説明

制御装置

【課題】カーナビゲーションシステムやオーディオ装置等で用いる項目選択や選択した項目の決定操作と、Web閲覧等で必要となるポインタの移動操作やポインタが位置する項目の選択決定操作を、同一の装置で行うことが可能な制御装置を提供する。

【解決手段】入力手段100を備え車両1内の電子機器20を操作する制御装置1000において、入力手段100は、接触された位置を検出する接触検出手段110と、接触検出手段110の背後に配置され押下操作を検出するスイッチ手段120と、からなり、スイッチ手段120の押下操作によって出力される信号が少なくとも2つ以上あり、接触検出手段110の検出結果により、前記2つの信号のどちらか一方を出力する制御手段200とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を操作する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を代表する車両のステアリングホイール近傍に、いわゆるステアリングスイッチ等を配置し、ステアリングを握ったままステアリングスイッチを指で操作して、車両内の電子機器を操作することが広く行なわれている。例えば特許文献1に記載された入力装置は、ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチセンサを備える入力装置をステアリングに設け、前記タッチ操作に応じてカーナビゲーションシステムやオーディオ装置等の車両内における電子機器を操作するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

しかしながら、カーナビゲーションシステムやオーディオ装置等で用いる項目の選択(上下左右)操作や選択した項目の決定(エンター)操作の他に、電子機器が表示する用途が広がり、例えば、Web閲覧等を行う場合に、Web閲覧で必要となるポインタの移動操作やポインタが位置する項目の選択決定操作を行なう場合には、特許文献1に開示された装置では、項目の選択操作や選択項目の決定操作と、ポインタの移動操作やポインタが位置する項目の選択決定操作を共通した操作装置で行ないにくいという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、これらの問題点に着目し、カーナビゲーションシステムやオーディオ装置等で用いる項目選択や選択した項目の決定操作と、Web閲覧等で必要となるポインタの移動操作やポインタが位置する項目の選択決定操作を、同一の装置で行うことが可能な制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、入力手段を備え車両内の電子機器を操作する制御装置において、前記入力手段は、接触された位置を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段の背後に配置され押下操作を検出するスイッチ手段と、からなり、前記スイッチ手段の押下操作によって出力される信号が少なくとも2つ以上あり、前記接触検出手段の検出結果により、前記2つの信号のどちらか一方を出力する制御手段と、を備えたものである。
【0007】
また、前記接触検出手段は、前記制御手段が制御する被制御装置の表示部に表示されるカーソルを操作可能な操作領域を備え、前記接触検出手段の検出結果が、前記接触検出手段の前記操作領域をなぞる操作である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる制御装置によれば、カーナビゲーションシステムやオーディオ装置等で用いる項目選択や選択した項目の決定操作と、Web閲覧等で必要となるポインタの移動操作やポインタが位置する項目の選択決定操作を、同一の装置で行うことが可能な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御装置を含むシステムの構成図である。
【図2】入力装置が搭載される車両内の運転席付近の概観図である。
【図3】(a)は、入力装置の構成を示す分解斜視図であり、(b)は、本図(a)に示す各部を組み付けた後の斜視図である。
【図4】(a)は、接触センサの平面図であり、(b)は、本図(a)における接触センサにおける表面カバー、センサシート及びスペーサのA−A断面図である。
【図5】センサシートが有する第1のセンサ列及び第2のセンサ列を説明する図である。
【図6】接触センサの平面図である。
【図7】操作領域、実行条件、対応動作データの一覧を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る制御装置が実行する車載電子機器制御処理のフローチャートである。
【図9】(a)及び(b)は、操作の特徴量の一例を説明するための図である。
【図10】隆起部での操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図11】隆起部での押下操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図12】窪み部でのなぞる操作と、押下操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図13】隆起部での押下操作と、窪み部での押下操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図14】第1実施形態に係る制御装置が実行する押下操作を判別する処理のフローチャートである。
【図15】第1実施形態に係る制御装置が実行する押下操作時に実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る入力装置を、図面を参照して説明する。
【0011】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る制御装置1000は、車両1に搭載された入力手段である入力装置100と、入力装置100によって検出された検出信号を判別し、車載電子機器20を制御する制御手段である制御部200とを備えている。車両1のユーザ(通常、運転者)が、入力装置100を操作すると、その操作に応じた各種動作を車載電子機器20に実行させる。
【0012】
(車両1の構成)
車両1は、図2に示すように、ステアリング10と、車載電子機器20とを備える。
【0013】
ステアリング10は、車両1の操舵装置の一部であり、本体部11と、ステアリングホイール12とを備える。
【0014】
本体部11は、車両1の図示しないステアリングシャフトと接続されるスポーク部であり、右側に入力装置100を備える。また、本体部11には、入力装置100の形状にあわせた取付穴(図示せず)が形成されている。取付穴に入力装置100が取り付けられることにより、入力装置100の後述する操作面のみが露出する。
【0015】
ステアリングホイール12は、本体部11に取り付けられる、運転者が車両1を操舵する際に握るリング形状の部材である。
【0016】
車載電子機器20は、オーディオ装置、カーナビゲーション装置等であり、図2に示すような車両のインパネ内にはめ込まれる電子機器のほか、ダッシュボード上等に載置されるクレイドルによって車両内に着脱自在に配設される電子機器を含み、また、単に車両内に持ち込まれて車両内で動作させる電子機器を含み、スマートフォンと称される高機能携帯電話を含む。車載電子機器20は、後述する制御部200と電気的に接続され、制御部200から受信した制御信号に従って動作する。また、車載電子機器20は、その表示部21に動作に対応した画像を表示する。
【0017】
(制御装置1000の構成)
制御装置1000は、入力装置100と、制御部(軌跡情報取得手段及び装置制御手段)200と、記憶部300とを備える。
【0018】
入力装置100は、図3(a)及び(b)に示すように、接触検出手段である接触センサ110と、スイッチ手段であるスイッチ装置120とを備える。
【0019】
接触センサ110は、ユーザが、親指等でその操作面上を接触する操作(接触操作あるいは所定の軌跡を描くようになぞる操作などを含む)を行った際に、後述する制御部200の制御のもと、親指等が操作面に接触した位置を検出するタッチパッド装置であり、表面カバー111と、センサシート112と、スペーサ113と、バックライト114と、下ケース115と、上ケース116とを備える。
【0020】
表面カバー111は、アクリル樹脂等の光透過性の絶縁材料からシート状に形成され、接触操作あるいはなぞる操作が行われる際に、ユーザの指等が接触する操作面を有する。表面カバー111の操作面は、図4(b)に示すように、凹凸を有し、これによってこの操作面には段差が形成されている。このような操作面は、平面部111a、リング状隆起部111b、窪み部111c、バー状隆起部111d、矩形状隆起部111e〜111gから構成される。
【0021】
平面部111aは、表面カバー111の平面状の部分である。
【0022】
リング状隆起部111bは、図4(b)に示すように、平面部111aから表側方向に盛り上がるようにリング状に隆起する部分である。表側から見れば、図4(a)に示すように、リング状隆起部111bが、円状の窪み部111cを囲むように形成されていることがわかる。なお、「表側」とは、図3(a)の両端矢印で示すように、入力装置100に対してユーザ側をいい、「裏側」とは、その反対側をいうものとする。また、リング状隆起部111bには、所定の間隔をおいて隆起部111bから表側方向に盛り上がるように隆起する凸部111hが複数(本実施形態においては4つ)配置されており、表側からみればリング状隆起部111bは規則的に段差が形成され、凸部111hで四等分されていることがわかる。
【0023】
窪み部111cは、図4(b)に示すように、操作面の略中央に位置し、平面部111
aから裏側方向に沈むように円状に窪んだ部分であり、図4(a)に示すように、リング状隆起部111bよりも内側に形成されている。
【0024】
バー状隆起部111dは、図4(a)に示すように、操作面の上側に位置し、平面部111aから表側方向に盛り上がるようにバー状に隆起する部分であり、リング状隆起部111bよりも外側に形成されている。
【0025】

