説明

削岩機用セメントサイロ構造

本発明は、削岩機用セメントサイロ構造に関するものであり、撹拌器(9)、セメント用セメントサイロ(10)、および撹拌器(9)にセメントを供給する供給装置(11)を含む。セメントサイロ(10)は、独立したユニットであり、移動装置によって削岩機の上部にある使用位置および使用位置とは異なる装入位置の間を移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、削岩機用セメントサイロ構造に関するものである。この削岩機は、撹拌器と、セメント用のセメントサイロと、セメントサイロの下端から撹拌器にセメントを供給する供給装置とを含む。
【0002】
削岩において、穿孔された孔にボルトを詰めることおよび孔にセメントまたはさまざまな砕石を注入することの両方にグラウト装置が用いられる。所要のセメントは、削岩機の上部に位置する特定のセメントサイロから、セメントサイロの下部に設けられた給送スクリューなどの別の供給装置によって、下方の撹拌器に供給される。この撹拌器において、セメントは水と混合されて注入するコンクリートが生成される。セメントサイロは削岩機の上部に位置しているので、相対的に高い位置にあり、別の装入ホッパの補助なしでは、供給サイロにセメントを装入することが難しく、また複雑である。このため、梯子が届く別の作業用足場が必要であり、その上に、通常は人力でセメント袋を揚げて、これをセメントサイロの縁に載せ、その中に移す。
【発明の簡単な説明】
【0003】
本発明の目的は、サイロへの装入および使用を既存の解決策より単純化し簡単化するセメントサイロ構造を提供することである。
【0004】
本発明のセメントサイロ構造は、セメントサイロが独立したユニットであり、削岩機には移動手段が設けられ、それによってセメントサイロは、削岩機の上部にある使用位置およびこの使用位置とは異なる装入位置の間を移動することができることを特徴とする。
【0005】
本発明の基本思想は、セメントサイロが独立したカセット/箱タイプのユニットであり、これは、削岩機の上部にある使用位置から、この使用位置とは異なり使用位置より任意に低い高さに位置する別の位置へ、すなわち、地面の高さに近い、または地面の高さと同じぐらい低い位置へさえも、装入のために移動することである。その場合、セメントサイロは、削岩機の上部の十分に高い位置にあって撹拌器にセメントを供給する一方、空のメントサイロに装入し、または装入したセメントサイロにそれを交換することは、簡単かつ単純である。本発明の実施例によると、セメントサイロは、独立したカセット/箱体であり、セメントで満たされて削岩機に運ばれ、削岩機の上部に移動手段によって持ち上げられ、箱体が空になると、再び地面に降ろされ、あらかじめセメントを装入した新しいセメントサイロを持ち上げる。本発明の第2の実施例によると、各セメントサイロには個別の移送スクリューが設けられ、その回転モータは、新しいサイロを持ち上げる際、削岩機の制御系に接続される。他の実施例によると、給送スクリューは削岩機に装着されて固定され、セメントサイロは単にセメントで満たされた容器であり、その底には開閉可能な開口部があり、セメントサイロは給送スクリューの上部のある位置まで持ち上げられ、開口部を開いてセメントを給送スクリュー上に落とす。
【0006】
本特許出願では、明細書および特許請求の範囲の両方において、使用位置とは、セメントサイロから撹拌器内にセメントを供給することができる位置を言う。本特許出願ではまた、明細書および特許請求の範囲の両方において、装入位置とは、セメントをセメントサイロ内に供給でき、またはセメントサイロを移動手段から取り外してセメントで満たされた他のセメントサイロに交換できる位置をさす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下に添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図1】は本発明のセメントサイロ構造を含む削岩機の概略を表す。
【図2a】および
【図2b】は、図1の削岩機でセメントサイロがそれぞれ使用位置および対応の装入位置にある場合の背面図である。
【図3a】および
【図3b】は、本発明のセメントサイロのそれぞれ概略側面図およびA-A線に沿った切断面図である。
【図4a】および
【図4b】は、本発明の第2のセメントサイロのそれぞれ概略側面図およびB-B線に沿った切断面図である。
【図5】は、本発明の実施例を表す。
