説明

制御されたドラッグデリバリーのための生体分解性担体を含む組成物

本発明は、結合剤である粉末組成物;および医薬有効成分を含む、制御放出性医薬組成物に関する。第1の態様において、粉末組成物は、第1の相の炭酸カルシウムおよび第2の異なる相の炭酸カルシウムを少なくとも含み、第1および第2相は、非晶質炭酸カルシウム;バテライト;アラゴナイト;およびカルサイトから選ばれ、第2の態様において、粉末組成物は、炭酸カルシウムまたは硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムあるいはその組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ドラッグデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
API(医薬有効成分)デリバリーは、ヒトまたは動物への医薬品のデリバリーを意味する用語である。これは、通例、ドラッグデリバリーとも称される。デリバリーの最も一般的な方法として、好ましくは、非侵襲性経口(経口腔)、経鼻、経肺(吸入)および経直腸が挙げられる。しかしながら、多くの医薬は、分解を起こしやすいか、または効率的に取り込まれないか、または溶解度が低いので、これらの経路を用いてデリバリーすることができない。
【0003】
コンビナトリアル・ケミストリー由来のAPI候補および/または生物学に基づくハイスループットスクリーニングから選ばれるAPIは、親油性であることが非常に多い。これが、これらのAPIの最適経口投与のためのキャリヤーシステムを開発するための工業界または学問界におけるAPIデリバリー研究機関に対抗している。溶解度が低いAPIの普及が増加することは、特に経口経路によってデリバリーされるAPIにとって、バイオアベイラビリティが低く、不安定であるという顕著なリスクを提供する。APIのこのクラスについての問題のほんの一部に過ぎないが、それらの経口バイオアベイラビリティが、可溶化のための表面活性賦形剤の多用など、低く、非常に変わりやすいことが挙げられる。これらの問題を解決するための方法として、APIをポリマー担体に配合すること、およびシリカナノ粒子に結合したAPIを有する該ナノ粒子の使用が挙げられる。ナノ粒子形態におけるAPIは、組織に直接、そして制御された用量でデリバリーされうるので、より少ない用量で投与することができる。このことが、APIの有効性を増加させる。API粒子径は、今日、主として、エクステンシブ・ミリング(extensive milling)プロセスを介して、またはナノ粒子(シリカ)上の表面結合API分子の使用を介して制御される。メソ多孔質シリカは、APIデリバリーシステムとして使用されることを提案されている。
【0004】
上記言及した問題を解決し、APIの溶解度および溶解を増加させる方法として、結晶(粒)径を減少させるためのミリング、結晶学的構造(すなわち、結晶または非晶質)、結晶形(formおよびshape)および界面活性剤の使用が挙げられる。これらの方法のそれぞれが、それらの利用可能性を制限する欠点を有している。APIの溶解度、溶解およびバイオアベイラビリティの増強のために利用可能な別のアプローチは、共結晶の適用を介することである。これは、APIの固有の活性を維持しつつ、APIの物理化学的特性およびバルク材料特性を変更することができることを意味する(N.Blagdenら、Advanced Drug Delivery Reviews 59(2007)617-630)。
【0005】
さまざまな局所的、制御および/または標的化デリバリーのためのドラッグデリバリーシステムがこれまでに開発されている。その多くが、APIの担体として、生体吸収性または生体分解性ポリマー、セラミックスまたはヒドロゲルに基づいている。たとえば、リン酸カルシウムなどのさまざまなカルシウム塩ベースのセラミックスが、抗生物質などのAPIを保持し、放出するための成形用ペーストの形態で記載されている(Royer US 6391336、US 6630486)。これらのシステムの多く、特にリン酸カルシウムベースのシステムは、薬物の急速デリバリーおよび/またはゆっくりとした吸収速度を有している。
【0006】
セラミック材料を、API担体として使用することが報告されており、たとえば、シリカおよびメソ多孔質シリカが、経口摂取のためのAPIデリバリー材料として提案されている。経口摂取用ではないが、リン酸カルシウムベースの材料およびバイオガラスをAPI担体として用いることが提案されている(W.J.E.M. Habrakenら、Advanced Drug Delivery Reviews 59(2007)234-248)(Revisitingセラミックスfor medical applications、Maria Vallet-Reg、Dalton Trans.、2006、5211-5220)。また、それらの相対的に高い化学的安定性が、溶解度増強剤として用いることに対してそれらを不適当にしており、材料は、徐放性製剤のための使用されることが提案されている。炭酸カルシウムは、錠剤の賦形剤としての使用、および骨にカルシウムをデリバリーするための錠剤におけるカルシウム源としての使用も知られている。
【0007】
