説明

制御装置

【課題】入退出管理の精度向上をはかった制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置12は、人の通過を検出するセンサの出力を受信するセンサ受信部121と、固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20との間で、第1の通信インタフェース(無線LAN通信インタフェース122a)と第2の通信インタフェース(携帯無線通信インタフェース122b)によるデータ通信を行う通信部122と、センサ受信部と通信部とを制御する制御部123とを備え、制御部は、センサ受信部で人の通過が検出され、かつ、通信部で第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれていない場合に、通信部が、第2の通信インタフェースを用いて固有の識別情報を有する携帯情報端末の位置情報を取得するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の入退出管理を行う入退室管理システムに用いて好適な制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家族等の帰宅や外出を容易に認識でき、地震や火事等が発生した場合、倒壊建屋内に人が残っているか否かを容易に確認可能な在宅確認システムが知られている。この在宅確認システムによれば、建屋の出入り口近傍に、人体検知センサと距離計測センサとを設置し、距離計測センサの測定データと登録済みデータとを照合することによって該当者を確定し、さらに、両センサの作動順位により、該当者の帰宅、または外出のいずれかを判定することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、携帯電話網との接続機能に加え、無線LAN(Local Area Network)等、近距離無線通信機能を持つ携帯情報端末を用い、無線LAN環境が整った宅内では無線LANに接続し、無線LAN環境が整っていない宅外の場所では携帯電話網に接続してホームネットワークにおける制御端末として利用する機器制御方法も知られている。この機器制御方法によれば、宅内外を意識することなく同様の操作感でホームネットワークに接続された被制御機器の遠隔制御が可能になる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−313446号公報
【特許文献2】特開2008−32655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、距離計測センサにより該当者を特定するため、予め、該当者の身体的特徴を登録しておく必要があり、登録に手間を要する。また、その特徴によっては誤認することがあり、精度良く該当者の入退出を管理することはできない。
【0006】
一方、特許文献2に開示された技術によれば、携帯情報端末の無線ネットワークへの参加と離脱のステイタス情報だけで入退出を判別するため、電波状況によっては精度良く判別することができない。また、この機能を実現するためには携帯情報端末の無線LAN機能を常に有効にしておく必要があるため、携帯情報端末から無駄な電波が発信され、携帯情報端末の省電力化の面で不利である。
【0007】
なお、携帯情報端末の無線LAN機能を取得した位置情報に基づき自動的に有効/無効設定する方法も知られているが、位置情報取得するためにバッテリを消費するため省電力上好ましくない。また、GPS(Global Positioning System)等により位置情報を取得して入退出を管理する方法も考えられるが、建物内では取得した位置情報の精度が悪く、位置情報のみで入退出を管理することは困難である。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、入退出管理の精度向上をはかった制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために本発明の制御装置は、人の通過を検出するセンサの出力を受信するセンサ受信部と、固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースによるデータ通信を行う通信部と、前記センサ受信部と前記通信部とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記センサ受信部で人の通過が検出され、かつ、前記通信部で第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれていない場合に、前記通信部が、前記第2の通信インタフェースを用いて前記固有の識別情報を有する携帯情報端末の位置情報を取得するように制御することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、制御部は、センサ受信部で人の通過が検出され、かつ通信部で第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれていない場合に、第2の通信インタフェースを用いて固有の識別情報を有する携帯情報端末の位置情報を取得する。ここで取得した固有の識別情報を有する携帯情報端末の位置情報に基づき入退出管理を行うことで精度の高い入退出管理が可能になる。
【0011】
また、本発明において、前記制御部は、前記第2の通信インタフェースを用いて取得した前記携帯情報端末の位置情報が所定の範囲内にある場合に、前記通信部に対し、前記第2の通信インタフェースを用い、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末に前記第1の通信インタフェースによるデータ通信を行なう指示データを送信するように制御することを特徴とする。本発明によれば、制御部は、センサ受信部で人の通過が検出され、取得した位置情報が所定の範囲内にある場合に、携帯情報端末との間の第2の通信インタフェースを用いたデータ通信を自動で有効化することが出来る。したがって、携帯情報端末は、第2の通信インタフェースによるデータ通信機能を常に有効にしておく必要が無く、その結果、無駄な電波の発信を回避できるため、省電力化がはかれる。
【0012】
また、本発明において、異常状態を報知する報知部を備え、前記制御部は、前記第2のインタフェースを用いて取得した前記携帯情報端末の位置情報が所定の範囲内に無い場合に、前記異常状態を報知するように前記報知部を制御することを特徴とする。本発明によれば、制御部は、取得した位置情報が所定の範囲内に無い場合に、固有の識別情報を持たない携帯情報端末を所持した人の入退出であると認識できるため、異常報知によるセキュリティ上の効果が得られる。
【0013】