矩形状隆起部111e〜111gは、図4(a)に示すように、操作面の下側に位置し、平面部111aから表側方向に盛り上がるように略矩形状に隆起する部分であり、リング状隆起部111bよりも外側に形成されている。
【0026】
平面部111aとリング状隆起部111bと窪み部111cとバー状隆起部111dと矩形状隆起部111e〜111gは、ユーザの操作を妨げることがないように、図4(b)に示すように、その断面形状は、互いになめらかに繋がって形成されている。
【0027】
センサシート112は、指等の被検出体の位置を検出するための複数のセンサ(検出電極)1120を有する投影静電容量方式のセンサシートであり、表面カバー111の裏面側に位置する。なお、センサ1120は半透明材料からなり、センサシート112は、透光性である。
【0028】
センサシート112は、図5に示すように、X方向における被検出体の位置を検出するための第1のセンサ列112aを有する層と、Y方向における被検出体の位置を検出するための第2のセンサ列112bを有する層を重ね合わせ概略構成されている。第1のセンサ列112aと第2のセンサ列112bが合わさることにより、結果的に、センサシート112には、センサ1120がマトリックス状に配置されることになる。第1のセンサ列112aと第2のセンサ列112bは、各々、後述する制御部200と電気的に接続されている。
【0029】
表面カバー111に指等の被検出体が触れると、その裏面側に位置するセンサ1120と被検出体との間の静電容量が変化する。制御部200と各センサ1120とは電気的に接続されているので、制御部200は、各センサにおける静電容量の変化を検出できる。制御部200は、この静電容量の変化に基づいて、被検出体の接触位置を示す入力座標値(X,Y)を算出する。入力座標値は、操作面上に予め設定されている、各センサ1120におけるXY座標系における座標値である。入力座標値は、X方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ1120の位置)に割り当てられているX座標と、Y方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ1120の位置)に割り当てられているY座標と、によって表される。制御部200は、このX座標及びY座標を算出することによって入力座標値(X,Y)を算出する。
【0030】
図4に戻って、センサシート112は、絞り加工により表面カバー111と一体成形されることで、表面カバー111と同様の形状に加工される(図4(b)参照)。このように一体成形されることで、表面カバー111とセンサシート112は、一枚のシートのようになり、操作面が有するリング状隆起部111b、窪み部111c、バー状隆起部111d、矩形状隆起部111e〜111g等の段差形状は、その一枚のシートの曲がった部分で構成されることになる。また、このように一体成形されることで、表面カバー111の裏面とセンサシート112の表面とが当接する。これにより、表面カバー111の段差形状に対応して、センサ1120が配置されることになる。このようにセンサ1120が配置されているため、リング状隆起部111b等の段差形状を有した操作面上で行われた操作であっても、制御部200は、各センサにおける静電容量の変化を検出できる。
【0031】
スペーサ113は、センサシート112の裏面側に位置し、図4(b)に示すように、一体成形された表面カバー111とセンサシート112の形状に合わせて形成され、ユーザ操作により表面カバー111の表側から押圧が加わった際にこれらの形状を保持する部材である。
【0032】

