前後両引出し機構
【課題】
特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供する。
【解決手段】
装置内部に有する実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、前記一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、さらにロック機構を背中合わせの向きにして、かつ左右にずらした位置関係で前後に設ける。
特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供する。
【解決手段】
装置内部に有する実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、前記一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、さらにロック機構を背中合わせの向きにして、かつ左右にずらした位置関係で前後に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールにて装置外部へ引出す引出し機構に関し、特に装置の前後両方向に引出すいわゆる両引出し機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者の操作に応じてチケット等の各種の媒体を提供する自動発行装置が駅構内や公共施設などに設置され、利用されている。この自動発行装置の内部にはさまざまな機能を有する機器が実装されており、これら実装機器は媒体の補充、ジャム除去、故障時の交換等の場合、装置内部より引出すための引出し機構が必要である。
【0003】
実装機器を引出す方向は、装置の設置環境に影響される。例えば、図2の様に、オープンスペースの壁12に装置の背面が接して配置されている場合には、実装機器1を装置の前方向に引出す。また、図3の様に、駅や銀行等のブース内に設置されている場合には、利用者の操作面と反対側にあたる装置の後方に実装機器1を引出す。
【0004】
引出し機構には実装機器の加重を受けた状態でスムーズに可動する必要があるため、一般的にはスライドレールが使用される。この時、使用されるスライドレールにより3種類の筐体が考えられる。片側引出しスライドレールを使用した場合、筐体としては設置環境に応じて、前方に引出す前面機と、後方に引出す後面機の2種類の筐体となる。また、両引出しスライドレールを使用した場合は、前後両面引出し可能な筐体となる。
【0005】
両引出し可能なスライドレールを用いた例としては、特許文献1(特開2000−342365号公報)が挙げられる。また片引出しスライドレールを組み合わせて引出し方向の変更が可能な前後両引出し機構としては、特許文献2(特開2004−141204号公報)が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−342365号公報
【特許文献2】特開2004−141204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに、上記従来の引出し機構には以下のような幾つかの課題がある。
片側引出しスライドレールを用いた機構については、図2に示す前面機及び図3に示す後面機は、あらかじめ引出し方向が限定されるため、設置環境に合わせた構成の装置が必要となる。即ち、内部の機能は同じであるが、引出し方向の異なる2種類の筐体を用意しなければならない。
【0008】
また、装置を一旦設置した後、引出し方向の変更が生じた場合には、実装機器1を装置から外し、引出し機構を交換するための作業が必要となり、多くの作業工数を要する。さらには実装機器1が重量物である場合、人手では外すことが出来ず、現地での引出し方向の変更が一層困難になる。
【0009】
次に、両引出しスライドレールについて言えば、両引出しが片側引出しと大きく異なる点は、引出し時のインター、インナーのストッパ構造である。スライドレールを引出した時に、インター及びインナーが一定以上引出されない様にするために、通常スライドレールにはストッパが付いている。しかし、両引出しの場合には、このストッパが前後両方向に必要となり、しかも前引出しの際は、後ろ引出しのストッパが邪魔にならない構造でなければならない。
【0010】
次に、低荷重向けと高荷重向けスライドレールの異なる点について説明する。荷重はアウターとインター間、インターとインナー間のボールにて受けている。実装機器が低荷重の場合にはこのボールも少なくてよいが、高荷重になるに従って多くのボールが必要となる。つまりスライドレールの全長が同じである場合、片側引出しに比べて両引出しの方が、ストッパのエリア分だけボールが少なくなり、耐荷重が小さくなる。さらに高荷重になるに従い、引出し際のストッパに加わる荷重も増えるので、より強固とする必要がある。以上のことから、両引出しスライドレールは耐荷重が増えるほど全長が伸び、且つストッパが複雑となる。
【0011】
特許文献1に開示されている、両引出しスライドレールの技術については、次のような課題がある。
前述した様に片側引出しに比べ構造が複雑であるため高価となる。
高荷重向けになるほどスライドレールの全長が伸び多くの設置エリアが必要となる。
(3)通常スライドレールはスライド長さ(全長)、移動量、荷重の基本の3要素と、断面の縦、横の寸法の違いで数十から数百種類に分けられ、メーカはこれらを標準品として販売している。それに対して両引出しスライドレールは需要が極めて少ないため、注文があった場合は、その都度設計から始め、必要員数だけ製作する。そのため小ロット生産となり部品単価が高く、尚且つ開発費も部品単価に含まれるため高価となる。