【図6】は、本発明の他の実施例を表す。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0008】
図1は削岩機1を概略的に表し、削岩機はこの場合、一例としてボルト打設装置である。これは台車2を含み、これにブーム3の第1の端部が固定されている。ブーム3の第2の端部には、それ自体公知の回転可能な方式でボルト打設ユニット4が装着されている。それ自体公知のようにボルト打設ユニットは、給送ビーム5a上を移動する公知の削岩機5と、給送ビーム6a上を移動する公知のボルト供給装置6と、ボルトマガジン6bと、注入材料の供給ホース7とを含む。ホース7は、ホースリール8に装着され、そこからその必要な量だけ孔の中に供給されて注入材料を孔に注入し、その後でロックボルトがそこに挿入される。
【0009】
台車1には、撹拌器9も装着され、セメントサイロ10から供給されるセメントは、それによって水と混合されて所望の量が生成され、供給ホース7を通してこれを供給することができる。
【0010】
典型的に撹拌器9は、所定の高さに装着されて固定され、コンテナと、その中にあって別の撹拌モータで駆動される撹拌機とを含む。コンテナにはまた、供給ポンプ(図示せず)が接続され、これは注入材料を供給ホース7内に送出する。この種の撹拌機自体は公知であり、撹拌機の構造および動作とその関連部分は、当業者に明らかである。それは、本発明に無関係であるので、ここでその詳細を説明する必要はない。
【0011】
撹拌器の使用を単純化し容易にするためには、言うまでもなく、液圧シリンダなどの適切な動力手段で撹拌器を垂直に移動可能に装着して、作動中には地面の高さまでも降ろすことができ、また、削岩機の移動に際しては、凹凸の多い地面または岩で破損しないように十分な高さまで上げられるようにすることも可能である。さらに、セメントサイロの経路は、下降中は、セメントサイロが削岩機の台車から外側に移動するようにして、これによって作業が簡単になり、上昇中は、セメントサイロが台車の近くに移動し、これにより横方向に小さくなり、したがって掘削機の移動が簡単になる。
【0012】
セメントサイロ10は、図2ないし図4bに関連して後述するカバーが備えられ、給送装置、典型的には給送スクリュー11を含み、それによってセメントは、セメントサイロ10から撹拌器9の上方に送出されて、撹拌器9内に落ちる。給送スクリュー11、ならびにその構造およびその動作は公知であり、したがってここで詳細な説明をする必要はなく、本発明に関連した特徴とは別である。
【0013】
図2aおよび図2bは、図1の削岩機の背面図であり、セメントサイロ10がそれぞれ使用位置および装入位置にある。
【0014】
セメントサイロ10は、セメントをサイロに供給するとき以外は常にセメント供給口を覆うカバー10aを含む。カバーは、セメントサイロおよび移動手段に関連して装着されて、セメントサイロ10の下降につれて自動的に開く。一方、ある場合、たとえば削岩機の点検時、カバーはセメントサイロ10を覆ったままにできなければならず、これによってセメントサイロは、作業用の足場および踏み台として使用しながら、セメントサイロの後方にあるモータおよび装置の他の部分を点検することができる。さらに、必要に応じて、カバー10a用の別の上昇装置または他の機構を備えてもよい。
【0015】
図2bは、移動手段に含まれるリフティングアーム12およびリフティングシリンダ13によって削岩機の脇に十分に下降したセメントサイロを示し、サイロへの装入が容易になる。セメントサイロ10は、下降させて地面または岩の上に載置することもできる。必要に応じて、セメントサイロ10は、簡単な留め具等を用いることでリフティングアーム12から取り外すことができる。または、セメントサイロの端または縁に留め具を設け、リフティングアーム12が十分に下降した際、セメントサイロ10を地面または岩の上に載せたまま、リフティングアームから取り外せる形状にしてもよい。そこでセメントサイロを前記地点に置いたまま、削岩機を別のセメントサイロまで長手方向に移動させて、その地点でリフティングアームを持ち上げてこの新しいセメントサイロの支持部に固定することによって、新しいサイロを持ち上げることができる。
【0016】
図3aおよび図3bはそれぞれ、本発明の実施例の概略側面図であり、A-A線に沿った切断側面図である。本実施例では、給送スクリュー11がセメントサイロ10の下部に装着されて固定され、セメントサイロ交換方法を使用すれば、各セメントサイロが特定の給送スクリューを含むようになる。給送スクリューの回転モータ11aは、たとえば、ホースで削岩機の制御系を接続された液圧駆動装置であり、それ用の制御装置によって制御される。
