券類発行装置および廃券処理システム
【課題】廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員による選り分けミスが低減される券類発行装置および廃券処理システムを提供する。
【解決手段】廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置1であって、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカ21、22に振り分ける振り分け手段を備える券類発行装置1とした。
【解決手段】廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置1であって、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカ21、22に振り分ける振り分け手段を備える券類発行装置1とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発行した券片を装置内部で廃券処理可能な券類発行装置およびこの券類発行装置を備えた廃券処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に券類発行装置の従来構成を示す。券類発行装置101は例えば鉄道の乗車券や定期券等を発行する装置である。装置の外郭をなす筐体1aの内部にはロール紙3が収納されており、このロール紙3から引き出された先端部はカッター7により切断され、券片として搬送路2を介して搬送される。符号4は、例えばプラスチック製の券片を格納したカード券ホッパを示し、このカード券ホッパ4から供給される券片も搬送路2を介して搬送される。搬送路2には、印字部8、磁気書き込みヘッド10、磁気読み取りヘッド11が設けられる。搬送路2の末端側は二股に分岐形成され、それぞれ装置外部に臨む券取出口5、券挿入口6が設けられる。券取出口5周りには、この券取出口5から排出された券片を受ける排出スタッカ12が取り付けられている。搬送路2における印字部8と磁気書き込みヘッド10との間には廃券搬送路2aが分岐形成されており、その途上にパンチ機構部9が設けられ、末端に回収スタッカ13が設けられる。
【0003】
以上の構成からなる券類発行装置101において、券片の発行は、顧客の購入情報を券片の表面に印字部8により印刷し、磁気書き込みヘッド10により裏面の磁気ストライプに磁気情報を書き込んで、券取出口5から排出スタッカ12に排出することでなされる。
【0004】
発行した券片が何らかの理由により無効となった場合、通常この無効となった券片は廃券処理される。券片を廃券にする理由としては、
(1)発行処理中に障害が発生し、顧客に券片を渡せなくなった場合、
(2)発行後に顧客要求等により購入情報に変更が生じた場合、
(3)有効期限を持つ券片(定期券等)を更新する場合、
等が挙げられ、従来の廃券処理としては、対象券片の所定位置に前記パンチ機構部9によりパンチ孔をあけた後、回収スタッカ13に収納するか、若しくは排出スタッカ12に排出する形態が採られている。
【0005】
図13にパンチ孔をあけた廃券の例を示す。前記したように券片を廃券にする理由(これを廃券理由という)が複数あるにもかかわらず、パンチ孔14を常に券片15の所定位置にあけると、のちの廃券の券片整理で廃券理由別に分けたいとき、目視では判別できないという不都合が生じる。この問題に対し、特許文献1には、エラー原因を目視で判別可能とするエラーコードを券面に印刷する技術が記載され、特許文献2には、廃券処理パターン別に穿孔位置を異ならせる技術が記載されている。
【特許文献1】特開平9−27049号公報
【特許文献2】特開2000−339500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら特許文献の技術を用いれば、廃券理由を目視で判別できることになるが、廃券が多数ある場合には、係員の目視に依る選り分け作業では時間がかかり、また選り分けミスも起こりやすくなる。
【0007】
本発明は、以上のような問題を解決するために創作されたものであり、回収後の廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員による選り分けミスが低減される券類発行装置および廃券処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置であって、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける振り分け手段を備えることを特徴とする券類発行装置とした。
【0009】
この券類発行装置によれば、回収後の廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスも低減される。
【0010】
また本発明において、前記廃券処理パターンは、少なくとも廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンを有することを特徴とする券類発行装置とした。
【0011】
この券類発行装置によれば、廃券処理後の券片整理を行う際、整理不要の廃券は既に分別されていることになるので、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスが低減される。
【0012】
また本発明において、前記廃券処理パターンは、廃券理由の違いによる複数のパターンを有することを特徴とする券類発行装置とした。
【0013】
この券類発行装置によれば、回収後の券片整理が必要な廃券について、廃券理由毎に自動で仕分けることが可能となる。つまり、係員の廃券毎の目視による選り分け作業が不要となり、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。
【0014】
また本発明において、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備えることを特徴とする券類発行装置とした。
【0015】
この券類発行装置によれば、上位コンピュータシステム側で廃券理由の統計データを管理でき、券類発行装置の廃券状況の把握が容易となる。
【0016】
また本発明において、廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを読み取る構成からなることを特徴とする券類発行装置とした。
【0017】
この券類発行装置によれば、券の発行時に使用される磁気書き込みヘッドを利用できるので、経済的な券類発行装置を構築できる。
【0018】
また本発明において、廃券理由毎に孔の数若しくは孔の位置を異ならせて券片に穿孔する構成を備え、前記取得手段は、この券片に穿孔された孔を光学センサにより検出する構成からなることを特徴とする券類発行装置とした。
【0019】
この券類発行装置によれば、光学センサを利用する構成なので、磁気ストライプを有さない券片に対しても統計データを得ることができる。
【0020】
また本発明において、廃券と同一サイズの紙片であって、前記統計データが印刷される統計データ票を装置内部で作成可能に構成されていることを特徴とする券類発行装置とした。
【0021】
この券類発行装置によれば、統計データ票として廃券と同一サイズの紙片を用いることで、回収した廃券をまとめる際に表紙として束ねることができる。したがって、廃券の束の内容を目視にて容易に判断できることとなる。また、統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したので、別途にプリンタを用意する必要もなくなる。統計データ票の紙片としては、発券に使用する用紙をそのまま使用することができる。
