説明

制御装置、電気光学装置、電子機器および制御方法

【課題】複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させる。
【解決手段】駆動制御手段は、対象画素について、第1メモリーに記憶されている階調値と第2メモリーに記憶されている階調値との比較結果および第3メモリーに記憶されている残回数が所定の条件を満たした場合に、当該残回数を、第2メモリーに記憶されている階調値に応じて決められた設定値に書き換え、所定のタイミングで、所定の画像を前記複数の画素に表示させるクリーンアップ処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回の電圧印加により画像が書き換えられる電気光学装置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示装置等の表示装置には、複数フレームを用いて1回の書き換えを行うものがある。このような書き換えは、表示素子が表示状態(すなわち階調)の変化に比較的時間を要する場合などに行われる。このような書き換えを行う場合、表示素子は、1回の書き換えが終了しなければ(すなわち、複数フレーム分の時間が経過しなければ)、次の書き換えを開始することができない。
【0003】
特許文献1には、電気泳動表示装置等の表示装置において、パイプライン処理によって画像を部分的な領域毎に書き換えるための技術が記載されている。このようにすれば、書き換えが行われていない領域については、他の領域の書き換えに依存することなく書き換えを開始することができるため、画像全体を書き換える場合に比べ、書き換えに要する時間を短縮できる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術の場合、複数の領域を並列的に書き換えるためには、領域の数だけパイプラインが必要である。換言すれば、特許文献1に記載された技術において、並列的に書き換えることができる領域の数は、パイプラインの数によって制限される。また、特許文献1に記載された技術においては、書き換え対象のある領域と他の領域とが重なる場合には、この領域の書き換えが終了してからでなければ、他の領域の書き換えを開始することができない。
本発明は、複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の期間を単位とする複数回の電圧印加により階調が第1階調から第2階調に変化する複数の画素の各々について、現在の階調値を記憶した第1メモリー、次に表示される階調値を記憶した第2メモリー、電圧印加の残回数を記憶した第3メモリー、および前記画素を前記第1階調へ変化させる第1電圧の印加回数と前記第2階調へ変化させる第2電圧の印加回数との差を記憶した第4メモリーへのアクセスを制御するメモリー制御手段と、前記複数の画素のうち処理対象となる対象画素について、前記第1メモリーに記憶されている階調値と前記第2メモリーに記憶されている階調値とが異なり、かつ前記第3メモリーに記憶されている残回数がゼロでない場合、前記対象画素への電圧印加を行わせる制御をする駆動制御手段とを有し、前記駆動制御手段は、前記対象画素について、前記第1メモリーに記憶されている階調値と前記第2メモリーに記憶されている階調値との比較結果および前記第3メモリーに記憶されている残回数が所定の条件を満たした場合に、当該残回数を、前記第2メモリーに記憶されている階調値に応じて決められた設定値に書き換え、所定のタイミングで、所定の画像を前記複数の画素に表示させるクリーンアップ処理を行い、前記クリーンアップ処理は、前記差が決められた終了条件を満たすまで前記複数の画素への電圧印加を行わせて調整画像を書き込むバランス調整処理を含むことを特徴とする制御装置を提供する。この制御装置によれば、複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、進行中の書き換え動作が完了してから新たに書き換えを行う領域の書き換え動作を開始する構成と比較して、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させることができる。
【0007】
好ましい態様において、前記調整画像は、前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第1画像、および前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最小値が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以上であり、前記第2画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最大値が前記第2階調に応じて決められた第2基準値以下であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0008】
別の好ましい態様において、前記調整画像は、前記第2メモリーに記憶されている階調値を反転させた階調値で示される第1画像、および前記第2メモリーに記憶されている階調値で示される第2画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値以上であり、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以下であるという条件であり、前記第2画像において、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値であり、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2基準値であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0009】
別の好ましい態様において、前記調整画像は、前記第1メモリーに記憶されている階調値を反転させた階調値で示される第1画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記第1メモリーに記憶されている階調値が前記第1階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以下であり、前記第1メモリーに記憶されている階調値が前記第2階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調値に応じて決められた第2基準値以上であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0010】
別の好ましい態様において、前記調整画像は、前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1メモリーに記憶されている階調値を示す第1画像、前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像、および前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第3画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値であり、前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値であるという条件であり、前記第2画像において、すべての画素の前記差が前記第2基準値であるという条件であり、前記第3画像において、すべての画素の前記差が前記第1基準値であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0011】
別の好ましい態様において、前記調整画像は、前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1メモリーに記憶されている階調値を示す第1画像、および前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記複数の画素のすべての画素について、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値であるという条件であり、前記第2画像において、前記複数の画素のすべての画素について、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0012】
別の好ましい態様において、前記調整画像は、前記第4メモリーに記憶されている差が、前記第1階調に応じて決められた第1基準値未満でありかつ前記差の最小値より大きい画素については前記第1階調を示し、前記差が前記第1基準値より大きくかつ前記差の最大値未満の画素については前記第2階調を示す第1画像、前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第2画像、および前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第3画像を含み、前記終了条件は、前記第1画像において、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値未満である画素については、前記差が前記最小値であり、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値より大きい画素については、前記差が前記最大値であるという条件であり、前記第2画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最大値が前記第1基準値以下であるという条件であり、前記第3画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最小値が前記第2基準値以上であるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0013】
別の好ましい態様において、前記終了条件は、前記第4メモリーに記憶されている差が、前記第1階調に応じて決められた第1基準値である画素と、前記第2階調に応じて決められた第2基準値である画素とが交互に配置されるという条件であることを特徴とする。この制御装置によれば、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0014】
別の好ましい態様において、前記終了条件は、同一の画像の書き込みが連続して所定回数行われたという条件をさらに含むことを特徴とする。この制御装置によれば、同一の画像の書き込みが連続して所定回数行われた場合に異なる画像が設定されるときに、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0015】
別の好ましい態様において、前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、前記駆動制御手段が前記調整画像を書き込む際、前記メモリー制御手段は、前記第1階調から前記第2階調へと変化させる画素について、a回よりも少ない残回数を前記第3メモリーに書き込み、前記第2階調から前記第1階調へと変化させる画素について、b回よりも少ない残回数を前記第3メモリーに書き込むことを特徴とする。この制御装置によれば、視認されにくい画像を用いて、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0016】
別の好ましい態様において、前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、前記第1基準値と前記第2基準値との差は、aとbのうち大きいものと等しいことを特徴とする。この制御装置によれば、第1基準値と第2基準値との差がaとbのうち大きいものと等しい場合に、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0017】
別の好ましい態様において、前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、前記a回と前記b回のうち、大きいほうの回数と、前記第1階調に応じて決められた第1基準値と前記第2階調に応じて決められた第2基準値との第1の差について、当該第1の差と前記回数との第2の差がしきい値以下である
ことを特徴とする。この制御装置によれば、第2の差がしきい値以下である場合に、回数差を決められた状態に調整することができる。
【0018】
別の好ましい態様において、前記駆動制御手段は、前記クリーンアップ処理において、前記バランス調整処理後であって、各画素の階調が前記第2階調であるときに、更に前記第2電圧の電圧印加を所定の回数行うことを特徴とする。この制御装置によれば、回数差に所定のオフセットをかけることができる。
【0019】
別の好ましい態様において、前記所定の画像は、各画素の階調が前記第1階調である画像と、各画素の階調が前記第2階調である画像とを含むことを特徴とする。この制御装置によれば、電気光学素子の状態を初期化することができる。
【0020】
また、本発明は、上記いずれかの制御装置と、前記複数の画素とを有する電気光学装置を提供する。この電気光学装置によれば、複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、進行中の書き換え動作が完了してから新たに書き換えを行う領域の書き換え動作を開始する構成と比較して、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させることができる。
【0021】
また、本発明は、上記電気光学装置を有する電子機器を提供する。この電子機器によれば、複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、進行中の書き換え動作が完了してから新たに書き換えを行う領域の書き換え動作を開始する構成と比較して、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させることができる。
【0022】
また、本発明は、所定の期間を単位とする複数回の電圧印加により階調が第1階調から第2階調に変化する複数の画素と、制御装置と、現在の階調値を記憶した第1メモリー、次に表示される階調値を記憶した第2メモリー、電圧印加の残回数を記憶した第3メモリー、および前記画素を前記第1階調へ変化させる第1電圧の印加回数と前記第2階調へ変化させる第2電圧の印加回数との差を記憶した第4メモリーとを有する電気光学装置の制御方法であって、前記複数の画素のうち処理対象となる対象画素について、前記第3メモリーに記憶されている残回数がゼロ以外の値である場合に、前記制御装置が、当該残回数を、前記第2メモリーに記憶されている階調値に応じて決められた設定値に書き換えるステップと、所定のタイミングで、現画像から調整画像に書き換えるバランス調整処理を含み、所定の画像を表示するクリーンアップ処理を前記制御装置が行うステップとを有し、前記バランス調整処理において、前記制御装置は、前記差が所定値以外の画素について、前記差が所定値に対して所定の範囲に収まるまで電圧印加を行わせ、前記現画像の階調と異なる階調に書き換えることを特徴とする制御方法を提供する。この制御方法によれば、複数回の電圧印加により画像を書き換える表示装置において、進行中の書き換え動作が完了してから新たに書き換えを行う領域の書き換え動作を開始する構成と比較して、ユーザーの体感的な書き換え速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態に係る電子機器1の外観を示した図である。
【図2】電子機器1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】表示部10の断面構造を示す模式図である。
【図4】表示部10の回路の構成を示す図である。
【図5】画素14の等価回路を示す図である。
【図6】電子機器1の機能構成を示すブロック図である。
【図7】画像書き換え処理を示すフローチャートである。
【図8】各記憶領域に記憶されているデータの経時変化を例示する図である。
【図9】クリーンアップ前処理を示すフローチャートである。
【図10】バランス調整処理を示すフローチャートである。
【図11】所定画像表示処理の動作を示すフローチャート