【0017】
図4aおよび図4bはそれぞれ、第2の実施例の概略側面図であり、B-B線に沿った切断部側面図である。ここでは、セメントサイロ10は、単にセメントで満たされた箱体であり、給送スクリュー11は、削岩機1の先端に装着されて固定されている。その場合、セメントサイロ10の下端は、たとえば、セメントサイロが満杯のとき固定手段10cによって閉鎖位置に固定される閉鎖蓋10bを含む。また、セメントサイロ10の下部は、好ましくは下向きのテーパ形状をなし、周縁部は、給送スクリューより上にあって、各図では部分的に示されているが、それぞれ広くなっている。したがって、セメントサイロは、所定の場所に持ち上げると、給送スクリュー11の縁11bの内側の縁にしっかりと適合する。この状況で、閉鎖蓋10bの縁の真下から離れるように固定手段10cを、構造に応じて引いたり、または回したりすることによって、閉鎖蓋10bはセメントサイロの壁と対向するように下方に向きを変え、セメントは給送スクリュー11上に落ちることができる。
【0018】
図5は本発明の実施例を表し、セメントサイロの装入位置は、削岩機の側面部ではなく後部に位置している。この実施例では、移動手段15はブーム15を含み、これは、垂直軸を中心に削岩機に対して回転可能に装着されて、セメントサイロ1が使用位置から削岩機の後部へ向きを変えることができ、また、ブームを下方に向けることによって、サイロを装入位置に降ろすことができる。同様に、ブームを上方に向けることで、セメントサイロ10は装入位置から上げることができ、その後、使用位置にてその場所へ向ける。ブームの一端は、それ自体公知の何らかの方法によりセメントサイロと接続することができ、最も好ましくは、セメントサイロはブーム15に対して同じ位置を保つようにし、そこで使用位置と装入位置との間で約90度回転させる。
【0019】
次に図6は、本発明の他の実施例を表し、これは、削岩機の上部にセメントサイロが移動するための移送レール16を含み、そのレールに沿ってセメントサイロ10は削岩機の長手方向において使用位置から削岩機の後部へ、また同様に、後部から使用位置へと移動することができる。この実施例では、削岩機の後部に吊上げ装置17もあり、これによりセメントサイロは、削岩機の後にあるレールから降ろして装入位置に、また同様に装入位置からレール16上に、移動させることができる。
【0020】
上述の説明および関連図面では、本発明は、一例について記載しているだけであり、決してこれに制限されるものではない。セメントサイロ10の外観は、削岩機および他の使用される装置に応じて変えることができる。給送スクリュー11の位置および構造はセメントサイロに適したどんなものでもよい。リフティングアーム12の形状は変えてもよく、必要であればアームは、連結された複数の部品から成るものでもよい。また、リフティングアームに代えて、セメントサイロ10を移動させるさまざまなアーム等を使用することができる。リフティングシリンダ13に代えて、リフティングアームを回動させるために従来型の液圧モータなどを使用することができる。給送スクリューに代えて、圧搾空気に基づく供送装置などの他の種類の供送手段を使用することが可能である。装入位置は、必ずしも使用位置よりも低い位置にする必要はない。セメントサイロをフォークリフトまたは何らかのそのような装置で装入位置から持ち上げて、同様に新しいセメントサイロを装入位置に運ぶことができれば、装入位置および使用位置は、たとえば、同じ高さでもよく、または装入位置を使用位置より高くしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌器(9)、セメント用セメントサイロ(10)、および該セメントサイロ(10)の下端から前記撹拌器(9)にセメントを供給する供給装置(11)を含む削岩機用セメントサイロ構造において、前記セメントサイロ(10)は独立したユニットであり、前記削岩機は移動手段(12、13;15;16、17)を備え、該手段によって前記セメントサイロ(10)を前記削岩機の上部にある使用位置および該使用位置とは異なる装入位置の間を移動させることができることを特徴とする削岩機用セメントサイロ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のセメントサイロ構造において、前記移動手段はリフティングアーム(12)を含み、該アームは、一端が前記削岩機の長手方向における軸を中心として回転可能に接続され、他端が前記セメントサイロ(10)と接続可能であって該セメントサイロ(10)を使用位置と装入位置との間を移動させ、前記移動手段はさらに、前記リフティングアームを前記セメントサイロ(10)の前記使用位置と装入位置との間で回動させリフティングシリンダ(13)などの動力手段をそれぞれ含むことを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項3】
