説明

前方視画像データを収集するデバイスからの表示用画像データのためのレンダリングのための装置

【課題】前方視画像データを収集するデバイスからの表示画像データのためのレンダリングのための装置を提供する。
【解決手段】装置は、画像データ収集デバイスにより収集された組織の前方視円錐状セクションからの表示画像データのためのレンダリングを行うものであり、画像データを受信するように構成されたデータ入力ユニットと、表示されるときに3次元の外観を与えるように、投影された3次元幾何モデル上に画像データをラスタ化してラスタ化画像を生成するように構成された画像データ処理ユニットとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2006年5月22日に出願された米国出願11/437687の出願日の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、表示前方視画像データ(display forward-looking image data)のためのレンダリングのための装置および方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
インターベンショナル医学の分野では、組織の画像を作成するために、カテーテル、腹腔鏡および内視鏡がしばしば使用される。これらの画像は、例えば、病気を診断および処置するために使用することができる。更に、場合によっては、医療状態の治療の処置中に進行をガイドおよび/または監視するために、医療画像を採用することが有利である場合がある。超音波イメージングおよび光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)は、そのような応用に十分適したイメージング技術である。例えば、これらは、例えば、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡の端部から、断層画像をリアルタイムで生成することができる。これらのモダリティからの画像は、平面の断層フォーマットで表示される傾向がある。例えば、機械的にあるいは手動で操舵されるデバイスを使用し、トランスデューサを回転させると、これらの画像は通常、円形画像として表示される。大部分の医療超音波およびOCT画像は、トランスデューサの機械的な回転により走査されるが、これらはまた、カテーテルまたは他のデバイスの端部からの超音波または光ビームを操向(ステアリング)することにより、電子的に走査されることも可能である。新しいデバイスは、現在、手動で回転される血管内超音波(IVUS)イメージングを組み込む。
【0004】
治療をガイドおよび監視するために、例えば、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡を、血管または体腔という制限の中で使用するとき、しばしばカテーテル、内視鏡または腹腔鏡の先端の前方にあるものを視覚化したいと思うであろう。これは特に、治療デバイスが、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡の最遠位端に位置するとき、当てはまる。前方視覚化はまた、生検標本を特定の組織から低侵襲の方法で収集することを望むとき、有益であり得る。機械的にステアリングされる超音波およびOCTデバイスは、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡の軸に実質的に垂直である画像の作成に優れている。しかしながら、治療をガイドする目的では、幾つかの応用例では、例えば、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡の先端より遠位にある組織を示す円錐状の前方視表面を、トランスデューサまたは光ファイバにスイープさせることが好ましい。
【0005】
インターベンショナル医学の分野は、低侵襲的の技術を病気の処置に適用するために生じた。診断および治療ガイダンスのツールについて、心臓血管インターベンションを行う者は、蛍光透視システムを有し、これは、放射線不透性造影剤を血流に注入することにより血液プール(blood pool)をイメージングし、次いで、リアルタイムのX線イメージング技術を使用して、その造影剤が血管を通過するときにそれを見ることを可能にした。この技術の主な制限は、フルオロスコープが実際には血管組織をイメージングせず、むしろ、血管腔内の血液プールをイメージングすることであった。血液プールだけでなく、血管壁の画像を得る試みにおいて、超音波イメージング・トランスデューサがカテーテルの遠位端に取り付けられ、動脈内に配置された。これらのトランスデューサは典型的には、直径約1mmのカテーテルに取り付けられた。超音波トランスデューサは典型的には、約65mm〜75mmの開口を有した。この手法は、確かに、動脈壁を含む組織の視覚化を可能にした。
【0006】
光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5321501号に記載されており、これは超音波イメージングに似ていているが、音波からのエコーの代わりに、反射された赤外光を使用して、画像を作成する。超音波技術のように、これは、直径約1mmのカテーテルに組み込まれることが可能であり、血管腔に加えて血管壁の画像を作成することができる。
【0007】
幾つかの機械的にステアリングされるIVUSおよびカテーテルに基づいたOCTイメージング・システムは、カテーテルの軸に対する垂直から数度外れた画像を作成するが、このようにして、これらのシステムは、カテーテルのシースからの反射を最小限にするように構築される。反射の大きさは、伝播の方向に対して厳密に垂直なカテーテル・シースに遭遇するとき、最大である。典型的には、これらのカテーテルは、カテーテル軸に対する垂直から約+5度から−5度までイメージングする。これらの画像はほぼ平面であるので、これらは2次元画像としてビデオ・モニタに表示される。しかしながら、カテーテルの先端より遠位の組織を見るためには、垂直からより大きい角度が採用されなければならない。これは、トランスデューサまたは光ファイバの前でスイープされる円錐状前方視表面を生じる。米国特許出願11/053141は、参照により本明細書に組み込まれるが、これは、このような画像を、画像データの色相、彩度および強度を使用して、非平面の画像の印象を与えるように表示するための幾つかの方法を教示する。
【0008】
従来技術のイメージング・システムの優れたレビューは、Bomその他による「Early and Recent Intraluminal Ultrasound Devices」,International Journal of Cardiac Imaging,Vol.4 1989年,79〜88ページ(以下、「Bom論文」)で見ることができ、これを参照により本明細書に組み込まれる。Bom論文は、長年試行されてきた腔内画像作成のための異なる手法を論じる。IVUSイメージングに関しては、特に、多数の特許が存在する。例えば、参照により本明細書に組み込まれるYockの米国特許第4794931号は、血管内超音波イメージング・デバイスと、イメージングおよび治療の組み合わせデバイスとを共に教示し、かつ、治療をガイドするためのその使用を教示する。教示されたカテーテルは、実際には平面であり、円形切断エレメントを用いてのアテローム性動脈硬化組織の除去をガイドする助けとなるように意図される画像を作成する。この特許の継続出願は、治療ガイダンスの他の形態を包含する。
【0009】
市販のIVUS製品は、今日、カテーテルの縦軸にほぼ垂直である2次元画像を作成する。米国特許第5361768号は、参照により本明細書に組み込まれ、これにおいて論じられるようなモータ付きの機械的なプルバック・スレッド(pullback sled)を追加して、カテーテルは、血管から移動される(引き出される)際に、これらの平面画像を収集することができる。カテーテルのプルバックはまた、手で行われる場合もある。これは事実上、3次元空間のスパイラル・サンプリングになり、これは、次いで様々な方法で表示されることが可能である。データが収集された後、3次元ボリュームを、縦軸に沿って、しばしば縦モード(Lモード)画像と称されるものへと再区切りすることができ、この画像は単に血管の縦のスライスである。しかしながら、これらの3次元IVUS画像の主要目的は、アテローム性動脈硬化プラークの合計組織容量を測定することである。イメージング・データの、様々な組織およびプラーク成分へのセグメンテーション(区分)は現在、自動的にコンピュータ・アルゴリズムにより行うことができ、それによりオペレータを、様々な組織成分の境界をトレースする退屈な仕事から救うことができ、これについては「Preintervention Lesion Remodeling Affects Operative Mechanisms of Balloon Optimized Directional Coronary Atherectomy Procedures:A Volumetric Study With Three Dimensional Intravascular Ultrasound」、Heart、2000年、83、192〜197において論じられており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0010】
しかしながら、幾つかの応用例では、カテーテル先端の前あるいは遠位の組織を見ることが有利である。2次元前方視IVUSイメージングは、何人かの著者により文書化されている。参照により本明細書に組み込まれるEvansその他による「Arterial Imaging with a New Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Catheter,I,Initial Studies」、Circulation、vol.89、No.2、712〜717ページ,1994年2月は、機械的に揺動される(wobbled)トランスデューサが、前方視の断層の2次元画像をスイープし、その2次元画像は、超音波業界において一般的な走査コンバージョン技術を使用して表示される。
