説明

列状載置柱状物の転がり防止装置及び転がり防止方法

【課題】列状に載置する柱状物の転がりを防止する装置及び方法を得る。
【解決手段】柱状物を載置するシート材の互いに平行をなす両端部に、断面三角形または四角形の両端エンドストッパを結合し、この両端エンドストッパの間においてシート材上に柱状物を載置してその移動を規制する列状載置柱状物の転がり防止装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、丸太材、円柱材のような柱状物(円形断面長尺材)を列状に並べさらに重ね積みするときに用いて好適な列状載置柱状物の転がり防止装置及び転がり防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
丸太材、円柱材のような柱状物を列状に載置しさらに重ね積みするとき、従来は柱状物の載置範囲の両側に固定物を置き、この両側固定物の間に、互いに平行にした柱状物を重ね積みしていた。円形断面柱状物を重ね積みすると、下段の列状の円形断面柱状物の間に形成される凹部に、上段の円形断面柱状物が位置することとなる。両側固定物は従来、三角柱状の木材あるいは載置面(地面または床面)に固定される固定物を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-1159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように単に柱状物の載置範囲(エリア)の両側に、固定物を置く転がり防止方法及び装置は、固定物の固定信頼性が問題であり、長期間放置されたとき、固定物が移動してしまえば、柱状物が移動してしまう。柱状物を高く積み上げている程、崩落の危険性が増す。トラックの荷台(床面)に柱状物を載置して運搬する場合にも、振動によるズレが発生しやすく、全く同様の問題がある。
【0005】
従って本発明は、柱状物を並べて置く場合に、その位置が長期に渡ってずれるおそれのない列状載置柱状物の転がり防止装置及び転がり防止方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による列状載置柱状物の転がり防止装置は、シート材と、このシート材の両端部に互いに平行をなすように結合され、該シート材上に載置した柱状物の移動を規制する両端エンドストッパと、を有することを特徴としている。
【0007】
シート材は、列状載置柱状物のズレによる荷重を受けてもマクロに見て伸び変形をせず、またエンドストッパに巻きつけられる程度の剛性を持つ材料から構成することが好ましい。このような材料は、具体的には抗張力繊維シートとして知られており、さらに具体的には、平面略矩形のゴムまたはエラストマーに補強材としての基布または樹脂フィルムを張り合わせた複合材(基布入りゴムシート材)、あるいはポリエステル繊維の織物の両面を軟質な合成樹脂フィルムでコーティングしたビニール系素材であるターポリンを用いることができる。
【0008】
あるいは、コスト的に許せば、シート材と両端エンドストッパを上述の抗張力繊維シートから一体に形成(加硫成形)してもよい。
【0009】
本発明の転がり防止装置は、その一使用態様では、シート材の両端エンドストッパ側の端部の少なくとも一方を該両端エンドストッパに巻き付け、その巻付量を調整することによって上記シート材の平面面積を設定することができる。
【0010】
本発明は、列状載置柱状物の転がり防止方法の態様では、シート材と、このシート材の互いに平行をなす両端部に位置させる一対の両端エンドストッパを準備するステップ、シート材の互いに平行をなす両端部を、それぞれ両端エンドストッパに巻き付けるステップ、及び両端エンドストッパの間のシート材上に、柱状物を載置するステップ、を有することを特徴としている。
【0011】
両端エンドストッパは、最も単純には、断面三角形または四角形とすることが好ましい。しかし、床面に安定的に載置される面と、この載置面から立ち上がって柱状物の荷重を受ける面とを備える形状であれば、多角形状であってもよい。多角形状は、「正」多角形である必要はなく、あるいは、かまぼこ断面であってもよい。
【0012】
本発明の転がり防止装置及び方法は、柱状物の形状を問わずに適用できるが、特に転がりやすい巨視的に見て円形断面の柱状物に適用することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、柱状物を載置するシート材の互いに平行をなす両端部に、両端エンドストッパを結合し、この両端エンドストッパの間においてシート材上に柱状物を載置してその移動を規制するから、載置柱状物の重量が両端エンドストッパに加わり、両端エンドストッパを開こうとする力が加わったとき、シート材がこの開こうとする力によく対抗する。このため、シート材が破損しない限り、両端エンドストッパが移動することがなく、極めて安定した状態で載置柱状物を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による列状載置柱状物の転がり防止装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】(A)、(B)、(C)は、シート材と両端エンドストッパの結合(固定)態様例を示す模式図である。
