説明

前処理ユニット

【課題】、バイオマスをより効率よく粉砕し、燃焼させやすくすることができる前処理ユニットを提供することにある。
【解決手段】バイオマスを粉砕する粉砕手段にバイオマスを供給する前処理ユニットであって、バイオマスを貯蔵するバイオマス貯蔵タンクと、バイオマス貯蔵ユニットにバイオマスを供給する貯蔵前供給手段と、バイオマス貯蔵ユニットに貯蔵されたバイオマスを粉砕手段に供給する貯蔵後供給手段と、貯蔵前供給手段、バイオマス貯蔵タンク、貯蔵後供給手段のいずれかにあるバイオマスを非炭化温度の範囲で加熱する加熱手段と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを粉砕する粉砕装置にバイオマスを供給する前処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の観点からCO2排出の削減が推進されている。特に、発電用ボイラ等の燃焼設備においては、燃料として石炭や重油等の化石燃料が用いられることが多いが、この化石燃料は、CO2排出の問題から地球温暖化の原因となり、地球環境保全の見地からその使用が規制されつつある。また化石燃料の枯渇化の観点からもこれに代替するエネルギ資源の開発、実用化が求められている。そこで、化石燃料の代替として、バイオマスを用いた燃料の利用促進が図られている。バイオマスとは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、厨芥類等のバイオマスがある。このバイオマスを燃料化処理することにより、バイオマスをエネルギ源または工業原料として有効に利用することができる。
【0003】
再生可能エネルギであるバイオマスの高効率利用の観点から、バイオマスを燃料として用いることが行われている。燃料として用いる方法の一つに、バイオマス固形物を粉砕して微粉化し、微粉炭焚きボイラに供給して燃料として用いるものがある。また、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、バイオマスを炭化させた後、燃料として用いるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−23239号公報
【特許文献2】特開2008−209080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、バイオマスは、石炭等の固形の化石燃料に比べ、繊維質でやわらかい。このため、バイオマス固形物を粉砕して微粉化するためには、石炭等を粉砕して微粉化するよりもより多くの時間、出力が必要となる。つまり、バイオマスは、石炭に比べ粉砕容量が低下する。これに対して、特許文献1及び特許文献2のように、バイオマスを炭化することで、脆化させ、粉砕しやすくすることができる。しかしながら、バイオマスは、炭化処理時に、タール等の不純物が排出される可能性がある。不純物が排出されるとそれらを除去する工程や、メンテナンスが必要となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バイオマスをより効率よく粉砕させることができ、燃焼させやすくすることができる前処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バイオマスを粉砕する粉砕手段にバイオマスを供給する前処理ユニットであって、バイオマスを貯蔵するバイオマス貯蔵タンクと、前記バイオマス貯蔵タンクにバイオマスを供給する貯蔵前供給手段と、前記バイオマス貯蔵タンクに貯蔵されたバイオマスを粉砕手段に供給する貯蔵後供給手段と、前記貯蔵前供給手段、前記バイオマス貯蔵タンク、前記貯蔵後供給手段のいずれかにあるバイオマスを非炭化温度の範囲で加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする。これにより、バイオマスを効率よく粉砕することができ、かつ、装置に対して悪影響が発生する恐れを低減することができる。
【0008】
また、前記加熱手段は、前記貯蔵前供給手段により前記バイオマス貯蔵タンクに向けて搬送されているバイオマスを加熱することが好ましい。これにより、より効率よくバイオマスを加熱することができ、バイオマスを効率よく加熱することができる。
【0009】
また、前記加熱手段は、前記貯蔵後供給手段により前記粉砕手段に向けて搬送されているバイオマスを加熱することが好ましい。これにより、より効率よくバイオマスを加熱することができ、バイオマスを効率よく加熱することができる。
【0010】
また、前記加熱手段は、バイオマスの搬送経路の外周を覆うカバー部と、前記カバー部に加熱された空気を供給する加熱源とを有し、前記加熱源により前記カバー部の内部に加熱された空気を供給することで、前記バイオマスを加熱することが好ましい。これにより、より効率よくバイオマスを加熱することができ、バイオマスを効率よく加熱することができる。
【0011】
また、前記加熱手段は、前記加熱された空気を前記バイオマスの搬送方向と同一方向に流すことが好ましい。これにより、バイオマスを搬送させつつ加熱することができ、バイオマスを効率よく加熱することができ、エネルギ効率をより高くすることができる。
【0012】
また、前記加熱手段は、前記加熱源として、前記バイオマス及び化石燃料の少なくとも一方を燃焼させて温度が上昇された空気または排ガスを用いることが好ましい。これにより、エネルギ効率をより高くすることができる。
【0013】
また、前記加熱手段は、前記バイオマスが貯蔵されている領域を含む領域を間接加熱する間接加熱源を有することが好ましい。これにより、バイオマスを搬送させつつ加熱することができ、バイオマスを効率よく加熱することができる。
【0014】
また、前記加熱手段は、前記間接加熱源として、前記バイオマス及び化石燃料の少なくとも一方を燃焼させて温度が上昇された空気または排ガスを用いることが好ましい。これにより、エネルギ効率をより高くすることができる。
【0015】
また、前記加熱手段は、前記バイオマスを150℃以上250℃以下に加熱することが好ましい。これにより、バイオマスからタールが一定濃度以上発生することを抑制しつつ、もろく(粉砕しやすく)することができる。
【0016】
また、前記バイオマスを加熱する領域の終端付近の雰囲気の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記加熱手段を制御し、前記バイオマスを非炭化温度の範囲で加熱する制御部と、をさらに有することが好ましい。これにより、タンク本体から排出されるバイオマスをより確実に非炭化温度の範囲にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる前処理ユニットは、バイオマスをより効率よく粉砕しやすくでき、燃焼させやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、発電システムの一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す模式図である。
【図3】図3は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す断面図である。
【図4】図4は、バイオマスの温度と、各成分の割合との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、粉砕動力比と所定粒径までの粉砕時間との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。