APIの溶解度、溶解およびバイオアベイラビリティを増加させる新規なAPIデリバリー法およびAPI担体材料が強く必要とされている。また、APIの標的化局所デリバリーのためのAPIデリバリー法およびAPI生体吸収性担体材料も強く必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術と比較して改善された性能特性を有するAPI担体を提供することである。本発明のもう1つの目的は、該担体を製造するための方法を提供することである。
【0009】
本発明の利点は、驚いたことに、API担体が、APIに対して制御された放出機能を有することである。本発明のもう1つの利点は、驚いたことに、API担体が、APIに対して増強されたバイオアベイラビリティ/溶解機能を有することである。
本発明のもう1つの利点は、API担体が、標的化局所デリバリー機能を有することである。
さらなる目的および利点は、当業者であれば、以下の詳細な説明から見出すことができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
詳細な記載
本発明の制御放出性医薬組成物は、以下に述べるように、経口デリバリーまたは局所デリバリーのいずれかを介して、それを必要とする患者における疾患を治療または予防するためにデリバリーされるように設計されてもよい。医薬組成物は、疾患を治療または予防する医薬有効成分(API)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
経口デリバリー
本発明の第1の実施態様は、放出を制御し、好ましくはAPIのバイオアベイラビリティ/溶解度を増加させることができる、APIの放出のためのドラッグデリバリーシステム(DDS)に関する。
【0012】
該DDSは、セラミックカルシウム化合物ベースの吸収可能なセメントおよび必要に応じて賦形剤ならびにその他の溶解度を増加させるための方法あるいは内部コーティングなどの制御放出を包含する。適当なカルシウム化合物として、炭酸カルシウムまたは硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムあるいはその組み合わせが挙げられる。該DDSは、好ましくはカプセル剤、散剤、錠剤、バッカル錠または舌下錠などの経口、経腸、局所、吸入での投与方法のいずれかを意味する。
【0013】
たとえば、Revisiting ceramics for medical applications、Maria Vallet-Reg、Dalton Trans.、2006、5211-5220およびWO 2005/039537などの文献に記載のように、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウムベースの生体吸収性セラミックスは、徐放性製剤において、あるいは注射用システムとして用いられることが多く記載されている。炭酸カルシウムは、錠剤において賦形剤として、あるいは骨にカルシウムをデリバリーするための錠剤におけるカルシウム源として用いることが知られている。不特定の剤形において、上述した炭酸カルシウムは、結合していない、すなわち、凝結硬化するセメントとして用いることができない。炭酸カルシウムは、骨再建のための注入用セメントとしての使用も提案されている(C. Combesら、Biomaterials 27 (2006) 1945-1954)。
【0014】
本発明の第1の実施態様は、構造におけるAPIの結合剤としての炭酸カルシウムセメントまたは硫酸カルシウムセメントまたはリン酸カルシウムセメントまたはその組み合わせの使用に関する。主な結合システムは、炭酸カルシウムおよび必要に応じて、硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムまたはその2つの組み合わせからなる最大49重量%の第二結合システムからなるのが好ましい。別の実施態様において、主な結合システムは、α相の硫酸カルシウムからなる。リン酸カルシウムセメントが、次の化合物を含むのが好ましい:無水リン酸一カルシウム、無水リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸オクタカルシウム、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、カルシウム欠乏ヒドロキシアパタイト、不定比ヒドロキシアパタイト、リン酸四カルシウム(TTCP)およびその組み合わせ。
【0015】
セメントは、必要に応じてAPIを加えた結合剤の粉末組成物と、必要に応じてAPIを溶解した水性液とを混合して、ペースト、すなわち、粉末組成物、液体または両方にAPIを加えたものにすることによって形成される。ペーストを、硬化させて、ブロック、顆粒または粉末などのいずれかの形状にする。硬化したセメント(APIを含む)を製粉して微粉末にし、所望のデリバリー形態にしたがって、一般的な医薬成分と混合するのが好ましい。
【0016】
APIを水性液に溶解するのが好ましい。APIの溶解度を増加させるために、該液体を室温と比べて加熱または冷却することができ、加熱するのが好ましい。必要に応じて、液体のpHを下げたり、上げたりすることもできる。水性液は、必要に応じて、エタノールまたは油などのもう1つの液体と混合することによって極性を低下させてもよい。液体中の特定のAPIの溶解度を増加させる他の手段もまた本発明に包含される。APIは、いずれのタイプのAPIであってもよい。
【0017】
