説明

制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法

【課題】表示装置の体感的な表示速度向上とメモリー帯域逼迫の抑制との両立。
【解決手段】表示装置は、行単位で画素へ電圧を複数回印加する書込動作により画素の階調を変更する。表示装置は、選択した行において処理単位であるブロックの処理限界を超えているか否かを判断する(SA3)。表示装置は、SA3でNOと判断すると、新たな画素の表示状態の変更を受け付ける(SA4)。表示装置は、書込データ記憶領域から符号化された書込データを読み出すと(SA5)、これを復号化してキャッシュメモリーに展開する(SA6)。表示装置は、展開された書込データに基づき画素の駆動を行い、書込データにおける書込回数を1減算する(SA7)。表示装置は書込データを符号化すると(SA8)、この書込データを書込データ記憶領域に書き戻す(SA9)。表示装置は選択した行における消費クロック数を計算して書込データ記憶領域に記憶する(SA10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【0002】
電気泳動表示装置等の表示装置には、複数回の電圧印加により1回の書き換えを行うものがある。このように1回の書き換えに複数回の電圧印加が必要なのは、表示素子において表示状態(すなわち階調)が変化するのに比較的時間を要するからである。表示装置が、このような書き換えを行う場合、表示素子に対する1回の書き換えが終了しなければ(すなわち、複数回の電圧印加の時間が経過しなければ)、その表示素子に対して次の書き換えを開始することができない。
【0003】
特許文献1には、電気泳動表示装置等の表示装置において、パイプライン処理によって画像を部分的な領域毎に書き換えるための技術が記載されている。このようにすれば、書き換えが行われていない領域については、他の領域の書き換えに依存することなく書き換えを開始することができるため、画像全体を書き換える場合に比べ、書き換えに要する時間を短縮できる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した、パイプライン処理によって画像を部分的な領域毎に書き換える方式では、書き換えが行われている領域は、書き換えが完了して開放されるまで新たな書き換えを受け付けることができない。また、上述した方式では、頻繁に書き換えが発生することでメモリー帯域、つまりメモリーに対する単位時間当たりのデータ伝送能力が逼迫し、書き換え処理が遅延することがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、表示装置の体感的な表示速度の向上とメモリー帯域が逼迫することの抑制とを両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数行複数列の画素に対して電圧を印加する駆動回路が前記複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置の制御装置であって、前記駆動回路を制御することにより前記行を順次選択する選択部と、画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化部と、前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化部によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する第1の記憶部と、進行中の1フレーム期間において、前記選択部によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択部によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新部と、前記駆動回路を制御することにより、表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動部とを有する制御装置を提供する
この制御装置によれば、表示装置の体感的な表示速度の向上とメモリー帯域が逼迫することの抑制とを両立することが可能となる。
【0008】
好ましい態様において、前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容を記憶する第2の記憶部であって、データの書き込み及び読み出しの速さが前記第1の記憶部よりも速い第2の記憶部を有し、前記符号化部は、前記第1の記憶部から前記符号化データを読み出し、前記符号化データを復号化した内容を前記第2の記憶部に記憶させ、前記第2の記憶部から前記復号化した内容を読み出し、当該復号化した内容が前記駆動部による電圧印加に従って更新された結果を符号化した符号化データを前記第1の記憶部に記憶させるようにしてもよい。
この態様によれば、実際に画素の表示状態を変更するために電圧を印加する駆動部がアクセスするメモリーが、第1の記憶部と比較して高速な第2の記憶部となるため、処理の速度が向上する。
【0009】
別の好ましい態様において、前記第1の記憶部が、電圧の印加回数が1回以上の画素が各々の前記行に含まれているか否かを表す回数情報を前記行ごとに記憶し、前記符号化部は、前記回数情報が、前記選択部によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていることを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容を前記第2の記憶部から読み出し、前記回数情報が、前記選択部によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていないことを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容を前記第2の記憶部から読み出さずに、前記選択部に対して次の行を選択するよう指示するようにしてもよい。
この態様によれば、回数情報が、選択部によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていないことを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容を第2の記憶部から読み出さないため、不要な処理を省略することが可能となり、結果として処理速度が向上する。
【0010】
また、別の好ましい態様において、本発明は、複数行複数列に配置された画素と、前記画素に電圧を印加する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御装置と、を有し、前記駆動回路が前記複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置であって、前記制御装置は、前記駆動回路を制御することにより前記行を順次選択する選択部と、画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化部と、前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化部によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する第1の記憶部と、進行中の1フレーム期間において、前記選択部によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択部によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新部と、前記駆動回路を制御することにより表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動部とを有する表示装置を提供する。
この表示装置によれば、表示装置の体感的な表示速度の向上とメモリー帯域が逼迫することの抑制とを両立することが可能となる。
【0011】
また、別の好ましい態様において、本発明は、複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置の制御方法であって、前記行を順次選択する選択工程と、画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み工程と、各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化工程と、前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化工程によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する記憶工程と、進行中の1フレーム期間において、前記選択工程によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断工程と、前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択工程によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新工程と表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、記憶されている符号化データを前記符号化工程が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動工程とを有する表示装置の制御方法を提供する。
この制御方法によれば、表示装置の体感的な表示速度の向上とメモリー帯域が逼迫することの抑制とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示装置100のハードウェア構成を示したブロック図。
【図2】表示部1の断面を示した図。
【図3】表示部1の回路の構成を説明するための図。
【図4】表示部1が備える画素駆動回路の構成を説明するための図。