【0012】
次に、特許文献2に開示されている、片引出しスライドレールを4本組み合せ、引出し方向を変更可能な両引き出し機構は、一方向に移動可能な第1スライドレールと、前記一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向い合わせて固定することで、引出す方向により可動するスライドレールを分けた構成となっている。
【0013】
引き出す方向はロック機構を構成するロック受け金具とプッシュラッチ、引き出す方向の反対側の飛び出しを防止するストッパ金具の固定位置で決められ、この金具を前後に付け替えることで引出し方向を変更できる構造である。つまり3部品を前後に付け替えることで実装機器を降ろすことなく引出し方向の変更が可能となっている。
【0014】
特許文献2に開示されている引出し機構では、引出し方向は常に片側のみであり、また引出し方向を変更するには一旦部品を前後で付け替える必要がある。
つまり、片側引出しスライドレールを使った引出し機構は一般流通品のスライドレールを使うと、引出し機構を安価に出来る反面、引出し方向が片側のみとなる。また両引出しスライドレールは、保守方向が容易に変更可能である反面、引出し機構が高価となり、多くの設置エリアを必要とする。
【0015】
また片側引出しスライドレールを4本使った引出し機構は、容易に引出し方向を変更でき、安価な構成となるが、引出す方向は常に片側のみであり、引出し方向の変更には金具の付け替えが生じる。
【0016】
本発明の目的は、特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、装置内部に収納される実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、装置の筐体は、前後それぞれに実装機器の収納時のロック機構を有し、ロック機構は背中合わせの向きに配置され、かつ左右にずらした位置関係で前後に設けられるように構成される。
【0018】
また、一例では、実装機器の土台としてのメカ台と、装置筐体に固定されたメカベースとを有し、第1スライドレールをメカ台に取付け、第2スライドレールをメカベースに取付け、かつロック機構はロック受け金具とロックを解除するプッシュラッチを有し、プッシュラッチはメカ台に固定され、メカベースにストッパ金具を固定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1、図4〜12を用いて説明する。
図1は実装機器を前方に引出した状態の斜視図、図4は実装機器収納状態の断面図、図5は実装機器収納状態の平面図、図6は実装機器前面引出し状態の平面図、図7実装機器後面引出し状態の平面図、図8はスライドレールの組立て詳細図、図9はスライドレール収納状態の詳細図、図10はスライドレール前引出し状態の詳細図、図11はスライドレール後引出し状態の詳細図、図12は実装機器を前方へ引出し時の断面図を示す。
【0021】
最初に全体の構成を図1、4、5を用いて説明する。
引出し機構を搭載する筐体ベース4は、メカベース5固定用のネジ穴を設けておき、引出し機構の主要部品を搭載するメカベース5側にも本穴に対応する穴を設け、筐体ベース4とメカベースをネジ固定する。この説明では、ネジ、ネジ穴を設けるとの文言を使用するが、これらは或る部材と部材とをネジ固定するためのものである。このネジ固定以外にリベット等で固定する例もある。これらを単に固定する(又は固定手段)とも言う。
【0022】
またメカベース5は前側の中央よりやや右側にネジ穴5aを設ける。また後側は前側よりさらに右端にネジ穴5bを設ける。つまりネジ穴5a、5bの左右方向にずれた位置関係となる。この左右方向のずらす量とその理由については後述する。またネジ位置を中央より右側とする理由は、左側を装置の制御部と実装機器を繋ぐ電源及び信号のケーブル配線エリアとして利用するためである。尚、この右側のネジエリアと左側のケーブル配線エリアは反対でも問題ない。
【0023】
また、ネジ穴5a、5bそれぞれは、ロック受け金具11を前後で同じ形状とするため、同一寸法の同一形状となっている。そしてこのネジ穴5a、5bにロック受け金具11を固定する。この時、プッシュラッチ3bとかん合させる突起部の面が前後でそれぞれ外側となるようにロック受け金具11を固定する。これはプッシュラッチ3bを取付けている取手3が前後で同じ物を使用するためである。メカベース5の左右はスライドレール取付け用の曲げとネジ穴を設ける。
【0024】
スライドレールは3メンバーのスチール製の片側引出しレールを片側2本で計4本使用する。レール単体では片側6本で計12本使用するが、スライドレールは1本のレールではスライド機能を有せず、複数組み合わさって始めてスライド機能の役割を果たすため、スライドレールとしては4本である。
【0025】
ここで各スライドレールについて説明すると、図4に示すように、実装機器1は、筐体ベース4に固定されたメカベース5に対してスライド移動される形態をとる。そして実装機器1を搭載するメカ台2側に取付けられたスライドレールを内側スライドレール7とし、メカベース5側に取付けられたスライドレールを外側スライドレール8として説明する。尚、内側スライドレール7、外側スライドレール8を構成する各レール間はコロ又はボールを介してスムーズな移動が可能になっている。
【0026】