粉末は、第一結合システムとして、非晶質炭酸カルシウム、バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトの組み合わせを含む。必要に応じて、49重量%以下のリン酸カルシウム(以下のカルシウム化合物を含む:無水リン酸一カルシウム、無水リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸オクタカルシウム、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、カルシウム欠乏ヒドロキシアパタイト、不定比ヒドロキシアパタイト、リン酸四カルシウム(TTCP)およびその組み合わせ)および/または硫酸カルシウム(αもしくはβ構造、水和物、非水和物または半水和物の混合物)からなる第二結合システムを第一結合システムと組み合わせる。第一結合システムは、炭酸カルシウム相について、好ましくは以下の組成範囲(重量%における第一結合システム、合計100%)の特定の炭酸カルシウム相のいずれの組み合わせも有することができる。
【0018】
非晶質炭酸カルシウム 0-100
バテライト 0-100
アラゴナイト 0-100
カルサイト 0-70
【0019】
より好ましくは:
非晶質炭酸カルシウム 10-90
バテライト 0-60
アラゴナイト 0-30
カルサイト 0-30
【0020】
最も好ましくは:
非晶質炭酸カルシウム 30-90
バテライト 10-30
アラゴナイト 0-10
【0021】
硬化反応中、第一結合システムは、以下のようにその最初の組成を変更するであろう。
非晶質炭酸カルシウム→非晶質炭酸カルシウム+バテライト+アラゴナイト+カルサイト (1)
バテライト→バテライト+アラゴナイトおよびカルサイト (2)
アラゴナイト→アラゴナイト+カルサイト (3)
カルサイトは、それ自体は結合システムを形成しないが、核形成部位として反応に関与する。上述の反応(1)−(3)は、完成することが可能であるか、または未完成であることが可能であり、これは、硬化状態において、すべての相が存在しうることを意味する。
【0022】
炭酸カルシウム相の製造は、C. Combesら、Biomaterials 27 (2006) 1945-1954)に記載されている。すべての相は、マグネシウムおよびストロンチウムなどとの固溶体として作成しうることに留意すべきである。他の変異体もまた利用可能である。バテライトは、30℃における塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって製造されうる。アラゴナイトは、100℃における塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって製造されうる。固溶体なしで製造される非晶質炭酸カルシウム(ACC)は、安定性が低く、バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトに部分的に変形する。より安定な固溶体ACCは、塩化カルシウム、周囲温度における塩化マグネシウ(および/または塩化ストロンチウム)溶液および炭酸水素ナトリウムの分解を介して製造されうる。バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトの固溶体も、高温における上述の塩化カルシウム、塩化マグネシウム(および/または塩化ストロンチウム)の分解によって製造することができる。上述の炭酸カルシウム相の固溶体もまた本発明に包含される。
【0023】
第二結合システムは、ブルシャイト、モネタイトまたはヒドロキシアパタイト(HA)および硫酸カルシウム水和物を形成するであろう。硬化結合システムには、未水和相が依然として存在しうるが、その非限定的例として、以下のカルシウム化合物が挙げられる:無水リン酸一カルシウム、無水リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸オクタカルシウム、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、カルシウム欠乏ヒドロキシアパタイト、不定比ヒドロキシアパタイト、リン酸四カルシウム(TTCP)およびその組み合わせ、および/または硫酸カルシウム(αもしくはβ構造、水和物、非水和物または半水和物の混合物。
【0024】
結合システム(第一および第二)の粒子サイズは、300 μm以下、好ましくは100 μm以下、より好ましくは30 μm以下である。
【0025】
本発明の1つの実施態様において、粉末混合物、すなわち、完成したDDSは、結合相と水和液の間の化学反応に関与しないが、完成したDDSに固相として存在するバラスト材料を含むことができる。したがって、本発明の1つの態様によれば、粉末混合物は、50容量%以下のバラスト材料を含むことができる。バラスト材料の非限定的例として、製粉したDDS、カルサイト、HA、製粉した硬化セメントおよび/または生体吸収性ポリマーが挙げられる。生体吸収性ポリマーの例として、ポリ乳酸、乳酸-グリコリド共重合体(polylactic-coglycolide-acids)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バラストの粒子サイズは、1 mm以下、好ましくは100 μm以下である。
【0026】
液体または粉末は、必要に応じて、炭酸カルシウムセメント中の液体のレオロジーまたは量を制御するために、分散剤またはゲル化剤を含むことができ、その量は、粉末および液体を合わせた総重量の20 重量%に限定される。分散剤の非限定的例として、ポリカルボン酸、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、NTA、ポリアクリル酸、PEGおよびその組み合わせが挙げられる。