【図5】コントローラー2で実現する機能の構成を示したブロック図。
【図6】表示装置100が備える記憶領域を説明する図。
【図7】ハフマン符号化を説明する図。
【図8】ハフマン符号化におけるデータ量の推移を説明する図。
【図9】書込データ記憶領域7を表す図。
【図10】書込データ記憶領域7を表す図。
【図11】コントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図12】コントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図13】コントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図14】表示装置100の動作を説明するための図。
【図15】表示装置100の動作を説明するための図。
【図16】表示装置100の動作を説明するための図。
【図17】表示装置100の動作を説明するための図。
【図18】表示装置100の動作を説明するための図。
【図19】表示装置100の動作を説明するための図。
【図20】表示装置100の動作を説明するための図。
【図21】表示装置100の動作を説明するための図。
【図22】表示装置100の動作を説明するための図。
【図23】表示装置100の動作を説明するための図。
【図24】表示装置100の動作を説明するための図。
【図25】表示装置100の動作を説明するための図。
【図26】表示装置100の動作を説明するための図。
【図27】表示装置100の動作を説明するための図。
【図28】書込データ記憶領域7を表す図。
【図29】表示装置100の動作を説明するための図。
【図30】書込データ記憶領域7を表す図。
【図31】本発明に係る表示装置の適用例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(表示装置100の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。表示装置100は、電気泳動方式の表示装置であり、表示部1、コントローラー2、CPU(Central Processing Unit)3、VRAM(Video RAM)4、RAM(Random Access Memory)5、及びROM(Read Only Memory)6を備えている。表示装置100の各部は、バスで接続されている。コントローラー2は、表示装置100の制御装置に相当する。なお、コントローラー2及びCPU3を合わせた部分を表示装置100の制御装置と定義することもできる。あるいは、コントローラー2及びCPU3に、VRAM4、RAM5、及びROM6のうち少なくとも1つの要素を加えたものを、表示装置100の制御装置と定義することもできる。
【0014】
表示部1は、メモリー性を有する表示素子を有しており、表示素子に電圧が印加されていなくても表示した画像が維持される表示デバイスである。表示部1は、メモリー性を有する表示素子として電気泳動素子を備える、電気泳動方式による画像表示デバイスであり、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む。各々の画素の表示状態を例えば黒(第1の表示状態)から白(第2の表示状態)へ変化させる場合、各画素に対して複数回(本実施形態では7回)の駆動電圧の印加動作が必要とされる。白(第1の表示状態)から黒(第2の表示状態)へ変化させる場合も同様に、各画素に対して複数回(本実施形態では7回)の駆動電圧の印加動作が必要とされる。コントローラー2は、表示部1を駆動するものであり、表示部1に画像を表示させるための各種信号(クロック信号等)を出力する。また、コントローラー2は、その内部にキャッシュメモリー9を備えている。キャッシュメモリー9は、RAM5と比較して高速な記憶装置であり、読み出される頻度の高いデータを記憶する。本実施形態においてキャッシュメモリー9は、特に、上述した駆動電圧の印加動作の回数に関するデータを記憶する。
【0015】
CPU3は、表示装置100の動作を制御するプロセッサーであり、特に、表示部1に表示させる画像データをVRAM4に記憶させる。VRAM4は、フレームバッファーであり、CPU3の制御に基づいて、表示部1に表示する画像データを記憶する。ここで画像データとは、表示部1における、全ての画素の集合からなる画像を表すデータを指す。また、後述する各記憶領域においても、便宜上、一の画素に対応するデータではなく、画素全ての集合に対応するデータに対して、画像データという呼称を用いる。
【0016】
RAM5は、表示部1に画像を表示させるために用いられるデータを記憶するメモリーであり、書込データ記憶領域7、予定画像データ記憶領域8が設けられている。なお、書込データ記憶領域7には、表示部1の各画素について黒から白へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第1書込データ)を記憶する白書込データ記憶領域7Aと、各画素について白から黒へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第2書込データ)を記憶する黒書込データ記憶領域7Bとが設けられている。以降において、第1書込データと第2書込データを特に区別しない場合には、単に書込データという呼称を用いる。また、前述したキャッシュメモリー9には、白書込データ記憶領域7Aに対応する白書込データキャッシュメモリー9Aと、黒書込データ記憶領域7Bに対応する黒書込データキャッシュメモリー9Bとが設けられている。
【0017】
第1書込データ及び第2書込データは、その書込動作において既に駆動電圧が印加された回数に伴って変動する値であり、その書込における最後の駆動電圧印加後には、書込データが、一の画素に対して書込動作が進行中ではないことを示す値になっている。ここでは、書込データは、書込が終了するまでの残りの印加回数とする。書込データの値は、駆動電圧が1回印加される毎に、1ずつ減算される。従って、ここでは残り印加回数について、「0」は書込動作が進行中でないことを示す値に相当し、「0以外」の値は書込動作が進行中であることを示す値に相当する。予定画像データ記憶領域8には、書込データ記憶領域7に記憶された内容に基づいて各々の画素に対して行われる書込が完了したときに表示部1に表示される予定の画像データ(予定画像データという)が記憶される。ROM6は、表示装置100の各部を制御するためのプログラムのほか、後述する、各処理において使用される定数や閾値等を記憶する。
【0018】
(表示部1の構成)
表示部1の詳しい構成について、図2〜4を用いて説明する。
図2は、表示部1の断面を示した図である。また、図3は、表示部1の回路の構成を説明するための図であり、図4は、表示部1が備える画素駆動回路の構成を説明するための図である。表示部1は、図2に示したように大別して第1基板10、電気泳動層20、第2基板30によって構成されている。第1基板10は、絶縁性及び可撓性を有する基板11上に回路の層が形成された基板である。基板11は、本実施形態においてはポリカーボネートで形成されている。なお、基板11としては、ポリカーボネートに限定されることなく、軽量性、可撓性、弾性及び絶縁性を有する樹脂材料を用いることができる。また、基板11は、可撓性を持たないガラスで形成されていてもよい。基板11の表面には、接着層11aが設けられ、接着層11aの表面には回路層12が積層されている。
【0019】
回路層12は、横方向に配列された複数の走査線64と、各走査線と電気的に絶縁を保つように設けられ縦方向に配列された複数のデータ線65を有している。また、回路層12は、走査線64とデータ線65との交差のそれぞれに対応して、画素電極13a(第1電極)と、TFT(Thin Film Transistor)で構成された画素駆動回路とを有している。
【0020】
電気泳動層20は、バインダー22と、バインダー22によって固定された複数のマイクロカプセル21で構成されており、画素電極13a上に形成されている。なお、マイクロカプセル21と画素電極13aとの間には、接着剤により形成された接着層を設けてもよい。
【0021】
バインダー22としては、マイクロカプセル21との親和性が良好で電極との密着性が優れ、且つ絶縁性を有するものであれば特に制限はない。マイクロカプセル21内には、分散媒と電気泳動粒子が格納されている。マイクロカプセル21を構成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチン系の化合物やウレタン系の化合物等の柔軟性を有するものを用いるのが好ましい。
【0022】
分散媒としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などのいずれかを用いることができ、また、分散媒は、その他の油類であってもよい。また、これらの物質は単独又は混合して分散媒に用いることができ、さらに界面活性剤などを配合して分散媒としてもよい。
【0023】
電気泳動粒子は、前述したように、電気泳動分散媒中で電位差による電気泳動を行って所望の電極側に移動する性質を有する粒子(高分子あるいはコロイド)である。電気泳動粒子には、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料の他、黄色顔料、赤色顔料、青色顔料等を用いることができる。これらの粒子は単独で使用しても良いし、二種類以上を共に用いても良い。第1実施形態では、電気泳動粒子として、正電荷を有する黒色粒子と、負電荷を有する白色粒子とを用いている。もちろん、負電荷を有する黒色粒子と、正電荷を有する白色粒子とを用いることもできる。
【0024】
第2基板30は、フィルム31と、フィルム31の下面に形成された透明電極層32(第2電極)で構成されている。フィルム31は、電気泳動層20の封止及び保護の役割を担うものであり、例えばポリエチレンテレフタレートのフィルムである。フィルム31は、透明で絶縁性を有している。透明電極層32は、例えば、酸化インジウム膜(ITO膜)などの透明な導電膜で構成されている。