【図3】(A)、(B)は、本発明による列状載置柱状物の転がり防止装置の別の実施形態を示す斜視図と正面図である。
【図4】本発明による列状載置柱状物の転がり防止方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による列状載置柱状物の転がり防止装置の第一の実施形態を示すもので、列状にかつ重ね合わせて載置する柱状物として、完全円形断面の円柱Bを想定している。本転がり防止装置100は、シート材10と、このシート材10の両端部に結合した両端エンドストッパ20からなっている。シート材10は、円柱Bのズレによる荷重によっても伸び変形をせず、両端エンドストッパに巻きつけられる程度の剛性を持つ材料からなっていて、平面矩形をなしており、その互いに平行な両端部に、両端エンドストッパ20が結合されている。
【0016】
シート材10は、抗張力繊維シートから構成することが好ましい。具体的には、天然ゴム、クロロプレン(CR)ゴム、ウレタンゴム、ポリプロピレン等のゴムやエラストマーといったゴム材料に補強材としての基布または樹脂フィルムを張り合わせた複合材(基布入りゴムシート材)や、ポリエステル繊維の織物の両面を軟質な合成樹脂フィルムでコーティングしたビニール系素材であるターポリンを用いることができる。両端エンドストッパ20は、金属、木、コンクリート、または剛性の高いゴムやエラストマー樹脂等といった、変形しにくい剛体からなり、断面三角形をなしている。円柱Bと両端エンドストッパ20は、紙面に垂直な方向の一様断面材料である。シート材10は、一般的には平面矩形とするが、両端エンドストッパ20を結合した状態において、一対の両端エンドストッパ20がほぼ平行をなせばよい。両端エンドストッパ20は、載置面(地面、床面)Fに対して平面的に接するできるだけ広い面と、この接地面から上方に延びる面(部分)を備えればよい。断面三角形が最も好ましい形状であるが、断面四角形も使用可能であり、さらに、変形断面多角形、かまぼこ断面等も使用可能である。
【0017】
図2は、シート材10と両端エンドストッパ20の結合態様の例を示している。同図(A)は、両端エンドストッパ20にシート材10の端部を約1周巻き付けて後、シート材10と両端エンドストッパ20を釘(固定具)30で結合した例、同図(B)は、同様に、シート材10の端部を両端エンドストッパ20に約1周巻き付けて後、シート材10に重ね、シート材10の重畳部分を固定具40で結合した例、同図(C)は、シート材10の両端部に、三角柱状空間11を形成し、この三角柱状空間11内に、両端エンドストッパ20を挿入固定した例である。図1及び図2(A)、(B)では、図示の便宜上、シート材10と両端エンドストッパ20の間に隙間を描いているが、実際には隙間はないか僅かである。
【0018】
以上の本転がり防止装置100は、載置面Fに置いて用いられる。図1は、シート材10を用いる場所が、トラックの荷台Fのように小面積である場合に好適な使用例である。シート材10の両端エンドストッパ20側の端部は、該両端エンドストッパ20に巻き付けられており、この巻付量の調整によって、転がり防止装置100の平面面積(平面的な広がり)が設定されている。円柱Bは、このようにセットした転がり防止装置100のシート材10の上に、長手方向を両端エンドストッパ20の長手方向と平行にして(紙面と垂直にして)列状にかつ重ねて載置する。すると、下側の列状の隣り合う円柱Bの間の凹部に、上側の列状の円柱Bが位置する安定状態で、円柱Bが載置される。
【0019】
この列状積層載置状態では、多数の円柱Bを押し広げようとする力が両端のエンドストッパ20に加わり、該両端エンドストッパ20の間隔を広げようとする力が作用する。しかし、両端の両端エンドストッパ20は、シート材10によって互いに結合されているから、この広げようとする力によく対抗する。従って、多数の円柱Bを安定した状態で保持することができる。すなわち、列状にかつ積層して載置した円柱Bは、崩落の危険なく、あるいは、単に一列に配置した円柱Bは、両端エンドストッパ20の外に転がり出るおそれなく、本転がり防止装置100によって保持することができる。
【0020】
両端エンドストッパ20の形状については、前述のように、載置面(地面、床面)Fに対して平面的に接するできるだけ広い平面と、この接地面から上方に延びる面(部分)を備え、この上方に延びる部分で円柱Bの荷重を受けることができればよい。
【0021】