【0027】
上述の粉末および液体成分を混合してペーストにする。粉末に対する液体の比率は、0.2〜20(w/w)の間である。ペーストを硬化させて、ブロック、顆粒または粉末などのいずれかの所定の形状にする。硬化したセメントペースト(上述の方法にしたがって、NBおよびAPIを含む)を、製粉して、好ましくは粒子サイズ100 μm以下、さらに好ましくは20 μm以下の微粉末にするのが好ましい。硬化は、室温、高温または低温で行うことができる。硬化は、ガス中、湿気中または真空下でも行うことができる。製粉は、必要に応じて、ボールミル製粉、遊星ボールミル製粉、ジェットミル製粉またはその組み合わせを用いて行うことができる。
【0028】
成形された粉末、ブロック(サイズ1 mm以下)または顆粒(サイズ1 mm以下)は、必要に応じて、通例の医薬賦形剤およびAPIと混合して、いずれかの上述のデリバリー形態にすることができる。賦形剤は、医薬の活性成分のための担体として用いられる不活性な物質である。賦形剤は、非常に強い活性成分を含む製剤のかさを増やし、便利で正確な用量にするために用いられることもある。1回用量におけるそれらの用途に加えて、賦形剤は、製造過程において、関与する活性物質の取り扱いを補助するために用いることができる。
【0029】
1つの経口デリバリー単位(たとえば、錠剤など)におけるAPIの用量は、5 g以下、好ましくは1 g以下である。
驚いたことに、形成された粉末は、API単独と比較して、より良いバイオアベイラビリティを有している。驚いたことに、形成された粉末は、API単独と比較して、より高い溶解度を有している。驚いたことに、形成された粉末は、投与されるAPIを高い正確性とともに非常に強力にすることができる。
【0030】
局所デリバリー
本発明の第2の実施態様はまた、1種以上の活性物質を含む制御放出性医薬組成物を局所的に投与することを可能にするための、APIの標的化および/または持続性放出のためのドラッグデリバリーシステム(DDS)に関する。
【0031】
たとえば、Revisiting ceramics for medical applications、Maria Vallet-Reg、Dalton Trans.、2006、5211-5220およびWO 2005/039537などの文献に記載のように、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウムベースの生体吸収性セラミックスは、徐放性製剤において、あるいは注射用システムとして用いられることが多く記載されている。炭酸カルシウムは、錠剤において賦形剤として、あるいは骨にカルシウムをデリバリーするための錠剤におけるカルシウム源として用いることが知られている。不特定の剤形において、上述した炭酸カルシウムは、結合していない、すなわち、凝結硬化するセメントとして用いることができない。炭酸カルシウムは、骨再建のための注入用セメントとしての使用も提案されている(C. Combesら、Biomaterials 27 (2006) 1945-1954)。
【0032】
本発明の第2の実施態様は、APIの局所的制御放出のための、構造におけるAPIの結合剤としての炭酸カルシウムセメントの使用に関する。主な結合システムは、炭酸カルシウムおよび必要に応じて、硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムまたはその2つの組み合わせからなる最大49重量%の第二結合システムからなる。セメントは、必要に応じてAPIを含む結合剤の粉末組成物と、必要に応じてAPIを溶解した液体とを混合して、ペースト、すなわち、粉末組成物、液体または両方にAPIを加えたものにすることによって形成される。APIの制御された標的化放出のために、APIを含む注射液を注射した後に、ペーストは硬化する。
【0033】
APIは、必要に応じて、水性液に溶解することができる。APIの溶解度を増加させるために、該液体を室温と比べて加熱または冷却することができ、加熱するのが好ましい。必要に応じて、液体のpHを下げたり、上げたりすることもできる。水性液は、必要に応じて、エタノールなどのもう1つの液体と混合することによって極性を低下させてもよい。液体中の特定のAPIの溶解度を増加させる他の手段もまた本発明に包含される。APIは、いずれのタイプのAPIであってもよい。
【0034】
粉末は、第一結合システムとして、非晶質炭酸カルシウム、バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトの組み合わせを含む。必要に応じて、49重量%以下のリン酸カルシウム(非晶質リン酸カルシウム、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、MCPCの混合物)および/または硫酸カルシウム(αもしくはβ構造、水和物、非水和物または半水和物の混合物)からなる第二結合システムを第一結合システムと組み合わせる。第一の結合システムは、炭酸カルシウム相について、好ましくは以下の組成範囲(重量%における第一結合システム、合計100%)の特定の炭酸カルシウム相のいずれの組み合わせも有することができる。
【0035】
非晶質炭酸カルシウム 0-100
バテライト 0-100
アラゴナイト 0-100
カルサイト 0-70