【0011】
参照により本明細書に組み込まれる、Ngにより書かれた「Arterial Imaging With a New Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Catheter,II Three−Dimensional Reconstruction and Display of Data」という名称の手引書は、画像情報の表示を扱う。前方視トランスデューサを使用し、これをカテーテル軸上で回転させることにより、完全な3次元円錐状データ・セットが得られる。このデータ・セットから、Cスキャン(トランスデューサ面に平行な2次元断面)または血管断面画像が次いで再構築される。手動で血管壁の境界をトレースし、空間的に成分2次元画像をオリエント(配向)した後、血管の3次元表面透視図をレンダリングした。
【0012】
参照により本明細書に組み込まれる「Three−Dimensional Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Imaging of Human in Vitro」という名称の、Gatzoulisその他による別の論文は、カテーテルの端部における類似の機械的に揺動されるトランスデューサを記載するが、これは、両方の完全な3次元レンダリングされたボリュームにおけるセクション、Bスキャン(トランスデューサの面に垂直な2次元断面)・フォーマット・セクションおよびCスキャン・フォーマット・セクション、を表示するために後処理ソフトウェアを使用する。
【0013】
更に、参照により本明細書に組み込まれるLiangその他の米国特許第5651366号は、血管内カテーテルの先端より遠位の前方視画像を作成するためのデバイスの特許を取得した。病気の診断だけでなく、治療のガイダンスも想定される。Liangのカテーテルは、カテーテルの遠位先端においてミラーを採用し、カテーテルは、相対運動するトランスデューサからの超音波ビームをミラーへ反射する。指定された形状(ジオメトリ)により、ほぼ扇形のフォーマットが、カテーテルの前にある組織をイメージングするために作成される。
【0014】
参照により本明細書に組み込まれる1991年の「Investigation of a Forward−Looking IVUS Imaging Transducer」という名称のLeeおよびBenekeserによる論文には、前方視血管内イメージング・トランスデューサの概念が記載されている。この場合、伝えられた音が円錐状のミラーに反射されて、カテーテルの前で円錐状走査パターンが作成される。どのようにして3次元画像を正確に表示するべきかについての考察は、この原稿には含まれていない。推定上、円錐状セクションは従来のIVUS2次元画像として表示されるであろう。
【0015】
参照により本明細書に組み込まれるSmithその他の米国特許第6066096号は、診断および治療デバイスを共に組み込むことができる、カテーテルの端部における電子的にステアリングされる2次元フェイズドアレー・トランスデューサを教示する。このトランスデューサは、一実施形態では、前方視イメージング・システムである。この特許は、視野内の任意の平面を提示するためにCスキャン表示およびBスキャン表示を採用する従来技術を引用する。
【0016】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6457365号および第6780157号は、側方視および前方視の組み合わせのカテーテルに基づいたイメージング・システムを教示する。これらの特許は、前方視3次元画像データを表示するための2つの技術、即ち、BスキャンおよびCスキャンを提案する。
【0017】
光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)は超音波イメージングに似ているが、音波の代わりに光波を使用して画像を作成する。光の速度は音の速度よりはるかに速いので、単純な電子ゲーティング技術は、様々な深度で組織から出てくる反射を分離するのに十分ではない。その代わりに、干渉計が使用されるが、信号処理の残りの部分は超音波イメージングにおけるものとほとんど同じである。OCTおよびIVUSは共にカテーテルの遠位先端からの画像を提供することができ、共にインターベンショナル治療手順をガイドすることができる。血管内超音波イメージングのための表示オプションはすべて、当業者により容易に血管内OCTイメージングに適用可能である。
【0018】
医療および非医療画像の両方の3次元レンダリングは一般的である。3次元画像レンダリングは、画像情報のインテグリティ、強度および幾何学的精度を保ちながら、人間の理解に適したように、収集された画像データを変換するプロセスである。
【0019】
医療イメージングでは、表示は2つの大まかなカテゴリに分かれる傾向がある。第1のものは表面レンダリング技術であり、ここでは、器官表面または組織表面が画像データから検出され、組織自体よりむしろ組織の表面が表示される。これらの表面レンダリングでは、3次元透視図の作成に加えて、3次元オブジェクトを観察中であるという認識を高めるために、ライティング(明るくする)、シェーディング(陰をつける)および/またはテクスチャ(質感)をしばしば追加する。
【0020】
第2の技術は、単に何れかの2次元スライスを3次元ボリュームから選択し、その画像平面をモニタに表示することを含む。超音波イメージングの場合、これらの2次元平面は、音波が移動した平面にある場合はBスキャンと呼ばれ、あるいは、音波が最初に移動した平面に垂直である場合はCスキャンと呼ばれる。他の医療イメージング・モダリティでは、これらは単に、カットされた平面または再サンプルされた平面と呼ばれる。
【0021】
観察者が3次元オブジェクトを、オブジェクト内部の観点から見ることができる代替的な3次元表示技術は、Williamsその他の米国特許第5606454号において教示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。この手法は、表示されるべき構造が実際に空洞である腔内イメージングにとって、特定の魅力があり得る。
【0022】
上記の参考文献は、追加または代替の詳細、特徴および/または技術背景の適切な教示のために適切であるところで、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
米国特許出願11/053141号
米国特許第4794931号
米国特許第5361768号
米国特許第5651366号
米国特許第6066096号
米国特許第6457365号
米国特許第第6780157号
米国特許第5606454号
米国特許出願11/261635号
【非特許文献】
【0024】
Bomその他、「Early and Recent Intraluminal Ultrasound Devices」,International Journal of Cardiac Imaging,Vol.4 1989年,79〜88ページ
Heart、「Preintervention Lesion Remodeling Affects Operative Mechanisms of Balloon Optimized Directional Coronary Atherectomy Procedures:A Volumetric Study With Three Dimensional Intravascular Ultrasound」、2000年、83、192〜197
Evansその他、「Arterial Imaging with a New Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Catheter,I,Initial Studies」、Circulation、vol.89、No.2、712〜717ページ,1994年2月
Ng、「Arterial Imaging With a New Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Catheter,II Three−Dimensional Reconstruction and Display of Data」
Gatzoulisその他、「Three−Dimensional Forward−Viewing Intravascular Ultrasound Imaging of Human in Vitro」
LeeおよびBenekeser、「Investigation of a Forward−Looking IVUS Imaging Transducer」、1991年
Foleyその他、「Computer Graphic Principles and Practice」、第2版、Addison−Wesley Publishing Company、1990年
E.Catmull、「A Subdivision Algorithm for Computer Display of Curved Surfaces」、PhD Thesis,Report UTEC−CSc−74−133、Computer Science Department、University of Utah、Salt Lake City、Utah、1974年12月
「Computer Display of Curved Surfaces」、Proc 1EEE、Conference on Computer Graphics、Pattern Recognition,and Data Structures、1975年5月
J.F.BlinnおよびM.E.Newell、「Texture and Reflection in Computer Generated Images」、Communications of the ACM、19(10)、1976年10月,542〜547ページ
P.S.Heckbert、「Survey of Texture Mapping」、1EEE Computer Graphics and Applications、6(11)、1986年11月,56〜57ページ