【0022】
また本発明において、前記券類発行装置と、前記上位コンピュータシステムと、この上位コンピュータシステムに接続され、前記統計データを表示可能なモニタ装置と、を備えることを特徴とする廃券処理システムとした。
【0023】
この廃券処理システムによれば、上位コンピュータシステム側のモニタ装置で廃券理由の統計データを管理できる。その結果、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。
【0024】
また本発明において、装置内部で廃券処理された廃券を券取出口から排出可能に構成された券類発行装置であって、廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を前記券取出口から排出する構成としたことを特徴とする券類発行装置とした。
【0025】
この券類発行装置によれば、券取出口から排出される廃券に対して、その廃券理由を印刷した副票を合わせて発行することで、廃券の内容を容易に確認できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに自動で振り分けることができる。特に券片整理の有無の違いによって振り分けることにより、廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員による選り分けミスが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明について複数の実施例を示して説明する。
「第1実施例」
図1ないし図3は第1実施例に関する図面であり、図1は券類発行装置の装置構成図、図2は廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成ブロック図、図3は券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
図1に示す券類発行装置1の各構成要素について、図12に示したものと同じものについては同一の符号を付している。すなわち、券類発行装置1は、筐体1aの内部にロール紙3が収納され、このロール紙3から引き出された先端部はカッター7により切断され、券片として搬送路2を介して搬送される。カード券ホッパ4から供給される券片も搬送路2を介して搬送される。搬送路2には、印字部8、磁気書き込みヘッド10、磁気読み取りヘッド11が設けられる。搬送路2の末端側は二股に分岐形成されて、それぞれ装置外部に臨む券取出口5、券挿入口6が設けられている。さらに、券取出口5周りには、この券取出口5から排出された券片を受ける排出スタッカ12が取り付けられている。搬送路2における印字部8と磁気書き込みヘッド10との間には廃券搬送路2aが分岐形成されており、その途上には、廃券に穿孔するパンチ機構部9が設けられている。
【0029】
本発明は、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける構成としたことを主な特徴とするものである。この第1実施例における廃券処理パターンは、廃券処理後に、係員による券片整理が必要なものと、回収後にそのまま廃棄処分にするなど、係員による券片整理が不要なものとの2つである。つまり、廃券処理パターンは、廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンからなる。したがって、回収スタッカは、廃券を2つのパターン別に回収するように、2つの回収スタッカ21、回収スタッカ22から構成される。廃券搬送路2aの下流側は、回収スタッカ21、回収スタッカ22にそれぞれ通じる分岐路23、分岐路24に分岐形成され、その分岐点には廃券を分岐路23、分岐路24のいずれかに搬送するための振り分け機構部25が設けられる。なお、振り分け機構部25については公知構造の分岐機構で差し支えないため、その詳細な説明は省略する。
【0030】
廃券処理の動作について図3のフローチャートを参照して、また、具体的な構成要素については適宜に図1、図2を参照して説明する。廃券処理対象の券片が券挿入口6に挿入されると(ステップS101のYES)、券片は搬送路2によって搬送され、磁気読み取りヘッド11を通過する際、券片裏面側の磁気ストライプから磁気情報が読み取られる(ステップS102)。図2に示すように、読み取った磁気情報に関する信号s1は制御部27に送信される。図3のステップS101でNOの場合は、ステップS101の処理に戻る。
【0031】
ステップS102での磁気情報の読み取り後、券片は搬送路2上の退避部26まで搬送され、そこで一時停止する。次いで、制御部27から前記信号s1が読み取りデータ(信号s2)としてホストコンピュータ(上位コンピュータシステム)29に送信される(ステップS103)。ここで、図2に示すオペレータ入力部28は、オペレータが廃券に関する情報を入力する部位であり、オペレータは例えば廃券理由に関するコード番号などを入力する。このオペレータ入力部28において入力があると(ステップS104のYES)、オペレータ入力部28から制御部27に信号s4が送信されるとともに、ホストコンピュータ29から制御部27に券片の磁気情報に関する信号s3が送信され、この2つの信号s3、信号s4に基づいて制御部27は廃券処理パターンを決定する(ステップS105)。ステップS104でNOの場合は、ステップS104の処理に戻る。
【0032】
ステップS105の後、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、パンチ孔が穿孔されることで廃券となり(ステップS106)、ステップS105で決定した廃券処理パターンに基づいて回収スタッカ21と回収スタッカ22とに振り分けられる。すなわち、パターン結果を判定して、係員による券片整理が必要な場合(ステップS107のYES)、廃券は第1の回収スタッカ(回収スタッカ21)に回収され(ステップS108)、係員による券片整理が不要な場合(ステップS107のNO)、廃券は第2の回収スタッカ(回収スタッカ22)に回収される(ステップS109)。
【0033】
以上のように、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける構成とすれば、回収後の廃券の券片整理を容易なものとすることができる。特に、この第1実施例のように、廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンで廃券を振り分ける構成とすれば、整理作業は一方の回収スタッカのみに絞られるため、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスも低減される。
【0034】
「第2実施例」
図4および図5は第2実施例に関する図面であり、図4は券類発行装置の装置構成図、図5は券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。なお、廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成は図2の構成ブロック図に準ずる。
【0035】
図4に示す券類発行装置51の各構成要素について、図1に示したものと同じものについては同一の符号を付し、その説明は省略する。この第2実施例における廃券処理パターンは、第1実施例で説明した「廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターン」に加えて、「廃券理由の違いによる複数のパターン」を有する。図4では、4つの回収スタッカ30〜33を設け、各回収スタッカ30〜33にそれぞれ通じる分岐路34〜37を設けた場合を示している。ここでは仮に、「廃券理由の違いによる複数のパターン」として、既述した(1)発行処理中に障害が発生し、顧客に券片を渡せなくなった場合、(2)発行後に顧客要求等により購入情報に変更が生じた場合、(3)有効期限を持つ券片(定期券等)を更新する場合、の3パターンとし、それぞれ理由1、理由2、理由3というものとする。