【図12】処理例1に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図13】処理例2に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図14】処理例3に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図15】処理例4に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図16A】処理例5に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図16B】処理例5に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図17A】処理例6に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図17B】処理例6に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図18】処理例7に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図19A】処理例8に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図19B】処理例8に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図20A】処理例9に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図20B】処理例9に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【図21】変形例3に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電子機器1の外観を示した図である。電子機器1は、画像を表示する表示装置である。この例で、電子機器1は、電子書籍を閲覧するための装置、いわゆる電子ブックリーダーである。電子書籍は複数ページの画像を含むデータである。電子機器1は、電子書籍をある単位(例えば1ページずつ)で表示部10に表示する。電子書籍に含まれる複数ページのうち、表示の対象となる一のページを、「選択ページ」という。選択ページは、ユーザーによるボタン9A〜9Fの操作に応じて変更される。すなわち、ユーザーは、ボタン9A〜9Fの操作により、電子書籍のページをめくること(ページ送りまたはページ戻し)ができる。
【0025】
図2は、電子機器1のハードウェア構成を示すブロック図である。電子機器1は、表示部10と、コントローラー20と、CPU(Central Processing Unit)30と、VRAM(Video Random Access Memory)40と、RAM(Random Access Memory)50と、記憶部60と、入力部70とを有する。表示部10は、画像を表示する表示素子を含むディスプレイパネルを有する。この例で、表示部10は、電圧の印加等によりエネルギーを与えなくても表示を保持するメモリー性の表示素子として、電気泳動粒子を用いた表示素子を有する。この表示素子により、表示部10は、モノクロ複数階調(この例では白黒2階調)の像を表示する。コントローラー20は、表示部10を制御する制御装置である。CPU30は、電子機器1の各部を制御する装置である。CPU30は、RAM50をワークエリアとして、ROM(Read Only Memory、図示略)または記憶部60に記憶されているプログラムを実行する。VRAM40は、表示部10に表示させる画像を示す画像データを記憶するメモリーである。RAM50は、データを記憶する揮発性のメモリーである。記憶部60は、電子書籍のデータ(書籍データ)に加え、各種のデータおよびアプリケーションプログラムを記憶する記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)またはフラッシュメモリーなど不揮発性のメモリーを有する。記憶部60は、複数の電子書籍のデータを記憶することができる。入力部70は、ユーザーの指示を入力するための入力装置であり、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、またはボタンを含む。以上の要素は、バスにより接続されている。
【0026】
図3は、表示部10の断面構造を示す模式図である。表示部10は、第1基板11と、電気泳動層12と、第2基板13とを有する。第1基板11および第2基板13は、電気泳動層12を挟持するための基板である。
【0027】
第1基板11は、基板111と、接着層112と、回路層113とを有する。基板111は、絶縁性及び可撓性を有する材料、例えばポリカーボネートで形成されている。基板111は、軽量性、可撓性、弾性及び絶縁性を有するものであれば、ポリカーボネート以外の樹脂材料により形成されてもよい。別の例で、基板111は、可撓性を有しないガラスにより形成されていてもよい。接着層112は、基板111と回路層113とを接着する層である。回路層113は、電気泳動層12を駆動するための回路を有する層である。回路層113は、画素電極114を有する。
【0028】
電気泳動層12は、マイクロカプセル121と、バインダー122とを有する。マイクロカプセル121は、バインダー122によって固定されている。バインダー122としては、マイクロカプセル121との親和性が良好で電極との密着性が優れ、かつ絶縁性を有する材料が用いられる。マイクロカプセル121は、内部に分散媒および電気泳動粒子が格納されたカプセルである。マイクロカプセル121は、柔軟性を有する材料、例えばアラビアゴム・ゼラチン系の化合物またはウレタン系の化合物等が用いられる。なお、マイクロカプセル121と画素電極114との間には、接着剤により形成された接着層が設けられてもよい。
【0029】
分散媒は、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、またはカルボン酸塩である。別の例で、分散媒は、その他の油類であってもよい。また、分散媒は、これらの物質が混合されたものでもよい。さらに別の例で、分散媒には、界面活性剤などが配合されてもよい。
【0030】
電気泳動粒子は、分散媒中で電界によって移動する性質を有する粒子(高分子またはコロイド)である。本実施形態においては白の電気泳動粒子と黒の電気泳動粒子がマイクロカプセル121内に格納されている。黒の電気泳動粒子は、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を含む粒子であり、本実施形態では正に帯電されている。白の電気泳動粒子は、例えば、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料を含む粒子であり、本実施形態では負に帯電されている。
【0031】
第2基板13は、共通電極131と、フィルム132とを有する。フィルム132は、電気泳動層12の封止および保護をするものである。フィルム132は、透明で絶縁性を有する材料、例えばポリエチレンテレフタレートにより形成される。共通電極131は、透明で導電性を有する材料、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)により形成される。
【0032】
図4は、表示部10の回路の構成を示す図である。表示部10とコントローラー20とをあわせて電気光学装置という。表示部10は、m本の走査線115と、n本のデータ線116と、m×n個の画素14と、走査線駆動回路16と、データ線駆動回路17とを有する。走査線駆動回路16およびデータ線駆動回路17は、コントローラー20により制御される。走査線115は、行方向(x方向)に沿って配置されており、走査信号を伝達する。走査信号は、m本の走査線115の中から一の走査線115を順次排他的に選択する信号である。データ線116は、列方向(y方向)に沿って配置されており、データ信号を伝達する。データ信号は、各画素の階調を示す信号である。走査線115とデータ線116とは絶縁されている。画素14は、走査線115およびデータ線116の交差に対応して設けられており、データ信号に応じた階調を示す。なお、複数の走査線115のうち一の走査線115を他と区別する必要があるときは、第1行、第2行、・・・、第m行の走査線115という。データ線116についても同様である。m×n個の画素14により、表示領域15が形成される。表示領域15のうち、第i行第j列の画素14を他の画素14と区別するときは、画素(j,i)という。階調値等、画素14と一対一に対応するパラメーターについても同様である。
【0033】
走査線駆動回路16は、m本の走査線115の中から、一の走査線115を順次排他的に選択するための走査信号Yを出力する。走査信号Yは、順次排他的にH(High)レベルとなる信号である。データ線駆動回路17は、データ信号Xを出力する。データ信号Xは、画素の階調値に応じたデータ電圧を示す信号である。データ線駆動回路17は、走査信号により選択されている行の画素に対応するデータ電圧を示すデータ信号を出力する。
【0034】
図5は、画素14の等価回路を示す図である。画素14は、トランジスター141と、容量142と、電気泳動素子143とを有する。電気泳動素子143は、画素電極114と、電気泳動層12と、共通電極131とを有する。トランジスター141は、画素電極114へのデータの書き込みを制御するスイッチング手段の一例であり、例えばnチャネルのTFT(Thin Film Transistor)である。トランジスター141のゲート、ソース、およびドレインはそれぞれ、走査線115、データ線116、および画素電極114に接続されている。L(Low)レベルの走査信号(非選択信号)がゲートに入力されているとき、トランジスター141のソースとドレインは絶縁する。Hレベルの走査信号(選択信号)がゲートに入力されると、トランジスター141のソースとドレインは導通し、画素電極114にデータ電圧が書き込まれる。また、トランジスター141のドレインには容量142も接続されている。容量142は、データ電圧に応じた電荷を保持する。画素電極114は、画素14に一つずつ設けられており、共通電極131と対向している。共通電極131は、すべての画素14に共通であり、電位EPcomが与えられる。画素電極114と共通電極131との間には電気泳動層12が挟まれている。画素電極114、電気泳動層12、および共通電極131により、電気泳動素子143が形成される。電気泳動層12には、画素電極114と共通電極131との電位差に相当する電圧が印加される。マイクロカプセル121において、電気泳動層12に印加されている電圧に応じて電気泳動粒子が移動し、階調表現をする。共通電極131の電位EPcomに対して画素電極114の電位が正(例えば+15V)である場合、負に帯電している白の電気泳動粒子が画素電極114側に移動し、正に帯電している黒の電気泳動粒子が共通電極131側に移動する。このとき第2基板13側から表示部10を見ると、画素が黒に見える。共通電極131の電位EPcomに対して画素電極114の電位が負(例えば−15V)である場合、正に帯電している黒の電気泳動粒子が画素電極114側に移動し、負に帯電している白の電気泳動粒子が共通電極131側に移動する。このとき、画素が白に見える。
【0035】
なお、以下の説明においては、走査線駆動回路16が第1行の走査線を選択してから第m行の走査線の選択が終了するまでの期間を「フレーム期間」または単に「フレーム」という。各走査線115は、1フレームに一回づつ選択され、各画素14には1フレームに一回づつデータ信号が供給される。
【0036】
図6は、電子機器1(特にコントローラー20)の機能構成を示すブロック図である。VRAM40は、現在メモリー41と、次メモリー42と、残回数メモリー43と、回数差メモリー44とを有する。現在メモリー41(第1メモリーの一例)は、複数の画素14の各々について、現在の階調値C(j,i)を記憶するメモリーである。現在メモリー41に記憶されているデータにより表される画像を「現在画像」という。複数の画素14は、所定の期間(例えばフレーム)を単位とする複数回の電圧印加により階調が第1階調(例えば白)から第2階調(例えば黒)に変化する複数の電気泳動素子143(電気光学素子の一例)に対応する。次メモリー42(第2メモリーの一例)は、複数の画素14の各々について、次の期間(フレーム)以降に表示される階調値N(j,i)、すなわち、次に書き込みが予定される画像を記憶するメモリーである。次メモリー42に記憶されているデータにより表される画像を「次画像」という。残回数メモリー43(第3メモリーの一例)は、複数の画素14の各々について、電圧印加の残回数R(j,i)を記憶するメモリーである。回数差メモリー44(第4メモリーの一例)は、複数の画素14の各々について、回数差D(j,i)を記憶するメモリーである。回数差D(j,i)は、所定の基準時(例えば電源投入時)から、電気泳動素子143に負極性の電圧(第1電圧の一例)が印加された回数と正極性の電圧(第2電圧の一例)が印加された回数との差を示す。
【0037】
コントローラー20は、メモリー制御手段21と、記憶手段22と、駆動制御手段23とを有する。メモリー制御手段21は、VRAM40へのアクセス(データの書き込みまたは読み出し)を制御する。メモリー制御手段21は、また、VRAM40に記憶されたデータを各フレーム期間に更新する。記憶手段22は、VRAM40のデータを更新するための各種プログラムを記憶する。駆動制御手段23は、ラインメモリーを有する。ラインメモリーは、複数の画素14のうち対象となる一行分の画素群について、印加電圧を示すデータを記憶する。駆動制御手段23は、現在メモリー41に記憶されている階調値Cと次メモリー42に記憶されている階調値Nとが異なり、かつ残回数メモリー43に記憶されている残回数Rがゼロでない場合、ラインメモリーに記憶されたデータに基づいて、対象画素への電圧印加を行わせる制御をする。
【0038】
駆動制御手段23は、また、対象画素について、現在メモリー41に記憶されている階調値Cと次メモリー42に記憶されている階調値Nとの比較結果および残回数メモリー43に記憶されている残回数Rが所定の条件を満たした場合に、残回数Rを、次メモリー42に記憶されている階調値Nに応じて決められた設定値に書き換える。駆動制御手段23は、所定のタイミングで、所定の画像を複数の画素14に表示させるクリーンアップ処理を行う。クリーンアップ処理は、回数差Dが決められた終了条件を満たすまで複数の画素14への電圧印加を行わせて調整画像を書き込むバランス調整処理を含む。
【0039】
2.動作
コントローラー20の動作は、画像書き換え処理およびクリーンアップ処理に大別される。画像書き換え処理は、表示される画像を書き換えるための処理である。クリーンアップ処理は、電気泳動粒子の状態を初期化し、階調のにじみや焼き付きを防止するための処理である。クリーンアップ処理は、クリーンアップ前処理、バランス調整処理、所定画像表示処理、および次画像表示処理を含む。以下、これらの処理について、概要と処理例を説明する。
【0040】
2−1.画像書き換え
2−1−1.動作の概要
図7は、コントローラー20における画像書き換え処理を示すフローチャートである。図7のフローは、画像書き換えの契機となるイベントが発生したことを契機として開始される。このイベントは、例えば、CPU30から画像書き換え命令が入力されたというイベントである。以下の例において、階調値Cおよび階調値Nは2値のデータであり、「0」または「1」のいずれかの値をとる。階調値「0」は白に、階調値「1」は黒に、それぞれ対応している。
【0041】
ステップSA1において、コントローラー20は、新たなフレームが開始されたか否かを判断する。新たなフレームの開始は、例えば、リアルタイムクロック(図示略)から出力される同期信号により示される。新たなフレームが開始されたと判断された場合(ステップSA1:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA2に移行する。新たなフレームが開始されていないと判断された場合(ステップSA1:NO)、コントローラー20は、新たなフレームが開始されるまで待機する。
【0042】
ステップSA2において、コントローラー20は、クリーンアップ処理を開始させるクリーンアップ命令が入力されたか否かを判断する。クリーンアップ処理とは、複数の画素14の各々について、電気泳動粒子の状態を初期化する処理をいう。クリーンアップ命令は、例えば、ユーザーがページ送りまたはページ戻しの操作をすると、CPU30によりコントローラー20へ出力される。クリーンアップ命令が入力された場合(ステップSA2:YES)、コントローラー20は、処理をクリーンアップ処理に移行する。クリーンアップ命令が入力されなかった場合(ステップSA2:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA3へと移行する。
【0043】
