説明

列車運転曲線編集方法及び列車運転曲線編集システム

【課題】予め作成されている列車運転曲線を、オペレータの入力する各パラメータにより修正し、この修正に対応した新たな列車運転曲線及び時間曲線を生成する列車運転曲線編集システム及び列車運転曲線編集方法を提供する。
【解決手段】本発明の列車運転曲線編集方法は、列車運転曲線読出部が、経路における列車の位置と、当該位置における列車速度を示す列車運転曲線が路線毎に記憶された運転曲線データベースから、指定された列車運転曲線を読み出す列車運転曲線読出過程と、車両速度演算部が、列車運転曲線における位置と当該位置における運転制御命令とにより、列車運転曲線の運転制御命令が指示された位置の前後における各位置の速度を計算する列車速度演算過程と、列車運転曲線変更部が、速度計算過程において算出された各位置の速度から、列車運転曲線を変更する列車運転曲線変更過程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線での駅間における列車の走行位置及び速度の関係を示す列車運転曲線の修正を行う列車運転曲線編集システム及び列車運転曲線編集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から列車の路線におけるダイヤグラム(列車の運行計画・スケジュール)を作成するために、路線上における走行位置での速度、任意の位置から現在の走行位置までの走行時間等を示す運転曲線が生成されていた。この運転曲線は、速度曲線(以下、列車運転曲線とする)と時間曲線とから構成されている。この列車運転曲線は横軸に距離、縦軸に走行速度を示している。
また、この列車運転曲線を用い、横軸が距離であり、縦軸が蓄積された走行時間を示す時間曲線を求めてダイヤグラムの生成を行っている。
この列車運転曲線は、各鉄道会社が人手あるいは運転曲線作成システムなどを用いて生成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−155314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す運転曲線作成システムは、列車運転曲線を作成するオペレータが、試験運転などにおいて、予め作成された列車運転曲線における列車の運転方法の変更を行うなどの対応については考慮されていない。
【0005】
また、ダイヤグラムを作成する際、上述した時間曲線から得られた駅間の走行時間における秒の桁(0〜59)を、ダイヤグラムの時間を設定し易いように、5秒、10秒、15秒単位に数値の丸め込みしている。
このため、ダイヤグラム上の走行時間と、実際の走行時間との間に丸め誤差が発生することになる。
この丸め誤差を低減するために、列車運転曲線を修正する必要があるが、特許文献1に示す運転曲線作成システムには、すでに述べたように、列車運転曲線の修正を行う機能がなく、丸め誤差を解消することが困難である。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、予め作成されている列車運転曲線を、オペレータの入力する各パラメータにより修正し、この修正に対応した新たな列車運転曲線及び時間曲線を生成する列車運転曲線編集システム及び列車運転曲線編集方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の列車運転曲線編集方法は、列車運転曲線読出部が、経路における列車の位置と、当該位置における列車速度を示す列車運転曲線が路線毎に記憶された運転曲線データベースから、指定された前記列車運転曲線を読み出す列車運転曲線読出過程と、車両速度演算部が、前記列車運転曲線における位置と当該位置における運転制御命令とにより、前記列車運転曲線の前記運転制御命令が指示された位置の前後における各位置の速度を計算する列車速度演算過程と、列車運転曲線変更部が、前記速度計算過程において算出された前記各位置の速度から、前記列車運転曲線を変更する列車運転曲線変更過程とからなることを特徴とする。
【0008】
本発明の列車運転曲線編集方法は、前記経路が複数の制御領域に分割されており、当該制御領域毎に前記列車速度の上限値を示す速度制限曲線が設けられており、かすめ曲線生成部が、隣接する前記制御領域において、前記列車の移動方向に対し、より高い前記上限値を有する制御領域内に進入する際、隣接した制御領域の境界において、前記速度制限曲線の低い方の制御領域の上限値と接する、力行運転において加速した場合の速度変化曲線であるかすめ曲線を生成するかすめ曲線生成過程をさらに有し、前記列車運転曲線変更部が、直前の力行運転における列車速度の速度変化曲線と、前記かすめ曲線との間を惰行運転区間とすることを特徴とする。
【0009】
本発明の列車運転曲線編集方法は、ブレーキ曲線生成部が、隣接する前記制御領域において、前記列車の移動方向に対し、より低い前記上限値を有する制御領域内に進入する際、隣接した制御領域の境界において、前記速度制限曲線の低い方の制御領域の上限値と接する、ブレーキ運転において減速した場合の速度変化曲線であるブレーキ曲線を生成するブレーキ曲線生成過程と、惰行曲線生成部が、前記ブレーキ曲線に移行する際に必要な、惰行運転を行う時間に対応した速度変化曲線である惰行曲線を生成する惰行曲線生成過程とをさらに有し、前記列車運転曲線変更部が、惰行運転とする位置が入力された際、当該惰行運転とする位置が、前記惰行曲線と前記ブレーキ曲線との間である場合、前記惰行運転とする位置を、前記惰行曲線上における最も近傍の位置に変更することを特徴とする。
【0010】
本発明の列車運転曲線編集方法は、前記惰行運転区間が、力行運転から惰行運転に移行し、当該惰行運転から力行運転へ移行する際における予め設定された惰行運転の最小時間に対応した距離以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明の列車運転曲線編集システムは、経路における列車の位置と、当該位置における列車速度を示す列車運転曲線が路線毎に記憶された運転曲線データベースから、指定された前記列車運転曲線を読み出す列車運転曲線読出部と、前記列車運転曲線における位置と当該位置における運転制御命令とにより、前記列車運転曲線の前記運転制御命令が指示された位置の前後における各位置の速度を計算する列車速度演算部と、前記列車速度演算部において算出された前記各位置の速度から、前記列車運転曲線を変更する列車運転曲線変更部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、オペレータの入力する運転状態(力行運転、惰行運転及びブレーキ運転のいずれかの状態)を変更するパラメータとこのパラメータにより運転状態を変更する位置とにより、予め作成されている列車運転曲線における列車速度変化を、パラメータと変更する位置とに対応して再計算するため、予め作成されている列車運転曲線を任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態による列車運転曲線編集システムの構成例を示す図である。
【図2】表示部20の表示画面に表示される列車運転曲線と時間曲線と速度制限曲線とを示す図である。