請求項1に記載のセメントサイロ構造において、前記移動手段はブーム(15)を含み、該ブームの第1の端部は前記削岩機の台車に対して回転可能に装着され、前記ブームの第2の端部は、前記セメントサイロ(10)と接続可能であって、それを前記使用位置と前記装入位置との間で移動させることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項4】
請求項3に記載のセメントサイロ構造において、前記装入位置は、前記削岩機の後部に配置されることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項5】
請求項1に記載のセメントサイロ構造において、前記移動手段は、前記削岩機の上部にレール(16)を含み、該レールに沿って、前記セメントサイロ(10)は、前記使用位置から前記削岩機の後部にある前記装入位置に、また同様に該後部から前記使用位置に移動可能であることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項6】
請求項5に記載のセメントサイロ構造において、前記装入位置は前記使用位置より低く位置し、前記削岩機の後部には、前記セメントサイロ(10)を吊り上げて前記装入位置から前記レール(16)の上に、また同様に、前記装入位置に降ろす吊上げ装置(17)があることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のセメントサイロ構造において、前記セメントサイロ(10)は、前記セメントサイロ(10)の下部に装着されて前記撹拌器(9)にセメントを供給する給送スクリュー(11)を含むことを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載のセメントサイロ構造において、前記セメントサイロ(10)は独立した箱体であり、給送スクリュー(11)などの前記供給装置は前記削岩機の上部に配置され、前記セメントサイロ(10)の下部には開口部と開閉可能な閉鎖蓋とがあり、前記セメントサイロ(10)と前記供給装置との間には、前記セメントサイロ(10)と前記供給装置とを実質的な密着状態で相互接続する密閉手段があることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項9】
請求項8に記載のセメントサイロ構造において、前記密閉手段は、前記セメントサイロ(10)の下向きにテーパのある下方縁部と、前記供給装置の上方にあって上方に広がった縁部とを含み、前記セメントサイロ(10)が前記使用位置にあると、その下方の縁部は前記供給装置の前記縁部の内側に実質的な密着状態で納まることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のセメントサイロ構造において、前記セメントサイロ(10)は、前記移動手段から取り外し可能であり、空のセメントサイロ(10)を取り外し、前もってのセメントで満たされた新しいセメントサイロ(10)に交換することができることを特徴とするセメントサイロ構造。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のセメントサイロ構造において、前記セメントサイロ(10)の装入位置は、前記使用位置より下にあることを特徴とするセメントサイロ構造。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−508455(P2010−508455A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535098(P2009−535098)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050589
【国際公開番号】WO2008/053081
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】