【図7】図7は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。
【図8】図8は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。
【図9】図9は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。
【図10】図10は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す断面図である。
【図11】図11は、前処理ユニットの他の実施形態の一部の概略構成を示す模式図である。
【図12】図12は、前処理ユニットの他の実施形態の一部の概略構成を示す模式図である。
【図13】図13は、発電システムの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る前処理ユニット及び前処理ユニットを用いる発電システムの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、発電システムの一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【0021】
図1に示す発電システム10は、バイオマスを粉砕した微粉体と石炭や油等の化石燃料とを燃料として併用して燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収し、回収した熱で発電を行うことが可能な発電システムである。
【0022】
図1に示す発電システム10は、バイオマスを供給するバイオマス供給装置11と、このバイオマス供給装置11から供給されたバイオマスと化石燃料とを燃焼することで発生した熱を回収するボイラ30と、ボイラ30で発生させた熱を用いて発電を行う発電装置60とを有している。
【0023】
ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源であって、化石資源を除いたものと定義する。例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ、及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)等であり、ここに提示したものに限定されることはない。
【0024】
バイオマス供給装置11は、バイオマスを非炭化温度の範囲で加熱した後、粉砕し、粉砕したバイオマスをボイラ30に供給する装置であり、前処理ユニット19と、空気供給配管21と、粉砕装置(ミル)26と、粉体分離装置27と、供給配管28と、を有する。
【0025】
前処理ユニット19は、バイオマスに前処理を行った後、粉砕装置26に供給するユニットであり、貯蔵サイロ20と、払い出しコンベア22と、搬送コンベア23と、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ25と、加熱手段100と、を有する。貯蔵サイロ20は、所定量のバイオマスを貯留可能な装置である。貯蔵サイロ20は、貯留させているバイオマス140を所定の量ずつ払い出しコンベア22に供給する。払い出しコンベア22と搬送コンベア23は、ともにバイオマス140を搬送する搬送機構である。なお、本実施形態では、コンベアとしたが、バイオマス140の搬送機構としては、種々の機構を用いることができる。払い出しコンベア22は、貯蔵サイロ20から供給されたバイオマス140を搬送コンベア23に搬送する。搬送コンベア23は、払い出しコンベア22から供給されたバイオマス140をバイオマス貯蔵タンク24に供給する。
【0026】
バイオマス貯蔵タンク24は、搬送コンベア23から供給されたバイオマス140を一時的に貯留する。バイオマス貯蔵タンク24は、貯留しているバイオマス140をフィーダ25に供給する。フィーダ25は、バイオマス貯蔵タンク24から供給されたバイオマス140を搬送し、粉砕装置26に供給する。加熱手段100は、フィーダ25を通過するバイオマスを加熱する加熱機構である。なお、フィーダ25及び加熱手段100の構成については後ほど説明する。
【0027】
バイオマス供給装置11の構成の説明を続ける。空気供給配管21は、バイオマス供給装置11の各部に空気を供給する配管である。空気供給配管21は、ボイラ30の空気を供給させる各部と接続され、空気148が供給される。また、空気供給配管21は、粉砕装置26、供給配管28と接続され、それぞれに空気148を供給する。また、空気供給配管21は、粉砕装置26と接続される配管にバルブ70が設けられ、供給配管28と接続される配管にバルブ72が設けられている。このバルブ70、72の開閉及び開度を調整することで、各部に供給する空気148の量を調整することができる。
【0028】
粉砕装置26は、バイオマスを粉砕する粉砕装置であり、フィーダ25から供給されたバイオマス140を微粉体に粉砕する。また、粉砕装置26には、空気供給配管21が接続されており、空気供給配管21から供給される空気148の力で粉砕したバイオマス140を搬送させる。つまり、粉砕装置26で粉砕されたバイオマス140は、空気搬送により、配管を移動し、粉体分離装置27まで搬送される。粉体分離装置27は、バグフィルタや、サイクロンを有し、通過するバイオマス140を分離し、分級する。粉体分離装置27は、通過する粉砕されたバイオマス140のうち、大きさが一定以上のバイオマス140を粗粉142として供給配管28に供給する。また、粉体分離装置27は、通過するバイオマス140のうち、大きさが一定より小さいバイオマス140を微粉144として配管により後述する電気集塵器55に供給し、電機集塵器55に捕集させる。なお、粉体分離装置27に供給されるバイオマス140は、略全てが粗粉142となる。例えば、粉体分離装置27は、サイクロンによりバイオマス140に対して吹き上げる風を送り、風を吹き付けても落下する大きさが一定以上のバイオマス140を粗粉142として供給配管28に供給し、風によって吹き上げられた大きさが一定より小さいバイオマス140を微粉144として電気集塵器55に空気を供給する配管(電機集塵器55の直前)に供給する。供給配管28は、粉体分離装置27から供給された粗粉142及び空気148をボイラ30のバイオマス用の燃焼バーナ34に供給する。なお、空気供給配管21から供給配管28に供給される空気148は、一次空気となる。
【0029】
次に、ボイラ30は、コンベンショナルボイラであって、バイオマスと化石燃料とを燃焼可能なボイラ本体31を有している。このボイラ本体31は、中空形状をなして鉛直方向に設置され、このボイラ本体31を構成する火炉壁の下部に燃焼装置32が設けられている。この燃焼装置32は、火炉壁に装着された複数の化石燃料用の燃焼バーナ33と、複数のバイオマス用の燃焼バーナ34とを有している。本実施形態にて、化石燃料用の燃焼バーナ33は、周方向に沿って4個若しくは8個配設されたものが上下方向に3〜6段配置されている。一方、バイオマス用の燃焼バーナ34は、複数の化石燃料用の燃焼バーナ33の下方であって、周方向に沿って4個若しくは8個配設されたものが上下方向に1段配置されている。なお、化石燃料用の燃焼バーナ33とバイオマス用の燃焼バーナ34の配置関係は上下逆であってもよい。また、各燃焼バーナ33、34にて、周方向の数は4個に限るものではなく、段数も4段や1段に限るものではない。さらに、各燃焼バーナ33、34を対向するように配置してもよい。
【0030】