【図3】列車運転曲線変更部13が表示部20の表示画面に表示する変更区間とこの変更区間における運転条件を入力する入力欄を示す図である。
【図4】列車運転曲線データベース17に記憶されている、路線名及び列車編成情報と、列車運転曲線のデータ及び時間曲線のデータとのテーブルの構成を示す図である。
【図5】演算パラメータデータベース18に記憶されている、路線名及び列車編成情報と、演算パラメータとのテーブルの構成を示す図である。
【図6】かすめ曲線生成部14によるかすめ曲線の生成を説明するための図である。
【図7】かすめ曲線生成部14によるかすめ曲線の生成を説明するための図である。
【図8】かすめ曲線生成部14によるかすめ曲線の生成を説明するための図である。
【図9】ブレーキ曲線生成部15がブレーキ曲線を生成し、惰行曲線生成部16が惰行曲線を生成する処理を説明するための図である。
【図10】列車速度演算部12が列車速度制限曲線を用いて、下り勾配であり惰行で加速する場合において、制限速度を満足させるように列車の運転状態を制御する処理を説明する図である。
【図11】現在の制限速度領域において、平坦または上り勾配の区間で、オペレータが力行状態(例えば、ノッチを4N)を設定した場合の列車運転曲線を示す図である。
【図12】現在の制限速度領域において、オペレータが力行状態あるいは惰行状態からブレーキ状態への移行を設定した場合の列車運転曲線を示す図である。
【図13】オペレータが任意の区間において走行状態を指定して設定した後、この区間の一部または全てが重なる区間にて、新たな走行状態を指定した場合における列車運転曲線編集システムの動作を説明する図である。
【図14】下り勾配において運転状態を惰行状態とした際、列車速度演算部12が行う速度制限の処理について説明する図である。
【図15】この発明の一実施形態による列車運転曲線編集システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による列車運転曲線編集システム1の構成例を示す概略ブロック図である。
図1において、列車運転曲線編集システム1は、列車運転曲線読出部11、列車速度演算部12、列車運転曲線変更部13、かすめ曲線生成部14、ブレーキ曲線生成部15、惰行曲線生成部16、列車運転曲線データベース17、演算パラメータデータベース18及び列車速度制限曲線データベース19、表示部20を備えている。
【0015】
次に、図2は表示部20の表示画面に表示される列車運転曲線と時間曲線と速度制限曲線とを示す図であり、横軸が基点位置からの走行距離(例えば、km)を示し、縦軸が列車速度(km/h)及び基点位置を出発してからの経過時間(例えば、分)を示している。ここで、図の右側において記載された数値が時間であり、図の左側に記載された数値が列車速度である。
この図において、列車運転曲線は走行距離と列車速度との対応関係を示し、例えば、A駅(基点位置)を発車してからB駅に向かう途中における、走行距離毎(例えば、基準距離として0.01km=10m)の列車速度を示している。すなわち、列車運転曲線は、走行経路を走行する間に、刻々と変化する列車速度の集合から構成された走行速度パターンである。
【0016】
また、時間曲線は走行距離と経過時間との対応を示し、例えば、A駅を発車してからB駅に向かう途中における、走行距離毎の基点位置を出発した時間からの経過時間を示している。
また、列車速度制限曲線とは、列車の走行経路における地形(例えば、カーブ、トンネル、信号機など)による安全に走行できる列車速度の上限を、地形の位置を走行距離に対応させて設定した曲線である。すなわち、列車速度制限曲線は、同一の制限速度が設定された連続した距離の集合の領域である制限速度領域が、予め設定された距離範囲毎に連続して設けられ、制限速度領域毎の制限速度が設定された曲線である。
【0017】
列車運転曲線読出部11は、列車運転曲線を修正するオペレータが、例えば、図示しない入力装置(キーボードなど)により、列車運転曲線を修正したい路線名及び列車編成情報を、表示部20に表示されている路線名及び列車編成情報の入力欄に入力されると、この入力欄に入力された路線名及び列車編成情報を読み込む。
また、列車運転曲線読出部11は、読み込んだ路線名及び列車編成情報と一致する列車運転曲線を列車運転曲線データベース17から検索し、一致する路線名及び列車編成情報の列車運転曲線を検出すると、この検出された列車運転曲線を列車運転曲線データベース17から読み出し、例えば図2(a)に示すように、列車運転曲線及び対応する時間曲線の画像を表示部20に表示する。
【0018】
列車運転曲線変更部13は、例えば、オペレータが表示部20の何れかの位置、あるいは表示されている列車運転曲線をポインティングデバイスなどにおいてクリックすることにより、図3に示す列車運転曲線を修正する位置及び運転条件等のマニュアル運転指定を行うデータの入力を行う入力欄の表示を行う。
図3は、列車運転曲線変更部13が表示部20に表示する、マニュアル運転指定におけるデータを入力する入力欄を示す図である。このマニュアル運転指定におけるデータを入力する入力欄は、列車運転曲線をいずれの位置(始点位置)からどの位置(終点位置)までの区間である修正区間において、列車をどのような運転状態とするか、すなわち力行運転、ブレーキ運転及び惰行運転のいずれとするか、また力行運転する場合にノッチの設定をいずれにするか、さらにかすめ区分とするか否かの情報などの運転条件を、オペレータが、入力装置から入力する欄である。
【0019】
また、列車運転曲線変更部13は、マニュアル運転指定の入力欄に入力された列車運転曲線を修正する位置(または始点位置の距離及び終点位置の距離から示される修正区間)及び運転条件等のデータに、路線名及び列車編成情報を付加し、修正使用データとして列車速度演算部12へ出力する。
また、列車運転曲線変更部13は、列車速度演算部12が演算した列車速度及び経過時間を用いた列車運転曲線の画像を、表示部20に表示する。
【0020】
列車速度演算部12は、列車運転変更部13から供給される列車運転曲線を修正する位置及び運転条件等を含む修正使用データにより、列車運転曲線の各位置における列車速度及び経過時間の算出を行う。また、列車速度演算部12の行う列車速度及び経過時間の演算の詳細な説明は後述する。
【0021】
かすめ曲線生成部14は、列車速度制限曲線において、現在の速度制限の領域から、より早い速度制限の領域に移行する位置、すなわち速度制限の領域の出口の部分における、例えば惰行運転から力行運転に変化し、この力行運転により列車の速度変化がたどる軌跡を示す速度変化曲線であるかすめ曲線を生成する。また、かすめ曲線生成部14の行うかすめ曲線の生成の詳細な説明は後述する。また、列車運転曲線変更部13は、直前の力行運転における列車速度の速度変化曲線(より早い速度制限の領域に移行する前の速度変化曲線)とかすめ曲線との間を、列車を惰行させる惰行運転区間とする(後述する図7における惰行曲線上の区間)。この惰行運転区間は、力行運転から惰行運転に移行し、惰行運転から力行運転へ移行する際における予め設定された惰行運転が可能な最小時間に対応した距離以上である。
【0022】
