説明

初期設定方法

【課題】 処理矛盾などの異常動作発生時に、迅速にかつ確実に最新状態への復帰ができるようにすることを目的とする。
【解決手段】 加入者の増加などにともなう管理情報の更新がなされると、管理情報設定領域1aの内容がそれに合わせて更新され、新規情報3が追加される。そして、この実施例においては、同時に、管理情報格納部2aもその内容に合わせて更新され、新規情報3が追加されるそして、ソフトウエア1におけるプログラムの処理矛盾などにより初期設定が行われるときは、管理情報格納部2aに格納されている管理情報を用いるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ソフトウエアの管理情報の更新を行う初期設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】交換機は、中央制御部,記憶部,入出力装置からなる主制御部と、以下に示す下位制御部とから構成され、それら下位制御部がその中央制御部に制御されることで機能を発揮している。下位制御部としては、例えば、接続制御部、ダイヤル翻訳制御部、信号送受制御部、課金制御部、ネットワーク監視制御部である。そして、中央制御部は、それら各下位制御部に対して、管理データを転送し、その後、必要な初期設定動作を行うような指示を出すことで、下位制御部の初期設定を行うようにしている。
【0003】このような交換機においては、所定のプログラムファイルから構成されたソフトウエアによって、そのソフトウエアが実際に動作する中央制御部を含め、各下位制御部のハードウエアの動作制御がなされている。このソフトウエアにおいては、現在動作している最新のプログラムのファイルの他に、前日まで稼働していた前日プログラムファイルと、過去に稼働実績のある保証プログラムファイルの2つをバックアップとして持っている。これら3つのプログラムファイルは、それぞれの時点で、最新のデータを持っている。このデータとは、例えば、加入者に関する情報などである。そして、上述した初期設定は、現在稼働している最新のプログラムファイルに異常が発生し、用いるファイルを前日プログラムファイルなどに戻した場合になされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来は以上のようになされており、初期化が行われるときに、変更した前日プログラムファイルなどの有している装置構成情報により初期設定を行うので、ソフトウエア及びハードウエアの両方が、その古い状態に戻ってしまうという問題があった。このため、例えば、加入者の増加にともなう設備の増加などに関する管理情報の変化が、この初期設定のときに反映されない状態となる。そして、この後、最新の状態へと復帰しなければならず、迅速な復帰ができないと言う問題があった。
【0005】この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、処理矛盾などの異常動作発生時に、迅速にかつ確実に最新状態への復帰ができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の初期設定方法は、ソフトウエアにおいてはプログラムファイルに加えて、ハードウエアの構成状態を認識するためのハードウエアの構成状態を示す管理情報が設定されている管理情報設定領域を備え、ハードウエアにおいては、自身の構成状態を管理情報として格納する管理情報格納部を備える。そして、ハードウエアの構成状態の変更がなされたとき、ソフトウエアは、この変更された構成状態を認識して管理情報設定領域に設定されている管理情報をその構成状態に一致するように更新し、かつ、管理情報格納部に格納されている管理情報を、この変更された構成状態に一致するように更新する。そして、そのプログラムファイルの更新がなされたときは、管理情報格納部に格納されている管理情報を用いて初期設定を行うことを特徴とする。
【0007】更新されたプログラムファイルによる動作開始時に行われる初期設定において、管理情報は最新のハードウエア構成の状態が反映される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は、この発明の1つの実施の形態である初期設定方法を説明するための説明図である。同図において、1はプログラムファイルなどから構成されるソフトウエア、1aはソフトウエア1における管理情報設定領域、2は前記プログラムファイルによりその動作が制御されるハードウエア、2aはハードウエア2における管理情報格納部である。管理情報設定領域1aにはハードウエア2の構成状態を示す管理情報が設定されており、例えば、毎日の装置立ち上げ時に新規にソフトウエア1が設定(初期設定)されたときに、この管理情報が管理情報格納部2aに格納される。
