説明

制御装置及びその制御方法

【課題】原画像に対する拡大率の異なる画像間のコントラストの差を低減することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の制御装置は、液晶パネルと、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するバックライトと、を備える表示装置を制御する制御装置であって、第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする制御手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの背面側に配置されたバックライト、それらを制御する制御回路などを有する。
近年、バックライトを複数の分割領域(発光ブロック)に分割し、発光ブロック毎に輝度を制御する技術が開発されている。これにより、液晶表示装置で表示する画像のコントラストを向上したり、消費電力を低減することが可能となる。このような技術は、ローカルディミングと呼ばれる。
【0003】
ローカルディミングでは、発光ブロック毎に画像データが分割され、発光ブロック毎の画像データの統計量(例えば、最大階調値)が取得される。そして、発光ブロック毎に、取得した最大階調値(最大輝度値)に基づいて、その発光ブロックの輝度が決定される。それにより、輝度値が高い画像データの領域で発光ブロックの輝度が高くされ、輝度値が低い画像データの領域で発光ブロックの輝度が低くされる。また、発光ブロック毎に、決定した輝度に基づいて、例えば発光ブロック毎に最明部の輝度(表示輝度)が変化しないように、画像データに補正処理が施される。このようなローカルディミングは、例えば、特許文献1に開示されている。
ローカルディミングに関する従来技術は、例えば、特許文献2にも開示されている。
特許文献2に開示の技術では、画像データから発光ブロック毎に代表階調値が算出される。そして、代表階調値が基準値以上の発光ブロックが少ないほど、該発光ブロックの輝度が高くされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−258403号公報
【特許文献2】特開2009−265671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像編集アプリケーションや画像表示アプリケーションは、一般に、画像を拡大して表示する機能を有する。
しかしながら、上述した従来技術では、1つの発光ブロックを1つの発光単位として、発光単位毎に、その発光単位の輝度を調整することにより、コントラストが調整される。
そのため、従来のローカルディミングを行って画像を表示すると、画像の拡大率によってコントラストが変わってしまう。例えば、原画像と、原画像を2倍に拡大した拡大画像とで、画像の表示サイズに対する発光単位のサイズの割合が変わってしまう(1つの発光単位に対応する画像の領域が変わってしまう)。画像の表示サイズに対して発光単位のサイズが小さい場合の方が、コントラストがより細かく調整されるため、原画像と拡大画像とでコントラストが変わってしまう。
このようなコントラストの違いは、ユーザに違和感を与えるため、好ましくない。特に、表示されている画像を、拡大率を変更して表示する場合(同じ画像を拡大率を変えて表示する場合)に、上記コントラストの違いはユーザに感知されやすく、ユーザに違和感を与える。
【0006】
また、画像編集アプリケーションや画像表示アプリケーションは、一般に、複数の画像
を共に表示する機能を有する。
特に、原画像に対する拡大率の異なる複数の画像を共に表示すると、上述した理由から、それらの画像のコントラストに差が生じてしまう。このようなコントラストの差(共に表示されている画像間のコントラストの差)は、ユーザに感知されやすく、違和感を与える。
【0007】
本発明は、原画像に対する拡大率の異なる画像間のコントラストの差を低減することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の制御装置は、
液晶パネルと、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するバックライトと、を備える表示装置を制御する制御装置であって、
第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする制御手段
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の制御装置の制御方法は、
液晶パネルと、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するバックライトと、を備える表示装置を制御する制御装置の制御方法であって、
第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする制御ステップ
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原画像に対する拡大率の異なる画像間のコントラストの差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る画像表示装置の構造の一例を示す模式図
【図2】実施例1に係るバックライトの光源の配置の一例を示す模式図
【図3】実施例1に係る画像表示システムの構成を表すブロック図
【図4】実施例1に係る制御部の処理フローの一例を示すフローチャート
【図5】実施例1に係る拡大画像統計量の算出方法の一例を示す図
【図6】実施例1に係る拡大画像統計量算出部の処理の一例を示す図
【図7】実施例1に係る表示画面と分割領域の一例を示す図
【図8】実施例1に係る原画像統計量のリストの一例を示す図
【図9】実施例1に係る拡大画像統計量のリストの一例を示す図
【図10】実施例1に係る拡大画像統計量算出部の処理の一例を示す図
【図11】実施例2に係る領域指定部の処理フローの一例を示すフローチャート
【図12】実施例2に係る領域指定部の処理の一例を示す図
【図13】実施例2に係る領域指定部の処理の一例を示す図
【図14】実施例3に係る領域指定部の処理の一例を示す図
【図15】実施例4に係る表示領域決定処理の流れの一例を示すフローチャート
【図16】実施例4に係る調整前後の画像の表示領域の一例を示す図
【図17】実施例5に係る画像表示システムの構成を表すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の制御装置及びその制御方法の具体的な実施例について説明する。本実施例に係る制御装置は、表示装置を制御する。
【0013】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る画像表示装置2(表示装置)の構造を模式的に表した図である。図1に示すように、画像表示装置2は、バックライト101、拡散板201、光学シート202、液晶パネル301などを有する。
バックライト101から発せられた光は、拡散板201で拡散され、さらに光学シート202で光の指向性が制御されて、液晶パネル301の背面に入射する。液晶パネル301は、入射した光の透過率を変化させることで画像を表示する。
【0014】