David A.Rogers、「Procedural Elements for Computer Graphics」、McGraw−Hill Book Company、1985年
Mark Feldman、「The PC Game Programminer’s Encyclopedia:Texture Mapping」,http://www.geocities.com/SiliconValley/2151/tmap.html
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、少なくとも上記の問題および/または欠点を解決すること、および、少なくとも後述の利点を提供することである。
【0026】
本発明は、表示前方視画像データのためのレンダリングのための装置および方法を対象とする。
【0027】
本発明の追加の利点、目的および特徴は、一部分においては、以下に続く明細書において述べられ、一部分においては、以下の検討において当業者には明らかとなり、あるいは、本発明の実施から知ることができる。本発明の目的および利点は、特許請求の範囲において特に指摘されたように、理解および達成することができる。
【0028】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(1または複数)を有する本特許または特許出願公報の複写は、要求に応じて、および必要な手数料を支払うことにより、特許庁により提供される。
【0029】
本発明を、以下の図面を参照して詳細に説明するが、図面において同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるIVUSイメージング・システムの概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態によるレンダリング装置のブロック図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態によるレンダリング方法の流れ図である。
【図3】図3は、前方走査円錐の描写を伴う、カテーテルおよびトランスデューサ・アセンブリの斜視図である。
【図4A】図4Aは、例示的な非章動の円錐状多面体の斜平行投影である。
【図4B】図4Bは、別の例示的な非章動の円錐状多面体の斜平行投影である。
【図5】図5は、図4Aの円錐状多面体の例示的な章動されたバージョンの透視投影を示す。
【図6】図6は、本発明による例示的なデータ・テーブルを示す。
【図7】図7の7A〜7Fは、本発明の実施形態による装置および方法を利用した例示的な表示から取られた静止フレームである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、円錐状の前方視画像を2次元ビデオ・モニタ上に、オペレータに情報の3次元性を伝えるように表示するためのレンダリングを対象とする。本発明は、カテーテルまたは他に基づいたインターベンションをガイドするために、例えば血管の前方視セクションの視覚化を可能にする、新規のイメージング様式を提供する。本発明は、動脈穿孔を修復するために必要な緊急のバイパス手術の数を減らすことができるだけでなく、より重要なことには、冠動脈損傷の多くに対しての低侵襲の処置を容易にし、それにより、はるかに費用のかかる冠動脈バイパス手術を回避することができる。
【0032】
更に、本発明のある実施形態は、提示されている情報を観察者が直ちに吸収し、より効率的および効果的な診断および治療決定を行うことができるように、円錐状の前方視画像データを幾何学的に正確に表示する装置および方法を対象とする。この表示は、Bスキャン・フォーマットでも、Cスキャン・フォーマットでも、3次元表面レンダリングでもない。画像データは、3次元幾何モデル(一実施形態においては円錐)の表面上にあるかのように表示される。画像が再走査されると、3次元幾何モデルの表面(一実施形態では円錐状表面)の正確な幾何学的位置において、新しい画像データが以前の画像データに取って代わることができる。
【0033】
観察者による画像データの視覚化を向上させるために、章動運動が採用されてもよい。3次元幾何モデルが円錐である一実施形態では、章動運動は観察者に、その表示が実際には円錐表面であるという印象を与えるようになる。ライティングおよび/またはシェーディングもまた、3次元オブジェクトの印象を更に向上させるために使用されてもよい。この章動は、固定回転速度によるものであってもよく、あるいは、画像データが更新されるとき、章動角が例えば最新画像データと約180度位相がずれるように、画像デバイスの回転に適合させてもよい。別法として、新しい画像データは章動角と厳密に同相であってもよい。
【0034】
3次元幾何モデルが円錐である一実施形態では、円錐の軸と、画像表示に対して垂直な直線の間の角度が、円錐角に対して十分に小さくされて、円錐全体の章動が円錐の背面に対する観察者の視界を遮ることが防止される。これは、隠線除去アルゴリズムを組み込む計算的負担を回避する利点を有する。
【0035】
本発明の実施形態による装置および/または方法が、診断および/または治療ツールまたはデバイスの位置決めを支援するために使用される場合、そのツールまたはデバイスがアクティブとな場所を観察者に通知するために、代表マーキングが3次元幾何モデルの表面に重ね合わせられてもよい。
【0036】
更に、本発明のある実施形態は、画像データを3次元円錐状走査フォーマットで獲得する前方視腔内トランスデューサからの表示画像データのためのレンダリングのための方法および装置を対象とする。このデータはリアルタイムで表示されてもよく、画像の3次元円錐性への視覚的キュー(手がかり)を提供するために、デバイスの回転の軸に関して章動されてもよい。章動角(nutation angle)は、最新の入来データの角度に基づいて自動的に、あるいは、章動角の周期的な時間変動するスイープに基づいて自動的に、あるいは、例えばポインティング・デバイスからのユーザ入力に基づいて手動で、制御されることが可能である。
【0037】
円錐状走査フォーマットの3次元幾何モデルが構築され、次いで、回転、移動(translation)、スケーリングおよび投影を介して、2次元空間へ変換されてもよい。章動角が使用されて、複合回転シーケンスが作成されてもよく、これは、3次元円錐モデルに適用されてもよく、それにより円錐の縦軸が所望される方向に傾けられることになる。画像データは、変換されたモデルに従って走査コンバート(即ち、ラスタ化)され得る。結果として生じる走査コンバートされた画像は、3次元円錐状走査フォーマットの2次元表現である。
【0038】
画像が3次元であるという主要な視覚的キューは、変化させられる章動角であるが、追加のキュー(手がかり)が追加されてもよい。例えば、ライティング、シェーディングおよび/またはテクスチャが追加されて、円錐の表面の向きに関連する追加の情報が提供されてもよい。例えば、垂線が見る者の方向を向いた表面は、垂線が見る者から離れる表面よりも、多くの光を「反射」し、より明るく見えるようになる。
【0039】
加えて、本発明のある実施形態は、獲得された画像データの3次元円錐状走査フォーマットへの視覚的手がかりを提供するレンダリング技術を使用した、前方視腔内トランスデューサからの表示画像データのためのレンダリングのための方法および装置を含む。前方視トランスデューサは、例えば、カテーテル、内視鏡または腹腔鏡の前にあるものを視覚化することにおいて有用であり、これは、治療モダリティがそのようなデバイスの最遠位端に位置するとき、特に重要である。視覚的手がかりは、トランスデューサ回転の軸を自動的あるいは手動的に章動させて、画像の円錐状走査フォーマットが明らかであるようにすることを含み得るが、これに限定されるものではない。この方法および装置を使用して、このような画像データ・セットをレンダリングすることは、前方視トランスデューサからのデータが従来の平面走査コンバージョン・アルゴリズムによりレンダリングされるときに発生する幾何学的歪みを回避する。
【0040】
本発明は一般に医療デバイスの分野に関し、より詳細にはインターベンショナル医学の分野に関する。本発明は、画像におけるすべての点の3次元空間的方向の正確な描写を提供し、それにより、病気のより正確な診断および処置を可能にする。本発明を説明する目的で使用される1つの特定の応用例は、インターベンショナル心臓病学であるが、本発明は、画像データの視覚化においてユーザを支援するための、表示収集画像データのためのレンダリングが有用または有利となる何れの応用例に対して利用されてもよい。
【0041】
インターベンショナル心臓病学のためにしばしば選択されるイメージング・モダリティはIVUSであるが、その画像は、他の画像データ収集モダリティまたは技術と共に利用される場合がある。IVUSは周知の診断イメージング技術であるが、治療ガイダンス・ツールとしての機能も果たすことができる。例えば、血管形成術用バルーンの膨張またはステントの配置がリアルタイムで視覚化されて、臨床結果を改善することが可能である。他の治療技術およびデバイスもまた、治療が進行するにつれての治療を視覚化するためのオペレータの能力から、利益を得るようになる。場合によっては、治療行為がカテーテルの非常に遠位の先端で行われる。このような状況は、例えば、レーザ・アブレーション、高周波アブレーション、生検鉗子および生検針を使用するときに生じ得る。これらの治療および診断手順を最適にガイドするために、カテーテル先端より遠位にあり得る関連する組織の正確な描写を得ることは有益である。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態によるIVUSイメージング・システムの概略図である。システム1は、カテーテル10を含む。遠位端または先端28は、患者に挿入されるように適合され、患者の血管系を通じて、遠位端28を関心のある領域または部位まで進めるようにナビゲート可能に構成される。カテーテル10の遠位先端28は、超音波トランスデューサ(図示されない)を搬送する。更に、遠位端28はまた、血管または他の体腔の閉塞部分をアブレートするように適合されたアブレーション電極(図示されない)を搬送してもよい。カテーテル10の近位端は、患者の外部にとどまり、角度エンコーダ16に関連付けられることが可能であり、インターベンションを行う者または医師などのようなオペレータにより操作可能であるように設計される。
