説明

前パネルへのセンサーユニットの取付構造

【課題】便器ユニットにおける前パネルの裏側にセンサーユニットを容易に取り付けできる取付構造を提供する。
【解決手段】前面に便器が取り付けられる前パネルを備えた便器ユニットにおける便器の上方にセンサーを配置するに際し、前パネルに固定されたベース14に、センサーユニットに固設されたブラケット10を取り付けて、前パネルにセンサーユニットを取り付ける構造であって、ベース14の左右両側には、ブラケット10に設けられた左右の係止ネジ12,12が挿入される切欠15,15を有する側板14b,14bが設けられ、側板14bにおける切欠15の下部には、切欠15の上部よりも後方側へ延びた係止ネジ12を案内する案内突部14eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器ユニット等の前パネルへセンサーユニットを取り付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のセンサーユニットの取付構造として、特許文献1に開示されているような構造がある。
特許文献1に開示されている構造では、左右両側の側板に切欠を形成したベースを前パネルに固定し、センサーユニットに取り付けたブラケットに設けられているネジ部材を、ベースの側板の切欠に挿入することで、ベースにブラケットを介してセンサーユニットを取り付けるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている取付構造では、ベースの左右両側の側板に形成されている切欠内に、ブラケット側に設けたネジ部材を挿入する際に、切欠部分が見えにくく、ブラケットをベースに沿わせながら切欠にネジ部材を合わせようとしても、切欠内にネジ部材を導きにくく、センサーユニットの取付作業がしにくいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、センサーユニットの取付作業の作業性が向上し、容易に取り付けできる前パネルへのセンサーユニットの取付構造の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、前面に便器が取り付けられる前パネルを備えた便器ユニットにおける前記便器の上方にセンサーを配置するに際し、前記前パネルに固定されたベースに、センサーユニットに固設されたブラケットを取り付けて前記前パネルに前記センサーユニットを取り付ける構造であって、
前記ベースの左右両側には、前記ブラケットに設けられた係止部が挿入される切欠を有する側板が備えられ、
該側板における切欠の下部には、該切欠の上部よりも延びた前記係止部案内用の案内突部が形成されている
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
ベースの左右両側の側板には、切欠の下部に案内突部が形成されているため、前パネルに固定されたベースに沿わせて、センサーユニットに固設されたブラケットを下方にずらしてゆくと、ブラケットの係止部が案内突部にぶつかり、係止部が案内突部にぶつかった時には係止部が切欠の入口に配置されるため、容易に係止部を切欠内に挿入して、ベースにブラケットを容易に取り付けることができ、便器ユニットにおける前パネルへのセンサーユニットの取付作業が容易なものとなる。
【0007】
また、本発明の前パネルへのセンサーユニットの取付構造において、前記係止部はネジ部材で構成されているとともに、前記切欠は、後端が開放されて前側へ延びる挿入部と、該挿入部の前端側で下方に延びる収納部を有し、収納部の上下寸法はネジ部材の径寸法と略同一寸法に設定されているものとすることもできる。
こうすれば、ブラケットのネジ部材を、切欠の挿入部へ入れて前側へ移動させると、ネジ部材は切欠の収納部内に収まるため、収納部に収まった状態では前後方向の移動が規制されてズレが生じない状態となる。また、収納部の上下寸法はネジ部材の径寸法と略同一寸法に設定されているため、ネジ部材が収納部内で上下方向に移動する距離が短く、収納部内への収納位置で傾いて取り付けられたりすることがない。
【0008】
また、本発明の前パネルへのセンサーユニットの取付構造において、前記ベースには、前記センサーユニットとの間で押し潰されて該センサーユニットの送受信部の周囲を包囲できるスポンジが設けられているものとすることもできる。