そして、化石燃料用の燃焼バーナ33は、微粉炭供給部35が供給配管36を介して連結されるとともに、燃料油(または、燃料ガス)供給部37が供給配管38を介して連結されており、この場合、化石燃料として、微粉炭または燃料油を供給可能となっている。一方、バイオマス用の燃焼バーナ34は、バイオマス供給装置11からの供給配管28が連結されている。
【0031】
また、燃焼装置32は、各燃焼バーナ33、34に燃焼用空気を供給可能な空気供給配管39を有しており、この空気供給配管39は、基端部に送風機40が装着され、先端部がボイラ本体31の外周側に設けられた風箱41に連結されている。そのため、この風箱41に供給された空気を各燃焼バーナ33、34に供給することができる。
【0032】
ボイラ本体31は、上部に煙道42が連結されており、この煙道42に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、過熱器43、44、再熱器45、46、節炭器47、48、49が設けられており、ボイラ本体31での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0033】
煙道42は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス配管50が連結されている。この排ガス配管50は、空気供給配管39との間にエアヒータ51が設けられ、空気供給配管39を流れる空気と、排ガス配管50を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ33、34に供給する燃焼用空気を200〜300℃の範囲に昇温することが望ましい。
【0034】
また、空気供給配管39は、エアヒータ51より下流側の位置から分岐して、空気供給配管21が設けられている。この空気供給配管21は、塵や埃等の粒子状物質を除去可能な除塵装置52と、高温空気を昇圧可能なブロア53が装着されており、エアヒータ51で200〜300℃に加熱した空気をバイオマス供給装置11の供給配管28に供給することができる。
【0035】
なお、排ガス配管50は、エアヒータ51より上流側に位置して、選択還元型触媒54が設けられ、エアヒータ51より下流側に位置して、電気集塵機55、誘引送風機56、脱硫装置57が設けられ、下流端部に煙突58が設けられている。
【0036】
また、排ガス配管50の電気集塵機55の上流には、配管73が接続されている。配管73は、供給配管28、及び、粉砕装置26と粉体分離装置27との間の配管に接続されている。配管73は、電気集塵機55の上流との接続部と、供給配管28との接続部との間にバルブ74が配置され、電気集塵機55の上流との接続部と、粉砕装置26と粉体分離装置27との間の配管との接続部との間にバルブ76が配置されている。排ガス配管50を流れる排ガスは、一部が配管73に供給され、搬送ガス150として配管73から、供給配管28、及び、粉砕装置26と粉体分離装置27との間の配管に供給される。また、バルブ74は、配管73から供給配管28への搬送ガス150の供給量を調整する。また、バルブ76は、配管73から粉砕装置26と粉体分離装置27との間の配管への搬送ガス150の供給量を調整する。
【0037】
また、発電装置60は、熱エネルギを電気に変換する変換機構である。配管ユニット62は、ボイラ30の過熱器43、44、再熱器45、46と、発電装置60とを接続する配管であり、過熱器43、44、再熱器45、46で過熱された蒸気を発電装置60に送り、発電装置60で熱交換した蒸気を過熱器43、44、再熱器45、46に送る。発電装置60は、過熱器43、44、再熱器45、46で過熱された蒸気から取り出した熱エネルギを電気に変換する。例えば、発電装置60は、タービンを有し、過熱蒸気のエネルギを利用してタービンを回転させ、電力を取り出す。
【0038】
以上より、発電システム10は、ボイラ30にて、送風機40を駆動して空気を吸引すると、この空気は、空気供給配管39を通してエアヒータ51で加熱された後に風箱41を介して各燃焼バーナ33、34に供給される。また、化石燃料としての微粉炭または燃料油は、供給配管36、38を通して化石燃料用の燃焼バーナ33に供給されるとともに、バイオマス供給装置11からのバイオマスは、供給配管28を通してバイオマス用の燃焼バーナ34に供給される。
【0039】
すると、化石燃料用の燃焼バーナ33は、燃焼用空気と化石燃料をボイラ本体31に噴射すると同時に着火し、また、バイオマス用の燃焼バーナ34は、燃焼用空気とバイオマスの微粉体をボイラ本体31に噴射すると同時に着火する。このボイラ本体31では、燃焼用空気、化石燃料、バイオマスが燃焼して火炎が生じる。ボイラ本体31内の下部で火炎が生じると、燃焼ガスがこのボイラ本体31内を上昇し、煙道42に排出される。
【0040】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器47、48、49によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。さらに、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器43、44に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器43、44で生成された過熱蒸気は、配管ユニット62を通過して発電装置60に供給される。また、発電装置60での膨張過程の中途で取り出した蒸気は、配管ユニット62を通過して再熱器45、46に導入され、再度過熱されて配管ユニット62を通過して発電装置60に戻される。なお、ボイラ本体31をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0041】
その後、煙道42の節炭器47、48、49を通過した排ガスは、排ガス配管50にて、選択還元型触媒54でNOx等の有害物質が除去され、電気集塵機55で粒子状物質が除去され、脱硫装置57により硫黄分が除去された後、煙突58から大気中に排出される。
【0042】
次に、図1から図3を用いて、前処理ユニット19のフィーダ25及び加熱手段100について説明する。ここで、図2は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す模式図であり、図3は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す断面図である。まず、前処理ユニット19は、上述した、貯蔵サイロ20と、払い出しコンベア22と、搬送コンベア23と、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ25と、加熱手段100とに加え、温度計測部120と、制御部130とを有する。
【0043】
フィーダ25は、バイオマス貯蔵タンク24と、ミル26との間に配置されたスクリューフィーダであり、回転する2本の回転部110と、2本の回転部110の外周を覆い、バイオマスを保持する案内管112と、回転部110を回転させる駆動源114と、を有する。回転部110は、外周にねじ溝が形成されたスクリューであり、回転することで、一方向にバイオマスを搬送する。また、回転部110は、中空の形状である。また、案内管112は、内部に回転部110が収納された管路であり、バイオマスを回転部110の周囲に保持している。また、駆動源114は、回転部110を回転させる駆動源であり、モータ等で構成されている。
【0044】