【0043】
システム1は更に、エレクトロニクス・モジュール18を含み、これは、システム1を動作するための信号を生成するため、および、結果として生じる超音波エコーからの信号を受信および処理するため、ならびに、アブレーション電極がシステムに含まれる場合には、RFアブレーション信号を生成するための、回路およびソフトウェアを含む。中央処理ユニット20は、受信された超音波信号から画像を構築し、これらの画像をモニタ21上に表示する。これらの画像はオンデマンドで生成されてもよく、また、オペレータによるカテーテル10の回転に応じてリフレッシュされてもよい。これらの画像は、所定の時間の後に、カテーテル10を回転させることにより画像をリフレッシュすることをオペレータに思い出させるように、薄くなるようにすることができる。中央処理ユニット20は、例えば、ラップトップまたはデスクトップ・コンピュータ、または専用の埋め込みプロセッサを備えてもよい。ケーブル22、24は、角度エンコーダ16とエレクトロニクス・モジュール18との間に接続される。一実施形態では、ケーブル22は、角度エンコーダ16により検知される増分角度情報を搬送し、ケーブル24は電力および接地を提供する。別のケーブルがカテーテル10からエレクトロニクス・モジュール18へ通り、超音波信号、および、アブレーション電極がシステムに含まれる場合はRFエネルギーを搬送してもよい。代替の構成(図示されない)では、カテーテル10からのトランスデューサおよびRFのケーブルは、角度エンコーダ16に組み込まれたコネクタに接続し、次いで、超音波信号の前置増幅の後、これらの信号を、角度エンコーダ16の第2のコネクタを通じて、エレクトロニクス・モジュール18に渡してもよい。この代替の構成は、カテーテル・ケーブルをより短くすること可能にし、潜在的には、環境騒音のピックアップを低減する。
【0044】
カテーテル10は、完全にオペレータの手動制御下で回転および操作されてもよい。同様に、アブレーション電極がシステム1に含まれる場合、アブレーション・パルスの開始は、カテーテルまたはカテーテルの回転を検知するためのシステムとの直接接続と無関係に、オペレータにより決定されてもよい。アブレーション・エネルギの応用の制御に関する「手動」についての言及は、オペレータがアブレーション電極の適した位置についての判断に基づいてアブレーション・シーケンスを開始する任意の構成を含むことを、理解されたい。よって、「手動」の動作は、オペレータがアブレーション・サイクルをトリガすることができる様々な構成、例えば、機械制御されたスイッチ、例えばフット・スイッチや、音声動作制御や、他の手段を含み、例えば、例えばペダル19の操作によりトリガすることができる。
【0045】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態によるレンダリング装置のブロック図、およびレンダリング方法の流れ図をそれぞれ開示する。図2Aに示されるように、レンダリング装置140はデータ入力ユニット180を含み、これにおいて、画像データは、図1に示されたIVUSシステムなどのようなイメージング・システムから受信あるいは入力される。データ入力ユニット180は、画像データを、図6に示されたものなどのようなデータ・テーブルに編成することができる。データ入力ユニット180はまた、ユーザにより設定された、あるいは、イメージング・システムにより設定および/または計算された、パラメータを受信することができる。このようなパラメータは、前方走査角度、ベースの半径、観察者距離、章動の大きさ、線(ライン)当たりのサンプル数、フレーム当たりの線の数を含み得る。
【0046】
レンダリング装置140は更に、3次元幾何モデル初期設定ユニット145、投影行列初期設定ユニット155、および章動行列初期設定ユニット175を含む。3次元幾何モデル初期設定ユニット145は、3次元幾何モデル、一実施形態では円錐状多面体、を出力するが、投影行列初期設定ユニット155および章動行列初期設定ユニット175は、投影行列および章動行列をそれぞれ出力する。本出願は、例えば3次元幾何モデルのような円錐状多面体の使用を開示するが、他の3次元幾何モデルが特定の応用例に基づいて適切であり得る。レンダリング装置140は更に、3次元幾何モデル軸章動ユニット150を含み、これは、3次元幾何モデル、一実施形態では円錐状多面体、および章動行列を、3次元幾何モデル初期設定ユニット145および章動行列初期設定ユニット175からそれぞれ受信し、章動された3次元幾何モデル、一実施形態では、章動された円錐状多面体、を出力する。章動された3次元幾何モデルは、3次元幾何モデル投影ユニット160へ送られ、3次元幾何モデル投影ユニット160はまた、投影行列を投影行列初期設定ユニット155から受信する。3次元幾何モデル投影ユニット160は、章動され投影された3次元幾何モデル、一実施形態では、章動され投影された円錐状多面体を、画像データ・ラスタライゼーション(ラスタ化)・ユニット165へ出力する。
【0047】
上述のように、システム1により収集された画像データは、データ入力ユニット180により受信され、図6に示されたものなどのような、走査線毎の角度および画像データを含むデータ・テーブルにおいて配置される。画像データは、画像データ・ラスタライゼーション・ユニット165へ、データ入力ユニット180により転送される。画像データは次いで、3次元幾何モデル投影ユニット160により出力された、章動され投影された3次元幾何モデル、一実施形態では、章動され投影された円錐状多面体上に、画像データ・ラスタライゼーション・ユニット165によりラスタ化される。データ入力ユニット180はまた、章動行列の計算において使用されるためのリーディング走査線角度を、章動行列初期設定ユニット175へ提供する。
【0048】
上述のように、図2Bは、本発明の一実施形態によるレンダリング方法のブロック図である。まず、ステップS202において、ユーザまたは、図1に示されたようなイメージング・システムにより入力された、前方走査角度、底面(ベース)の半径、観察者距離、章動の大きさ、線当たりのサンプル数、フレーム当たりの線の数などのようなパラメータおよび画像データが受信される。ステップS204において、画像データが、図6に示されたもののような、走査線毎の角度および画像データを含むデータ・テーブルにおいて、配置される。次いで、受信されたパラメータを使用して、3次元幾何モデル、投影行列、および章動行列が、ステップS204、S208およびS210で、それぞれ、初期設定される。ステップS204〜S210の順序は重要ではなく、従って、これらのステップの順序は変更されてもよい。次に、ステップS206において作成された3次元幾何モデル、一実施形態では円錐状多面体、および、ステップS210において初期設定された章動行列を使用して、3次元幾何モデル、一実施形態では円錐状多面体、の軸が章動されて、章動された3次元幾何モデル、一実施形態では章動された円錐状多面体が、ステップS212において作成される。ステップS214において、3次元幾何モデルが、ステップS208において初期設定された3次元幾何モデル投影行列を使用して投影される。ステップS216において、画像データが、章動され投影された3次元幾何モデル上にラスタ化される。図2Bの様々な処理ステップは更に詳細に以下で論じられる。
【0049】
図2Aのレンダリング装置140および図2Bのレンダリング方法は、本質的に、3次元座標ならびに画像データを処理するためのパイプラインである。図2Aを参照すると、3次元座標は、3次元幾何モデル初期設定ユニット145において発生し、続いて、3次元幾何モデル軸章動ユニット150および3次元幾何モデル投影ユニット160により、2次元座標に変換される。変換された座標は、次いで、画像データ・ラスタライゼーション・ユニット165へ送信され、これは、走査コンバージョンのために、画像データを、章動され投影された3次元幾何モデル上にラスタ化する。
【0050】
図2Aおよび図2Bに示された全体のパイプラインは、コンピュータ・グラフィックスの分野において実施されるような3次元レンダリング・パイプラインの変形形態である。同次座標の使用はこの分野において十分に確立され、本発明はこのような座標を使用する。本発明では、3次元座標は、ステップS212において、1に初期設定される第4の座標wを加算することにより「同次化」される。よって、3次元座標(x,y,z)は、同次座標(x,y,z,1)へと進められる。これらの同次座標は、ステップS214の終わりにおいて、形式(x,y,z,w)の座標が(x/w,y/w,z/w)へと再正規化されるように、3次元座標へ戻るように降格される。この降格または再正規化はまた、形式(x,y,z,w)の同次座標の、w=Kの面への投影と考えることもでき、ここでKは定数であり、しばしば1である。
【0051】
いわゆる「オブジェクト空間」から「画像空間」へのオブジェクトの変換は、オブジェクト空間座標に1または複数の変換行列を乗算することにより実施されるものであり、この1または複数の変換行列は、オブジェクトの回転、スケーリング、移動、観察者の位置および向き、および3次元から2次元への投影を表すものである。これらの変換行列は、効率を良くするために、単一の行列へと、前から乗算(premultiply)されてもよい。行列乗算は可換ではないので、座標を変換するための2つの異なる規則がある。数学およびコンピュータ・グラフィックスのテキストにおいて教示されるような従来の規則は、変換行列を列座標ベクトルにより後ろから乗算することである。他のコンバージョンは、変換行列を行座標ベクトルにより後から乗算(postmultiply)することである。これらの変換行列は、コンピュータ・グラフィックスの分野における当業者には知られるように、或る規則から他の規則へ向かうように転置されなければならない。本発明の実施形態は、変換行列を列座標ベクトルにより後から乗算する従来の規則を使用する。これは、以下の式(1)に例示される。
【0052】
【数1】