こうすれば、センサーユニットの取り付け時に、スポンジがセンサーユニットとベースとの間の隙間を埋めるように押し潰されて、センサーユニットの送受信部の周囲をスポンジで良好に包囲することができ、これにより、送受信部に埃等が入り込むのを良好に防げるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】小便器ユニットの外観斜視図である。
【図2】小便器ユニットの正面構成図である。
【図3】小便器ユニットの側面一部断面構成図である。
【図4】小便器ユニットの前パネルの裏側にセンサーユニットを取り付ける前の要部拡大分解側面図である。
【図5】前パネルに固定されるベースの裏側から見た拡大斜視構成図である。
【図6】センサーユニットにブラケットを取り付けた状態の前側から見た拡大斜視構成図である。
【図7】図5のベースに図6のブラケットを取り付けた状態の裏側から見た拡大斜視図である。
【図8】センサーユニットの取付状態の要部縦断面拡大構成図である。
【図9】ベースの側板に形成された切欠の変更例を示す要部拡大構成図である。
【図10】ベースの側板に形成された切欠のさらに異なる変更例を示す要部拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、小便器ユニットの設置状態の斜視構成図であり、図2は、小便器ユニットの設置状態の正面図であり、図3は、小便器ユニットの設置状態の側面一部断面構成図である。
【0011】
小便器ユニット1は、フレーム2がトイレの壁面に取り付けられ、フレーム2の前面には、中央前パネル3と、左右側に左および右側の前パネル4,5が取り付けられ、中央前パネル3の前面に小便器6が取り付け固定されるものである。また、フレーム2の上面には天板7が設けられる。この天板7の下方側の小便器6の上方の中央前パネル3の上部部位にはセンサー窓3aが開口されており、このセンサー窓3aの裏側に人体検知用のセンサーユニット8が取り付けられる。
【0012】
このセンサーユニット8の取り付け部位では、図4に要部拡大分解図で示すように、中央前パネル3のセンサー窓3aの裏側にベース14が固設され、一方、センサーユニット8にはブラケット10が予め取り付けられて、このブラケット10をベース14に取り付けることで、中央前パネル3のセンサー窓3aの裏側にセンサーユニット8が取り付けられる。
【0013】
図5には、後方側から見たベース14の拡大斜視図を示し、また、図6には、センサーユニット8に取り付けられたブラケット10の前側から見た拡大斜視図を示す。
ベース14は、平板状の固定片14aに、センサー窓3aと整合するセンサー用開口14dが開口形成され、固定片14aの左右側には、後方側へ90°折り曲げて左右の側板14b,14bが一体形成されており、この左右の側板14b,14bには、それぞれ後端が開放されて前側へ延びる切欠15,15が形成されている。また、左右の側板14b,14bの上端側には、ネジを通す通し孔14c,14cが形成されている。
また、このベース14のセンサー用開口14dの裏側には、固定片14aに貼着等して窓枠状のスポンジ16が取り付けられている。
【0014】
切欠15は、図4に示すように、後端が開放されて前側へ略水平に延びる挿入部15aと、挿入部15aの前端側で下方へ延びる収納部15bで逆L字状に形成されたものであり、この切欠15の挿入部15aの後端には、挿入部15aの下端から連続して略水平に後方へ延びる案内突部14eが側板14bに形成されている。
即ち、この案内突部14eは、切欠15の挿入部15aの上端側よりも後方側へ延びて側板14bに一体状に突出形成されている。
【0015】
ブラケット10は、平板状の当接片10bに、前記スポンジ16の外周よりも大きい開口10aが形成され、当接片10bの左右側には、後方側へ90°折り曲げて折曲片10c,10cが形成されており、この左右の折曲片10c,10cには、それぞれ上端側と下端側に上ネジ孔10dと下ネジ孔10eが形成されている。
また、当接片10bの上端側には、後方側へ略水平に延びて左右一対の上支持片10f,10fが形成され、各上支持片10f,10fの後端には、垂下状に折り曲げて上ネジ片10g,10gが一体形成されており、各上ネジ片10g,10gにはネジ孔10h,10hが形成されている。
また、当接片10bの下端側にも、後方側へ短く延びた左右一対の下支持片10i,10iが形成され、各下支持片10i,10iの後端から上方へ折り曲げて下ネジ片10j,10jが形成され、各下ネジ片10j,10jにはそれぞれネジ孔10k,10kが形成されている。
【0016】
このブラケット10は、予めセンサーユニット8の前面側に4本の取付ネジ11,11,11,11で取り付けられるものである。