【0009】図1(a)は、通常動作状態を示しており、以上のことにより、当然のことながら、管理情報設定領域1aの内容と、管理情報格納部2aの内容とは一致している。そして、例えば、加入者の増加などにともなう管理情報の更新がなされると、管理情報設定領域1aの内容がそれに合わせて更新され、新規情報3が追加される。ここで、この実施例においては、同時に、管理情報格納部2aもその内容に合わせて更新され、新規情報3が追加される(図1(b))。
【0010】そして、ソフトウエア1におけるプログラムの処理矛盾などにより初期設定が行われるときは、管理情報格納部2aに格納されている管理情報を用いるようにする。例えば、ソフトウエア1におけるプログラムの処理矛盾などが発生すると、これは異常な動作であるため、このソフトウエア1を構成する現状のプログラムファイルは用いることができず、例えば、前日まで用いていた前日プログラムファイルを用いることで、この異常な状態を回避するようにする。
【0011】前日まで用いていた前日プログラムファイルは、前日までは異常を起こすことなく動作してきたものであり、実績のあるプログラムファイルということになる。したがって、このように、ソフトウエア1が動作異常を起こした場合、前日まで用いていた前日プログラムファイルを用いる以外にも、異常発生を想定して予め用意してある代謝プログラムファイルを、その動作異常を起こしたプログラムファイルの代わりに用いるようにしても良い。
【0012】このように、前日プログラムファイルを用いるなど、用いるプログラムファイルが変更されると、ソフトウエア1は再起動して、ハードウエア2の動作制御を開始する。そして、この動作開始にあたっては、装置立ち上げ時と同様に、初期設定動作が行われる。この初期設定動作において、従来では、代謝的に用いるプログラムファイルが有している管理情報を用いるようにしていた。このため、従来では、管理情報設定領域1aに設定される管理情報が、ハードウエア2の構成状態を正確に反映していない状態であった。
【0013】これに対して、この実施の形態においては、この異常処理など、プログラムファイルの更新における初期設定動作においては、管理情報格納部2aに格納されている管理情報を読み出して管理情報設定領域1aに設定し、これを用いるようにした(図1(c))。このことにより、この実施の形態によれば、異常処理における初期設定動作において行われる初期設定では、置き換えられる古いプログラムファイルの管理情報を用いるのではなく、ハードウエア2に逐次更新され格納されている最新の管理情報(新規情報3)が反映されることになる。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、更新された管理情報は、常にハードウエアの管理情報格納部に反映されているようにした。このため、プログラムファイルの異常により、古いプログラムファイルが用いられ、この動作を開始するにあたって初期設定がなされても、最新の管理情報がその初期設定に反映されるので、迅速にかつ確実に最新状態への復帰ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の1つの実施の形態である初期設定方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…ソフトウエア、1a…管理情報設定領域、2…ハードウエア、2a…管理情報格納部、3…新規情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プログラムファイルから構成される設定されたソフトウエアの動作により自身を構成するハードウエアの動作制御が行われる交換機において、前記ソフトウエアは、前記プログラムファイルに加えて、前記ハードウエアの構成状態を認識するための前記ハードウエアの構成状態を示す管理情報が設定されている管理情報設定領域を備え、前記ハードウエアは、自身の構成状態を管理情報として格納する管理情報格納部を備え、前記ハードウエアの構成状態の変更がなされたとき、前記ソフトウエアは、この変更された構成状態を認識して前記管理情報設定領域に設定されている管理情報をその構成状態に一致するように更新し、かつ、前記管理情報格納部に格納されている管理情報を、この変更された構成状態に一致するように更新し、前記プログラムファイルの更新がなされたときは、前記管理情報格納部に格納されている管理情報を用いて初期設定を行うことを特徴とする初期設定方法。
【請求項2】 請求項1記載の初期設定方法において、前記プログラムファイルの更新は、前記ソフトウエアがそのプログラムファイルが原因となる異常動作をしたときになされることを特徴とする初期設定方法。

【図1】
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【公開番号】特開平9−91121
【公開日】平成9年(1997)4月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−251102
【出願日】平成7年(1995)9月28日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)