【0053】
この式において、
11からt44は、集合変換係数を構成するものであり、
x、yおよびzは、3次元空間における点の座標であり、
x’、y’、z’およびw’は、変換された同次座標である。
【0054】
画像空間における最終的な2次元座標を得るために、変換された座標は形式(x’/w’,y’/w’,z’/w’)へ再正規化され、次いで、z’/w’項が単に落とされて、形式(x’/w’,y’/w’)の2次元座標が生じる。これらは更におよび自明に、ビデオ・モニタ画素を扱うために適当な物理デバイス座標にマップされなければならないであろう。
【0055】
3次元オブジェクトの適した表現および操作は、右手または左手の座標系の何れかの選択および一貫した使用を必要とする。右手座標系では、(x,y,z)軸は、x軸の、y軸への回転(即ち、90°の時計回り)が、正のz方向に進む右ねじの回転に対応するように、配置される。ビデオ・モニタとの関連では、観察者がモニタを見ているとき、x軸は右側を指し、y軸は上方を指し、z軸は観察者の方へとモニタの「外」へ向かう。これは、3次元空間における大部分のオブジェクトのz座標が負であること、即ち、モニタの「内側」であることを意味する。この幾分扱いにくい状況のため、ソフトウェア・ライブラリなどのような3次元コンピュータ・グラフィックス・システムは、オブジェクトを正のz座標空間において配置するために、しばしば左手座標系を使用する。それにもかかわらず、数学およびコンピュータ・グラフィックスの教科書は、伝統的に、右手座標系を教示し、従って、本発明の実施形態の考察もまた右手座標系を使用する。コンピュータ・グラフィックスの分野における当業者は、これら2つの座標系の間での変換を容易にできるであろう。
【0056】
図2BのステップS206において、3次元幾何モデルは、走査表面、この例示的な実施形態では円錐状走査表面で作成される。一実施形態では、図4Aに示されるように、この円錐は、多面体を定義する一連の接続された平面の二等辺三角形表面により近似される。1つの特定の代替の実施形態では、円錐の先端は開いており、これは、走査線がイメージング・カテーテルの縦軸上で開始せず、むしろ、走査線がこの軸からの半径のオフセットされたところで開始するからである。図4Bは、例示的な開いた円錐状多面体を示す。この代替の実施形態では、開いた円錐は、多面体を定義する一連の接続された平面の正台形表面により近似される。追加の代替の実施形態では、この円錐は様々なタイプのパラメトリック双三次(parametric bicubic)表面パッチ(surface patches)により近似されることができ、これは、エルミート面、ベジエ面、およびBスプライン面を含むが、これらに限定されるものではない。この円錐はまた、陰関数で定義された二次面の群を含む、陰関数または陽関数の表面式(implicit or explicit surface equations)の何れかを使用することにより、厳密にモデリングされることができ得る。幾つかの表面表現の調査が、Foleyその他により、「Computer Graphic Principles and Practice」、第2版、Addison−Wesley Publishing Company、1990年、において提示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
三角形の数を、カテーテルの完全な回転、約360°、を含む走査線の数に等しくなるように選択することは、必要ではないが好都合である。この場合、各走査線は、多面体における2つの隣接する三角形の共有される縁部を表す。更に、2つの隣接する走査線は、一つの二等辺三角形の2つの等しい側部を表す。すべての走査線は多面体の先端から出て、底部に近付くにつれて分かれる。
【0058】
三角形の数が増すにつれて、多面体は真の円錐に近付くが、その装置を実現するために必要とされるより多くの計算およびストレージのリソースを費やす。反対に、多面体をより少数の三角形で定義すると、円錐に対してのより粗い近似となるが、必要とされる計算およびストレージのリソースは低減される。例示として、図3は、前方走査多面体の描写と、カテーテルおよびトランスデューサ・アセンブリとを示す。上述の図4Aは、1回転につき12本の走査線のときの対応する12個の二等辺三角形を有する多面体を示す。同様に、上述の図4Bは、1回転につき12本の走査線のときの対応する12個の正台形を有する多面体を示し、図4Bにおける多面体の先端の孔は、カテーテルおよびトランスデューサ・アセンブリに隣接する領域である。これらの走査線および三角形は、約30°の角度の増分の間隔がある。この実施例は例示的なものにすぎない。なぜなら、円錐を12個の二等辺三角形のみで近似すると、一般に近似が粗すぎて、現実的に見える円錐を生成できないからである。更に、カテーテルの1回転につき12本の走査線では、トランスデューサの固有の横の分解能に関して、画像を劇的にアンダーサンプルする(undersample、サンプルを少なくする)ことになり、結果として画像の質が悪いものとなる。本発明による方法および装置の一実施形態は、カテーテルの1回転につき400本の走査線という構成に対応する400個の二等辺三角形を使用する。これは、角度の増分の間隔が約0.9°の走査線および三角形を生じる。
【0059】
3次元座標を幾何モデルに割り当てるとき、そのサイズ、方向および位置が指定されなければならない。最初に、幾何モデルのサイズを定義するために、少数の変数を定義することが好都合である。
【0060】
ここでは、
Ψ=前方走査角度
R=円錐の底面での半径
H=円錐の高さ=Rtan(Ψ)
とする。
【0061】
画像が章動されていないときに、頂部(先端)が観察者の方に直接に向くように、幾何モデルをオリエントするために、その縦軸は、z軸と一致するように定義されることができ、モデルの先端は、底面上の点のz座標よりも大きい正のz座標を有するようにされる。
【0062】
幾何モデルを位置付けするために、原点は、幾何モデルの底面の中心、即ち、底面の平面におけるその縦軸に沿った点となるように定義される。この点は、3次元座標(x,y,z)=(0,0,0)を有する。章動がモデルの縦軸に対して対称となるようにするために、xおよびyの座標はゼロに等しくなければならないことに留意されたい。しかしながら、z座標は、章動の視覚上の効果を変化させるために再定義されてもよい。例えば、先端に原点を定義すると、画像が章動されるとき、先端が固定位置に残り、底面が旋回することになるが、原点を底面の中心に定義すると、先端が旋回し、底面の旋回は比較的少なくなる。モデルを表示のために2次元に投影するとき、原点のためのz座標の選択は、すべての可能な章動角のもとで画像を表示するために必要とされる画面領域の合計量に影響を与える。画面領域を最小化するこの座標の値は、幾何モデルのパラメータにより決まるが、原点が先端に定義されると画面領域は最小化されない。
【0063】
幾何モデルの底面の中心が(0,0,0)にあれば、先端の位置は(0,0,+H)である。観察者は、+Hよりも更に「後方」に位置付けられるようにして、幾何モデルの「内側」になることを回避しなければならないことに、留意されたい。これは、単なる−Hの移動と、それに加えての所望される何れかの追加の観察者距離とにより達成される。残りの座標は、多面体の底面の環状の周囲に沿って位置付けられる。
【0064】
ここでは、
L=カテーテルの完全な1回転当たりの走査線の数
A=1走査線当たりに対する角度=360°/L
n=走査線数を表すために使用される変数、0からL−1までの範囲
θ=走査線角度=n
とする。
【0065】
次いで、走査線nの端点(endpoint)の位置は、式(2)により以下のように提供されてる。
【0066】
Pn(x,y,z)=(R cos(θ),R sin(θ),0) 式(2)
【0067】
一実施例が以下に提供される。
R=1.0
Ψ=30°
H=1.0tan(30°)=0.577
円錐の先端P(x,y,z)=(0,0,0.577)
L=12
A=360°/12=30°
【0068】
走査線毎の端点は、以下の表(1)において以下で指定される。
【0069】
【表1】