【0025】
次に、表示部1が備える回路について説明する。コントローラー2は、表示領域55に画像を表示させるための信号や、表示部1を駆動するための各種信号を出力するものである。図3に示した表示領域55には、縦方向に沿って平行に配列された複数のデータ線65と、横方向に沿って平行に配列された複数の走査線64が設けられている。また、表示領域55には、データ線65と走査線64との交差に対応して画素駆動回路が設けられている。
【0026】
図4は、画素駆動回路の構成を説明するための図である。なお、本実施形態では、各走査線64を区別するために、図3に示した走査線を上から順に1、2、3、・・・、(m−1)、m行目という呼び方をする場合がある。また同様に、各データ線65を区別するために、図3に示したデータ線を左から順に1、2、3、・・・、(n−1)、n列目という呼び方をする場合がある。
【0027】
図4においては、1行目の走査線64と1列目のデータ線65との交差に対応した画素駆動回路を示している。他のデータ線65と走査線64との交差についても同じ画素駆動回路が設けられているが、各画素駆動回路の構成は同じであるため、ここでは、代表して1行目のデータ線と1列目の走査線との交差に対応した画素駆動回路について説明し、他の画素駆動回路については説明を省略する。
画素駆動回路では、トランジスター61のゲートが走査線64に接続され、トランジスター61のソースがデータ線に接続されている。また、トランジスター61のドレインが画素電極13aに接続されている。画素電極13aは、透明電極層32と対向し、画素電極13aと透明電極層32との間には電気泳動層20が挟まれている。この一の画素電極13aと透明電極層32との間にあるマイクロカプセル21が表示部1において一の画素となる。なお、画素駆動回路においては、電気泳動層20と並列に保持容量63が接続されている。また、透明電極層32の電位は予め定められた電位Vcomにされている。
【0028】
走査線駆動回路53は、表示領域55の各走査線64と接続されており、1、2、・・・、m行目の走査線64に走査信号Y1、Y2、・・・、Ymを供給する。具体的には、走査線駆動回路53は、走査線64を1、2、・・・、m行目という順番で選択し、選択した走査線64の走査信号の電圧を選択電圧VH(Hレベル)とし、選択されていない走査線の走査信号の電圧を非選択電圧VL(Lレベル)とする。
【0029】
データ線駆動回路54は、表示領域の各データ線と接続されており、1、2、・・・、n列目のデータ線65にデータ信号X1、X2、・・・、Xnを供給する。電位が選択電圧VHとなっている走査線64に接続されている画素駆動回路に対しては、データ線65からデータ信号が供給される。具体的には、走査線64がHレベルとなると、当該走査線64にゲートが接続されたトランジスター61がオン状態になり、画素電極13aがデータ線65に接続される。このため、走査線64がHレベルであるときに、データ線65にデータ信号を供給すると、当該データ信号は、オン状態になったトランジスター61を介して画素電極13aに印加される。走査線64がLレベルになると、トランジスター61はオフ状態になるが、データ信号によって画素電極13aに印加された電圧は、保持容量63に蓄積され、画素電極13aの電位及び透明電極層32の電位との電位差(電圧)に応じて電気泳動粒子が移動する。
例えば、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が+15Vである場合、負に帯電している白の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、正に帯電している黒の電気泳動粒子が透明電極層32側に移動して画素が黒の表示となる。また、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が−15Vである場合、正に帯電している黒の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、負に帯電している白の電気泳動粒子が透明電極層32側に移動して画素が白の表示となる。
走査線駆動回路53及びデータ線駆動回路54は、異なる電子部品により実現してもよいし、単一の電子部品により両者の機能を実現してもよい。走査線駆動回路53及びデータ線駆動回路54をまとめて単に駆動回路とも呼ぶ。
【0030】
なお、以下の説明においては、走査線駆動回路53が1行目の走査線を選択してからY行目の走査線の選択が終了するまでの期間を「フレーム期間」又は単に「フレーム」と称する。各走査線64は、1フレームに一回づつ選択され、各画素駆動回路には1フレームに一回づつデータ信号が供給される。
また、本実施形態においては、各画素の表示状態を白(低濃度)から黒(高濃度)又は黒から白へ変化させる際には、1フレームだけで画素駆動回路を駆動して表示状態を変化させるのではなく、複数フレームに渡って画素へ電圧を印加する書込動作により表示状態を変化させる。これは、表示状態を白から黒へ変化させるに際し、1フレームだけ電気泳動粒子に電位差を与えても黒の電気泳動粒子が完全には表示側に移動しきらず、表示状態が完全な黒とはならないためである。このことは、表示状態を黒から白へ変化させる場合の白の電気泳動粒子についても同様である。よって、例えば、画素の表示状態を白から黒へ変化させる場合、画素に黒を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って画素駆動回路へ供給され、画素の表示状態を黒から白へ変化させる場合には、画素に白を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って供給される。
また本実施形態においては、1フレーム内である画素の画素電極13aを透明電極層32に対して電位が高くなる正極とし、同じフレーム内で他の画素の画素電極13aを透明電極層32に対して電位が低くなる負極とすることができる。つまり、1フレーム内で透明電極層32に対して正極と負極の両方の極を選択できる駆動(以下、両極駆動という)となっている。つまり、表示装置100は、複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置の一例である。
【0031】
(コントローラー2の構成)
次に、コントローラー2の構成について説明する。図5は、コントローラー2において実現される機能を示したブロック図である。コントローラー2においては、選択部201、データ読み込み部202、データ符号化部203、データ更新部204、判断部205、及び駆動部206が実現される。なお、これら各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、コントローラー2にCPUを設け、このCPUでプログラムを実行することにより各部が実現されるようにしてもよい。
【0032】
選択部201は、走査線駆動回路53を制御することにより、複数行複数列で配置された画素を行単位で順次選択する。データ読み込み部202は、VRAM4に記憶されている画像データを読み込む。データ符号化部203は、白書込データ記憶領域7Aに記憶される第1書込データ及び黒書込データ記憶領域7Bに記憶される第2書込データを、行単位で符号化すると共に、符号化された書込データを復号化する。符号化の内容については詳細を後述する。データ更新部204は、第1書込データ及び第2書込データの内容を更新する。判断部205は、VRAM4が新たに書き換えられた場合に、書き換えの内容を書込データに反映するか否かを判断する。駆動部206は、画素電極13aに対してデータ信号が供給されるように走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54を制御する。
【0033】
(各記憶領域の概略説明)
次に、図6を参照して、表示装置100が備える各記憶領域について説明する。
なお、図6においては、画像Aは、表示部1において表示されている画像を示している。また、画素Pijは、一つの画素を表している。ここで、添字のiは、行列に配置された画素の行番号を表し、jは、列番号を表しており、以下、画素を特定して説明する場合、例えば1行1列目の画素は画素P11と称する。なお、画像Aにおいては、各画素について階調を容易に理解できるように黒から白までの8段階の階調を0から7までの数字で示しているが、実際にはこの数字は表示部1には表示されない。また、表示部1においては、画素はm本の走査線64とn本のデータ線65の交差毎に存在するが、図面が繁雑になるのを防ぐために、図6においては、表示部1の一部にある4行4列の画素P11〜P44について図示している。
【0034】
また、図6においては、VRAM4において画素P11〜P44に対応する記憶領域Aijの内容、予定画像データ記憶領域8において画素P11〜P44に対応する記憶領域Bijの内容、白書込データキャッシュメモリー9Aにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Cijの内容、及び黒書込データキャッシュメモリー9Bにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Dijの内容、白書込データ記憶領域7Aにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Eijの内容、及び黒書込データ記憶領域7Bにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Fijの内容を図示している。なお、各記憶領域の添字のi及びjは、行列に配置された記憶領域の行番号を表し、jは、列番号を表している。また、記憶領域を特定して説明する場合、例えば1行1列目の記憶領域Aijは記憶領域A11と称する。
【0035】