【0036】
廃券処理の動作について図5のフローチャートを参照して、また、具体的な構成要素については適宜に図4または図2を参照して説明する。本実施例ではステップS101〜S105に関して第1実施例と同じである。そこでステップS105に続くステップS201から説明すると、ステップS105で決定された廃券処理パターンが、券片整理が不要のパターンである場合(ステップS201のNO)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、1つのパンチ孔が穿孔され(ステップS202)、第4の回収スタッカ(例えば回収スタッカ33)に回収される(ステップS203)。
【0037】
ステップS201において、券片整理が必要なパターンの場合には(ステップS201のYES)、次のステップS204に進む。ステップS204において、廃券処理パターンが理由1の場合(ステップS204のYES)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、1つのパンチ孔が穿孔され(ステップS205)、第1の回収スタッカ(例えば回収スタッカ30)に回収される(ステップS206)。ステップS204でNOの場合、ステップS207に進む。ステップS207において、廃券処理パターンが理由2の場合(ステップS207のYES)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、2つのパンチ孔が穿孔され(ステップS208)、第2の回収スタッカ(例えば回収スタッカ31)に回収される(ステップS209)。ステップS207でNOの場合、廃券処理パターンが理由3と特定され、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、3つのパンチ孔が穿孔され(ステップS210)、第3の回収スタッカ(例えば回収スタッカ32)に回収される(ステップS211)。
【0038】
なお、廃券理由の違いにより、パンチ孔の数を異ならせる代わりに、1つのパンチ孔の穿孔位置を異ならせる構成としても良い。また場合によっては、すべての廃券に対して同一位置、同一数のパンチ孔を穿孔しても良い。
【0039】
以上のように、廃券理由の違いによる複数のパターン別に廃券を各回収スタッカに振り分ける構成とすれば、回収後の券片整理が必要な廃券について、廃券理由毎に自動で振り分けることが可能となる。つまり、係員の廃券毎の目視による選り分け作業が不要となり、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。
【0040】
「第3実施例」
この第3実施例は、廃券理由の統計データを生成し、それを上位コンピュータシステムに送信可能とすることを主な目的としている。券類発行装置自体の構成は図4に示した第2実施例のものを用いることができる。前記目的を実現するに当たり、第3実施例の券類発行装置は、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備える。
【0041】
第3実施例に係る券類発行装置の動作について説明する。図4において、廃券処理対象の券片を券挿入口6に挿入すると、券片は搬送路2によって搬送され、磁気読み取りヘッド11を通過する際、券片裏面側の磁気ストライプから磁気情報が読み取られる。磁気情報の読み取り後、券片は搬送路2上の退避部26まで搬送され、そこで一時停止する。次いで、図2に示すように、制御部27から、磁気読み取りヘッド11(図4)で読み取った磁気情報(信号s2)をホストコンピュータ29に送信する。その後、ホストコンピュータ29からの信号s3とオペレータ入力部28からの信号s4とに基づいて、制御部27は廃券処理パターンを決定する。以上の動作までは第2実施例と同じである。
【0042】
第3実施例では、この後、図4において、退避部26で一時停止していた券片が磁気書き込みヘッド10まで搬送され、廃券理由(廃券処理パターン)が磁気データとして券片裏面の磁気ストライプに書き込まれる。書き込まれた磁気データは、磁気読み取りヘッド11で読み取られて制御部27(図2)に記憶される。つまり、この第3実施例では、磁気読み取りヘッド11が前記した取得手段を構成する。また、制御部27(図2)は、廃券理由に関する磁気データを券片毎に記憶し、これに基づいて廃券理由の統計データを生成してこれを記憶する。つまり、制御部27(図2)は前記した記憶手段を構成する。
【0043】
その後、券片はパンチ機構部9へ搬送され、所定の穿孔がなされたうえで各回収スタッカ30〜33に回収されるが、その間の動作は第2実施例と同じである。つまり、図5に示したステップS201〜S211と同一である。
【0044】
図2の制御部27に記憶した統計データは、上位コンピュータシステムからの指示により当該システムに送信可能であり、送信された統計データはモニタ画面で表示させることができる。この場合、制御部27が前記した送信手段を構成する。なお、図6は、第3実施例に係る券類発行装置61、上位コンピュータシステムであるホストコンピュータ29、モニタ装置38の接続関係を示す構成ブロック図である。モニタ装置38におけるモニタ画面例を図7に示す。図7では、廃券理由毎の廃券処理枚数を表示した例を示しているが、その他にも券片の種類等、他のデータを表示させることもできる。
【0045】
以上のように、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得後の廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備える構成とすれば、上位コンピュータシステム側で廃券理由の統計データを管理でき、券類発行装置の廃券状況の把握が容易となる。特に、統計データを表示可能なモニタ装置を備えた廃券処理システムとすることで、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。
【0046】
また、廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段(磁気書き込みヘッド10に相当する)を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを磁気読み取りヘッド11により読み取る構成とすれば、券の発行時に使用される磁気書き込みヘッド10を利用できるので、経済的な券類発行装置となる。
【0047】
「第4実施例」
この第4実施例は、廃券と同一サイズの紙片であって、第3実施例で得た統計データが印刷される統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したことを特徴としている。印刷する統計データとしては、例えば図7で示したモニタ画面の統計データと同じものが良い。なお、印刷は印字部8(図4)を利用することができる。
【0048】
この第4実施例によれば、統計データ票として廃券と同一サイズの紙片を用いることで、回収した廃券をまとめる際に表紙として束ねることができる。したがって、廃券の束の内容を目視にて容易に判断できることとなる。また、統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したので、別途にプリンタを用意する必要もなくなる。また、統計データ票の紙片としては、発券に使用するロール紙3(図4)をそのまま使用することができる。