即ち、センサーユニット8の左右側壁の上下に突出状に形成された4個のネジ通し片8a,8a,8a,8aに、それぞれ取付ネジ11を後方側から通して、4本の取付ネジ11のそれぞれの前端を、ブラケット10のネジ孔10h,10hおよび10k,10kにそれぞれ締め付け、4本の取付ネジ11,11,11,11によりブラケット10はセンサーユニット8の前面側に取り付け固定される。
このブラケット10の取付状態では、センサーユニット8の前面の送受信部9aの前方側にブラケットの開口10aが配置される。なお、送受信部9aはセンサーユニット8内の感知部9の前面側の部分である。
【0017】
このようにセンサーユニット8の前面に予めブラケット10を取り付けておき、さらに、このブラケット10の左右の下ネジ孔10e,10eにそれぞれ側方より係止ネジ(ネジ部材)12,12を取り付けておく。各係止ネジ12は、指で摘んで回すことのできる手回し部12aが形成されたものであり、手回し部12aを指で回してネジ部分を下ネジ孔10e,10eにそれぞれねじ込んで取り付けておく。
【0018】
なお、前記ベース14は、予め中央前パネル3のセンサー窓3aの裏側に固定片14aを貼着等で固定しておき、この中央前パネル3に固設されたベース14に対し、裏側からセンサーユニット8に取り付けられたブラケット10を取り付ける。
なお、ベース14の裏側にブラケット10を取り付けた状態を、図7に後方側から見た斜視図で示す。
【0019】
フレーム2の前面に取り付けられた中央前パネル3のセンサー窓3aの裏側に固設されたベース14にブラケット10を取り付けるには、フレーム2上面の天板7を取り外した状態で、後方側から、ベース14の左右の切欠15,15内に、ブラケット10に取り付けた左右の係止ネジ12,12を挿入させてゆき、ベース14の左右の側板14b,14bの内側にブラケット10の左右の折曲片10c,10cが配置されるようにして、ベース14の固定片14aに対しブラケット10の当接片10bを当接させてゆく。
【0020】
なお、本例では、ブラケット10の係止ネジ12を後方側から切欠15内に挿入する際に、ベース14に沿ってブラケット10を下方へ降ろしてゆくと、案内突部14eに係止ネジ12がぶつかり、係止ネジ12が案内突部14e上に自然に乗ることとなり、この状態では、係止ネジ12は切欠15の挿入部15aの後端の入口に自然に配置された状態となるため、この状態でブラケット10を前側へ押すと、自然に係止ネジ12は切欠の挿入部15a内に挿入されてゆくこととなり、やがて、係止ネジ12は収納部15b内に落とし込まれてゆく。この収納部15b内に係止ネジ12が収まった状態では、前後方向へのブラケット10の移動は規制されることとなり、ブラケット10がずれることなく係止される。
【0021】
なお、この収納部15bの上下寸法は、係止ネジ12のネジ部の外径寸法とほぼ同程度の寸法に設定されており、係止ネジ12、即ちブラケット10が必要以上に垂直方向へ移動することのないように設定されており、ブラケット10の垂直方向への移動が少ないために、ブラケット10をベース14に取り付ける際にスポンジ16の位置ズレが生じないものとなり、ベース14にブラケット10を取り付ける時に、スポンジ16は、センサーユニット8の前面に当接して厚み方向に均一に押し潰されてゆき、ブラケット10の取付状態では、図8に断面図で示すように、スポンジ16でセンサーユニット8の前面とベース14間の隙間を埋め、スポンジ16がセンサーユニット8の送受信部9aの周囲を包囲した状態となり、上方から埃等がセンサーユニット8の送受信部9aに入り込むことが良好に防がれる。
【0022】
このように、スポンジ16をずれることなく厚み方向に押し潰しながらブラケット10をベース14に良好に取り付けることができ、取り付け時に、ブラケット10をベース14に沿わせて下方にずらすことで、ブラケット10の係止ネジ12がベースの側板14bに形成した案内突部14e上に乗り、この状態でブラケット10を前方に押せば良好に係止ネジ12が切欠15の挿入部15a内に挿入されてゆくため、係止ネジ12を切欠15に位置合わせして容易に挿入することができ、ブラケット10のベース14への取付作業を極めて容易に行えるものとなる。
なお、ブラケット10のベース14への取付作業時に、上方から目視した場合においても、ベース14の案内突部14eは突出しているため確認しやすく、切欠15の位置を目視でも良好に確認できるものとなり、さらに取付作業を容易に行うことができるものである。
【0023】