図2は、バックライト101の光源の配置を示す模式図である。バックライト101は、点線で示された分割領域102毎に光源103を有する。バックライト101は、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光する。そして、発光単位毎に、その発光単位の(バックライトの)発光輝度に基づいて、該発光単位の領域内の液晶素子の透過率(バックライトからの光の透過率)が制御される。それにより、表示画像(表示された画像)全体のコントラストが向上される。本実施例では、バックライト101は、初期状態において、1つの分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するものとする。なお、本実施例では、1つの分割領域102に1つの光源103が配置されているが、1つの分割領域102内に複数の光源103が配置されていてもよい。
【0015】
図3は、本発明の実施例1に係る画像表示システムの構成を表すブロック図である。
本実施例に係る画像表示システムは、画像出力装置1(制御装置)および画像表示装置2より構成されている。本実施例では、画像出力装置1がパーソナルコンピュータ、画像表示装置2が液晶表示装置の場合を例として説明する。
【0016】
まず、画像出力装置1の各ブロックについて説明する。
画像保持部11は、画像を構成するデータ(画像データ)を蓄積・保持する。
画像保持部11は、制御部13からの指示に応じて、指定された画像データを合成部15あるいはスケーリング部14へ出力する。
ユーザ操作受信部12は、ユーザ操作に応じた信号を受信する。例えば、画像出力装置1に接続されるマウスやキーボードなどからユーザ操作に応じた信号(ユーザ操作を表す情報;操作情報)が受信される。
【0017】
制御部13は、ユーザ操作受信部12で受信された操作情報に応じて、各ブロックへの命令およびブロック間のデータ通信を制御する。制御部13の詳細な処理内容については後述する。
【0018】
スケーリング部14は、ユーザ操作受信部12で受信された操作情報が拡大操作情報であった場合、画像保持部11から入力された画像データを、ユーザ操作に応じた拡大率で拡大するスケーリング処理(拡大処理)を施して出力する。拡大操作情報は、画像を拡大して表示する操作が行われた場合に受信される情報である。
また、スケーリング部14は、画像の一部の領域を拡大して表示するユーザ操作が行われた場合には、入力された画像データからユーザに選択された一部の領域のデータを抽出し、抽出したデータに対して拡大処理を施す。
また、スケーリング部14は、入力された画像データに基づく画像内のどの領域を拡大したかを表す拡大領域情報と拡大率を出力する。
【0019】
合成部15は、画像保持部11やスケーリング部14から入力された画像データを、必要に応じて他の画像データに合成する。例えば、合成部15は、画像編集アプリケーションや画像表示アプリケーションのウィンドウ内に上記入力された画像データに基づく画像が配置された合成画像データを生成し、出力する。なお、本実施例では、合成部15は、画像保持部11から画像データが入力された場合(即ち、原画像のデータが入力された場合)には、該画像データをそのまま出力するものとする。
また、合成部15は、上記入力された画像データに基づく画像の表示領域を表す表示領域情報を生成し、出力する。
【0020】
拡大画像統計量算出部16は、拡大率によって表示画像のコントラストが変化しないように、第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、第1画像に対する第2画像の拡大率に応じて、第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする。具体的には、第1画像を表示する場合に、発光単位のサイズは分割領域のサイズのままとされ、第2画像を表示する場合に、発光単位のサイズは第1画像に対する第2画像の拡大率で拡大したサイズへ変更される。
本実施例では、第1画像が拡大率が1倍(100%)の原画像、第2画像が原画像を拡大した拡大画像である場合を例として説明する。
なお、本実施例では、画像表示装置2の各分割領域の位置(分割領域の位置を表すアドレス)及びサイズの情報(分割領域情報)が画像出力装置1内に予め記憶されているものとする。そして、拡大画像統計量算出部16は、分割領域情報を用いて、各分割領域の位置及びサイズを把握するものとする。但し、分割領域情報は、画像表示装置2から取得されてもよい。分割領域の位置は、始点(分割領域の左上端の位置)、終点(分割領域の右下端の位置)や中心位置などであってもよい。その場合には、分割領域の位置の情報から分割領域のサイズを判断することもできるため、分割領域情報は位置の情報のみを含んでいてもよい。
【0021】
詳細は後述するが、本実施例では、画像表示装置2は、バックライトの発光輝度を、分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量を用いて決定する機能を有する(バックライト制御部24)。
そこで、本実施例では、拡大画像統計量算出部16は、拡大画像を表示する場合の各分割領域の統計量(拡大画像統計量)を算出し、通信部19を介して画像表示装置2へ送信することにより、上記変更を行う。拡大画像統計量算出部16は、原画像統計量保持部17に記憶された原画像の統計量、スケーリング部14から取得した拡大領域情報と拡大率、及び、合成部15から取得した表示領域情報を用いて当該処理を行う。具体的には、拡大画像統計量算出部16は、バックライト制御部24で、上記拡大された発光単位に含まれる分割領域の統計量として、該発光単位に対応する原画像統計量保持部17に記憶された発光単位の統計量が使用されるように、画像表示装置2に指示する。
【0022】
原画像統計量保持部17は、原画像を表示する場合の、原画像の発光単位毎(分割領域毎)の統計量を取得し、記憶する。本実施例では、原画像の統計量は、画像表示装置2から通信部19を介して取得されるものとするが、原画像の統計量は画像出力装置1内で算出されてもよい。例えば、画像保持部11から出力される画像データ(原画像の画像データ)から統計量が算出されてもよい。
【0023】
画像データ出力部18は、合成部15から出力された画像データを外部(画像表示装置2)へ出力する。
通信部19は、画像表示装置2(通信部25)との間でデータの送受信を行う。
統計量出力部20は、原画像統計量保持部17に記憶された原画像の統計量をLAN等の外部のネットワークに出力するインターフェースである。
【0024】
次に、画像表示装置2の各ブロックについて説明する。
画像データ入力部21は、外部より入力した入力画像データを画像処理部23および統計量検出部22へ出力する。
【0025】
統計量検出部22は、入力画像データから、分割領域毎に、その分割領域の画像データの最大値(最大階調値)を統計量として算出し、画像処理部23およびバックライト制御部24へ出力する。分割領域毎の統計量は、例えば、リストの形式で各ブロックに出力される。なお、統計量は、最大階調値でなく、平均値最頻値、ヒストグラムなどであってもよい。本実施例では、階調値は0〜255の値をとるものとする。
また、通信部25より拡大画像統計量の入力があった場合には、統計量検出部22は、入力された統計量をそのまま画像処理部23およびバックライト制御部24へ出力する。
