説明

制御盤装置

【課題】 サイズの拡大やコストアップを図ることなく、簡易な構成で効率良く装置内の機器を冷却することが可能な制御盤装置を提供する。
【解決手段】 内部空間が、IOカード4を収納する第1空間21と電源装置7を収納する第2空間22との2つの空間に仕切板4により分けられた筐体2と、外気と、筐体2の第1空間21とを通気する第1の通気栓9と、筐体2の第2空間22と外気とを通気する第2の通気栓10と、仕切板4上の電源装置7に対応する位置に取り付けられ、第1の通気栓9から第1空間21に外気を吸気して第2空間22に流出させ、さらに第2の通気栓10から外気へ排出させるように送風するファン14とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤内に電源装置、および入出力装置(IOカード)等の発熱体を収納する制御盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御盤装置は、機械や電気装置を制御するための電源装置やIOカード等の電子機器が筐体内に収納されて構成されている。
【0003】
このような制御盤装置は、防塵性や防滴性が要求される環境に配置される場合には防塵、防滴構造が施された密閉性の高い筐体の中に電源装置やIOカードが収納されるため、電源装置から発生する熱により筐体内の温度が上昇し、IOカード等に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
そこでこれを回避するため、制御盤装置に冷却装置として熱交換器を取り付ける技術がある。この一例として、図6に示す制御盤装置101がある。図6(a)は制御盤装置101の背面図であり、(b)は側面断面図である。
【0005】
この図6の制御盤装置101は、前扉103を有する筐体102内に、IOカード105が挿入された制御ユニット106および電源装置107が、ユニット固定用柱金具108に取り付けられて収納されている。
【0006】
そして、この筐体102の背面に冷却装置として熱交換器104が取り付けられ、電源装置107等から発せられる熱により筐体102内の温度上昇が著しい場合には、この熱交換器104が作動することにより制御盤装置101内が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−284522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したように制御盤装置の筐体に熱交換器を取り付ける構成とすると、製造のコストアップに繋がるとともに、熱交換器の保守等が必要になり管理が煩雑になるという問題があった。
【0009】
また、上述した熱交換器は制御盤装置内全体の冷却を対象としたものであり、発熱量の多い電源装置を直接の冷却対象とはしていないため、冷却効率が低くなるという問題があった。
【0010】
また、熱交換器を取り付けるには設置用のスペースが必要であり、制御盤装置全体のサイズの拡大に繋がるという問題があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、サイズの拡大やコストアップを図ることなく、簡易な構成で効率良く装置内の機器を冷却することが可能な制御盤装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の制御盤装置は、内部空間が、入出力装置を収納する第1空間と電源装置を収納する第2空間との2つの空間に仕切板により分けられた筐体と、外気と、前記筐体の前記第1空間とを通気する第1の通気栓と、前記筐体の前記第2空間と外気とを通気する第2の通気栓と、前記仕切板上の前記電源装置に対応する位置に取り付けられ、前記第1の通気栓から前記第1空間に外気を吸気して前記第2空間に流出させ、さらに前記第2の通気栓から外気へ排出させるように送風するファンと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の制御盤装置によれば、サイズの拡大やコストアップを図ることなく、簡易な構成で効率良く装置内の機器を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態による制御盤装置の前面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態による制御盤装置の上面断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による制御盤装置の通気栓を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による制御盤装置の通気栓の構成を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態による制御盤装置の前面図であり、(b)は、本発明の第2実施形態による制御盤装置の側面断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による制御盤装置の通気栓を示す外観斜視図である。
【図6】(a)は、従来の制御盤装置を示す背面図であり、(b)は、従来の制御盤装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態による制御盤装置の構成について、図1を参照して説明する。図1(a)は本実施形態による制御盤装置1Aの前扉を開けた状態の前面図であり、(b)は制御盤装置1Aの前扉を閉じた状態の上面断面図である。
【0016】
本実施形態による制御盤装置1Aは横長の壁掛け型制御盤装置であり、金属板により前面が開口され中空状に形成された筐体2Aと、この筐体2Aの開口部分を開閉するための前扉3Aとを備える。