加熱手段100は、ジャケット102と、伝熱配管104と、配管106と、バルブ107と、配管108とを有し、フィーダ25により搬送されるバイオマスを加熱する。ジャケット102は、案内管112の外周に接して配置された中空の部材である。ジャケット102は、案内管112のバイオマス140が保持される領域の外周を覆うように配置されている。なお、本実施形態では、案内管112の上面以外を覆うように配置されている。伝熱配管104は、回転部110の中空部分に挿入して配置された配管である。
【0045】
次に、配管106は、一方の端部が、排ガスが流れる配管73と接続しており、他方の端部が分岐管106a、106bに分岐している。分岐管106aは、伝熱配管104と接続している。分岐管106bは、ジャケット102と接続している。また、配管106には、バルブ107が設けられている。バルブ107は、開閉及び開度が調整されることで、配管106を流れる搬送ガス150の量を調整することができる。次に、配管108は、一方の端部が、供給配管28と接続し、他方の端部が分岐管108a、108bに分岐している。分岐管108aは、伝熱配管104と接続している。分岐管108bは、ジャケット102と接続している。
【0046】
加熱手段100は、以上のような構成であり、配管73から供給される搬送ガス150を配管106、分岐管106a、106bを介して、ジャケット102、伝熱配管104に供給する。ジャケット102、伝熱配管104は、供給される排ガスの熱により加熱された状態となり、供給された熱をフィーダ25の内部にあるバイオマスに伝える。加熱手段100は、このようにして、フィーダ25により搬送されるバイオマスを加熱する。また、ジャケット102、伝熱配管104に供給された排ガスは、分岐管108a、108b及び配管108を通って、供給配管28に供給される。供給配管28に供給された排ガスは、供給配管28にあるバイオマスをよりボイラ30に流れやすい状態とし、ボイラ30でバイオマスをより効率よく燃焼できる状態とする。
【0047】
温度計測部120は、フィーダ25のバイオマス140の排出口の近傍の雰囲気、あるいはバイオマス自身の温度を計測する手段である。温度計測部120は、計測したバイオマス140の温度を制御部130に送る。
【0048】
制御部130は、温度計測部120での計測結果に基づいて、フィーダ25及び加熱手段100の動作を制御する。また、制御部130は、その他、各種機構の動作を制御する。
【0049】
前処理ユニット19は、以上のような構成であり、加熱手段100によりフィーダ25を流れるバイオマス140を加熱する。また、前処理ユニット19は、制御部130が、温度計測部120での温度の計測結果に基づいて、加熱手段100とフィーダ25との動作を制御し、バイオマス140の温度を制御することで、排出されるバイオマス140の温度を、一定範囲、具体的には、非炭化温度の範囲となる状態で排出する。
【0050】
ここで、非炭化温度の範囲とは、バイオマス140が炭化してない状態で、もろくなり、かつ、排出されるタールを一定濃度以下となる温度である。ここで、図4は、バイオマスの温度と、各成分の割合との関係を示すグラフであり、図5は、粉砕動力比と所定粒径までの粉砕時間との関係を示すグラフである。図4は、縦軸を重量割合[%]とし、バイオマスを各温度に加熱した場合(加熱前、150℃、200℃、250℃、300℃)の各成分の重量割合の関係を示している。また、図5は、縦軸をミル(粉砕装置)における所定粒径までの推定粉砕動力比をとし、横軸をボールミル(粉砕装置)での所定粒径までの粉砕時間[s]とした。なお、図4には、木質ペレットAを、生の状態(加熱前)、150℃、200℃、250℃、300℃の加熱した状態にした場合の、推定粉砕動力比と、ボールミル(粉砕装置)での所定粒径までの粉砕時間との関係を計測した結果を示す。また、図5には、比較のため、加熱していない木質チップA、木質チップB、木質ペレットBのそれぞれについても推定粉砕動力比と、ボールミル(粉砕装置)での所定粒径までの粉砕時間との関係を計測した結果も示す。
【0051】
バイオマスは、図4に示すように、加熱される温度により、成分の割合が変化し、一定の温度を超えるとタールが析出される。また、バイオマスは、高い温度に加熱するほど、もろくなる。具体的には、木質ペレットを加熱するとボールミル(粉砕装置)での所定粒径までの粉砕時間が加熱していない木質ペレットの粉砕時間よりも短くなる。さらに、木質ペレットを加熱する温度を高くすると粉砕時間がさらに短くなる。例えば、図5に示すように、木質ペレットAは、150℃に加熱するとボールミル(粉砕装置)での所定粒径までの粉砕時間が加熱していない木質ペレットBの粉砕時間よりも短くなる。さらに、木質ペレットAを200℃、250℃と加熱する温度を高くすると粉砕時間がさらに短くなる。ここで、ミル(粉砕装置)における所定粒径までの推定粉砕動力比は、粉砕時間に比例するため、粉砕時間が短くなることで、粉砕に必要な動力も少なくなる。以上より、バイオマスは、温度を高くするほど粉砕しやすくなる。なお、非炭化温度の範囲、つまり、タールによる影響を抑制しつつ、バイオマスが粉砕しやすくなる最適な温度は、バイオマスの種類によって異なる温度範囲、温度となる。ここで、バイオマスの温度範囲は、150℃以上250℃以下の温度とすることで、排出されるタールをより確実に低減すること、例えば、バイオマス全量の20%以下の発生量)とすることができ、バイオマスをタールによる影響を抑制しつつ、粉砕しやすくすることができる。なお、バイオマスの温度範囲の150℃以上250℃以下は、タールの発生をより確実に減らすことができ、かつ、粉砕時間を十分に短くすることができる温度となる。
【0052】
以上の関係に基づいて、前処理ユニット19は、バイオマス140がもろくなり、かつ、排出されるタールが一定濃度以下となる温度である、非炭化温度の範囲でバイオマス140を加熱する。なお、図4及び図5に示す例では、前処理ユニット19は、バイオマス140を150℃から250℃の間の温度に加熱する。これにより、前処理ユニット19は、タール等の揮発性ガスが排出される影響を抑制しつつ、さらには、タールの発生を抑制しつつ、バイオマスを粉砕しやすくすることができる。前処理ユニット19は、バイオマスを粉砕しやすい状態にして、排出口から粉砕装置26に排出(供給)する。粉砕装置26に搬送されたバイオマスは、粉砕装置26で粉砕される。この際に、粉砕装置26には、前処理ユニット19で非炭化温度に加熱されたバイオマス140が供給されるため、少ない動力、かつ短時間で所定の粒径に粉砕することができる。また、前処理ユニット19は、バイオマス140を非炭化温度の範囲に加熱するため、加熱により発生するタールを一定濃度以下とすることができ(つまり、タールが一定濃度より多く排出されることを抑制することができ)、タールの発生により、バイオマスの搬送効率が低下したり、前処理ユニット19の各部に付着したりすることを抑制することができる。以上より、前処理ユニット19及びバイオマス供給装置11は、効率よくバイオマスを粉砕することができる。また、前処理ユニット19の周囲または内部に加熱する機構を設けるのみであるため装置構成を簡単にすることができる。さらに、タール等の揮発性ガスの発生を抑制することができるため、発生したタールを適切にボイラで燃焼させることができ、装置へのタールの付着を抑制することができ、装置のメンテナンス等も簡単にすることができる。ここで、バイオマスの温度は、150℃以上250℃以下とすることで、タールの発生をより確実に抑制することができ、上記効果をより確実に得ることができるが、非炭化温度とすることで、タール等の揮発性ガスが排出される影響を抑制しつつ、粉砕性を向上できる。