【0049】
「第5実施例」
第5実施例は、第3実施例と同様、廃券理由の統計データを生成し、それを上位コンピュータシステムに送信可能とすることを主な目的としている。第5実施例が第3実施例と異なる点は、券片毎に廃券理由の情報を取得するに当たり、第3実施例では、廃券理由の情報を磁気書き込みヘッド10を介して磁気データとして書き込み、それを磁気読み取りヘッド11で読み取る構成であったのに対し、第5実施例では、廃券理由別に異ならせたパンチ機構部9による穿孔の数を光学センサで検出させる構成としたことにある。
【0050】
図8は第5実施例に係る券類発行装置の装置構成図であり、廃券搬送路2aにおけるパンチ機構部9と分岐路34との間に光学センサ39が設けられる。穿孔の数に合わせて光学センサ39は3つの光学センサ39a〜39cから構成される。これにより、光学センサ39a〜39cの検出状態から穿孔の数、すなわち対象廃券の廃券理由が割り出される。なお、孔の数ではなく孔の位置を異ならせて穿孔した場合であっても、光学センサ39により対象廃券の廃券理由を割り出すことが可能である。
【0051】
図9は第5実施例における主要部の構成ブロック図を示し、第3実施例と同様に、ホストコンピュータ29、モニタ装置38を備える構成とすることで、券類発行装置で廃券処理した件数を上位コンピュータシステム側のモニタ装置38で確認できることになる。したがって、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。また、第5実施例では、光学センサを利用する構成なので、磁気ストライプを有さない券片に対しても統計データを得ることができる。
【0052】
「第6実施例」
第6実施例は、廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を券取出口5(図1、図4)から排出する構成としたことを主な特徴とするものである。副票の用紙としては、ロール紙3を利用することができる。副票は、パンチ孔が穿孔された廃券が券取出口5から排出された後に間をおかず排出されてくることが望ましい。このような副票を廃券に合わせて発行することで、廃券の内容を容易に確認でき、すぐさま廃券と副票を一緒に束ねる等の措置を講じることで、後に券片整理が必要なときでも廃券理由の確認がしやすくなる。
【0053】
以上、本発明について最良の実施形態を説明した。本発明は説明した形態に限らずに実施が可能である。例えば、回収スタッカに関する変形例として図10に示すものが挙げられる。図10に示した券類発行装置91は、回収スタッカ40を除けば図4に示した券類発行装置51と同じ構成である。回収スタッカ40は、分岐路34〜37から搬送されてくる廃券をそれぞれ区分して回収するように、区画された複数の回収スタッカ室40aを有した単一の部材として構成されている。このような回収スタッカ40を用いても、後の廃券の券片整理において、整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。このように、本願の特許請求の範囲に記載の「廃券を複数の回収スタッカに振り分ける」における「複数の回収スタッカ」とは、図4のように各回収スタッカ30〜33が別部材として構成されているものに限定されず、図10に示した複数の回収スタッカ室40aのように、「複数の廃券の回収空間」を形成したものすべてを包含する。
【0054】
また、回収スタッカは券類発行装置に対して外付けする形式でも良い。図11では、分岐路34〜37の下流端を筐体1aの外部に臨ませて廃券の排出口34a〜37aを形成し、各排出口34a〜37aから排出される廃券を受けることができるように、回収スタッカ40を筐体1aの外部に着脱自在に取り付ける、或いは設置する構成としている。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図2】本発明の第1実施例の図面であり、廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例の図面であり、券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図5】本発明の第2実施例の図面であり、券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施例の図面であり、券類発行装置、ホストコンピュータ、モニタ装置の接続関係を示す構成ブロック図である。
【図7】本発明の第3実施例の図面であり、統計データに関するモニタ画面である。
【図8】本発明の第5実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図9】本発明の第5実施例の図面であり、ホストコンピュータ、モニタ装置等の構成ブロック図である。
【図10】回収スタッカの第1変形例の説明図である。
【図11】回収スタッカの第2変形例の説明図である。
【図12】従来の券類発行装置の装置構成図である。
【図13】パンチ孔をあけた廃券を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 券類発行装置
2 搬送路
3 ロール紙
5 券取出口
6 券挿入口
8 印字部
9 パンチ機構部
10 磁気書き込みヘッド
11 磁気読み取りヘッド
12 排出スタッカ
21、22、30〜33、40 回収スタッカ
27 制御部
29 ホストコンピュータ(上位コンピュータシステム)
38 モニタ装置
39 光学センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、発行した券片を装置内部で廃券処理可能な券類発行装置およびこの券類発行装置を備えた廃券処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に券類発行装置の従来構成を示す。券類発行装置101は例えば鉄道の乗車券や定期券等を発行する装置である。装置の外郭をなす筐体1aの内部にはロール紙3が収納されており、このロール紙3から引き出された先端部はカッター7により切断され、券片として搬送路2を介して搬送される。符号4は、例えばプラスチック製の券片を格納したカード券ホッパを示し、このカード券ホッパ4から供給される券片も搬送路2を介して搬送される。搬送路2には、印字部8、磁気書き込みヘッド10、磁気読み取りヘッド11が設けられる。搬送路2の末端側は二股に分岐形成され、それぞれ装置外部に臨む券取出口5、券挿入口6が設けられる。券取出口5周りには、この券取出口5から排出された券片を受ける排出スタッカ12が取り付けられている。搬送路2における印字部8と磁気書き込みヘッド10との間には廃券搬送路2aが分岐形成されており、その途上にパンチ機構部9が設けられ、末端に回収スタッカ13が設けられる。
【0003】
以上の構成からなる券類発行装置101において、券片の発行は、顧客の購入情報を券片の表面に印字部8により印刷し、磁気書き込みヘッド10により裏面の磁気ストライプに磁気情報を書き込んで、券取出口5から排出スタッカ12に排出することでなされる。
【0004】
発行した券片が何らかの理由により無効となった場合、通常この無効となった券片は廃券処理される。券片を廃券にする理由としては、
(1)発行処理中に障害が発生し、顧客に券片を渡せなくなった場合、
(2)発行後に顧客要求等により購入情報に変更が生じた場合、
(3)有効期限を持つ券片(定期券等)を更新する場合、
等が挙げられ、従来の廃券処理としては、対象券片の所定位置に前記パンチ機構部9によりパンチ孔をあけた後、回収スタッカ13に収納するか、若しくは排出スタッカ12に排出する形態が採られている。