【0026】
画像処理部23は、統計量検出部22から入力された統計量を用いて、入力画像データに画像処理を施し、該画像処理が施された画像データを出力画像データとして液晶パネル301へ出力する。
具体的には、以下の式1を用いて、画素毎に、その画素の入力階調値(入力画像データの階調値)LinNと、その画素が属す分割領域の最大階調値LinMAX(統計量)とから、出力階調値(出力画像データの階調値)LoutNが算出される。

outN=LinN×(255/LinMAX)・・・(式1)

即ち、分割領域毎に、最大階調値(出力階調値LoutNの最大値)が255となるように、入力階調値LinNのヒストグラム伸長が行われる。
【0027】
バックライト制御部24は、分割領域102毎に、統計量検出部22から入力された統計量に基づいて、発光量(発光輝度)を算出し、算出結果をバックライト制御情報としてバックライト101へ出力する。
具体的には、以下の式2を用いて、分割領域毎に、その分割領域の最大階調値LinMAX(統計量)と、バックライトの最大発光量BMAX(設定可能な発光量の最大値)とから、発光量Bが算出される。

B=BMAX×(LinMAX/255)・・・(式2)

なお、式2では、統計量と発光量Bの関係は比例関係にあるが、これに限定するものではない。統計量の増加に対して発光量Bが指数関数的に増加するように発光量Bが算出されてもよい。また、式1では、入力階調値と出力階調値は比例関係にあるが、入力階調値と出力階調値の関係もこれに限るものではない。画像処理部23、バックライト制御部24の処理の方法としては、従来行われているローカルディミングの手法を適宜利用することができる。
【0028】
バックライト101は、バックライト制御部24からのバックライト制御情報に基づいて、各光源103を発光させる。具体的には、バックライト101は、分割領域毎に、その分割領域内の光源103を、その分割領域に対して算出された発光輝度で発光させる。
液晶パネル301は、出力画像データに基づいて各液晶素子の透過率を制御する。そして、液晶パネル301は、バックライト101から照射された光を透過して、出力画像データに基づく画像を表示する。
【0029】
ここで、画素の画面上の階調値L(表示輝度値;表示階調値)、その画素の出力階調値LoutN、及び、その画素が属す分割領域の発光量Bの関係は、以下の式3となる。

L=LoutN×(B/BMAX)・・・(式3)

式1〜3から(具体的には、式3に式1および式2を代入することにより)、LとLinNの値が等しいことが分かる。即ち、バックライト制御部24の処理によりバックライトの発光量が変化しても、画像の階調値が保たれるように制御されていることがわかる。
【0030】
通信部25は、画像出力装置1(通信部19)との間でデータの送受信を行う。
【0031】
以上のように、バックライト制御部24によって発光量を制御し、画像処理部23において入力画像データに対して画像処理を施すことで、ローカルディミングが実現される。
また、上述したように、ローカルディミングにおいては、統計量検出部22からの統計量に基づいて、画像処理部23およびバックライト制御部24において出力画像データおよびバックライトの発光量が決定される。
そのため、原画像のデータから得られた統計量(分割領域毎の統計量)を、拡大画像の対応する領域の統計量として用いれば、原画像と拡大画像とのコントラストを一致させることが可能となる。
【0032】
次に、図4を用いて、本システムにおいてユーザが画像選択操作(原画像表示指示)および画像の拡大操作を行った場合の、制御部13の処理フローを説明する。
【0033】
ユーザが画像選択操作(画像の選択)をすると、制御部13は、ユーザ操作受信部12から画像選択操作を表す情報(画像選択操作情報)を受信する(ステップS101)。
次に、制御部13は、画像保持部11に対し、選択された画像のデータを合成部15に出力するよう指示する。その後、選択された画像のデータが画像表示装置2へ出力され、該データに基づく画像(原画像)が表示される(ステップS102)。
そして、制御部13は、通信部19へ統計量取得要求を出力する。それにより、該要求が画像表示装置2へ出力され、画像表示装置2からの応答信号として、原画像の発光単位毎(分割領域毎)の統計量が取得される(ステップS103)。
次に、制御部13は、通信部19を介して取得した原画像の統計量を原画像統計量保持部17へ出力する。それにより、原画像の発光単位毎の統計量(原画像統計量)が原画像統計量保持部17に記憶される(ステップS104)。
【0034】
ユーザが画像の拡大操作(画像の拡大)をすると、制御部13は、ユーザ操作受信部12から拡大操作を表す情報(拡大操作情報)を受信する(ステップS105)。拡大操作情報は、例えば、拡大率、拡大して表示する画像の領域の情報(拡大領域情報)を含む。
次に、制御部13は、画像保持部11に対し、選択された画像のデータをスケーリング部14に出力するよう指示する(ステップS106)。
そして、制御部13は、スケーリング部14へ拡大操作情報を出力する。それにより、スケーリング部14で、選択された画像のデータに拡大処理が施される。そして、アプリケーションのウィンドウに拡大処理された画像が合成された合成画像データが表示装置へ出力される(ステップS107)。
次に、制御部13は、原画像統計量保持部17から原画像統計量を読み出し、拡大画像統計量算出部16へ出力する(ステップS108)。
そして、制御部13は、スケーリング部14から拡大領域情報と拡大率を取得し、拡大画像統計量算出部16へ出力する(ステップS109)。
次に、制御部13は、合成部15から表示領域情報を取得し、拡大画像統計量算出部16へ出力する(ステップS110)。
そして、制御部13は、拡大画像統計量算出部16にて算出された拡大画像統計量を通信部19へ出力する。それにより、拡大画像統計量算出部16にて算出された拡大画像統
計量が表示装置へ出力される。そして、拡大画像統計量算出部16で算出された拡大画像統計量を用いてローカルディミングが行われ、拡大画像が表示される(ステップS111)。
【0035】
次に、図5を用いて、拡大画像統計量算出部16の拡大画像統計量の算出方法について説明する。
以下では、画像表示装置2の分割領域の数がM×N個(M,Nは2以上の整数)の場合の例について説明する。Mは水平方向の分割領域の数、Nは垂直方向の分割領域の数である。
【0036】
図5(A)は、拡大操作によって選択された選択領域501(拡大表示する領域)を示す図である。図5(A)の例では、選択領域501の最も左上に位置する分割領域の位置(選択領域501の始点)は、X=a、Y=bである(a,bは、1≦a≦M,1≦b≦Nの整数)。Xは、その分割領域が水平方向に左から何番目の分割領域かを示す。Yは、その分割領域が垂直方向に上から何番目の分割領域かを示す。図5(A)の例では、選択領域501は、m×n個の分割領域を含む。Lg(a,b)は、X=a、Y=bの分割領域に対して得られた原画像の統計量(原画像統計量保持部17が保持する原画像の統計量)を示す。
【0037】
図5(B)は、拡大画像の表示領域502を示す図である。図5(B)の例では、拡大画像の表示領域の始点は、X=p、Y=qである。
