説明

制御信号送信装置およびそのプログラム

【課題】 セレクタが共通操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置以外の時に、共通操作信号が入力された場合でも、適切な制御信号をコンテンツ再生装置に送信すること。
【解決手段】 セレクタによって共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置以外が選択されているときに、共通操作信号が入力された場合であっても、最終再生装置(又は最終選択装置)によって特定されるコンテンツ再生装置を制御する制御信号を、当該コンテンツ再生装置に送信する。従って、セレクタによって共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置以外が選択されているときに、共通操作信号が入力された場合に、いずれのコンテンツ再生装置も制御できないという問題を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置に制御信号を送信する制御信号送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDプレーヤ、MDプレーヤ及びFMチューナ等を内蔵した増幅装置(システムコンポ)が市販されている。増幅装置は複数の音声入力端子を備え、複数の音声入力端子に複数のコンテンツ再生装置(例えば、DVDプレーヤ、テープレコーダ等)が接続可能になっている。増幅装置にはセレクタが設けられており、ユーザ操作によってセレクタが切り換えられることにより、増幅装置からスピーカーに出力する音声信号を供給するコンテンツ再生装置を、内蔵されているCDプレーヤ、MDプレーヤ、FMチューナ、及び、外部接続されているDVDプレーヤ、テープレコーダの中から1つを選択する。選択されたコンテンツ再生装置で再生された音声信号は増幅装置において増幅され、スピーカーに供給されて音声が再生される。
【0003】
増幅装置に付属しているシステムリモコンを操作することによって、内蔵されているCDプレーヤ、MDプレーヤ、FMチューナ、及び、外部接続されているDVDプレーヤ、テープレコーダに対して、増幅装置から制御信号を送信することによりこれらの機器を制御(例えば、再生、停止、一時停止等)することができる。
【0004】
図3は、システムリモコンの例を示す外観図である。システムリモコン30は、セレクタを切り換えるためのセレクタボタン31(31a〜31b)と、内蔵されているCDプレーヤを操作するためのCDボタン32(32a〜32c)と、内蔵されているMDプレーヤを操作するためのMDボタン33(33a〜33c)と、内蔵されているFMチューナを操作するためのFMボタン34(34a〜34b)と、外部接続されるDVDプレーヤ又はテープレコーダを操作するためのDVD/TAPEボタン35(35a〜35c)とを含む。
【0005】
内蔵されているCDプレーヤ、MDプレーヤ及びFMチューナには専用のボタンが設けられており、専用のボタンが操作されたときに、CDプレーヤ、MDプレーヤ又はFMチューナが操作されると共に、自動的に操作されたボタンの機器にセレクタが切り替わるようになっている。例えば、現在のセレクタがCDセレクタになっている状態で、MDボタン(例えば、MD再生ボタン33a)が操作された場合、増幅装置は、セレクタをMDセレクタに変更すると共に、MDプレーヤの再生を開始する。従って、ユーザはセレクタボタン31を操作してセレクタをMDセレクタに切り換える必要がない。
【0006】
しかし、システムリモコン30の小型化及びコストダウンを考慮して、例えば、外部接続されるコンテンツ再生装置に対して、各コンテンツ再生装置に専用のボタンを設けずに、共通のボタン35(図3では、DVD/TAPEボタン)のみが設けられている。現在のセレクタがCDセレクタになっている状態で、外部接続されているDVDプレーヤを再生開始する場合には、まずセレクタボタン31を操作してセレクタをDVDセレクタに切り換えた後に、DVD/TAPE再生ボタン35aを操作する必要がある。これにより、増幅装置は外部接続されているコンテンツ再生装置に対して、DVDプレーヤを再生する旨の制御信号を送信する。DVDプレーヤはこの制御信号を受信すると、再生を開始する。このような操作が必要となるのは、セレクタがCDセレクタである状態で、DVD/TAPE再生ボタン35aが操作された場合、増幅装置は、外部接続されているコンテンツ再生装置に対して、DVDプレーヤを再生する旨の制御信号、又は、テープレコーダを再生する旨の制御信号のいずれを出力すべきかの判別をできないからである。従って、セレクタがCDセレクタである状態で、DVD/TAPE再生ボタン35aを操作された場合には、増幅装置はいずれの制御信号もコンテンツ再生装置に送信することができない。
【0007】