【0017】
この筐体2A内は、内部空間が、縦方向に設置された仕切板4Aにより第1空間21Aおよび第2空間22Aの左右2つの空間に分けられている。
【0018】
第1空間21A内には、入出力装置(IOカード)5が設置された制御ユニット6が収納されて筐体2の背面に設置されている。IOカード5には発熱体であるプリント基板(図示せず)が実装されているが、この発熱量は後述する電源装置7に比べて十分に小さいものである。
【0019】
また他方の第2空間22A内には、電源装置7が収納されて設置されている。この電源装置7は、熱量を多く発する発熱体である。
【0020】
筐体2Aに収納される制御ユニット6の数は任意に変更可能であるが、図1においては4個の制御ユニット6が収納されている場合を示す。
【0021】
また電源装置7は、電気的に絶縁され熱伝導率の高い絶縁性熱伝導材8により、筐体2A内の背面に取り付けられている。
【0022】
また、この筐体2Aの第1空間21Aの底面には外気と通気するための孔(図示せず)が設けられており、図2に示すように、この孔を筐体2Aの内側から覆うように第1の通気栓9Aが取り付けられ、また、筐体2Aの第2空間22Aの上面にも外気と通気するための孔(図示せず)が設けられ、この孔を筐体2Aの外側から覆うように第2の通気栓10Aが取り付けられている。
【0023】
通気栓9Aおよび10Aは、図3に示すように、複数個の通気孔111を有する外枠11と、この外枠11内に収納される防水性通気膜12と、この防水性通気膜12を覆って外枠11に固定するともに防水性通気膜12を補強して破損を防止するパッキン13とから構成されている。
【0024】
この防水性通気膜12は、通気性と防水性を確保するための多数の微細孔が設けられた微細孔フィルムで形成されている。また、パッキン13は通気させるための粗孔が設けられている。
【0025】
また、図3において防水性通気膜12およびパッキン13が長方形の場合を示したが、筐体2Aに設けられた孔の形状に合わせ、正方形、丸型等どのような形状で構成してもよい。
【0026】
また、仕切板4Aには、第1空間21A内の空気を第2空間22Aに流出させるように送風するファン14Aが取り付けられている。このファン14Aは、送風先の空気が電源装置7にあたるように、仕切板4A内の所定位置に取り付けられている。
【0027】
このように構成された制御盤装置1Aでは、発熱量の比較的少ないIOカード5と発熱量の多い電源装置7とが別空間に設置されるため、IOカード5が電源装置7の発熱による悪影響を受けることなく、IOカード5を効率よく冷却することができる。
【0028】
そして、この制御盤装置1Aにおいてファン14Aが稼働されると、外気が吸気用の通気栓9Aを通って第1空間21Aに吸気された後、第2空間22Aに流出され、さらに通気栓10Aを通って第2空間22Aから排気されるように空気の流れが形成される。
【0029】
このような空気の流れが形成されることにより、まず第1空間21Aにおいては発熱量の比較的少ないIOカード5のみが冷却されるため外気で十分に冷却が可能であり、その後この外気により第2空間22Aにおいて電源装置7が冷却されるが、電源装置7は発熱量が多く周辺空気の温度と外気との温度差が大きいためIOカード5の冷却に用いた後の外気でも十分に冷却が可能である。
【0030】
またこのとき、第1空間21Aから第2空間22Aに送風される空気が電源装置7に直接あたるような位置にファン14Aが設置されるため、さらに電源装置7の冷却効率が高くなる。
【0031】
また、吸気用の通気栓9Aには防水性通気膜12が設けられているため、外気を吸入しても制御盤装置1A内は防塵性、および防水性が確保される。また、排気用の通気栓10Aも同様に防水性通気膜12が設けられているため、ファン14Aが稼働していないときにも、外部から制御盤装置1A内への塵、水滴の挿入を防ぐことができる。
【0032】
また電源装置7は、電気的に絶縁され熱伝導率の高い絶縁性熱伝導材8により筐体2Aに取り付けられ、また筐体2Aは金属板で形成されているため、電源装置7から発せられる熱はこの絶縁性熱伝導材8、筐体2Aからも外部に放熱される。
【0033】
以上の本実施形態によれば、熱交換器等のような、サイズが大きくコストがかかる装置を追加することなく、横長の壁掛け型制御盤装置において簡易な構成で効率よくIOカードや電源装置を冷却することができる。
【0034】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態による制御盤装置の構成について、図4を参照して説明する。図4(a)は本実施形態による制御盤装置1Bの前扉を開けた状態の前面図であり、(b)は制御盤装置1Bの前扉を閉じた状態の側面断面図である。
【0035】
本実施形態による制御盤装置1Bは縦長の自立型制御盤装置であり、金属板により前面が開口され中空状に形成された筐体2Bと、この筐体2Bの開口部分を開閉するための前扉3Bとを備える。
【0036】
この筐体2B内は、横方向に設置された仕切板4Bにより下部の第1空間21Bおよび上部の第2空間22Bの2つの空間に分けられている。
【0037】
第1空間21Bには、入出力装置(IOカード)5が設置された制御ユニット6が収納されて設置されている。
【0038】
また他方の第2空間22Bには、電源装置7が収納されて設置されている。
【0039】
筐体2Bに収納される制御ユニット6の数は任意に変更可能であるが、図4においては16個の制御ユニット6が収納されている場合を示す。
【0040】
また電源装置7は、電気的に絶縁され熱伝導率の高い絶縁性熱伝導材8により、筐体2Bに取り付けられている。
【0041】