図3に戻って、バックライト114は、入力装置100の操作面を照明する照明手段であり、スペーサ113の裏面側に位置し、スペーサ113、センサシート112、表面カバー111と通過して操作面を光輝させる。バックライト114は、詳細の図示を省略したが、例えば、表面側から拡散シート、導光板、反射シートを重ね合わせ、導光板の側面側にLED等の光源を配置し、これら各部を箱状の中ケースの表側に収納してなるものである。
【0033】
下ケース115は、合成樹脂等から形成される箱状の部材であり、その表側に上記の各部材111〜114を収納する。
【0034】
上ケース116は、上記の各部材111〜114を収納した下ケース115を表側から覆う蓋部であり、表面カバー111の操作面を露出させる開口部を有して、合成樹脂等から形成される。
【0035】
スイッチ装置120は、接触センサ110の背後(裏面側)に位置し、制御部200と電気的に接続される。ユーザが、入力装置100の操作面を押下する操作(以下、押下操作という)を行うと、スイッチ装置120は押され、所定の入力信号を制御部200に送信する。押下操作は、後述するように、入力装置100の操作面に対する接触する操作による制御とは異なる制御を実行させる際になされる。
【0036】
ここで、入力装置100は、ステアリング10の本体部11に、例えば、接触センサ110の上ケース116が本体部11と軟質樹脂で溶着されることにより、取り付けられる。このように取り付けられることにより、ユーザが操作面を押下すると、接触センサ110が沈み、スイッチ装置120が押される仕組みとなっている。
【0037】
以上の各部により、入力装置100は構成される。入力装置100の組み付け後の概観
を図3(b)に示す。
【0038】
図1に戻って、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記憶部300に格納されている動作プログラムを実行して、各種の処理や制御を行う。制御部200は、その少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の各種専用回路によって構成されてもよい。
【0039】
記憶部300は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、制御部200を構成するCPUのワークエリア、CPUが実行する動作プログラムを記憶するプログラムエリア、データエリア等として機能する。
【0040】
プログラムエリアには、後述する車載電子機器制御処理を実行するためのプログラム、等の動作プログラムが記憶される。
【0041】
データエリアには、図示するように、操作領域R、実行条件D、対応動作データC等が予め記憶されている。
【0042】
操作領域Rは、入力装置100の操作面を仮想的に分割して設定される領域であり、本実施形態の特徴として操作面の操作可能領域(接触が可能な領域)を各隆起部111b、111d、111e〜111g及び窪み部111cを基準として複数に分割してなる領域である。本実施形態において、操作領域Rは、図6に示すように、リング状隆起部111bを凸部111hで4つに分割した各領域を示す操作領域R1〜R4、窪み部111cを示す操作領域R5、バー状隆起部111dを示す操作領域R6、矩形状隆起部111e〜111gをそれぞれ示す操作領域R7〜R9を含む。
【0043】
実行条件Dは、各操作領域R1〜R9において制御信号を車載電子機器200へ送信する、すなわち、車載電子機器200の制御を実行するトリガーの役割となるデータである。実行条件Dは、複数あり、各操作領域R1〜R9によって異なる条件が対応付けられている。本実施形態においては、実行条件Dは、特定の軌跡であるか否かの条件、所定の操作領域Rに接触したか否かの条件、押下操作が検出されたか否かの条件を含む。実行条件Dは、各操作領域R1〜R9毎に複数設定することができ、本実施形態においては、操作領域R1〜R4に対しては特定の軌跡であるか否かの条件と押下操作が検出されたか否かの条件とが、操作領域R5に対しては操作領域R5に接触したか否かの条件と押下操作が検出されたか否かの条件が、操作領域R6〜R9に対しては押下操作が検出されたか否かの条件が、それぞれデータエリアに記憶されている。なお、「特定の軌跡」とは、例えばリング状隆起部111bに沿った円弧状の軌跡などが上げられる。
【0044】
対応動作データCは、車載電子機器20に所定の動作を実行させる制御信号のデータである。対応動作データCは、複数あり、その各々が、操作領域R及び実行条件Dと対応付けられている。すなわち、制御装置1000は、ユーザが接触する操作面の位置と操作のパターンとの組み合わせによって、車載電子機器20に複数の異なる制御を実行することが可能となっている。
【0045】

例えば、リング状隆起部111bの左側部分を示す操作領域R3には、対応する実行条件Dである特定の軌跡(ここではリング状隆起部111bに沿った円弧状の軌跡)であるか否かの条件に対応付けられた対応動作データCとして、車載電子機器20に音量制御を実行させる制御信号を送信するコマンドのデータが、対応する実行条件Dである押下操作が検出されたか否かの条件に対応付けられた対応動作データCとして左カーソルキーの機能を実行させる制御信号を送信するコマンドのデータが、それぞれ予めデータエリアに記憶されている。
【0046】

また、窪み部111cを示す操作領域R5には、対応する実行条件Dである操作領域R5に接触したか否かの条件に対応付けられた対応動作データCとして、電子機器20の表示画面上に表示されるポインターカーソルPCを軌跡に応じて移動させる制御信号を送信するコマンドのデータが、対応する実行条件DであるR5をなぞる操作後の押下操作が検出されたか否かの条件に対応付けられた対応動作データとしてポインターカーソルPCが指示する項目を選択する制御信号が、対応する実行条件DであるR5をなぞる以外の操作後の押下操作が検出されたか否かの条件に対応付けられた対応動作データとしてカーソルC1が選択している項目を決定する制御信号が、それぞれ予めデータエリアに記憶されている。
【0047】

そのほか、各操作領域R1〜R9及び実行条件Dに対応付けられた対応動作データCは例えば図7に示す通りである。
【0048】
なお、記憶部300に格納される各データは、既知のデータ登録手法を用いて、デフォルト値として或いはユーザ自身の操作により適宜格納される。
【0049】
(動作)
以上の構成からなる制御装置1000は、接触センサ110の操作面上で行われた操作に応じて、車載電子機器20の各種動作を制御する。このような制御を実現する車載電子機器制御処理について説明する。
【0050】
[車載電子機器制御処理]
図8のフローチャートに係る処理は、制御部200により実行される。この処理は、例えば、車載電子機器20の起動を条件に開始される。
【0051】
制御部200は、処理を開始すると、接触センサ110において操作入力中であるかを判別する(ステップS101)。操作入力中であるかは、X方向及びY方向において、静電容量が前記の一定の閾値よりも高くなっているセンサ1120があるか否かによって判別される。このようなセンサ1120が、X方向及びY方向においてある場合、被検出体が操作面を触れている可能性が高いので、操作入力が行われている可能性が高い。この場合に、制御部200は、操作入力を受け付けていると判別し(ステップS101;Yes)、ステップS102の処理を行う。それ以外の場合には、制御部200は、操作入力を受け付けていないと判別し(ステップS101;No)、ステップS101の処理を行う。このようにして、制御部200は、操作入力が行われるまで待機する。なお、制御部200は、図示しないタイマ等によって計時を行うが、既に計時が行われており、かつ、ステップS101でNoと判別した場合には、計時を終了する。また、制御部200は、ステップS101でYesと判別した場合に、既に計時を行っている場合には、計時を続行するが、計時が行われていない場合には、計時を開始する。このようにして、制御部200は、最初の接触から接触が解除されるまで、連続的に計時を行うことになる。
【0052】
ステップS102で、制御部200は、入力座標値(X,Y)を算出して(上記参照)、ステップS103へ進む。なお、制御部200は、算出した入力座標値を時系列順に記憶部300に記録する。入力座標値は、時系列に沿って計時が終了又は記録されてから所定期間が経過するまで、記録されるものとする。これによって、現在とこの現在から所定の時間遡ったタイミングとの間に算出された複数の入力座標値が記録される。
【0053】