【特許文献1】特開平8−147953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、その目的は、セレクタが共通操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置以外の時に、共通操作信号が入力された場合でも、適切な制御信号をコンテンツ再生装置に送信することができる制御信号送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態による制御信号送信装置は、複数のコンテンツ再生装置が接続可能又は内蔵されており、複数の前記コンテンツ再生装置の中から1つのコンテンツ再生装置を選択する選択手段と、ユーザ操作に応じて、複数の前記コンテンツ再生装置を制御するために共通で使用される共通操作号が入力される操作信号入力手段と、複数の前記コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択され、かつ、コンテンツを再生していた1つのコンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する記憶手段と、前記共通操作信号が入力されたとき、最終再生装置として特定される前記コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を、前記コンテンツ再生装置に送信する制御信号送信手段とを備える。
【0010】
好ましくは、1つの前記コンテンツ再生装置から、再生を開始することを示す制御信号が前記制御信号送信装置に供給されたとき、前記選択手段が当該コンテンツ再生装置を選択し、かつ、前記記憶手段が当該コンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する。
【0011】
好ましくは、前記複数のコンテンツ再生装置は、前記共通操作信号に応じて操作される複数の第1コンテンツ再生装置と、専用操作信号に応じて操作される少なくとも1つの第2コンテンツ再生装置とを含み、前記記憶手段が、複数の前記第1コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択され、かつ、コンテンツを再生していた1つの第1コンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶し、前記共通操作信号が入力されたとき、前記選択手段が前記第1コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、前記選択手段によって選択されている前記第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信し、前記選択手段が前記第2コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、最終再生装置によって特定される第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信する。
【0012】
本発明の別の好ましい実施形態による制御信号送信装置は、複数のコンテンツ再生装置が接続可能又は内蔵されており、複数の前記コンテンツ再生装置の中から1つのコンテンツ再生装置を選択する選択手段と、ユーザ操作に応じて、複数の前記コンテンツ再生装置を制御するために共通で使用される共通操作号が入力される操作信号入力手段と、複数の前記コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択されていた1つのコンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶する記憶手段と、前記共通操作信号が入力されたとき、最終選択装置として特定される前記コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を、前記コンテンツ再生装置に送信する制御信号送信手段とを備える。
【0013】
好ましくは、前記選択手段によって前記コンテンツ再生装置が選択されたとき、前記記憶手段が当該コンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶する。
【0014】
好ましくは、前記複数のコンテンツ再生装置は、前記共通操作信号に応じて操作される複数の第1コンテンツ再生装置と、専用操作信号に応じて操作される少なくとも1つの第2コンテンツ再生装置とを含み、前記記憶手段が、複数の前記第1コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択された1つの第1コンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶し、前記共通操作信号が入力されたとき、前記選択手段が前記第1コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、前記選択手段によって選択されている前記第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信し、前記選択手段が前記第2コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、最終選択装置によって特定される第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信する。