ステップSA3において、コントローラー20は、処理ループ1のループカウンターiを初期化する。ループカウンターiは、処理対象となる行を特定するパラメーターである。この例で、ループカウンターiは、i=1に初期化される。ループカウンターiは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ1は、m行分、すなわちi=mまで繰り返される。
【0044】
ステップSA4において、コントローラー20は、処理ループ2のループカウンターjを初期化する。ループカウンターjは、処理対象となる列を特定するパラメーターである。すなわち、対象画素は、第i行第j列の画素である。この例で、ループカウンターjは、j=1に初期化される。ループカウンターjは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ2は、n列分、すなわちj=nまで繰り返される。
【0045】
ステップSA5において、コントローラー20は、対象画素について、現在画像の階調値C(j,i)と次画像の階調値N(j,i)とが一致するか判断する。具体的には、コントローラー20は、現在メモリー41から階調値C(j,i)を、次メモリー42から階調値N(j,i)をそれぞれ読み出し、これら2つの階調値が一致するか判断する。これら2つの階調値が一致すると判断された場合(ステップSA5:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA7に移行する。これら2つの階調値が一致しないと判断された場合(ステップSA5:NO)、コントローラー20は処理をステップSA6に移行する。
【0046】
ステップSA6において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。具体的には、コントローラー20は、残回数メモリー43から残回数R(j,i)を読み出し、読み出した残回数が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSA6:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA10に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSA6:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA11に移行する。
【0047】
ステップSA7において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSA7:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA16に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSA7:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA8に移行する。
【0048】
ステップSA8において、コントローラー20は、残回数R(j,i)および階調値N(j,i)が、
R>0 かつ
N=0
を満たすか判断する。具体的には、コントローラー20は、残回数メモリー43から残回数R(j,i)を、次メモリー42から階調値N(j,i)をそれぞれ読み出し、これらの条件か満たされるか判断する。R>0かつN=0であった場合(ステップSA8:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA10に移行する。R<0またはN≠0であった場合(ステップSA8:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA9に移行する。
【0049】
ステップSA9において、コントローラー20は、残回数R(j,i)および階調値N(j,i)が、
R<0 かつ
N=1
を満たすか判断する。R<0かつN=1であった場合(ステップSA9:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA10に移行する。R>0またはN≠1であった場合(ステップSA9:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA11に移行する。
【0050】
ステップSA10において、コントローラー20は、新たに残回数R(j,i)を設定する。残回数R(j,i)は、階調値N(j,i)に応じて設定される。具体的には、コントローラー20は、階調値N(j,i)が「1」である場合には、残回数メモリー43に、残回数R(j,i)として「5」を書き込む。階調値N(j,i)が「0」である場合には、コントローラー20は、残回数メモリー43に、残回数R(j,i)として「−5」を書き込む。この例で、残回数Rの符号は、印加電圧の極性を示している。残回数の符号が正の場合は正極性の電圧(黒電圧)が、残回数の符号が負の場合は負極性の電圧(白電圧)が、それぞれ印加される。例えば、残回数「+5」は、黒書き込みの電圧印加の残回数が5回であることを示している。別の例で、残回数「−4」は、白書き込みの電圧印加の残回数が4回であることを示している。残回数Rは、「−5」から「+5」までのいずれかの値をとる。残回数Rが「0」である場合は、電圧印加の残回数がないこと示す。ここでは、残回数の表示において正符号は省略し単に「5」と表す。
【0051】
ステップSA11において、コントローラー20は、残回数R(j,i)に応じたデータをラインメモリー(図示略)に書き込む。ここで書き込まれるデータは、電気泳動素子143に印加される電圧の極性および電圧値を示す。この例で、ラインメモリーに書き込まれるデータは、「−1」、「0」、および「+1」のいずれかである。例えば、残回数R(j,i)が「0」よりも大きく、黒書き込みが行われることが示される場合、データとして「+1」が書き込まれる。残回数R(j,i)が「0」よりも小さく、白書き込みが行われることが示される場合、データとして「−1」が書き込まれる。残回数R(j,i)が「0」であり、黒書き込みも白書き込みも行われないことが示される場合、データとして「0」が書き込まれる。
【0052】
ステップSA12において、コントローラー20は、回数差D(j,i)を更新する。回数差Dは、印加電圧の極性に応じて更新される。具体的には、ラインメモリーに「+1」が記憶されている場合には、コントローラー20は、回数差D(j,i)をインクリメントする。ラインメモリーに「−1」が記憶されている場合には、コントローラー20は、回数差D(j,i)をデクリメントする。ラインメモリーに「0」が記憶されている場合には、コントローラー20は、回数差D(j,i)の値を維持する。
【0053】
ステップSA13において、コントローラー20は、残回数R(j,i)を更新する。具体的には、コントローラー20は、残回数R(j,i)の絶対値をデクリメントする。残回数R(j,i)が「0」である場合には、コントローラー20は、その値を維持する。コントローラー20は、残回数メモリー43から読み出した残回数R(j,i)を更新し、更新後の残回数R(j,i)を残回数メモリー43に書き込む。ステップSA14において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSA14:YES)、コントローラー20は、処理をステップSA15に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSA14:NO)、コントローラー20は、処理をステップSA16に移行する。
【0054】
ステップSA15において、コントローラー20は、階調値C(j,i)を更新する。具体的には、コントローラー20は、階調値C(j,i)を、C(j,i)=N(j,i)に更新する。
【0055】
ステップSA16において、コントローラー20は、処理ループ2のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターjがj=nであるか判断する。j=nでない場合、コントローラー20は、ループカウンターjをインクリメントし、処理をステップSA4に移行する。j=nである場合、コントローラー20は、処理をステップSA17に移行する。
【0056】
ステップSA17において、コントローラー20は、表示部10を駆動するための信号を出力する。コントローラー20は、ラインメモリーからデータを読み出し、読み出したデータを、走査線115の走査と同期したタイミングでデータ線駆動回路17に出力する。また、第1行が処理対象の行である場合、コントローラー20は、走査線115の走査を開始させる信号を、走査線駆動回路16に出力する。第2行以降の行が処理対象の行である場合、コントローラー20は、走査のタイミングを示す信号を、走査線駆動回路16に出力する。表示部10においては、これらの信号により、第i行の画素14にデータが書き込まれる。
【0057】
ステップSA18において、コントローラー20は、処理ループ1のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターiがi=mであるか判断する。i=mでない場合、コントローラー20は、ループカウンターiをインクリメントし、処理をステップSA3に移行する。i=mである場合、コントローラー20は、処理を終了する。
【0058】
2−1−2.動作例
図8は、各記憶領域に記憶されているデータの経時変化を例示する図である。図8では、表示部10における複数の画素14のうち4つの画素(画素1〜画素4とする)について、現在メモリー41の階調値C、次メモリー42の階調値N、残回数メモリー43の残回数R、および回数差メモリー44の回数差Dの値が示されている。
【0059】
この例では、白表示の画素(以下「白画素」という)から黒表示の画素(以下「黒画素」という)への表示の書き換え(以下「黒書き込み」という)に要する電圧印加回数と、黒画素から白画素への表示の書き換え(以下「白書き込み」という)に要する電圧印加回数とは異なっている。画素14は、黒電圧(例えば+15V)を3回(3フレーム、a回の一例)印加することによって白表示から黒表示に変化し、白電圧(例えば−15V)を5回(5フレーム、b回の一例)印加することによって黒表示から白表示に変化する。ただし、この例では、黒書き込みを開始する場合も、白書き込みを開始する場合も、いずれも残回数の絶対値は、電圧印加回数の多い方、すなわち5回に設定される。
【0060】
回数差Dは、黒書き込みの電圧印加回数と白書き込みの電圧印加回数との回数差を示す。例えば、回数差「+5」は、黒書き込みの電圧印加回数が白書き込みの電圧印加回数よりも5回多いことを示している。回数差「−3」は、白書き込みの電圧印加回数が黒書き込みの電圧印加回数よりも3回多いことを示している。回数差「0」は、黒書き込みと白書き込みの電圧印加回数が等しいことを示している。ここでは、回数差の表示において正符号は省略し単に「5」と表す。
【0061】
図8にはさらに、印加電圧Vおよび画素14の光学状態Hも図示されている。正極性の電圧が印加されるフレームには「+」が、負極性の電圧が印加されるフレームには「−」が、それぞれ示されている。電圧が印加されないフレーム(印加電圧がゼロのフレーム)には「0」が示されている。
【0062】
画素14の光学状態は、ここでは便宜的に「0」から「5」の整数を用いて表される。「0」は白表示の状態(例えば相対反射率が90%以上の状態)を示し、「5」は黒表示の状態(例えば相対反射率が10%以下の状態)を示している。「0」と「5」以外の値、すなわち「1」から「4」までの値は、白表示または黒表示に遷移する途中の状態を便宜的に示している。例えば、白表示の状態「0」から3回の黒書き込みが行われると、画素14の光学状態は、「1」、「4」、「5」と変化して、黒表示の状態となる。黒表示の状態「5」から5回の白書き込みが行われると、画素14の光学状態は、「4」、「3」、「2」、「1」、「0」と変化して、白表示の状態となる。初期状態(例えば電源投入時)において、画素14の光学状態は「0」すなわち白表示であり、このとき、回数差Dは「0」に設定されている。なお、初期状態において、階調値C、階調値N、および残回数Rの値もそれぞれ「0」である。
【0063】
図8において、各データはフレーム毎に区分して示されている。図8では、初期状態(第0フレーム)から第25フレームまでの各記憶領域のデータを示している。最左列が初期状態を、最右列が第25フレームの状態を示している。画素1〜画素4について、階調値C、階調値N、残回数R、および回数差Dが示す値は、それぞれC1〜C4、N1〜N4、R1〜R4、D1〜D4と表現する。光学状態Hおよび印加電圧Vについても同様である。図8において、第kフレームの階調値Cおよび階調値Nは、第kフレームの初期状態、例えば第kフレームのステップSA5における値である。第kフレームの回数差Dは、第kフレームが終了した後、例えばステップSA18の後の値である。第kフレームの残回数Rは、第kフレームのステップSA13において更新される直前の値である。なお、第kフレームのステップSA13において更新されるので、第kフレーム終了時の残回数Rの絶対値は、図示されている値から1を減じたものとなる。第kフレームの画素14の光学状態は、第kフレームが終了した後、例えば第kフレームのステップSA18の後の値である。第kフレームの印加電圧は、第kフレームのステップSA17において印加される電圧を示している。
【0064】
第1フレームにおいて、画素1〜4については、いずれもC=Nであり(ステップSA5:YES)、かつ、R=0である(ステップSA7:YES)。このとき、ラインメモリーには「0」が書き込まれるので、電圧印加は行われない(ステップSA17)。第1フレームの処理が終わった時点で、画素1〜4の光学状態は、初期状態と同じ状態である。この例では、第1フレームのいずれかの時点において、次メモリー42のデータが書き換えられている。
【0065】
第2フレームにおいて、画素1については、C1≠N1であり(ステップSA5:NO)、R1=0である(ステップSA6:YES)。このとき、N1=1であるから、R1=5に設定される(ステップSA10)。R1>0なので、V1には「+1」が書き込まれる(ステップSA11)。V1=+1なので、D1がインクリメントされてD1=1に更新される(ステップSA12)。次に、R1の絶対値はデクリメントされてR1=4に更新される(ステップSA13)。更新後、R1≠0であるため(ステップSA14:NO)、C1は更新されない。画素2および画素3についても、画素1と同様の処理が行われる。画素4については、次メモリー42のデータは更新されていないので、第1フレームと同様の処理が行われる。画素1〜画素3には、黒電圧が印加される(ステップSA17)。画素4については、電圧印加は行われない。第2フレームの処理が終わった時点で、画素1〜3については、H1〜H3は「1」である。画素4について、H4は「0」である。
【0066】
第3フレームにおいて、画素1については、C1≠N1であり(ステップSA5:NO)、R1≠0である(ステップSA6:NO)。R1>0なので、V1には「+1」が書き込まれる(ステップSA11)。V1=+1なので、D1がインクリメントされてD1=2に更新される(ステップSA12)。R1の絶対値はデクリメントされてR1=3に更新される(ステップSA13)。更新後、R1≠0であるため(ステップSA14:NO)、C1は更新されない。画素2および画素3についても、画素1と同様の処理が行われる。画素4については、第1フレームと同様の処理が行われる。第3フレームの処理が終わった時点で、画素1〜3については、H1〜H3は「4」である。画素4について、H4は「0」である。画素4は、第4フレーム目以降も、同様の処理を繰り返し、初期状態が維持されるので、以下では画素1〜画素3について各記憶領域の内容を説明する。
【0067】
第4フレームにおいて、画素1については、C1=N1であり(ステップSA5:YES)、R1≠0である(ステップSA7:NO)。また、R1>0かつN1=0である(ステップSA8:YES)。このとき、N1=0であるから、R1=−5に設定される(ステップSA10)。R1<0なので、V1には「−1」が書き込まれる(ステップSA11)。V1=−1なので、D1がデクリメントされてD1=1に更新される(ステップSA12)。次に、R1の絶対値はデクリメントされてR1=−4に更新される(ステップSA13)。更新後、R1≠0であるため(ステップSA14:NO)、C1は更新されない。画素2および画素3については、第3フレームにおける画素1〜画素3と同様の処理が行われる。第4フレームの処理が終わった時点で、画素1については、H1は「3」である。画素2および画素3については、H2およびH3は「5」である。
【0068】