またスライド方向とは逆の方向にスライドしてレールが抜け落ちない様にアウターチャンネルとインターチャンネルそれぞれに抜け防止のストッパが付いている。内側スライドレール7では図8に示すアウターチャンネル後方ストッパ7d、インターチャンネル後方ストッパ7eがそれに当り、外側スライドレール8にも同様のストッパが付いている(図示無し)。さらにスライド方向側には一定以上引出されない様に引き出し側のストッパが付いている。外側スライドレール8ではアウターチャンネル前方ストッパ8f、インターチャンネル前方ストッパ8gがそれに当たり、内側スライドレール7にも同様のストッパが付いている(図示無し)。
【0027】
次に、内側スライドレール7と外側スライドレール8との取り付け構造について説明する。
図8に示す様に、スライドレール7と8とは向い合わせた構造となっている。そして夫々のレールのメンバである、インナーチャンネル同士7cと8cをネジ固定する。この時、引出し方向を同一方向になる様に合わせる。そして外側スライドレール8を、インナーチャンネル8cが前方に引出される方向にして、アウターチャンネル8aをメカベース5の側面曲げ部(図11参照)にネジ固定する。ここで、片側引出しスライドレールは引出される方向が決まっており、図8ではインナーチャンネル8cは図の手前には引出すことはできるが、図の奥側にはアウターチャンネル8aに設けられたストッパにより引出せない構造となっている。そのため、片側引出しスライドレールと称する。
【0028】
実装機器1を載せるメカ台2はコの字形とし(図4参照)、左右のフランジ部にはネジ穴を設けておき、内側スライドレール7のアウターチャンネル7aにネジ固定する。さらに上面には実装機器固定、実装機器側ケーブル金具の取付けのためのネジ穴を設け、実装機器側ケーブル金具取付け付近にはケーブル用の角穴を設ける。前後両端は取手3を付けるためのネジ穴を設ける。
【0029】
図4〜6に示すように、装置の制御部と実装機器1を繋ぐ電源及び信号用のケーブルには、可動部の保護としてケーブルベア6にて覆っている。このケーブルベア6はモールド製であり、連結の為の軸と穴が設けてある。連結すると、隣接するベア同士を一定角度まで曲げることができ、複数個組み合わせると一定曲げRを保ったまま可動し、ケーブル可動時の曲げRを一定以上に保つ機能を有する。これをメカメーズ5上にU字形に置き、一方は筐体側ケーブル金具9を介してメカベース5に固定し、もう一方は実装機器側ケーブル金具10を介してメカ台2下部に固定する。そして本ケーブルベア内にケーブルを通し、装置制御部と実装機器を電気的に接続する。
【0030】
図1に示すように、取手3は実装機器1を引出す時の手掛け3aを有している。そしてこの取手3の前面には係員等が押下するボタン部としてプッシュラッチ3bが設置されている。実装機器1をメカベース5に収納する時は、ロック機構の働きも行なうプッシュラッチ3bの下面に位置するラッチ部が、ロック受け金具11に引っかかるように取付けられている。図1の様に、前後それぞれ取手金具をメカ台2の前後にネジ固定する。
【0031】
図5に図示された実装機器1の収納時のロック受けとなるロック受け金具11は、プッシュラッチ3bのラッチ部を受ける前方部の曲げを有し、さら曲げ部の後方にネジ固定用の穴を有する。装置前方は本部品であるロック受け金具11をメカベースネジ穴5a(図1参照)にネジ固定し、装置後方はメカベースネジ穴5bにネジ固定する。またロック受け金具11のネジ用の穴は長穴とした方が望ましい。実装機器1の収納状態で前後に位置調整が必要な時など、ロック受け金具11を前後にずらして調整できるためである。
【0032】
以下、実装機器1を装置筐体にロックする動作と、装置筐体から引き出す動作とを説明する。
実装機器1を装置筐体に収納した状態を、図5を用いて説明する。本状態ではスライドレール7と8は完全に収納された状態となっている。この時、前方の取手3のラッチ、つまり上述したプッシュラッチ3bにリンクされたラッチ部はロック受け金具11に引掛けられた状態となっており前方には出てこない構造となっている。
また反対側についても同様に、後方のラッチがロック受け金具11に引掛けられた状態となっており後方へも出てこない構造となっている。つまり本状態では実装機器1は前後どちらにも可動しない。
【0033】
次に実装機器を前方に引出す動作を、図6を用いて説明する。実装機器1を引出すには、まず取手3のプッシュラッチ3bのボタン部を押し、ロック受け金具11からのロックを外す。この状態で取手3を持ち前方に引出すと、外側スライドレール8がスライドし、実装機器1がメカ台2と共に前方に引出される。この時、ケーブルベア6はメカ台2の移動に追従し前方に移動する。つまり外側スライドレール8にてメカ台2をスライドさせ、ケーブルベア6にてケーブルを屈曲曲げRを一定に保ちながら可動させる。スライドレールの可動については別途詳細に説明する。
【0034】
次に引出した実装機器を収納する動作を図12を用いて説明する。実装機器を収納していくと、前側のプッシュラッチ3bのラッチ傾斜部がロック受け金具11と当り、ラッチがプッシュラッチ内部に収納され、ロック受け金具11を乗り越える。そして完全に乗り越えると再び飛び出しロック状態となる。また後側プッシュラッチ3bはラッチ部のフラット面がロック受け金具11と当るため、ラッチが収納されることなくストッパとして機能する。つまり本プッシュラッチ3bとロック受け金具11で構成されるロック機構は、前後共ロックとストッパの両方の機能を有している。反対に実装機器を後方に引出すと図7に示す様に、前述と反対にロック機構が動作する。
【0035】
次にロック受け金具を左右方向でずらした理由について、図12を用いて説明する。