【発明の効果】
【0015】
選択手段によって共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置以外が選択されているときに、共通操作信号が入力された場合であっても、最終再生装置(又は最終選択装置)によって特定されるコンテンツ再生装置を制御する制御信号を、当該コンテンツ再生装置に送信する。従って、選択手段によって共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置以外が選択されているときに、共通操作信号が入力された場合に、いずれのコンテンツ再生装置も制御できないという問題を防止できる。また、選択手段によって共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置以外が選択されているときに、ユーザ操作によって、選択手段の選択を共通操作信号に応じて操作されるコンテンツ再生装置に変更した後に、共通操作信号を入力する必要がないので、操作を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による制御信号送信装置を備えるコンテンツ再生システム10を示す概略図である。本例において、コンテンツとは、音楽(音声、曲)、映像、静止画等の総称であり、アナログでもデジタルでもよく、圧縮形式でも非圧縮形式でもよい(本例では音声信号の場合を例に説明する)。コンテンツ再生システム10は、制御信号送信装置としての機能を有する増幅装置(例えば、ミニコンポ、ラジカセ、AVアンプ等)1と、増幅装置1に外部接続されるコンテンツ再生装置(例えば、DVDプレーヤ2、テープレコーダ3)とを備える。
【0017】
増幅装置1は、通信ケーブルを介してテープレコーダ3に接続され、さらに、テープレコーダ3は通信ケーブルを介してDVDプレーヤ2に接続されている。すなわち、増幅装置1、テープレコーダ3、DVDプレーヤ2は、通信ケーブルを介して直列に接続されている。なお、これに限定されず、増幅装置1は、通信ケーブルを介してテープレコーダ3とDVDプレーヤ2とのそれぞれに接続されてもよい。
【0018】
DVDプレーヤ2及びテープレコーダ3はシステムリモコン30の共通ボタン35によって操作され、すなわち、共通操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置(第1コンテンツ再生装置と定義する。)である。また、増幅装置1には、CDプレーヤ、MDプレーヤ、FMチューナが内蔵されており、これらは、システムリモコン30の専用ボタンによって操作される、すなわち、専用操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置(第2コンテンツ再生装置と定義する。)である。
【0019】
増幅装置1は、第1コンテンツ再生装置であるDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3のうち、直近に、セレクタが選択され、かつ、再生していたコンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する。増幅装置1は、システムリモコン30のDVD/TAPEボタン35が操作されると、メモリに記憶している最終再生装置によって特定されるコンテンツ再生装置を制御するための制御信号を、DVDプレーヤ2及びテープレコーダ3に供給する。例えば、最終再生装置がDVDプレーヤである場合に、システムリモコン30のDVD/TAPE再生ボタン35が操作されると、DVDプレーヤ2を再生する旨の制御信号をDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3に供給する。DVDプレーヤ2は、当該制御信号に応じて再生開始し、テープレコーダ3は当該制御信号を無視する。
【0020】
[増幅装置1の構成]
図2は、増幅装置1の構成を示す概略図である。増幅装置1は、制御部11、セレクタ部12、リモコン信号受信部13、制御信号入出力端子14、操作部15、複数の音声入力端子(例えば、DVD用音声入力端子16及びTAPE用音声入力端子17)、増幅回路18、音声出力端子19、及び、表示部20を含む。また、必要に応じて、増幅装置1は、CDプレーヤ21、MDプレーヤ22、FMチューナ23等を内蔵している。
【0021】