【0053】
また、前処理ユニット19で、バイオマス140を非炭化温度の範囲に加熱することで、バイオマス140を乾燥させることができる。これにより、前処理ユニット19は、粉砕装置26への投入時には、バイオマスを乾燥した状態にすることができ、粉砕装置での乾燥を省略することができる。これにより、粉砕装置26に供給する空気として種々の空気を用いることができ、常温の空気も用いることができる。
【0054】
バイオマスの加熱手段は、バイオマスを非炭化温度の範囲に加熱することができればよく、加熱手段自体は、非炭化温度よりも高い温度になってもよい。
【0055】
また、前処理ユニット19は、バイオマス等を燃焼することで加熱され、発電ユニットに熱を供給した後の排ガスを加熱手段の加熱源として用いることで、発電システム10の全体としての効率をより高くすることができ、発生した熱を有効活用することができる。
【0056】
また、制御部130は、温度計測部120の計測結果に基づいて、フィーダ25の出口の近傍のバイオマスが非炭化温度となるように、加熱手段100の加熱動作と、フィーダ25によるバイオマスの搬送動作とを制御する。具体的には、加熱手段100による加熱量(例えば、排ガスの供給量)、フィーダ25によるバイオマスの搬送速度等を制御する。なお、バイオマスの搬送速度は、回転部の回転速度、回転部のスクリューの角度の変更により制御する。また、制御部130は、目標とする非炭化温度と、その非炭化温度のときに温度計測部120で計測される温度との関係を予め実験等で算出しておき、算出した結果と温度計測部120で計測される温度とに基づいて、各部の動作を制御することが好ましい。これにより、バイオマスを適切に非炭化温度とすることができる。なお、温度計測部120により温度計測位置は、本実施形態のように加熱手段が配置されている領域の出口の近傍とすることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。また、温度計測部120を設けずに、設定した条件に基づいて加熱動作を制御し、バイオマスを非炭化温度にするようにしてもよい。
【0057】
ここで、前処理ユニット19では、バイオマスの加熱手段として、フィーダ25にジャケット102と伝熱配管104とに排ガスを通過させることでバイオマスを間接加熱したが、本発明はこれに限定されない、前処理ユニット19は、貯蔵サイロ20から排出されて、粉砕装置26に供給されるまでの間にバイオマスを非炭化温度に加熱すればよい。例えば、搬送コンベア23、バイオマス貯蔵タンク24、フィーダ25の少なくとも一箇所にあるバイオマスを加熱すればよい。また、バイオマスの加熱方法も間接加熱に限定されず、直接加熱により加熱してもよい。以下、図6から図12を用いて前処理ユニットの他の実施形態について説明する。
【0058】
まず、図6を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図6は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。ここで、図6に示す前処理ユニット160は、フィーダ162、加熱手段169の構成を除いて他の構成は、前処理ユニット19と同様の構成である。そこで、前処理ユニット19と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット160に特有の点を説明する。図6に示す前処理ユニット160は、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ162と、粉砕装置26と、加熱手段169とを有する。なお、前処理ユニット160は、このほかにも前処理ユニット19と同様に、搬送コンベアや、温度計測部、制御部等を備える。
【0059】
フィーダ162は、キルン166と、開閉弁168とを有する。キルン166は、バイオマス貯蔵タンク24から供給されるバイオマスを開閉弁168が設けられている配管まで加熱しつつ案内する窯である。開閉弁168は、開閉を切り換えることで、キルン166内を搬送されたバイオマスを粉砕装置26に供給するか否かを切り換える。なお、フィーダ162によるキルン166内のバイオマスの搬送方法は特に限定されない。例えば、後述する加熱手段169により供給される排ガスによりバイオマスを搬送するようにしてもよい。また、フィーダ162は、ベルト搬送により搬送してもよい。
【0060】
加熱手段169は、配管106と、配管108とを有する。なお、加熱手段169は、これらに加え、バルブ等も備えている。配管106は、一方の端部が、排ガスが流れる配管73と接続しており、他方の端部がキルン166のバイオマスの搬送方向の上流側端部と接続している。次に、配管108は、一方の端部が、供給配管28と接続し、他方の端部がキルン166のバイオマスの搬送方向の下流側端部と接続している。加熱手段169は、以上のような構成であり、配管106により、キルン166のバイオマスを保持、搬送している領域に排ガスを直接供給する。また、キルン166に供給された排ガスは、配管108から排出される。これにより、加熱手段169は、キルン166にあるバイオマスを直接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。前処理ユニット160のように、バイオマスを直接加熱により加熱することでも、バイオマスを粉砕しやすくすることができ、かつ、不要な物質が排出されることを抑制することができる。また、前処理ユニット160は、バイオマスの搬送方向と並向な方向に排ガスを供給すること(搬送方向と排ガスの流れ方向が同じ方向となる向きで排ガスを供給すること)で、キルン166に供給する排ガスによりバイオマスを搬送することができる。なお、本実施形態では、バイオマスの搬送方向と並向な方向に排ガスを供給したが、これには限定されない。例えば、搬送方向と排ガスの流れ方向が逆方向となる向きで排ガスを供給してもよい。つまり、排ガスを向流式で供給してもよい。排ガスを向流式で供給することで、バイオマスをより効率よく加熱することができる。
【0061】
次に、図7を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図7は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。ここで、図7に示す前処理ユニット170は、フィーダ162、加熱手段172の構成を除いて他の構成は、前処理ユニット19と同様の構成である。そこで、前処理ユニット19と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット170に特有の点を説明する。図7に示す前処理ユニット170は、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ162と、粉砕装置26と、加熱手段172とを有する。なお、前処理ユニット170は、このほかにも前処理ユニット19と同様に、搬送コンベアや、温度計測部、制御部等を備える。
【0062】
フィーダ162は、キルン166と、開閉弁168とを有する。キルン166は、バイオマス貯蔵タンク24から供給されるバイオマスを開閉弁168が設けられている配管まで加熱しつつ案内する窯である。開閉弁168は、開閉を切り換えることで、キルン166内を搬送されたバイオマスを粉砕装置26に供給するか否かを切り換える。
【0063】