また、本発明において、異常状態を報知する報知部を備え、前記制御部は、前記通信部で、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で前記第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれない場合に、前記異常状態を報知するように前記報知部を制御することを特徴とする。本発明によれば、制御部は、取得した位置情報が所定の範囲内にあって、かつ、固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれない場合に、固有の識別情報を有しない携帯情報端末を所持した人の入退出であると認識できるため、異常報知によりセキュリティ上の効果が得られる。
【0014】
また、本発明において、前記制御部は、前記センサ受信部で人の通過が検出され、かつ、前記通信部で前記第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態になった場合、前記データ通信部に対し、前記第2の通信インタフェースを用い、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末に前記第1の通信インタフェースによるデータ通信を行なわない指示データを送信するように制御することを特徴とする。本発明によれば、制御部は、センサ受信部で人の通過が検出され、通信部で第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態になった場合に、固有の識別情報を有する携帯情報端末を所持した人の退出であると認識することが出来る。このとき、携帯情報端末の第1の通信インタフェースを用いたデータ通信機能を自動で無効化するため、携帯情報端末は、無駄な電波の発信を回避することができ、その結果、省電力化がはかれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入退出管理の精度向上をはかった制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御装置を入退出管理シスムに適用した場合のシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【図3】図1に示す携帯情報端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
【0018】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る制御装置を入退出管理システム1に適用した場合のシステム構成図である。図1に示されるように、構内10(こでは建屋内)の出入り口近傍に人感センサ11が取り付けられている。この人感センサ11は、PC(Personal Computer)等の制御装置12に接続されている。制御装置12は、建屋内に少なくとも1機設置される無線LANルータ13(アクセスポイント)を経由してIP(Internet Protocol)網30に接続されており、また、携帯情報端末20を介して携帯無線通信網40に接続されている。なお、図中、符号50で示すエリアは、無線LANによるデータ通信が可能な無線LANエリアを示す。
【0019】
人感センサ11は、例えば、人体から出る赤外線を検知する焦電型赤外線センサであり、ここでは、建屋内を通過する人の検出を行ない、その検出信号を制御装置12へ出力する。なお、人感センサ11は、焦電型赤外線センサに限らず、超音波、可視光等を照射し、人がその感知エリア内で動いたときに反応するセンサであればいずれでもよい。
【0020】
制御装置12は、無線LANルータ13、IP網30、および携帯無線通信網40を介して経由で携帯情報端末20との間でデータ通信を行う他に、携帯情報端末20の無線LAN機能が有効な場合には、携帯情報端末20と無線LANにより直接データ通信を行うことが出来るようにする必要がある。
【0021】
このため、制御装置12は、例えば、図2にその構成が示されるように、センサ受信部121と、通信部122と、制御部123と、記憶部124と、報知部125とを含み構成される。これらブロック121〜125は、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成されるバス126経由で共通接続されている。
【0022】
センサ受信部121は、人感センサ11から出力信号を受信することにより人の通過を検出して制御部123へ通知する。通信部122は、携帯情報端末20との間で無線LANによるデータ通信を直接行う第1の通信インタフェース(以下、無線LANインタフェース122aという)と、固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20との間で無線LANルータ13、IP網30、および携帯無線通信網40を介してデータ通信を行う第2の通信インタフェース(以下、携帯無線通信インタフェース122bという)とを有する。
【0023】
ここで、固有の識別情報124aとは、携帯情報端末20に一意に割り当てられるID(Identifier)のことを示し、IPアドレス、電話番号、製造番号等の携帯情報端末を識別するための情報であれば良い。ここでは、人感センサ11により入退室が管理されるユーザが所持する携帯情報端末20として、予め、記憶部124の所定の領域にユーザ登録されているものとする。
【0024】
制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信が行なわれていない場合(無線LANから離脱した状態)に、通信部122が、携帯無線通信インタフェース122bを用いて固有の識別情報を有する携帯情報端末20の位置情報を取得するように制御する。
【0025】
制御部123は、携帯無線通信インタフェース122bを用いて取得した携帯情報端末20の位置情報が所定の範囲内にある場合、すなわち、携帯情報端末20が無線LANエリア50内に位置する場合に、通信部122に対し、携帯無線通信インタフェース122bを用い、固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20に対し、無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信を行なう指示データ(携帯情報端末20の無線LAN機能を有効にするコマンド)を送信するように制御する。また、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態になった場合(参加状態から離脱状態に変化)、通信部122に対し、携帯無線通信インタフェース122bを用い、固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20に対し、無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信を行なわない指示データ(携帯情報端末20の無線LAN機能を無効にするコマンド)を送信するように制御する。