DVD用音声入力端子16は、例えばDVDプレーヤ2が接続可能であり、DVDプレーヤ2から音声信号が入力される。TAPE用音声入力端子17は、例えばテープレコーダ3が接続可能であり、テープレコーダ3から音声信号が入力される。セレクタ部12は、DVD用音声入力端子16、TAPE用音声入力端子17、CDプレーヤ21、MDプレーヤ22、FMチューナ23から供給される音声信号の中から、増幅回路18に供給する音声信号を1つ選択する。つまり、セレクタ部12は、DVDプレーヤ2、テープレコーダ3、CDプレーヤ21、MDプレーヤ22、FMチューナ23の中から1つのコンテンツ再生装置を選択する。選択されたコンテンツ再生装置からの音声信号は、増幅回路18で増幅され、音声出力端子19を介して、図示しないスピーカーを介して音声として出力される。
【0022】
セレクタ部12の選択状態として、DVD用音声入力端子16からの音声信号を選択するDVDセレクタと、TAPE用音声入力端子17からの音声信号を選択するTAPEセレクタと、CDプレーヤ21からの音声信号を選択するCDセレクタと、MDプレーヤ22からの音声信号を選択するMDセレクタと、FMチューナ23からの音声信号を選択するFMセレクタとが設けられている。
【0023】
図3は、システムリモコン30を示す外観図である。システムリモコン30は、セレクタを切り換えるためのセレクタボタン31(31a〜31b)と、内蔵されているCDプレーヤを操作するためのCDボタン32(32a〜32c)と、内蔵されているMDプレーヤを操作するためのMDボタン33(33a〜33c)と、内蔵されているFMチューナを操作するためのFMボタン34(34a〜34b)と、外部接続されるDVDプレーヤ2又はテープレコーダ3を操作するための共通のDVD/TAPEボタン35(35a〜35c)とを含む。
【0024】
内蔵されているCDプレーヤ、MDプレーヤ及びFMチューナには専用のボタンが設けられており、専用のボタンが操作されたとき(専用操作信号が入力されたとき)に、CDプレーヤ、MDプレーヤ又はFMチューナが制御され、かつ、操作されたボタンの機器にセレクタが自動的に切り替わる。例えば、現在のセレクタがCDセレクタのとき、MDボタン(例えば、MD再生ボタン33a)が操作された場合、セレクタがMDセレクタに変更されると共に、MDプレーヤ22の再生が開始される。従って、ユーザはセレクタボタン31を操作してセレクタをMDセレクタに切り換える必要がない。一方、外部接続されるコンテンツ再生装置(DVDプレーヤ2、テープレコーダ3)に対しては専用のボタンが設けられずに、共通のボタン35(本例では、DVD/TAPEボタン)が設けられている。
【0025】
CDボタン32、MDボタン33、DVD/TAPEボタン35は、それぞれ、再生開始するための再生ボタン(32a、33a、35a)と、再生を停止するための停止ボタン(32b、33b、35b)と、再生を一時停止(ポーズ)するための一時停止ボタン(32c、33c、35c)とを含む。FMボタン34は、受信する周波数を選択する(選局する)ための選局ボタン(34a、34b)を含む。CDボタン32、MDボタン33、FMボタン34が操作されたとき、操作されたボタンに対応する専用操作信号がリモコン受信部13に供給される。一方、DVD/TAPEボタン35操作されたとき、操作されたボタンに対応する共通操作信号がリモコン受信部13に供給される。
【0026】
リモコン信号受信部13は、システムリモコン30から受信した赤外線のリモコン信号(操作信号)を電気信号に変換し、制御部11に供給する。操作部15は、図3に示すシステムリモコン30と同様のボタンが増幅装置1のフロントパネルに設けられたものであり、各ボタンが操作されたときに、操作されたボタンに対応する操作信号を制御部11に供給する。以下では、システムリモコン30が操作される場合を例に説明するが、操作部15が操作される場合も同様である。
【0027】
制御信号入出力端子14は、通信ケーブルを介してテープレコーダ3及び/又はDVDプレーヤ2に接続されている。すなわち、図1のような接続状態においては、制御信号入出力端子14は、通信ケーブルを介してテープレコーダ3に接続されている。制御部11から出力される制御信号は、制御信号入出力端子14を介してテープレコーダ3に供給され、さらに、テープレコーダ3からDVDプレーヤ2にも供給される。テープレコーダ3から出力される制御信号は制御信号入出力端子14を介して制御部11に供給される。DVDプレーヤ2から出力される制御信号はテープレコーダ3及び制御信号入出力端子14を介して制御部11に供給される。
【0028】
制御部11からDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3に供給される制御信号は、例えば、DVDプレーヤ用の制御信号である「DVD PLAY」を含む。DVDプレーヤはこの制御信号に応答して再生開始し、テープレコーダ3はこの制御信号を無視する。同様に、制御部11からDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3に供給される制御信号は、例えば、テープレコーダ用の制御信号である「TAPE PLAY」を含む。DVDプレーヤはこの制御信号を無視し、テープレコーダ3はこの制御信号に応答して再生開始する。