【0070】
3次元多面体は、3次元オブジェクト空間から2次元画像空間へ投影されなければならない。本発明による方法および装置の一実施形態では、透視投影が使用されて、深度の手がかりが観察者に提供される。投影の中心が原点(0,0,0)にあり、投影面がz軸に対して垂直であり距離z=dにある、透視投影行列のための最も単純な形式は、以下の式(3)により提供され得る。
【0071】
【数2】

【0072】
d=−1では、この投影行列は次いで、以下のような例示的な式(4)に示されるように簡単になる。
【0073】
【数3】

【0074】
透視投影行列のための代替の形式は、z軸に垂直の投影面をz=0に置き、投影の中心を(0,0,−d)に置き、これは以下の式(5)により提供され得る。
【0075】
【数4】

【0076】
この形式は、投影の中心から投影面までの距離dが無限大になる傾向になることを可能にする。距離dが無限大に近付くにつれて、透視投影は平行投影になる。本発明による方法および装置の代替の実施形態では、式(5)の形式における透視投影行列が使用される。追加の代替の実施形態では、式(5)においてd=∞を設定することにより、平行投影が使用される。
【0077】
本発明による方法および装置の一実施形態では、観察者の変換も適用され、これは、観察者距離Dだけ負のz方向へ多面体を移動する。この移動の目的は、多面体を完全に投影面の後ろに置くことであり、従って、多面体の高さHがDに加算されなければならない。この変換は、以下の式(6)により提供され得る。
【0078】
【数5】

【0079】
この複合投影行列は、観察者変換および投影行列を共に含むものであり、以下の式(7)により提供され得る。
【0080】
【数6】

【0081】
行列乗算は可換ではないので、観察者変換は投影の前に適用されなければならない。更に、章動行列を観察者変換行列により後ろから乗算する(postmultiply)ことは、投影行列を観察者変換行列により前から乗算する(premultiply)ことと同等に有効である。双方の場合とも、観察者変換は、章動変換の後および投影の前になされなければならない。
【0082】
図2Aでは、投影行列は、投影行列初期設定ユニット155により、パラメータ、前方走査角度、底面の半径、および観察者距離を使用して確立される。投影行列は、次いで、3次元幾何モデル投影ユニット160により使用されて、章動された3次元幾何モデル、この実施例では多面体が、章動され投影された3次元幾何モデルへと変換される。
【0083】
超音波画像データを獲得する手段は十分に理解される。例えば、参照により本明細書に組み込まれるGoodnowその他による米国特許出願11/261635は、本発明の実施形態と共に利用され得る例示的なIVUSシステムと類似の例示的IVUSイメージング・システムのための獲得プロセスを記載する。特に、米国特許出願11/261635は、カテーテル角度および超音波画像のデータを格納するためのデータ・テーブルの生成を記載する。図6は、本発明の実施形態のために利用され得る例示的データ・テーブルを示す。図6のデータ・テーブルは3列を有する。第1は単に指数(index)であり、複数の指数が隣接する場合には省略される場合がある。第2の列はカテーテルの角度(angle)であり、図1における角度エンコーダ16から受信されたデータから導出される。第3の列は、検出された、あるいは、グレースケールの、超音波画像データ(image data)である。第3の列における行の各々におけるデータは、実際にはグレースケール・サンプルのアレイであるが、表記を簡単にするために、これらのアレイはImageData[n,t]として扱われることに留意されたい。グレースケールのサンプルの数が、サンプル/秒におけるサンプリング・レートおよび水中の音速と共に使用されて、走査深度が推定され得る。典型的な走査深度は、図1に示されたもののような例示的なIVUSシステムでは、約5ミリメートルである。完全なデータ・テーブルは、カテーテルの完全な1回転、約360°、において獲得されたそれぞれの超音波走査線に対して1行を有するデータ・テーブルとして定義される。
【0084】
図2Aを再度参照すると、データ入力ユニット180は、超音波画像獲得プロセスを制御するか、あるいは、図1に示されたエレクトロニクス・モジュール18における獲得プロセスなどのような別のプロセスからグレースケール・データを受信する。米国特許出願11/261635は、例示的な獲得プロセスを詳細に記載する。データ入力ユニット180は、獲得された画像データにより、完全なデータ・テーブル、または、以前のデータとマージされ得る完全データ・テーブルのサブセットの何れかを作成する。手動で回転されるイメージング・システムでは、データ入力ユニット180により作成されたデータ・テーブルは、完全データ・テーブルのサブセットとなる可能性が高い。完全データ・テーブルは、カテーテルの完全な約360°の1回転における角度の各々からの超音波走査線の最新バージョンを含む。
【0085】
図2Aを再度参照すると、データ・テーブルを生成することに加えて、データ入力ユニット180はまた、リーディング(leading、先頭)走査線角度の受信、および、章動行列初期設定ユニット175への出力も行う。リーディング走査線角度は、直近に獲得された超音波走査線に対応するカテーテル角度、と定義される。リーディング走査線角度は、一実施形態では、章動行列初期設定ユニット175により使用されて、章動の大きさおよび方向が計算される。
【0086】
手動で回転されるカテーテルを有するIVUSシステムでは、カテーテルの位置は、オペレータがデバイスを操作すると比較的低速で変化する。本発明による方法および装置の一実施形態は、この低速の手動で制御される回転の利点を用い、幾何モデルまたは円錐の縦軸の方向を設定することにより、カテーテルの角度位置を追跡する。具体的には、幾何モデルまたは円錐の縦軸が、カテーテルの角度位置またはリーディング走査線角度の反対側へまたはそれから離れるように、傾けられる。2次元空間へ投影されるとき、これは、直近に獲得されたデータをより大きく、観察者により近く見えるようにし、より見やすくする。正反対のデータは短縮され、従って、強調されなくなる。z軸に対する傾きの量は、リーディング走査線角度とは無関係な量であり、定数であり得る。この定数は章動の大きさであり、度(degree)などのような角度の単位で表現される。全体の傾きは、(x,y)面におけるある方向についての回転として表現されることが可能であり、この方向は、リーディング走査線角度の関数として指定される。例えば、リーディング走査線角度が0°または180°である場合、幾何モデルまたは円錐の縦軸はy軸について回転され、リーディング走査線角度が90°または270°である場合、幾何モデルまたは円錐の縦軸はx軸について回転される。これらの特別な場合以外の角度では、回転の軸は、以下の式(8)において、正規化された方向ベクトルにより与えら得る。
【0087】
【数7】

【0088】
ここにおいて、
θ=リーディング走査線角度
である。
【0089】
コンピュータ・グラフィックスの分野から、方向ベクトルU=(u,u,u)により与えられる任意の方向の周りでの回転φについての回転行列は、ロドリゲスの回転式、式(8)により以下のように与えられる。
【0090】
【数8】

【0091】
以下の式(10.1)、(10.2)および(10.3)を使用して、置き換える。
【0092】
ux=sinθ 式(10.1)
uy=−cosθ 式(10.2)
uz=0 式(10.3)
【0093】
この行列は以下の式(11)となる。
【0094】
【数9】

【0095】
図2Aを参照すると、章動行列初期設定ユニット175は、リーディング走査線角度(θ)および章動の大きさ(φ)を使用して、式(11)に従って章動行列を計算する。
【0096】
図2Aを再度参照すると、3次元幾何モデルの軸、または、一実施形態では円錐状多面体の頂点は、3次元幾何モデル軸章動ユニット150および3次元幾何モデル投影ユニット160により、章動され投影された3次元幾何モデルのための軸または頂点へと変換される。本発明による方法および装置の一実施形態では、中間の頂点ストリームまたは章動された3次元幾何モデルが生成される。代替の実施形態では、章動および投影変換行列は、一つの行列へと連結されてもよく、3次元幾何モデルからの頂点は、章動され投影された3次元幾何モデルに対する頂点へと直接に変換される。
【0097】
3次元幾何モデル軸章動ユニット150および3次元幾何モデル投影ユニット160は共に、式(1)に従って同次座標ストリームを変換する。これらの式は、以下のように式(12)へと展開する。
【0098】
x’=t11x+t12y+t13z+t14
y’=t21x+t22y+t23z+t24
z’=t31x+t32y+t33z+t34
w’=t41x+t42y+t43z+t44w 式(52)
【0099】
上記の式では、t11からt44は、3次元幾何モデル軸章動ユニット150により使用される章動行列における係数であり、t11からt44は、3次元幾何モデル投影ユニット160により使用される投影行列における係数である。wは、3次元幾何モデル軸章動ユニット150により1に設定され、3次元幾何モデル投影ユニット160によりw’に設定されることに、留意されたい。
【0100】
一実施例が以下に提供される。
【0101】
表(1)において定義された円錐状多面体モデルを使用する。この実施例から、多角形の高さHは0.577である。また、例示目的で、以下のようであるとする。
【0102】
D=1.0 (観察者距離)
【0103】
そうすると、式(7)から、複合投影行列は以下の通りである。
【0104】
【数10】