第5フレームにおいて、画素1については、C1=N1であり(ステップSA5:YES)、R1≠0である(ステップSA7:NO)。また、R1<0であり(ステップSA8:NO)、N1≠1である(ステップSA9:NO)。R1<0なので、V1には「−1」が書き込まれる(ステップSA11)。V1=−1なので、D1がデクリメントされてD1=0に更新される(ステップSA12)。次に、R1の絶対値はデクリメントされてR1=−3に更新される(ステップSA13)。更新後は、R1≠0であるため(ステップSA14:NO)、C1は更新されない。画素2および画素3については、第4フレームにおける画素2および画素3と同様の処理が行われる。第5フレームの処理が終わった時点で、画素1については、H1は「2」である。画素2および画素3については、既にH2およびH3は最大値の「5」であったため、この値が維持される。
【0069】
第6フレームにおいて、画素1については、第5フレームにおける画素1と同様の処理が行われる。画素2については、第5フレームにおける画素2と同様の処理が行われる。R2の絶対値はデクリメントされてR2=0に更新される(ステップSA13)。更新後、R2=0であるため(ステップSA14:YES)、C2が更新される(ステップSA15)。ここでは、N2=1であるため、C2=1に更新される。画素3についても、画素2と同様の処理が行われる。第6フレームの処理が終わった時点で、画素1については、H1は「1」である。画素2および画素3については、H2およびH3は最大値の「5」である。以下、第7フレームから第20フレームについては、一部のフレームのみを説明する。
【0070】
第8フレームにおいて、画素1については、C1=N1であり(ステップSA5:YES)、R1≠0である(ステップSA7:NO)。また、R1<0であり(ステップSA8:NO)、N1≠1である(ステップSA9:NO)。R1<0なので、V1には「−1」が書き込まれる(ステップSA11)。V1=−1なので、D1がデクリメントされてD1=−3に更新される(ステップSA12)。次に、R1の絶対値はデクリメントされてR1=0に更新される(ステップSA13)。更新後、R1=0であるため(ステップSA14:YES)、C2が更新される(ステップSA15)。ここでは、N1=0であるため、C2=0に更新される。なお、第8フレームの開始の時点で、C2=0であるので、更新後もC2の値は維持される。画素2については、C2≠N2であり(ステップSA5:NO)、R2=0である(ステップSA6:YES)。このとき、N2=0であるから、R2=−5に設定される(ステップSA10)。R2<0なので、V2には「−1」が書き込まれる(ステップSA11)。V2=−1なので、D2がデクリメントされてD2=4に更新される(ステップSA12)。次に、R2の絶対値はデクリメントされてR2=−3に更新される(ステップSA13)。更新後、R2≠0であるため(ステップSA14:NO)、C2は更新されない。
【0071】
第10フレームにおいて、画素2については、C2=N2であり(ステップSA5:YES)、R2≠0である(ステップSA7:NO)。また、R2<0であり(ステップSA8:NO)、N2=1である(ステップSA9:YES)。このとき、N2=1であるから、R2=5に設定される(ステップSA10)。R2>0なので、V2には「+1」が書き込まれる(ステップSA11)。V2=+1なので、D2がインクリメントされてD2=4に更新される(ステップSA12)。R2の絶対値はデクリメントされてR2=4に更新される(ステップSA13)。更新後、R2≠0であるため(ステップSA14:NO)、C2は更新されない。第20フレームの処理が終わった時点で、H1=3、H2=5、H3=5、H4=0となる。
【0072】
2−2.クリーンアップ
2−2−1.クリーンアップ前処理
図9は、コントローラー20におけるクリーンアップ前処理を示すフローチャートである。ステップSB1において、コントローラー20は、新たなフレームが開始されたか否かを判断する。新たなフレームが開始されたと判断された場合(ステップSB1:YES)、コントローラー20は、処理をステップSB2に移行する。新たなフレームが開始されていないと判断された場合(ステップSB1:NO)、コントローラー20は、新たなフレームが開始されるまで待機する。
【0073】
ステップSB2において、コントローラー20は、処理ループ3のループカウンターiを初期化する。この例で、ループカウンターiは、i=1に初期化される。ループカウンターiは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ3は、m行分、すなわちi=mまで繰り返される。ステップSB3において、コントローラー20は、処理ループ4のループカウンターjを初期化する。この例で、ループカウンターjは、j=1に初期化される。ループカウンターjは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ4は、n列分、すなわちj=nまで繰り返される。
【0074】
ステップSB4において、コントローラー20は、残回数R(j,i)に応じたデータをラインメモリー(図示略)に書き込む。ラインメモリーへの書き込みは、ステップSA11の処理と同様に行われる。ステップSB5において、コントローラー20は、回数差D(j,i)を更新する。回数差の更新は、ステップSA12の処理と同様に行われる。ステップSB6において、コントローラー20は、残回数R(j,i)を更新する。残回数Rの更新は、ステップSA13の処理と同様に行われる。
【0075】
ステップSB7において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSB7:YES)、コントローラー20は、処理をステップSB8に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSB7:NO)、コントローラー20は、処理をステップSB9に移行する。
【0076】
ステップSB8において、コントローラー20は、階調値C(j,i)を更新する。具体的には、コントローラー20は、黒書き込みをした画素について、階調値C(j,i)を「1」に、白書き込みをした画素について、階調値C(j,i)を「0」に更新する。ステップSB9において、コントローラー20は、処理ループ4のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターjがj=nであるか判断する。j=nでない場合、コントローラー20は、ループカウンターjをインクリメントし、処理をステップSB3に移行する。j=nである場合、コントローラー20は、処理をステップSB10に移行する。
【0077】
ステップSB10において、コントローラー20は、表示部10を駆動するための信号を出力する。表示部10においては、この信号により、第i行の画素14にデータが書き込まれる。ステップSB11において、コントローラー20は、処理ループ3のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターiがi=mであるか判断する。i=mでない場合、コントローラー20は、ループカウンターiをインクリメントし、処理をステップSB2に移行する。i=mである場合、コントローラー20は、処理を終了する。
【0078】
ステップSB12において、コントローラー20は、すべての画素について、残回数Rが「0」であるか判断する。具体的には、コントローラー20は残回数Rの絶対値の総和が「0」であるか判断する。すべての画素について、残回数Rが「0」であった場合(ステップSB12:YES)、コントローラー20は、処理をバランス調整処理に移行する。すべての画素について、残回数Rが「0」でなかった場合(ステップSB12:NO)、コントローラー20は、処理をステップSB1に移行する。
【0079】
再び図8を参照する。図8の例では、第21フレームから第25フレームの間にクリーンアップ前処理が行われる。第21フレームにおいて、画素1については、R1<0なので、V1には「−1」が書き込まれ、画素2については、R2>0なので、V2には「+1」が書き込まれる(ステップSB4)。画素3および画素4については、R3=R4=0なので、V3およびV4には「0」が書き込まれる(ステップSB4)。D1はデクリメントされてD1=−6に更新され、D2はインクリメントされてD2=10に更新される(ステップSB5)。R1およびR2の絶対値はデクリメントされて、R1=−3、R2=1に更新される(ステップSB6)。更新後、R1≠0、R2≠0であるため(ステップSB7:NO)、C1およびC2は更新されない。画素1には、白電圧が印加され、画素2には、黒電圧が印加される(ステップSB10)。これらの処理は、第24フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSB12の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。第24フレームの処理が終わった時点で、H1=0、H2=5、H3=5、H4=0となる。
【0080】
2−2−2.バランス調整処理
図10は、コントローラー20におけるバランス調整処理を示すフローチャートである。バランス調整処理は、回数差Dが所定の条件を満たすように調整する処理である。
【0081】
ステップSC1において、コントローラー20は、調整画像を設定する。調整画像は、回数差Dが所定の条件を満たすように調整するための画像である。以下、調整画像を「画像X」と表す。画像Xには、複数の画像が含まれてもよい。画像Xに複数の画像が含まれる場合、「画像XA」、「画像XB」、・・・のように添字を用いてこれらの画像を区別する。ステップSC1において、複数の画像Xの中から選択された一の画像Xが、以下の処理に用いられる画像として設定される。一の画像Xは、例えばカウンターの値に応じて選択される。カウンターの値は、ステップSC1において1ずつ加算され、更新される。カウンターの値は、初期値として「1」が設定される。コントローラー20は、複数の画像のうちカウンターの値に応じた一の画像を記憶手段22から読み出す。
【0082】
ステップSC2において、コントローラー20は、処理ループ5のループカウンターiを初期化する。この例で、ループカウンターiは、i=1に初期化される。ループカウンターiは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ5は、m行分、すなわちi=mまで繰り返される。ステップSC3において、コントローラー20は、処理ループ6のループカウンターjを初期化する。この例で、ループカウンターjは、j=1に初期化される。ループカウンターjは、ループ端で1ずつインクリメントされる。処理ループ6は、n列分、すなわちj=nまで繰り返される。
【0083】
ステップSC4において、コントローラー20は、対象画素について、現フレームの階調値C(j,i)と画像Xの階調値X(j,i)とが一致するか判断する。具体的には、コントローラー20は、現在メモリー41から階調値C(j,i)を、記憶手段22から階調値X(j,i)をそれぞれ読み出し、これら2つの階調値が一致するか判断する。これら2つの階調値が一致すると判断された場合(ステップSC4:YES)、コントローラー20は、処理をステップSC7に移行する。これら2つの階調値が一致しないと判断された場合(ステップSC4:NO)、コントローラー20は処理をステップSC5に移行する。
【0084】
ステップSC5において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSC5:YES)、コントローラー20は、処理をステップSC6に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSC6:NO)、コントローラー20は、処理をステップSC7に移行する。
【0085】
ステップSC6において、コントローラー20は、新たに残回数R(j,i)を設定する。階調値X(j,i)が「1」である場合には、コントローラー20は、残回数メモリー43に、残回数R(j,i)として「5」を書き込む。階調値X(j,i)が「0」である場合には、コントローラー20は、残回数メモリー43に、残回数R(j,i)として「―5」を書き込む。
【0086】
ステップSC7において、コントローラー20は、残回数R(j,i)に応じたデータをラインメモリーに書き込む。ラインメモリーに書き込まれるデータと残回数R(j,i)との対応関係は、画像Xに応じて決められている。ステップSC8において、コントローラー20は、回数差D(j,i)を更新する。回数差D(j,i)の更新は、ステップSA12と同様に行われる。ステップSC9において、コントローラー20は、残回数R(j,i)を更新する。残回数R(j,i)の更新は、ステップSA13と同様に行われる。ステップSC10において、コントローラー20は、残回数R(j,i)が「0」であるか判断する。残回数R(j,i)が「0」であった場合(ステップSC10:YES)、コントローラー20は、処理をステップSC11に移行する。残回数R(j,i)が「0」でなかった場合(ステップSC10:NO)、コントローラー20は、処理をステップSC12に移行する。
【0087】
ステップSC11において、コントローラー20は、階調値C(j,i)を更新する。具体的には、コントローラー20は、階調値C(j,i)を、C(j,i)=X(j,i)に更新する。
【0088】
ステップSC12において、コントローラー20は、処理ループ6のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターjがj=nであるか判断する。j=nでない場合、コントローラー20は、ループカウンターjをインクリメントし、処理をステップSC3に移行する。j=nである場合、コントローラー20は、処理をステップSC13に移行する。
【0089】
ステップSC13において、コントローラー20は、表示部10を駆動するための信号を出力する。これにより、表示部10において、第i行の画素14にデータが書き込まれる。ステップSC14において、コントローラー20は、処理ループ5のループ端の処理を行う。具体的には、コントローラー20は、ループカウンターiがi=mであるか判断する。i=mでない場合、コントローラー20は、ループカウンターiをインクリメントし、処理をステップSC2に移行する。i=mである場合、コントローラー20は、処理をステップSC15に移行する。
【0090】
ステップSC15において、コントローラー20は、すべての画素について、残回数Rが「0」であるか判断する。残回数の総和が「0」であった場合(ステップSC15:YES)、コントローラー20は、処理をステップSC16に移行する。残回数の総和が「0」でなかった場合(ステップSC15:NO)、コントローラー20は、処理をステップSC2に移行する。
【0091】
ステップSC16において、コントローラー20は、回数差D(j,i)が終了条件を満たしたか判断する。終了条件は、画像Xに応じて決められている。回数差D(j,i)が終了条件を満たした場合(ステップSC16:YES)、コントローラー20は、処理をステップSC17に移行する。回数差D(j,i)が終了条件を満たしていない場合(ステップSC16:NO)、コントローラー20は、処理をステップSC2に移行する。
【0092】
ステップSC17において、コントローラー20は、すべての画像Xについて書き込みが完了したか判断する。具体的には、コントローラー20は、カウンターの値が画像Xに含まれる複数の画像の枚数と同じであった場合、すべての画像Xについて書き込みが完了したと判断する。カウンターの値が調整画像に含まれる複数の画像Xの枚数未満であった場合、まだすべての画像Xについての書き込みが完了していないと判断する。すべての画像Xについて書き込みが完了したと判断された場合(ステップSC17:YES)、コントローラー20は、処理を所定画像表示処理に移行する。まだすべての画像Xについての書き込みが完了していないと判断された場合(ステップSC17:NO)、コントローラー20は、カウンターの値に1を加算し、処理をステップSC1に移行する。この場合、コントローラー20は、再びステップSC1において、更新後のカウンターの値に対応する画像Xを設定する。
【0093】
2−2−3.所定画像表示処理