加熱手段172は、複数の分割ジャケット173aと、配管174と、配管176と、バルブ177と、を有する。分割ジャケット173aは、キルン166の外周を覆うように配置された中空部材である。なお、分割ジャケット173aは、バイオマスの搬送方向において、キルン166を複数に分割した各領域に配置されている。配管174は、一方の端部が、排ガスが流れる配管73と接続しており、他方の端部が複数の分岐管174aと接続している。複数の分岐管174aは、それぞれ別々の分割ジャケット173aと接続している。次に、配管176は、一方の端部が、供給配管28と接続し、他方の端部が複数の分岐管176aと接続している。複数の分岐管176aは、それぞれ別々の分割ジャケット173aと接続している。バルブ177は、ぞれぞれの分岐管174aに設けられており、開閉することで、分割ジャケット173aに排ガスを供給するか否かを切り換える。また、バルブ177は、開閉することで、夫々の分岐管に供給する排ガスの配分(流量)を調整することもできる。
【0064】
加熱手段172は、以上のような構成であり、配管174及び分岐管174aにより、分割ジャケット173aのそれぞれに排ガスを供給する。また、分割ジャケット173aに供給された排ガスは、配管176及び分岐管176aから排出される。これにより、加熱手段172は、分割ジャケット173を加熱し、分割ジャケット173aを介して、キルン166にあるバイオマスを間接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。また、加熱手段172は、各バルブ177の開閉を切り換えることで、分割ジャケット173の加熱状態を個別に調整することができる。
【0065】
次に、図8を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図8は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。ここで、図8に示す前処理ユニット180は、搬送コンベア23に加熱手段182を設けた点を除いて他の構成は、前処理ユニット19と同様の構成である。そこで、前処理ユニット19と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット180に特有の点を説明する。図8に示す前処理ユニット180は、搬送コンベア23と、加熱手段182とを有する。なお、前処理ユニット180は、このほかにも前処理ユニット19と同様に、バイオマス貯蔵タンク、フィーダ、温度計測部、制御部等を備える。また、搬送コンベア23は、前処理ユニット19の搬送コンベア23と同様の構成である。
【0066】
加熱手段182は、複数の分割ジャケット183aと、配管184と、配管186と、バルブ187と、を有する。分割ジャケット183aは、搬送コンベア23の外周を覆うように配置された中空部材である。なお、分割ジャケット183aは、バイオマスの搬送方向において、搬送コンベア23を複数に分割した各領域に配置されている。配管184は、一方の端部が、排ガスが流れる配管73と接続しており、他方の端部が複数の分岐管184aと接続している。複数の分岐管184aは、それぞれ別々の分割ジャケット183aと接続している。次に、配管186は、一方の端部が、供給配管28と接続し、他方の端部が複数の分岐管186aと接続している。複数の分岐管186aは、それぞれ別々の分割ジャケット183aと接続している。バルブ187は、ぞれぞれの分岐管184aに設けられており、開閉することで、分割ジャケット183aに排ガスを供給するか否かを切り換える。
【0067】
加熱手段182は、以上のような構成であり、配管184及び分岐管184aにより、分割ジャケット183aのそれぞれに排ガスを供給する。また、分割ジャケット183aに供給された排ガスは、配管186及び分岐管186aから排出される。これにより、加熱手段182は、分割ジャケット183aを加熱し、分割ジャケット183aを介して、搬送コンベア23にあるバイオマスを間接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。前処理ユニット180のように、搬送コンベア23により搬送されているバイオマスを非炭化温度に加熱することでも、上記と同様の効果を得ることができる。また、加熱手段182は、各バルブ187の開閉を切り換えることで、分割ジャケット183aの加熱状態を個別に調整することができる。また、上記実施形態では、間接加熱によりバイオマスを加熱したが、搬送コンベア23により搬送されるバイオマスも直接加熱により加熱するようにしてもよい。また、搬送コンベア23は、ワイヤーメッシュコンベアベルトを用いることが好ましい。これにより、バイオマスをより加熱しやすくすることができる。なお、本実施形態では、搬送コンベア23に対して鉛直方向下側から排ガスを供給したが、これに限定されない。加熱手段は、鉛直方向上側から鉛直方向下側に流れるように搬送コンベア23に排ガスを供給してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、加熱手段として、排ガス(より具体的には、バイオマス及び化石燃料を燃焼させることで加熱した排ガス)を用いる場合を例として説明したがこれに限定されない。例えば、加熱手段として、バイオマス及び化石燃料の少なくとも一方を燃焼させることで加熱した排ガスを用いてもよい。また、加熱手段として供給する空気は、排ガスに限定されず、加熱した空気を供給できればよい。例えば、別途空気を加熱する加熱機構(ヒータや、熱交換器)を設け、加熱機構で加熱した空気を供給してもよい。また、ボイラとは別途燃焼機を設け、当該燃焼機でバイオマスまたは化石燃料で燃焼させ、空気を加熱し、加熱した空気を供給する機構としてもよい。
【0069】
次に、図9及び図10を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図9は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。図10は、前処理ユニットの概略構成の一部を示す断面図である。ここで、図9及び図10に示す前処理ユニット200は、加熱手段202の構成を除いて他の構成は、前処理ユニット19と同様の構成である。そこで、前処理ユニット19と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット200に特有の点を説明する。図9に示す前処理ユニット200は、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ25と、粉砕装置26と、加熱手段202と、加熱によって発生するガスを排出する配管203と、を有する。なお、前処理ユニット200は、このほかにも前処理ユニット19と同様に、搬送コンベアや、温度計測部、制御部等を備える。
【0070】
加熱手段202は、ヒータ204a、ヒータ204bと、ヒータ204c、ヒータ204dと、2本のヒータ206とを有する。ヒータ204aは、フィーダ25の案内管112の上面に配置されており、ヒータ204bは、案内管112の下面に配置されており、ヒータ204cとヒータ204dは、案内管112の長手方向と平行な面(側面)に配置されている。つまり、案内管112は、ヒータ204a、ヒータ204bと、ヒータ204c、ヒータ204dとにより周りが囲われている。また、ヒータ206は、回転部110の中空部分に挿入されている。なお、ヒータ204a、ヒータ204bと、ヒータ204c、ヒータ204dと、2本のヒータ206としては、種々の加熱機構を用いることができる。