【0005】
図13にパンチ孔をあけた廃券の例を示す。前記したように券片を廃券にする理由(これを廃券理由という)が複数あるにもかかわらず、パンチ孔14を常に券片15の所定位置にあけると、のちの廃券の券片整理で廃券理由別に分けたいとき、目視では判別できないという不都合が生じる。この問題に対し、特許文献1には、エラー原因を目視で判別可能とするエラーコードを券面に印刷する技術が記載され、特許文献2には、廃券処理パターン別に穿孔位置を異ならせる技術が記載されている。
【特許文献1】特開平9−27049号公報
【特許文献2】特開2000−339500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら特許文献の技術を用いれば、廃券理由を目視で判別できることになるが、廃券が多数ある場合には、係員の目視に依る選り分け作業では時間がかかり、また選り分けミスも起こりやすくなる。
【0007】
本発明は、以上のような問題を解決するために創作されたものであり、回収後の廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員による選り分けミスが低減される券類発行装置および廃券処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置であって、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける振り分け手段を備えることを特徴とする券類発行装置とした。
【0009】
この券類発行装置によれば、回収後の廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスも低減される。
【0010】
また本発明において、前記廃券処理パターンは、少なくとも廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンを有することを特徴とする券類発行装置とした。
【0011】
この券類発行装置によれば、廃券処理後の券片整理を行う際、整理不要の廃券は既に分別されていることになるので、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスが低減される。
【0012】
また本発明において、前記廃券処理パターンは、廃券理由の違いによる複数のパターンを有することを特徴とする券類発行装置とした。
【0013】
この券類発行装置によれば、回収後の券片整理が必要な廃券について、廃券理由毎に自動で仕分けることが可能となる。つまり、係員の廃券毎の目視による選り分け作業が不要となり、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。
【0014】
また本発明において、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備えることを特徴とする券類発行装置とした。
【0015】
この券類発行装置によれば、上位コンピュータシステム側で廃券理由の統計データを管理でき、券類発行装置の廃券状況の把握が容易となる。
【0016】
また本発明において、廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを読み取る構成からなることを特徴とする券類発行装置とした。
【0017】
この券類発行装置によれば、券の発行時に使用される磁気書き込みヘッドを利用できるので、経済的な券類発行装置を構築できる。
【0018】
また本発明において、廃券理由毎に孔の数若しくは孔の位置を異ならせて券片に穿孔する構成を備え、前記取得手段は、この券片に穿孔された孔を光学センサにより検出する構成からなることを特徴とする券類発行装置とした。
【0019】
この券類発行装置によれば、光学センサを利用する構成なので、磁気ストライプを有さない券片に対しても統計データを得ることができる。
【0020】
また本発明において、廃券と同一サイズの紙片であって、前記統計データが印刷される統計データ票を装置内部で作成可能に構成されていることを特徴とする券類発行装置とした。
【0021】
この券類発行装置によれば、統計データ票として廃券と同一サイズの紙片を用いることで、回収した廃券をまとめる際に表紙として束ねることができる。したがって、廃券の束の内容を目視にて容易に判断できることとなる。また、統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したので、別途にプリンタを用意する必要もなくなる。統計データ票の紙片としては、発券に使用する用紙をそのまま使用することができる。
【0022】
また本発明において、前記券類発行装置と、前記上位コンピュータシステムと、この上位コンピュータシステムに接続され、前記統計データを表示可能なモニタ装置と、を備えることを特徴とする廃券処理システムとした。
【0023】
この廃券処理システムによれば、上位コンピュータシステム側のモニタ装置で廃券理由の統計データを管理できる。その結果、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。
【0024】
また本発明において、装置内部で廃券処理された廃券を券取出口から排出可能に構成された券類発行装置であって、廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を前記券取出口から排出する構成としたことを特徴とする券類発行装置とした。
【0025】
この券類発行装置によれば、券取出口から排出される廃券に対して、その廃券理由を印刷した副票を合わせて発行することで、廃券の内容を容易に確認できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに自動で振り分けることができる。特に券片整理の有無の違いによって振り分けることにより、廃券の券片整理を容易なものにでき、券片整理に要する時間が短縮され、係員による選り分けミスが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明について複数の実施例を示して説明する。
「第1実施例」
図1ないし図3は第1実施例に関する図面であり、図1は券類発行装置の装置構成図、図2は廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成ブロック図、図3は券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
図1に示す券類発行装置1の各構成要素について、図12に示したものと同じものについては同一の符号を付している。すなわち、券類発行装置1は、筐体1aの内部にロール紙3が収納され、このロール紙3から引き出された先端部はカッター7により切断され、券片として搬送路2を介して搬送される。カード券ホッパ4から供給される券片も搬送路2を介して搬送される。搬送路2には、印字部8、磁気書き込みヘッド10、磁気読み取りヘッド11が設けられる。搬送路2の末端側は二股に分岐形成されて、それぞれ装置外部に臨む券取出口5、券挿入口6が設けられている。さらに、券取出口5周りには、この券取出口5から排出された券片を受ける排出スタッカ12が取り付けられている。搬送路2における印字部8と磁気書き込みヘッド10との間には廃券搬送路2aが分岐形成されており、その途上には、廃券に穿孔するパンチ機構部9が設けられている。
【0029】