シート材10と両端エンドストッパ20は、図3に示すように、一体に形成することもできる。一体成形は、例えば上述の抗張力繊維シートを加硫成形して行うことができる。もっとも、載置する円柱Bが小型軽量のものである場合には、シート材10と両端エンドストッパ20を合成樹脂材料から一体に形成することも可能である。
【0022】
図4は、本発明による列状載置柱状物の転がり防止方法の一実施形態を示している。まず、シート材10と、このシート材10の互いに平行をなす両端部に位置させる一対の両端エンドストッパ20を準備する。シート材10の両端エンドストッパ20の材質や形状は、転がり防止装置100で説明したのと同様である。
【0023】
次にシート材10の互いに平行をなす両端部を、それぞれ両端エンドストッパ20に好ましくは1回転以上巻き付ける。この巻付量は、シート材10を展開する平面的な大きさに合わせて調整するが、1回転以上巻き付けることで、シート材10と両端エンドストッパ20の間の摩擦力を大きくし、一対の両端エンドストッパ20に開こうとする力が加わったときに、シート材10が十分抵抗する。
【0024】
以上のシート材10と両端エンドストッパ20のセットが終了したら、シート材10の上に、円柱Bを載置する。
【0025】
以上の実施形態では、柱状物として円柱Bを例示したが、本発明の転がり防止装置100は、完全円形断面は勿論、電柱のようなテーパ柱、丸太材、角柱材等の柱状物、さらには、電線リールやコンクリートヒューム管などの載置に使用することができる。
【符号の説明】
【0026】
F 載置面
B 円柱(柱状物)
100 転がり防止装置
10 シート材
11 三角柱状空間
20 両端エンドストッパ
30 40 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状物を載置するシート材と、
このシート材の両端部に互いに平行をなすように結合され、該シート材上に載置した柱状物の移動を規制する両端エンドストッパと、
を有することを特徴とする列状載置柱状物の転がり防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の列状載置柱状物の転がり防止装置において、上記両端エンドストッパは、断面三角形または四角形である列状載置柱状物の転がり防止装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の列状載置柱状物の転がり防止装置において、上記シート材は、平面略矩形の抗張力繊維シートからなり、両端エンドストッパは、この抗張力繊維シートとは別部材からなっていて、該抗張力繊維シートの両端部に互いに平行をなすように固定されている列状載置柱状物の転がり防止装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の列状載置柱状物の転がり防止装置において、上記シート材と両端エンドストッパは一体に成形された抗張力繊維シートからなっている列状載置柱状物の転がり防止装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の列状載置柱状物の転がり防止装置において、上記柱状物は、巨視的に見て円形断面の柱状物である転がり防止装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の列状載置柱状物の転がり防止装置の使用方法であって、シート材の両端エンドストッパ側の端部の少なくとも一方を該両端エンドストッパに巻き付け、その巻付量を調整することによって上記シート材の平面面積を設定する列状載置柱状物の転がり防止装置の使用方法。
【請求項7】
シート材と、このシート材の互いに平行をなす両端部に位置させる一対の両端エンドストッパを準備するステップ、
上記シート材の互いに平行をなす両端部を、それぞれ両端エンドストッパに巻き付けるステップ、及び
上記両端エンドストッパの間のシート材上に、柱状物を載置するステップ、
を有することを特徴とする列状載置柱状物の転がり防止方法。
【請求項8】
請求項7記載の列状載置柱状物の転がり防止方法において、上記両端エンドストッパは、断面三角形または四角形である列状載置柱状物の転がり防止方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の列状載置柱状物の転がり防止方法において、上記柱状物は、巨視的に見て円形断面の柱状物である列状載置柱状物の転がり防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−265083(P2010−265083A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118158(P2009−118158)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【出願人】(591137282)入間川ゴム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】