VRAM4の記憶領域A11〜A44には、表示部1に表示する画像の各画素の階調が記憶される。予定画像データ記憶領域8の記憶領域B11〜B44には、表示部1に表示される予定の画像について各画素の階調が記憶される。白書込データ記憶領域7Aの記憶領域E11〜E44には、画素P11〜P44を白にするまでに必要な電圧の印加回数が第1書込データとして記憶される。このとき、第1書込データは、データ符号化部203によって符号化された状態で記憶領域E11〜E44に記憶される。黒書込データ記憶領域7Bの記憶領域F11〜F44には、画素P11〜P44を黒にするまでに必要な電圧の印加回数が第2書込データとして記憶される。このとき、第2書込データは、データ符号化部203によって符号化された状態で記憶領域F11〜F44に記憶される。白書込データキャッシュメモリー9Aの記憶領域C11〜C44には、画素P11〜P44を白にするまでに必要な電圧の印加回数が記憶される。この印加回数は、白書込データ記憶領域7Aに記憶されている符号化された第1書込データを、データ符号化部203が復号化したものである。黒書込データキャッシュメモリー9Bの記憶領域D11〜D44には、画素P11〜P44を黒にするまでに必要な電圧の印加回数が記憶される。この印加回数は、黒書込データ記憶領域7Bに記憶されている符号化された第2書込データを、データ符号化部203が復号化したものである。このように、キャッシュメモリー9は、第1の記憶部に記憶されている符号化データを復号化した内容を記憶する第2の記憶部であって、データの書き込み及び読み出しの速さが第1の記憶部よりも速い第2の記憶部の一例として機能する。
【0036】
(データ符号化の説明)
次に、図7及び図8を参照して、白書込データ記憶領域7Aを例に挙げながら、書込データの符号化について説明する。図7は、ハフマン符号化を説明する図である。ハフマン符号化とは、一定ビットごとに文字列を区切り、区切られた後の文字列を統計的に処理することで、出現確率がより高いビットパターンに対してより短い符号を与え、出現確率がより低いビットパターンに対してより長い符号を与える符号化方式である。ハフマン符号化は、割り当てる符号の長さを可変にすることで符号化効率の向上を図る方式である可変長符号化の一例である。本実施形態においては、書込データの符号化にハフマン符号化を用いている。以降において、単に符号化と呼ぶ場合、ハフマン符号化のことを指す。
【0037】
図7における第1書込データにおける値に対して、行単位で2進数のビット化を行うと、“0010001000000000”、“0010001000000000”、“0000000000100000”、“0000000000000000”となり、各行において16bitずつ、つまり合計で64bitのデータ量となる。この64bitという値は、第1書込データが符号化されていない場合のデータ量である。データ符号化部203は、このような第1書込データに対して行単位で符号化を行うことで、このデータ量を圧縮する。また、データ符号化部203は、符号化された第1書込データが読み出される際には、この符号化された第1書込データに対して復号化を行う。本実施形態においては、データ符号化部203は、同一の行において隣り合った記憶領域Cijにおける、2つの第1書込データの値を組み合わせたものを、1組のビットパターンとして認識する。
【0038】
図7において、上述したビットパターンは、「22」、「00」、「20」の3組である。これらのビットパターンに対して、データ符号化部203が符号化を行う仕組みを、図7の二分木で示している。この二分木を見て分かるように、最も出現確率が高いビットパターンである「00」には“1”という符号が割り当てられ、より低い出現確率を持つビットパターンである「22」には“01”という符号が割り当てられている。そして最も低い出現確率を持つビットパターンである「20」には“00”という符号が割り当てられている。このようにして、図7中の第1書込データに対して、データ符号化部203が行単位で符号化を行った結果は、図7中の矢印で示されるように、“011”、“011”、“100”、“11”となり、合計で11bitのデータ量となる。また、データ符号化部203は、図7に示される二分木の内容に基いて、符号化したデータを復号化する。
【0039】
図8は、ハフマン符号化方式を用いた場合における符号化後のデータ量の推移を表す図である。図8において、カッコで括られて付された数字は、矢印で示すように1フレームずつ時間が経過していくときの順序を表している。(1)のタイミングにおいて、白書込データ記憶領域7Aにおける第1書込データに対してデータ符号化部203が符号化を行うと、(1)に示されるような二分木の構成となる。次に、駆動電圧が1フレーム分印加されると、白書込データ記憶領域7Aにおける第1書込データ及び二分木の構成は、(2)に示されるような内容となる。さらに駆動電圧が1フレーム分印加されると、白書込データ記憶領域7Aにおける第1書込データ及び二分木の構成は、(3)に示されるような内容となる。ここで、(1)〜(3)に示されるとおり、1フレーム毎に駆動電圧が印加される際に、白書込データ記憶領域7Aにおける第1書込データの内容が、減算されるか或いは0のままであれば、二分木の構成は、より簡素になることはあっても、より複雑になることはない。換言すれば、CPU3がVRAM4を書き換えることによって書込データ記憶領域7Aに新たな第1書込データが登録されることがなければ、書込データ記憶領域7Aに記憶された第1書込データを符号化した結果のデータ量は、減ることはあっても、増えることがない。なお、以上述べたデータ符号化の説明は、黒書込データ記憶領域7Bに記憶された第2書込データについても同様である。
【0040】
(書込データ記憶領域7の説明)
次に、図9及び図10を参照して、本実施形態において書込データ記憶領域7が記憶するデータの内容について説明する。
図9及び図10は、書込データ記憶領域7を表した図である。本実施形態においては、キャッシュメモリー9は、書込データ記憶領域7における8行分の符号化データを復号化したものを、処理の単位として記憶するものとする。この処理の単位のことを、以降において「ブロック」と呼ぶ。つまり、本実施形態においては、1ブロックは8行からなり、表示領域55は、走査線64の総数mを8で除算したm/8ブロックからなる。図9には、書込データ記憶領域7のうち、1ブロックに相当する8行分の記憶領域が示されている。図9において、各行の左に付された数字は書込データ記憶領域7の行数を表す。また、書込データ記憶領域7の各行には、それぞれ符号化された書込データが記憶されている。1ブロックの書込データ記憶領域7に記憶された書込データは、図9における上方から下方に向かって(1行目から8行目に向かって)順番に処理が行われる。このように、書込データ記憶領域7は、複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、画素の各々に印加する電圧の回数が符号化部によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有する第1の記憶部の一例として機能する。
【0041】
次に、本実施形態において使用される「クロック数」という言葉について説明する。CPU3の処理の性能を表す数値として、クロック周波数というものがある。これは、1秒あたりのクロック数を示すものである。例えばクロック周波数が1GHzであると、1秒あたりのクロック数は10億クロックである。一般的に、上述の「クロック周波数」のことを指してクロック数と呼ぶことがあるが、本実施形態におけるクロック数とは、処理に要した時間をクロックでカウントしたときの総数である。従って、本実施形態において、100クロックとはクロック周波数100Hzのことではなく、或る処理に要した時間が100クロック分の時間に相当するということになる。以下では、このような場合に、「処理に100クロックかかった」という表現をする。
ROM6は、1ブロック分の書込データの処理に使用可能なクロック数の上限を意味する閾値として、ブロック処理クロック数を記憶している。本実施形態においては、ブロック処理クロック数が「100」である。また、ROM6は、「1行分の書込データの処理」(後述)に最大かかった場合のクロック数(以下、ライン処理最大クロック数という)を、定数として記憶している。本実施形態においては、ライン処理最大クロック数が「20」である。
【0042】
「1行分の書込データの処理」とは、以下の(A)〜(G)からなる一連の処理のことを指す。
(A)判断部205からの通知に従って、データ更新部は、VRAM4の書き換え内容に基いて行単位で符号化された書込データを書込データ記憶領域7に書き込む。
(B)データ符号化部203は、書込データ記憶領域7から1行分の符号化された書込データを読み込む。
(C)データ符号化部203は、この符号化された書込データを復号化して、復号化された書込データをRAM5に記憶させる。
(D)コントローラー2は、RAM5に記憶された書込データをキャッシュメモリー9に記憶させる。
(E)駆動部206は、キャッシュメモリー9の内容に基づいて画素を駆動する。この際、データ更新部204により、書込データにおける書込回数が1減算される。
(F)データ符号化部203は、画素の駆動がなされた後の書込データを符号化してRAM5に記憶させる。
(G)コントローラー2は、RAM5に記憶された、符号化された書込データを書込データ記憶領域7に記憶させる。
【0043】
書込データ記憶領域7には、各行について、4種類の内容を意味するクロック数が記憶されている。図9における「今回」と記載されたクロック数は、現在進行中であるフレームにおいて、上述した1行分の書込データの処理が行われた際にかかったクロック数である。また、図9における「前回」と記載されたクロック数は、前回のフレームにおいて、上述した1行分の書込データの処理が行われた際にかかったクロック数である。また、図9において「最大の増分」と記載されたクロック数は、ライン処理最大クロック数から「前回」におけるクロック数を減算したクロック数であって、「前回」かかったクロック数から増え得る最大のクロック数を表している。また、図9における「累計」と記載されたクロック数は、現在進行中であるフレームにおいて、処理済みの行でかかったクロック数を積算したものである。ここでいう、クロック数は、処理に要する時間の指標値であるから、書込データ記憶領域7は、記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において記憶領域から符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において記憶領域から符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である所要時間とを記憶する第1の記憶部の一例として機能する。