本発明は、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける構成としたことを主な特徴とするものである。この第1実施例における廃券処理パターンは、廃券処理後に、係員による券片整理が必要なものと、回収後にそのまま廃棄処分にするなど、係員による券片整理が不要なものとの2つである。つまり、廃券処理パターンは、廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンからなる。したがって、回収スタッカは、廃券を2つのパターン別に回収するように、2つの回収スタッカ21、回収スタッカ22から構成される。廃券搬送路2aの下流側は、回収スタッカ21、回収スタッカ22にそれぞれ通じる分岐路23、分岐路24に分岐形成され、その分岐点には廃券を分岐路23、分岐路24のいずれかに搬送するための振り分け機構部25が設けられる。なお、振り分け機構部25については公知構造の分岐機構で差し支えないため、その詳細な説明は省略する。
【0030】
廃券処理の動作について図3のフローチャートを参照して、また、具体的な構成要素については適宜に図1、図2を参照して説明する。廃券処理対象の券片が券挿入口6に挿入されると(ステップS101のYES)、券片は搬送路2によって搬送され、磁気読み取りヘッド11を通過する際、券片裏面側の磁気ストライプから磁気情報が読み取られる(ステップS102)。図2に示すように、読み取った磁気情報に関する信号s1は制御部27に送信される。図3のステップS101でNOの場合は、ステップS101の処理に戻る。
【0031】
ステップS102での磁気情報の読み取り後、券片は搬送路2上の退避部26まで搬送され、そこで一時停止する。次いで、制御部27から前記信号s1が読み取りデータ(信号s2)としてホストコンピュータ(上位コンピュータシステム)29に送信される(ステップS103)。ここで、図2に示すオペレータ入力部28は、オペレータが廃券に関する情報を入力する部位であり、オペレータは例えば廃券理由に関するコード番号などを入力する。このオペレータ入力部28において入力があると(ステップS104のYES)、オペレータ入力部28から制御部27に信号s4が送信されるとともに、ホストコンピュータ29から制御部27に券片の磁気情報に関する信号s3が送信され、この2つの信号s3、信号s4に基づいて制御部27は廃券処理パターンを決定する(ステップS105)。ステップS104でNOの場合は、ステップS104の処理に戻る。
【0032】
ステップS105の後、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、パンチ孔が穿孔されることで廃券となり(ステップS106)、ステップS105で決定した廃券処理パターンに基づいて回収スタッカ21と回収スタッカ22とに振り分けられる。すなわち、パターン結果を判定して、係員による券片整理が必要な場合(ステップS107のYES)、廃券は第1の回収スタッカ(回収スタッカ21)に回収され(ステップS108)、係員による券片整理が不要な場合(ステップS107のNO)、廃券は第2の回収スタッカ(回収スタッカ22)に回収される(ステップS109)。
【0033】
以上のように、廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける構成とすれば、回収後の廃券の券片整理を容易なものとすることができる。特に、この第1実施例のように、廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンで廃券を振り分ける構成とすれば、整理作業は一方の回収スタッカのみに絞られるため、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスも低減される。
【0034】
「第2実施例」
図4および図5は第2実施例に関する図面であり、図4は券類発行装置の装置構成図、図5は券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。なお、廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成は図2の構成ブロック図に準ずる。
【0035】
図4に示す券類発行装置51の各構成要素について、図1に示したものと同じものについては同一の符号を付し、その説明は省略する。この第2実施例における廃券処理パターンは、第1実施例で説明した「廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターン」に加えて、「廃券理由の違いによる複数のパターン」を有する。図4では、4つの回収スタッカ30〜33を設け、各回収スタッカ30〜33にそれぞれ通じる分岐路34〜37を設けた場合を示している。ここでは仮に、「廃券理由の違いによる複数のパターン」として、既述した(1)発行処理中に障害が発生し、顧客に券片を渡せなくなった場合、(2)発行後に顧客要求等により購入情報に変更が生じた場合、(3)有効期限を持つ券片(定期券等)を更新する場合、の3パターンとし、それぞれ理由1、理由2、理由3というものとする。
【0036】
廃券処理の動作について図5のフローチャートを参照して、また、具体的な構成要素については適宜に図4または図2を参照して説明する。本実施例ではステップS101〜S105に関して第1実施例と同じである。そこでステップS105に続くステップS201から説明すると、ステップS105で決定された廃券処理パターンが、券片整理が不要のパターンである場合(ステップS201のNO)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、1つのパンチ孔が穿孔され(ステップS202)、第4の回収スタッカ(例えば回収スタッカ33)に回収される(ステップS203)。
【0037】
ステップS201において、券片整理が必要なパターンの場合には(ステップS201のYES)、次のステップS204に進む。ステップS204において、廃券処理パターンが理由1の場合(ステップS204のYES)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、1つのパンチ孔が穿孔され(ステップS205)、第1の回収スタッカ(例えば回収スタッカ30)に回収される(ステップS206)。ステップS204でNOの場合、ステップS207に進む。ステップS207において、廃券処理パターンが理由2の場合(ステップS207のYES)、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、2つのパンチ孔が穿孔され(ステップS208)、第2の回収スタッカ(例えば回収スタッカ31)に回収される(ステップS209)。ステップS207でNOの場合、廃券処理パターンが理由3と特定され、一時停止していた券片がパンチ機構部9まで搬送され、3つのパンチ孔が穿孔され(ステップS210)、第3の回収スタッカ(例えば回収スタッカ32)に回収される(ステップS211)。
【0038】
なお、廃券理由の違いにより、パンチ孔の数を異ならせる代わりに、1つのパンチ孔の穿孔位置を異ならせる構成としても良い。また場合によっては、すべての廃券に対して同一位置、同一数のパンチ孔を穿孔しても良い。
【0039】
以上のように、廃券理由の違いによる複数のパターン別に廃券を各回収スタッカに振り分ける構成とすれば、回収後の券片整理が必要な廃券について、廃券理由毎に自動で振り分けることが可能となる。つまり、係員の廃券毎の目視による選り分け作業が不要となり、券片整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。
【0040】
「第3実施例」