ブレーキ曲線生成部15は、ブレーキ運転を行った際に、列車の速度変化がたどる軌跡を示す速度変化曲線であるブレーキ曲線を生成する。また、ブレーキ曲線生成部15のブレーキ曲線の生成の詳細な説明は後述する。
【0023】
惰行曲線生成部16は、力行運転またはブレーキ運転から惰行運転に移行した際に、列車の速度変化がたどる軌跡を示す速度変化曲線である惰行曲線を生成する。また、惰行曲線生成部16の惰行曲線の生成の詳細な説明は後述する。
【0024】
列車運転曲線データベース17には、図4に示すように、路線(山手線、東海道線、中央線、総武線、高崎線、函館本線など)毎に、この路線を走行する各列車編成における、予め作成された列車運転曲線及び時間曲線が記憶されている。この図4は、列車運転曲線データベース17に記憶されている、路線名及び列車編成情報と、列車運転曲線のデータ及び時間曲線のデータと、勾配と、曲線とのテーブルの構成を示す図である。この図において、列車運転曲線データ及び時間曲線データは、列車運転曲線と時間曲線とのグラフデータの各々の格納場所を示すアドレス情報などのインデックス型式にて記憶されている。したがって、読み出す場合には、インデックスの示す先の列車運転曲線と時間曲線とのグラフデータを列車運転曲線データベース17から読み出す。このインデックスされるグラフデータは、車両型式、車両数、線路の上り下り線の区別、始発駅、終着駅、乗車率など毎に設けられている。そして、各グラフデータは、予め設定された始発駅からのキロ数で示される区間毎に、その地点での列車速度、始発駅から出発してからの経過時間、勾配、区間における最高速度、引張力、ノッチの情報などが記載されている。
【0025】
演算パラメータデータベース18には、図5に示すように、路線毎に、この路線を走行する各列車編成における演算パラメータが、列車編成情報毎に記憶されている。この図5は、演算パラメータデータベース18に記憶されている、路線名及び列車編成情報と、演算パラメータ(列車編成情報、列車重量W、引張力T、慣性係数γ、走行抵抗式、ブレーキ力もしくは減速度)とのテーブルの構成を示す図である。ここで、引張力T及びブレーキ力もしくは減速度は、引張力T及びブレーキ力のグラフデータの各々の格納場所を示すアドレス情報などのインデックス型式にて記憶されている。したがって、読み出す場合には、インデックスの示す先の引張力T及びブレーキ力の各々のグラフデータを演算パラメータデータベース18から読み出す。
ここで、列車重量Wは、列車編成における全列車の重量の合計値であり、単位が例えばt(トン)で示されている。
引張力Tは、車両における動力車の動輪周引張力、すなわち牽引力であり、ノッチ毎の速度に対する数値が記憶されており、単位が例えばkgf(キログラム重)で示されている。
【0026】
慣性係数γは、例えば惰行運転から力行運転に移行した際、加速するためには列車重量Wだけではなく、余分な引張力Tが必要になり、これを列車重量Wが増加したとみなし、この増加分を慣性重量とし、この慣性重量を列車重量Wで除算した数値である。この慣性係数γは、予め実験などにより求められ、演算パラメータデータベース18に設定されて(記憶されて)いる。
ブレーキ力Bは、単位がkgf/t(キログラム重/トン)であり、列車が平坦な直線路を走行している場合、ブレーキ運転における列車にかかる負の力を示している。また、ブレーキ力に換えて、減速度(km/h/s)を用いても良い。
【0027】
勾配抵抗Gは、例えば、単位がkgf/t(キログラム重/トン)であり、列車が勾配区間を走行する際、上り勾配の場合、重力の作用により列車の進行方向と逆方向の力として列車に作用し、一方、下り勾配の場合、重力の作用により列車の進行方向と同方向の力として作用する抵抗力であり、図2の横軸の距離において勾配が異なる領域毎に、予め設定されている。
この勾配抵抗Gは、走行位置における周囲の環境により異なるため、列車運転データベース17に設定されている勾配を基に計算する。
【0028】
走行抵抗Rは、単位がkgf/t(キログラム重/トン)であり、列車が平坦な直線路を走行する場合、列車の進行方向と逆方向に作用する抵抗力であり、車輪と軸受けとの摩擦抵抗、車輪とレールとの間の転がり摩擦抵抗、車輪の動揺による各種摩擦抵抗及び空気抵抗などが含まれる。この走行抵抗Rは、速度によって異なるため、演算パラメータデータベース18においては、演算式の形式で予め設定されている。
【0029】
列車速度制限曲線データベース19には、路線毎に、この路線を走行する各列車編成における列車速度制限曲線が、列車編成情報毎に記憶されている。
【0030】
<列車速度の演算>
以下に、列車速度演算部12が行う列車速度の計算について説明する。
列車速度演算部12は、位置及び運転条件などの修正使用データが列車運転曲線変更部13から供給されると、演算パラメータデータベース18において、同一の路線名及び列車編成情報の項目を検索する。
そして、列車速度演算部12は、供給された同一路線名及び列車編成情報の項目から、列車重量W、引張力T、慣性係数γ、走行抵抗式、ブレーキ力B等の演算式または演算パラメータを、演算パラメータデータベース18から読み出す。
このとき、列車速度演算部12は、勾配抵抗Gについては、変更する始点から終点までが示す変更範囲において、距離毎の勾配から計算する。
また走行抵抗Rについては、読み出した演算式及びその時の列車速度により計算する。
【0031】
そして、列車速度演算部12は、単位距離毎において、以下の(1)式により、列車速度を算出し、この列車速度を積分して距離と位置とを算出し、(2)式により経過時間とを求める。以下の演算は、列車速度演算部12において行われる。
dV/ds=(1/V)・[T−(R+G+B)]/W(1+γ) …(1)
dt/ds=1/V …(2)
実際的な演算としては、単位距離ΔS毎、例えば10mまたは1m毎に以下の様に、数値計算を行う。
任意の始点P0(S0,V0)から、単位距離ΔS(=ds)を与えてΔV(=dV)を求める際、(1)式において、V=V0とし、
ΔV’=ΔS・(1/V0)・[T−(R+G+B)]/W(1+γ) …(3)
この(3)式の右辺に、演算パラメータデータベース18から読み出した各パラメータを代入してΔV’を算出する。
【0032】
次に、V=V0+ΔV’として、(1)式に代入して、
ΔV’’=ΔS・[1/(V0+ΔV’)]・[T−(R+G+B)]/W(1+γ)…(4)
この(4)式の右辺に、演算パラメータデータベース18から読み出した各パラメータを代入してΔV’を算出する。
そして、求められたV’及びV’’とを、以下の(5)式に代入して、列車速度Vを算出する。
V1=V0+(ΔV’+ΔV’’)/2 …(5)
この列車速度V1が距離S+ΔSにおける列車速度として出力される。
また、このΔS内の走行時間Δtは、
Δt=ΔS/V …(6)
この(6)式で用いるVは、直前の単位距離ΔSで算出した列車速度である。
【0033】
上述のように、列車速度演算部12は、単位距離ΔS毎に、列車速度V1及び走行時間Δtを算出し、走行時間Δtを現在の経過時間tに加算し、列車運転曲線変更部13に対して、算出した列車速度V1及び経過時間tを出力する。