【0036】
より好ましくは:
非晶質炭酸カルシウム 10-90
バテライト 0-60
アラゴナイト 0-30
カルサイト 0-30
【0037】
最も好ましくは:
非晶質炭酸カルシウム 30-90
バテライト 10-30
アラゴナイト 0-10
【0038】
硬化反応中、第一結合システムは、以下のようにその最初の組成を変更するであろう。
非晶質炭酸カルシウム→非晶質炭酸カルシウム+バテライト+アラゴナイト+カルサイト (1)
バテライト→バテライト+アラゴナイトおよびカルサイト (2)
アラゴナイト→アラゴナイト+カルサイト (3)
カルサイトは、それ自体は結合システムを形成しないが、核形成部位として反応に関与する。上述の反応(1)−(3)は、完成することが可能であるか、または未完成であることが可能であり、これは、硬化状態において、すべての相が存在しうることを意味する。
【0039】
炭酸カルシウム相の製造は、C. Combesら、Biomaterials 27 (2006) 1945-1954)に記載されている。すべての相は、マグネシウムおよびストロンチウムなどとの固溶体として作成しうることに留意すべきである。他の変異体もまた利用可能である。バテライトは、30℃における塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって製造されうる。アラゴナイトは、100℃における塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって製造されうる。固溶体なしで製造される非晶質炭酸カルシウム(ACC)は、安定性が低く、バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトに部分的に変形する。より安定な固溶体ACCは、塩化カルシウム、周囲温度における塩化マグネシウ(および/または塩化ストロンチウム)溶液および炭酸水素ナトリウムの分解を介して製造されうる。バテライト、アラゴナイトおよびカルサイトの固溶体も、高温における上述の塩化カルシウム、塩化マグネシウム(および/または塩化ストロンチウム)の分解によって製造することができる。上述の炭酸カルシウム相の固溶体もまた本発明に包含される。
【0040】
第二結合システムは、加えられて反応しないか、または部分的に反応する第二結合相に加えて、ブルシャイトまたはヒドロキシアパタイト(HA)および硫酸カルシウムを形成するであろう。
【0041】
結合システム(第一および第二)の粒子サイズは、300 μm以下、好ましくは100 μm以下、より好ましくは30 μm以下である。
【0042】
本発明のもう1つの実施態様において、粉末混合物、すなわち、完成したDDSは、結合相と水和液の間の化学反応に関与しないが、完成したDDSに固相として存在するバラスト材料を含むことができる。したがって、本発明の1つの態様によれば、粉末混合物は、50容量%以下のバラスト材料を含むことができる。バラスト材料の非限定的例として、製粉したDDS、カルサイト、HA、製粉した硬化セメントおよび/または生体吸収性ポリマーが挙げられる。生体吸収性ポリマーの例として、ポリ乳酸、乳酸-グリコリド共重合体(polylactic-coglycolide-acids)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バラストの粒子サイズは、1 mm以下、好ましくは100 μm以下である。
【0043】
しかしながら、本発明のもう1つの実施態様によれば、粉末混合物は、APIを含むことができる。
【0044】
液体または粉末は、必要に応じて、炭酸カルシウムセメント中の液体のレオロジーまたは量を制御するために、分散剤またはゲル化剤を含むことができ、その量は、粉末および液体を合わせた総重量の20 重量%に限定される。分散剤の非限定的例として、ポリカルボン酸、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、NTA、ポリアクリル酸、PEGおよびその組み合わせが挙げられる。
【0045】
上述の粉末および液体成分を混合してペーストにする。粉末に対する液体の比率は、0.2〜20(w/w)の間、好ましくは0.3〜3の間である。
【0046】
ペーストは、必要に応じて、通例の医薬賦形剤およびAPIと混合して、いずれかの上述のデリバリー形態にすることができる。賦形剤は、医薬の活性成分のための担体として用いられる不活性な物質である。賦形剤は、非常に強い活性成分を含む製剤のかさを増やし、便利で正確な用量にするために用いられることもある。1回用量におけるそれらの用途に加えて、賦形剤は、製造過程において、関与する活性物質の取り扱いを補助するために用いることができる。
【0047】
組成物に含まれるセラミックスの固有の特性により、組成物は、放射線不透過性であり、標準的臨床X線透視法によって観察することができ、したがって、生体分解性セラミックスベースの制御放出性組成物の測位は、たとえば、超音波画像診断;磁気共鳴映像法;X線透過撮像;コンピューター断層撮影画像法;陽電子放出断層撮影法またはγ線カメラ/SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法)などの同位体ベースの画像法;磁気または電波ベースの測位システムなどによって、注入中および治療期間中、容易にモニタリングすることができる。したがって、制御放出性組成物の大部分が、標的部分に到達するのを確実にすることができる。好ましい実施態様において、本発明方法は、このようなモニタリングを包含する。制御放出性組成物の放射線不透過特性はまた、放射線治療の正確さを増加させるのに用いることができ、したがって、アジュバント/ネオアジュバント局所ホルモンおよび抗ホルモン治療に、小線源ブースト(brachy boost)あり、またはなしでの高精度外部ビーム放射線療法を組み合わせる可能性が提供される。