【0029】
テープレコーダ3から制御部11に供給される制御信号は、例えば、「TAPE DCHG(テープダイレクトチェンジ)」を含む。「TAPE DCHG」は、テープレコーダ3が再生開始したことを示す制御信号であり、これを受信した制御部11は、セレクタをTAPEセレクタに切り換える。同様に、DVDプレーヤ2から制御部11に供給される制御信号は、例えば、「DVD DCHG(DVDダイレクトチェンジ)」を含む。「DVD DCHG」は、DVDプレーヤ2が再生開始したことを示す制御信号であり、これを受信した制御部11は、セレクタをDVDセレクタに切り換える。
【0030】
制御部11は、増幅装置1の各部を制御するものであり、マイコンやCPU等である。制御部11は、内蔵又は接続されたメモリ11aに格納されているプログラムに基づいて各種動作を実行する。
【0031】
制御部11は、外部接続される複数のコンテンツ再生装置(つまり、複数の第1コンテンツ再生装置)のうち、直近に、セレクタが選択され、かつ、再生していた1つのコンテンツ再生装置を、最終再生装置としてメモリ11aに記憶する。すなわち、制御部11は、第1コンテンツ再生装置から再生を開始することを示す制御信号を受信した際に、その制御信号を送信してきた第1コンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する。より詳細には、制御部11は、「TAPE DCHG」を受信した場合に、セレクタをTAPEセレクタに切り換えると共に、最終再生装置をテープレコーダ3に更新する。一方、制御部11は、「DVD DCHG」を受信した場合に、セレクタをDVDセレクタに切り換えると共に、最終再生装置をDVDプレーヤ2に更新する。
【0032】
制御部11は、セレクタが第1コンテンツ再生装置であるときに、共通操作信号が入力された場合、セレクタで特定される第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を当該第1コンテンツ再生装置に送信する。一方、制御部11は、セレクタが第1コンテンツ再生装置ではなく第2コンテンツ再生装置であるときに、共通操作信号が入力された場合、最終再生装置で特定されるコンテンツ再生装置を制御するための制御信号を当該第1コンテンツ再生装置に送信する。すなわち、制御部11は、セレクタがDVDセレクタ又はTAPEセレクタではないときに、DVD/TAPEボタン35が操作された場合に、メモリ11aに記憶されている最終再生装置を判別し、最終再生装置で特定されるコンテンツ再生装置を制御するための制御信号をコンテンツ再生装置に送信する。例えば、セレクタがCDセレクタのときに、DVD/TAPE再生ボタン35aが操作された場合、最終再生装置がDVDプレーヤであれば、制御信号「DVD PLAY」をDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3に送信する。従って、セレクタが外部接続されるコンテンツ再生装置ではなく、かつ、外部接続されるコンテンツ再生装置に共通のボタン35が操作された場合でも、制御部11は最適なコンテンツ再生装置を制御するための制御信号を送信することができる。
【0033】
[動作]
図4は、制御部11における、最終再生装置の更新処理を示す。制御部1は図4の処理を常に実行している。制御部11は、DVDプレーヤ2から制御信号「DVD DCHG」を受信したか否かを判断する(S1)。制御信号「DVD DCHG」を受信した場合(S1でYES)、制御部11は、メモリ11aに記憶している最終再生装置をDVDプレーヤ2に更新する(S2)。また、制御部11は、セレクタをDVDセレクタに切り換えることによって、DVDプレーヤ2から送信された音声信号を増幅回路18で増幅してスピーカーから音声を再生する。
【0034】
一方、制御信号「DVD DCHG」を受信しない場合(S1でNO)、制御部11は、テープレコーダ3から制御信号「TAPE DCHG」を受信したか否かを判断する(S3)。制御信号「TAPE DCHG」を受信した場合(S3でYES)、制御部11は、メモリ11aに記憶している最終再生装置をテープレコーダ3に更新する(S4)。また、制御部11は、セレクタをTAPEセレクタに切り換えることによって、テープレコーダ3から送信された音声信号を増幅回路18で増幅してスピーカーから音声を再生する。
【0035】
一方、制御信号「TAPE DCHG」を受信しない場合(S3でNO)には処理を終了する。以上のように、共通操作信号によって操作されるDVDプレーヤ2及びテープレコーダ3のうち、直近に、セレクタが選択され、かつ、再生していたコンテンツ再生装置が最終再生装置として記憶される。つまり、DVDプレーヤ2及びテープレコーダ3の両方が再生している場合でも、セレクタが選択されている方の(直近に、制御信号「・・・DCHG」を送信した方の)コンテンツ再生装置が最終再生装置として記憶される。