ここで、拡大操作が選択領域501の画像をT倍に拡大して表示する操作であった場合(即ち、拡大操作で指定された拡大率がT×100%であった場合)、拡大画像の表示領域のサイズは(m×T)×(n×T)となる。
【0038】
拡大画像統計量算出部16は、1つの発光単位のサイズが、1つの分割領域のサイズからT×T個の分割領域からなる領域のサイズになるように、分割領域毎の統計量(拡大画像統計量)を算出する。具体的には、拡大画像統計量算出部16は、以下の式4によって表示領域502内の分割領域(X=x、Y=y(p≦x<(p+m×T)、q≦y<(q+n×T)の分割領域)の統計量Lk(x,y)を算出する。なお、式4において、(x−p)/T、(y−q)/Tの小数点以下は切り捨てるものとする。

Lk(x,y)=Lg(a+(x−p)/T,b+(y−q)/T)・・・(式4)

以上のように、拡大された発光単位に含まれるT×T個の分割領域に対して、拡大画像統計量として、該発光単位に対応する原画像統計量保持部17に記憶された発光単位の統計量(原画像統計量)が割り当てられる。例えば、X=p〜p+T、Y=q〜q+TのT×T個の分割領域に対して、拡大画像統計量として、Lg(a,b)が割り当てられる。
【0039】
画像処理部23およびバックライト制御部24において、X=p、Y=qの分割領域の統計量として、統計量Lk(p,q)を用いることで、拡大画像と原画像の画像処理内容、バックライト発光量を一致させることができる。その結果、拡大画像と原画像のコントラストを一致させることができる。例えば、X=p〜p+T、Y=q〜q+Tの分割領域に表示される拡大画像は、X=a、Y=bの分割領域に表示される原画像に対応する。本実施例では、X=p〜p+T、Y=q〜q+Tの分割領域の統計量として、Lg(a,b)が用いられる。そのため、X=p〜p+T、Y=q〜q+Tの分割領域に表示される拡大画像とX=a、Y=bの分割領域に表示される原画像とのコントラストを一致させることができる(図6)。
【0040】
次に、システム全体の動作の具体例について説明する。
図7(A)は、原画像を表示するユーザ操作(原画像の選択)が行われた場合の表示画面例と各分割領域(点線)を模式的に表した図である。図7(A)の例では、分割領域の数が32×18個である。また、図7(A)の例では、始点をX=18、Y=9とする、5×4個の分割領域を含む領域が選択領域501として選択されている。
図8は、図7(A)の原画像を表示する際に統計量検出部22が検出した各分割領域の統計量Lg(原画像統計量)のリストを示す。この統計量のリストは、画像表示装置の各ブロックへ出力される。
【0041】
図7(B)は、選択領域501の画像を4倍に拡大して表示するユーザ操作があった場合の表示画面例と各分割領域を模式的に表した図である。図7(B)の例では、拡大画像の表示領域502は、始点をX=3、Y=2とする、20×16個の分割領域を含む。即ち、図7(B)の例では、画面の少なくとも一部の領域に拡大画像が表示されている。本実施例の方法では、拡大画像が表示される領域のみ発光単位のサイズが大きくされる。
図9は、図8の統計量Lgから算出された、表示領域502内の各分割領域の統計量(拡大画像統計量)のリストを示す。
表示領域502内の各分割領域の統計量は、上述したように、式4を用いて算出される。たとえば、X=10、Y=15の分割領域の統計量Lk(10,15)は、式4から、

Lk(10,15)
=Lg(18+(10−3)/4,9+(15−2)/4)
=Lg(19,12)

となる。
その結果、拡大された発光単位に含まれる4×4個の分割領域に対して、拡大画像統計量として、該発光単位に対応する原画像統計量保持部17に記憶された発光単位の統計量(原画像統計量)が割り当てられる。例えば、図10に示すように、X=3〜6、Y=2〜5の4×4個の分割領域に対して、拡大画像統計量として、Lg(18,9)が割り当てられる。
【0042】
図9のリストには、統計量として表示領域502の統計量Lkのみが含まれている。図9のリストは、拡大画像の表示領域502用の統計量(拡大画像統計量)として画像表示装置2へ出力される。
統計量検出部22は、拡大画像統計量が入力されると、表示領域502の統計量として、入力された拡大画像統計量を画像処理部23およびバックライト制御部24へ出力する。
【0043】
画像処理部23は、統計量検出部22から統計量が入力されると、画像データ入力部21からの入力画像に対し分割領域ごとに画像処理を施し、出力画像として液晶パネル301へ出力する。
ここで、表示領域502の1つの発光単位の統計量Lkは選択領域501の対応する1つの発光単位の統計量Lgと同じ値が設定されている。そのため、表示領域502と選択領域501とで出力階調値LoutN(式1から得られる値)は同様の値となる(適用される画像処理が一致する)。
【0044】
バックライト制御部24は、統計量検出部22からの統計量に基づき、分割領域102ごとの発光量を求め、バックライト制御情報としてバックライト101へ出力する。
ここで、表示領域502の1つの発光単位の統計量Lkは選択領域501の対応する1つの発光単位の統計量Lgと同じ値が設定されている。そのため、表示領域502と選択領域501の発光量B(式2から得られる値)は同様の値となる。
バックライト101は、バックライト制御部24からのバックライト制御情報に基づい
て、分割領域102ごとに光源103を発光させる。
【0045】
液晶パネル301は、バックライト101から照射された光を変調して、画像処理部23からの出力画像データに基づく画像を画面上に表示する。
ここで、表示領域502と選択領域501の出力階調値LoutNおよび発光量Bは同様の値が設定されているため、表示領域502と選択領域501の液晶パネル301上の表示階調値L(式3から得られる値)は同様の値となる。
以上の結果から、原画像と拡大画像のコントラストの差を低減することができる。
【0046】
以上述べたように、本実施例によれば、第2画像(拡大画像)を表示する場合に、発光単位のサイズが、分割領域のサイズを第1画像(原画像)に対する第2画像の拡大率で拡大したサイズへ変更される。それにより、第1画像と第2画像のコントラストの差を低減することができる。
【0047】
なお、本実施例では、分割領域のサイズを第1画像に対する第2画像の拡大率で拡大したサイズへ変更するものとしたが、これに限らない。第2画像を表示する場合に、第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくすれば、画像の表示サイズに対する発光単位のサイズの割合が第1画像を表示する場合の割合に近づくため、第1画像と第2画像のコントラストの差を低減することができる。
なお、本実施例では、画像出力装置1により拡大画像統計量が算出される構成としたが、この構成に限らない。画像出力装置1により分割領域毎の発光量が算出され、該算出された発光量でバックライトが発光するように、画像出力装置1から画像表示装置2へ指示されてもよい。
なお、本実施例では、第1画像が拡大率100%の原画像、第2画像が原画像を拡大した拡大画像である場合について説明したが、第1,2画像はこれに限らない。第1画像は、原画像を縮小した画像や原画像を拡大した画像であってもよい。第2画像は第1画像を拡大した画像であればよい。