仮にロック受け金具を左右方向でずらさず一直線上の状態で、実装機器を前方に引き出すと仮定する。この場合、引き出すことに関しては後部プッシュラッチ3bが前方のロック受け金具11を乗り越えるため問題なく動作するが、完全に引き出された状態から収納しようとすると、後部のプッシュラッチ3bのラッチ部のフラット面が、ロック受け金具と当たるため、収納できない。つまり、ロック受け金具をずらさずに同一線上とすると実装機器の引き出し量は、後部のプッシュラッチが前側のロック受け金具を越えない距離に制限されることになる。従って実装機器の引き出し量が制限され、左右方向でずらした構造よりも保守性が悪くなることになる。
【0036】
次にスライドレールの引出し動作を、図9〜11を用いて詳細に説明する。
図9に示す様に、収納状態では外側、内側スライドレール7,8共に、アウター・インター・インナーチャンネルが同一面となるような完全収納状態となっている。
【0037】
図10に示す様にメカ台2を前方に引出すと、まずメカ台2に固定した内側スライドレール7のアウターチャンネル7aがスライドする。このときインターチャンネル7bはアウターチャンネル後方ストッパ7dがレールに当たるため、スライドせずアウターチャンネルと一緒に前方に移動する。同じくインナーチャンネル7cについてもインターチャンネル後方ストッパ7eがレールに当たるためスライドせず、アウター、インターと共に前方に移動する。つまり内側スライドレール7は引出し方向が逆のためスライドせず収納状態のまま前方に移動する。つぎに外側スライドレール8について説明する。外側スライドレール8のインナーチャンネル8cは内側スライドレール7のインネーチャンネル7cに固定されているため、内側スライドレール7と一緒になってスライドする。そしてインナーチャンネル8cが完全に引出されるとインターチャンネル前側ストッパに当り、つづいてインターチャンネル8bが引出される、同じようにインターチャンネルが完全に引出されるとインターチャンネル8bがアウターチャンネル前側ストッパに当たり、スライドが終了する。
【0038】
次に後方引出しの場合を説明する。メカ台2を後方に引出すと、前方引出しとは反対に内側スライドレール7のアウター7a、インター7bがレールの前方ストッパに当たり、順に後方にスライドする。そして最後にインナーチャンネル7cが後方に引かれる。この時外側スライドレール8のレールは後方ストッパ当たるためインター8b、インナー8c共にスライドしない、そのため外側スライドレール8のインナーチャンネル8cとネジ固定された内側スライドレール7のインナーチャンネル7cもスライドすることが出来ず、内側スライドレールのスライドが終了する。つまり前引出しでは外側スライドレール8が、後方引出しでは内側スライドレール7が可動することで前後両引出しを実現する構造となっている。これら内側、外側スライドレールを第1スライドレール、2スライドレールと言うこともある。
【0039】
また、前引出しと後引出しで可動するスライドレールが異なるため、内側と外側の異なるスライド量のスライドレール組み合わせることで、前と後ろで異なる引出し量にすることも容易に可能である。
【0040】
以上の構造により、本機構を採用すると、特注の高価な両引出しスライドレールを使用すること無く、安価な片側引出しレールにて両引出しが実現でき、尚且つ前後で引出し量を変えることの出来る前後両引出し機構を提供することが出来る。
【0041】
なお、上記実施例による両引出し機構は、自動発行装置等の電子機器の引き出し機構に適用されるだけでなく、机やキャビネットの引出し、可動テーブル等、前後方向に可動する機構にも適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】一実施例における実装機器を前方に引出した状態の斜視図、
【図2】オープンスペースに設置された装置の例を示す斜視図、
【図3】ブースに設置された装置の例を示す斜視図、
【図4】実装機器収納状態の断面図、
【図5】実装機器収納状態の平面図、
【図6】実装機器前面引出し状態の平面図、
【図7】実装機器後面引出し状態の平面図、
【図8】スライドレールの組立て詳細図、
【図9】スライドレール収納状態の詳細図、
【図10】スライドレール前引出し状態の詳細図、
【図11】スライドレール後引出し状態の詳細図、
【図12】実装機器を前方へ出した状態の断面図。
【符号の説明】
【0043】
1:実装機器 2:メカ台 3:取手 3a:手掛け
3b:プッシュラッチ 4:筐体ベース 5:メカベース 6:ケーブルベア 7:内側スライドレール 7a:アウターチャンネル 7b:インターチャンネル
7c:インナーチャンネル 8:外側スライドレール 8a:アウターチャンネル 8b:インターチャンネル 8c:インナーチャンネル 9:筐体側ケーブル金具 10:実装機器側ケーブル金具 11:ロック受け金具 12:壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールにて装置外部へ引出す引出し機構に関し、特に装置の前後両方向に引出すいわゆる両引出し機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者の操作に応じてチケット等の各種の媒体を提供する自動発行装置が駅構内や公共施設などに設置され、利用されている。この自動発行装置の内部にはさまざまな機能を有する機器が実装されており、これら実装機器は媒体の補充、ジャム除去、故障時の交換等の場合、装置内部より引出すための引出し機構が必要である。
【0003】