【0044】
このように行毎に記憶された4種類のクロック数と、ROM6に記憶されたブロック処理クロック数及びライン処理最大クロック数とに基づいて、判断部205は、VRAM4が新たに書き換えられた場合に書き換えの内容を書込データに反映するか否かを判断する。
図9を参照して、判断部205が行う判断の内容を説明する。判断部205は、処理済みの行における「累計」のクロック数と、未処理の行における「前回」のクロック数の合計と、現在処理対象となっている行における「最大の増分」のクロック数とを合算したクロック数が、ブロック処理クロック数を超えない場合、現在処理対象となっている行の書込データに対して上述した書き換えの内容を反映する。図9においては、「累計」のクロック数である「20」と、未処理の行における「前回」のクロック数の合計である「40」と、現在処理対象となっている行における「最大の増分」のクロック数である「17」を合算したクロック数が「78」であって、ブロック処理クロック数である「100」を超えない。従って、判断部205は、VRAM4が新たに書き換えられた場合には書き換えの内容を書込データに反映する。以降において、判断部205がこのように判断した状態のことを、ブロックにおける処理限界を超えない状態、と呼ぶ。
【0045】
一方、前述の合算したクロック数が、ブロック処理クロック数を超える場合、判断部205は、現在処理対象となっている行の書込データに対して上述した変更の内容を反映しない。
図10においては、「累計」のクロック数である「60」と、未処理の行における「前回」のクロック数の合計である「36」と、現在処理対象となっている行における「最大の増分」のクロック数である「15」を合算したクロック数が「110」であって、ブロック処理クロック数である「100」を超える。従って、判断部205は、書き換えの内容を書込データに反映しないと判断する。以降において、判断部205がこのように書き換えの内容を反映しないと判断した状態のことを、ブロックにおける処理限界を超えた状態、と呼ぶ。図10において、ブロックにおける処理限界を超えた状態であるため、データ更新部204は、i=4行目の書込データに相当するVRAM4の記憶領域が新たに書き換えられた場合であっても、この書き換え内容を4行目の書込データに反映しない。
【0046】
図9,10において、「累計」のクロック数の合計は、現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について書込データ記憶領域7に記憶されている時間(進行所要時間という)の合計に相当する。未処理の行における「前回」のクロック数は、現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について書込データ記憶領域7に記憶されている時間(前回所要時間という)の合計に相当する。そして、現在処理対象となっている行における「最大の増分」のクロック数は、現在選択されている行について書込データ記憶領域7に記憶されている前回所要時間を予め決められた定数であるブロック処理クロック数から減算して得た時間に相当する。よって、判断部205は、これらの進行所要時間の合計と、前回所要時間の合計と、現在選択されている行について記憶されている前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断部の一例として機能する。
【0047】
VRAM4において、選択部201によって現在選択されているi行に相当する記憶領域が新たに書き換えられると、この書き換え内容がi行目の書込データに反映されることになる。そしてVRAM4の内容が反映されたi行目の書込データに基づいて、駆動部206は画素を駆動して表示状態を変更する。換言すると、上述の状態は、画像データであるVRAM4によって表示状態の変更対象とされる画素(変更画素という)が発生している状態である。ここで、データ更新部204は、判断部によって上述した合算結果が閾値を超えないと判断された場合に、選択部201によって現在選択されている行において、変更画素が表示状態の変更中でないときには変更画素に対する表示状態の変更を開始し、変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、判断部によって合算結果が閾値を超えると判断された場合、判断部によって合算結果が閾値を超えないと判断されるときまでは、変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新部の一例として機能する。
【0048】
上述したように、ブロックを一つの処理の単位として決めて、1ブロックを処理するのにかかったクロック数が、ブロック処理クロック数を超えるか否か、すなわち表示装置100(具体的にはCPU3)の備える性能に依存する処理限界を超えるか否かを判断するのは、次のような理由からである。前述したように、本実施形態においては、符号化方式に可変長符号化方式であるハフマン符号化を採用している。つまり、符号化によって得られた符号化データのデータ長は固定長でないから、コントローラ―2が1行分の書込データを処理するのに、ライン処理最大クロック数である20クロックかかる場合もあれば、5クロックで済む場合もある。このとき、コントローラー2は、過去に実行した処理でかかったクロック数を記憶しておくことは可能であるが、未来に実行する処理にどれだけのクロック数がかかるかは、実際に処理を実行しないと特定できず、その処理の開始前に特定することはできない。ここで、仮に、コントローラー2が前述したように処理の単位を決めることもなく、図9,10において上の行から下の行へ向かって順番に1行分の書込データを順次処理していくとすると、例えば処理に20クロックかかる書込データを記憶している行が連続した場合に、それらの行の処理に時間がかかって、以降の行は書き換えが開始されない状態となる。つまり、特定の数行分に相当する画像の表示に時間がかかり、それ以降の行の表示が遅れてしまうことになる。
【0049】
これに対し、或る1行分の画像がまだ正確に表示されていなくても、それに続く行の画像の表示が開始されるようにすると、画像データどおりの完全なものではない画像ではあるが、そのような画像が表示領域全体に速く表示される。このようにすると、人間の目から見た場合には、体感的な表示速度が速くなる。そこで、本実施形態においては、一定数の走査線64に相当する記憶領域を「ブロック」という処理の単位として定めたうえで、1ブロック内において許容するクロック数を閾値として設定し、或るブロックにおいてかかるクロック数が、この閾値を超える可能性がある場合には、次の行へ処理を進める構成としている。このような構成を採ることで、表示領域55における特定の範囲を処理するのに時間が掛かり過ぎて体感的な表示速度が遅くなることを抑制し、結果として体感的な表示速度が向上することとなる。
【0050】
また、書込データ記憶領域7には、該当する行において、書込回数が登録されているか否かを表す「回数フラグ」が行毎に記憶されている。回数フラグは、該当する行において、1回以上の書込回数が登録されている場合「1」の値を取り、該当する行において書込回数が登録されていない場合「0」の値を取る。データ符号化部203が、書込データを符号化する際に、残りの書込回数をカウントした結果に基づいて回数フラグの値を設定する。回数フラグが「0」であるということは、その行において書込回数が全て0であるからこれ以上符号化の必要が無く、よって、その行の書込データが次回に符号化される際に、データ符号化部203がこの書込データを読み込む必要がないことを意味している。なお、選択された行において残り書込み回数が1回の書込データしか存在しない場合、次回の書込データにおいて書込回数が登録されていないことが明らかなため、データ符号化部203は、書込データを符号化した後に、回数フラグを「0」に更新する。このように、第1の記憶部の一例である書込データ記憶領域7は、電圧の印加回数が1回以上の画素が各々の行に含まれているか否かを表す回数情報を行ごとに記憶している。
【0051】
(実施形態の動作)
次に、図11〜図27を参照して、表示装置100の動作について説明する。
コントローラー2は、画素の駆動を行う際に図11〜図13に示した処理を行う。図14は、動作開始時点における各記憶領域及び表示部1の状態を示す。ここで、CPU3によってVRAM4が図15のように書き換えられたとする。まず、コントローラー2は、変数k,iの値を初期化して1にする(ステップSA1,SA2)。ここで、変数kは、行方向に配置されたブロックのブロック番号を表している。次に判断部205は、白書込データ記憶領域7A及び黒書込データ記憶領域7Bの各々において、ブロックにおける処理限界を超えているか否かを判断する(ステップSA3)。ここで、白書込データ記憶領域7A及び黒書込データ記憶領域7Bの一方若しくは双方において、ブロックにおける処理限界を超えていない場合(ステップSA3;NO)、コントローラー2の処理はステップSA4に進む。一方、白書込データ記憶領域7A及び黒書込データ記憶領域7Bの双方において、ブロックにおける処理限界を超えている場合(ステップSA3;YES)、コントローラー2の処理はステップSA5に進む。ここでは、図15の状態において、ステップSA3でNOと判断されたとする。この場合、コントローラー2は、ステップSA4の新規画素受理の処理を行う。
【0052】