【0026】
制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、携帯無線通信インタフェース122bを用いて取得した固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20の位置情報が所定の範囲内に無い場合、すなわち、無線LANエリア50外に位置する場合は、登録されたユーザ以外の人の入退室と判定して異常状態を報知するように報知部125を制御する。また、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で、固有の識別情報124aを有する携帯情報端末20との間で無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信が行なわれない場合も(無線LANから離脱した状態)、登録されたユーザ以外の人の入退室と判定して異常状態を報知するように報知部125を制御する。
【0027】
(携帯情報端末の構成)
図3は、図1に示した携帯情報端末20の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、携帯情報端末20は、制御部200と、通信部201と、無線LAN通信部202と、GPS受信部203と、記憶部204と、操作部205と、表示部206と、CODEC(COder DECorder)部207と、スピーカ208と、マイクロフォン209と、により構成される。
【0028】
通信部201は、無線通信システムを捕捉し、携帯無線通信網40に接続される図示しない基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。ここで、各種データとは、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、Web(World Wide Web)閲覧時のWebページデータ等である。無線LAN通信部202は、無線LANエリア50の電波到達範囲内で無線LANによる近距離無線通信を行う無線LANアダプタである。GPS受信部203は、制御部200が携帯情報端末20の現在地を測位計算するために必要な電波をGPS衛星から受信するレシーバである。
【0029】
記憶部204は、携帯情報端末20の各種処理に利用される各種データを記憶する。例えば、制御部200が実行するプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。記憶部204は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。特に、本発明においては、携帯情報端末20の個々に固有の識別情報を記憶することを特徴とする。
【0030】
操作部205は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有している。操作部205は、これらのキーが操作者によって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これを操作者の指示として制御部200に出力する。
【0031】
表示部206は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)デバイスを用いて構成されている。表示部206は、制御部200により生成され、記憶部204の所定の領域(VRAM領域)に書き込まれた文書等の表示対象データに応じた画像を表示する。ここで、表示される画像は、例えば、通信部201による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、Webページ、日付、時刻、電池残量、発信成否、文書、待ち受け画面等である。
【0032】
CODEC部207は、スピーカ208から出力される音声信号や、マイクロフォン209を介して入力される音声信号の入出力処理を行う。すなわち、CODEC部207は、マイクロフォン209から入力された音声を増幅してAD(Analog to Digital)変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部200に出力する。また、CODEC部207は、制御部200から供給される音声データに復号化、DA(Digital to Analog)変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ208に出力する。
【0033】
なお、制御部200は、携帯情報端末20の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯無線通信網40を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWebサイトの閲覧等、携帯情報端末20の各種処理が操作部205の操作に応じて適切な手順で実行されるように、通信部201における信号の送受信、無線LAN通信部202における近距離無線通信、GPS受信部203で受信した電波による現在地の測位演算、記憶部204に対するデータのリードライト、操作部205からの操作入力の取り込み、表示部206への画像表示、CODEC部207における音声入出力、等、各制御ブロックの動作を制御する。
【0034】
このため、制御部200は、記憶部204に格納されたプログラム(オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するマイクロプロセッサを備え、これらプログラムにおいて指示された手順に従って上記した処理を実行する。すなわち、記憶部204に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。本発明と関係する具板的な処理として、制御装置12からの指示に基づく携帯情報端末20の位置情報の送信、無線LAN通信部202による無線LAN機能の有効/無効の設定がある。
【0035】
(実施形態の動作)
図4は、本実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。以下、図4のフローチャートを参照しながら、図1、図2に示す本実施形態に係る制御装置12による入退出管理動作について詳細に説明する。
【0036】