図11は、所定画像表示処理におけるコントローラー20の動作を示すフローチャートである。所定画像表示処理は、複数の画素14の各々について、電気泳動粒子の状態を初期化するための処理である。ステップSD1において、コントローラー20は、所定画像を設定する。以下、所定画像を「画像Y」と表す。画像Yには、複数の画像が含まれる。画像Yに含まれる複数の画像は、「画像YA」、「画像YB」、・・・のように添字を用いて区別する。ステップSD1において、複数の画像Yの中から選択された一の画像Yが、以下の処理に用いられる画像として設定される。一の画像Yは、例えばカウンターの値に応じて選択される。カウンターの値は、ステップSD1において1ずつ加算され、更新される。カウンターの値は、初期値として「1」が設定される。コントローラー20は、複数の画像のうちカウンターの値に応じた一の画像を記憶手段22から読み出す。
【0094】
ステップSD2からステップSD14までは、ステップSC2からステップSC14までの処理と同様に行われる。ステップSD15において、コントローラー20は、すべての画素について、残回数Rが「0」であるか判断する。すべての画素について残回数Rが「0」であるか否かは、例えば、残回数Rの絶対値の総和が「0」であるか否かによって判断される。すべての画素について残回数Rが「0」であると判断された場合(ステップSD15:YES)、コントローラー20は、処理をステップSD16に移行する。残回数の総和が「0」でなかった場合(ステップSD15:NO)、コントローラー20は、処理をステップSD2に移行する。
【0095】
ステップSD16において、コントローラー20は、すべての画像Yについて書き込みが完了したか判断する。具体的には、コントローラー20は、カウンターの値が画像Yに含まれる複数の画像の枚数と同じであった場合、すべての画像Yについて書き込みが完了したと判断する。カウンターの値が所定画像に含まれる複数の画像Yの枚数未満であった場合、まだすべての画像Yについての書き込みが完了していないと判断する。すべての画像Yについて書き込みが完了したと判断された場合(ステップSD16:YES)、コントローラー20は、処理をステップSD17に移行する。まだすべての画像Yについての書き込みが完了していないと判断された場合(ステップSD16:NO)、コントローラー20は、カウンターの値に1を加算し、処理をステップSD1に移行する。この場合、コントローラー20は、再びステップSD1において、更新後のカウンターの値に対応する画像Yを設定する。
【0096】
ステップSD17において、コントローラー20は、画像Yの表示を所定の回数反復して行ったか判断する。コントローラー20は、ステップSD1において反復回数のカウンターの値を1ずつ加算する。反復回数のカウンターの値は、初期値として「1」が設定されている。反復回数が所定の回数以上である場合(ステップSD17:YES)、コントローラー20は、処理を次画像表示処理に移行する。反復回数が所定の回数より小さい場合(ステップSD17:NO)、コントローラー20は、処理をステップSD1に移行し、反復回数のカウンターの値に1を加算する。この場合、コントローラー20は、再びカウンターの初期値「1」に対応する画像Yを設定する。
【0097】
2−3.処理例
以下、クリーンアップ処理について、具体的な処理例をいくつか説明する。各処理例は、調整画像(画像X)、書き込み条件、および終了条件がそれぞれ異なっている。
【0098】
2−3−1.処理例1
図12は、処理例1に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図12のフレームの番号は、図8で示したフレームからの通し番号で表している。処理例1において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)および画像XB(第2画像の一例)を含む。
画像XA(全黒画像):すべての画素について、X=1(第1階調の一例)
画像XB(全白画像):すべての画素について、X=0(第2階調の一例)
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
上記以外の場合は書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:Dmin≧5(第1基準値の一例)
(Dminは、すべての画素の回数差Dの最小値)
画像XBの場合:すべての画素についてD=0(第2基準値の一例)(またはDmax≦0)
(Dmaxは、すべての画素の回数差Dの最大値)
【0099】
上記の通り、画素14は、3回(a回の一例)の電圧印加で白表示から黒表示に変化し、5回(b回の一例)の電圧印加で黒表示から白表示に変化する。この例では、第1基準値(ここでは「5」)と第2基準値(ここでは「0」)との差は、a回とb回のうち大きい方の値と等しく、「5」である。また、以下では、画素1〜画素4について、階調値Xが示す値と階調値Yが示す値を、それぞれX1〜X4、Y1〜Y4と表す。
【0100】
第26フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。画素1および画素4について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「5」に設定される(ステップSC6)。他の画素については、残回数は変更されない。画素1および画素4については、黒書き込みが行われる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1の回数差Dは「−9」から「−8」に、画素4の回数差Dは「0」から「1」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、画素1および画素4の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(ステップSC9)。これらの処理は、第30フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0101】
第30フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素1の回数差Dが「5」となり終了条件が満たされる第39フレームまで、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0102】
第39フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、黒表示の状態である。
【0103】
第40フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「−5」に設定される(ステップSC6)。すべての画素について、白書き込みが行われる(ステップSC7)。白書き込みに応じて、画素1の回数差Dは「5」から「4」に、画素2の回数差Dは「11」から「10」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、白書き込みに応じて、すべての画素の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第44フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0104】
第44フレームの終了時点において、画素2の回数差Dは「6」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素2の回数差Dが「0」となり終了条件が満たされる第50フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われる。
【0105】
第50フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「0」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、白表示状態である。また、画像XAおよび画像XBの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「0」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。
【0106】
第51フレーム以降は、従来と同様のクリーンアップ処理(所定画像表示処理および次画像表示処理)が行われる。所定画像表示処理において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像Y
画像YAおよび画像YBを含む。
画像YA(全黒画像):すべての画素について、Y=1(第1階調の一例)
画像YB(全白画像):すべての画素について、Y=0(第2階調の一例)
(2)ステップSD7におけるデータの書き込み条件
画像YA、画像YBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
【0107】
2−3−2.処理例2
図13は、処理例2に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図13のフレームの番号は、図8で示したフレームからの通し番号で表している。処理例2において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)および画像XB(第2画像の一例)を含む。
画像XA(全白画像):すべての画素について、X=0(第1階調の一例)
画像XB(全黒画像):すべての画素について、X=1(第2階調の一例)
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
上記以外の場合は書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:Dmax≦0(第1基準値の一例)
画像XBの場合:すべての画素についてD=5(第2基準値の一例)(またはDmin≧5)
【0108】
第26フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。画素2および画素3について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「−5」に設定される(ステップSC6)。他の画素については、残回数は変更されない。画素2および画素3については、白書き込みが行われる(ステップSC7)。白書き込みに応じて、画素2の回数差Dは「11」から「10」に、画素3の回数差Dは「5」から「4」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、白書き込みに応じて、画素2および画素3の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第30フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0109】
第30フレームの終了時点において、画素2の回数差Dは「6」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素2の回数差Dが「0」となり終了条件が満たされる第36フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われる。
【0110】
第36フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「0」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、白表示の状態である。
【0111】
第37フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「5」に設定される(ステップSC6)。すべての画素について、黒書き込みが行われる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1の回数差Dは「−9」から「−8」に、画素2の回数差Dは「0」から「1」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、すべての画素の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(ステップSC9)。これらの処理は、第41フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0112】
第41フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素1の回数差Dが「5」となり終了条件が満たされる第50フレームまで、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0113】
第50フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、黒表示状態である。また、画像XAおよび画像XBの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。
【0114】
以下、第51フレームから、従来と同様のクリーンアップ処理(所定画像表示処理)が行われる。
【0115】
2−3−3.処理例3
図14は、処理例3に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図14のフレームの番号は、図8で示したフレームからの通し番号で表している。処理例3において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)および画像XB(第2画像の一例)を含む。
画像XA(反転次画像):N=0(第1階調の一例)の画素について、X=1、かつ、N=1(第2階調の一例)の画素について、X=0
画像XB(次画像):すべての画素について、X=N
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ N=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
R=0 かつ N=1 かつ D>0 のとき:白書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ N=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
R=0 かつ N=1 かつ D<5 のとき:黒書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:N=0の画素について D≧5(第2基準値の一例) かつ N=1の画素について D≦0(第1基準値の一例)
画像XBの場合:N=0の画素について D=0 かつ N=1の画素について D=5
【0116】
第26フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。N1=1、N2=1、N3=0、N4=0であるから、画像XAの階調値Xは、これを反転させたX1=0、X2=0、X3=1、X4=1である。画素2および画素4について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「−5」と「5」にそれぞれ設定される(ステップSC6)。他の画素については、残回数は変更されない。画素2については、白書き込みが行われ、画素4については、黒書き込みが行われる(ステップSC7)。白書き込みに応じて、画素2の回数差Dは「11」から「10」に、黒書き込みに応じて、画素4の回数差Dは「0」から「1」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、白書き込みに応じて、画素2の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされ、黒書き込みに応じて画素4の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第30フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0117】
第30フレームの終了時点において、画素2の回数差Dは「6」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素2の回数差Dが「0」となり終了条件が満たされる第36フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われる。
【0118】
第36フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「0」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、階調値Nを反転させた状態である。
【0119】
この例では、画像XAについて終了条件が満たされると、従前と同様のクリーンアップ処理が行われる。すなわち、全黒画像と全白画像とが交互に反復して書き込まれる。