そして、列車運転曲線変更部13は、列車速度V1及び経過時間tが供給されると、列車運転曲線及び時間曲線のデータを内部記憶部に蓄積し、変更範囲を含めて、始点以降の列車速度及び経過時間が供給された後、例えば、図2(a)を図2(b)のように変更した画像を表示部20に対して画像表示する。
【0034】
<かすめ曲線の生成及びかすめ曲線を用いた列車の速度制御>
以下に、かすめ曲線生成部14が行うかすめ曲線の生成について説明する。
このかすめ曲線を生成し、列車運転曲線の生成に使用する場合、図3のマニュアル運転指定の入力欄における「かすめ区分」の欄に対し、オペレータがチェックを挿入することにより、列車運転曲線変更部13は、かすめ曲線を生成し、このかすめ曲線を用いた列車運転曲線の生成処理を行うことを指示するための制御信号を、かすめ曲線生成部14に対して出力する。
かすめ曲線生成部14は、かすめ曲線を生成する制御信号が供給されると、後述するかすめ曲線の生成を行う。
【0035】
かすめ曲線生成部14は、現在修正している列車運転曲線の路線名と列車編成情報とを列車運転曲線変更部13から読み込み、この路線名及び列車編成情報を列車速度制限曲線データベース19において検索する。
そして、かすめ曲線生成部14は、供給された路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報を検出すると、この路線名及び列車編成情報に対応して書き込まれている列車速度制限曲線を、列車速度制限曲線データベース19から読み出す。
次に、かすめ曲線生成部14は、連続した異なる制限速度の制限速度領域において、オペレータが入力した修正使用データにおける距離以降における列車の走行方向、すなわち距離が増加する方向に最初に存在する、より制限速度の高い制限速度領域に変化する地点を、列車速度制限曲線から抽出する。
【0036】
そして、かすめ曲線生成部14は、抽出した列車速度制限曲線の低い方の列車速度の制限値及び距離の位置から最大ノッチにおける速度変化曲線を生成する。
かすめ曲線生成部14は、列車速度の(3)式及び(4)式において、単位距離ΔSを負として計算する。
このとき、かすめ曲線生成部14は、計算の始点を制限速度領域の境界の距離とし、初期速度V0をこの境界における低い方の制限速度を用いて、距離が減少する方向に、すなわち単位距離ΔSを始点から減算していき、各距離の列車速度を算出し、かすめ曲線として出力する。
【0037】
次に、かすめ曲線生成部14は、得られたかすめ曲線を、図6、図7あるいは図8に示すように、表示部20において列車運転曲線と重ね合わせて表示するとともに、列車運転曲線変更部13に対して、かすめ曲線の生成が完了したことを通知する。図6、図7及び図8は、かすめ曲線生成部14によるかすめ曲線の生成を説明するための図であり、列車運転曲線を一部取り出した曲線であり、横軸が距離、縦軸が速度を示している。
そして、列車運転曲線変更部13は、オペレータの入力した修正使用データにおける修正区間の始点位置以降において、図6、図7及び図8のように、オペレータの入力した運転状態から求めた速度変化曲線が、かすめ曲線と交差する交差点の位置(距離)を算出し、この距離からかすめ曲線に対応した最大ノッチによる力行状態とする。
【0038】
例えば、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていると、図6に示すように、オペレータがノッチを4Nで力行状態と設定していた場合、このノッチが4Nで力行状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離から、オペレータの設定したノッチが4Nの力行状態からかすめ曲線に対応した最大ノッチによる力行状態に変更する。
一方、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていないと、図6に示すように、オペレータがノッチを4Nで力行状態と設定していた場合、このノッチが4Nで力行状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離となっても、オペレータの設定したノッチが4Nの力行状態を継続させる。
【0039】
また、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていると、図7に示すように、オペレータが惰行状態と設定していた場合、この惰行状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離から、オペレータの設定した惰行状態からかすめ曲線に対応した最大ノッチによる力行状態に変更する。
一方、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていないと、図7に示すように、オペレータが惰行状態と設定していた場合、この惰行状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離となっても、オペレータの設定した惰行状態を継続させる。
【0040】
また、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていると、図8に示すように、オペレータがブレーキ状態と設定していた場合、このブレーキ状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離から、オペレータの設定したブレーキ状態からかすめ曲線に対応した最大ノッチによる力行状態に変更する。
一方、列車運転曲線変更部13は、図3における「かすめ区分」の欄がチェックされていないと、図8に示すように、オペレータがブレーキ状態と設定していた場合、このブレーキ状態として計算した速度変化曲線が、上述したかすめ曲線と交差した距離となっても、オペレータの設定したブレーキ状態を継続させる。
【0041】
上述したように、かすめ曲線は、オペレータが設定した走行状態に対し、制限速度領域がより高い制限速度に設定された制限速度領域に切り替わる際、効率的に新たに進入する制限速度に到達させるために設定された曲線である。このかすめ曲線を適用する設定とすることにより、オペレータは、新たに進入する制限速度領域が現在の制限速度領域より、高い制限速度を有している場合、新たな制限速度領域の制限速度に効率的に上げる速度変化曲線を自身で算出する必要がない。このため、かすめ曲線を用いた速度変化曲線の作成支援の機構は、オペレータの速度変化曲線を作成する負荷を低減させることができる。
すなわち、列車運転曲線とかすめ曲線との交点において、力行−最大ノッチとすることにより、速度制限の出口をかすめるように速度を変化させることができ、無駄なく速度を上昇させることができる。
【0042】
<ブレーキ曲線の生成及ブレーキ曲線を用いた列車の速度制御>
以下に、ブレーキ曲線生成部15が行うブレーキ曲線の生成について説明する。
本実施形態においては、このブレーキ曲線を生成し、列車運転曲線の生成に使用している。このブレーキ曲線を用いた列車速度制御は、オペレータのマニュアル運転指定の入力を行うことなく、列車運転曲線変更部13が、速度変化曲線とブレーキ曲線とが交差した距離から、列車の運転状態をブレーキ曲線に沿ってブレーキ状態に移行する。