ステップS103で、制御部200は、入力座標値(X,Y)に基づいて操作領域Rのうち操作領域R1〜R9のいずれが操作されているかを決定し、ステップS104へ進む。ここで、操作領域Rの決定は、計時開始後最初に決定した後は、新たに入力座標値(X,Y)が算出されても変更を行わず、ステップS101で計時を終了する際にリセットする。
【0054】
ステップS104で、制御部200は、各種の操作の特徴量を算出して、ステップS105へ進む。
【0055】
ここで、操作の特徴量とは、現在行われている操作によって描かれる軌跡の特徴を示す量である。操作の特徴量は、計時時間、計時開始後最初に算出された入力座標値(X,Y)及び現在算出された入力座標値(X,Y)に基づいて算出される量である。計時開始後最初に算出された入力座標値(X,Y)は、つまり、操作入力を開始したときの最初の位置を表す。
【0056】
操作の特徴量は、現在算出された入力座標値(X,Y)、入力座標値(X,Y)から入力座標値(X,Y)への、X方向の座標間距離(Lx)及びY方向の座標間距離(Ly)、方向(d)、移動時間(t)である(図9(a)参照)。Lxは、X−X、Lyは、Y−Y、dは、LxとLyから算出される量、tは、計時開始からの時間間隔である。これらのデータの組合せにより、制御部200は、ユーザが入力装置100の操作面上をなぞった軌跡を表す軌跡情報を取得することができる。
【0057】
操作の特徴量は、操作によって描かれる軌跡の特徴を抽出した量であればよいので、上記のパターンに限られない。操作の特徴量として、どのような量を選択するか、選択した量をどのように組み合わせるかは、認識させたい操作の性質を鑑みて適宜決定される。回転方向の操作を認識させたいのであれば、操作の特徴量として回転方向(θ)や回転角度を算出してもよいし(図9(b)参照)、座標間距離(L={(Lx)+(Ly)1/2)、速さ(V=L/t)を算出してもよい。
【0058】
なお、ステップS102で、2つの入力座標値が記憶されていない場合は、操作の特徴量が算出されないが、この場合もステップS105に進む。また、ステップS104で、算出された操作の特徴量は、計時が終了するまで、記憶される。
【0059】

ステップS105で、制御部200は、スイッチ操作120からの入力信号の有無に基づいて、ユーザによる入力装置100の操作面の押下操作の有無を検出する。
【0060】
ステップS106で、制御部200は、ステップS104で算出し、記憶した操作の特徴量(軌跡情報)とステップS105での押下操作の検出結果に基づいて、ユーザによる操作入力がステップS103で決定された操作領域Rに対応する実行条件Dを満たすか否かを判定する。ここで、ユーザによる操作入力が実行条件Dを満たすか否かの判別方法は、実行条件Dの条件ごとに、適宜、定められている。
【0061】

例えば、実行条件Dが、ユーザの操作による軌跡がリング状隆起部111bに沿った円弧状の軌跡(特定の軌跡)であるか否かの条件であれば、操作の特徴量のうち、複数の入力座標値を時系列順に直線で繋いだ軌跡における軌跡の長さや、操作面の中心に対する回転方向及び回転角度が、所定の設定値に達するか否かで実行条件Dを満たすか否かを判別することができる。ユーザによる操作入力が実行条件Dを満たすと判定される場合(ステップS106;Yes)、ステップS107へ進む。一方、実行条件Dを満たしていないと判定される場合(ステップS106;No)、ステップS101に戻る。
【0062】
ステップS107で、制御部200は、記憶部300からステップS103で決定された操作領域R及びステップS106で満たすと判定された実行条件Dに対応する対応動作データCを読み出し、対応動作データCに基づく制御信号を車載電子機器20に送信し、ステップS108に進む。
【0063】