図12は、ステップSA4においてコントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャートである。コントローラー2は、変数jの値を初期化して1にする(ステップSB1)。次にコントローラー2は、変数i,jで特定される画素Pijを選択する(ステップSB2)。例えば、変数iの値が1であり、変数jの値が1である場合、画素P11が選択される。次に、コントローラー2は、選択した画素Pijに対応する記憶領域Cijに記憶されている第1書込データと、記憶領域Dijに記憶されている第2書込データの両方が0であるか否か判断する(ステップSB3)。コントローラー2は、選択した画素Pijについて対応する記憶領域Cijの第1書込データと記憶領域Dijの第2書込データの両方が0である場合には(ステップSB3;YES)、処理をステップSB4へ移行し、第1書込データと第2書込データの一方が0以外である場合には(ステップSB3;NO)、処理をステップSB7へ移行する。
【0053】
コントローラー2は、ステップSB4へ移行すると、記憶領域Aijに記憶されているデータを読み込み(データ読み込み部202)、読み込んだデータと記憶領域Bijに記憶されているデータとを比較する。そしてコントローラー2は、両者が同じである場合には(ステップSB4;YES)、ステップSB7へ処理を移行する。図15においては記憶領域A11と記憶領域B11の内容が異なるため、コントローラー2は、記憶領域A11と記憶領域B11の内容が異なると判断し(ステップSB4;NO)、画素P11の表示状態を変更するまでに必要な、画素への電圧の印加回数をRAM5に記憶させる(ステップSB5)。そして、コントローラー2は、記憶領域Bijの内容を、記憶領域Aijに記憶されている内容で上書きして(ステップSB6)、ステップSB8へ処理を移行する。一方、ステップSB3でNOと判断された場合、コントローラー2は、選択した画素Pijにおける第1書込データと第2書込データの内容をRAM5に記憶する(ステップSB7)。次に、ステップSB8において、コントローラー2は、変数jの値がデータ線の本数nと同じであるか否か判断する。ここで変数jの値がnと同じでなければ(ステップSB8;NO)、変数jの値に1を加え(ステップSB9)、ステップSB2へ移行する。一方、コントローラー2が、変数jの値がnであると判断した場合(ステップSB8;YES)、データ符号化部203は、RAM5に記憶された印加回数を行単位で符号化する(ステップSB10)。そしてデータ更新部204が、符号化された書込データを書込データ記憶領域7に書き込む(ステップSB11)。このようにして図12におけるフローチャートに沿って処理が進められた結果、各記憶領域の内容は、図15の状態から図16の状態へと変更される。
【0054】
図11の説明に戻り、ステップSA4の処理が完了すると、コントローラー2は、処理をステップSA5に移行する。データ符号化部203は、書込データ記憶領域7に記憶されたi行目の符号化された書込データを読み出してRAM5に記憶させると(ステップSA5)、このi行目の符号化された書込データを復号化してキャッシュメモリー9に記憶させる(ステップSA6)。ここまでの処理によって、各記憶領域の内容は、図16の状態から図17に示す状態となる。次にコントローラー2は、キャッシュメモリー9に記憶された書込データに基づいて、画素の駆動を行う(ステップSA7)。
【0055】
図13は、ステップSA7においてコントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャートである。コントローラー2は、変数jの値を初期化して1にする(ステップSC1)。次に、コントローラー2は、変数i,jで特定される画素Pijを選択する(ステップSC2)。例えば、変数iの値が1であり、変数jの値が1である場合、画素P11が選択される。次に、コントローラー2は、選択した画素Pijに対応する記憶領域Cijに記憶されている第1書込データと、記憶領域Dijに記憶されている第2書込データの両方が0であるか否か判断する(ステップSC3)。コントローラー2は、選択した画素Pijについて対応する記憶領域Cijの第1書込データと記憶領域Dijの第2書込データの両方が0である場合には(ステップSC3;YES)、処理をステップSC5へ移行し、第1書込データと第2書込データの一方が0以外である場合には(ステップSC3;NO)、処理をステップSC4へ移行する。ステップSC4へ移行すると、コントローラー2は、記憶領域Cijに記憶されている第1書込データ又は記憶領域Dijに記憶されている第2書込データのうち値が0以外のデータから1を減算する。なお、値が0となっている第1書込データ又は第2書込データについては、コントローラー2は1を減算しない。
【0056】
次に、コントローラー2は、変数jの値がデータ線の本数nと同じであるか否か判断する(ステップSC5)。ここで変数jの値がnと同じでなければ(ステップSC5;NO)コントローラー2は、変数jの値に1を加え(ステップSC6)、ステップSC2へ移行する。一方、コントローラー2が、変数jの値がnであると判断した場合(ステップSC5;YES)、i行目における全画素を対象として、駆動部206が、走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54とを制御して画素駆動回路を駆動する(ステップSC7)。以上一連の説明で述べたように、駆動部206は、変更画素に対し、書込データ記憶領域7(第1の記憶部)に記憶されている符号化データをデータ符号化部203が復号化した内容に基いて電圧を印加して、この変更画素を、画像データであるVRAM4の定める表示状態にする駆動部の一例として機能する。
このようにして図13におけるフローチャートに沿って処理が進められた結果、各記憶領域の内容は、図17の状態から図18の状態へと変更される。
【0057】
図11の説明に戻り、次に、データ符号化部203は、キャッシュメモリー9に記憶されたi行目の書込データを符号化する(ステップSA8)。そして、データ更新部204は、i行目の符号化された書込データを書込データ記憶領域7のi行目の記憶領域に書き込む(ステップSA9)。
ここまでの一連の処理において、符号化部の一例として機能するデータ符号化部203は、以下の処理を行う。データ符号化部203は、書込データ記憶領域7(第1の記憶部)から符号化された書込データを読み出し、この符号化された書込データを復号化した内容をキャッシュメモリー9(第2の記憶部)に記憶させる。そしてデータ符号化部203は、キャッシュメモリー9から当該復号化した内容を読み出すと、この復号化した内容が駆動部206による電圧印加に伴ってデータ更新部204により書込回数が更新された結果を符号化したものである符号化データを書込データ記憶領域7に記憶させる。このような構成を採ることにより、実際に画素の表示状態を変更するために電圧を印加する駆動部206がアクセスするメモリーが、書込データ記憶領域7(第1の記憶部)と比較して高速なキャッシュメモリー9(第2の記憶部)となるため、処理の速度が向上する。
【0058】
次に、コントローラー2は、i行目のデータを処理するのにかかったクロック数を計算し、書込データ記憶領域7に書き込む(ステップSA10)。次に、コントローラー2は、変数iの値が走査線の本数mと同じであるか否か判断する(ステップSA11)。ここで変数iの値がmと同じでなければ(ステップSA11;NO)変数iの値に1を加え(ステップSA12)、ステップSA3へ移行する。一方、コントローラー2は、変数iの値がmであると判断した場合(ステップSA11;YES)、処理をステップSA13へ移行する。ステップSA13において、コントローラー2は、変数kの値が表示領域55に含まれるブロック数(本実施形態においてはm/8)と同じであるか否かを判断する。ここで変数kの値がm/8と同じでなければ(ステップSA13;NO)、変数kの値に1を加え(ステップSA14)、コントローラー2は、処理をステップSA2へ移行する。一方、コントローラー2は、変数kの値がm/8であると判断した場合(ステップSA14;YES)、処理をステップSA1へ移行する。
【0059】
図18の状態から図11のステップSA11でNOと判断され、ステップSA3でNOと判断され、ステップSA6まで処理が進められると、各記憶領域の内容は図19の状態となる。そしてステップSA7において画素の駆動が行われて、ステップSA9の処理を経ると、各記憶領域の内容は図20の状態となる。また、図20の状態からステップSA11でNOと判断され、ステップSA3でNOと判断され、ステップSA6まで処理が進められると、各記憶領域の内容は図21の状態となる。そしてステップSA7において画素の駆動が行われて、ステップSA9の処理を経ると、各記憶領域の内容は図22の状態となる。図22の状態からステップSA11でNOと判断され、ステップSA3でNOと判断され、ステップSA7において画素の駆動が行われて、ステップSA9の処理を経ると、各記憶領域の内容は図23の状態となる。
【0060】
その後、処理が進められて、ステップSA13でYESと判断されて、処理がステップSA1に戻り、このタイミングでCPU3がVRAM4の内容を図24のように書き換えたとする。さらに、このタイミングでは、書込データ記憶領域7におけるクロック数の内容が、図9で示されるように、ブロックにおける処理限界を超えない状態であるとする。従って、判断部205がステップSA3でNOと判断して、ステップSA4へ処理が移行する。その後図11〜図13のフローチャートに沿って処理が進められ、ステップSA12の処理が完了すると、各記憶領域の内容は図25の状態となる。その後、更に処理が進められて、ステップSA3でNOと判断され、ステップSA4の処理が行われ、ステップSA7の処理を経て、ステップSA10の処理が完了するまでの一連の処理が2回分繰り返されると、各記憶領域の内容は図26の状態となる。つまり、図26は、図25の状態から更に2行分の書込データの処理が行われた状態を示している。