まず、構内10の出入り口近傍に取り付けられた人感センサ11で人の通過が検出されると(ステップS101“YES”)、その出力信号は制御装置12に供給される。制御装置12では、その出力信号をセンサ受信部121で受信し、センサ受信部121は、人の通過の有無を制御部123に通知する。制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出されなければ(ステップS101“NO”)、何もすること無く(NOP:No Operation)、入退出管理のための処理を終了する(ステップS102)。
【0037】
センサ受信部121で人の通過が検出されると(ステップS101“YES”)、制御部123は、予め、記憶部124に登録済みの固有の識別情報を有する携帯情報端末20のネットワークイベントの有無を判定する(ステップS103)。ここで、ネットワークイベントとは、携帯情報端末20の無線LANへの参加、離脱のステイタスのことをいう。携帯情報端末20では、無線LAN機能が有効に設定されていた場合、常に、無線LANの電波到達範囲にあるアクセスポイントを検索しており、所定の電波信号強度を有し、無線LANによる通信が可能なアクセスポイントが見つかった場合に“参加”、見つからなかった場合に“離脱”ステイタス情報をネットワークイベントとして通知する。
【0038】
制御部123は、上記したネットワークイベントが検出されると(ステップS103“YES”)、そのネットワークイベントが示すステイタテスを判別する(ステップS104)。ここで、ネットワークイベントが“離脱”を意味する場合(ステップS104“離脱”)、制御部123は、センサ受信部121で通過が検出された携帯情報端末20のユーザは外出であると判定し、その携帯情報端末20の無用な電波の発信を回避するために、無線LAN機能を無効にするコマンドを生成し、通信部122の携帯無線通信インタフェース122bに対して該当の携帯情報端末20に送信するように制御する(ステップS105)。
【0039】
すなわち、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態になった場合(参加状態から離脱状態に変化)、通信部122に対し、携帯無線通信インタフェース122bを用い、固有の識別情報を有する携帯情報端末20に対し、無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信を行なわない指示データ(無線LAN機能を無効にするコマンド)を送信するように制御する。携帯情報端末20では、このコマンドを通信部201で受信し、制御部200がこのコマンドを実行して無線LAN機能を無効する。
【0040】
一方、ステップS104のネットワークイベント判定処理において、ネットワークイベントが“参加”を意味する場合(ステップS104“参加”)、制御部123は、センサ受信部121で通過が検出された携帯情報端末20の所持者は帰宅したと判定して入退室管理処理を終了する(ステップS106)。
【0041】
ステップS103のネットワークイベント有無判定処理において、ネットワークイベントが検出されなかった場合(ステップS103“NO”)、制御部123は、記憶部124の所定の領域に予め登録された固有の識別情報を有する携帯情報端末20の全てに対し、通信部122の携帯無線通信インタフェース122bを用いた位置情報の取得コマンドを送信する(ステップS107)。位置情報の取得コマンドを通信部201で受信した携帯情報端末20では、制御部200がGPS受信部203で受信したGPS信号に基づき位置測位演算して得られる、緯度、経度に関する位置情報を要求のあった制御装置12に対し携帯無線通信網40を介して返信する。
【0042】
制御装置12では、通信部122が携帯無線通信インタフェース122bを介してこの位置情報を取得すると(ステップS108“”YES)、受信した位置情報が所定の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、所定の範囲内とは、例えば無線LANによる電波到達エリア内であって所定の電波受信信号強度(RSSI:Receive Signal Strength Indication)を有する通信許容領域であればよい。制御部123は、通信部122の携帯無線通信インタフェース122bを介して取得した固有の識別情報を有する携帯情報端末20の位置情報が所定の範囲内にある場合に(ステップS109“YES”)、無線LAN機能を有効にするコマンドを生成し、データ通信部122に対しも携帯無線通信インタフェース122bを介して該当の携帯情報端末20に送信するように制御する(ステップS110)。携帯情報端末20では、このコマンドを通信部201で受信し、制御部200がこのコマンドを実行して無線通信部202による無線LAN機能を有効化する。
【0043】
すなわち、制御部123は、通信部122の携帯無線通信インタフェース122bを用いて取得した携帯情報端末20の位置情報が所定の範囲内にある場合、すなわち、携帯情報端末20が無線LANエリア50内に位置する場合に、通信部122に対し、携帯無線通信インタフェース122bを用い、固有の識別情報を有する携帯情報端末20に対し、無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信を行なう指示データ(無線LAN機能を有効にするコマンド)を送信するように制御する。
【0044】
続いて、制御部123は、無線LANネットワークへの参加の有無を判定する(ステップS111)。ここで、無線LANネットワークへの参加が検出されると(ステップS111“YES”)、制御部123は、登録ユーザは帰宅と判定し(ステップS106)、無線LANネットワークへの参加が検出されなければ(ステップS111“NO”)、予め登録されたユーザ以外の人が入退出したと判定し、異常状態が発生したことを報知部125により外部に通知する(ステップS112)。この異常報知は、アラームやメッセージによる警告、通信による防犯管理会社への通告、登録者へのメール送信等が考えられる。
【0045】
なお、ステップS109の位置情報判定処理で、取得した位置情報が所定の範囲内に無いと判定された場合も(ステップS108“NO”)、制御部123は、予め登録されたユーザ以外の人が入退出したと判定し、異常状態が発生したことを報知部125による異常報知により外部に通知する(ステップS111)。
【0046】
すなわち、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で、固有の識別情報を有する携帯情報端末20との間で無線LAN通信インタフェース122aによるデータ通信が行なわれない場合も(無線LANから離脱した状態)、登録されたユーザ以外の人の入退室と判定して異常状態を報知するように報知部125を制御する。また、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122の携帯無線通信インタフェース122bを用いて取得した固有の識別情報を有する携帯情報端末20の位置情報が所定の範囲内に無い場合も、登録されたユーザ以外の人の入退室と判定して異常状態を報知するように報知部125を制御する。