ステップS108で、制御部200は、バックライト114を発光させる発光制御信号をバックライト114に送信し、ステップS101に戻る。制御信号送信後にバックライト114を発光させることによって、ユーザは操作入力が正しく受け付けられたことを認識することができる。
【0064】
以上が、車載電子機器制御処理の手順である。次に、図10〜図15を参照して、本実施形態における接触操作及び押下操作とそれに応じて車載電子機器20が実行する動作の一例を挙げる。
【0065】
(隆起部での操作入力の一例)
<隆起部でのなぞる操作OP10>
イグニッションのオンに伴って、動作電力が供給されると、車載電子機器20は、表示部21に、図10に示す初期画面21aを表示する。初期画面21aの状態で、ユーザが、操作面のリング状隆起部111bの左側部分を開始点としてリング状隆起部111bを時計回りになぞる操作OP10を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP10の開始点に対応する操作領域R3に決定し、操作OP10による軌跡が、操作領域R3の実行条件Dである特定の軌跡であることの条件を満たす判定をして、操作領域R3及び実行条件Dに対応付けられた音量制御を実行する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、初期画面21aを音量操作画面21bに切り替えるとともに操作OP10に応じてオーディオ音量を変更する。このように、ユーザは、操作OP10を行って、車載電子機器20のオーディオ音量を変更することができる。なお、操作OP10の操作に際して、ユーザは、リング状隆起部111bの左側部分、上側部分、右側部分、下側部分を順になぞっているため、操作領域Rとしては操作領域R3、R4、R1、R2を連続してなぞることとなるが、ステップS103の説明で述べた通り、操作OP10の開始点を含む操作領域R3が実行条件Dを判定する操作領域Rとして決定され、その後は、操作OP10を行う間は変更されないため、操作領域R3に対応する動作処理である音量制御を継続して実行することができる。
【0066】
<隆起部での押下操作OP20>
図11に示すように、初期画面21aの状態で、ユーザが、操作面のリング状隆起部111bの左側部分を押し下げる押下操作OP20(本例では、初期画面21aの“AUDIO”に対応した操作)を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP20の開始点に対応する操作領域R3に決定し、操作OP20が、操作領域R3の実行条件Dである押下操作が検出されたことの条件を満たす判定をして、操作領域R3及び実行条件Dに対応付けられた左カーソルキーの機能を実行する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、初期画面21aにおける左カーソルキーの機能として、初期画面21aをオーディオ操作画面21cに切り替える。このように、制御部200は、同一の操作領域R3が操作される場合であっても、ユーザが操作領域R3をなぞったと判定される場合は第一の制御(音量制御)を実行し、ユーザが操作領域R3を押下したと判定される場合は前記第一の制御とは異なる第二の制御(左カーソルキーの機能の実行制御)を実行することができる。
【0067】
<窪み部での操作OP30、押下操作OP40>
図12に示すように、オーディオ操作画面21cの状態で、ユーザが、入力装置100の操作面の窪み部111c内をなぞる操作OP30を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP30の開始点に対応する操作領域R5に決定し、操作OP30が、操作領域R5の実行条件Dである操作領域Rへの接触の条件を満たす判定をして、操作領域R5及び実行条件Dに対応付けられたポインタカーソルPCの移動を実行する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、オーディオ操作画面21c上のポインタカーソルPCの位置を操作OP30の軌跡に応じて移動させる。図12においてはポインタカーソルPCが中央から右上の“Source”に対応する位置に移動する。その後、ユーザが、窪み部111cを押し下げる押下操作OP40を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作領域R5に決定した状態で、操作OP40が操作領域Rの実行条件Dである押下操作が検出されたことの条件を満たす判定をして、操作領域R5及び実行条件Dに対応付けられたポインタカーソルPCが位置する項目の選択を行う対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、ポインタカーソルPCによる“Source”の選択を実行し、オーディオ操作画面21cを音源選択画面21dに切り替える。
【0068】
<隆起部での押下操作OP21、OP22、窪み部での押下操作OP41>

また、前述した窪み部111cでの操作OP30、押下操作OP40とは、異なる操作で、”Sourse”を選択する操作を図13を用いて説明する。
【0069】

図12の上側に示すオーディオ操作画面21cの状態(カーソルC1は、画面中央に位置している状態)で、操作面のリング状隆起部111bの右側部分を押し下げる押下操作OP21を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP21の開始点に対応する操作領域R1に決定し、操作OP21が、操作領域R1の実行条件Dである押下操作が検出されたことの条件を満たす判定をして、操作領域R1及び実行条件Dに対応付けられた右カーソルキーの機能を実行する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、オーディオ操作画面21cにおける右カーソルキーの機能として、カーソルは、図13の上側に示すオーディオ操作画面21fで示す画面中央から画面右側に位置する”Search”にカーソルC1が移動する。カーソルC1が、移動したことによって、”Search”が、黒地に白抜き文字で表させている。
【0070】

次いで、操作面のリング状隆起部111bの上側部分を押し下げる押下操作OP22を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP22の開始点に対応する操作領域R4に決定し、操作OP22が、操作領域R4の実行条件Dである押下操作が検出されたことの条件を満たす判定をして、操作領域R4及び実行条件Dに対応付けられた上カーソルキーの機能を実行する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、図13の上側に示すオーディオ操作画面21fにおける上カーソルキーの機能として、カーソルC1は、図13の中央に示すオーディオ操作画面21gで示す画面右側の”Search”から画面右上側に位置する”Source”にカーソルC1が移動する。カーソルC1が、移動したことによって、”Source”が、黒地に白抜き文字で表させている。
【0071】

次いで、”Source”が選択された状態のオーディオ操作画面21gで、ユーザが、操作面の窪み部111cを押し下げる押下操作OP41を行うと、制御部200は、実行条件Dを判定する操作領域Rを操作OP41に対応する操作領域R5に決定し、操作OP41が、操作領域R5の実行条件Dである押下操作が検出されたことの条件を満たす判定をして、操作領域R5及び実行条件Dに対応付けられたカーソル選択項目の機能を決定する対応動作データCを読み出し、制御信号を送信する。制御信号を受信した車載電子機器20は、オーディオ操作画面21gにおける”Source”の選択を決定し、オーディオ操作画面21gを音源選択画面21dに切り替える。
【0072】