列車運転曲線変更部13は、速度変化曲線の生成が列車速度演算部12により開始される時点にて、ブレーキ曲線を生成し、このブレーキ曲線を用いた列車運転曲線の生成処理を行うことを指示するための制御信号を、ブレーキ曲線生成部15に対して出力する。また、列車運転曲線変更部13は、速度変化曲線の生成が列車速度演算部12により開始される時点にて、生成されたブレーキ曲線に対応した惰行曲線の生成処理を行うことを指示するための制御信号を、惰行曲線生成部16に対して出力する。
ブレーキ曲線生成部15は、ブレーキ曲線を生成する制御信号が供給されると、後述するブレーキ曲線の生成を行う。また、惰行曲線生成部16は、惰行曲線を生成する制御信号が供給され、ブレーキ曲線生成部15がブレーキ曲線を生成した後、このブレーキ曲線に対応する惰行曲線の生成を行う。
【0043】
ブレーキ曲線生成部15は、現在修正している列車運転曲線の路線名と列車編成情報とを列車運転曲線変更部13から読み込み、この路線名及び列車編成情報を列車速度制限曲線データベース19において検索する。
そして、ブレーキ曲線生成部15は、供給された路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報を検出すると、この路線名及び列車編成情報に対応して書き込まれている列車速度制限曲線を、列車速度制限曲線データベース19から読み出す。
次に、ブレーキ曲線生成部15は、連続した異なる制限速度の制限速度領域において、オペレータが入力した修正使用データにおける距離以降における列車の走行方向、すなわち距離が増加する方向に最初に存在する、より制限速度の低い制限速度領域に変化する地点を、列車速度制限曲線から抽出する。
【0044】
そして、ブレーキ曲線生成部15は、抽出した列車速度制限曲線の低い方の列車速度の制限値及び距離の位置からブレーキ状態における速度変化曲線を生成する。
かすめ曲線生成部14は、列車速度の(3)式及び(4)式において、単位距離ΔSを負として計算する。
このとき、ブレーキ曲線生成部15は、計算の始点を制限速度領域の境界の距離とし、初期速度V0をこの境界における低い方の制限速度を用いて、距離が減少する方向に、すなわち単位距離ΔSを始点から減算していき、各距離の列車速度を算出し、ブレーキ曲線として出力する。
また、ブレーキ曲線生成部15は、上述したブレーキ曲線を、ブレーキ状態における速度変化曲線ではなく、減速度(km/h/s)を用いて演算するようにしても良い。
ブレーキ曲線生成部15は、抽出した列車速度制限曲線の低い方の列車速度の制限値及び距離の位置から減速度状態における速度変化曲線を生成する。
【0045】
また、惰行曲線生成部16は、ブレーキ曲線を生成した後、このブレーキ曲線上に位置する地点(ブレーキ曲線を生成する際に列車速度を算出した点)の各々を始点とし、予め設定された時間tpcbの間において、列車速度の(3)式及び(4)式を用い、惰行状態にて進行する列車の速度を単位距離ΔS毎に算出する。
そして、惰行曲線生成部16は、ブレーキ曲線上の始点の各々からの距離及び速度からなる座標点(位置)を結び、惰行曲線を形成する。
この惰行曲線は、力行状態からブレーキ状態に移行する場合、直接に力行状態からブレーキ状態に移行することが列車の構造上禁止されており、力行状態からブレーキ状態への移行の間に時間tpcbの惰行状態を設ける必要から、ブレーキ曲線に対応して計算される。
【0046】
この力行状態からブレーキ状態に移行する間に設ける惰行状態の時間tpcbは、路線名及び列車編成情報毎に異なり、路線名及び列車編成情報毎に演算パラメータデータベース18に記憶されている。
また、ブレーキ曲線及び惰行曲線は、上述したように、路線及び列車の編成により異なっている。また、同一の路線であっても、列車速度制限曲線において、走行中の速度制限領域に対し、より低い制限速度の速度制限領域に変化する地点(距離で示される)が、上り勾配の区間に含まれているか、また下り勾配の区間に含まれているかに、またそれぞれの勾配の大きさにより、それぞれの速度制限領域においてブレーキ曲線及び惰行曲線が異なることになる。
このため、ブレーキ曲線生成部15は、路線における全ての、走行中の速度制限領域に対し、より低い制限速度の速度制限領域に変化する地点を抽出し、この地点の各々におけるブレーキ曲線を生成する。
また、惰行曲線生成部16は、ブレーキ曲線生成部15の生成したブレーキ曲線に対応して惰行曲線を生成する。
【0047】
次に、図9は、ブレーキ曲線生成部15がブレーキ曲線を生成し、惰行曲線生成部16が惰行曲線を生成する処理を説明するための図である。ここで、図9(a)は下り勾配におけるブレーキ曲線及び惰行曲線の生成を説明する図であり、図9(b)は上り勾配におけるブレーキ曲線及び惰行曲線の生成を説明する図である。
ブレーキ曲線生成部15は、得られたブレーキ曲線を、図9(a)及び図9(b)に示すように、表示部20において列車運転曲線と重ね合わせて表示するとともに、列車運転曲線変更部13に対して、ブレーキ曲線の生成が完了したことを通知する。同様に、惰行曲線生成部16は、得られた惰行曲線を、図9(a)及び図9(b)に示すように、表示部20において列車運転曲線と重ね合わせて表示するとともに、列車運転曲線変更部13に対して、惰行曲線の生成が完了したことを通知する。
そして、列車運転曲線変更部13は、オペレータの入力した修正使用データにおける修正区間の始点位置以降において、図9(a)及び図9(b)のように、オペレータの入力した運転状態から求めた速度変化曲線が、ブレーキ曲線と交差する交差点の位置(距離)を算出し、この距離からブレーキ曲線に対応したブレーキ状態に運転状態を変更する。
列車運転曲線変更部13は、惰行運転とする位置が入力された際、当該惰行運転とする入力された位置が、惰行曲線とブレーキ曲線との間である場合(惰行曲線上に無い場合)、惰行運転とする位置を惰行曲線上において検索する。すなわち、列車運転曲線変更部は、入力された位置の最も近い(最も近傍)の惰行曲線上の惰行開始位置として抽出し、この惰行開始位置を惰行運転を開始する位置として設定する。
【0048】
<他の制限処理>
・他の制限処理#1
次に、図10は、列車速度演算部12が列車速度制限曲線を用いて、制限速度を満足させるように列車の運転状態を制御する処理を説明する図であり、横軸が距離を示し、縦軸が列車速度を示している。
この図10において、現在の制限速度領域において、下り勾配の区間で、オペレータが惰行状態を設定した場合、列車は下り勾配のために、重力加速度により惰行状態で加速されることになる。そして、列車速度演算部12は、オペレータが設定した惰行状態において、単位距離毎に速度を演算する際、算出された速度が、走行している現在の制限速度領域における制限速度を超える場合、制限速度を超える直前の距離において、惰行状態からブレーキ状態に、走行状態を移行させる。
また、列車速度演算部12は、ブレーキ状態に移行後の速度変化曲線を生成し、予め設定された差分速度と、制限速度と現在の速度との差分とを比較し、差分速度に比較して差分が大きくなった場合、再度、ブレーキ状態から惰行状態へ運転状態を変更し、下り勾配における惰行状態での速度の計算を行う。
