿入、引き出し時のみならず、使用中も刈刃コードが両コードガイドにより案内されてしなやかに湾曲するので、コードに無理な応力が集中せず耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図1、2、3、及び4を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した刈払機用刈刃ヘッドのヘッド本体を構成する本体ケースの内部構造を示す平面図、図2は同ヘッド本体の一挿通用外開口側から見た主に本体ケース部を示す正面図、図3は同ヘッド本体の上カバーの外部構造を示す平面図、及び図4は同ヘッド本体の図2に対応する主に上カバー部を示す正面図である。
この刈払機用刈刃ヘッドはヘッド本体1とそのヘッド本体1の内部で夫々挟持し、ヘッド本体1の外周面に分散して設けた各コード挿通用外開口を通じて、外部に放射状に張り出す複数本の刈刃コードとから構成する。そこで、刈刃ヘッドの製作時、ヘッド本体1のケースとして、内部にコード挟持機構を分散して複数箇所設ける本体ケース2と、その上側を被う上カバー3とからなる円盤状ケース4を用いる。その際、本体ケース2には、円板状底壁5の中央部に駆動シャフト装着用中央穴6を設け、その底壁上面の内外縁部に上方に向き、底壁上面と垂直で同一高さの内外周壁7、8を夫々突設し、その外周壁8にコード挿通用外開口9を分散して複数箇所設ける。例えば、外周壁8の前後対称位置に左右に長い長方形状のコード挿通用外開口9を1箇所ずつ設ける。又、各コード挿通用外開口9の近傍内方の奥側をコード挟持機構設置箇所に夫々する。
【0017】
そして、ヘッド本体1の各コード挟持機構設置箇所に、底壁上面から上方に向け、その底壁上面と垂直な軸10を一対ずつ、いずれも所定距離左右に離して突設する。しかも、各垂直軸10の上面にはいずれにも、図5に示すように軸線に沿う中央部にねじ11が嵌まるねじ受け穴12を夫々設ける。なお、各垂直軸10の底面は底壁上面と一体に結合する。この各垂直軸10によって、例えば平目ローレット加工により外周面全体に歯状の凹凸を施した押圧ロール13夫々を回動可能に支持させる。なお、垂直軸10の外周面には綾目ローレット加工、ねじ山加工により歯状の凹凸を施すこともできる。
【0018】
そこで、各押圧ロールには垂直軸10が嵌まる軸嵌合穴14を4箇所、軸線を中心とする同心円に沿わせ、上下に貫通させて均等に分散配設する。このように、各押圧ロール13に4箇所の軸嵌合穴14を設けておくと、垂直軸10を1箇所の軸嵌合穴14に嵌めて使用し続けた結果、一部の歯状凹凸が磨耗した時、他の軸嵌合穴14に替えて、新しい歯状凹凸により押圧ロール13の使用を継続できるので好都合となる。又、各押圧ロール13に設けた隣接する軸嵌合穴14の間に、図6に示すようなC字状又はU字状のループ型スプリング15の両端部16(16a、16b)が嵌まる端部嵌合穴17を、軸嵌合穴14より外側の同心円に沿わせて、4箇所均等に分散配設する。なお、各軸嵌合穴14はいずれも係合用突部18の足部19が嵌まる足嵌合穴を兼ねる。
【0019】
又、各コード挟持機構設置箇所には、いずれにも底壁上面に突設した垂直軸10により回動可能に支持された押圧ロール13を一対配置する。そして、各対となる両押圧ロール13にループ型スプリング15を夫々装着する際には、その両端部16の間を少し広げて離し、両押圧ロール13に設けた端部嵌合穴14に夫々嵌める。すると、対となる両押圧ロール13に対し、ループ型スプリング15を共用でき、そのスプリング15の付勢力により互いに反対方向の回転力を与えて、両押圧ロール13の外周面を接近させることができる。しかも、両端部16を狭める方向に付勢力が働くループ型スプリングを用いることにより、そのループ型スプリング15の中央部を迂回させて、ヘッド本体1の外周面の近くに配置し、刈刃コード挟持箇所である対となる両押圧ロール13の相対する外周面から大きく離すことができる。又、ループ型スプリング15を用いると、刈刃コードに対し、両押圧ロール13に与える付勢力を等しくできるので、刈刃コードを持ち、コード挿通用外開口9を通じて、挿入等の各作業を円滑に行える。なお、ループ型スプリング15を装着する前に対となる両押圧ロール13の各上面に上述するようにして係合用突部18を夫々設けておく。
【0020】