以下、操作領域R5での押下操作OP40および押下操作OP41の判別処理について、図14を用いて説明する。
【0073】

制御部200は、処理を開始すると、接触センサ110において、接触操作中であるかを判別する(ステップS201)。操作入力中であるかは、X方向及びY方向において、静電容量が前記の一定の閾値よりも高くなっているセンサ1120があるか否かによって判別される。このようなセンサ1120が、X方向及びY方向においてある場合、被検出体が操作面を触れている可能性が高いので、操作入力が行われている可能性が高い。この場合に、制御部200は、操作入力を受け付けていると判別し(ステップS201;Yes)、ステップS202の処理を行う。制御部200は、それ以外の場合には、操作入力を受け付けていないと判別し(ステップS201;No)、ステップS206の処理を行う。
【0074】
ステップS202で、制御部200は、スイッチ装置120で押下操作の入力の有無を判別する。制御部200は、押下操作を受け付けていると判別した場合(ステップS202;Yes)、ステップS203の処理を行う。押下操作を受け付けていないと判別した場合(ステップS202;No)、ステップS201の処理を行う。
【0075】
ステップS203で、押下操作直前に行った操作が、ポインターカーソルPCを移動させるなぞる操作であったかを判別する。制御部200は、直前に行った操作が、なぞる操作であると判別した場合(ステップS203;Yes)、ステップS204の処理を行う。なぞる操作以外と判別した場合(ステップS203;No)、ステップS205の処理を行う。
【0076】
ステップS204で、制御部200は、ポインターカーソルPCが指示(位置)する画面上の項目を選択したと判断し、選択する対応動作データCを読み出し、電子機器に制御信号を送信する処理を行う。
【0077】
ステップS205で、制御部200は、カーソルC1が指示する画面上の項目を決定した判断し、選択する対応動作データCを読み出し、電子機器に制御信号を送信する処理を行う。
【0078】
ステップS206で、制御部200は、接触センサ110に操作入力のない時間が、一定の時間経過したかを判別する。一定時間経過したと判別した場合(ステップS206;Yes)、ステップS207の処理を行う。一定時間経過していないと判別した場合(ステップS206;No)、ステップ208の処理を行う。
【0079】
ステップS207で、制御部200は、直前の操作履歴を初期化する処理を行い、ステップS201へ進む。
【0080】
ステップS208で、制御部200は、直前の操作履歴を初期化せず、保持する処理を行い、ステップS201へ進む。
【0081】
また、本実施形態では、スイッチ装置120を押下操作する場合、スイッチ装置120を押す操作の時と、スイッチ装置120によって押し戻される操作の時があり、例えば、ユーザの指の接触している位置がずれることによって、画面上のポインターカーソルPCが、ユーザの意図しない部分に移動してしまうおそれがあった。そこで、押下操作時に、ユーザの意図しないポインターカーソルPCの位置ずれを防止する処理を図15を用いて説明する。
【0082】

制御部200は、処理を開始すると、接触センサ110において、接触操作中であるかを判別する(ステップS301)。制御部200は、操作入力を受け付けていると判別した場合(ステップS301;Yes)、ステップS302の処理を行う。制御部200は、操作入力を受けて受けていないと判別した場合には(ステップS301;No)、ステップS303の処理を行う。
【0083】
ステップS302で、制御部200は、スイッチ装置120で押下操作の入力の有無を判別する。制御部200は、押下操作を行ったと判別した場合(ステップS302;Yes)、ステップS304の処理を行う。押下操作を行っていないと判別した場合(ステップS302;No)、ステップS308の処理を行う。
【0084】
ステップS303で、制御部200は、押下操作なく、ポインターカーソルPC停止(移動禁止)の対応動作データCを読み出し、電子機器に制御信号を送信する処理を行う。
【0085】
ステップS304で、制御部200は、スイッチ装置120を押下操作したことに基づく、制御信号を電子機器に送信する処理を行う。
【0086】
ステップS305で、制御部200は、スイッチ装置120の押下操作開始から一定時間経過したかを判別する。一定時間経過したと判別した場合(ステップS305;Yes)、ステップS306の処理を行う。一定時間経過していないと判別した場合(ステップS305;No)、ステップ307の処理を行う。
【0087】
ステップS306で、制御部200は、接触センサ110でのなぞる操作による操作を算出し、ポインターカーソルPCの移動量の対応動作データCを読み出し、電子機器に制御信号を送信する処理を行う。
【0088】
ステップS307で、制御部200は、ポインターカーソルPCの停止(移動禁止)の制御信号を電子機器に送信する処理を実行し、ユーザが、押下操作した際に発生する意図しないポインターカーソルの移動を禁止する。
【0089】
ステップS308で、制御部200は、スイッチ装置120の押下操作を行っていないことに基づき、押下操作に基づく制御信号を電子機器に送信しない処理を行う。
【0090】
ステップS309で、制御部200は、スイッチ装置120の押下操作終了から一定時間経過したかを判別する。一定時間経過したと判別した場合(ステップS309;Yes)、ステップS3010処理を行う。一定時間経過していないと判別した場合(ステップS309;No)、ステップ311の処理を行う。
【0091】
ステップS310で、制御部200は、接触センサ110でのなぞる操作による操作を算出し、ポインターカーソルPCの移動量の対応動作データCを読み出し、電子機器に制御信号を送信する処理を行う。
【0092】
ステップS311で、制御部200は、ポインターカーソルPCの停止(移動禁止)の制御信号を電子機器に送信する処理を実行し、ユーザが、押下操作した際に発生する意図しないポインターカーソルの移動を禁止する。
【0093】
ステップS305で設定した一定時間と、ステップS309で設定した一定時間は、それぞれ異なる時間を用いてもよい。
【0094】
押下操作OP20、OP21、OP22、OP40、OP41の代わりに接触センサ110を軽くたたくタップ操作であってもよい。
【0095】
上記に挙げた例は、記憶部300のデータエリアに、操作OP10、OP20、OP21、OP22、OP30、OP40、OP41のそれぞれに対応する操作領域R及び実行条件Dが記憶され、これらの組み合わせパターンのそれぞれに対応動作データCが対応付けられていることを条件に、上記の車載電子機器制御処理を実行することにより実現される。各パターンに対応付けられる、対応動作データCの種類は、優先度や操作領域Rや実行条件Dの特性に鑑みて、適宜、定められる。
【0096】
本実施形態に係る制御装置1000においては、ユーザは、入力装置100の操作面上に設けられたリング状隆起部111b、窪み部111c等の段差形状を指先で感じながら、適確に意図する操作を行うことができる。また、制御部200は、車載電子機器制御処理により、リング状隆起部111b等の段差形状を基準として行われた操作を認識し、認識した操作に応じて、車載電子機器20の動作を制御する。即ち、本実施形態に係る制御装置1000によれば、ユーザが、接触を行いやすい。また、操作面上のリング隆起部111b等の段差形状により、ユーザが、車両1の走行中に、入力装置100の操作面を見ないで操作(アイズフリー操作)を行った場合でも、的確な操作を行いやすい。
【0097】
また、本実施形態に係る入力装置100の操作面には、リング状隆起部111bが形成されている。これにより、車両1の走行中においても、ステアリングホイール12を握っている状態でユーザが親指の付け根を中心として親指を動かす場合に想定される円弧状の動きに合わせた、スムーズな操作入力が可能である。
【0098】
また、操作面には、窪み部111cが形成されているため、ユーザが操作面上を操作する際に指の収まりがよい。
【0099】