【0071】
加熱手段202は、以上のような構成であり、ヒータ204a、ヒータ204bと、ヒータ204c、ヒータ204dと、2本のヒータ206により、回転部110、案内管112を加熱し、回転部110、案内管112を介して、案内管112にあるバイオマスを間接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。このように、加熱手段として排ガスを用いない加熱機構を用いた場合も、装置全体でのエネルギ効率は低下するが、上記と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、ヒータを用いたが、排ガス以外の熱流体を用いた加熱手段を用いてもよい。また、ヒータとしては、電熱線を用いた加熱機構、ハロゲンヒータを用いた加熱機構、遠赤外線を用いた加熱機構を用いてもよい。
【0072】
また、配管203は、一方の端部がフィーダ25と接続され、他方の端部が供給配管28と接続されている。配管203は、フィーダ25内のバイオマスが加熱されることで発生するガスを回収し、供給配管28に排出する。ここで、バイオマスが加熱されることで発生するガスには、燃焼ガスも含まれており、配管203を設けることで、当該発生するガスを供給配管28から燃焼バーナ34に搬送することができる。なお、燃焼バーナ34に供給された当該発生するガスは、ボイラ本体31に排出されることで、燃焼ガスが燃焼される。これにより、バイオマスの加熱時に発生するガスも適切に処理することができる。
【0073】
次に、図11を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図11は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。ここで、図11に示す前処理ユニット210は、加熱手段212を設けた点を除いて他の構成は、図8に示す前処理ユニット180と同様の構成である。そこで、前処理ユニット180と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット210に特有の点を説明する。図11に示す前処理ユニット210は、搬送コンベア23と、加熱手段212と、加熱によって発生するガスを排出する配管230と、を有する。なお、前処理ユニット210は、このほかにも前処理ユニット180と同様に、バイオマス貯蔵タンク、フィーダ、温度計測部、制御部等を備える。また、搬送コンベア23は、前処理ユニット180の搬送コンベア23と同様の構成である。
【0074】
加熱手段212は、複数の分割カバー213と、複数のヒータ214と、を有する。分割カバー213は、搬送コンベア23の外周を覆うように配置された箱型部材である。なお、分割カバー213は、バイオマスの搬送方向において、搬送コンベア23を複数に分割した各領域に配置されている。また、分割カバー213としては熱伝導性の高い材料、例えば金属で形成することが好ましい。ヒータ214は、夫々、分割カバー213に対応して配置されている。ヒータ214は、分割カバー213を加熱する。
【0075】
加熱手段212は、以上のような構成であり、ヒータ214により、分割カバー213を加熱し、分割カバー213を介して、搬送コンベア23にあるバイオマスを間接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。このように、加熱手段として排ガスを用いない加熱機構を搬送コンベア23に用いた場合も、装置全体でのエネルギ効率は低下するが、上記と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態でも、ヒータを用いたが、排ガス以外の熱流体を用いた加熱手段を用いてもよい。また、ヒータとしては、電熱線を用いた加熱機構、ハロゲンヒータを用いた加熱機構、遠赤外線を用いた加熱機構を用いてもよい。
【0076】
また、配管230は、一方の端部が分割カバー213と接続され、他方の端部が供給配管28と接続されている。なお、配管230は、一方の端部が複数に分岐しており、分岐管のそれぞれが分割カバー213と接続されている。配管203は分割カバー213内のバイオマスが加熱されることで発生するガスを回収し、供給配管28に排出する。ここで、バイオマスが加熱されることで発生するガスには、燃焼ガスも含まれており、配管230を設けることで、当該発生するガスを供給配管28から燃焼バーナ34に搬送することができる。なお、燃焼バーナ34に供給された当該発生するガスは、ボイラ本体31に排出されることで、燃焼ガスが燃焼される。これにより、バイオマスの加熱時に発生するガスも適切に処理することができる。
【0077】
また、搬送コンベア23にあるバイオマスを加熱する加熱手段を設けることに代えてあるは加えて、払い出しコンベア22にあるバイオマスを加熱する加熱手段を設けてもよい。
【0078】
次に、図12を用いて、他の実施形態の前処理ユニットについて説明する。ここで、図12は、前処理ユニットの他の実施形態の一部を示す模式図である。ここで、図12に示す前処理ユニット220は、加熱手段222の構成を除いて他の構成は、前処理ユニット19と同様の構成である。そこで、前処理ユニット19と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、前処理ユニット220に特有の点を説明する。図12に示す前処理ユニット220は、バイオマス貯蔵タンク24と、フィーダ25と、粉砕装置26と、加熱手段222とを有する。なお、前処理ユニット220は、このほかにも前処理ユニット19と同様に、搬送コンベアや、温度計測部、制御部等を備える。
【0079】
加熱手段222は、配管106と、配管108とを有する。なお、加熱手段222は、これらに加え、バルブ等も備えている。配管106は、一方の端部が、排ガスが流れる配管73と接続しており、他方の端部がバイオマス貯蔵タンク24の鉛直方向上側の端部と接続している。次に、配管108は、一方の端部が、供給配管28と接続し、他方の端部がバイオマス貯蔵タンク24の鉛直方向下側の端部と接続している。加熱手段222は、以上のような構成であり、配管106により、バイオマス貯蔵タンク24のバイオマスを貯蔵している領域に排ガスを直接供給する。また、バイオマス貯蔵タンク24に供給された排ガスは、配管108から排出される。これにより、加熱手段222は、バイオマス貯蔵タンク24にあるバイオマスを直接加熱により加熱することができる。なお、この場合もバイオマスは、非炭化温度に加熱する。前処理ユニット220のように、バイオマス貯蔵タンク24にあるバイオマスを直接加熱により加熱することでも、バイオマスを粉砕しやすくすることができ、かつ、不要な物質が排出されることを抑制することができる。なお、前処理ユニット220では、バイオマス貯蔵タンク24の鉛直方向上側から排ガスを供給したが、排ガスを鉛直方向下側の端部近傍から供給しても良い。また、前処理ユニット220では、バイオマス貯蔵タンク24に貯蔵されているバイオマスを直接加熱により加熱したが、本発明はこれに限定されず、間接加熱により加熱してもよい。
【0080】
また、バイオマスを搬送する雰囲気には、不活性ガスを供給することが好ましい。このように不活性ガス雰囲気とすることで、バイオマスが搬送経路で必要以上に反応することを抑制することができ、燃焼が発生する恐れを低減することができる、なお、不活性ガスとは、通常の空気よりも燃焼が発生しにくいガスである。例えば、酸素濃度が10%以下のガスである。
【0081】