実装機器を引出す方向は、装置の設置環境に影響される。例えば、図2の様に、オープンスペースの壁12に装置の背面が接して配置されている場合には、実装機器1を装置の前方向に引出す。また、図3の様に、駅や銀行等のブース内に設置されている場合には、利用者の操作面と反対側にあたる装置の後方に実装機器1を引出す。
【0004】
引出し機構には実装機器の加重を受けた状態でスムーズに可動する必要があるため、一般的にはスライドレールが使用される。この時、使用されるスライドレールにより3種類の筐体が考えられる。片側引出しスライドレールを使用した場合、筐体としては設置環境に応じて、前方に引出す前面機と、後方に引出す後面機の2種類の筐体となる。また、両引出しスライドレールを使用した場合は、前後両面引出し可能な筐体となる。
【0005】
両引出し可能なスライドレールを用いた例としては、特許文献1(特開2000−342365号公報)が挙げられる。また片引出しスライドレールを組み合わせて引出し方向の変更が可能な前後両引出し機構としては、特許文献2(特開2004−141204号公報)が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−342365号公報
【特許文献2】特開2004−141204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに、上記従来の引出し機構には以下のような幾つかの課題がある。
片側引出しスライドレールを用いた機構については、図2に示す前面機及び図3に示す後面機は、あらかじめ引出し方向が限定されるため、設置環境に合わせた構成の装置が必要となる。即ち、内部の機能は同じであるが、引出し方向の異なる2種類の筐体を用意しなければならない。
【0008】
また、装置を一旦設置した後、引出し方向の変更が生じた場合には、実装機器1を装置から外し、引出し機構を交換するための作業が必要となり、多くの作業工数を要する。さらには実装機器1が重量物である場合、人手では外すことが出来ず、現地での引出し方向の変更が一層困難になる。
【0009】
次に、両引出しスライドレールについて言えば、両引出しが片側引出しと大きく異なる点は、引出し時のインター、インナーのストッパ構造である。スライドレールを引出した時に、インター及びインナーが一定以上引出されない様にするために、通常スライドレールにはストッパが付いている。しかし、両引出しの場合には、このストッパが前後両方向に必要となり、しかも前引出しの際は、後ろ引出しのストッパが邪魔にならない構造でなければならない。
【0010】
次に、低荷重向けと高荷重向けスライドレールの異なる点について説明する。荷重はアウターとインター間、インターとインナー間のボールにて受けている。実装機器が低荷重の場合にはこのボールも少なくてよいが、高荷重になるに従って多くのボールが必要となる。つまりスライドレールの全長が同じである場合、片側引出しに比べて両引出しの方が、ストッパのエリア分だけボールが少なくなり、耐荷重が小さくなる。さらに高荷重になるに従い、引出し際のストッパに加わる荷重も増えるので、より強固とする必要がある。以上のことから、両引出しスライドレールは耐荷重が増えるほど全長が伸び、且つストッパが複雑となる。
【0011】
特許文献1に開示されている、両引出しスライドレールの技術については、次のような課題がある。
前述した様に片側引出しに比べ構造が複雑であるため高価となる。
高荷重向けになるほどスライドレールの全長が伸び多くの設置エリアが必要となる。
(3)通常スライドレールはスライド長さ(全長)、移動量、荷重の基本の3要素と、断面の縦、横の寸法の違いで数十から数百種類に分けられ、メーカはこれらを標準品として販売している。それに対して両引出しスライドレールは需要が極めて少ないため、注文があった場合は、その都度設計から始め、必要員数だけ製作する。そのため小ロット生産となり部品単価が高く、尚且つ開発費も部品単価に含まれるため高価となる。
【0012】
次に、特許文献2に開示されている、片引出しスライドレールを4本組み合せ、引出し方向を変更可能な両引き出し機構は、一方向に移動可能な第1スライドレールと、前記一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向い合わせて固定することで、引出す方向により可動するスライドレールを分けた構成となっている。
【0013】
引き出す方向はロック機構を構成するロック受け金具とプッシュラッチ、引き出す方向の反対側の飛び出しを防止するストッパ金具の固定位置で決められ、この金具を前後に付け替えることで引出し方向を変更できる構造である。つまり3部品を前後に付け替えることで実装機器を降ろすことなく引出し方向の変更が可能となっている。
【0014】
特許文献2に開示されている引出し機構では、引出し方向は常に片側のみであり、また引出し方向を変更するには一旦部品を前後で付け替える必要がある。
つまり、片側引出しスライドレールを使った引出し機構は一般流通品のスライドレールを使うと、引出し機構を安価に出来る反面、引出し方向が片側のみとなる。また両引出しスライドレールは、保守方向が容易に変更可能である反面、引出し機構が高価となり、多くの設置エリアを必要とする。
【0015】
また片側引出しスライドレールを4本使った引出し機構は、容易に引出し方向を変更でき、安価な構成となるが、引出す方向は常に片側のみであり、引出し方向の変更には金具の付け替えが生じる。
【0016】