本実施形態に係る制御装置1000においては、操作の特徴量を含む軌跡情報及び押下操作の検出結果に基づきユーザが操作領域R1〜R5をなぞったと判定される場合は、第一の制御を実行し、軌跡情報及び押下操作の検出結果に基づきユーザが操作領域R1〜R5を押下したと判定される場合は、前記第一の制御とは異なる第二の制御を実行する。即ち、本実施形態に係る制御装置1000によれば、同一の操作領域R1〜R5に操作方法毎に異なる機能を割り振りすることで多機能化された車載電子機器20を制御する場合であっても、操作領域Rの分割数を減少させることができ、操作領域Rの選択肢を減らすことでユーザが操作領域Rを選択し操作入力に至るまでの時間を低減させることができ、スムーズな操作入力が可能である。また、リング状隆起部111bや窪み部111cを基準として操作領域Rを分割し、触覚で認識可能なスイッチ装置120を接触センサ100の裏面に備えることで、平坦面のみのタッチセンサでは認識困難な触覚による操作領域Rあるいは操作入力の認識を提供することができ、スムーズな操作入力が可能である。なお、制御装置1000においては、軌跡情報及び押下操作の検出結果に基づいてユーザが操作領域R1〜R5を押下した状態でなぞったと判定される場合は、前記第一の制御及び前記第二の制御と異なる第三の制御を実行するものであってもよく、操作領域Rの分割数をさらに減少させることができ、操作領域Rの選択肢を減らすことでユーザが操作領域Rを選択し操作入力に至るまでの時間を低減させることができ、スムーズな操作入力が可能である。
【0100】

本実施形態に係る制御装置1000においては、入力装置100の操作面を分割して記憶される操作領域R1〜R4と操作領域R5とは、それぞれ軌跡情報に基づく制御の実行条件Dとして異なる条件が対応付けられて記憶部300に記憶され、制御部200は、軌跡情報が表す各操作領域R1〜R5をなぞった軌跡がこれらの条件を満たすと判定される場合に制御を実行するものである。即ち、本実施形態に係る制御装置1000によれば、操作方法に合わせて操作領域Rを振り分けることができるため、多機能化された車載電子機器20を制御する場合であっても、所定の機能を操作するための操作方法を複雑化させることがなく、ユーザが操作方法を把握して操作入力に至るまでの時間を低減させることができ、スムーズな操作入力が可能である。具体的には、接触センサ110の軌跡に基づく操作の特性としては、特定方向の直線や曲線を軌跡として描く一次元的な操作と、操作面上に自由に軌跡を描く二次元的な操作と、がある。そこで、本実施形態に係る制御装置1000においては、操作領域R1〜R4においては実行条件Dとして軌跡がリング状隆起部111bに沿った軌跡であるか否かの条件を設定することで一次元的な操作を行う操作領域Rとし、操作領域R5においては操作領域R5に接触したか否かの条件を設定することで二次元的な操作を行う操作領域Rとして、操作領域R1〜R5で行う操作の特性が常に同じであるため、種々の機能を操作しようとする場合であってもユーザは操作を行う操作領域Rを迷うことが無く、スムーズな操作入力が可能となる。なお、制御装置1000においては、操作領域R6〜R9で動線が生じない(接点のみの)0次元的な操作を行い、これらの操作に優先度の高い機能を割り振るなどして、操作の利便性をさらに向上させることが可能となっている。また、制御装置200は、さらにスイッチ装置120を備えることで一次元的な操作あるいは二次元的な操作を行う操作領域R1〜R5でも、0次元的な操作も行うことが可能となっている。なお、各操作領域R1〜R9のうち優先度の高い機能が割り振られる操作領域Rを操作面の中央付近に配置するなどすれば、さらに操作の利便性が向上するため好適である。また、操作面上に一次元的な操作を行う窪み部を設け、この窪み部に対応する操作領域Rの実行条件Dとして、ユーザの操作による軌跡が前記窪み部に沿った軌跡であるか否かの条件を設定してもよい。
【0101】

また、制御部200は、軌跡情報及び押下操作の検出結果に基づきユーザが複数の操作領域Rを続けてなぞったと判定される場合は、軌跡の開始点を含む操作領域Rに応じた制御(動作処理)を継続して実行するものである。即ち、本実施形態に係る制御装置1000によれば、最初に所望の操作領域R1〜R5に触れれば、なぞる操作で実行する制御内容を確定することができるため、なぞる操作を行う各操作領域R1〜R5の面積を大きくする必要がなく、小さい操作面上でもなぞる操作による他種類の機能の実行をすることができる。
【0102】