【0049】
上述したように、オペレータが設定した運転状態の区間において、地形が下り勾配であり、オペレータの設定した運転状態が惰行状態である場合、力行状態でなくとも列車が加速され、走行中の制限速度領域における制限速度をオーバーしてしまう。
このため、オペレータが加速する必要がないと確認し、下り勾配において惰行状態と設定した場合、上述した予め差分速度を設定しておくことにより、列車速度演算部12は、走行している制限速度領域における制限速度と、この制限速度より差分速度分低い速度との間で、惰行状態とブレーキ状態とを交互に繰り返す速度変化曲線を生成する。
【0050】
・他の制限処理#2
次に、図11は、現在の制限速度領域において、上り勾配の区間で、オペレータが力行状態(例えば、ノッチを4N)を設定した場合の列車運転曲線を示しており、横軸が距離を示し、縦軸が列車速度を示している。
図11に示されるように、上り勾配の重力加速度に打ち勝つ力行である場合、徐々に列車速度が上昇することになる。
そして、列車速度演算部12は、オペレータが設定した力行状態において、単位距離毎に速度を演算する際、算出された走行速度が、走行中の制限速度領域における制限速度を超える場合、制限速度を超える直前の位置(距離)において、力行状態から惰行状態に、運転状態を移行させる。
また、列車速度演算部12は、惰行状態に移行後の速度変化曲線を生成し、予め設定された差分速度と、制限速度及び現在の速度の差分とを比較し、この差分が設定されている差分速度より大きくなった場合、再度、惰行状態から力行状態へ運転状態を変更し、上り勾配における力行状態での速度の計算を行う。
【0051】
上述したように、オペレータが設定した運転状態の区間において、地形が上り勾配であり、オペレータの設定した運転状態が力行状態である場合、重力加速度に対して加速度が有ると列車が加速され、走行中の制限速度領域における制限速度をオーバーしてしまう。
このため、オペレータが上り勾配であり、力行状態とする必要があるとし、運転状態を力行状態として設定した場合、上述した予め差分速度を設定しておくことにより、列車速度演算部12は、走行している制限速度領域における制限速度と、この制限速度より差分速度分低い速度との間で、力行状態と惰行状態とを交互に繰り返す速度変化曲線を生成する。
【0052】
・他の制限処理#3
次に、図12は、現在の制限速度領域において、オペレータが力行状態あるいは惰行状態からブレーキ状態への移行を設定した場合の列車運転曲線を示しており、横軸が距離を示し、縦軸が列車速度を示している。
このオペレータがブレーキ状態を設定した区間において、列車速度演算部12は、どのような環境にあったとしても、ブレーキ状態を継続させ、単位距離毎に速度を演算する。
【0053】
・他の制限処理#4
次に、図13は、オペレータが任意の区間において走行状態を指定して設定した後、この区間の一部または全てが重なる区間にて、新たな走行状態を指定した場合における列車運転曲線編集システムの動作を説明する概念図である。この図13において、横軸が距離を示し、縦軸が列車速度を示している。
図3に示すマニュアル運転指定の入力欄において、オペレータが、距離Aの地点から距離Bの地点までの運転状態を、ノッチが3Nの力行状態として設定(指定)する。その後、再度、オペレータが、距離Aの地点と距離Bの地点との区間内において、新たに、距離Cの地点と距離Dの地点との間の運転状態を、ノッチが4Nの力行状態として設定する。
【0054】
この図13の場合、列車運転曲線変更部13は、内部にバッファを有しており、図3のマニュアル運転指定の入力欄に入力された、開始点の距離(位置)と開始点からの距離とにより設定された変更区間と、この変更区間における運転条件とが一旦記憶されている。
また、列車運転曲線変更部13は、計算を開始する操作をオペレータが行うまで、バッファの変更区間と運転条件とからなる修正使用データを、列車速度演算部12に対して出力しない。
【0055】
ここで、列車運転曲線変更部13は、オペレータが上述したように、距離Aの地点を開始点とし、この距離Aの地点から距離Bの地点までの距離と、この変更区間における運転状態として、ノッチ3Nの力行状態と設定すると、この修正使用データが内部のバッファに書き込まれた状態となっている。
そして、オペレータがすでに運転状態を設定した変更区間内において、距離Cの地点を開始点とし、開始点である距離Cの地点から距離Dの地点までの距離とを変更区間とし、この変更区間の運転状態とを、マニュアル運転指定の入力欄に入力すると、列車運転曲線変更部13は、バッファにすでに書き込まれている変更区間と、新たに設定された変更区間とを比較し、すでにバッファに書き込まれている変更区間と、新たに設定された変更区間とが重なっているか否かの判定を行う。
【0056】
そして、列車運転曲線変更部13は、すでにバッファに書き込まれている変更区間と、新たに設定された変更区間が重なっていない場合、新たに設定された変更区間と、この区間における運転条件とを新たにバッファに書き込む。
一方、列車運転曲線変更部13は、すでにバッファに書き込まれている変更区間と、新たに設定された変更区間が重なっている場合、図13に示すように、すでにバッファに書き込まれている変更区間に対し、新たに設定された変更区間を上書きし、バッファにおいて上書きした区間の運転条件を新たに設定した変更区間の運転条件に変更する。
【0057】
また、列車運転曲線変更部13は、図13に示すように、すでにバッファに書き込まれている変更区間(距離Aの地点から距離Bの地点まで)に、新たに設定した変更区間(距離Cの地点から距離Dの地点まで)が含まれる場合、距離Dの地点以降におけるすでにバッファに書き込まれている変更区間、すなわち距離Dの地点から距離Bの地点までの区間を、変更区間としての定義を解除し、変更区間及び運転条件のいずれも設定されていない初期状態とする。
したがって、図13に示す場合、列車運転曲線変更部13におけるバッファには、開始地点である距離Aの地点から、距離Cの地点までの距離で示される変更区間Aと、開始地点である距離Cの地点から、距離Dの地点までの距離で示される変更区間Cとの各々の変更区間が記憶されている。
【0058】
すなわち、列車運転曲線変更部13は、内部のバッファに対し、変更区間Aとこの変更区間Aの運転条件、変更区間Bとこの変更区間Bの運転条件からなる修正使用データを書き込み、記憶している。
そして、列車運転曲線変更部13は、オペレータが入力した修正使用データにより、指定した列車運転曲線の変更を行う操作を行うことにより、バッファの修正使用データを列車速度演算部12へ出力する。
そして、列車運転曲線変更部13は、かすめ区分の設定、列車速度制限曲線における速度制限領域の変更地点の検出に対応して、かすめ曲線生成部14、ブレーキ曲線生成部15及び惰行曲線生成部16の各々に対し、それぞれかすめ曲線、ブレーキ曲線、惰行曲線の生成を指示する制御を行う。
上述した構成により、開始地点さえ正確に入力すれば、開始地点からの距離がある程度、大雑把であったとしても、高い精度で変更区間を効率良く入力することができる。
【0059】
・他の制限処理#5