本発明の目的は、特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、装置内部に収納される実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、装置の筐体は、前後それぞれに実装機器の収納時のロック機構を有し、ロック機構は背中合わせの向きに配置され、かつ左右にずらした位置関係で前後に設けられるように構成される。
【0018】
また、一例では、実装機器の土台としてのメカ台と、装置筐体に固定されたメカベースとを有し、第1スライドレールをメカ台に取付け、第2スライドレールをメカベースに取付け、かつロック機構はロック受け金具とロックを解除するプッシュラッチを有し、プッシュラッチはメカ台に固定され、メカベースにストッパ金具を固定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特殊な両引出しスライドレールを使用しない安価な前後両引出し機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1、図4〜12を用いて説明する。
図1は実装機器を前方に引出した状態の斜視図、図4は実装機器収納状態の断面図、図5は実装機器収納状態の平面図、図6は実装機器前面引出し状態の平面図、図7実装機器後面引出し状態の平面図、図8はスライドレールの組立て詳細図、図9はスライドレール収納状態の詳細図、図10はスライドレール前引出し状態の詳細図、図11はスライドレール後引出し状態の詳細図、図12は実装機器を前方へ引出し時の断面図を示す。
【0021】
最初に全体の構成を図1、4、5を用いて説明する。
引出し機構を搭載する筐体ベース4は、メカベース5固定用のネジ穴を設けておき、引出し機構の主要部品を搭載するメカベース5側にも本穴に対応する穴を設け、筐体ベース4とメカベースをネジ固定する。この説明では、ネジ、ネジ穴を設けるとの文言を使用するが、これらは或る部材と部材とをネジ固定するためのものである。このネジ固定以外にリベット等で固定する例もある。これらを単に固定する(又は固定手段)とも言う。
【0022】
またメカベース5は前側の中央よりやや右側にネジ穴5aを設ける。また後側は前側よりさらに右端にネジ穴5bを設ける。つまりネジ穴5a、5bの左右方向にずれた位置関係となる。この左右方向のずらす量とその理由については後述する。またネジ位置を中央より右側とする理由は、左側を装置の制御部と実装機器を繋ぐ電源及び信号のケーブル配線エリアとして利用するためである。尚、この右側のネジエリアと左側のケーブル配線エリアは反対でも問題ない。
【0023】
また、ネジ穴5a、5bそれぞれは、ロック受け金具11を前後で同じ形状とするため、同一寸法の同一形状となっている。そしてこのネジ穴5a、5bにロック受け金具11を固定する。この時、プッシュラッチ3bとかん合させる突起部の面が前後でそれぞれ外側となるようにロック受け金具11を固定する。これはプッシュラッチ3bを取付けている取手3が前後で同じ物を使用するためである。メカベース5の左右はスライドレール取付け用の曲げとネジ穴を設ける。
【0024】
スライドレールは3メンバーのスチール製の片側引出しレールを片側2本で計4本使用する。レール単体では片側6本で計12本使用するが、スライドレールは1本のレールではスライド機能を有せず、複数組み合わさって始めてスライド機能の役割を果たすため、スライドレールとしては4本である。
【0025】
ここで各スライドレールについて説明すると、図4に示すように、実装機器1は、筐体ベース4に固定されたメカベース5に対してスライド移動される形態をとる。そして実装機器1を搭載するメカ台2側に取付けられたスライドレールを内側スライドレール7とし、メカベース5側に取付けられたスライドレールを外側スライドレール8として説明する。尚、内側スライドレール7、外側スライドレール8を構成する各レール間はコロ又はボールを介してスムーズな移動が可能になっている。
【0026】
またスライド方向とは逆の方向にスライドしてレールが抜け落ちない様にアウターチャンネルとインターチャンネルそれぞれに抜け防止のストッパが付いている。内側スライドレール7では図8に示すアウターチャンネル後方ストッパ7d、インターチャンネル後方ストッパ7eがそれに当り、外側スライドレール8にも同様のストッパが付いている(図示無し)。さらにスライド方向側には一定以上引出されない様に引き出し側のストッパが付いている。外側スライドレール8ではアウターチャンネル前方ストッパ8f、インターチャンネル前方ストッパ8gがそれに当たり、内側スライドレール7にも同様のストッパが付いている(図示無し)。
【0027】
次に、内側スライドレール7と外側スライドレール8との取り付け構造について説明する。
図8に示す様に、スライドレール7と8とは向い合わせた構造となっている。そして夫々のレールのメンバである、インナーチャンネル同士7cと8cをネジ固定する。この時、引出し方向を同一方向になる様に合わせる。そして外側スライドレール8を、インナーチャンネル8cが前方に引出される方向にして、アウターチャンネル8aをメカベース5の側面曲げ部(図11参照)にネジ固定する。ここで、片側引出しスライドレールは引出される方向が決まっており、図8ではインナーチャンネル8cは図の手前には引出すことはできるが、図の奥側にはアウターチャンネル8aに設けられたストッパにより引出せない構造となっている。そのため、片側引出しスライドレールと称する。
【0028】
実装機器1を載せるメカ台2はコの字形とし(図4参照)、左右のフランジ部にはネジ穴を設けておき、内側スライドレール7のアウターチャンネル7aにネジ固定する。さらに上面には実装機器固定、実装機器側ケーブル金具の取付けのためのネジ穴を設け、実装機器側ケーブル金具取付け付近にはケーブル用の角穴を設ける。前後両端は取手3を付けるためのネジ穴を設ける。