【0120】
第(37+10×k)フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。画像XBの階調値Xは、階調値Nと同じであり、X1=1、X2=1、X3=0、X4=0である。画素1および画素2について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「5」に設定される(ステップSC6)。他の画素については、残回数は変更されない。画素1および画素2については、黒書き込みが行われる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1の回数差Dは「−9」から「−8」に、画素2の回数差Dは「0」から「1」に、それぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、画素1および画素2の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(ステップSC9)。これらの処理は、第(42+10×k)フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0121】
第(42+10×k)フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素1の回数差Dが「5」となり終了条件が満たされる第(50+10×k)フレームまで、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0122】
第(50+10×k)フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、階調値Nで示される状態である。また、画像XAおよび画像XBの書き込みにより、回数差Dは、白表示状態のすべての画素について「0」、かつ、黒表示状態のすべての画素について「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。
【0123】
2−3−4.処理例4
図15は、処理例4に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図15のフレームの番号は、図8で示したフレームからの通し番号で表している。処理例4において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)を含む。
画像XA(反転現画像):C=0(第1階調の一例)の画素について、X=1、かつ、C=1(第2階調の一例)の画素について、X=0
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
R=0 かつ C=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
R=0 かつ C=1 かつ D<5 のとき:黒書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:C=0の画素について D≦0(第1基準値の一例) かつ C=1の画素について D≧5(第2基準値の一例)
【0124】
第26フレームにおいて、画像XAが設定される(ステップSC1)。C1=0、C2=1、C3=1、C4=0であるから、画像XAの階調値Xは、これを反転させたX1=1、X2=0、X3=0、X4=1である。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「5」または「−5」にそれぞれ設定される(ステップSC6)。画素1および画素4については、黒書き込みが行われ、画素2および画素3ついては、白書き込みが行われる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1および画素4の回数差Dは「−9」から「−8」、「0」から「1」にそれぞれ更新される(ステップSC8)。白書き込みに応じて、画素2および画素3の回数差Dは「11」から「10」、「5」から「4」にそれぞれ更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、画素1および画素4の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされ、白書き込みに応じて画素2および画素3の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第30フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0125】
第30フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、また、画素2の回数差Dは「6」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素2の回数差Dが「0」となる第36フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われ、画素1の回数差Dが「5」となり、すべての画素について終了条件が満たされる第39フレームまで、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0126】
第39フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、クリーンアップ処理前(第25フレーム)の階調値Cを反転させた状態である。また、画像XAの書き込みにより、回数差Dは、白表示状態のすべての画素について「0」、かつ、黒表示状態のすべての画素について「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。第40フレーム以降は、従来と同様のクリーンアップ処理(所定画像表示処理)が行われる。
【0127】
2−3−5.処理例5
図16は、処理例5に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図16Aには、階調値N、光学状態H、および印加電圧Vが図示されている。図16Bには、残回数R、および回数差Dが図示されている。図16の初期状態は、図8で示したフレームからの連続ではないため、再び第0フレームと表記する。図16は、複数の画素のうち画素1〜画素8の各記憶領域が示されている。処理例5において、第0フレームにおける各記憶領域のデータは以下のとおりである。
【0128】
処理例5において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)、画像XB(第2画像の一例)、および画像XC(第3画像の一例)を含む。
画像XA(現画像):すべての画素について、X=C
画像XB(全黒画像):すべての画素について、X=1(第2階調の一例)
画像XC(全白画像):すべての画素について、X=0(第1階調の一例)
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XAの場合
N=0 かつ D<0の場合:黒書き込み
N=1 かつ D<5の場合:黒書き込み
N=0 かつ D>0の場合:白書き込み
N=1 かつ D>5の場合:白書き込み
画像XBの場合
D<5の場合:黒書き込み
画像XCの場合
D>0の場合:白書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合
N=0の画素について D=0(第1基準値の一例)
N=1の画素について D=5(第2基準値の一例)
画像XBの場合
すべての画素について D=5
画像XCの場合
すべての画素について D=0
【0129】
第1フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、X=Cである。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが同一である(ステップSC4:YES)ので、残回数Rは設定されず、ラインメモリーにデータの書き込みが行われる。画素1については、N=0かつD<0であるので、黒書き込みが行われる。画素2および画素3については、N=0かつD>0であるので、白書き込みが行われる。画素5および画素6については、N=1かつD<5であるので、黒書き込みが行われる。画素7については、N=1かつD>5であるので、白書き込みが行われる(以上、ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1、画素5、および画素6の回数差Dは、「−9」から「−8」に、「0」から「1」に、および「−3」から「−2」に、それぞれ更新される。白書き込みに応じて、画素2、画素3、および画素7の回数差Dは、「11」から「10」に、「1」から「0」に、および「8」から「7」に、それぞれ更新される(以上、ステップSC8)。すべての画素について、残回数Rが「0」であるので、ステップSC9の処理によっても残回数Rは「0」のままである。これらの処理は、第11フレームにおいてすべての画素について終了条件が満たされるまで繰り返し行われる。
【0130】
第11フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「0」に更新され、すべての画素について終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、例えば画素7の光学状態は「2」であり、必ずしもすべての画素について、決められた光学状態(「0」または「5」)になっているわけではない。また、画像XAの書き込みにより、回数差Dは、N=0のすべての画素について「0」、かつ、N=1のすべての画素について「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。なお、画像XAを書き込んでいる間、すべての画素について残回数R=0であるので、ステップSC11においてC=Nに更新される。したがって、第11フレームの終了時点において、C1=C2=C3=C4=0、C5=C6=C7=C8=1である。
【0131】
第12フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。画素1〜画素4について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数Rが「5」に設定される(ステップSC6)。画素5〜画素8については、残回数Rは設定されない。画素1〜画素4については、黒書き込みが行わる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1〜画素4の回数差Dは「0」から「1」に更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、画素1〜画素4の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(ステップSC9)。これらの処理は、第16フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0132】
第16フレームにおいてのステップSC8において、画素1〜画素4の回数差Dが「5」に更新され、すべての画素について終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。画像XBの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「5」となる。
【0133】
第17フレームにおいて、画像XCが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数Rが「−5」に設定される(ステップSC6)。すべての画素について、白書き込みが行わる(ステップSC7)。白書き込みに応じて、すべての画素の回数差Dは「5」から「4」に更新される(ステップSC8)。さらに、白書き込みに応じて、すべての画素の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第21フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0134】
第21フレームにおいてのステップSC8において、すべての画素の回数差Dが「0」に更新され、すべての画素について終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は「0」である。また、画像XCの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「0」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。第22フレーム以降は、従来と同様のクリーンアップ処理(所定画像表示処理)が行われる。
【0135】
2−3−6.処理例6
図17は、処理例6に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図17Aには、階調値N、光学状態H、および印加電圧Vが図示されている。図17Bには、残回数R、および回数差Dが図示されている。図17の初期状態は、図8で示したフレームからの連続ではないため、再び第0フレームと表記する。図17は、複数の画素のうち画素1〜画素8の各記憶領域が示されている。処理例6において、第0フレームにおける各記憶領域のデータは処理例5と同じである。
【0136】
処理例6において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)、および画像XB(第2画像の一例)を含む。
画像XA(現画像):すべての画素について、X=C
画像XB(全黒画像):すべての画素について、X=1(第2階調の一例)
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XAの場合
D<0の場合:黒書き込み
D>0の場合:白書き込み
画像XBの場合
D<5の場合:黒書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合
すべての画素について D=0(第1基準値の一例)
画像XBの場合
すべての画素について D=5(第2基準値の一例)
すなわちこの例では、まず、すべての画素について、回数差Dが「0」に統一される。
【0137】
第1フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、X=Cである。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが同一である(ステップSC4:YES)ので、残回数Rは設定されず、ラインメモリーにデータの書き込みが行われる。画素1および画素6については、D<0であるので、黒書き込みが行われる。画素2、画素3、画素7および画素8については、D>0であるので、白書き込みが行われる。(以上、ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1および画素6の回数差Dは、「−9」から「−8」に、および「−3」から「−2」に、それぞれ更新される。白書き込みに応じて、画素2、画素3、画素7、および画素8の回数差Dは、「11」から「10」に、「1」から「0」に、「8」から「7」に、および「5」から「4」にそれぞれ更新される(以上、ステップSC8)。すべての画素について、残回数Rが「0」であるので、ステップSC9の処理によっても残回数Rは「0」のままである。これらの処理は、第11フレームにおいてすべての画素について終了条件が満たされるまで繰り返し行われる。
【0138】
第11フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「0」に更新され、すべての画素について終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、必ずしもすべての画素について、決められた光学状態(「0」または「5」)になっているわけではない。また、画像XAの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「0」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。なお、画像XAを書き込んでいる間、すべての画素について残回数R=0であるので、ステップSC11においてC=0に更新される。したがって、第11フレームの終了時点において、C1〜C8=0である。
【0139】