【0036】
図5は、DVD/TAPE再生ボタンが操作された(共通操作信号が入力された)場合の制御部11の処理を示す。制御部11は、図5の処理を常に実行している。なお、DVD/TAPE停止ボタン、DVD/TAPE一時停止ボタンが操作された場合も同様である。
【0037】
制御部11は、ユーザ操作によってDVD/TAPE再生ボタン35aが操作されたか否かを判断する(S11)。すなわち、DVD/TAPE再生ボタン35aに基づく共通操作信号が入力されたか否かを判断する。操作されない場合は(S11でNO)、処理を終了する。操作された場合(S11でYES)、制御部11は、セレクタが共通操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置であるDVDセレクタであるか否かを判断する(S12)。DVDセレクタであれば(S12でYES)、制御部11は、制御信号「DVD PLAY」を出力する(S16)。これに応じて、DVDプレーヤ2は、再生開始する。一方、テープレコーダ3は再生開始しない。このように、セレクタがDVDセレクタであるときにDVD/TAPE再生ボタン35aが操作された場合、ユーザがDVDプレーヤを再生制御することを意図していると考えられるので、最終再生装置は無視して、DVDプレーヤ2を再生開始させる。
【0038】
セレクタがDVDセレクタではない場合(S12でNO)、制御部11は、セレクタが共通操作信号によって操作されるコンテンツ再生装置であるTAPEセレクタであるか否かを判断する(S13)。TAPEセレクタであれば(S13でYES)、制御部11は、制御信号「TAPE PLAY」を出力する(S17)。これに応じて、テープレコーダ3は、再生開始する。一方、DVDプレーヤ2は再生開始しない。このように、セレクタがTAPEセレクタであるときにDVD/TAPE再生ボタン35aが操作された場合、ユーザがテープレコーダ2を再生制御することを意図していると考えられるので、最終再生装置は無視して、テープレコーダ3を再生開始させる。
【0039】
セレクタがTAPEセレクタではない場合(S13でNO)、すなわち、セレクタが、DVD/TAPE再生ボタン35aに基づく共通操作信号によって操作されないコンテンツ再生装置であるCDセレクタ、MDセレクタ、又は、FMセレクタである場合には、制御部11は、メモリ11aに記憶されている最終再生装置がDVDプレーヤ2であるか否かを判断する(S14)。最終再生装置がDVDプレーヤ2であれば(S14でYES)、制御部11は、制御信号「DVD PLAY」を出力する(S18)。これに応じて、DVDプレーヤ2は、再生開始する。一方、テープレコーダ2は再生開始しない。従って、セレクタボタンが操作されてセレクタを例えばCDセレクタからDVDセレクタに切り換えてから、DVD/TAPE再生ボタン35を操作する必要がない。
【0040】
最終再生装置がDVDプレーヤ2でなければ(S14でNO)、制御部11は、メモリ11aに記憶されている最終再生装置がテープレコーダ3であるか否かを判断する(S15)。最終再生装置がテープレコーダ3であれば(S15でYES)、制御部11は、制御信号「TAPE PLAY」を出力する(S19)。これに応じて、テープレコーダ3は、再生開始する。一方、DVDプレーヤ2は再生開始しない。従って、セレクタボタンが操作されてセレクタを例えばCDセレクタからTAPEセレクタに切り換えてから、DVD/TAPE再生ボタン35を操作する必要がない。
【0041】
以上のように、セレクタが外部接続されている第1コンテンツ再生装置に関するDVDセレクタ又はTAPEセレクタではないときにDVD/TAPE再生ボタン35aが操作され共通操作信号が入力された場合でも、セレクタで特定されるコンテンツ再生装置の代わりに最終再生装置を制御すべきコンテンツ再生装置として特定することによって、外部接続される第1コンテンツ再生装置を再生開始させることができる。従って、DVD/TAPE再生ボタン35が操作され共通操作信号が入力されたときに、どの第1コンテンツ再生装置も再生開始できないという問題を防止できる。
【0042】
[別の実施形態]
本例では、上記実施形態において、メモリ11aに最終再生装置を記憶する代わりに、最終選択装置を記憶する。最終選択装置は、複数の第1コンテンツ再生装置(DVDプレーヤ2及びテープレコーダ3)のうち、直近にセレクタが選択されたコンテンツ再生装置である。
【0043】