次に、図14は、下り勾配において運転状態を惰行状態とした際、列車速度演算部12が行う速度制限の処理について説明する図であり、横軸が距離を示し、縦軸が列車速度を示している。
オペレータがマニュアル運転指定の入力欄に対し、変更区間を設定し、この変更区間の運転条件として運転状態を惰行状態とした場合、この変更区間の地形が下り勾配であると、惰行状態においても、重力加速度により列車の速度が加速されることになる。
このため、列車速度演算部12は、列車速度の(3)式及び(4)式を用い、惰行状態にて進行する列車の速度を単位距離ΔS毎に算出し、算出した速度変化曲線が列車速度制限曲線における制限速度の線分と交差する場合、この交差する距離の地点から以降の運転状態を、惰行状態からブレーキ状態に変更する。そして、列車速度演算部12は、列車速度の(3)式及び(4)式を用い、ブレーキ状態にて進行する列車の速度を単位距離ΔS毎に算出し、速度変化曲線を生成する。
【0060】
次に、図15は、本実施形態による列車運転曲線編集システムによる列車運転曲線の修正処理の動作例を示すフローチャートである。以下、この図15を用いて、列車運転曲線編集システムによる列車運転曲線の修正処理の説明を行う。
オペレータが駅間の時間調整を行うため、修正対象の路線名及び列車編成情報を、図示しない入力装置から列車運転曲線編集システム1に対して入力する。
路線名及び列車編成情報が入力されると、列車運転曲線読出部11は、入力された路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報を有する列車運転曲線を、列車運転曲線データベース17において検索する。
【0061】
このとき、列車運転曲線読出部11は、列車運転曲線データベース17において、入力された路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報が検出されない場合、再入力を促す画像、例えば「入力した路線名及び列車編成情報に対応する列車運転曲線が見つかりません。確認して再度入力してください」などの画像を、表示部20に表示する。
一方、列車運転曲線読出部11は、列車運転曲線データベース17において、入力された路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報が検出された場合、この路線名及び列車編成情報に対応する列車運転曲線を、列車運転曲線データベース17から読み出す(ステップS1)。
【0062】
次に、列車運転曲線読出部11は、読み出した列車運転曲線を、例えば、図2(a)に示す画像で表示部20に表示する。
そして、オペレータは、表示部20の表示画面のいずれかポインティングデバイスによりクリックする。または、オペレータは、表示部20の表示画面に表示されている列車運転曲線において修正を行う駅のマークを、ポインティングデバイスにクリックする。
オペレータが表示部20の表示画面をクリックすることにより、列車運転曲線変更部13は、図3に示すマニュアル運転指定の入力欄を、列車運転曲線が表示されている表示部20の表示画面に表示する。
表示部20の表示画面にマニュアル運転指定の入力欄が表示されると、オペレータは、表示されたマニュアル運転指定の入力欄に、変更区間(修正区間)とこの修正区間における運転条件などの修正に用いるデータを入力し、再計算のボタンをポインティングデバイスによりクリックする(ステップS2)。
【0063】
次に、列車運転曲線変更部13は、入力された変更区間及びこの変更区間における運転条件に対し、路線名及び列車編成情報を付加して修正使用データとし、この修正使用データを列車速度演算部12に対して出力する。
修正使用データが入力されると、列車速度演算部12は、修正使用データに示される路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報の項目を、演算パラメータデータベース18において検索する。
そして、列車速度演算部12は、演算パラメータデータベース18において、修正使用データにおける路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報の項目が検出されると、この一致する路線名及び列車編成情報の項目に対応して記憶されている演算パラメータを、演算パラメータデータベース18から読み出す。
【0064】
そして、列車速度演算部12は、<列車速度の演算>の項で説明した処理により、指定された変更区間における列車速度を単位距離ΔS毎に演算し、変更区間における速度変化を再計算して速度変化曲線を求め(ステップS3)、この速度変化曲線において単位距離ΔS毎に、対応する単位距離における走行時間Δtを再計算し、再計算された速度変化曲線に対応する範囲の時間曲線を求める(ステップS4)。
【0065】
また、速度変化曲線を求める際、列車速度演算部12は、修正使用データにおける路線及び列車編成情報に一致する路線及び列車編成情報の項目を、列車制限曲線データベース19において検索する。
そして、列車速度演算部12は、列車制限曲線データベース19において、修正使用データにおける路線名及び列車編成情報に一致する路線名及び列車編成情報の項目が検出されると、この一致する路線名及び列車編成情報の項目に対応して記憶されている列車速度制限曲線のデータを、列車制限曲線データベース19から読み出す。
そして、列車速度演算部12は、<他の制限処理>にて示したように、列車速度制限曲線による速度制限に従い、上述した変化速度の演算を行う。
【0066】
また、速度変化曲線の算出の際、列車運転曲線変更部13は、かすめ区分が有効である場合、<かすめ曲線の生成及びかすめ曲線を用いた列車の速度制御>において説明したように、かすめ曲線生成部14に対してかすめ曲線の生成を指示する制御信号を出力し、新たに現在計算している領域より制限速度が大きい制限速度領域に進入する際の速度制御に用いるかすめ曲線を生成する。
そして、列車運転曲線変更部13は、列車速度演算部12が生成した速度変化曲線を、かすめ曲線生成部14が生成したかすめ曲線により修正する。
【0067】
同様に、速度変化曲線の算出の際、列車運転曲線変更部13は、<ブレーキ曲線の生成及びブレーキ曲線を用いた列車の速度制御>の項に記載したように、ブレーキ曲線生成部15が生成したブレーキ曲線と、惰行曲線生成部16が生成した惰行曲線とを用い、列車速度演算部12が生成した速度変化曲線の修正を行う。
このとき、列車速度演算部12は、列車運転曲線変更部13の修正した速度変化曲線における単位距離ΔS毎の走行時間Δtを再度計算し、最終的な時間曲線を生成する。また、列車速度演算部12は、変更区間を走行する走行時間、すなわち単位距離ΔS毎の走行時間Δtを積算した積算時間が、前回と異なり、差分が発生した場合、変更区間以降の時間曲線における積算時間に、この差分を反映させて、路線全体の新たな時間曲線を生成する。
【0068】
次に、列車運転曲線変更部13は、列車速度演算部12が生成した速度変化曲線を、かすめ曲線、ブレーキ曲線及び惰行曲線の各々を、必要に応じて用いて修正し、修正した速度変化曲線を、列車運転曲線データベース17から読み出した列車運転曲線に上書きし、表示部20の表示画面に描画して、図2(b)に示すように、新たな列車運転曲線及び時間曲線を、表示部20の表示画面に表示する(ステップS5)。