【0105】
章動行列を計算するため、例示目的であるが、以下のようであるとする。
【0106】
θ=30° (リーディング走査線角度)
φ=15° (章動の大きさ)
【0107】
そうすると、式(11)から、章動行列は以下の通りである。
【0108】
【数11】

【0109】
式(12)をこれらの係数と共に適用すると以下のものを生じる。
【0110】
x’=0.974x−0.015y−0.224z
y’=−0.015x+0.991y−0.129z
z’=0.224x+0.129y+0.966z
w’=w
【0111】
式(12)を、複合投影行列のための係数と共に適用すると以下のものを生じる。
【0112】
x’’=x’
y’’=y’
z’’=z’−1.577w’
w’’=−z’+1.577w’
【0113】
最後に、w’’により通して除算することにより同次座標を再正規化すると、以下のものを生じる。
【0114】
x’’’=x’’/(−z’’+1.577w’’)
y’’’=y’’/(−z’’+1.577w’’)
z’’’=−1
w’’’=1
【0115】
投影された2次元座標は、第4の座標を落とすこと、および、z’’’=−1である投影の面における残りの3次元座標を評価することにより得られ、(x’’’,y’’’)を生じる。
【0116】
以下の表(2)を参照すると、元の変換されていない3次元円錐状多面体座標は、x、yおよびz列にリストされ、表(1)にリストされた座標と等しい。章動された座標は、x’、y’、z’およびw’列にリストされる。章動され投影された座標は、x’’、y’’、z’’およびw’’列にリストされる。再正規化された2次元座標は、x’’’およびy’’’列にリストされる。
【0117】
【表2】

【0118】
図5は、章動され投影された多面体を示す。頂点番号が図において示され、これらは、表1および表2の第1の列における指数に対応する。グリッドが画像上に重ね合わされて、(x,y)座標の推定が可能になる。(x,y)座標は、表2の最後の2列にリストされたx’’’およびy’’’座標に対応する。
【0119】
図2Bを参照すると、章動され投影された3次元幾何モデルの2次元表現の計算における最後のステップ、ステップS216は、3次元幾何モデルの変換されたバージョンに従って超音波グレースケール・データを走査コンバートあるいはラスタ化することである。一実施形態では、これは、グレースケール・データを、章動され投影された円錐状多面体上にテクスチャ・マッピングする十分に理解されたコンピュータ・グラフィックス・プロセスにより実施される。テクスチャ・マッピングは最初に、E.Catmullにより、「A Subdivision Algorithm for Computer Display of Curved Surfaces」、PhD Thesis,Report UTEC−CSc−74−133、Computer Science Department、University of Utah、Salt Lake City、Utah、1974年12月において、および、「Computer Display of Curved Surfaces」、Proc 1EEE、Conference on Computer Graphics、Pattern Recognition,and Data Structures、1975年5月において教示され、また、J.F.BlinnおよびM.E.Newellにより、「Texture and Reflection in Computer Generated Images」、Communications of the ACM、19(10)、1976年10月,542〜547ページにおいて改善されている。これらの文献はすべて参照により本明細書に組み込まれる。P.S.Heckbertは、参照により本明細書に組み込まれる「Survey of Texture Mapping」、1EEE Computer Graphics and Applications、6(11)、1986年11月,56〜57ページにおいて、テクスチャ・マッピング方法の綿密な調査を提供している。
【0120】
本発明の一実施形態で使用されるテクスチャ・マッピング手法では、円錐状多面体の頂点に、3次元空間においてすでに割り当てられた(x,y,z)座標に加えて、テクスチャ座標(u,v)が割り当てられる。uおよびv座標はそれぞれ0から1までの範囲であり、u座標は相対グレースケール・サンプル番号を表し、v座標は相対走査線番号を表す。図6に示された例示的データ・テーブルを参照すると、サンプル0はu=0に対応し、サンプル「SamplesPerLine−1」はu=1に対応するが、線0はv=0に対応し、線「LinesPerFrame−1」はv=1に対応する。更に、u=0のサンプル0は、円錐状多面体の先端(頂点、apex)に対応するが、u=1のサンプル「SamplesPerLine−1」は、底面の周囲の頂点(vertex)に対応する。v座標は、処理中の特定の走査線に応じて、先端で複数の値を取らなければならないことに、留意されたい。これに対応するために、先端の頂点はLinesPerFrameコピーに複製され、各々が等しい(x,y,z)およびu座標を有するが、異なるv座標を有する。
【0121】
図2BにおけるステップS216は、円錐状多面体の変換された二等辺三角形の各々を、(x,y)画像空間へとテクスチャ・マッピングすることにより、なされる。変換された三角形毎に、すべての(x,y)画像空間画素が、幾つかの十分に理解された多角形走査変換アルゴリズムの何れかを使用して計算される。Foleyその他は、「Computer Graphic Principles and Practice」、第2版、Addison−Wesley Publishing Company、1990年、において、また、David A.Rogersは、「Procedural Elements for Computer Graphics」、McGraw−Hill Book Company、1985年、において、幾つかの多角形走査変換アルゴリズムの説明を提供している。これらの文献は共に参照により本明細書に組み込まれる。それぞれの変換された三角形における画素毎に、テクスチャ・マップの(u,v)座標が、3つの三角形頂点の各々の(u,v)座標から計算される。透視(透視画法、perspective)変換が使用されている場合、(u,v)座標の線形補間は、歪みを起こし、テクスチャ特徴が不適切に低下されることになる、ということに留意されたい。Mark Feldmanは、「The PC Game Programminer’s Encyclopedia:Texture Mapping」,http://www.geocities.com/SiliconValley/2151/tmap.htmlにおいて、幾つかの十分に理解されたテクスチャ・マッピング・アルゴリズムを、以下に示される表3において、それらの相対的な精度(即ち、透視画法の正確性)、速度、および実装困難性と共に記載している。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、領域副分割(area subdivision)アルゴリズムを介して、円錐状多面体におけるそれぞれの二等辺三角形を、各々がそれ自体の(x,y,z)および(u,v)の頂点座標のセットを有する幾つかのより小さいものに分解することにより、近似の解を得ることができる。「完全」マッピング・アルゴリズムを介して、補間しながら透視分割を行うことにより、厳密な解を得ることができる。
【0122】
【表3】