図6に示すように、制御部11は、セレクタがDVDセレクタに変更されたか否かを判断する(S21)。DVDセレクタに変更された場合(S21でYES)、制御部11はDVDプレーヤ2を最終選択装置に更新する(S22)。一方、DVDセレクタに変更されていない場合(S21でNO)、制御部11は、セレクタがTAPEセレクタに変更されたか否かを判断する(S23)。TAPEセレクタに変更された場合(S23でYES)、制御部11はテープセレクタ3を最終選択装置に更新する(S24)。
【0044】
DVD/TAPE再生ボタン35aが操作された場合の制御部11の処理は、図5において「最終再生装置」を「最終選択装置」に置き換えたものになるので、説明を援用する。この実施例においても、最初の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0045】
ここで、最初の実施形態のように「最終再生装置」を使用した場合の、「最終選択装置」を使用した場合と比較した際の効果を説明する。「最終選択装置」を使用した場合、直近に選択されたセレクタが当該セレクタに対応する音声入力端子にコンテンツ再生装置が接続されていないセレクタであっても、「最終選択装置」として記憶されてしまう。この場合、接続されていないコンテンツ再生装置に対応する制御信号を出力する可能性がある。詳細には、TAPE用音声入力端子にテープレコーダ3が接続されておらず、セレクタボタン31が操作されて、直近にTAPEセレクタが選択された場合、「最終選択装置」としてテープレコーダ3が記憶される。その後、セレクタがCDセレクタであるときに、DVD/TAPE再生ボタン35aが操作されたとき、テープレコーダ3が接続されていないにもかかわらず、制御部11は「TAPE PLAY」を出力する。
【0046】
これに対して、「最終再生装置」を使用した場合には、コンテンツ再生装置から「・・・DCHG」が制御部11に供給されたときに「最終再生装置」が更新される。従って、セレクタが変更されただけでは「最終再生装置」が更新されず、音声入力端子にコンテンツ再生装置が接続されており再生開始した場合しか、「最終再生装置」が更新されないので、上記のような問題を解決できる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。増幅装置1に外部接続されるコンテンツ再生装置は2つに限られず、3つ以上であってもよい。また、外部接続されるDVDプレーヤ2、テープレコーダ3にそれぞれ独立した操作ボタンが設けられており、内蔵されているCDプレーヤ21、MDプレーヤ22に共通の操作ボタン(CD/MDボタン)が設けられている場合にも同様に本発明を適用できる。すなわち、共通操作信号によって操作される第1コンテンツ再生装置が内蔵されているCDプレーヤ21、MDプレーヤ22であり、専用操作信号によって操作される第2コンテンツ再生装置がDVDプレーヤ2、テープレコーダ3であってもよい。この場合、図4〜図6のフローチャートにおいて、「DVD」を「CD」に「TAPE」を「MD」に読み替えるとよい。また、DVDプレーヤ2、テープレコーダ3、CDプレーヤ21、MDプレーヤ22の全てが第1コンテンツ再生装置でもよい。また、制御信号は、DVDプレーヤ2とテープレコーダ3との両方に送信されるのではなく、DVDプレーヤ2を制御する制御信号の場合はDVDプレーヤ2だけに送信するようにしてもよい。本発明は、上記の動作をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムという形態で提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、複数のコンテンツ再生装置を外部接続可能な増幅装置に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コンテンツ再生システム10を示すブロック図である。
【図2】増幅装置1の構成示す概略図である。
【図3】システムリモコンを示す外観図である。
【図4】最終再生装置の更新処理を示す概略図である。
【図5】DVD/TAPE再生ボタンが操作された場合の処理を示す概略図である。
【図6】最終選択装置の更新処理を示す概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1 増幅装置
2 DVDプレーヤ
3 テープレコーダ
11 制御部
12 セレクタ部
13 リモコン信号受信部
14 制御信号入出力部
15 操作部
16 DVD用音声入力端子
17 TAPE用音声入力端子
18 増幅回路
19 音声出力端子
20 表示部
21 CDプレーヤ
22 MDプレーヤ
23 FMチューナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツ再生装置が接続可能又は内蔵されており、
複数の前記コンテンツ再生装置の中から1つのコンテンツ再生装置を選択する選択手段と、
ユーザ操作に応じて、複数の前記コンテンツ再生装置を制御するために共通で使用される共通操作号が入力される操作信号入力手段と、