このようにして、本体ケース2の内部の前後対称位置に、両コード挟持機構20を前後対称にして、又各コード挟持機構20を左右対称にして夫々組み立てる。そして、各コード挿通用外開口9とその近傍内方に設置されたコード挟持機構20の対となる両押圧ロール13との間、即ち両押圧ロール13の手前側に、底壁上面から垂直方向に突設する垂直軸21により回動可能に支持され、外部から刈刃コードを持ち、コード挿通用外開口9を通じて挿入等の作業をする際に、刈刃コードを案内する刈刃コード案内用の弧状面22を有するコードガイド23を一対、両押圧ロール13と図7に示すように夫々対応させて配置する。しかも、両コードガイド23の相対する弧状面22の間隔をコード挿通用外開口9の側で広く、内方に行く程狭くして、その両弧状面22の各最奥先端を両押圧ロール13の相対する外周面の最接近部分の各近傍に夫々配置する。それ故、コードガイド23として、例えば三日月状で、対応する押圧ロール13の外周面が嵌まるように凹み、コード挿通用外開口9に向って突出する緩やかな弧状面22を有し、その中央部付近を垂直軸21で支持したものが適する。なお、ループ型スプリング15を装着する前に、対となる両コードガイド23を装着しておく。
【0021】
又、上カバー3には、円板状上壁24の中央部に駆動シャフト装着用中央穴25を設け、更に各コード挟持機構設置箇所と対応する位置付近に、上カバー3の長円状に凹んだスライド領域26に嵌まって、外側に突出するコード解除操作つまみ27と、内側に突出し、係合用弧状面を有する大略正方形板状のコード解除部28とを連結する連結部29が嵌まる長円状の貫通穴30を夫々設ける。すると、その各長穴30に沿ってコード解除操作つまみ27を夫々スライドできる。なお、各コード解除操作つまみ27は2個の小ねじ31を用い、上方より連結部29を介してコード解除部28にねじ込んで結合する。このような上カバー3の各コード解除操作つまみ27の両側をねじ11を用いて、本体ケース2の側と夫々結合する。その際、各ねじ11を各押圧ロール13の軸嵌合穴14に嵌まる垂直軸10にねじ込むことによって結合できる。すると、ヘッド本体1の組み立てが完成すると同時に、円盤状ケース4も完成する。なお、上カバー3には円板状上壁24の外周に少し垂下する外周壁32を設けておき、結合時に本体ケース4の外周壁8の上縁部を被わせる。
【0022】
このようなヘッド本体1に対し、刈刃コード33を装着する場合、コード解除操作つまみ27を、先ず両押圧ロール13の係合用突部18から離れた図8に示す中立位置からスライドさせて、図9に示す解除位置に移動する。すると、コード解除操作つまみ27の移動と共に、コード解除部28が両押圧ロール13の相対する外周面の方向に移動し、両押圧ロール13の係合用突部18の間に嵌まる。そして、両係合用突部18の相対する外周面の最接近部分が、スプリング15の付勢力に抗するコード解除部28から挿入力を受けて押し広げられる。その結果、両押圧ロール13がいずれもそれまでと反対方向の回転力を受け、その相対する外周面の最接近部分間が離れる。そこで、外部から刈刃コード33の一端部側を、コード挿通用外開口9を通じて、両押圧ロール13の最接近部分間に必要な長さだけ挿入する。その際、両コードガイド23の相対する弧状面22の最奥先端の間隔が、刈刃コード33の太さに応じて、両コードガイド23の反対方向への各回転と相対する弧状面の各形状により変化して、適切に対応できる。それ故、種々の太さを有する刈刃コード33を良好に使用できる。しかも、刈刃コード33の挿入時に、刈刃コード33の太さにより撓み方が異なるが、太さが異なっても、両コードガイド23により案内されて、いずれもしなやかに湾曲するので、コード33に無理な応力が集中せず耐久性が向上する。なお、両コードガイド23は刈刃コード33をヘッド本体1のコード挿通用外開口9から引き出す際、及び刈刃コード33の使用中にも、コード33に無理な応力が集中せず耐久性を向上させることができる。
【0023】
このようにして、図10に示すように刈刃コード33を挿入した後、コード解除操作つまみ27を中立位置に戻す。すると、刈刃コード33の一端部側を、図11に示すようにスプリング15の付勢力により、元通りの反対方向の回転力を受ける対となる両押圧ロール13の相対する外周面の最接近部分で挟持し、固定できる。又は、コード解除操作つまみ27を中立位置に置いた状態のままで、刈刃コード33の一端部側をコード挿通用外開口9を通じて両押圧ロール13の相対する外周面の最接近部分間に挿入する。すると、両押圧ロール13の最接近部分がループ型スプリング15の付勢力に抗するコード挿入力を受けるので、両押圧ロール13がいずれもそれまでと反対方向の回転力を受けて、最接近部分間が押し広げられる。そこで、刈刃コード33のコードを必要な長さだけ挿入し、その挿入を止めると、刈刃コード33の一端部側を両押圧ロール13の相対する外周面の最接近部分間で挟持し、固定できる。