【0048】
上述の方法によるモニタリングは、治療期間中に用いることもできる。本発明方法で用いるのに好ましい制御放出性組成物は、主としてエロージョンおよび/または拡散によって活性物質を放出し、すなわち、このような場合、制御放出性医薬組成物の分解は、1種以上の活性物質の放出速度をインビボモニタリングするための手段である。通常、このようなモニタリングは、制御放出性医薬組成物を前立腺組織に最初に注入した後、約1カ月毎、約2カ月毎または約3カ月毎などの注入後の所定の間隔で行なうことが推奨される。
【0049】
上述したように、制御放出性医薬組成物は、モニタリングおよび用量調節のために処置された患者においてインビボで見ることができる。その結果として、制御放出性組成物の用量は、追加の用量によって修正することができ、投与剤形の分解および活性物質の放出における個人差を、標準的プロトコルと比べて、より高い正確さでモニターし、説明することができる。さらに治療中、前立腺のサイズならびに前立腺内の状態は、たとえば、pHなどに関して変化するかもしれない。このような変化はまた、活性物質の用量あるいは必要とされる放出の修正を引き起こしうる。モニタリングが、予期されるよりも速い分解を明らかにするか、または制御放出性医薬組成物の著しい分解を示す場合には、治療される患者は、通常、1種以上の活性物質の1種以上の追加用量の追加投与を必要とする。この用量は、活性物質のバースト/ブースト用量であり、および/または制御放出性医薬組成物の形態におけるさらなる注入である。
【0050】
制御放出性医薬組成物は、所定の期間中、活性物質を放出するように設計されうる。通常、放出期間は、約1週間から約6カ月(たとえば、制御放出性医薬組成物の最初の注入の後、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月、約2カ月、約3カ月など、および好ましくは約6カ月以上)であり、したがって、いずれにしても、一定の間隔(すなわち、もし放出期間が約1カ月ならば、新たな投与は、最初の投与の後、約3週間〜約1カ月行われ、もし放出期間が約6カ月ならば、新たな投与は、最初の投与の後、約5〜約6カ月間行われる)で制御放出性組成物の投与を繰り返すことが必要である。医師の診断および治療の選択に応じて、ブースト用量の追加が必要となる場合もある。
【0051】
制御放出システムを用いる治療の例として、ガン治療、ワクチンおよびデポーシステムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。APIの例として、フルタミド、2-ヒドロキシ-フルタミド、ビカルタミドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。フルタミド、2-ヒドロキシ-フルタミドおよびビカルタミドの用量は、0.1-1000 mg/日の範囲である。
注入されるペーストの量は、10 ml以下、好ましくは5 ml以下である
驚いたことに、本発明は、APIの生体吸収性標的化制御放出を提供する。
【0052】
医薬有効成分
2つの実施態様に関して、用語「API」は、治療的、予防的および/または診断的活性物質あるいは生理的作用を有する物質を意味することを意図するものである。該用語は、結晶(crystals)、非晶質、結晶(crystalline)、共結晶または多形、あるいは関連があれば、エナンチオマーもしくはラセミ体などのいずれかの立体異性体、あるいは上記のいずれかの組み合わせなどの物理的形態における、医薬的に許容しうる塩、錯体、溶媒和物またはそのプロドラッグなどの適当な形態でのAPIを包含することを意図する。
【0053】
本発明のさらなる実施態様において、1種以上の活性なAPIは、アンドロゲンまたはその誘導体(いずれかの塩、結晶、エナンチオマー体など)、抗アンドロゲンまたはその誘導体、非ステロイド系選択的アンドロゲン受容体モジュレーターまたはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲンまたはその誘導体、ゲスターゲンまたはその誘導体、抗ゲスターゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスターゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類縁体もしくは誘導体、ゴナドトロピンインヒビターまたはその誘導体、ゴナドトロピンアンタゴニストまたはその誘導体、副腎および/または前立腺酵素インヒビター、抗生物質、シクロオキシゲナーゼインヒビターまたはその誘導体、5-α-レダクターゼインヒビター、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、コルチコステロイド、HMG-CoAレダクターゼインヒビターまたはその誘導体(スタチン)、膜流出および/または膜輸送タンパク質、免疫系モジュレーター、血管形成インヒビターおよびその組み合わせから選ばれる。