複数の前記コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択され、かつ、コンテンツを再生していた1つのコンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する記憶手段と、
前記共通操作信号が入力されたとき、最終再生装置として特定される前記コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を、前記コンテンツ再生装置に送信する制御信号送信手段とを備える、制御信号送信装置。
【請求項2】
1つの前記コンテンツ再生装置から、再生を開始することを示す制御信号が前記制御信号送信装置に供給されたとき、前記選択手段が当該コンテンツ再生装置を選択し、かつ、前記記憶手段が当該コンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶する、請求項1に記載の制御信号送信装置。
【請求項3】
前記複数のコンテンツ再生装置は、前記共通操作信号に応じて操作される複数の第1コンテンツ再生装置と、専用操作信号に応じて操作される少なくとも1つの第2コンテンツ再生装置とを含み、
前記記憶手段が、複数の前記第1コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択され、かつ、コンテンツを再生していた1つの第1コンテンツ再生装置を最終再生装置として記憶し、
前記共通操作信号が入力されたとき、前記選択手段が前記第1コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、前記選択手段によって選択されている前記第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信し、前記選択手段が前記第2コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、最終再生装置によって特定される第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信する、請求項1または2に記載の制御信号送信装置。
【請求項4】
複数のコンテンツ再生装置が接続可能又は内蔵されており、
複数の前記コンテンツ再生装置の中から1つのコンテンツ再生装置を選択する選択手段と、
ユーザ操作に応じて、複数の前記コンテンツ再生装置を制御するために共通で使用される共通操作号が入力される操作信号入力手段と、
複数の前記コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択されていた1つのコンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶する記憶手段と、
前記共通操作信号が入力されたとき、最終選択装置として特定される前記コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を、前記コンテンツ再生装置に送信する制御信号送信手段とを備える、制御信号送信装置。
【請求項5】
前記選択手段によって前記コンテンツ再生装置が選択されたとき、前記記憶手段が当該コンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶する、請求項4に記載の制御信号送信装置。
【請求項6】
前記複数のコンテンツ再生装置は、前記共通操作信号に応じて操作される複数の第1コンテンツ再生装置と、専用操作信号に応じて操作される少なくとも1つの第2コンテンツ再生装置とを含み、
前記記憶手段が、複数の前記第1コンテンツ再生装置の中から、直近に、前記選択手段によって選択された1つの第1コンテンツ再生装置を最終選択装置として記憶し、
前記共通操作信号が入力されたとき、前記選択手段が前記第1コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、前記選択手段によって選択されている前記第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信し、前記選択手段が前記第2コンテンツ再生装置を選択している場合には、前記制御信号送信手段が、最終選択装置によって特定される第1コンテンツ再生装置を制御するための制御信号を前記第1コンテンツ再生装置に送信する、請求項4または5に記載の制御信号送信装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の制御信号送信装置の各手段をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−41438(P2010−41438A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202443(P2008−202443)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】