なお、本実施例では、第2画像が表示される領域のみ発光単位のサイズが大きくされる構成としたが、この構成に限らない。少なくとも第2画像が表示される領域の発光単位のサイズが大きくされればよく、例えば、画面全領域の発光単位のサイズが大きくされてもよい。
なお、本実施例では、原画像を表示する際に、合成部15が入力された画像データ(原画像のデータ)を、合成処理を施さずにそのまま画像データ出力部18へ出力する構成としたが、この構成に限らない。合成部15は、原画像とアプリケーションのウィンドウとが合成された合成画像データを生成し、出力してもよい。また、原画像を表示する際に、画像保持部11から(他の機能ブロックを介さずに)画像データ出力部18へ画像データが送られてもよい
なお、本実施例では、画像出力装置1と画像表示装置2が別体の場合について説明したが、画像出力装置1と画像表示装置2は一体であってもよい。
なお、本実施例では、画像データが装置内に蓄えられているものとしたが、画像データは、LAN等の外部のネットワークあるいはSDカードUSBメモリーといったメディアから取得されてもよい。
なお、本実施例では、初期状態において、1つの分割領域が1つの発光単位とされる構成としたが、この構成に限らない。初期状態において、複数の分割領域からなる領域が1つの発光単位とされてもよい。例えば、第1画像を表示する際に1×2個の分割領域からなる領域が1つの発光単位とされていてもよい。
【0048】
<実施例2>
実施例1では、画像出力装置内で拡大画像統計量を算出する例について説明した。本実施例では、画像出力装置が、画像表示装置が統計量を取得する際に参照する領域(統計量
取得領域)を制御することにより、第1画像(原画像)と第2画像(拡大画像)のコントラストを一致させる。なお、実施例1と同様の処理については説明を省略する。
【0049】
本実施例に係る画像表示装置は、実施例1と同様に、分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量を取得する機能を有する(統計量検出部22)。また、本実施例に係る画像表示装置は、実施例1と同様に、分割領域毎に、上記取得された統計量を用いて、バックライトの発光輝度を決定する機能を有する(バックライト制御部24)。
なお、本実施例では、統計量検出部22は、分割領域毎に、その領域に対して設定された領域指定情報に基づいて、統計量を取得する。領域指定情報は、統計量を取得する領域(統計量取得領域)を示す情報である。初期状態において、分割領域の領域指定情報は、その分割領域を表す。そのため、初期状態では、分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量が取得される。
本実施例では、領域指定情報は、分割領域毎に、統計量取得領域の始点(統計量取得領域を含む分割領域のうち、最も左上の分割領域の位置)と、終点(統計量取得領域を含む分割領域のうち、最も右下の分割領域の位置)とを含むものとする。
【0050】
本実施例に係る画像出力装置は、実施例1の拡大画像統計量算出部16の代わりに、領域指定部を有する。
領域指定部は、表示領域情報(原画像や拡大画像の表示領域の情報)と、表示する画像の原画像に対する拡大率とを用いて、領域指定情報を生成して出力する。例えば、領域指定部は、拡大画像を表示する場合に、拡大された発光単位に含まれる分割領域の統計量を、該発光単位の領域から取得するように、統計量検出部22に指示する。
なお、本実施例では、表示領域情報と拡大率は、合成部15から出力されるものとする。具体的には、合成部15は、画像の表示領域を表す情報にその領域の拡大率が対応付けられた情報を出力する。
【0051】
図11は、領域指定部の動作を表すフローチャートである。
領域指定部は、表示領域情報が入力されると、まず各分割領域の領域指定情報をすべて0に初期化する(ステップS201)。
次に、領域指定部は、Yを1にリセットし(ステップS202)、Xを1にリセットする(ステップS203)。
そして、領域指定部は、(X,Y)の分割領域の領域指定情報を読み出し、0以外の値が設定されているかを判定する(ステップS204)。
領域指定情報に0が設定されていた場合、ステップS205へ処理が進められる。領域指定情報に0以外が設定されていた場合、ステップS209へ処理が進められる。
【0052】
ステップS205では、領域指定部は、(X,Y)の分割領域に表示される画像の拡大率を判断する。具体的には、(X,Y)の分割領域が拡大率400%の拡大画像の表示領域を含む分割領域である場合には、拡大率が400%であると判断される。また、(X,Y)の分割領域がアプリケーションのウィンドウの領域など、原画像や拡大画像を含まない領域である場合には、拡大率が100%であると判断される。
次に、領域指定部は、ステップS205で判断(取得)された拡大率の値(400%の場合は400)を100で除算した値nを求める(ステップS206)。
【0053】
そして、領域指定部は、得られた値nから、統計量取得領域を求める(ステップS207)。具体的には、始点が現在の(X,Y)、終点が(X+n−1,Y+n−1)の領域が統計量取得領域とされる。換言すれば、X〜X+n−1且つY〜Y+n−1の複数の分割領域がグループ化される。
次に、領域指定部は、求めた統計量取得領域の始点と終点の値を、該領域に含まれる分割領域の領域指定情報として設定する(ステップS208)。即ち、グループ化された複
数の分割領域からなる領域の情報が、該複数の分割領域の夫々の領域指定情報として設定される。そして、ステップS209へ処理が進められる。
例えば、X=2,Y=3の拡大率の値が400であった場合、n=4が得られ、始点(2,3)、終点(5,6)が求められる。そして、これら始点と終点の値が、X=2〜5且つY=3〜6の16個の分割領域の領域指定情報として設定される。
【0054】
ステップS209では、領域指定部は、Xの値が統計量取得領域の終点であるかを判断する。終点でなかった場合、領域指定部は、Xに1を加えて(ステップS210)、ステップS204に戻る。終点であった場合、領域指定部は、Yの値が統計量取得領域の終点であるかを判断する(ステップS211)、終点でなかった場合、Yに1を加えて(ステップS212)、ステップS203に戻る。終点であった場合、分割領域毎の領域指定情報を出力し(ステップS213)、領域指定部は処理を終了する。
以上のように設定された領域指定情報は、通信部19,25を介して統計量検出部22に入力される。
【0055】
図12を用いて、領域指定部の処理の具体例について説明する。
図12(A)は、表示画面例である。領域1201はアプリケーションウィンドウの表示領域、領域1202は、原画像に対して4倍に拡大された画像の表示領域である。
図12(B)は、図12(A)の表示を行う場合の表示領域情報を表す。図中、点線は、分割領域を表す。図12(B)の例では、始点(3,4)、終点(18,15)の領域の情報が表示領域情報とされる。そして、該情報と、拡大率400%が対応付けられて領域指定部へ入力される。領域指定部では、表示領域情報で表される領域以外の領域は、アプリケーションウィンドウなどの領域であると判断される。なお、表示領域情報は、画像(拡大画像、原画像)の領域の情報とアプリケーションウィンドウの領域の情報との両方を含んでいてもよい。
【0056】