【0029】
図4〜6に示すように、装置の制御部と実装機器1を繋ぐ電源及び信号用のケーブルには、可動部の保護としてケーブルベア6にて覆っている。このケーブルベア6はモールド製であり、連結の為の軸と穴が設けてある。連結すると、隣接するベア同士を一定角度まで曲げることができ、複数個組み合わせると一定曲げRを保ったまま可動し、ケーブル可動時の曲げRを一定以上に保つ機能を有する。これをメカメーズ5上にU字形に置き、一方は筐体側ケーブル金具9を介してメカベース5に固定し、もう一方は実装機器側ケーブル金具10を介してメカ台2下部に固定する。そして本ケーブルベア内にケーブルを通し、装置制御部と実装機器を電気的に接続する。
【0030】
図1に示すように、取手3は実装機器1を引出す時の手掛け3aを有している。そしてこの取手3の前面には係員等が押下するボタン部としてプッシュラッチ3bが設置されている。実装機器1をメカベース5に収納する時は、ロック機構の働きも行なうプッシュラッチ3bの下面に位置するラッチ部が、ロック受け金具11に引っかかるように取付けられている。図1の様に、前後それぞれ取手金具をメカ台2の前後にネジ固定する。
【0031】
図5に図示された実装機器1の収納時のロック受けとなるロック受け金具11は、プッシュラッチ3bのラッチ部を受ける前方部の曲げを有し、さら曲げ部の後方にネジ固定用の穴を有する。装置前方は本部品であるロック受け金具11をメカベースネジ穴5a(図1参照)にネジ固定し、装置後方はメカベースネジ穴5bにネジ固定する。またロック受け金具11のネジ用の穴は長穴とした方が望ましい。実装機器1の収納状態で前後に位置調整が必要な時など、ロック受け金具11を前後にずらして調整できるためである。
【0032】
以下、実装機器1を装置筐体にロックする動作と、装置筐体から引き出す動作とを説明する。
実装機器1を装置筐体に収納した状態を、図5を用いて説明する。本状態ではスライドレール7と8は完全に収納された状態となっている。この時、前方の取手3のラッチ、つまり上述したプッシュラッチ3bにリンクされたラッチ部はロック受け金具11に引掛けられた状態となっており前方には出てこない構造となっている。
また反対側についても同様に、後方のラッチがロック受け金具11に引掛けられた状態となっており後方へも出てこない構造となっている。つまり本状態では実装機器1は前後どちらにも可動しない。
【0033】
次に実装機器を前方に引出す動作を、図6を用いて説明する。実装機器1を引出すには、まず取手3のプッシュラッチ3bのボタン部を押し、ロック受け金具11からのロックを外す。この状態で取手3を持ち前方に引出すと、外側スライドレール8がスライドし、実装機器1がメカ台2と共に前方に引出される。この時、ケーブルベア6はメカ台2の移動に追従し前方に移動する。つまり外側スライドレール8にてメカ台2をスライドさせ、ケーブルベア6にてケーブルを屈曲曲げRを一定に保ちながら可動させる。スライドレールの可動については別途詳細に説明する。
【0034】
次に引出した実装機器を収納する動作を図12を用いて説明する。実装機器を収納していくと、前側のプッシュラッチ3bのラッチ傾斜部がロック受け金具11と当り、ラッチがプッシュラッチ内部に収納され、ロック受け金具11を乗り越える。そして完全に乗り越えると再び飛び出しロック状態となる。また後側プッシュラッチ3bはラッチ部のフラット面がロック受け金具11と当るため、ラッチが収納されることなくストッパとして機能する。つまり本プッシュラッチ3bとロック受け金具11で構成されるロック機構は、前後共ロックとストッパの両方の機能を有している。反対に実装機器を後方に引出すと図7に示す様に、前述と反対にロック機構が動作する。
【0035】
次にロック受け金具を左右方向でずらした理由について、図12を用いて説明する。
仮にロック受け金具を左右方向でずらさず一直線上の状態で、実装機器を前方に引き出すと仮定する。この場合、引き出すことに関しては後部プッシュラッチ3bが前方のロック受け金具11を乗り越えるため問題なく動作するが、完全に引き出された状態から収納しようとすると、後部のプッシュラッチ3bのラッチ部のフラット面が、ロック受け金具と当たるため、収納できない。つまり、ロック受け金具をずらさずに同一線上とすると実装機器の引き出し量は、後部のプッシュラッチが前側のロック受け金具を越えない距離に制限されることになる。従って実装機器の引き出し量が制限され、左右方向でずらした構造よりも保守性が悪くなることになる。
【0036】
次にスライドレールの引出し動作を、図9〜11を用いて詳細に説明する。
図9に示す様に、収納状態では外側、内側スライドレール7,8共に、アウター・インター・インナーチャンネルが同一面となるような完全収納状態となっている。
【0037】
図10に示す様にメカ台2を前方に引出すと、まずメカ台2に固定した内側スライドレール7のアウターチャンネル7aがスライドする。このときインターチャンネル7bはアウターチャンネル後方ストッパ7dがレールに当たるため、スライドせずアウターチャンネルと一緒に前方に移動する。同じくインナーチャンネル7cについてもインターチャンネル後方ストッパ7eがレールに当たるためスライドせず、アウター、インターと共に前方に移動する。つまり内側スライドレール7は引出し方向が逆のためスライドせず収納状態のまま前方に移動する。つぎに外側スライドレール8について説明する。外側スライドレール8のインナーチャンネル8cは内側スライドレール7のインネーチャンネル7cに固定されているため、内側スライドレール7と一緒になってスライドする。そしてインナーチャンネル8cが完全に引出されるとインターチャンネル前側ストッパに当り、つづいてインターチャンネル8bが引出される、同じようにインターチャンネルが完全に引出されるとインターチャンネル8bがアウターチャンネル前側ストッパに当たり、スライドが終了する。