【0069】
そして、オペレータは、表示部20の表示画面に表示された列車運転曲線及び時間曲線を確認し(ステップS6)、結果が良である場合、例えば駅間の走行時間が得たい時間と同様である場合、図3のマニュアル運転指定の入力欄における閉じるのボタンをポインティングデバイスによりクリックし、この算出された列車運転曲線を記憶させる操作を行う。
この操作により、列車運転読出部11は、現在編集対象となっている列車運転曲線の路線名及び列車編成情報を列車運転曲線データベース17において検索する。
【0070】
ここで、列車運転読出部11は、列車運転曲線データベース17において、現在編集対象となっている列車運転曲線の路線名及び列車編成情報と一致する路線名及び列車編成情報が検索されると、この路線名及び列車編成情報に対応して記憶されている列車運転曲線のデータに、新たに生成された列車運転曲線を上書きする。
このとき、列車運転曲線読出部11は、マニュアル運転指定の入力欄において、「再計算後も元の列車運転曲線を保持する」欄がチェックされている場合、列車運転曲線にバージョン情報を付加して記憶する。そして、列車運転曲線読出部11は、次に読み出し処理を行う場合、読み出す列車運転曲線を複数のバージョンから選択させる表示を、表示部20の表示画面に行う。
【0071】
一方、ステップS6において、オペレータが、表示部20の表示画面に表示された列車運転曲線及び時間曲線が結果として良でない場合、例えば駅間の走行時間が得たい時間と異なる場合、再度、運転曲線を求めるため、図3に示すマニュアル運転指定の運転条件を修正し、再計算のボタンを再度クリックする。
再計算のボタンがクリックされることにより、列車運転曲線変更部13は、ステップS2からステップS6の処理を再度行う。
【0072】
上述した構成により、本実施形態によれば、予め生成された列車運転曲線データベース17に記憶されている列車運転曲線を、オペレータの入力する運転条件に対応するよう、速度を再計算して新たな列車運転曲線及び時間曲線を生成する編集処理が行えるようになり、路線の環境が変化した場合や、列車ダイヤなどを変更する場合など、必要に応じた列車運転曲線及び時間曲線を容易に得ることができる。
【0073】
また、図1における列車運転曲線編集システム1における列車運転曲線読出部11、列車速度演算部12、列車運転曲線変更部13、かすめ曲線生成部14、ブレーキ曲線生成部15及び惰行曲線生成部16の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより列車運転曲線の編集処理及びこの編集された列車曲線に対応した時間曲線の生成を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0074】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0075】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…列車運転曲線編集システム
11…列車運転曲線読出部
12…列車速度演算部
13…列車運転曲線変更部
14…かすめ曲線生成部
15…ブレーキ曲線生成部
16…惰行曲線生成部
17…列車運転曲線データベース
18…演算パラメータデータベース
19…列車速度制限曲線データベース
20…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車運転曲線読出部が、経路における列車の位置と、当該位置における列車速度を示す列車運転曲線が路線毎に記憶された運転曲線データベースから、指定された前記列車運転曲線を読み出す列車運転曲線読出過程と、
車両速度演算部が、前記列車運転曲線における位置と当該位置における運転制御命令とにより、前記列車運転曲線の前記運転制御命令が指示された位置の前後における各位置の速度を計算する列車速度演算過程と、
列車運転曲線変更部が、前記速度計算過程において算出された前記各位置の速度から、前記列車運転曲線を変更する列車運転曲線変更過程と
からなることを特徴とする列車運転曲線編集方法。
【請求項2】
前記経路が複数の制御領域に分割されており、当該制御領域毎に前記列車速度の上限値を示す速度制限曲線が設けられており、
かすめ曲線生成部が、隣接する前記制御領域において、前記列車の移動方向に対し、より高い前記上限値を有する制御領域内に進入する際、隣接した制御領域の境界において、前記速度制限曲線の低い方の制御領域の上限値と接する、力行運転において加速した場合の速度変化曲線であるかすめ曲線を生成するかすめ曲線生成過程をさらに有し、
前記列車運転曲線変更部が、直前の力行運転における列車速度の速度変化曲線と、前記かすめ曲線との間を惰行運転区間とする
ことを特徴とする請求項1に記載の列車運転曲線編集方法。
【請求項3】
ブレーキ曲線生成部が、隣接する前記制御領域において、前記列車の移動方向に対し、より低い前記上限値を有する制御領域内に進入する際、隣接した制御領域の境界において、前記速度制限曲線の低い方の制御領域の上限値と接する、ブレーキ運転において減速した場合の速度変化曲線であるブレーキ曲線を生成するブレーキ曲線生成過程と、
惰行曲線生成部が、前記ブレーキ曲線に移行する際に必要な、惰行運転を行う時間に対応した速度変化曲線である惰行曲線を生成する惰行曲線生成過程と
をさらに有し、
前記列車運転曲線変更部が、惰行運転とする位置が入力された際、当該惰行運転とする位置が、前記惰行曲線と前記ブレーキ曲線との間である場合、前記惰行運転とする位置を、前記惰行曲線上における最も近傍の位置に変更する
ことを特徴とする請求項2に記載の列車運転曲線編集方法。
【請求項4】
前記惰行運転区間が、力行運転から惰行運転に移行し、当該惰行運転から力行運転へ移行する際における予め設定された惰行運転の最小時間に対応した距離以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の列車運転曲線編集方法。
【請求項5】
経路における列車の位置と、当該位置における列車速度を示す列車運転曲線が路線毎に記憶された運転曲線データベースから、指定された前記列車運転曲線を読み出す列車運転曲線読出部と、
前記列車運転曲線における位置と当該位置における運転制御命令とにより、前記列車運転曲線の前記運転制御命令が指示された位置の前後における各位置の速度を計算する列車速度演算部と、
前記列車速度演算部において算出された前記各位置の速度から、前記列車運転曲線を変更する列車運転曲線変更部と
を有することを特徴とする列車運転曲線編集システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−192825(P2012−192825A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57976(P2011−57976)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】