このようにして係止ネジ12を切欠15の収納部15b内に配置させ、その後に係止ネジ12を手回し部12aを回して締め付け、さらに、ベース14の左右の通し孔14c,14cにそれぞれ固定ネジ13を通して、左右の固定ネジ13,13をブラケット10の左右の上ネジ孔10d,10dにそれぞれ締め付け、左右2個の係止ネジ12,12と左右2個の固定ネジ13,13でブラケット10をベース14に固定することができる。
【0024】
なお、図9および図10には切欠15の変形例を示す。
即ち、図9および図10は、ベース14の側板14bを拡大して示すものであり、図9では、案内突部14e側が開放されて前側へ水平に延びる挿入部15aの前端に、前側に向かって下傾状に収納部15bを形成したものである。なお、この収納部15bの上下寸法は短く、ブラケット10の取り付け時にスポンジ16にズレが生じない程度の上下寸法に設定されている。
【0025】
また、図10の切欠15では、案内突部14e側が開放されて僅かに水平に前側へ延びる挿入部15aの前端側が前側に向かって下傾状に形成され、この下傾状に形成された挿入部15aの前端に、下向きの収納部15bが形成されたものとなっている。
このような切欠15においても、ブラケット10の係止ネジ12を案内突部14e上に乗せて、容易に係止ネジ12を挿入部15a内に挿入させてゆくことができ、前側へ押し込めば自然に収納部15b内に係止ネジ12が収まり、係止ネジ12の前後方向の移動が自然に規制されるものとなり、ブラケット10がベース14に対し前後方向にずれることなく取り付けられる。
なお、収納部15bの上下寸法は係止ネジ12の外径寸法とほぼ同程度に設定されており、収納部15b内に係止ネジ12が落とし込まれる時にスポンジ16の位置ズレが生じないように考慮されている。
【0026】
なお、本例では、ブラケット10に手回し式の係止ネジ12を取り付けたものを例示しているが、この係止ネジ12は蝶ネジであっても良く、また、係止ネジ12に代えて、ブラケット10の折曲片10cから側方へ棒状に突出する係止部を形成させておき、この棒状の係止部をベース14の切欠15に挿入する構造であっても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 小便器ユニット
3 中央前パネル
3a センサー窓
8 センサーユニット
9a 送受信部
10 ブラケット
10a 開口
10b 当接片
10c 折曲片
10d 上ネジ孔
10e 下ネジ孔
10f 上支持片
10g 上ネジ片
10i 下支持片
10j 下ネジ片
10h,10k ネジ孔
11 取付ネジ
12 係止ネジ(ネジ部材)
12a 手回し部
13 固定ネジ
14 ベース
14a 固定片
14b 側板
14c 通し孔
14d センサー用開口
14e 案内突部
15 切欠
15a 挿入部
15b 収納部
16 スポンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に便器が取り付けられる前パネルを備えた便器ユニットにおける前記便器の上方にセンサーを配置するに際し、前記前パネルに固定されたベースに、センサーユニットに固設されたブラケットを取り付けて前記前パネルに前記センサーユニットを取り付ける構造であって、
前記ベースの左右両側には、前記ブラケットに設けられた係止部が挿入される切欠を有する側板が備えられ、
該側板における切欠の下部には、該切欠の上部よりも延びた前記係止部案内用の案内突部が形成されている
ことを特徴とする前パネルへのセンサーユニットの取付構造。
【請求項2】
前記係止部はネジ部材で構成されているとともに、
前記切欠は、後端が開放されて前側へ延びる挿入部と、該挿入部の前端側で下方に延びる収納部を有し、
前記収納部の上下寸法は前記ネジ部材の径寸法と略同一寸法に設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の前パネルへのセンサーユニットの取付構造。
【請求項3】
前記ベースには、前記センサーユニットとの間で押し潰されて該センサーユニットの送受信部の周囲を包囲できるスポンジが設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の前パネルへのセンサーユニットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−208353(P2011−208353A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73874(P2010−73874)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】