【0038】
次に後方引出しの場合を説明する。メカ台2を後方に引出すと、前方引出しとは反対に内側スライドレール7のアウター7a、インター7bがレールの前方ストッパに当たり、順に後方にスライドする。そして最後にインナーチャンネル7cが後方に引かれる。この時外側スライドレール8のレールは後方ストッパ当たるためインター8b、インナー8c共にスライドしない、そのため外側スライドレール8のインナーチャンネル8cとネジ固定された内側スライドレール7のインナーチャンネル7cもスライドすることが出来ず、内側スライドレールのスライドが終了する。つまり前引出しでは外側スライドレール8が、後方引出しでは内側スライドレール7が可動することで前後両引出しを実現する構造となっている。これら内側、外側スライドレールを第1スライドレール、2スライドレールと言うこともある。
【0039】
また、前引出しと後引出しで可動するスライドレールが異なるため、内側と外側の異なるスライド量のスライドレール組み合わせることで、前と後ろで異なる引出し量にすることも容易に可能である。
【0040】
以上の構造により、本機構を採用すると、特注の高価な両引出しスライドレールを使用すること無く、安価な片側引出しレールにて両引出しが実現でき、尚且つ前後で引出し量を変えることの出来る前後両引出し機構を提供することが出来る。
【0041】
なお、上記実施例による両引出し機構は、自動発行装置等の電子機器の引き出し機構に適用されるだけでなく、机やキャビネットの引出し、可動テーブル等、前後方向に可動する機構にも適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】一実施例における実装機器を前方に引出した状態の斜視図、
【図2】オープンスペースに設置された装置の例を示す斜視図、
【図3】ブースに設置された装置の例を示す斜視図、
【図4】実装機器収納状態の断面図、
【図5】実装機器収納状態の平面図、
【図6】実装機器前面引出し状態の平面図、
【図7】実装機器後面引出し状態の平面図、
【図8】スライドレールの組立て詳細図、
【図9】スライドレール収納状態の詳細図、
【図10】スライドレール前引出し状態の詳細図、
【図11】スライドレール後引出し状態の詳細図、
【図12】実装機器を前方へ出した状態の断面図。
【符号の説明】
【0043】
1:実装機器 2:メカ台 3:取手 3a:手掛け
3b:プッシュラッチ 4:筐体ベース 5:メカベース 6:ケーブルベア 7:内側スライドレール 7a:アウターチャンネル 7b:インターチャンネル
7c:インナーチャンネル 8:外側スライドレール 8a:アウターチャンネル 8b:インターチャンネル 8c:インナーチャンネル 9:筐体側ケーブル金具 10:実装機器側ケーブル金具 11:ロック受け金具 12:壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部に収納される実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、該一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、
該装置の筐体は、前後それぞれに該実装機器の収納時のロック機構を有し、該ロック機構は背中合わせの向きに配置され、かつ左右にずらした位置関係で前後に設けられることを特徴とする前後両引出し機構。
【請求項2】
該実装機器の土台としてのメカ台と、装置筐体に固定されたメカベースとを有し、該第1スライドレールを該メカ台に取付け、該第2スライドレールを該メカベースに取付け、かつ該ロック機構はロック受け金具とロックを解除するプッシュラッチを有し、該プッシュラッチは該メカ台に固定され、該メカベースにストッパ金具を固定することを特徴とする請求項1記載の前後両引出し機構。
【請求項1】
装置内部に収納される実装機器を装置外部へ引出す機構において、一方向に移動可能な第1スライドレールと、該一方向とは反対方向に移動可能な第2スライドレールとを互いに向かい合わせて固定し、
該装置の筐体は、前後それぞれに該実装機器の収納時のロック機構を有し、該ロック機構は背中合わせの向きに配置され、かつ左右にずらした位置関係で前後に設けられることを特徴とする前後両引出し機構。
【請求項2】
該実装機器の土台としてのメカ台と、装置筐体に固定されたメカベースとを有し、該第1スライドレールを該メカ台に取付け、該第2スライドレールを該メカベースに取付け、かつ該ロック機構はロック受け金具とロックを解除するプッシュラッチを有し、該プッシュラッチは該メカ台に固定され、該メカベースにストッパ金具を固定することを特徴とする請求項1記載の前後両引出し機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−204333(P2006−204333A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16391(P2005−16391)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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