また、前扉3B内の第1空間21Bに対応する位置には外気と通気するための孔(図示せず)が設けられ、この孔の下部に対応する筐体2Bの外側に第1の通気栓9Bが取り付けられている。この通気栓9Bには、図5に示すように、この孔と通気栓9Bとを覆うように傾斜カバー15が取り付けられている。
【0042】
また、前扉3B内の第2空間22Bに対応する位置にも外気と通気するための孔(図示せず)が設けられ、この孔の下部に対応する筐体2Bの外側に第2の通気栓10Bが取り付けられている。この通気栓10Bにも、図5に示すように、この孔と通気栓10Bとを覆うように傾斜カバー16が取り付けられている。
【0043】
通気栓9Bおよび10Bは、第1実施形態の通気栓9Aおよび10Aと同様に、複数個の通気孔111を有する外枠11と、この外枠11内に収納される防水性通気膜12と、この防水性通気膜12を覆って外枠11に固定するともに防水性通気膜12を補強して破損を防止するパッキン13とから構成され、外枠11が下方向を向いて取り付けられている。
【0044】
また、仕切板4Bには、第1空間21B内の空気を第2空間22Bに流出させるように送風するファン14Bが取り付けられている。このファン14Bは、送風先の空気が電源装置7にあたるように、仕切板4B内の所定位置に取り付けられている。
【0045】
このように構成された制御盤装置1Bでは、第1実施形態と同様に、発熱量の比較的少ないIOカード5と発熱量の多い電源装置7とが別空間に設置されるため、IOカード5が電源装置7の発熱による悪影響を受けることなく、IOカード5を効率よく冷却することができる。
【0046】
そして、この制御盤装置1Bおいてファン14Bが稼働されると、外気が吸気用の通気栓9Bを通って第1空間21Bに吸気された後、第2空間22Bに流出され、さらに通気栓10Bを通って第2空間22Bから排気されるように空気の流れが形成される。
【0047】
このような空気の流れが形成されることにより、まず第1空間21Bにおいては発熱量の比較的少ないIOカード5のみが冷却されるため外気で十分に冷却が可能であり、その後この外気により第2空間22Bにおいて電源装置7が冷却されるが、電源装置7は発熱量が多く周辺空気の温度と外気との温度差が大きいためIOカード5の冷却に用いた後の外気でも十分に冷却が可能である。
【0048】
またこのとき、第1空間21Bから第2空間22Bに送風される空気が電源装置7に直接あたるような位置にファン14Bが設置されるため、さらに電源装置7の冷却効率が高くなる。
【0049】
また、吸気用の通気栓9Bには傾斜カバー15が取り付けられるとともに防水性通気膜12が設けられているため、外気を吸入しても制御盤装置1B内は防塵性、および防水性が確保される。また、排気用の通気栓10Bも同様に防水性通気膜12が設けられているため、ファン14Bが稼働していないときにも、外部から制御盤装置1B内への塵、水滴の挿入を防ぐことができる。
【0050】
また電源装置7は、第1実施形態と同様に、電気的に絶縁され熱伝導率の高い絶縁性熱伝導材8により筐体2Bに取り付けられ、また筐体2Bは金属板で形成されているため、電源装置7から発せられる熱はこの絶縁性熱伝導材8、筐体2Bからも外部に放熱される。
【0051】
以上の本実施形態によれば、熱交換器等のような、サイズが大きくコストがかかる装置を追加することなく、縦長の自立型制御盤装置において簡易な構成で効率よくIOカードや電源装置を冷却することができる。
【符号の説明】
【0052】
1A、1B…制御盤装置
2A、2B…筐体
3A、3B…前扉
4A、4B…仕切板
5…IOカード(入出力装置)
6…制御ユニット
7…電源装置
8…絶縁性熱伝導材
9A、9B…第1の通気栓
10A、10B…第2の通気栓
11…外枠
12…防水性通気膜
13…パッキン
14A、14B…ファン
15、16…傾斜カバー
21A、21B…第1空間
22A、22B…第2空間
111…通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が、入出力装置を収納する第1空間と電源装置を収納する第2空間との2つの空間に仕切板により分けられた筐体と、
外気と、前記筐体の前記第1空間とを通気する第1の通気栓と、
前記筐体の前記第2空間と外気とを通気する第2の通気栓と、
前記仕切板上の前記電源装置に対応する位置に取り付けられ、前記第1の通気栓から前記第1空間に外気を吸気して前記第2空間に流出させ、さらに前記第2の通気栓から外気へ排出させるように送風するファンと、
を備えたことを特徴とする制御盤装置。
【請求項2】
前記筐体は金属板で形成され、
前記電源装置は、絶縁性熱伝導材により前記筐体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の制御盤装置。
【請求項3】
前記第1の通気栓および前記第2の通気栓は、防水性通気膜により構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御盤装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記仕切板が縦方向に設置されて前記第1空間と前記第2空間とが左右に分けられているかまたは、前記仕切板が横方向に設置されて前記第1空間と前記第2空間とが上下に分けられている
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の制御盤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90389(P2012−90389A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233547(P2010−233547)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】