この第3実施例は、廃券理由の統計データを生成し、それを上位コンピュータシステムに送信可能とすることを主な目的としている。券類発行装置自体の構成は図4に示した第2実施例のものを用いることができる。前記目的を実現するに当たり、第3実施例の券類発行装置は、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備える。
【0041】
第3実施例に係る券類発行装置の動作について説明する。図4において、廃券処理対象の券片を券挿入口6に挿入すると、券片は搬送路2によって搬送され、磁気読み取りヘッド11を通過する際、券片裏面側の磁気ストライプから磁気情報が読み取られる。磁気情報の読み取り後、券片は搬送路2上の退避部26まで搬送され、そこで一時停止する。次いで、図2に示すように、制御部27から、磁気読み取りヘッド11(図4)で読み取った磁気情報(信号s2)をホストコンピュータ29に送信する。その後、ホストコンピュータ29からの信号s3とオペレータ入力部28からの信号s4とに基づいて、制御部27は廃券処理パターンを決定する。以上の動作までは第2実施例と同じである。
【0042】
第3実施例では、この後、図4において、退避部26で一時停止していた券片が磁気書き込みヘッド10まで搬送され、廃券理由(廃券処理パターン)が磁気データとして券片裏面の磁気ストライプに書き込まれる。書き込まれた磁気データは、磁気読み取りヘッド11で読み取られて制御部27(図2)に記憶される。つまり、この第3実施例では、磁気読み取りヘッド11が前記した取得手段を構成する。また、制御部27(図2)は、廃券理由に関する磁気データを券片毎に記憶し、これに基づいて廃券理由の統計データを生成してこれを記憶する。つまり、制御部27(図2)は前記した記憶手段を構成する。
【0043】
その後、券片はパンチ機構部9へ搬送され、所定の穿孔がなされたうえで各回収スタッカ30〜33に回収されるが、その間の動作は第2実施例と同じである。つまり、図5に示したステップS201〜S211と同一である。
【0044】
図2の制御部27に記憶した統計データは、上位コンピュータシステムからの指示により当該システムに送信可能であり、送信された統計データはモニタ画面で表示させることができる。この場合、制御部27が前記した送信手段を構成する。なお、図6は、第3実施例に係る券類発行装置61、上位コンピュータシステムであるホストコンピュータ29、モニタ装置38の接続関係を示す構成ブロック図である。モニタ装置38におけるモニタ画面例を図7に示す。図7では、廃券理由毎の廃券処理枚数を表示した例を示しているが、その他にも券片の種類等、他のデータを表示させることもできる。
【0045】
以上のように、券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、取得後の廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、を備える構成とすれば、上位コンピュータシステム側で廃券理由の統計データを管理でき、券類発行装置の廃券状況の把握が容易となる。特に、統計データを表示可能なモニタ装置を備えた廃券処理システムとすることで、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。
【0046】
また、廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段(磁気書き込みヘッド10に相当する)を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを磁気読み取りヘッド11により読み取る構成とすれば、券の発行時に使用される磁気書き込みヘッド10を利用できるので、経済的な券類発行装置となる。
【0047】
「第4実施例」
この第4実施例は、廃券と同一サイズの紙片であって、第3実施例で得た統計データが印刷される統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したことを特徴としている。印刷する統計データとしては、例えば図7で示したモニタ画面の統計データと同じものが良い。なお、印刷は印字部8(図4)を利用することができる。
【0048】
この第4実施例によれば、統計データ票として廃券と同一サイズの紙片を用いることで、回収した廃券をまとめる際に表紙として束ねることができる。したがって、廃券の束の内容を目視にて容易に判断できることとなる。また、統計データ票を券類発行装置の内部で作成可能に構成したので、別途にプリンタを用意する必要もなくなる。また、統計データ票の紙片としては、発券に使用するロール紙3(図4)をそのまま使用することができる。
【0049】
「第5実施例」
第5実施例は、第3実施例と同様、廃券理由の統計データを生成し、それを上位コンピュータシステムに送信可能とすることを主な目的としている。第5実施例が第3実施例と異なる点は、券片毎に廃券理由の情報を取得するに当たり、第3実施例では、廃券理由の情報を磁気書き込みヘッド10を介して磁気データとして書き込み、それを磁気読み取りヘッド11で読み取る構成であったのに対し、第5実施例では、廃券理由別に異ならせたパンチ機構部9による穿孔の数を光学センサで検出させる構成としたことにある。
【0050】
図8は第5実施例に係る券類発行装置の装置構成図であり、廃券搬送路2aにおけるパンチ機構部9と分岐路34との間に光学センサ39が設けられる。穿孔の数に合わせて光学センサ39は3つの光学センサ39a〜39cから構成される。これにより、光学センサ39a〜39cの検出状態から穿孔の数、すなわち対象廃券の廃券理由が割り出される。なお、孔の数ではなく孔の位置を異ならせて穿孔した場合であっても、光学センサ39により対象廃券の廃券理由を割り出すことが可能である。
【0051】
図9は第5実施例における主要部の構成ブロック図を示し、第3実施例と同様に、ホストコンピュータ29、モニタ装置38を備える構成とすることで、券類発行装置で廃券処理した件数を上位コンピュータシステム側のモニタ装置38で確認できることになる。したがって、回収スタッカに回収された廃券の枚数と実際に処理した件数との確認が容易となる。また、第5実施例では、光学センサを利用する構成なので、磁気ストライプを有さない券片に対しても統計データを得ることができる。
【0052】
「第6実施例」
第6実施例は、廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を券取出口5(図1、図4)から排出する構成としたことを主な特徴とするものである。副票の用紙としては、ロール紙3を利用することができる。副票は、パンチ孔が穿孔された廃券が券取出口5から排出された後に間をおかず排出されてくることが望ましい。このような副票を廃券に合わせて発行することで、廃券の内容を容易に確認でき、すぐさま廃券と副票を一緒に束ねる等の措置を講じることで、後に券片整理が必要なときでも廃券理由の確認がしやすくなる。
【0053】
以上、本発明について最良の実施形態を説明した。本発明は説明した形態に限らずに実施が可能である。例えば、回収スタッカに関する変形例として図10に示すものが挙げられる。図10に示した券類発行装置91は、回収スタッカ40を除けば図4に示した券類発行装置51と同じ構成である。回収スタッカ40は、分岐路34〜37から搬送されてくる廃券をそれぞれ区分して回収するように、区画された複数の回収スタッカ室40aを有した単一の部材として構成されている。このような回収スタッカ40を用いても、後の廃券の券片整理において、整理に要する時間が短縮され、係員の選り分けミスの問題も解消される。このように、本願の特許請求の範囲に記載の「廃券を複数の回収スタッカに振り分ける」における「複数の回収スタッカ」とは、図4のように各回収スタッカ30〜33が別部材として構成されているものに限定されず、図10に示した複数の回収スタッカ室40aのように、「複数の廃券の回収空間」を形成したものすべてを包含する。