【0047】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る制御装置12によれば、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ通信部122で第1の通信インタフェース(無線LANインタフェース122a)によるデータ通信が行なわれていない場合に、第2の通信インタフェース(携帯無線通信インタフェース122b)を用いて固有の識別情報を有する携帯情報端末20の位置情報を取得し、ここで取得した固有の識別情報を有する携帯情報端末20の位置情報に基づき入退出管理を行うことで精度の高い入退出管理が可能になる。
【0048】
また、本実施形態に係る制御装置12によれば、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、取得した位置情報が所定の範囲内にある場合に、通信部122による第1の通信インタフェース(無線LAN通信インタフェース122a)を用いたデータ通信を自動で有効化することが出来る。したがって、携帯情報端末20は、無線LAN通信部202によるデータ通信を常に有効にしておく必要が無く、その結果、無駄な電波の発信を抑制できるため省電力化がはかれる。また、制御部123は、センサ受信部121で人の通過が検出され、かつ、通信部122で第1の通信インタフェース(無線LAN通信インタフェース122a)によるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態に変化した場合に、固有の識別情報を有する携帯情報端末を所持した人の退出であると認識することが出来、このとき、携帯情報端末20の無線LAN通信部202によるデータ通信を自動で無効化するため、無駄な電波の発信を回避出来、その結果、携帯情報端末20の省電力化がはかれる。
【0049】
また、本実施形態に係る制御装置12によれば、制御部123は、取得した位置情報が所定の範囲内に無い場合に、固有の識別情報を持たない携帯情報端末を所持した人の入退出であると認識できるため、報知部125を用いた異常報知により、セキュリティ上の効果が得られる。また、制御部123は、取得した位置情報が所定の範囲内にあって、かつ、固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で第1の通信インタフェース(無線LANインタフェース122a)によるデータ通信が行なわれない場合にも、固有の識別情報を有しない携帯情報端末を所持した人の入退出であると認識できるため、報知部125を用いた異常報知により、セキュリティ上の効果が得られる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0051】
1・・入退出管理システム、10・・構内、11・・人感センサ、12・・制御装置、13・・無線LANルータ(アクセスポイント)、20・・携帯情報端末、30・・IP網、40・・携帯無線通信網、50・・無線LANエリア、121・・センサ受信部、122・・通信部、122a・・無線LAN通信インタフェース部(第1の通信インタフェース)、122b・・携帯無線通信インタフース(第2の通信インタフェース)、123・・制御部、124・・記憶部、124a・・識別情報、125・・報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の通過を検出するセンサの出力を受信するセンサ受信部と、
固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースによるデータ通信を行う通信部と、
前記検出部と前記通信部とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記センサ受信部で人の通過が検出され、かつ、前記通信部で前記第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれていない場合に、前記通信部が、前記第2の通信インタフェースを用いて前記固有の識別情報を有する携帯情報端末の位置情報を取得するように制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2のインタフェースを用いて取得した前記携帯情報端末の位置情報が所定の範囲内にある場合に、前記通信部に対し、前記第2の通信インタフェースを用い、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末に前記第1の通信インタフェースによるデータ通信を行なう指示データを送信するように制御することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
異常状態を報知する報知部を備え、
前記制御部は、
前記第2の通信インタフェースを用いて取得した前記携帯情報端末の位置情報が所定の範囲内に無い場合に、前記異常状態を報知するように前記報知部を制御することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
異常状態を報知する報知部を備え、
前記制御部は、
前記通信部で、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末との間で前記第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれない場合に、前記異常状態を報知するように前記報知部を制御することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記センサ受信部で人の通過が検出され、かつ、前記通信部で前記第1の通信インタフェースによるデータ通信が行なわれた状態から行なわれない状態になった場合、前記データ通信部に対し、前記第2の通信インタフェースを用い、前記固有の識別情報を有する携帯情報端末に前記第1の通信インタフェースによるデータ通信を行なわない指示データを送信するように制御することを特徴とする請求項1記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235392(P2012−235392A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103750(P2011−103750)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】