【0024】
又、ヘッド本体1に既に装着されている刈刃コード33の張り出し長さを長く又は短く調節する場合には、コード解除操作つまみ27を上述した方法で、中立位置から解除位置に移動して、刈刃コード33に対する挟持を解除した後、外部から挿通用外開口9を通じて、刈刃コード33を必要な長さだけ引き出し又は挿入する。すると、つまみ27を再度中立位置に戻して刈刃コード33を挟持し、固定させることにより、張り出し長さを長く又は短くすることができる。しかし、ヘッド本体1に既に装着されている刈刃コード33の張り出し長さを短く調節する場合には、コード解除操作つまみ27を中立位置に置いた状態のままで、刈刃コード33の一端部側をコード挿通用外開口9を通じて、両押圧ロール13の相対する外周面の最接近部分間に挿入する上述した方法で、刈刃コード33を挟持し、固定させることによっても行うことができる。そして、磨耗した刈刃コードの残存部分等はコード解除操作つまみ27を中立位置から解除位置に移動した後、挿通用外開口9を通じて引き抜きにより脱着させる。それ故、外部から刈刃コード33を持ち、ヘッド本体1の外周面に設けたコード挿通用外開口9を通じて行う刈刃コード33の挿入、引き出し、引き抜きの各作業を簡単に行えて、そのヘッド本体1に対する刈刃コード33の装着脱と、ヘッド本体1から張り出す刈刃コード33を長く又は短くする自在な長さ調節を行うことができる。
【0025】
又、ヘッド本体1に対し、長い刈刃コード33を使用する場合には、コード33の一部を必要な長さだけ挿通用外開口9を通じて外部に張り出し、コード33の大部分をヘッド本体1の円盤状ケース4内に収納しておく。すると、張り出した刈刃コード33の作業部が摩滅した時点で、外部から挿通用外開口9を通じてコード33が必要な長さになるように、適宜引き出し又は挿入することにより、コード33の張り出し長さを自在に調節しながら使用できるので、無駄になるコード33を少なくできる。又は、ヘッド本体1に設けられている2箇所のコード挟持機構20で長い刈刃コード33を共用して、2コード挟持機構20にコード33を掛け渡して挟持させ、コード33の両端部側をヘッド本体1より夫々張り出させて使用できる。その際には、刈刃コード33をヘッド本体1の中央部を通過させて配置するのがよく、本体ケース2の内周壁7に2箇所設けたコード挿通用内開口34を利用する。そして、長い刈刃コード33の両端側が摩耗して短くなったら残存部分を片側の刈刃コードとして、1箇所のコード挟持機構20により挟持させて使用でき、無駄になる刈刃コードを節減できる。それ故、長い又は短い刈刃コード33が使用し易くなり、コード資材の有効利用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した刈払機用刈刃ヘッドのヘッド本体を構成する本体ケースの内部構造を示す平面図である。
【図2】同ヘッド本体の一挿通用開口側から見た主に本体ケースを示す正面図である。
【図3】同ヘッド本体の上カバーの外部構造を示す平面図である。
【図4】同ヘッド本体の図2に対応する主に上カバー部を示す正面図である。
【図5】同ヘッド本体のコード挟持機構を構成する押圧ロールと垂直軸、ねじ、係合用突部との組み立て時の位置関係を示す斜視図である。
【0027】
【図6】同コード挟持機構を構成する一対の押圧ロールに対するループ型スプリングの両端部組み付け時の位置関係を示す斜視図である。
【図7】同押圧ロールとコードガイドとの位置関係を示す平面図である。
【図8】同ヘッド本体の上カバーに設けるコード解除操作つまみ、コード解除部が中立位置にある状態時の本体ケース内に設置したコード挟持機構と、一対のコードガイドとの位置関係を示す要部の平面図である。
【図9】同コード解除操作つまみ、コード解除部が解除位置にある状態時の本体ケース内に設置したコード挟持機構と、一対のコードガイドと、刈刃コードとの位置関係を示す要部の平面図である。
【図10】同刈刃コード挟持時のコード挟持機構を構成する一対の押圧ロールと一対のコードガイドとの位置関係を示す平面図である。