【0054】
また、回収スタッカは券類発行装置に対して外付けする形式でも良い。図11では、分岐路34〜37の下流端を筐体1aの外部に臨ませて廃券の排出口34a〜37aを形成し、各排出口34a〜37aから排出される廃券を受けることができるように、回収スタッカ40を筐体1aの外部に着脱自在に取り付ける、或いは設置する構成としている。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図2】本発明の第1実施例の図面であり、廃券処理に係る券類発行装置およびホストコンピュータの構成ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例の図面であり、券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図5】本発明の第2実施例の図面であり、券類発行装置の廃券処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施例の図面であり、券類発行装置、ホストコンピュータ、モニタ装置の接続関係を示す構成ブロック図である。
【図7】本発明の第3実施例の図面であり、統計データに関するモニタ画面である。
【図8】本発明の第5実施例の図面であり、券類発行装置の装置構成図である。
【図9】本発明の第5実施例の図面であり、ホストコンピュータ、モニタ装置等の構成ブロック図である。
【図10】回収スタッカの第1変形例の説明図である。
【図11】回収スタッカの第2変形例の説明図である。
【図12】従来の券類発行装置の装置構成図である。
【図13】パンチ孔をあけた廃券を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 券類発行装置
2 搬送路
3 ロール紙
5 券取出口
6 券挿入口
8 印字部
9 パンチ機構部
10 磁気書き込みヘッド
11 磁気読み取りヘッド
12 排出スタッカ
21、22、30〜33、40 回収スタッカ
27 制御部
29 ホストコンピュータ(上位コンピュータシステム)
38 モニタ装置
39 光学センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置であって、
廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける振り分け手段を備えることを特徴とする券類発行装置。
【請求項2】
前記廃券処理パターンは、少なくとも廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の券類発行装置。
【請求項3】
前記廃券処理パターンは、廃券理由の違いによる複数のパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の券類発行装置。
【請求項4】
券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、
取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、
記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の券類発行装置。
【請求項5】
廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを読み取る構成からなることを特徴とする請求項4に記載の券類発行装置。
【請求項6】
廃券理由毎に孔の数若しくは孔の位置を異ならせて券片に穿孔する構成を備え、前記取得手段は、この券片に穿孔された孔を光学センサにより検出する構成からなることを特徴とする請求項4に記載の券類発行装置。
【請求項7】
廃券と同一サイズの紙片であって、前記統計データが印刷される統計データ票を装置内部で作成可能に構成されていることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の券類発行装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の券類発行装置と、前記上位コンピュータシステムと、この上位コンピュータシステムに接続され、前記統計データを表示可能なモニタ装置と、を備えることを特徴とする廃券処理システム。
【請求項9】
装置内部で廃券処理された廃券を券取出口から排出可能に構成された券類発行装置であって、
廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を前記券取出口から排出する構成としたことを特徴とする券類発行装置。
【請求項1】
廃券処理機能を有し、廃券を回収する回収スタッカを備えた券類発行装置であって、
廃券処理パターンに基づいて廃券を複数の回収スタッカに振り分ける振り分け手段を備えることを特徴とする券類発行装置。
【請求項2】
前記廃券処理パターンは、少なくとも廃券処理後の券片整理の有無の違いによる2つのパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の券類発行装置。
【請求項3】
前記廃券処理パターンは、廃券理由の違いによる複数のパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の券類発行装置。
【請求項4】
券片毎に廃券理由の情報を取得する取得手段と、
取得された廃券理由の情報から生成した廃券理由の統計データを記憶する記憶手段と、
記憶した統計データを上位コンピュータシステムに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の券類発行装置。
【請求項5】
廃券理由に関する磁気データを券片に書き込む書き込み手段を備え、前記取得手段は、この券片に書き込まれた磁気データを読み取る構成からなることを特徴とする請求項4に記載の券類発行装置。
【請求項6】
廃券理由毎に孔の数若しくは孔の位置を異ならせて券片に穿孔する構成を備え、前記取得手段は、この券片に穿孔された孔を光学センサにより検出する構成からなることを特徴とする請求項4に記載の券類発行装置。
【請求項7】
廃券と同一サイズの紙片であって、前記統計データが印刷される統計データ票を装置内部で作成可能に構成されていることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の券類発行装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の券類発行装置と、前記上位コンピュータシステムと、この上位コンピュータシステムに接続され、前記統計データを表示可能なモニタ装置と、を備えることを特徴とする廃券処理システム。
【請求項9】
装置内部で廃券処理された廃券を券取出口から排出可能に構成された券類発行装置であって、
廃券と共に、この廃券の廃券理由を印刷した副票を前記券取出口から排出する構成としたことを特徴とする券類発行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−165521(P2008−165521A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354870(P2006−354870)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
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