図12(C)は、上記表示領域情報及び拡大率を用いて図11の処理を行った結果を示す。図12(C)の細線は、グループ化された分割領域を表す。
図12(C)に示すように、アプリケーションウィンドウの表示領域では、1つの分割領域が1つのグループとされる。そして、拡大率400%の拡大画像の表示領域では、4×4=16個の分割領域が1つのグループとされる。
例えば、X=2、Y=3の分割領域に表示される画像はアプリケーションウィンドウであるため、拡大率の値は「100」となる。したがって、X=2、Y=3の領域指定情報は始点(2,3)、終点(2,3)となり、1つの分割領域が1つのグループとされる。
また、X=3、Y=4の分割領域に表示される画像は拡大率400%の画像であるため、拡大率の値は「400」となる。したがって、X=3、Y=4の領域指定情報は、始点(3,4)、終点(6,7)となり、4×4の分割領域が1つのグループとされる。なお、始点(3,4)、終点(6,7)の領域指定情報は、X=3〜6、Y=4〜7の16個の分割領域に設定される。
【0057】
次に、統計量検出部22の動作について説明する。
統計量検出部22は、分割領域毎に、領域指定情報で示された領域の画像データの統計量を取得する。例えば、アプリケーションウィンドウの領域では、分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量が取得される。領域指定情報が4×4の分割領域からなる領域を示す場合には、該4×4の分割領域からなる領域に表示される画像の統計量が取得される。
その後、実施例1と同様に、画像処理部23、バックライト制御部24で分割領域毎にその分割領域に対して算出された統計量を用いた処理が行われる。
【0058】
以上述べたように、本実施例によれば、第2画像(拡大画像)を表示する場合に、発光
単位のサイズが、分割領域のサイズを第1画像(原画像)に対する第2画像の拡大率で拡大したサイズへ変更される。それにより、第1画像と第2画像のコントラストの差を低減することができる。
【0059】
具体的には、拡大率100%の原画像の表示領域では、分割領域毎に、その分割領域が統計量取得領域とされる。そして、拡大率400%の拡大画像の表示領域では、分割領域の4倍の領域が統計量取得領域とされる。
拡大画像は、原画像を水平方向、垂直方向にそれぞれ4倍に拡大した画像であるので、原画像表示時に1つの分割領域に表示されていた画像は、拡大画像表示時に4×4の16個の分割領域からなる領域に表示される。そのため、上述したように統計量を取得することで、原画像表示時と拡大画像表示時とで統計量を一致させることができ、原画像と拡大画像のコントラストの差を低減することができる。
【0060】
なお、図12の例では、画像の縁が分割領域の縁と一致する場合を例示したが、画像の縁と分割領域の縁とは一致していなくてもよい。
図13は、拡大率400%の拡大画像の領域1204の縁が分割領域の縁と一致していない場合の例である。
この場合、拡大画像の領域1202を一部でも含んでいる分割領域に対して、拡大率が400%であると判断すればよい。それにより、図13に示すように分割領域がグループ分けされる。
【0061】
なお、第1画像が拡大率100%の原画像、第2画像が原画像を拡大した拡大画像である場合について説明したが、第1,2画像はこれに限らない。第1画像は、原画像を縮小した画像や原画像を拡大した画像であってもよい。第2画像は第1画像を拡大した画像であればよい。例えば、拡大率が50%の画像を第1画像、拡大率が200%の画像を第2画像としてもよい。その場合には、第1画像の表示領域を含む分割領域の拡大率の値を「100」とし、第2画像の表示領域を含む分割領域の拡大率の値を(200/50)×100=「400」とすればよい。
なお、表示領域情報、領域指定情報は、領域(分割領域、統計量取得領域)の位置とサイズを表す情報であれば、本実施例に記載した情報でなくてもよい。
【0062】
<実施例3>
従来のローカルディミングを行った場合の、原画像に対する拡大率の異なる画像間のコントラストの違いは、それらの画像を同時に表示しているときにユーザに感知されやすい。そこで、本実施例では、第1画像に対する拡大率が互いに異なる複数の画像を共に表示している場合に、発光単位のサイズを大きくする処理を行う。なお、実施例1,2と同様の処理については説明を省略する。
【0063】
まず、実施例1の方法で発光単位のサイズを大きくする場合について説明する。
【0064】
スケーリング部14は、拡大率の異なる複数の画像を表示するユーザ操作があった場合に、ユーザ操作に応じて、原画像から拡大率の異なる複数の画像のデータを生成し、合成部15に出力する。他の処理は実施例1,2と同様のため、説明は省略する。
合成部15は、スケーリング部14から複数の画像データが入力された場合に、それらの画像データを合成し、合成画像データを生成する。例えば、アプリケーションウィンドウ内に拡大率が異なる複数の画像が互いに重なりあわないように配置された合成画像データが生成され、出力される。他の処理は実施例1,2と同様のため、説明は省略する。
【0065】
拡大画像統計量算出部16は、第1画像に対する拡大率が互いに異なる複数の画像を同時に表示する場合にのみ、画像毎に、拡大画像統計量の算出処理を行う。処理の方法は実
施例1と同様のため、説明は省略する。
原画像統計量保持部17は、実施例1と同様に、第1画像の分割領域毎の統計量を記憶する。なお、原画像統計量保持部17は、表示されている複数の画像とは拡大率が異なる画像(例えば、表示されている複数の画像の原画像)の分割領域毎の統計量を記憶してもよい。表示されている複数の画像のうち最も拡大率の低い画像を第1画像として、該画像の分割領域毎の統計量を記憶してもよい。
【0066】
次に、実施例2の方法で発光単位のサイズを大きくする場合について説明する。
【0067】
スケーリング部14、合成部15の処理は上述したとおりである。
領域指定部は、第1画像に対する拡大率が互いに異なる複数の画像を共に表示している場合に、領域指定情報の生成を行う。領域指定情報の生成方法は、実施例2と同様のため、その説明は省略する。
【0068】
図14を用いて、領域指定部の処理の具体例について説明する。
図14(A)は、表示画面例である。領域1401はアプリケーションウィンドウの表示領域、領域1402は原画像の表示領域、領域1403は原画像に対して4倍に拡大された拡大画像の表示領域である。
図14(B)は、図14(A)の表示を行う場合の表示領域情報を表す。図中、点線は、分割領域を表す。図14(B)の例では、始点(21,13)、終点(24,15)の領域の情報が原画像の表示領域情報(第1表示領域情報)とされる。そして、第1表示領域情報と拡大率100%が対応付けられて領域指定部へ入力される。始点(3,4)、終点(18,15)の領域の情報が拡大画像の表示領域情報(第2表示領域情報)とされる。そして、第2表示領域情報と拡大率400%が対応付けられて領域指定部へ入力される。
【0069】
図14(C)は、上記表示領域情報及び拡大率を用いて図11の処理を行った結果を示す。図14(C)の細線は、グループ化された分割領域を表す。
図14(C)に示すように、アプリケーションウィンドウの表示領域及び拡大率100%の原画像の領域では、1つの分割領域が1つのグループとされる。そして、拡大率400%の拡大画像の表示領域では、4×4=16個の分割領域が1つのグループとされる。