【0061】
その後ステップSA11でNOと判断され、ステップSA12で変数iに1が加算されることで、ステップSA3に移行したときには、i=4行目の書込データが処理対象となっている。このタイミングでは、書込データ記憶領域7の内容は、図10で示されるように、ブロックにおける処理限界を超えた状態であるとする。従って、判断部205がステップSA3でYESと判断して、ステップSA5へ処理が移行する。その後、ステップSA5〜ステップSA10までの処理を経ると、各記憶領域の内容は図27の状態となる。このように、ステップSA3において、判断部205によってブロックにおける処理限界を超えた状態であると判断されると、ステップSA4の処理を経ることがないため、VRAM4の内容が書き換えられていても、この書き換えられた内容が書込データ記憶領域7に反映されないようになっている。
【0062】
その後、ステップSA11でNOと判断され、ステップSA12でiに1が加算されると、ステップSA3においてi=5行目の書込データ(図14〜図27において不図示)が処理対象となっている。ここで、図28に示すように、「累計」のクロック数である「60」と、未処理の行における「前回」のクロック数の合計である「35」と、現在処理対象となっている行における「最大の増分」のクロック数である「2」とを合算したクロック数が「97」であるから、これはブロック処理クロック数である「100」を超えない。従って判断部205は、書込データ記憶領域7の内容がブロックにおける処理限界を超えない状態である、と判断する(ステップSA3;NO)。
【0063】
さらに図11〜図13に示すフローチャートに沿って処理が進められ、図29の状態になったとする。図29は、図27の状態から5フレーム分の処理が完了した状態である。このとき、i=1行目〜i=3行目の書込データは、全ての画素において書込回数が0となっている。ここで、図30に示すように、i=1行目〜i=3行目の書込データにおいては、回数フラグが0となっているため、データ符号化部203は、i=1行目〜i=3行目の書込データを読み込まず、選択部201に対して次の行を選択するよう通知する。i=4行目の書込データにおいては、回数フラグが1となっているため、データ符号化部203は、この書込データを読み込む。ここで、回数フラグは、書込データ記憶領域7における該当する行において、書込回数が登録されているか否かを表す情報である「回数情報」とも言い換えられる。このように、符号化部の一例であるデータ符号化部203は、回数情報が、選択部201によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていることを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容をキャッシュメモリー9(第2の記憶部)から読み出し、回数情報が、選択部201によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていないことを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容をキャッシュメモリー9(第2の記憶部)から読み出さずに、選択部201に対して次の行を選択するよう指示する。そして、ここではブロックにおける処理限界を超えない状態となっているため、データ符号化部203は、i=4行目の書込データを読み込む。この結果、図29において記憶領域D41,D42及び記憶領域F41,F42には書込回数が登録されている。
【0064】
以降、図11〜図13に示すフローチャートに沿って処理が進められ、VRAM4の内容に応じて画素の駆動が行われると共に、書込データ記憶領域7に記憶される各クロック数が更新されていく。従って、或る時点において、ブロックにおける処理限界を超える状態であると判断部205により判断され、VRAM4における新たな書込内容が反映されなかったi行目の書込データであったとしても、書込データ記憶領域7に記憶される各クロック数が順次更新されていくことで、ブロックにおける処理限界を超える状態が解消されることになるから、この段階で、VRAM4における新たな書込内容が反映されることとなる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、先に書き換えが開始された領域と新たに書き換えを行う領域とが重なっても、新たに書き換えを開始する時に書き換えが進行中でなかった部分については、書き換えが直ぐに開始されるので、ユーザーには表示速度が早く感じられることとなる。
また、本実施形態では、表示部1における画像データの書き換えを画素の行単位で行い、この際、ブロックにおける処理限界を超えた状態と判断されると、該当する行の書込データについて、VRAM4からの新たな書き換え内容を反映させず、その結果として、RAM5に対するメモリーアクセスを低減させるため、RAM5のメモリー帯域が逼迫することを抑制することができる。
また、表示装置100が備えるRAM5が低速なものであっても、上述したようにメモリー帯域が逼迫することを抑制することで、画像表示にかかる処理が遅延することをも抑制し、結果として、高解像度の画像データを扱うことが可能となる。
【0066】
[電子機器]
次に、上述した実施形態に係る表示装置を用いた電子機器について説明する。
図31(a)は、上述した実施形態に係る表示装置を用いた電子ブックリーダーの斜視図である。この電子ブックリーダー1000は、本の形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して開閉自在に設けられたカバー1002と、操作部1003と、本発明の実施形態に係る表示装置100を備えている。この電子ブックリーダー1000においては、電子ブックの内容が表示装置100に表示され、操作部1003を操作することにより、電子ブックのページがめくられる。
また、図31(b)は、上述した実施形態に係る表示装置を用いた腕時計1100の斜視図である。この腕時計1100は、本発明の実施形態に係る表示装置100を備えている。この腕時計1100においては、時刻や年月日が表示装置100に表示される。
なお、このほかにも、上述した実施形態に係る表示装置100を適用可能な電子機器として、電子ペーパー、電子手帳、電卓、携帯電話機等などが挙げられる。
【0067】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0068】
(変形例1)
上述した実施形態においては、符号化の方式にハフマン符号化を用いていたが、これに限定されるものではない。符号化されるデータの値が、処理の進行に伴って減算されるか又は0の状態を維持するかのどちらかであるときに、符号化後のデータ量が、増えることがなく、減る若しくは現状維持されるような可変長符号化方式であれば他のものを用いてもよい。可変長符号化方式とは、符号化前のデータに割り当てる符号の長さを可変にする符号化方式のことである。
【0069】
(変形例2)
上述した実施形態では、処理の単位である「ブロック」が、8行分の書込データからなるものとしたが、この行数はこれに限ったものではなく、表示装置100のスペックに応じて適宜変更してもよい。また、上述した実施形態では、閾値であるブロック処理クロック数を「100」とし、定数であるライン処理最大クロック数を「20」としたが、これに限ったものではなく、表示装置100のスペックに応じて適宜変更してもよい。
【0070】
(変形例3)
上述した実施形態では、ハフマン符号化に際して、同一の行において隣り合った記憶領域における2つの書込データの値を組み合わせたものを、1つのビットパターンとして認識したが、ビットパターンはこれに限ったものではなく、例えば4つの書込データの値を組み合わせたものを、1つのビットパターンとして認識してもよい。つまるところ、データ線の数「n」を割り切れる数の、書込データの値を組み合わせたものであればよい。
【0071】
(変形例4)
上述した実施形態においては、コントローラー2に、選択部201、データ読み込み部202、データ符号化部203、データ更新部204、判断部205、及び駆動部206といった機能を設けていた。これらの各機能は、ハードウェアにより実現されてもよいし、コントローラー2にCPUを設け、このCPUでプログラムを実行することにより各機能が実現されるようにしてもよい。
【0072】
(変形例5)
また、本実施形態は、電気泳動粒子として、一方が正電荷、他方が負電荷を有する白黒2種類の電気泳動粒子を用いて白黒の表示を行う場合を想定しているが、白黒の表示のみならず、濃度の差による赤白や青黒など、2方向の濃度変化による表示に適用できる。
【0073】
(変形例6)
また、表示部1の構成は図2〜4に示すものに限られない。例えば、電気泳動層は、多数のマイクロカプセルを含む構成に限られず、隔壁によって仕切られた空間に電気泳動分散媒と電気泳動粒子が含まれる構成であってもよい。
また、上記では表示装置として電気泳動方式による表示部1を備えた表示装置100を例に説明したが、表示部1の表示方式は電気泳動方式に限られない。表示部1の表示方式は、比較的低速な表示方式であって、表示完了までに複数フレームで電圧を印加する方法により制御されるものであればよく、例えば、コレステリック液晶、エレクトロクロミック、電子粉流体等を用いることもできる。
【0074】
(変形例7)
また、本発明は、画素電極の電位のみを高電位と低電位に制御することにより、電気泳動流粒子を移動させる方式(両極駆動)の電気泳動表示装置にも、画素電極と共通電極の両方を高電位と低電位に制御する方式(片極駆動)の電気泳動表示装置にも適用できる。
【0075】
(変形例8)
また、コントローラー2とCPU3は異なるデバイスに実装されていてもよいし、SoC(System−ON−a−Chip)のように、1つのチップ上に実装されていてもよい。
【0076】
(変形例9)