また、上記実施形態で説明した加熱手段は、それぞれ単体で設けてもよいが、複数の加熱手段を1つの前処理ユニットに設けてもよい。このように、複数個所で加熱を行うことで、より適切に適正温度に加熱することが可能となり、バイオマスを好適に非炭化温度の範囲で加熱することができる。
【0082】
次に、図13を用いて、他の実施形態の前処理ユニット及びバイオマス貯蔵ユニットについて説明する。ここで、図13は、発電システムの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図13に示す発電システム240は、バイオマス・石炭混焼の発電システムである。つまり、図13は、石炭の供給装置の概略構成も示す発電システムである。なお、図13では、発電装置の図示を省略している。
【0083】
図13に示すように、発電システム240は、バイオマスを貯留し、排出前に非炭化温度に加熱する前処理ユニット19と、前処理ユニット19で非炭化温度に加熱したバイオマスを粉砕する粉砕装置26と、粉砕装置26で粉砕したバイオマスを燃焼バーナ34に供給する配管249と、石炭250を受け入れるホッパ251a、251bを備えた石炭粉砕装置252a、252bと、石炭粉砕装置252a、252bにて得られた石炭粉体を燃焼バーナ33に供給する配管253と、を備える。また、発電システム240は、さらに、ボイラ本体31、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、過熱器43、44、再熱器45、46等、図1のボイラ30と同様の構成の各部を備えている。
【0084】
また、ボイラ本体31には、炉本体の炉出口に設けた煙道の途中には空気加熱器(AH)262が配置され、空気加熱器262を通った燃焼排ガスは、灰捕集装置等の排ガス処理設備(図示せず)を経て大気放出される。空気加熱器262によって外気263を加熱して生成した高温空気264は石炭粉砕装置252a、252bに供給され、石炭250の乾燥に用いられる。また燃焼排ガスの一部265は、誘引ファン266により粉砕装置26に供給され、バイオマスの分級に用いられる。
【0085】
このように本発明に係るバイオマス貯蔵タンクを備えた発電システムとすることで、バイオマス粉砕が良好となる、つまり、効率よく粉砕することができる。これにより、その粉砕物を燃焼装置に直接導入して燃焼させる場合においても、燃焼性能を低下させることなく安定燃焼が可能である。また、押込みガスの全体量は従来と変化することがないので、一次空気の変動がなく、燃焼設備にて必要とされる空気量の範囲内で、バイオマス粉砕装置を安定して運転することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る前処理ユニットは、バイオマスを燃料として用いる燃焼システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 発電システム
11 バイオマス供給装置
19 前処理ユニット
20 貯蔵サイロ
21 空気供給配管(空気供給系)
22 払い出しコンベア
23 搬送コンベア
24 バイオマス貯蔵タンク
25 フィーダ
26 粉砕装置(ミル)
27 粉体分離装置
28 供給配管
30 ボイラ
31 ボイラ本体
32 燃焼装置
33 化石燃料用の燃焼バーナ
34 バイオマス用の燃焼バーナ
39 空気供給配管
42 煙道
51 エアヒータ
52 除塵装置
53 ブロア
60 発電装置
62 配管ユニット
100 加熱手段
102 ジャケット
104 伝熱配管
106、108 配管
106a、106b、108a、108b 分岐管
107 バルブ
110 回転部
112 案内管
114 駆動源
120 温度計測部
130 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを粉砕する粉砕手段にバイオマスを供給する前処理ユニットであって、
バイオマスを貯蔵するバイオマス貯蔵タンクと、
前記バイオマス貯蔵タンクにバイオマスを供給する貯蔵前供給手段と、
前記バイオマス貯蔵タンクに貯蔵されたバイオマスを粉砕手段に供給する貯蔵後供給手段と、
前記貯蔵前供給手段、前記バイオマス貯蔵タンク、前記貯蔵後供給手段のいずれかにあるバイオマスを非炭化温度の範囲で加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする前処理ユニット。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記貯蔵前供給手段により前記バイオマス貯蔵タンクに向けて搬送されているバイオマスを加熱することを特徴とする請求項1に記載の前処理ユニット。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記貯蔵後供給手段により前記粉砕手段に向けて搬送されているバイオマスを加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の前処理ユニット。
【請求項4】
前記加熱手段は、バイオマスの搬送経路の外周を覆うカバー部と、前記カバー部に加熱された空気を供給する加熱源とを有し、
前記加熱源により前記カバー部の内部に加熱された空気を供給することで、前記バイオマスを加熱することを特徴とする請求項2または3に記載の前処理ユニット。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記加熱された空気を前記バイオマスの搬送方向と同一方向に流すことを特徴とする請求項4に記載の前処理ユニット。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記加熱源として、前記バイオマス及び化石燃料の少なくとも一方を燃焼させて温度が上昇された空気または排ガスを用いることを特徴とする請求項4または5に記載の前処理ユニット。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記バイオマスが貯蔵されている領域を含む領域を間接加熱する間接加熱源を有することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の前処理ユニット。
【請求項8】
前記加熱手段は、前記間接加熱源として、前記バイオマス及び化石燃料の少なくとも一方を燃焼させて温度が上昇された空気または排ガスを用いることを特徴とする請求項7に記載の前処理ユニット。
【請求項9】
前記加熱手段は、前記バイオマスを150℃以上250℃以下に加熱することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の前処理ユニット。
【請求項10】
前記バイオマスを加熱する領域の終端付近の雰囲気の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記加熱手段を制御し、前記バイオマスを非炭化温度の範囲で加熱する制御部と、をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の前処理ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78018(P2012−78018A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223900(P2010−223900)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】