治療的、予防的および/または診断的に活性のある薬物物質は、医薬的に許容しうる塩、その活性なエナンチオマー体、溶媒和物もしくは錯体の形体で、あるいはいずれかの適当な結晶もしくは非晶質体であってもよく、あるいはプロドラッグの形体であってもよい。フルタミド、2-ヒドロキシ-フルタミド、ビカルタミド、酢酸ニルタミドもしくは酢酸シプロテロン、酢酸メゲステロールなどの非ステロイド系抗アンドロゲンと、5-αレダクターゼインヒビター、HMG-CoAレダクターゼインヒビター(スタチン)、シクロオキシゲナーゼインヒビター、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、コルチコステロイド、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト、エストロゲン、抗ガン薬(シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、シスプラチン、エピルビシン、タキソテレなど)、放射線増強因子(低酸素細胞毒)または増殖および抗増殖因子との組み合わせは、本明細書に言及するいずれかの前立腺関連疾患に対する治療効果をさらに改善する。
【0054】
治療の例として、神経疾患、自己免疫および免疫性疾患、感染症、炎症、代謝性疾患、肥満、尿生殖路疾患、心臓血管疾患、造血,抗凝血,血栓溶解および抗血小板疾患、高コレステロール血症、脂質異常症、呼吸器疾患、腎疾患、胃腸疾患、肝疾患、ホルモンの崩壊、補充、置換およびビタミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本発明は、アンドロゲンまたはその誘導体(テストステロンなど)、抗アンドロゲン(シプロテロン、10フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)またはその誘導体、エストロゲンまたはその誘導体、抗エストロゲン(タモキシフェン、トレミフェンなど)またはその誘導体、ゲスターゲンまたはその誘導体、抗ゲスターゲンまたはその誘導体、オリゴヌクレオチド、プロゲスターゲンまたはその誘導体、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはその類縁体もしくは誘導体、ゴナドトロピンインヒビターまたはその誘導体、副腎 15および前立腺酵素合成インヒビター(a-レダクターゼインヒビターなど)、膜流出および膜輸送タンパク質(PSC 833、ベラパミルなど)などの広義の治療薬に適用可能である。このような化合物として、単独または組み合わせでの、ダナゾール、ケトコナゾール、メフェナム酸、ニソルジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、フェロジピン、アトバクオン、グリセオフルビン、トログリタゾン、グリベンクラミドおよびカルバマゼピンならびにその他の細胞増殖抑制剤、免疫系モジュレーターおよび血管形成インヒビターが挙げられる。本発明はまた、局所または全身性持続薬物放出のための、いずれかの他の適当な軟組織または臓器に適用される医薬品を包含する。
【0056】
臨床状況における使用のためのさまざまな薬理学的クラスからの活性薬物の例として、抗菌薬(antibacterial agents)、抗ヒスタミン剤および充血除去剤、抗炎症薬、35 抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、局所麻酔薬、抗真菌薬、殺アメーバ剤または殺トリコモナス薬、鎮痛薬、抗不安薬、抗凝固薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗緑内障薬、抗マラリア剤、抗菌薬(antimicrobials)、抗新生物薬s、抗肥満薬、抗精神病薬、降圧剤、自己免疫疾患、性的不能治療薬、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー薬、解熱剤、抗コリン作動性薬、抗潰瘍薬、血糖低下剤、気管支拡張剤、中枢神経系薬、心血管作動薬、向知性薬、避妊薬、コレステロール低下剤、抗脂質異常症薬、細胞増殖抑制剤、利尿薬、殺菌剤、H-2ブロッカー、ホルモン剤、抗ホルモン剤、催眠薬、強心剤、筋弛緩薬、筋収縮薬、医薬賦活剤(physic energizers)、鎮静剤、交感神経興奮剤、 血管拡張剤、血管収縮剤、精神安定剤、電解質補給剤、ビタミン、尿酸排泄促進薬、強心配糖体、膜流出インヒビター、膜輸送タンパク質インヒビター、去痰薬、緩下剤、造影剤(contrast materials)、放射性医薬品、造影剤(imaging agents)、ペプチド、酵素、増殖因子、ワクチン、鉱物微量元素などが挙げられる。
【実施例1】
【0057】
粒子サイズ30 μm以下の非晶質炭酸カルシウム(ACC)およびバテライトおよびカルサイト粉末を重量比3:1(ACC:バテライト)で乾式混合した。30℃での塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって、バテライトを製造した。周囲温度にて、塩化カルシウム、塩化マグネシウム溶液および炭酸水素ナトリウムの混合物を用いてACCを製造した。1:4(ビカルタミド:セラミック粉末)の比率で、ビカルタミドと乾式混合した粉末をさらに混合した。
【0058】
別に、水をセルロースと混合した(NTA 1g/l)。