書込データ記憶領域7において駆動電圧の印加対象である画素データが存在しなくなり、VRAM4の内容と予定画像データ記憶領域8の内容とが一致したとき、即ち当分電圧印加の必要がなくなったとき、外部からの新たな画像データが送られてくるまで、例えば省電力状態のような、別の状態に移行しても良い。
【0077】
(変形例10)
上記実施形態では、書込データ記憶領域7と予定画像データ記憶領域8とを独立した異なる面として構成しているが(プレーナ方式)、書込データ記憶領域7、予定画像データ記憶領域8は、それぞれ別の面として扱わず、全てをひとまとめにした状態で1面を構成しても良い(パックトピクセル方式)。
【符号の説明】
【0078】
1…表示部、2…コントローラー、3…CPU、4…VRAM、5…RAM、6…ROM、7…書込データ記憶領域、7A…白書込データ記憶領域、7B…黒書込データ記憶領域、8…予定画像データ記憶領域、9…キャッシュメモリー、9A…白書込データキャッシュメモリー、9B…黒書込データキャッシュメモリー、10…第1基板、11…基板、11a…接着層、12…回路層、13a…画素電極、20…電気泳動層、21…マイクロカプセル、22…バインダー、30…第2基板、31…フィルム、32…透明電極層、53…走査線駆動回路、54…データ線駆動回路、55…表示領域、61…トランジスター、63…保持容量、64…走査線、65…データ線、100…表示装置、201…選択部、202…データ読み込み部、203…データ符号化部、204…データ更新部、205…判断部、206…駆動部、1000…電子ブックリーダー、1001…フレーム、1002…カバー、1003…操作部、1100…腕時計、Pij…画素、Aij…記憶領域、Bij…記憶領域、Cij…記憶領域、Dij…記憶領域、Eij…記憶領域、Fij…記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行複数列の画素に対して電圧を印加する駆動回路が前記複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置の制御装置であって、
前記駆動回路を制御することにより前記行を順次選択する選択部と、
画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、
各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化部と、
前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化部によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する第1の記憶部と、
進行中の1フレーム期間において、前記選択部によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択部によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新部と、
前記駆動回路を制御することにより、表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動部と
を有する制御装置。
【請求項2】
前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容を記憶する第2の記憶部であって、データの書き込み及び読み出しの速さが前記第1の記憶部よりも速い第2の記憶部を有し、
前記符号化部は、
前記第1の記憶部から前記符号化データを読み出し、前記符号化データを復号化した内容を前記第2の記憶部に記憶させ、前記第2の記憶部から前記復号化した内容を読み出し、当該復号化した内容が前記駆動部による電圧印加に従って更新された結果を符号化した符号化データを前記第1の記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の記憶部が、電圧の印加回数が1回以上の画素が各々の前記行に含まれているか否かを表す回数情報を前記行ごとに記憶し、
前記符号化部は、
前記回数情報が、前記選択部によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていることを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容を前記第2の記憶部から読み出し、
前記回数情報が、前記選択部によって選択された行に電圧の印加回数が1回以上の画素が含まれていないことを表す場合、当該行に含まれる画素の各々に印加する電圧の回数を復号化した内容を前記第2の記憶部から読み出さずに、前記選択部に対して次の行を選択するよう指示する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
複数行複数列に配置された画素と、前記画素に電圧を印加する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御装置と、を有し、前記駆動回路が前記複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置であって、
前記制御装置は、
前記駆動回路を制御することにより前記行を順次選択する選択部と、
画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、
各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化部と、
前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化部によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する第1の記憶部と、
進行中の1フレーム期間において、前記選択部によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について前記第1の記憶部に記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択部によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断部によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新部と、
前記駆動回路を制御することにより表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、前記第1の記憶部に記憶されている符号化データを前記符号化部が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動部と
を有する表示装置。
【請求項5】
複数行複数列の画素に対して電圧を1回印加する期間を1フレーム期間とし、複数の当該フレーム期間にわたって前記画素に電圧を複数回印加することにより当該画素の表示状態を変更する表示装置の制御方法であって、
前記行を順次選択する選択工程と、
画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み工程と、
各々の前記画素に対する電圧の印加回数を可変長符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化工程と、
前記複数行複数列の画素の各々と対応する記憶領域であって、前記画素の各々に印加する電圧の回数が前記符号化工程によって符号化された符号化データを記憶する記憶領域を有し、前記記憶領域における各行ごとに、進行中の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要する時間の指標値である進行所要時間と、前回の1フレーム期間において前記記憶領域から前記符号化データを読み出して処理を行うのに要した時間の指標値である前回所要時間とを記憶する記憶工程と、
進行中の1フレーム期間において、前記選択工程によって現在選択されている行よりも時間的に前に選択された各行について記憶されている前記進行所要時間の合計と、前記現在選択されている行及び当該行よりも時間的に後に選択される予定の各行について記憶されている前記前回所要時間の合計と、前記現在選択されている行について記憶されている前記前回所要時間を予め決められた定数から減算して得た時間とを合算し、その合算結果が閾値を超えるか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断された場合に、前記選択工程によって現在選択されている行において、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中ではないときには、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始し、前記画像データによって表示状態の変更対象とされている変更画素が表示状態の変更中であるときには、進行中の表示状態の変更が終了した後、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始する一方、前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えると判断された場合、前記判断工程によって前記合算結果が前記閾値を超えないと判断されるときまでは、前記変更画素に対する表示状態の変更を開始しない更新工程と
表示状態の変更が開始された前記変更画素に対し、記憶されている符号化データを前記符号化工程が復号化した内容に基づき電圧を印加して、当該変更画素を前記画像データの定める表示状態にする駆動工程と
を有する表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−78416(P2012−78416A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221098(P2010−221098)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】