【0123】
(u,v)テクスチャ座標が画像空間画素(x,y)毎に計算された後、(u,v)座標は、データ入力ユニット180により作成されたデータ・テーブルへの指数へマップされる。u座標はグレースケール・サンプル番号にマップされ、v座標は走査線番号にマップされる。uおよびvは通常は0から1までの範囲の分数であるので、テクスチャ座標(u,v)は、分数のグレースケール・サンプルおよび走査線番号へマップされるとき、データ・テーブルにおける4つのグレースケール・サンプルにより境界が定められる。一実施形態では、これらの4つのサンプルは、厳密な分数サンプルへのそれらの相対距離に従って線形的に加重され、次いで加算されて、結果として得られる(x,y)画像空間画素値が生成される。この加重加算技術はしばしば双線形補間(bilinear interpolation)と呼ばれる。
【0124】
本発明のある実施形態は、ライティングおよびシェーディングを追加して、3次元幾何モデルの視覚的現実性を向上させることを含み得る。参照により組み込まれるFoleyその他の「Computer Graphic Principles and Practice」,第2版、Addison−Wesley Publishing Company、1990年、は、コンピュータ・グラフィックスの分野において使用される幾つかの周知のライティングおよびシェーディング・モデルを記載する。1または複数の光源が定義され、オブジェクト空間に置かれる。加えて、3次元幾何モデルの反射特性が指定される。これは、例えば、円錐状多面体モデルの頂点の各々について、あるいはモデルの表面上の各点での、法線ベクトルの計算、ならびに、拡散や鏡面反射率など(これらに限定されない)のような反射特性を指定することを、含み得る。
【0125】
本発明の一実施形態では、図2BにおけるステップS212とステップS214の間に入れられる追加の処理ステップにおいて、ライティングおよびシェーディング計算が、3次元幾何モデルの章動された軸または頂点に適用される。これらの計算は、章動された座標値に加えて、頂点の各々についての相対強度値を生成する。これらの相対強度値は、ステップS214を通され、ステップS216で使用されて、ライティングおよびシェーディングの効果を組み込む最終画像が生成される。
【0126】
この実施形態では、光源が正のz軸に沿って置かれ得る(観察者もまた正のz軸に沿って置かれるが、光源と観察者は互いに干渉しないことに留意されたい)。3次元幾何モデルが章動されると、直近に獲得された走査線を含む部分は、正反対の短縮された部分よりも入射光をより多く反射する。なぜなら、前者の部分の周囲の表面に対する法線ベクトルがz軸とより良く整列させられるから、即ち、これらの法線とz軸とのドット積は相対的に高いからである。強調されない短縮された部分は、観察者から離れるように光を反射する。なぜなら、表面法線が十分にz軸と整列されないからである。よって、これはより薄暗く見える。全体的な効果は、モデルの3次元性を向上させることである。
【0127】
上述の実施形態は、カテーテルの手動の回転に応答して、3次元幾何モデルを章動させる。追加の実施形態は、一定または可変のレートで、あるいは、ユーザ・インタフェース制御の操作に応答して、モデルを章動させ得る。例えば、毎秒数回から多数回の画像が繰り返して獲得されるモータ駆動のIVUSイメージング・システムでは、モデルは低速で、時計回りあるいは反時計回りに章動され得、章動のレートは毎秒1章動サイクル程度である。更に、コンピュータ・ポインティング・デバイスなどのようなユーザ・インタフェース制御が、モデルをインタラクティブに章動させるために使用されてもよい。この技術は、ユーザにより望まれる任意の方向に、モデルが章動あるいは傾斜されることを可能とする。z軸に対する全体の章動角はまた、新しい画像の線が追加されると徐々にあるいは急に増大されてもよく、また、新しい画像の線がある期間にわたって追加されなかった時にその期間後に徐々にあるいは急に減少されてもよい。図2Aを参照すると、これらの追加の実施形態では、章動行列初期設定ユニット175が、章動角を、リーディング走査線角度以外のソースから受け入れおよび/または生成するように変更される。例えば、低い周期の章動ならびに全体の章動角の増大および減少に対して、タイマが使用されてもよく、また、インタラクティブな章動に対して、コンピュータ・ポインティング・デバイスの座標を使用して章動角を生成および/または調節してもよい。
【0128】
グラフィックス・マーカまたはアイコンが、最終的なラスタ化された画像上で重ね合わされてもよい。このようなマーカまたはアイコンは、例えば、1または複数の補助的な診断および治療デバイスの位置およびサイズ、および/または、どこでそれらの効果が発生するかを示すことができる。図2Aを参照すると、一実施形態では、これらのオブジェクトの座標はオブジェクト空間において定義され、3次元幾何モデル軸章動ユニット150および3次元幾何モデル投影ユニット160により変換される。ラスタライゼーション(ラスタ化)は、画像データ・ラスタライゼーション・ユニット165により行われたものと類似のプロセス(必ずしも同一でなくてもよい)により実施される。
【0129】
追加の実施形態は、有限の期間に渡って画像が持続して、その後に徐々にあるいは急に除去されるようにする。この技術は、画像内の個々の走査線に対して、ならびに画像全体に対して適用され得る。これの一実施形態は、個々の走査線の各々を、フレッシュな走査線により更新されることなく、より多くの時間が経過するにつれて徐々に薄くすることである。これは、最も以前に獲得された、即ち「最古」の画像データが時間と共に次第により薄暗くなり、直近に獲得された、即ち「最新」の画像が最も明るい、という効果を有する。これは、より古いデータは経時的に臨床的価値が低下していくが、最新データは最大の臨床的価値を有することを、視覚的に示唆する。
【0130】
図7の7A〜7Fは、本発明の実施形態による装置および方法を利用して、例示的な表示から取られた静止フレームである。即ち、図7の7A〜7Fは、ビデオ表示から取られた静止フレームである。円錐状の前方視画像データは、章動され投影された3次元幾何モデル上に、章動され投影された3次元円錐状多面体の形態で、ラスタ化されている。黄の線はリーディング走査線を表し、画像データが追加されると回転する。赤のマーキングは、アブレーション・デバイスなどのような治療および/または処置デバイスの位置を表す。
【0131】
前述の実施形態および利点は例示的なものにすぎず、本発明を限定するように解釈されるべきではない。本教示は、他のタイプの装置にも容易に適用され得る。本発明の記載は、説明的となるように、および、特許請求の範囲を限定しないように意図される。多数の代替物、変更、および変形形態は、当業者には明らかとなるであろう。特許請求の範囲では、手段プラス機能を記載する節は、挙げられた機能を行うものとして本明細書に記載された構造、そして構造的均等物だけでなく等価の構造も包含するように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方視画像データを収集するデバイスからの表示用の画像データのためのレンダリングのための装置であって、
前記前方視画像データを収集する前記デバイスから前記画像データを受信するように構成されたデータ入力ユニットと、
前記データ入力ユニットと通信するものであり、且つコンピュータにより実行可能な命令を記録したコンピュータ読取可能な媒体を含むものである画像データ処理ユニットであって、グラフィカル・ディスプレイで表示するための組織のセクションの画像を生成するものであり、前記画像は、前記組織のセクションの3次元モデルに基づくラスタ化画像であり、前記画像データの走査線は、前記3次元モデルの表面に正確な透視画法で向けられる、画像データ処理ユニットと
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記3次元幾何モデルは円錐を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記円錐は、複数のパラメトリック双三次表面パッチにより近似される、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記複数のパラメトリック双三次表面パッチは、エルミート面、ベジエ面、Bスプライン面のうちの少なくとも1つを備える、装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、前記円錐は、陰関数の表面式を使用してモデリングされる、装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置であって、前記円錐は、陽関数の表面式を使用してモデリングされる、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記3次元幾何モデルは多面体を備える、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記画像データ処理ユニットは、
3次元幾何モデルを初期設定するように構成された3次元幾何モデル初期設定ユニットと、
投影行列を初期設定するように構成された投影行列初期設定ユニットと、
前記投影行列を使用して前記3次元幾何モデルを投影するように構成された3次元幾何モデル投影ユニットと
を備える、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記画像データ処理ユニットは、
前記章動の定義に従って章動行列を初期設定するように構成された章動行列初期設定ユニットと、
前記投影行列を使用して前記3次元モデルを投影する前に、前記章動行列を使用して前記3次元幾何モデルの軸を章動させて、章動され投影された3次元幾何モデルを生成するように構成された3次元幾何モデル軸章動ユニットと
を更に備える、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記3次元幾何モデルの前記軸の章動を制御するように構成されたユーザ操作デバイス
を更に備える装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、前記画像データ処理ユニットは、
前記章動され投影された3次元幾何モデルに従って前記画像データをラスタ化するように構成された画像データ・ラスタ化ユニット
を更に備える、装置。
【請求項12】
イメージング・システムであって、請求項1に記載のレンダリングのための装置を備えるイメージング・システム。
【請求項13】
請求項12に記載のイメージング・システムであって、IVUSシステムを備えるイメージング・システム。
【請求項14】
表示装置であって、請求項1に記載のレンダリングのための装置を備える表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59675(P2013−59675A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−205(P2013−205)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2009−512042(P2009−512042)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(504237957)ヴォルケイノウ・コーポレーション (10)
【出願人】(508347638)
【Fターム(参考)】