また、入力装置100の操作面において、リング状隆起部111b上には規則的に凸部111hによる段差が形成されている。これにより、リング状隆起部111bをなぞる操作時にどのくらいの量(長さ)を操作しているかをユーザに触覚によって認識させることができる。なお、凸部111hによる段差の形成のほか、規則的に凹部を形成して段差を形成してもよく、また、表面加工が異なる部位を規則的に形成することで触感の異なる部位を規則的に形成しても同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、本実施形態に係る制御装置1000においては、入力装置100の操作面は少なくとも一部が光透過性であり、操作面の裏面側にバックライト114を備え、制御部200は、車載電子機器20の制御を実行する制御信号の送信結果に伴ってバックライト114を発光させるものである。これによれば、ユーザの操作が車載電子機器20に認識されたことを光によってユーザに認識させることができ、操作入力の確認に際して手元の入力装置100を凝視することがないため、アイズフリーによる操作の利便性を向上させることができる。なお、バックライト114の光源として異なる発光色の複数の光源を備え、これらを適宜組み合わせて異なる色パターンで発光させてもよい。例えば、RGBの3色の光源を備える構成とすれば、制御信号の送信エラーや操作入力エラーの際に赤色で発光させ、正常に車載電子機器20に制御信号が送信された場合には青色で発光させ、正常時と異常時を分けてユーザに報知することができる。また、点滅の速度や回数でエラーの重要度を報知することも可能である。また、ゆっくり発光させてから消光すれば運転中であってもユーザに危機感を抱かせることなく確実に操作入力の受け付け状況を報知することができる。また、RGBの3色の組み合わせにより、操作内容毎に発光色を変えたり、発光色をユーザ自身が設定することも可能であり、より詳細な情報をユーザに報知して、操作の利便性をさらに向上させることができる。また、表示面に部分的に透過意匠、不透過意匠を形成したり、異なる部位に透過部が形成された導光板を複数重ね合わせてそれぞれ異なる発光色を操作面に向けて導光するなどの構成とすることで、操作面上の段差形状毎に異なる色で発光させることも可能である。
【0104】
2.変形例
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に変形の例を示す。
【0105】
入力装置100の操作面が有する段差形状は、以上の実施形態に係る形状に限られない。隆起部や窪み部の形状、個数あるいは配置は自由に設定することができる。
【0106】
また、以上の実施形態では、入力装置100が、制御部200及び記憶部300を備えない例を示したが、これに限られない。入力装置100が、制御部200を備えていてもよい。また、入力装置100が、制御部200及び記憶部300を備えていてもよい。
【0107】
また、制御部200及び記憶部300は、入力装置100のみならず制御装置1000にも備えられずに、車載電子機器20の制御系統又は車両1のECU(Electronic Control Unit)の回路と共通化され、一体化されることで、車載電子機器制御処理を行ってもよい。
【0108】
また、以上の実施形態において、センサシート112は、全面に検出電極であるセンサ1120が形成される構成であったが、操作面上の操作領域Rに該当しない個所に電極パターンを形成しない構成としてもよい。これによれば必要最低限な電極パターンを形成することで消費電力の低減に寄与することができる。本実施形態においては、操作領域R1〜R9に対応するリング状隆起部111b、窪み部111c、バー状隆起部111d、矩形状隆起部111e〜111g及びこれらの近傍に対向する個所にのみ電極パターンを形成し、操作領域Rに対応しない平面部111aと対向する個所には電極パターンを形成しない構成とすれば、消費電力を低減することができる。また、センサシート112は投影静電容量方式であるとしたが、これに限られない。表面静電容量方式であってもよいし、抵抗膜方式等の静電容量方式以外のものであってもよい。この場合においても、センサシート112を表面カバー111(操作面)と一体成形すればよい。
【0109】
また、以上の実施形態においては、ステアリング10に入力装置100を1つのみ設けたがこれに限られない。入力装置100は、ステアリング10に複数配置されてもよい。例えば、ステアリング10の本体部11の、ユーザがステアリング10を把持しながら左手親指で操作できる位置に入力装置100をもう1つ設けることで、ステアリング10に計2つの入力装置100を配置してもよい。また、このように設けられた2つの入力装置100の背面(本体部11の裏面側)に、両手の人差し指で操作できるようにさらに2つの入力装置100を設け、ステアリング10に計4つの入力装置100を配置してもよい。
【0110】
また、以上の実施形態においては、入力装置100はステアリング10の本体部11に配置されたが、これに限られない。ユーザが車両1を運転しながら、操作しやすい位置であれば、入力装置100の配置は任意である。例えば、入力装置100をステアリングホイール12に配置してもよいし、図示しないシフトレバーや、パワーウインドスイッチ付近に配置してもよい。
【0111】
また、以上の実施形態では、入力装置100が搭載される乗り物の一例を車両としたが、これに限られない。船舶、航空機等に搭載することも可能である。
【0112】
また、本発明を実現するために実行するプログラムは、記憶部300に予め記憶されているものとして説明したが、このような動作プラグラム及び各種データは、制御装置1000に含まれるコンピュータに対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供されてもよい。さらに、動作プログラム及び各種データは、電気通信ネットワーク等を介して接続された他の機器からダウンロードすることによって配布されるようにしてもよい。
【0113】
そして、各処理の実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、電気通信ネットワーク等を介してダウンロードした動作プログラム及び各種データを内蔵の記憶装置に一旦格納することにより実行可能としてもよいし、電気通信ネットワーク等を介して接続された他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行してもよい。さらには、他の機器と電気通信ネットワーク等を介して各種データの交換を行うことにより各処理を実行してもよい。
【0114】
なお、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1…車両
10…ステアリング
11…本体部
12…ステアリングホイール
1000…制御装置
100…入力装置(入力手段)
110…接触センサ(接触検出手段)
111…表面カバー
111a…平面部

111b…リング状隆起部

111c…窪み部

111d…バー状隆起部

111e〜111g…矩形状隆起部

111h…凸部
112…センサシート
112a…第1のセンサ列
112b…第2のセンサ列
1120…センサ
113…スペーサ

114…バックライト
115…下ケース
116…上ケース
120…スイッチ装置(スイッチ手段)
200…制御部(制御手段)
300…記憶部
R…操作領域

D…実行条件

C…対応動作データ
20…車載電子機器(電子機器)
21…表示部
21a…初期画面

21b…音量操作画面

21c…オーディオ操作画面
21d…音源選択画面
OP10…隆起部に沿ったなぞる操作
OP20…隆起部での押下操作
OP30…窪み部でのなぞる操作
OP40…窪み部での押下操作
OP50…窪み部での押下操作
PC…ポインターカーソル
C1…カーソル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段を備え車両内の電子機器を操作する制御装置において、
前記入力手段は、接触された位置を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段の背後に配置され押下操作を検出するスイッチ手段と、からなり、前記スイッチ手段の押下操作によって出力される信号が少なくとも2つ以上あり、前記接触検出手段の検出結果により、前記2つの信号のどちらか一方を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記接触検出手段は、前記制御手段が制御する被制御装置の表示部に表示されるカーソルを操作可能な操作領域を備え、前記接触検出手段の検出結果が、前記接触検出手段の前記操作領域をなぞる操作であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−190185(P2012−190185A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52115(P2011−52115)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】