【図11】同コード解除操作つまみ、コード解除部が解除位置にある状態時の本体ケース内に設置したコード挟持機構と、一対のコードガイドと、挟持された刈刃コードとの位置関係を示す要部の平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…ヘッド本体 2…本体ケース 3…上カバー 4…円盤状ケース 5…底壁 6、25…駆動シャフト装着用中央穴 7…内周壁 8、32…外周壁 9…コード挿通用外開口 10、21…垂直軸 11、31…ねじ 12…ねじ受け穴 13…押圧ロール 14…軸嵌合穴 15…ループ型スプリング 16…両端部 17…端部嵌合穴 18…係合用突部 20…コード挟持機構 22…弧状面 23…コードガイド 24…円盤状上壁 26…スライド領域 27…コード解除操作つまみ 28…コード解除部 29…連結部 30…長穴 33…刈刃コード 34…コード挿通用内開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状底壁の中央部に駆動シャフト装着用中央穴を設け、その底壁上面の内外縁部に内外周壁を夫々突設し、その外周壁にコード挿通用外開口を分散して複数箇所設け、その各コード挿通用外開口の近傍内方をコード挟持機構設置箇所に夫々する本体ケースと、円板状上壁の中央部に駆動シャフト装着用中央穴を有し、本体ケースの上側を被う上カバーとからなる円盤状ケースを有するヘッド本体の内部で、刈刃コードを夫々挟持し、そのヘッド本体の外周面に設けた各コード挿通用外開口を通じて、外部に複数本の刈刃コードを放射状に張り出してなる刈払機用刈刃ヘッドであって、上記ヘッド本体の円盤状ケース内の各コード挟持機構設置箇所に、底壁上面に突設した軸により回動可能に支持された押圧ロールを一対ずつ配置し、その各対となる両押圧ロールに対し、スプリングの付勢力により互いに反対方向の回転力を夫々与えて、両押圧ロールを接近させ、その両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分間で刈刃コードを挟持するコード挟持機構を夫々設置し、その各対となる両押圧ロールの各上面に係合用突部を夫々設け、上カバーの各コード挟持機構設置箇所と対応する位置付近に、上カバーの外側に突出するコード解除操作つまみと内側に突出するコード解除部とを連結する連結部が嵌まる長穴を夫々設け、その各長穴に沿ってコード解除操作つまみを夫々スライド可能にし、コード解除時に、各コード解除操作つまみを夫々スライドさせ、各対となる両押圧ロールの係止用突部間にコード解除部を嵌めて、両係合用突部間を押し広げ、スプリングの付勢力に抗して両押圧ロールの相対する外周面間を離し、刈刃コードの挟持を夫々解除することを特徴とする刈払機用刈刃ヘッド。
【請求項2】
各コード挟持機構の対となる両押圧ロールの各上面に、スプリングの端部が嵌まる端部嵌合穴を夫々設け、その両押圧ロールを付勢する共用スプリングとして、両端部を狭める方向に付勢力が働くループ型スプリングを用いることを特徴とする請求項1記載の刈払機用刈刃ヘッド。
【請求項3】
各コード挿通用外開口とその内方に設置されたコード挟持機構の対となる両押圧ロールとの間に、底壁上面に突設した軸により回動可能に支持され、外部からコード挿通用外開口を通じて行う刈刃コードの挿入、引き出し、引き抜きの各作業を案内する弧状面を有するコードガイドを一対、両押圧ロールと夫々対応させて配置し、その両コードガイドの相対する弧状面の間隔をコード挿通用外開口側で広く、内方に行く程狭くして、その両弧状面の各最奥先端を両押圧ロールの相対する外周面の最接近部分の各近傍に夫々配置することを特徴とする請求項1又は2記載の刈払機用刈刃ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−23962(P2012−23962A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162368(P2010−162368)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【特許番号】特許第4673443号(P4673443)
【特許公報発行日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(594008143)カルエンタープライズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】