【0070】
以上述べたように、本実施例によれば、拡大率の異なる複数の画像を表示する場合に、発光単位のサイズが変更される。それにより、コントラストの差をユーザに感知され難くするとともに、画像出力装置及び画像表示装置の処理負荷を低減することができる。
なお、本実施例では、1つの画像が入力され、入力された1つの画像から拡大率の異なる複数の画像が生成される構成としたが、この構成に限らない。複数の画像が入力され、入力された複数の画像から拡大率の異なる複数の画像が生成されてもよい。即ち、拡大率の異なる複数の画像の原画像は、それぞれ異なる画像であってもよい。
なお、本実施例では、複数の画像が1つの画面(1つの画像表示装置)に表示される場合の例について説明したが、複数の画像は、それぞれ、複数の画面(複数の画像表示装置)に表示されていてもよい。例えば、第1の画像表示装置に原画像が表示され、第2の画像表示装置に拡大画像が表示されている場合に、上記処理と同様の処理が行われてもよい。
【0071】
<実施例4>
本実施例では、画像の縁と分割領域の縁とが一致するように表示する画像の領域を決定する。本実施例に係るシステムの構成は実施例1〜3と同様のため、その説明は省略する。以下では、実施例1〜3と異なる点について説明する。
【0072】
本実施例に係る合成部15は、画像の縁と分割領域の縁とが一致するように表示する画像の領域を決定(調整)する。
合成部15による画像の表示領域を決定する処理(表示領域決定処理)の一例を図15のフローチャート、及び、図16を用いて説明する。図16は、調整前後の画像(第1,2画像)の表示領域の一例を示す。
まず、合成部15は、現在の画像(第1,2画像)の表示領域(例えばユーザに指定された領域)の始点と一致する分割領域の始点があるか否かを判定する(ステップS301)。
現在の画像の表示領域の始点と一致する分割領域の始点がある場合には、ステップS302に進む。現在の画像の表示領域の始点と一致する分割領域の始点が無い場合には、ステップS304に進む。
【0073】
ステップS302では、合成部15は、現在の画像の表示領域の始点から最も近い始点を有する分割領域を検出し、それら始点間の水平方向及び垂直方向の画素数を算出する。図16(A)の例では、位置(2,2)の分割領域が検出され、水平方向の画素数Sx、垂直方向の画素数Syが算出される。
つぎに、合成部15は、画像の表示領域をステップS302で算出した画素数だけ移動させることにより、画像の表示領域の始点と分割領域の始点とを一致させ(ステップS303)、ステップS304に進む。それにより、図16(A)の状態から図16(B)の状態へと画像の表示領域が変更される。
【0074】
ステップS304では、合成部15は、現在の画像の表示領域の終点と一致する分割領域の終点(他の分割領域の始点)があるか否かを判定する。
現在の画像の表示領域の終点と一致する分割領域の終点がある場合には、合成部15は、処理を終了する。現在の画像の表示領域の終点と一致する分割領域の終点が無い場合には、合成部15は、画像の表示領域の終点が最も違い分割領域の終点と一致するように画像のサイズ(拡大率)を変更して(ステップS305)、処理を終了する。図16(B)の例では、画像の表示領域の終点と分割領域の終点が一致しているため、そのまま処理が終了される。
【0075】
以上述べたように、本実施例によれば、画像の縁と分割領域の縁とが一致するように表示する画像の領域が決定される。それにより、分割領域毎の統計量として、画像の統計量のみを取得することが可能となり、ひいては、第1画像と第2画像のコントラストの差をより精度よく低減することが可能となる。具体的には、第1画像が画像の縁と分割領域の縁とが一致しており、第2画像が画像の縁と分割領域の縁とが一致していない場合に、発光単位内に表示される画像が第1画像と第2画像とでずれてしまうことがある。本実施例によれば、そのような画像のずれを無くすことができ、第1画像と第2画像のコントラストの差をより精度よく低減することができる。
【0076】
<実施例5>
本実施例では、画像出力装置の動作モードを、第1のモードと第2のモードを含む複数のモードから選択可能な構成について説明する。第1のモードは、1つの分割領域を1つの発光単位とする、即ち、画像表示装置に初期状態でローカルディミングを行わせるモードである。第2のモードは、第2画像を表示する場合に、第1画像に対する第2画像の拡大率に応じて、第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする、即ち、画像出力装置が上記実施例1〜4で述べた処理を行うモードである。以下では、動作モードが第1のモードと第2のモードとの間で切り替えられるものとする。
【0077】
まず、実施例1の構成に上記選択を行う機能を付加した構成について説明する。なお、実施例1と同様の機能については、説明を省略する。
図17は、本実施例に係るシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図17に示すように、本実施例に係る画像出力装置1は、実施例1(図3)の構成の他に、処理選択部9を更に有する。
処理選択部9は、ユーザ操作に応じて、第1のモードと第2のモードのいずれかを選択する。なお、初期状態において処理選択部9が選択するモードは、第1のモードと第2のモードのどちらであってもよい。本実施例では、初期状態において、処理選択部9は第1のモードを選択する。
【0078】
処理選択部9は、第1のモードを選択した場合、拡大画像統計量算出部16に対し、処理を行わないよう指示する。図17の例では、画像表示装置2では、拡大画像統計量の入力が無い場合に、1つの分割領域を1つの発光単位として動作する。そのため、上記指示を行うことにより、画像表示装置に初期状態でローカルディミングを行わせることができる。
処理選択部9は、第2のモードを選択した場合、拡大画像統計量算出部16に対し、処理を行うよう指示する。それにより、実施例1で述べたように、第2画像を表示する場合に、第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくすることができる。
【0079】
次に、実施例2の構成に上記選択を行う機能を付加した構成について説明する。なお、実施例2と同様の機能については、説明を省略する。
本実施例に係るシステムは、図17の拡大画像統計量算出部16の代わりに領域指定部を有する。
本実施例では、実施例2で合成部15から出力された拡大率(及び表示領域情報)は、領域指定部ではなく処理選択部9に入力される。
【0080】
処理選択部9は、第1のモードを選択した場合、入力された拡大率を全て100%に変更して領域指定部に出力する。それにより、領域指定部では、各分割領域の統計量取得領域をその分割領域とする領域指定情報が生成され、出力される。その結果、1つの分割領域を1つの発光単位とする(画像表示装置に初期状態でローカルディミングを行わせる)ことができる。
処理選択部9は、第2のモードを選択した場合、入力された拡大率をそのまま領域指定部に出力する。それにより、実施例2で述べたように、第2画像を表示する場合に、第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくすることができる。