第12フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数Rが「5」に設定される(ステップSC6)。すべての画素について、黒書き込みが行わる(ステップSC7)。黒書き込みに応じて、画素1〜画素8の回数差Dは「0」から「1」に更新される(ステップSC8)。さらに、黒書き込みに応じて、画素1〜画素8の残回数Rは「5」から「4」にデクリメントされる(ステップSC9)。これらの処理は、第16フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0140】
第16フレームにおいてのステップSC8において、画素1〜画素8の回数差Dが「5」に更新され、すべての画素について終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は「5」である。また、画像XBの書き込みにより、回数差Dは、すべての画素について「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。第17フレーム以降は、従来と同様のクリーンアップ処理(所定画像表示処理)が行われる。
【0141】
2−3−7.処理例7
図18は、処理例7に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図18は、複数の画素のうち画素1および画素2の各記憶領域が示されている。処理例7において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XAおよび画像XBを含む。
画像XA:D>Dminの画素について、X=0
D=Dminの画素について、X=C
画像XB(全黒画像):すべての画素について、X=1
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ D>Dmin のとき:白書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
(3)終了条件
画像XAの場合:Dmax=Dmin
画像XBの場合:すべての画素についてD=5(またはDmin≧5)
すなわちこの例では、まず、すべて画素について回数差Dが、最小値Dminに統一される。
【0142】
図18では、第1フレームから第20フレームの間にバランス調整処理が行われている。第1フレームから第9フレームの期間は、画像XAが設定される(ステップSC1)。第10フレームから第20フレームの期間は、画像XBが設定されている(ステップSC1)。
【0143】
第1フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。画像XAは、X1=0、X2=0である。画素2について階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「−5」に設定される(ステップSC6)。画素1については、残回数は変更されない。画素2については、白書き込みが行われる(ステップSC7)。白書き込みに応じて、画素2の回数差Dは「3」から「2」に更新される(ステップSC8)。さらに、白書き込みに応じて、画素2の残回数Rは「−5」から「−4」にインクリメントされる(残回数Rの絶対値がデクリメントされる)(ステップSC9)。これらの処理は、第5フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0144】
第5フレームの終了時点において、画素2の回数差Dは「−2」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。したがって、画素2の回数差Dが最小値「−6」となり終了条件が満たされる第9フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われる。
【0145】
第9フレームのステップSC8において、画素2の回数差Dが「−6」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素の光学状態は、白表示の状態である。
【0146】
第10フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。画像XBを設定した後は、処理例2における画像XBを設定した後の処理と同様に行われる。画像XAおよび画像XBの書き込みにより、回数差Dは、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。これにより、極性バランスが偏ったままクリーンアップ処理を行う場合と比較して、電気泳動素子143の劣化を抑制することができる。
【0147】
なお、上記の例では、まず、すべて画素について回数差Dが、最小値Dminに統一された。しかし、回数差DがD>0の画素は最大値Dmaxに統一され、D<0の画素は最小値Dminに統一されてもよい。具体的な条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)、画像XB(第2画像の一例)および画像XC(第3画像の一例)を含む。
画像XA:Dmin<D<0(第1基準値の一例)の画素について、X=0(第1階調の一例)
0<D<Dmaxの画素について、X=1(第2階調の一例)
なお、D=0の画素については、X=0およびX=1のいずれであってもよい。
画像XB(全白画像):すべての画素について、X=0
画像XC(全黒画像):すべての画素について、X=1
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XB、画像XCに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ Dmin<D<0のとき:白書き込み
R=0 かつ 0<D<Dmaxのとき:黒書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
画像XCの場合
R=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:D<0の画素について、D=Dmin
D>0の画素について、D=Dmax
なお、D=0の画素については、画像XAの条件に応じて、D=DminまたはD=Dmaxのいずれかが用いられる。
画像XBの場合:Dmax≦0(第1基準値の一例)
画像XCの場合:Dmin≧5(第1基準値の一例)
【0148】
2−3−8.処理例8
図19は、処理例8に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図19のフレームの番号は、図8で示したフレームからの通し番号で表している。図19Aは、第25フレームから第59フレームまでの各記憶領域のデータを示している。図19Bは、第60フレーム以降の各記憶領域のデータを示している。処理例8において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X XA:反転現画像、XB:現画像
画像XAおよび画像XBを含む。
画像XA(反転現画像):C=0の画素について、X=1、かつ、C=1の画素について、X=0
画像XB(現画像):すべての画素について、X=C
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ C=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
R=0 かつ C=1 かつ D<5 のとき:黒書き込み
上記以外の場合、書き込みは行わない。
(3)終了条件
画像XAの場合:C=0の画素について D≦0 かつ C=1の画素について D≧5
処理例8特有の条件として、画像XAの場合で終了条件を満たしていない場合は(ステップSC16:NO)、コントローラー20は、画像XAの書き込みが連続して所定回数(例えば8回)行われたか判断する(図示略)。画像XAの書き込みが所定回数に達していない場合、コントローラー20は、画像XAの書き込みを続行する。画像XAの書き込みが所定回数に達している場合、コントローラー20は、画像XBを設定する。
画像XBの場合:終了条件(ステップSC16)の判断は行われない。すべての残回数Rが「0」である場合(ステップSC15:YES)、コントローラー20は、画像XAを設定する。
【0149】
図19では、第26フレームから第59フレームの間にバランス調整処理が行われている。処理例8におけるバランス調整処理では、画像XAと画像XBが交互に繰り返し設定される。例えば、第26フレームから第33フレームの期間は、画像XAが設定される(ステップSC1)。また、第34フレームから第38フレームの期間は、画像XBが設定されている(ステップSC1)。
【0150】
第26フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。画像XAの階調値Xは、X1=1、X2=0、X3=0、X4=1である。処理例4における処理と同様に、画素1および画素4については、黒書き込みが行われ、画素2および画素3ついては、白書き込みが行われる(ステップSC7)。これらの処理は、第30フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0151】
第30フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、また、画素2の回数差Dは「6」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。画像XAの書き込みは5回であり、8回に達していない。したがって、画像XAの書き込みが8回に達する第33フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われ、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0152】
第34フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。画像XBの階調値Xは、X1=0、X2=1、X3=1、X4=0である。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「5」まは「−5」にそれぞれ設定される(ステップSC6)。画素1および画素4については、白書き込みが行われ、画素2および画素3ついては、黒書き込みが行われる(ステップSC7)。これらの処理は、第38フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0153】
第39フレームにおいて、再び画像XAが設定される(ステップSC1)。第39フレームから第59フレームまでは、上述の処理と同様の処理が繰り返し行われる。第59フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素は、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。画像XAと画像XBとを繰り返し交互に設定することにより、同じ極性の電圧が所定回数を超えて印加されることによる電気泳動素子143の移動の偏りを抑制することができる。
【0154】
2−3−9.処理例9
図20は、処理例9に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。図20の初期状態は、図8で示したフレームからの連続ではないため、第0フレームと表記する。図20Aは、第0フレームから第30フレームまでの各記憶領域のデータを示している。図20Bは、第31フレーム以降の各記憶領域のデータを示している。処理例20において、各種の条件は以下のとおりである。
(1)画像X
画像XA(第1画像の一例)および画像XB(第2画像の一例)を含む。
画像XA(全黒画像):すべての画素について、X=1(第1階調の一例)
画像XB(全白画像):すべての画素について、X=0(第2階調の一例)
(2)ステップSC7におけるデータの書き込み条件
画像XA、画像XBに共通
R>0の場合:黒書き込み
R<0の場合:白書き込み
画像XAの場合
R=0 かつ D<5 のとき:黒書き込み
画像XBの場合
R=0 かつ D>0 のとき:白書き込み
(3)終了条件
画像XAの場合:Dmin≧5
画像XBの場合:Dmax≦0
処理例9の特有の条件として、終了条件を満たしていない場合は(ステップSC16:NO)、コントローラー20は、画像XAまたは画像XBの書き込みが連続して所定回数(例えば6回)行われたか判断する(図示略)。書き込みが所定回数に達していない場合、コントローラー20は、画像XAまたは画像XBの書き込みを続行する。書き込みが所定回数に達している場合、コントローラー20は、画像XBまたは画像XAを設定する。
【0155】
処理例9のバランス調整処理においては、黒書き込みを開始する場合も、白書き込みを開始する場合も、いずれも残回数の絶対値は3回に設定される。すなわち、黒書き込みにおいては、白表示から黒表示へ変化させるのに要する3回の電圧印加以下の残回数が設定される。また、白書き込みにおいては、白表示から黒表示へ変化させるのに要する5回の電圧印加よりも少ない残回数が設定される。
【0156】
図20では、第1フレームから第30フレームの間にバランス調整処理が行われている。処理例9におけるバランス調整処理では、画像XAと画像XBが交互に繰り返し設定される。例えば、第1フレームから第6フレームの期間は、画像XAが設定される(ステップSC1)。また、第7フレームから第12フレームの期間は、画像XBが設定されている(ステップSC1)。
【0157】
第1フレームにおいて、まず、画像XAが設定される(ステップSC1)。画像XAの階調値Xは、X1〜X4=1である。画素1および画素4について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「3」に設定される(ステップSC6)。画素1および画素4については、黒書き込みが行われる。これらの処理は、第3フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0158】
第3フレームの終了時点において、画素1の回数差Dは「−4」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。画像XAの書き込みは3回であり、6回に達していない。したがって、画像XAの書き込みが6回に達する第6フレームまで、画素1について黒書き込みが繰り返し行われる。
【0159】
第7フレームにおいて、画像XBが設定される(ステップSC1)。画像XBの階調値Xは、X1〜X4=0である。すべての画素について、階調値Cと階調値Xとが異なっており(ステップSC4:NO)、かつ、残回数Rが0である(ステップSC5:YES)ので、残回数が「−3」に設定される(ステップSC6)。画素1〜画素4については、白書き込みが行われる(ステップSC7)。これらの処理は、第9フレームですべての画素についてR=0になるまで(ステップSC15の条件が満たされるまで)繰り返し行われる。
【0160】
第9フレームの終了時点において、画素2の回数差Dは「8」であり、まだ終了条件は満たされていない(ステップSC16:NO)。画像XBの書き込みは3回であり、6回に達していない。したがって、画像XBの書き込みが6回に達する第12フレームまで、画素2について白書き込みが繰り返し行われる。
【0161】
第13フレームにおいて、再び画像XAが設定される(ステップSC1)。第13フレームから第30フレームまでは、上述の処理と同様の処理が繰り返し行われる。第30フレームのステップSC8において、画素1の回数差Dが「5」に更新され、終了条件が満たされる(ステップSC16:YES)。この時点で、すべての画素は、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。残回数の絶対値を、黒書き込みまたは白書き込みに要する電圧印加回数よりも少なくすることにより、同じ極性の電圧が所定回数を超えて印加されることによる電気泳動素子143の移動の偏りを抑制することができる。
【0162】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0163】
3−1.変形例1
終了条件は、各々の画素について決められた基準値との関係で判断される場合に限らない。終了条件は、他の画素、例えば隣り合う画素の回数差との関係において判断されるものであってもよい。例えば、D=0(第1基準値の一例)である画素と、D=1(第2基準値の一例)である画素とが交互に配置されることが終了条件であってもよい。
【0164】
3−2.変形例2