液体:粉末=1:2の比率で、液体とセラミックビカルタミド粉末を混合してペーストにした。37℃の湿潤キャビネット中で、ペーストを硬化させて円柱にした。硬化した円柱からの薬物の放出をインビトロで測定した。結果から、24時間にわたって円柱からビカルタミドの持続性放出が明らかとなった。
【実施例2】
【0059】
粒子サイズ30 μm以下の非晶質炭酸カルシウム(ACC)およびバテライトおよびカルサイト粉末を重量比3:1(ACC:バテライト)で乾式混合した。30℃での塩化カルシウム溶液および炭酸ナトリウム溶液の複分解法によって、バテライトを製造した。周囲温度にて、塩化カルシウム、塩化マグネシウム溶液および炭酸水素ナトリウムの混合物を用いてACCを製造した。
【0060】
50℃に加熱して、ダナゾールを水に溶解した。
液体:粉末=1:2の比率で、温かい液体とセラミック粉末を混合してペーストにした。37℃の湿潤キャビネット中で、ペーストを硬化させて薄いケーキにした。硬化した円柱からの薬物の放出をインビトロで測定した。ケーキを粉砕し、乾式製粉して、粒子サイズ20 μm以下の粉末にした。
【0061】
pH2にて、インビトロで、粉末からの放出速度を、ダナゾールの粒子(同じ結晶サイズ)と比較した。セラミック/薬物粉末からの放出速度は、APIそれ自体からの放出速度よりも速かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)少なくとも、第一相である炭酸カルシウムおよび第二の異なる相である炭酸カルシウムを含む第一結合剤の粉末組成物であって、第一および第二相が、非晶質炭酸カルシウム;バテライト;アラゴナイト;およびカルサイトから選ばれる第一結合剤の粉末組成物;
2)水性液;および
3)医薬有効成分;
を含む制御放出性医薬組成物。
【請求項2】
該粉末組成物が、硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムまたはその組み合わせを含む第二結合剤をさらに含む、請求項1に記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項3】
第二結合剤が、該粉末組成物の49重量%以下である、請求項2に記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項4】
該水性液が、極性低下液と混合される、請求項1〜3のいずれかに記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項5】
該極性低下液が、エタノールまたは油である、請求項2に記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項6】
該医薬有効成分が疾患を治療または予防する方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の制御放出性医薬組成物のペーストを、それを必要とする患者に注入することを含む、疾患の治療または予防方法。
【請求項7】
1)炭酸カルシウムまたは硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムまたはその混合物を含む粉末組成物;
2)水性液;および
3)医薬有効成分;
を含む、制御放出性医薬組成物。
【請求項8】
該粉末組成物が、少なくとも、第一相である炭酸カルシウムおよび第二の異なる相である炭酸カルシウムを含み、第一および第二相が、非晶質炭酸カルシウム;バテライト;アラゴナイト;およびカルサイトから選ばれる、請求項7に記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項9】
該水性液が、極性低下液と混合される、請求項7〜8のいずれかに記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項10】
該極性低下液が、エタノールまたは油である、請求項9に記載の制御放出性医薬組成物。
【請求項11】
1)請求項7〜10のいずれかに記載の医薬組成物のペーストを硬化させて、硬化医薬組成物を形成し;
2)該硬化医薬組成物を製粉し;および
3)製粉された医薬組成物の錠剤を形成する;
過程によって製造される錠剤。
【請求項12】
該過程が、製粉前に、硬化した医薬組成物を、医薬的賦形剤および必要に応じてAPIと混合することをさらに含む、請求項11に記載の錠剤。
【請求項13】
該過程が、製粉前に、硬化した医薬組成物を、医薬的賦形剤およびAPIと混合することをさらに含む、請求項11に記載の錠剤。
【請求項14】
該医薬有効成分が疾患を治療または予防する方法であって、請求項11〜13のいずれかに記載の錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾患の治療または予防方法。

【公表番号】特表2012−517466(P2012−517466A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550084(P2011−550084)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000080
【国際公開番号】WO2010/093285
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511196490)アドゥロ・マテリアル・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】ADURO MATERIAL AB
【Fターム(参考)】