【0081】
以上述べたように、本実施例によれば、画像出力装置の動作モードを第1のモードと第2のモードを含む複数のモード間で切り替えることができる。第2のモードで画像出力装置を動作させることにより、実施例1〜4で述べたように、第1画像と第2画像のコントラストの差を低減することができる。また、第1のモードで画像出力装置を動作させることにより、1つの分割領域を1つの発光単位として、即ち、発光単位のサイズを最小にしてローカルディミングが行われるため、コントラストを大きく向上させることができる。従って、画像のコントラストを大きく向上させるか、画像を拡大率によらず同じコントラストで表示させるかを、ユーザの要望に応じて選択できる。
【0082】
なお、本実施例では、ユーザ操作に応じて動作モードを選択するものとしたが、選択方法はこれに限らない。
表示する画像の数に応じて動作モードを選択してもよい。例えば、1つの画像を表示する場合には第1のモードを選択し、複数の画像を表示する場合には第2のモードを選択するようにしてもよい。
表示する画像の拡大率に応じて動作モードを選択してもよい。例えば、拡大率が所定値(例えば400%)以上の画像を表示する場合に第1のモードを選択するようにしてもよい。
表示する複数の画像間の拡大率の差に応じて動作モードを選択してもよい。例えば、表示する複数の画像間の拡大率の差が所定値(例えば200%)以上である場合に第2のモードを選択し、拡大率の差が上記所定値未満である場合に第1のモードを選択するようにしてもよい。
【0083】
なお、本実施例では、動作モードが、第1,2のモード間で切り替えられる場合について説明したが、動作モードは第3のモードを含んでいてもよい(動作モードが第3のモードへ切り替え可能であってもよい)。第3のモードは、例えば、画像表示装置2にローカルディミングを行わせないモードである。
【0084】
なお、処理選択部9の処理は上述した処理に限らない。
例えば、処理選択部9に、拡大画像統計量算出部16から拡大画像統計量が入力される構成であってもよい。その場合には、第1モードで、処理選択部9が、入力された拡大画像統計量を出力しなければよい。第2のモードで、処理選択部9が、入力された拡大画像統計量を(通信部19を介して)画像表示装置2に出力すればよい。
また、処理選択部9に、領域指定部から領域指定情報が入力される構成であってもよい。その場合には、第1モードで、処理選択部9が、予め記憶している領域指定情報(各分割領域の統計量取得領域をその分割領域とする領域指定情報)を画像表示装置2に出力すればよい。第2のモードで、処理選択部9が、入力された領域指定情報を画像表示装置2に出力すればよい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像出力装置
16 拡大画像統計量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するバックライトと、を備える表示装置を制御する制御装置であって、
第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする制御手段
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記バックライトは、初期状態において、1つの分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するものであり、
前記制御手段は、前記第1画像を表示する場合に、発光単位のサイズを前記分割領域のサイズとし、前記第2画像を表示する場合に、発光単位のサイズを、前記分割領域のサイズを前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率で拡大したサイズへ変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記バックライトの発光輝度を、分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量を用いて決定する決定手段を更に有し、
前記制御装置は、前記第1画像を表示する場合の、前記第1画像の発光単位毎の統計量を記憶する記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、前記第2画像を表示する場合に、前記決定手段で、前記拡大された発光単位に含まれる分割領域の統計量として、該発光単位に対応する前記記憶手段で記憶された発光単位の統計量が使用されるように、前記表示装置に指示する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示装置は、
分割領域毎に、その分割領域に表示される画像の統計量を取得する取得手段と、
分割領域毎に、前記取得手段で取得された統計量を用いて、前記バックライトの発光輝度を決定する決定手段と、
を更に有し、
前記制御手段は、前記第2画像を表示する場合に、前記取得手段で、前記拡大された発光単位に含まれる分割領域の統計量が、該発光単位の領域から取得されるように、前記表示装置に指示する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2画像は、画面の少なくとも一部の領域に表示されるものであり、
前記制御手段は、少なくとも前記第2画像が表示される領域の発光単位のサイズを大きくする
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1画像に対する拡大率が互いに異なる複数の画像を共に表示している場合に、前記発光単位のサイズを大きくする処理を行う
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
画像の縁と分割領域の縁とが一致するように表示する画像の領域を決定する領域決定手段
を更に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
1つの分割領域を1つの発光単位とする第1のモードと、
前記第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする第2のモードと、
を含む複数のモードのいずれかを選択する選択手段を更に有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
液晶パネルと、複数の分割領域からなり、1つ以上の分割領域を1つの発光単位として、発光単位毎に、決定された発光輝度で発光するバックライトと、を備える表示装置を制御する制御装置の制御方法であって、
第1画像を拡大した第2画像を表示する場合に、前記第1画像に対する前記第2画像の拡大率に応じて、前記第1画像を表示する場合よりも発光単位のサイズを大きくする制御ステップ
を有することを特徴とする制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−24984(P2013−24984A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158047(P2011−158047)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】