第1基準値と第2基準値との差(第1の差の一例)は、実施形態に記載した、電圧印加の回数が大きい方の値と等しい場合に限らない。第1基準値と第2基準値との差と、大きい方の回数との差(第2の差の一例)がしきい値以下の場合であってもよい。例えば、処理例1の終了条件について、画像XAの場合、Dmin≧4の条件で判断されてもよい。
【0165】
3−3.変形例3
図21は、変形例3に係る各記憶領域のデータの経時変化を例示した図である。画素14の光学状態と回数差Dの対応関係は、実施形態で説明したものに限定されない。実施形態では、黒表示の画素14については回数差Dが黒書き込みに対応した基準値(例えば「5」)に、白表示の画素14については回数差Dが白書き込みに対応した基準値(例えば「0」)になったときに、最終的な終了条件が満たされたと判断された。しかし、この基準値にオフセットがかけられていてもよい。図21の例では、正電圧の方向に8回分オフセットがかけられている。すなわち、最終的には、黒表示の画素14の回数差Dが「13」に、白表示の画素の回数差Dが「8」になったときにクリーンアップ処理が終了している。第11フレームの処理が終了した時点で、画素1および画素2の光学状態は、黒表示の状態である。回数差Dは、いずれも「5」となり、印加電圧の極性バランスがとれた状態になっている。この後、画素1および画素2の光学状態が黒表示である第22フレームから第29フレームの間に、更に黒電圧の電圧印加が8回(所定の回数の一例)行われている。このように、クリーンアップ処理の終了時の回数差Dにオフセットをかけることにより、例えば画像書き換え処理において負極側に回数差Dが偏りやすいという傾向がある場合に、画像書き換え処理における回数差Dに偏りを低減することができる。
【0166】
3−4.変形例4
図8で示した画像書き換え動作においては、白書き込みの場合と黒書き込みの場合とで残回数の初期値の絶対値が同一である例を説明したが、白書き込みの場合と黒書き込みの場合とで残回数の初期値が異なっていてもよい。この場合、記憶手段22は、白書き込み用の初期値と、黒書き込み用の初期値とを記憶している。メモリー制御手段21は、記憶手段22から、書き込みの極性に応じた初期値を読み出す。なお、クリーンアップ処理においては、印加電圧の極性バランスをとるため、白書き込みの場合と黒書き込みの場合とで残回数の初期値が同一であることが好ましい。
【0167】
3−5.変形例5
図8で示した画像書き換え動作においては、白書き込みの場合と黒書き込みの場合とで残回数の初期値が画素14の光学状態に関わらず一定である例を説明したが、画素14の光学状態に応じて電圧印加回数(すなわち残回数の初期値)を異ならせてもよい。
【0168】
3−6.変形例6
コントローラー20の構成は、図6で例示したものに限定されない。図6の機能を実現できるものであれば、コントローラー20はどのような構成を有していてもよい。例えば、コントローラー20は、ラインメモリーに代わり、フレームメモリーまたはドットメモリーを有していてもよい。別の例で、コントローラー20の機能の一部を、CPU30やRAM50等の他の要素が有していてもよい。この場合、電子機器1が全体として、図6で説明した機能を有していればよい。また、コントローラー20の動作、特に処理の順序は、図7、図9、図10、及び図11のフローで説明したものに限定されない。例えば、図7において残回数Rを更新する処理(ステップSA13)は、回数差Dを更新する処理(ステップSA12)の前に行われてもよい。
【0169】
3−7.他の変形例
電子機器1は、電子ブックリーダーに限定されない。電子機器1は、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、または携帯ゲーム機であってもよい。
【0170】
画素14の構造は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、荷電粒子の極性は実施形態で説明したものに限定されない。黒の電気泳動粒子が負に帯電し、白の電気泳動粒子が正に帯電していてもよい。この場合は、画素に印加する電圧の極性は実施形態で説明したものと逆になる。また、表示素子は、マイクロカプセルを用いた電気泳動方式の表示素子に限定されない。液晶素子または有機EL(Electro Luminescence)素子など、他の表示素子が用いられてもよい。
【0171】
所定画像表示処理について、ステップSD17における反復回数は、何回に設定されていてもよい。また、所定画像表示処理自体が行われなくてもよい。
実施形態で説明したパラメーター(例えば、階調数、画素数、電圧値、電圧印加回数など)はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0172】
1…電子機器、10…表示部、11…第1基板、12…電気泳動層、13…第2基板、14…画素、15…表示領域、16…走査線駆動回路、17…データ線駆動回路、20…コントローラー、21…メモリー制御手段、22…記憶手段、23…駆動制御手段、30…CPU、40…VRAM、41…現在メモリー、42…次メモリー、43…残回数メモリー、44…回数差メモリー、50…RAM、60…記憶部、70…入力部、111…基板、112…接着層、113…回路層、114…画素電極、115…走査線、116…データ線、121…マイクロカプセル、122…バインダー、131…共通電極、132…フィルム、141…トランジスター、142…容量、143…電気泳動素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間を単位とする複数回の電圧印加により階調が第1階調から第2階調に変化する複数の画素の各々について、現在の階調値を記憶した第1メモリー、次に表示される階調値を記憶した第2メモリー、電圧印加の残回数を記憶した第3メモリー、および前記画素を前記第1階調へ変化させる第1電圧の印加回数と前記第2階調へ変化させる第2電圧の印加回数との差を記憶した第4メモリーへのアクセスを制御するメモリー制御手段と、
前記複数の画素のうち処理対象となる対象画素について、前記第1メモリーに記憶されている階調値と前記第2メモリーに記憶されている階調値とが異なり、かつ前記第3メモリーに記憶されている残回数がゼロでない場合、前記対象画素への電圧印加を行わせる制御をする駆動制御手段と
を有し、
前記駆動制御手段は、
前記対象画素について、前記第1メモリーに記憶されている階調値と前記第2メモリーに記憶されている階調値との比較結果および前記第3メモリーに記憶されている残回数が所定の条件を満たした場合に、当該残回数を、前記第2メモリーに記憶されている階調値に応じて決められた設定値に書き換え、
所定のタイミングで、所定の画像を前記複数の画素に表示させるクリーンアップ処理を行い、
前記クリーンアップ処理は、前記差が決められた終了条件を満たすまで前記複数の画素への電圧印加を行わせて調整画像を書き込むバランス調整処理を含む
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記調整画像は、
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第1画像、および
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最小値が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以上であり、
前記第2画像において、前記第4メモリーに記憶されている差の最大値が前記第2階調に応じて決められた第2基準値以下であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記調整画像は、
前記第2メモリーに記憶されている階調値を反転させた階調値で示される第1画像、および
前記第2メモリーに記憶されている階調値で示される第2画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値以上であり、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以下であるという条件であり、
前記第2画像において、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値であり、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調である画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2基準値であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記調整画像は、
前記第1メモリーに記憶されている階調値を反転させた階調値で示される第1画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、
前記第1メモリーに記憶されている階調値が前記第1階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値以下であり、
前記第1メモリーに記憶されている階調値が前記第2階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調値に応じて決められた第2基準値以上であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記調整画像は、
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1メモリーに記憶されている階調値を示す第1画像、
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像、および
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第3画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第1階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値であり、
前記第2メモリーに記憶されている階調値が第2階調の画素については、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値であるという条件であり、
前記第2画像において、
すべての画素の前記差が前記第2基準値であるという条件であり、
前記第3画像において、
すべての画素の前記差が前記第1基準値であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記調整画像は、
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1メモリーに記憶されている階調値を示す第1画像、および
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第2画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、
前記複数の画素のすべての画素について、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1階調に応じて決められた第1基準値であるという条件であり、
前記第2画像において、
前記複数の画素のすべての画素について、前記第4メモリーに記憶されている差が前記第2階調に応じて決められた第2基準値であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記調整画像は、
前記第4メモリーに記憶されている差が、前記第1階調に応じて決められた第1基準値未満でありかつ前記差の最小値より大きい画素については前記第1階調を示し、前記差が前記第1基準値より大きくかつ前記差の最大値未満の画素については前記第2階調を示す第1画像、
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第1階調である第2画像、および
前記複数の画素のすべての画素の階調が前記第2階調である第3画像
を含み、
前記終了条件は、
前記第1画像において、
前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値未満である画素については、前記差が前記最小値であり、
前記第4メモリーに記憶されている差が前記第1基準値より大きい画素については、前記差が前記最大値であるという条件であり、
前記第2画像において、
前記第4メモリーに記憶されている差の最大値が前記第1基準値以下であるという条件であり、
前記第3画像において、
前記第4メモリーに記憶されている差の最小値が前記第2基準値以上であるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記終了条件は、前記第4メモリーに記憶されている差が、前記第1階調に応じて決められた第1基準値である画素と、前記第2階調に応じて決められた第2基準値である画素とが交互に配置されるという条件である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記終了条件は、同一の画像の書き込みが連続して所定回数行われたという条件をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、
前記駆動制御手段が前記調整画像を書き込む際、前記メモリー制御手段は、前記第1階調から前記第2階調へと変化させる画素について、a回よりも少ない残回数を前記第3メモリーに書き込み、前記第2階調から前記第1階調へと変化させる画素について、b回よりも少ない残回数を前記第3メモリーに書き込む
ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、
前記第1基準値と前記第2基準値との差は、aとbのうち大きいものと等しい
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記複数の画素の各々は、a回の電圧印加で前記第1階調から前記第2階調へ変化し、b回の電圧印加で前記第2階調から前記第1階調へ変化し、
前記a回と前記b回のうち、大きいほうの回数と、前記第1階調に応じて決められた第1基準値と前記第2階調に応じて決められた第2基準値との第1の差について、当該第1の差と前記回数との第2の差がしきい値以下である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記駆動制御手段は、前記クリーンアップ処理において、前記バランス調整処理後であって、各画素の階調が前記第2階調であるときに、更に前記第2電圧の電圧印加を所定の回数行う
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記所定の画像は、各画素の階調が前記第1階調である画像と、各画素の階調が前記第2階調である画像とを含む
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記複数の画素と
を有する電気光学装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電気光学装置を有する電子機器。
【請求項17】
所定の期間を単位とする複数回の電圧印加により階調が第1階調から第2階調に変化する複数の画素と、制御装置と、現在の階調値を記憶した第1メモリー、次に表示される階調値を記憶した第2メモリー、電圧印加の残回数を記憶した第3メモリー、および前記画素を前記第1階調へ変化させる第1電圧の印加回数と前記第2階調へ変化させる第2電圧の印加回数との差を記憶した第4メモリーとを有する電気光学装置の制御方法であって、
前記複数の画素のうち処理対象となる対象画素について、前記第3メモリーに記憶されている残回数がゼロ以外の値である場合に、前記制御装置が、当該残回数を、前記第2メモリーに記憶されている階調値に応じて決められた設定値に書き換えるステップと、
所定のタイミングで、現画像から調整画像に書き換えるバランス調整処理を含み、所定の画像を表示するクリーンアップ処理を前記制御装置が行うステップとを有し、
前記バランス調整処理において、前記制御装置は、前記差が所定値以外の画素について、前記差が所定値に対して所定の範囲に収まるまで電圧印加を行わせ、前記現画像の階調と異なる階調に書き換える
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−104899(P2013−104899A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246622(P2011−246622)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】